内向的感覚 Si
内向的感覚(Si)は、「内向的」「非合理的」「動的」という特徴を持つ情報のタイプです。Siは「S」「体験の感覚」「白の感覚」と呼ばれることもあります。Siは、体で感じた感覚を自分の内側でじっくりと味わったり、細かく意識したりする力と関係しています。たとえば、「今この瞬間」に起こっている出来事の中で、実際に体が感じていることや、もの同士の関わり合いに注目します。これは「動的」で「外面的」な経験を、「内向的」に感じ取る、というイメージです。もっと簡単に言うと、Siは、体の中の感覚や、目の前の物の動き、温度の変化、汚れといった物理的な変化を敏感に感じ取る能力です。こうした感覚に気づけることは、自分の健康や、身の回りの環境とちょうど良いバランスを保つことにもつながります。私たちがある環境に身を置いたときに、そこで感じる快適さ、美しさ、使いやすさ、あるいは心地よさなどの感覚は、こうした身体的な反応に基づいています。Siは、そうした反応の基盤となる感覚処理の働きに関係しているのです。
外向的感覚(Se)と違って、内向的感覚(Si)は「何かを手に入れるために何が必要か」ではなく、「自分が今どう感じているか」「自分にとって心地よいかどうか」に目を向けます。Seを中心に持つタイプ(Se自我タイプ:SLE、LSI、SEE、ESI)は、「他の人のやり方が正しいかどうか、自分には判断できる」と感じやすいです。一方で、Siを中心に持つタイプ(Si自我タイプ:SEI、ESE、LSE、SLI)は、自分の快適さが大きく損なわれない限り、なるべく相手のやり方や優先順位に合わせて、争いを避けようとする傾向があります。また、内向的直観(Ni)との違いもあります。Niは「物事がどう進んでいくか」や「原因と結果」といった見えにくい流れに意識が向きますが、Siはもっと目の前のこと、つまり周囲の人や環境との直接的なやり取りや、そこに調和があるかどうかを重視します。
Siを重視するタイプの人々(Si価値タイプ:ILE, SEI, EIE, LII, IEE, SLI, LSE, EII)は、「つらい思いをしてまで目標を追いかけるよりも、楽しく過ごすことのほうが大切だ」と感じることが多いです。楽しいことに時間を使うほうが、自分も自然とがんばれるし、そのぶん上達もしやすいと考えます。また、彼らにとって目標とは「社会のルールに合わせて決めるもの」ではなく、「自分の内側からわいてくる本当の気持ちや願いに合ったもの」であるべきだと思っています。そのため、人に無理やりやらせるようなことはしたがりません。自分の心地よさが大きく乱されない限り、わざわざ争うよりも、できるだけ穏やかに、楽しくやっていきたいと感じるタイプです。
ウィキソシオンの説明
第1機能 Si(SEI, SLI)
モデルAでの第1機能:先導機能
自分の体の中で起きていることに敏感で、「なぜこんな感じがするのか」をよく理解しているタイプです。そして、その体の感覚をもう一度感じようとしたり、逆にそうならないように工夫するのも得意です。こういう人たちは、自分が気持ちよく過ごせるような環境に自然と引き寄せられます。体の感覚を観察したり、思い出したり、じっくり考えるようなことをしているときには、その人の力や情熱がいちばんよく表れます。このタイプの大きな動機のひとつは、「不快な感じを避けること」です。たとえば、イライラする空気の中にいるとき、働きすぎて疲れ切っているとき、誰かに無理をさせられているとき、やらないといけないことが多すぎるとき、体の欲求が足りていないとき、あるいは逆に満たされすぎて落ち着かないときなど、そういったことが原因で内側にモヤモヤや不快感を感じることがあります。
第1機能にSiを持つタイプの人は、体や心にちょっとした不快さを感じたときでも、すぐに気がつきます。そして、それをうまく解消しようとしたり、不快の原因から離れようとしたりします。周りの人の不快さにも敏感なので、相手の緊張をやわらげたり、役に立つ提案をしたりするのが得意です。このタイプの人は、いつも自分を環境に合わせて自然に調整しています。ここでいう「環境」には、まわりにいる人も含まれます。「こうあるべき」といった決まった考えをあまり持たず、その場その場で柔軟に対応し、相手の求めることに応えようとします。そうすることで、「これが正しい気がする」と自然に思えて、迷わず動くことができます。ただし、こうした行動は「Niが弱い」ことの裏返しでもあります。なので、外から見ると「なんとなく思いつきで行動している」ように見えるかもしれません。
