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クアドラとは
ソシオニクスのタイプは、1番目の機能から8番目の機能までで構成されますが、これらの機能には、「強い」「弱い」といった軸(二分法)以外に、「好き」や「嫌い」といった軸も存在します。この「好き」「嫌い」の軸は、「尊重する」「控えめ」と呼ばれます。
そして、「クアドラ」というのは、この「好き」「嫌い(尊重する/控えめ)」が同じタイプのグループを指します。つまり、同じクアドラに属するタイプ同士は、似たような情報を好むということです。それぞれのクアドラが尊重する情報要素は、次の通りです:
- アルファ: Ne, Si, Fe, Ti
- ベータ: Ti, Fe, Ni, Se
- ガンマ: Te, Fi, Se, Ni
- デルタ: Te, Fi, Ne, Si
同じクアドラに属するメンバーは、考え方や価値観が似ているため、居心地が良く感じやすいです。このため、クアドラごとにグループの雰囲気やライフスタイルが異なり、他のグループとは異なるアプローチを取ることがあります。
また、個人だけでなく、国や時代にも支配的なクアドラ(その時代や国で支配的な価値観)があります。そして、時間が経過するにつれて、アルファ→ベータ→ガンマ→デルタの順番で移り変わっていくという考え方もあります(この考え方はグレンコなどによって提唱されています)。
アルファ・クアドラ(ILE、SEI、ESE、LII)
尊重する機能:Ne, Si, Fe, Ti
NeTiを尊重することから生じる性質
- 実用的なメリットではなく、知的刺激と楽しさを求めて、高度に理論的な概念について議論する傾向
- 論理的に一貫した信念や考え、個人の価値観に沿った行動を重視する傾向
- 通常、グループ活動という形で自分の考えを実行に移そうとする傾向
FeSiを尊重することから生じる性質
- 体感的に心地よい雰囲気の中で、ポジティブな情緒的表現が自由に行き交う集団に参加することを好む傾向
- いきなり要点に飛ぶのではなく、イベントが起こった順序に従って詳しく話そうとする傾向
- ささやかで実用的なサービスや贈り物を通して、他者への愛情を示す傾向
- 特別なイベント(ホリデーやパーティー、お祝い事など)のポジティブな雰囲気の中で活力を得る傾向
控え目な機能:Ni, Se, Fi, Te
SeFiが控え目であることから生じる性質
- グループ内での個人的な関係に関する不快な話題、特に対立に繋がるような話題を避けようとする傾向
- 他者の過去の過ちを赦す傾向
- 和解と陽気な雰囲気を優先する傾向
TeNiが控え目であることから生じる性質
- 大規模な長期的投資ではなく、確実性が高く小規模な短期的投資を好む傾向
- 人のアドバイスよりも、自分で経験し、学習することを好む傾向
- 知識をひけらかし、やたらとアドバイスしたがる人を嫌う傾向
性格イメージ
知的な刺激を楽しみ、理論的な議論を好む傾向があります。論理的な一貫性を大切にし、価値観に沿った行動を重視します。グループ内では、ユーモアを交えた軽い雰囲気の中でアイデアを交換し、楽しい交流を求めます。感情表現は明るく、感覚的な心地よさを大切にし、細やかな気配りや小さな贈り物で愛情を示します。対立や重い話題、長期的な責任は避け、気楽で率直な関係を好みます。ゲームやイベントでは楽しさを重視し、堅苦しい形式を嫌います。会話に他者を自然に引き込み、深刻さよりも日々の幸福を大切にする傾向があります。
グループ・社会の様子
アルファ・クアドラは、家庭内で協力し合い、役割を分担しながら生活するようなグループです。みんなが自分に合った仕事をして、無理なく生産していきます。このタイプのグループは、強い権力や大きな組織を持たず、指導者も長期的なものではなく、その時々に適切な人がリーダーになることが多いです。社会や組織を支える制度が発展していないことが特徴です。個人としての自由を大事にしながらも、周りの人とのつながりや絆も大切にします。特に家族との関係を重視し、愛情やサポートを交換しながら生きていきます。彼らは外部からの新しい情報にとてもオープンで、好奇心旺盛です。科学的な探求においても、専門的な道具や設備に頼ることなく、日常生活の中で自然に学んでいくことを重視します。そのため、深い理論や堅苦しい決まりごとよりも、実際に役立つ知識を大切にしています。全体として調和のとれた、協力的で温かい社会を目指しますが、競争心が少ないため、より大きな成長や拡張を求める力には欠ける部分もあります。
関連記事:アルファ・クアドラ(ILE, SEI, ESE, LII)
ベータ・クアドラ(SLE, IEI, EIE, LSI)
尊重する機能:Ti, Fe, Ni, Se
TiSeを尊重することから生じる性質
- 一貫したルールに従って階層構造やヒエラルキーが明確に定義されており、できるだけ曖昧な部分がない状況を好む傾向
- 代替案や可能性を分析するよりも、状況・人・物の現実的な特性を分析することに自信を持つ傾向
