内向的直観 Ni
内向的直観(Ni)は、内向、非合理、動的な情報要素です。
「内向的直観」と書く代わりに、「Ni」「T」「時間の直観」「白の直観」と表記されることもあります。
Niは一般的に下記と関連しているとされます。
- 時間経過に伴うプロセスの展開(ある出来事が別の出来事にどのようにつながるか)を認識する能力
- 過去と未来のビジョンを持つ能力
- 心理的なイメージを発展させる能力
- プロセスやオブジェクト間の関係に関わる、非物質的な隠された情報を見る能力
Niが「尊重する機能であるタイプ(モデルAで第1機能・第2機能・第5機能・第6機能がNiの人)は、いつも「これからの人生がどう進んでいくか」という未来のイメージや計画を心の中にしっかり持っていたいと感じています。だから、「今この瞬間を味わうこと」や「目の前のことだけに集中する」といった考え方は、あまりピンとこないのです。遊びやリラックスのためだけの時間も、ちょっとの間なら楽しむことがありますが、それでもどこかに「勝ち負け」や「上手くやろう」といった要素を入れたがる傾向があります。
ウィキソシオンの説明
第1機能 Ni(IEI, ILI)
モデルAでの第1機能:先導機能
先導機能としてのNiは、周りのことにあまり注意を向けなかったり、日常的な出来事から少し距離を取っているような感覚として現れます。何かに縛られている感じがなく、ちょっと浮いているような印象を持たれることもあります。この感覚は、豊かな想像力や、とても独特で個性的な内面の世界に繋がることがあります。一方で、極端にやる気がなくなったり、ぼんやりと動かなくなってしまうような状態にもなりやすいです。先導機能にNiを持つ人(IEIやILI)は、想像力を使って世界のことを理解するため、普通なら必要とされる経験やデータが足りなくても、うまくやれてしまうことがあります。ただし、現実の情報をあまりにも軽く見すぎると、せっかくのNiの力が逆に足を引っ張ってしまうこともあるので注意が必要です。さらに、主導Niの人は「時間を超えた出来事のつながり」を感じ取る力を持っています。これは、未来の大まかな流れや、ある出来事がどんな結果を生むかを直感的に見抜く力になることもあります。
第2機能 Ni(EIE, LIE)
モデルAでの第2機能:創造機能
自分が興味を持っていることや、今目の前にある状況がこの先どうなっていくのか、という「流れ」や「展開」を考えるのが好きです。未来のイメージを思い描く力がとても優れていますが、「ただ未来を想像すること」そのものが目的なのではありません。その力を使って、自分にとってもっと大事なことや、本当に力を入れたい活動を前に進めようとしています。
第3機能 Ni(SEI, SLI)
モデルAでの第3機能:役割機能
長い目で見た影響や、自分の想像の世界に意識を向けることはできますが、それもほんの短い間だけです。SEIやSLIのように「役割機能」があまり育っていない人は、将来についていろいろ計画を立てても、なぜそれをやるのか、自分ではうまく説明できないことがあります。
第4機能 Ni(ESE, LSE)
モデルAでの第4機能:脆弱機能
目の前のタスクに集中するのが得意で、流行や今後の予想よりも「今、何が起きているか」を大事にします。ある出来事が次の出来事につながっていく様子を説明するより、「まずこれが起きて、その次にこれがあった」というふうに順番に話すのを好みます。時間の感覚が少し独特で、過去・現在・未来の区別があいまいなことがあります。たとえば、昔のことも今のことのように感じたり、未来のこともすぐに起こることのように話したりします。将来の計画について話すとき、「まるで今すぐ確認できること」のように話すことがありますが、実際には、その計画がどう進んでいくのか、細かい流れまではあまり考えられていないこともあります。全体的に、「どれくらいの時間で物事が進むか」「どのくらい時間をかけるのがちょうどいいか」といった感覚がつかみにくい傾向があります。そのため、きちんとした事前の計画がないと、予定どおりに進めるのが難しくなることがあります。
第5機能 Ni(SLE, SEE)
モデルAでの第5機能:暗示機能