第2機能 Si(ESE, LSE)
モデルAでの第2機能:創造機能
彼らは、のんびりした遊びや楽しい時間を計画するのが得意です。みんなが安心して楽しめるように、うまく工夫することができます。ただし、いつもそうしているわけではありません。必要だと感じたときだけ、そうした行動をとるのです。第1機能がSiの人たちのように、「いつも穏やかで安定していること」を特に大事にしているわけではありません。それでも、彼らは人の好きなものや好みにとても敏感です。家族や友だちを喜ばせるために、何かしてあげるのが好きです。たとえば、「家の中を快適で、きれいで、広く保つこと」や、「相手が好きなことを楽しめるように、どこかへ連れて行ってあげること」、あるいは「趣味を深めるのに役立ちそうな人や機会を探してあげること」などが挙げられます。
第3機能 Si(IEI, ILI)
モデルAでの第3機能:役割機能
「リラックスしなさい」とか、「楽しんだほうがいい」と言われるのをあまり好みません。誰かにそういう活動を勧められるのも苦手です。「自分の体の声を聞いてみて」と言われても、そういうことに時間をかけるよりは、不安や迷いを乗り越えられるような、はっきりとした外からの要求がある方が動きやすいのです。
第4機能 Si(EIE, LIE)
モデルAでの第4機能:脆弱機能
第4機能にSiを持っている人は、自分がSiの影響を受けていることにあまり気づかず、それを軽く見てしまう傾向があります。Siに関係することは、自分にとってあまり大事ではないと思いやすいのです。そのため、目の前にある体の感覚や身の回りのことなど、「今この瞬間のこと」を後回しにしてしまいがちです。もっと遠くの目標や長期的な計画のほうが大事だと感じてしまうのです。このような傾向は、たとえば細かい美しさや整えられた見た目にあまり気を配らないという形でよく表れます。そうした美的なことに注意を払うのは、彼らにとっては果てしなく続くトレーニングのように感じられ、やる気が起きにくいのです。また、身近なものに対する注意力が弱いという形でも出てきます。たとえば、「物の置き場所に気づかない」「周囲に何があるかよく分からない」といったことです。あるいは、自分の身体の感覚に鈍くなることもあります。特に、何かを急いで対処する必要がないときは、こうした傾向がはっきり出やすいです。
この「Siへの関心の低さ」は、人によって表れ方が少し違います。たとえばLIEの人では、やはり見た目の細部への関心のなさが目立つことが多いです。一方でEIEの人では、書類の記入や署名、税金の申告など、細かい事務作業に強い抵抗感を持つことが多いです。いずれの場合でも、第4機能にSiを持つ人は、Siの関係することを「大して重要ではない」と見なしてしまう傾向があります。そのため、Siに関わる思わぬ問題や、ずっと無視してきた問題が後になって現れ、自分の進む道に思わぬ障害をもたらすことがあるのです。
第5機能 Si(ILE, IEE)
モデルAでの第5機能:暗示機能
自分の体にどんな感覚があるのか、どこかに違和感はないか、本当に必要としているものは何か――そういった身体のことを感じ取る力が、ほとんどいつも弱い状態です。たまに、自分でもよくわからないような、ちょっと変わった好みや欲求を持っていると感じることもありますが、それをうまく理解することも、自分で満たすことも難しいのです。人前で自分の見た目の美しさや性的な魅力をあえて見せびらかすことはほとんどありませんが、信頼できる友人やパートナーなど、ごく親しい人たちの中では、「魅力的な人だと思われたい」と願っています。また、そういった関係の中で、自分の見た目や性的な魅力をもっと高めたいという気持ちも持っています。
第6機能 Si(LII, EII)
モデルAでの第6機能:動員機能
誰かのために、あるいは自分のために、楽しくて気持ちのいい体験を作り出すのは、けっこう難しいことです。でも、その手前の話――たとえば「快楽」や「楽しさ」、「リラックスすること」について話すのは、わりと好きだったりします。というのも、「誰かがその話を聞いて、自分をうまく導いてくれたらいいな」と、どこかで期待しているからです。自分の中でイライラしたり、神経がピリピリしたりしやすいところがありますが、それを自分の力だけでうまくどうにかするのは苦手です。そのため、「どうしたらリラックスできるのか」「自分が本当に必要としているものは何なのか」「何を楽しいと感じるのか」「どうして神経質になっているのか」といったことを、一緒に整理してくれるような助けが必要です。Siの働き方に関しては、「自分を必要以上に厳しく制限する」とか「逆に甘やかしすぎる」といったように、バランスを崩して極端に走りやすい傾向があります。