- 人が属しているグループを通して自分や他人を認識し、定義する傾向(貴族主義に由来する特徴)
- ケースバイケースで物事を進めるよりも、人、政治、メカニズム、トレンドなどを説明できるような一般的なルール(一度定義すれば一般化して適用できるルール)を探す傾向
- 分析的な戦術が重視される競争的な状況で、やる気がみなぎってくる傾向
FeNiを尊重することから生じる性質
- グループ全体が参加して共通の感情を生み出すようなグループ活動を好む傾向
- 自分と同じ信念を持ち、明確な熱意と情熱を表現する人がいると活力を得る傾向
- 明確な形で感情表現されることに価値を感じる傾向
- 他人の反応を得るために、「わかりやすい感情表現」をしようとする傾向
- 「詩的な言葉」「ドラマチックな言葉」によって、特別な意味を持つ個人的な見解を表明しようとする傾向
- 世界情勢、社会情勢の行く末に深い懸念を抱く傾向
- 無関心であることが、世界情勢、社会情勢を悪化させる原因だと考えて、それに立ち向かうために活動をする傾向
控え目な機能:Fi, Te, Si, Ne
NeFiが控え目であることから生じる性質
- 「個人の内面的な感情の経験に焦点があてられている話題」を楽しめない傾向(特にドラマチックさに欠ける「地味な方法」で説明されている場合)
- 他人の能力や性格が成長する可能性に対して懐疑的な傾向
- 自分の能力や性格の成長の可能性について、他人から言及されることを嫌う傾向
TeSiが控え目であることから生じる性質
- 「ビジョン」や「リーダーシップ」といったものを重視する一方で、「コツコツと細かい作業をすること」を軽視する傾向
- リラックスして個人的な活動を楽しむよりも、競争的なグループ活動を楽しむ傾向
性格イメージ
明確なルールや階層を好み、競争的な状況では分析的な戦術を使いこなす自信を持っています。現実的な観察力があり、一般的な法則を見つけてそれを実生活に応用することを大切にします。感情表現は劇的で情熱的であり、集団での一体感や共通の信念にエネルギーを感じます。社会問題や未来の方向性に強い関心を持ち、無関心な態度は嫌います。反対に、個人的な感情や細かい実務、穏やかな活動にはあまり関心がなく、大きなビジョンやリーダーシップを重視します。グループ内では支配的な雰囲気を作り、活発で大きな笑いを好みます。ロマンスでは、激しい感情のやり取りを求める傾向があります。
グループ・社会の様子
ベータ・クアドラは、強い集団意識を持ち、社会全体を支配する体制を重視する性質があります。つまり、個人よりもグループや国家の利益が優先され、集団の力を強化することが重要視されます。このため、リーダーが強い権限を持ち、秩序を維持するためには厳しい管理や規律が必要とされます。経済や社会の仕組みは、すべてのリソースを一箇所に集中させて効率的に運営し、危機的な状況ではこの集中型のシステムが効果を発揮します。また、ベータ・クアドラは、社会が急激に変化する時期に活発に活動することが多く、革命や戦争のような極端な状況では力を発揮します。特に、国民が一つにまとまるための強い指導力や規律を重視し、他の価値観や文化を受け入れることに対して反発を示すこともあります。これは、異なる民族やグループに対して強い国粋主義や統一を求める傾向があるためです。社会全体のために個人を犠牲にすることが理にかなっていると考えやすく、社会秩序を守るための集中的な管理と強いリーダーシップが特徴的です。
関連記事:ベータ・クアドラ(EIE, LSI, SLE, IEI)
ガンマ・クアドラ(SEE, ILI, LIE, ESI)
尊重する機能:Te, Fi, Se, Ni
TeNiを尊重することから生じる性質
- 効率や収益に関して長期的な視野を持ち、短期的なことよりも優先する傾向
- 自己だけの利益以上の大きな利益を求める傾向(この影響で自己犠牲的な傾向も生まれる)
- 現在のトレンドの方向性や、利益をもたらす可能性のある出来事や事業に関するトピックを好む傾向
- 事実の裏付けがあるアイデアやコンセプトを、より重視する傾向
SeFiを尊重することから生じる性質
- 倫理的な原則を破った人に対して罰を与えたり復讐する場合、強硬なアプローチを選ぶ傾向
- 親密な関係を築いた後の人間関係では、個人的な忠誠心を高く評価する傾向
- 人間関係について話す場合、現実的な視点で話すのを好む傾向(例えば「嫌な奴」が「素敵な人」になる可能性について、ガンマは懐疑的な立場をとる)
控え目な機能:Fe, Ti, Ne, Si
FeSiが控え目であることから生じる性質
- 楽しい感情的な交流に基づくグループを作ったり維持したりする傾向がない
- 何か共通の生産的な活動を行ったり、深刻な話題を話し合ったりするグループだけを真剣に受け止める傾向
- 「その場にいる人の気分を損ねないように対立を避けるのが最善だ」という考えには否定的で、意見の相違を解決したり、話し合ったりする際は直接的に話すのを好む傾向
- ホリデーなどの「特別な日」に関連した感情的雰囲気に関わるのが苦手な傾向