Niがこの位置にある人は、「今の流れがどこへ向かっているかを見通しながら、動くタイミングや控えるタイミングを見極められる人」を魅力的に感じやすいです。自分自身は衝動的なところがありますが、「衝動に流されすぎないようにしたい」という気持ちを持っています。ただし、そうした判断の力にはあまり自信がありません。そのため、「どこまでやるか、どこでやめるかをしっかり見極められる人」に強く惹かれ、そのような人と一緒にいたいと感じます。また、目に見える現実を超えた、「人が生きる意味」や「人生の深いテーマ」のようなものにも関心があり、そうした世界に光を当ててくれる人との交流に心が動かされます。
第6機能 Ni(LSI, ESI)
モデルAでの第6機能:動員機能
心配しすぎないために、「この先、物事がどうなっていきそうか」を他の人から教えてもらうことが必要になることが多いです。たとえば、「急がなくてもちゃんと間に合うよ」とか、「今はまだ動かずに様子を見ていれば大丈夫だよ」といった安心感を周りからもらえないと、不安になってしまいやすいのです。こうしたサポートがない場合、時には勢いで問題に手を出し始めてしまうことがあります。
第7機能 Ni(ILE, IEE)
モデルAでの第7機能:無視機能
今どんな流れがあるのか、この先どうなりそうか――そうしたことを考えたり、ある特定のアイデアに意味を見いだしたりするような話にも、ちゃんとついていくことができます。しかし、そういった一つの方向や流れに意識を集中するよりも、「今、目の前にある現実のなかに、どんな可能性があるか」を幅広く探っていくことのほうを大事にしています。
第8機能 Ni(LII, EII)
モデルAでの第8機能:実証機能
今の流れがこの先どう発展していくかについても、ちゃんと話についていくことができますし、本気を出せばその議論に大きな影響を与えることもできます。しかし本人たちは、それよりも今自分が興味を持っている分野の可能性を探ることのほうに関心があり、未来の話自体にはあまり本気では向き合っていない傾向があります。このタイプの人たちは、「超自然的な主張」を耳にしても、それが自分の信じている宗教と関係していたり、趣味として楽しんでいるものでない限り、「そんなのはただの願望にすぎない」と思って、まともに取り合わないのがふつうです。
価値機能の側面 by Dmitry Golihov
価値機能:モデルAの第1機能、第2機能、第5機能、第6機能のこと。別名「尊重する機能」
第1機能 Ni(IEI, ILI)
彼らは自分のことを、「とても信念が強く、ぶれずに筋を通すタイプで、保守的な人間」だと思っています。そして、自分の考えに異を唱える人に対しては、イライラすることがあります。日々の行動や判断は、自分の中にある「一つのまとまった感覚」に従っているのです。多くの場合、物事の先を見通したり、人や出来事の「本質」を見抜いたりする力があります。ロマンチックで、理想を大切にするタイプでもあります。心の中の静けさや落ち着きに導かれて生きていて、自分の内側からインスピレーションを引き出すことができます。ふつう、他人から自分の内面に踏み込まれるのを嫌います。そういうことをされると、イライラしたり怒り出したりします。できる限り、どんなときでも心の中の落ち着きや、自分なりの一貫性を保とうとしています。「川のような流動性」を持ちます。言い換えると、彼らは会話の相手や状況に合わせて、自然と自分の意識のあり方を変えます。無意識のうちに、相手に合わせた形で自分を出しているのです。これは、役を演じているわけではありません。彼らの心はもともと多面的で、その中の「どの面を出すか」を自分の内なる全体性が選んでいるだけです。つまり、自分のいろんな顔の中から、必要に応じて一部を見せているにすぎません。内省や瞑想が好きで、うまくいかなかったときには、自分の内面を丁寧にふり返って分析することができます。場所によっては、「カメレオンのように周りに溶け込んで目立たなくなろうとする」ことがあります。とくに、自分の心の静けさが乱されそうな場所――たとえばストレスの多い職場など――では、よくこうした行動を取ります。「職場のデスクにさりげなくファイルでバリケードを作り、その影に隠れる」といった工夫で、周囲から気づかれないようにすることもあります。