第7機能 Si(SLE, SEE)
モデルAでの第7機能:無視機能
自分の体の状態や感覚をきちんと把握する力はありますが、それよりも外の世界で何かを体験したり、人と関わったりすることを大切にしています。「もっとやるべきことがあるのに、感覚のバランスばかり気にしている人を見ると、ちょっとイライラしてしまう」と感じることもあります。そういった「感覚を大事にする時間」は、自分のプライベートな時間にやるべきだという考え方です。人と関わる場では、まず感覚に集中するのではなく、人と話したり、協力したり、全体をうまく動かすことのほうに意識を向けるべきだと感じています。
第8機能 Si(LSI, ESI)
モデルAでの第8機能:実証機能
自分や他の人の体の調子、健康、美しさ、おいしいものやくつろげる環境などについて、「どんな影響があるのか」「どう感じるのか」を理解して、それなりにしっかり判断することができます。誰かにそれを聞かれたら、納得してもらえるように説明することもできます。ただし、「心が落ち着く」とか「リラックスする」といった話や、それについて深く語り合うことには、あまり重要性を感じていません。そういうのは、自分にとってはあくまで気晴らしや娯楽のようなもので、人生の中で特に大事だとは思っていないのです。Siに関することには全体として自信はありますが、それでも本気で取り組んだり、どっぷりハマったりすることはあまりありません。体調や健康を意識するときも、穏やかに体をいたわるようなSi的なやり方より、「厳しく制限する食事」や「きつめの運動」など、Se的なやり方を自分にも他人にも選びがちです。
価値機能の側面 by Dmitry Golihov
価値機能:モデルAの第1機能、第2機能、第5機能、第6機能のこと。別名「尊重する機能」
第1機能 Si(SEI, SLI)
日常生活の中で、気持ちいいことや心地よさをいつも探しています。たとえば、美味しい食べ物や座り心地のいい椅子、体の調子がいい感じなどです。こうした快適さに敏感なので、自分の好みにとてもこだわりがあります。「私は暖かいのが好きだから、寒いのが好きな人は変わってる」といった感じで、自分の感覚が基準になっています。健康についても、自分の感覚をとても信じていて、医者の言うことより、自分の考えを優先することもあります。基本的には健康でいることが多いですが、気持ちよさを求めすぎて、かえって体に悪いことをしてしまうこともあります。たとえば、タバコ、お酒、食べすぎなどがやめられず、やめようと思ってもなかなか難しいのです。それなのに、こういう好みには保守的で、変えることはあまり好きではありません。料理が好きな人であれば、すぐにコツをつかんで上手になります。しかし、誰かが作った変わった料理には、「これはちょっと…」と批判的になることもあります。また、快適に過ごすために必要なものを、いつでも手元に置いているタイプです。自分の体や健康のことを人に話すのも気にしません。病気の話や体の仕組みについて話すのが好きで、それを隠す必要はないと思っています。感覚的なことには保守的なので、その分慎重に行動する面もあります。自分のしぶとさや頼りがいには自信があり、何かを感じたときは、他の人の言うことを聞かず、自分のやり方でやろうとします。力や技術がいるような、ちょっとした工夫が必要な作業も、昔からのやり方を使ってサッとこなすことができます。しかも、そういう工夫を思いつくのも得意です。自分の体を動かすのがうまく、しなやかにコントロールできます。「自分がここにいる」と実感するために、常に何かを触ったり感じたりしていたいと思っています。たとえば、温かいカーペット、ふわふわの靴下、柔らかい子猫、手なぐさみに触るボールなど、そういった触感のあるものに囲まれていると落ち着きます。また、便利さがないことにはすぐ騒ぎますが、これは単に会話を盛り上げるためで、あまり真に受けなくても大丈夫です。
第2機能 Si(ESE, LSE)