NeTiが控え目であることから生じる性質
- 実用性が薄いアイデアや、現実離れしたアイデアを分析しても意味がないと考える傾向
- 代替案や可能性を分析するよりも、現在の状況から起こりうる展開や、それがどのようにして生じたかを推測したり議論したりするのを好む傾向
性格イメージ
長期的な視点で効率や利益を重視し、現実的で自己犠牲を厭わない性格です。事実に基づいたアイデアを大切にし、将来のトレンドや成果について話し合うのが好きです。倫理観が強く、裏切りには厳しく、信頼関係を築いた相手には深い忠誠心を示します。感情的な集団活動や表面的な楽しさよりも、少人数での真剣な話や生産的な交流を好みます。対立を避けることなく、直接的に意見を述べ、曖昧な表現よりも明確な言葉を重視します。ロマンスでは、儀式的な恋愛よりも実質的な絆を重んじ、情熱的で激しいやり取りを好みます。
グループ・社会の様子
個人の自由と私有財産を重視します。国家の関与は最低限に抑えられ、市場経済が中心となります。政治体制は分権的で、自治の範囲が広く、民主的な選挙が行われます。経済は自由競争を基盤とし、低税率と開放的な市場が特徴です。個人主義が強調され、自己利益を追求することが当然視されます。価値観の多様性が認められ、伝統的な道徳や社会規範、必ずしも絶対のものとはされません。消費社会が成熟すると、経済成長の鈍化や社会的格差の拡大が問題となりますが、社会の流動性と競争を通じて社会の活力は維持されます。
関連記事:ガンマ・クアドラ(SEE, ILI, LIE, ESI)
デルタ・クアドラ(IEE, SLI, LSE, EII)
尊重する機能:Te, Fi, Ne, Si
TeSiを尊重することから生じる性質
- 自分たちの行動の根拠について話し合い、様々な方法の生産性や非生産性を強調することに重点を置く傾向(個人的な関係のような感情的な領域を含む)。
- 何かの役に立ちながら、同時に自分の内面の世界のバランスをとることができるような、平和で心身が爽やかになるような活動を好む傾向
- 目標を達成するためには、「運・憶測・グループの努力・強力なリーダーシップ」ではなく「自分の勤勉さ」に頼らなくてはならないという哲学を持つ傾向
NeFiを尊重することから生じる性質
- 個人的な経験や、その経験に関する自分の感情を、芝居じみておらず、洞察に満ちた方法で共有するのを好む傾向
- 新しい始まり、自己成長の機会、将来の計画や見通しといったトピックについて話すのを好む傾向
控え目な機能:Fe, Ti, Se, Ni
FeNiが控え目であることから生じる性質
- 自分の深い情熱やビジョンを表に出すことはほとんどなく、その代わりに、自分が何をしたいのか、なぜしたいのかについて、より中立的な言葉で話すことを好む傾向
- ドラマチックな演出や感情移入を拒み、辛辣なユーモアや控えめな表現を好む傾向
- 楽しい感情的な交流に基づくグループを作ったり維持したりする傾向がない
- 何か共通の生産的な活動を行ったり、安らげるような活動を行うグループだけを真剣に受け止める傾向
- 自分の内面を表現する際に詩的な言葉で表現することを嫌い、自分が感じたこと・身体的な感覚をシンプルに話そうとする傾向
SeTiが控え目であることから生じる性質
- 無理強いされたり、威嚇してくるような敵に接したり、厳しい躾を受けたりするようなプレッシャーのかかる状況にいると、すぐ消耗してしまうので、平和で居心地のいい環境を探そうとする傾向が強い
性格イメージ
実践的で穏やかな性格が特徴です。行動が合理的で、生産的な活動や心地よい休息を好みます。自分の努力で目標を達成し、運や強引なリーダーシップに頼ることはありません。個人的な経験や感情を穏やかに共有し、常に新しい可能性や成長に目を向けます。情熱的な表現や高圧的な状況は苦手で、平和で歓迎的な環境を好みます。グループでは、各人の興味を尊重し、無理に一体感を作り出すことを避けます。ロマンスでは派手さよりも快適さと実用性を重視し、一緒に楽しい時間を過ごす関係を理想としています。
グループ・社会の様子
デルタクアドラは、地域ごとの自立した運営を重視します。中央政府がすべてを管理するのではなく、各地域が自分たちの問題を解決できるようにすることが重要です。社会的な所有権は特定の個人や国家に独占されるのではなく、地域や共同体で共有され、土地や資源も分け合いながら共同で管理されます。地域ごとに特性を活かした運営が求められ、中央の一律な決定ではなく、各地域が自分たちの文化や状況に合わせた方法で発展していくことが重視されます。また、デルタクアドラでは実力主義が重要視され、リーダーは経験や能力に基づいて選ばれます。小さな集団や協力の重要性も強調され、個々のメンバーが密接に協力し合い、効率的に仕事を進めます。理論やルールよりも、個々の感覚や価値観が尊重され、道徳や倫理観が重要な指針となります。最終的に、デルタクアドラは調和の取れた社会を目指します。争いや対立を避け、個人の自由を大切にしつつ、お互いを尊重し、平和に共存することが重要視されます。