また、「落ち着きがなく、心が安定していない人」はとても苦手です。そういう人の不安定さが自分にまで伝わってしまうため、できることなら全力で逃げ出したくなります。このタイプの男性が、自分の中の静けさを壊そうとする女性たちから逃げ回る様子は、ちょっと笑ってしまうようなところもあります。しかし、彼らにとって「内なるまとまり」は、商品でもなければ、人にあげるためのものでもありません。あくまで自分自身の中で使うための、大切な素材なのです。だから、これを無理やり奪おうとされると、ものすごく怒ります。とくに家族との関係では、「自分の大事にしている原則に反する行動をされる」と、かなり怒りっぽくなることがあります。普段、外では気持ちを抑えていても、家の中では怒りを爆発させてしまうことがあるのです。
第2機能 Ni(EIE, LIE)
内面に矛盾を抱えている人を見つけて、その矛盾を掘り下げることによって、内面的な調和を作り出すことを好みます。彼らは優れたアーティストとしての才能があります。なぜなら、特定の人物になりきって、その人物の視点から役を演じることが得意で、またそれを楽しむからです。複雑な内面の状態を理解する能力が高く、優れた分析者になることもあります。仕事を見つけるのは少し難しいかもしれません。なぜなら、彼らの創造的な才能は人間の内面に深く関わるもので、その深い部分に踏み込むには他人の許可が必要だからです。時には不安定になり、感情的に脆くなりがちですが、それは自分の内面を調和させるための過程です。自分自身を苦しめることで、問題を深く掘り下げようとすることもあります。彼らが持つ創造的な才能(Ni)は、この世界で十分に活かされることが少ないです。なぜなら、そのような才能が求められる場面が少ないからです。誰もが自分の内面を深く掘り下げてもらいたいわけではありません。彼らが生み出すものは、大胆なアイデアや信念、知識の体系です。これらを広める方法は無理に押し付けるのではなく、美しく、エレガントで、魅力的な形で伝えようとします。内面的に矛盾する状況を探し、その本質を理解しようとします。芸術や執筆活動を通じて自己表現をすることが多いです。これは、彼らにとって創造的な才能を活かす良い方法です。彼らは他人の内面的な状態にポジティブな影響を与えることができ、話が上手な人です。その創造的な才能が生み出す作品は、内面的な「全体感」を表現しているため、心理学の分野で成功することができます。彼らは心の癒し手としての役割を果たすことができます。人生において、すべてをドラマチックに演出するのが好きです。周囲の人々は、彼らの気分や内面の状態の小さな変化にも気づくことになります。彼らは「小さな出来事を大きなものに変える」のが得意です。これは創造的な才能を活かして仕事を見つける方法でもあります。自分をさらけ出すことで、より強く個性が光ります。
第6機能 Ni(LSI, ESI)
彼らの自己価値観は、内面的な「全体感」、調和、理念や原則の一致、内面的な平和といったことに関連しています。自己価値を守るために彼らがすることは、通常、問題から少し離れて休息を取ることです。それだけで、ほとんどの場合、内面的な葛藤や問題をうまく処理することができます。他の人から見ると、彼らは常に非常に一貫していて、原則を守る人だと見えるかもしれません。彼らは常に同じように考え、行動し、話します。つまり、自分自身に矛盾がなく、他人にもそれを期待します。そのため、時には「正しすぎる」と思われることもあります。彼らが受け入れる情報は、内面的なバランスを崩すリスクがない情報だけで、時には非常に頑固になることがあります。自分の原則を曲げることになる妥協は絶対にしません。通常、彼らは抑えめで礼儀正しく、閉鎖的で秘密主義的、そして一貫した人物として周囲に印象を与えます。彼らの前向きな自己価値感は、彼らの理想によって支えられていますが、その理想が現実とずれていることがあり、現実を無視してしまうこともあります。この位置のNiは、具体的な目標を達成するためには効果的です。外部の意見を無視して、ただ一方向に突き進んで目標を達成します。特に、「目標に向かってただひたすら進む」ことが求められる状況では、非常に良い気分になります。例えば、社会的に認められる立場や職業についていて、彼らの行動や方法が正当だと強調されるような状況です。もし彼らが「私は祖国のために義務を果たしている兵士だ」と言う場合、それは「だから私の行動は正当だ」という意味だと解釈すべきです。
