第8機能(実証機能)
実証機能は第8機能とも呼ばれます [1]。この要素は、主に一種のゲームとして、あるいは真面目に考えすぎている人を嘲笑するために使われます。第2機能(創造機能)を根拠づけるためだけに、わざと「普通の使い方」とは逆の使い方で、第8機能を使用することが多いです。第8機能に配置されている情報要素と、自分の双対タイプの第4機能(脆弱機能)に配置されている情報要素は同じであり、第8機能は「双対タイプの脆弱機能を保護する効果」を持つ機能でもあります。ただし第8機能は、外界との接触に焦点を当てた際に必要となる「創造機能をサポートする要素の情報」を作り出すために、バックグラウンドではかなり頻繁に使用されています。
人は第8機能を、第1機能と同じくらい高度に理解していることが多いです。通常、人は第8機能に関する情報を他人から受け取った時、それを「わざわざ注目するほどでもない当たり前の情報」だと受け取ります。この性質があるからこそ、人は自分の双対タイプの繊細な第4機能に刺激を与えることなく、密に付き合うことが出来るのです。第8機能は、双対タイプと問題なく接することができるほどの繊細な配慮が可能な機能であり、(第7機能とは対照的に)その人の世界観に重要な役割を果たしている機能です。また、しばしば自分の第4機能で作られた信念を守り、裏付けるために、この第8機能が使われることがあります [2]。
第8機能は第1機能の次に使いやすい機能ですが、散発的にしか使われない傾向があります。第8機能は人の世界観にとって重要な役割を果たしている機能です。そのため、もしもこの機能に問題がある場合は、その問題を修正する必要があります。
訳注
- ^ 第8機能はバックグラウンド機能と呼ばれることもある(実際に数を比較したことは無いが、サイト管理人の印象から言うと、このバックグラウンド機能という呼び方がメジャーではないかと感じる)。バックグラウンドは「背景」と訳されることがあるが、第8機能の「ユーザーは特に意識していない、バックグラウンドで起動しているアプリのような働き方」というイメージから、そのままカタカナ英語でバックグラウンド機能とするほうが分かりやすいのではないかと思う(ちなみに第1機能はプログラム機能と呼ばれることがある。ソシオニクスにはIT用語があてられることが多いが、命名にIT用語を使い、IT用語本来の意味からソシオニクスの概念を解釈するという傾向はAushraやGulenkoにおいて頻繁に見られる。また、ここからわかるようにソシオニクスは(ユングだけではなく)1970年代前後以降の情報科学の概念の影響を強く受けているため、そこからソシオニクスの概念とユングの概念間にさまざまな違いが生じている、関連記事「情報要素(by A. Augusta)」)。またDemonstrative(демонстративная)は「実証」と訳されることが多いが、これを「デモ的」という意味で解釈して、「デモンストレーションじみたわざとらしい振る舞いをすることがある機能」という説明付けをすることがある(この意味での解釈はStratiyevskayaに見られる)。
- ^ ちょうど第4機能から見て真逆の情報要素が配置されるため(例:ILEの場合、4Fi、8Te)、ある意味世界の表と裏のような関係になる。ちょうど第1機能を補完するために第5機能が使われるのと同じ関係である。関連記事「第5機能(暗示機能)」
補足情報(第3機能、第4機能、第7機能、第8機能の違い)
Stratiyevskayaは、全タイプに共通する話として、第3機能、第4機能、第7機能、第8機能に下記の性質があると解釈している。
- 第3機能(役割機能):「人からのサポートを求めておらず、自分の力でどうにかしたい機能」
- 第4機能(脆弱機能):「人からのサポートを求めている機能」
- 第7機能(無視機能):「まず状況を監視して、後になってから批評する機能」
- 第8機能(実証機能):「相手がサポートを求めているかどうかに関わらず、先回りしてサポートをする機能」
これによってどのようなことが起こるかと言うと、Stratiyevskayaは双対関係では発生しないようなギャップが、活性化関係では生じると解釈している。
例えばIEIとLSIは活性化関係であるが、IEIのNe(第7機能)は「まず状況を監視して、後になってから批評する」という形で働く一方、LSIのNe(第4機能)は「他者からの具体的なサポートを求める」という形で働く。そのため、LSIは自分の計画に起こりうる様々な可能性について、「気付いた時点ですぐに忠告して欲しい」と感じているのに対して、IEIは実際には「この計画にはあまり発展性が無い」と第7機能Neで強く察していたとしても、「まずは黙って見守る」という選択をしてしまう。そしてLSIの計画が破綻した後になってから、IEIが「あのときもっとこうすべきだったね」という「後出しの講評」を行ってしまうため、LSI(脆弱機能Ne)が「気付いてたなら先に言って欲しかった」となる。関連記事「活性化関係:ILE(ENTp)−ESE(ESFj) by Stratiyevskaya」
もしもこれがIEIとSLEの関係であれば、SLEのNeは第3機能(役割機能)「人からのサポートを求めておらず、自分の力でどうにかしたい機能」であるため、「上手くいくかどうかに関わらず、干渉したり、口出しせずにいてくれた」と感じてIEIの第7機能Neを評価するということが起こる。
別の活性化関係の例だと、ILEとESEの場合、ILEが外部からの圧力に晒されている時、ESEは第8機能Seの働きで、ILEが助けを求めるよりも先に「助けなければ」と感じて、敵に向かっていく。しかしILEとしては「この程度、自分で何とかできたのに。余計な手出しなんてされたくなかった」とESEに不満を感じることが起こる(第3機能と第8機能の不和)。一方、ILEとSEI(双対関係)の場合、SEIはILEを見守り、ILEがうまく外圧に対処出来たら「ILEやるじゃん!」と褒める流れになりやすい(第3機能と第7機能の調和)。関連記事「活性化関係:ILE(ENTp)−ESE(ESFj) by Stratiyevskaya」
まとめると第4機能は「積極的に手助けして欲しい」のに対して、第3機能は「余計なお世話を焼かれるのが嫌」だと感じ、第8機能は「つい他人の世話を焼きたくなる」のに対して、第7機能は「余計なお世話になりそうだから、黙って見守ろう」と感じる性質がある。なおこれはStratiyevskayaの解釈であるため、他の専門家がどの程度この解釈を採用しているかは不明な点は注意が必要である。
モデルA:機能二分法の分類
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