タイプ1とタイプ8の誤認は、おそらく「タイプ8のような権威と影響力を持たなければならない」と思っているような一部のタイプ1が、自分のことを「タイプ8ではないか」と考えるような場合に発生します。また、自分の中に攻撃的な衝動があることを認識して「自分はアグレッシブなタイプだ」と誤認するかもしれません。確かにタイプ8は、群を抜いて「アグレッシブなタイプ」です。この場合、なぜアグレッシブな言動をとってしまうのか、その動機に着目する必要があります。例えば理想に真に忠実であろうとする想いが強すぎるあまりアグレッシブになってしまうタイプ1はいます。
一方、タイプ8が自分自身をタイプ1だと思うことはほとんどありません。タイプ8から見て、タイプ1は力強い存在ではなく、どちらかといえば勇気がなく、情熱もないモラリストというように見えてしまいがちです。ただし、他の人が改革を推し進めるリーダーとしての役割をこなすタイプ8を見て、「タイプ1かもしれない」と誤認する可能性はあります。言うまでもありませんが、改革者的だからというだけではタイプ1であることの根拠にはなりません。全てのタイプが、必要に応じてこういった行動をする可能性があります。
タイプ概要
タイプ1 | タイプ8 | |
---|---|---|
囚われ | 怒り | 欲望 |
根源的恐れ | 悪く、欠陥があり、邪で堕落していること | 人に傷つけられてコントロールされること、侵害されること |
根源的欲求 | 善き存在であること、人徳があって バランスがとれていて誠実であること |
自分自身を守ること、自分の人生の方向を自分で決めること |
超自我の声 | 正しいことをすれば大丈夫だ | 強くて、自分がいる状況をコントロールしていれば大丈夫だ |
共通点
タイプ1とタイプ8は下記の点が共通しています。
- ガッツセンター
- 意志が強い
- 行動的
- 自分がどうすべきか、確信を持っている
相違点
タイプ1とタイプ8は下記の点が異なっています。
タイプ1 | タイプ8 |
---|---|
正しいこと(特に道徳的な意味で正しいこと)をするよう、論理的に説得する | 根性論と純粋な個人的なカリスマ性で他人を動かそうとする(「正しいかどうかは知らないけどこれが私のやり方だ」) |
説得が通じない時はイライラして論理的ではなくなる | 他人が自分の言うことを聞かない時は、力任せでなんとかしようとする |
裁判官、弁護士、唱道者(他の人々に先立って、思想や主張を提唱する人)、検察官 | 自分が保護している人々や、自分の支配下にある人にとっての守護者 |
「正義」とは非常に重要な価値観であり、目指すべき理念だと捉える。人間に適切な基準を提供するという問題と、公平で公正なシステムをどのように運営するべきかという点について、多くのことを考える。 | 「正義」について熟考することはあまりない。あえていうなら正義に反することが行われているのを目撃したときの反応そのものが正義 |
自分が見つけた不正はどんな労力を払っても正そうとする。そうしないと、自分の中の高い道徳的規準を満たせないことになり、罪悪感を感じてしまう。「善い事をした人は報いられるべき、悪いことをした人は相応の罰を受けるべき」 | 力の不均衡と戦おうとする。具体的に言うと、目の前の弱者(特に自分の身内や仲間)が一方的に攻撃されていたり、不公平な扱いを受けているときに、それを公平なものにしようとする |
「自分が与える罰は、罰せられている人のためになる、あるいは少なくとも社会のためになる」と思える場合、他人に罰を与える(罰を与えるという行為を正当化しようとする) | 正当化する必要性なしに正義を執行する(目の前の弱者を咄嗟に守るなど、タイプ8にとって正義とは考えるものではなく直感的な反応なので)。(不健全な場合)「正義を執行する」と「復讐する」が同じ意味になる |
ユングのタイプ論との関係
ドン・リチャード・リソ、ラス・ハドソンの著書「Personality Types: Using the Enneagram for Self-Discovery」のTable 14.2. The Jungian Correlationsでは、タイプ1は外向的思考に、タイプ8は外向的直観に近いとされています。