理想的な原則をしばしば重視し、「理念や原則は現実よりも大事だ」と強調することがあります。彼らは、自分が本当に理想を信じていることを示すために、他の人を導こうとすることがよくあります。それは単に理想論を言うだけではなく、心から信じて行動しているのです。彼らにとって、内面的な「全体性」を保つことは非常に大切です。そのために、行動に一貫性を持ち、原則に忠実であることが重要であり、「自分の行動が完全に一貫していて揺るがない」と感じることが必要です。状況があまりにも不明確であると、彼らは物事を単純化して解決しようとします。原則や一貫性は「良いもの」と考え、それが欠けていることは「悪いもの」と見なします。矛盾や疑念を抱えている人を嫌います。たとえ間違ったことをしても、「自分が間違えた」と認めるよりも、間違いに気づかないままでいるほうが彼らにとってはずっと楽です。自己価値を守るために、彼らはしばしば間違いを無視します。例えば、「この人は自分を傷つけようとしている」と思い、その人の意見など気にしないことがあります。彼らにとって、自分の内面的な「全体性」を乱すようなものは、基本的に「考慮する価値がない」と見なされます。「負けるかもしれないけれど、私は自分に忠実であり続ける」といった考え方が、彼らには非常に重要なのです。
第5機能 Ni(SLE, SEE)
彼らは自分の内面での不快感や矛盾を感じずに済む環境を好みます。具体的には、わざわざ説明をしなくても、自分の内面にあるアイデアや原則を自然に共有できるような環境です。もしそのような環境が整っていない場合、彼らはただ「そこから離れる」だけです。また、彼らは「自分の精神を高め、心の中に調和をもたらし、気分を良くする方法」を知っている人々を好みます。もし周囲の人々が元気や楽観的な気持ちを持っていると、彼らもその影響を簡単に受けてしまいます。反対に、周りに気分が落ち込んでいる人がいると、その気分に引きずられることがあるため、そうした人々と一緒にいることは避けたがります。また、自己省察の苦しみを和らげるためにアルコールや他の物質を使うことがあります。そして、周囲の人々も自分と同じようにアルコールに頼っていると信じ、結果的にアルコール依存症に陥ることがあります。
彼らが環境に求めることは、自分の理想や原則とその環境が矛盾しないことです。もしそのような矛盾が生じると、彼らは「これは私の世界ではない」と感じ、その環境から「離れてしまう」のです。外的な状況で「自分の魂が傷つく」ようなことがあると、生きていくのは難しく感じます。心の中で直接触れることができない「痒み」を引き起こされるような状況では耐えられません。ですが、もしその場にいる全員が自分と同じ信念を共有していて、「自分と同じような人々」を感じられる環境なら、彼らは快適に感じます。なぜなら、そこには彼らが望むことを行い、創造するために必要なものがすべて整っているからです。彼らは「自分の欠点も含めて」受け入れてもらえる環境を好みます。そして、互いに弱さを受け入れ合いながら、「自分たちの小さな世界」を作り出そうとします。この小さな世界の仲間を「自分の一族」や、「ゴッドファーザー」と表現することもできるでしょう。そのような世界では、彼らは自分たちの原則を共有しない「異なる世界」と対立していると感じます。
彼らは、自分の内面的な調和を保つ必要があることは分かっていますが、実際にはそれがうまくいくことはあまりなく、よく自分が進むべき方向を外れて、別の方へ進んでしまうことが多いです。彼らが内面的な調和を保つために必要なのは、頭に浮かぶ「ひらめき」を落ち着かせて、理性的に導いてくれるような人です。「なんでそんなにイライラしてるの?すべてうまくいってるよ。大丈夫だよ」と言ってくれる人が必要なのです。今日、彼らはどんな気分に影響されて、その影響でどんな行動を始めるのでしょうか。ここまで説明したように、このタイプの人たちの行動は予測が非常に難しいです。