彼らは「Si(内的感覚)」という創造機能を持ち、身体的な快適さや感覚的な楽しみを大切にしています。自分自身が何かを「創り出し」、他の人とシェアすることが好きです。例えば、料理が得意で、時にはとても独創的な料理を作ることもあります。彼らは新しい感覚に挑戦するのが好きで、珍しい食べ物やエキゾチックな料理を提案すると、周囲の人々に歓迎されることが多いです。また、マッサージが得意で、優れたセラピストになることもできます。身体的なケアにも力を入れ、大切な人のために快適で居心地の良い空間を作り出す方法を知っています。医療の分野でも創造的で優れた技術を持っており、場合によっては、経験がなくても積極的に手術をすることさえあります。彼らは他の人の身体を治療したり、健康を改善したり、美容に関する実験を行うのが好きです。また、味や香りといった感覚にも非常にこだわりがあります。驚くような味や香りを楽しみ、それを周囲の人とシェアすることがよくあります。例えば、「このベリー、食べてみて」「この花のような香り、どう?」といった具合に、身近な人に提案します。頼まれると、感覚的なリクエストを断ることが難しく、時にはそのリクエストがきっかけで、奇妙な感覚の世界に引き込まれることもあります。
第6機能 Si(LII, EII)
彼らの関心事は主に健康や有用性・有害性、信頼性に関連しています。この傾向は誰が見てもはっきりとわかります。まるで「歩く医療ガイド」のような存在で、病気になった時に何を飲むべきかなどの情報に詳しいことが多いです。こうしたことに対する関心は、彼らの自己評価に大きく影響しています。そのため、これらの問題に関しては遠慮せずに積極的に行動します(例えば、冬に水泳をしたり、トレーニングや朝のジョギング、健康促進のための特別な製品を摂取するなど)。また、自然療法や鍼灸、ヨガ、整体など、代替療法に興味を持つ人もいます。健康を良くするためなら、どんな方法にも興味を持つことがあります。自分の体調に少しでも危険を感じたら、非常に慎重に対処します。たとえば、寒くなったときにはすぐに暖かい服を着ようとするかもしれませんし、車の運転が速すぎると感じたら、スピードを落とすように言うこともあります。自分の幸福に悪影響を与える可能性があるものは、些細なことでも見逃さず、必ず注意を払います。たとえネジが少し緩んでいるだけでも、それが命に関わるかもしれないと考えて、しっかりと締め直すことを忘れません。どんな小さな理由でも、機械や設備を常にチェックします。
健康に問題があると、自分の評価が下がることがあります。もし積極的に防衛しようとすれば、体が健康だと証明するために、肉体的に厳しいことに挑戦しようとするかもしれません(例えば、コミュニティのイベントで、最初に重い家具を運ぶなど)。一方で、受動的に防衛する場合、自分から「私は年を取っていて病気だ」と言ってしまうこともあります。体の健康を確認するために、可能な限りすべての手段が優先されます。だからこそ、健康を示す方法として運動を好みます。彼らが最も恐れているのは、他の人の前で無力に病気で寝ている自分を見せることです。彼らは働いている組織の医療制度に信頼を持ちたがります。特に健康に関する場合、「有益な」という言葉に強く影響されることが多いです。また、社会保障や国の借金問題に対して関心を持っています。いざという時に自分を助けてくれる人がいないのではないかと心配しています。自分の健康が問題ないと確信するために、定期的に何かしらの方法で「自分にはまだ体力がある」と確認したがります。そのためにハイキングやロッククライミング、マラソン、トライアスロンに挑戦することもあります。これらのテストをクリアできれば、「自分の体調は良好だ」と自信を持つことができます。
第5機能 Si(ILE, IEE)
彼らは、暗示機能(第5機能)にSiを持っているため、身体的に快適な場所や変わらない環境を好み、自然とそこに引き寄せられます。そんな場所は、高価でも心地よければ良いと感じ、質の高い食事やマッサージを楽しむのが好きです。快適で居心地の良い場所を見つけると、その場所が街の反対側にあっても、距離を気にせずに食事を楽しみに出かけます。必要な設備が整っていない場所は避け、好みや習慣にこだわる人々だと言えます。例えば甘いものが好きなら、たくさんのお菓子を食べるかもしれません。また、他の人に何か言われると、その影響を受けやすく、体調が良いか悪いかをすぐに思い込んでしまうことがあります。時には、一番心地よかった場所の感じを自宅に再現しようとすることもあります。心地よさにすぐに慣れてしまいますが、それが後に弱点になることもあります。その快適さが無いと耐えられなくなってしまうのです。健康に関しては、専門家のアドバイスにすぐ影響されやすいです。例えば、「これは治療しなきゃ」と言われると、すぐにそれを信じてしまいます。時には、あまり信頼できない医者に騙されることもあります。また、食事や薬、睡眠などを忘れがちなので、思いやりのある親や配偶者のサポートがとても大切です。