外向的直観 Ne
外向的直観は、外向・非合理・静的という性質を持つ情報要素です。
「外向的直観」と書く代わりに、「Ne」「I」「可能性の直観」「黒の直観」と表記されることもあります。
Neは一般的に下記と関連しています。
- 可能性を認識する能力。今はまだ形になっていないことの中から、「こんなこともできるかもしれない」と未来の可能性を見つけ出す力です。
- 新しい機会や新しい始まりを生み出す能力。これまでになかった選択肢やチャンスを思いつき、新しいスタートを作り出す力です。
- 他者の才能や、生まれ持った性質を認識する能力。相手の得意なことや、その人らしい個性を見抜く力です。
- 異なる視点や見解を調整する能力。人それぞれの考え方の違いを理解し、それらをうまく組み合わせたり、間をとったりする力です。
- アイデアを素早く生み出す能力。ひらめきが速く、考えを次々に思いつく力です。
「尊重する機能(モデルAの第1機能、第2機能、第5機能、第6機能)」がNeである場合(具体的にはILE, SEI, ESE, LII, IEE, SLI, LSE, EIIの場合)、失敗するかもしれない可能性を全て考慮するのに時間をかけるよりも、チャンスを試してみるという選択をとることが多いです。うまくいかない可能性をすべて検討するよりも、まず試してみることを好みます。彼らは複数の選択肢を選んでそれらに取り組みますが、これは一つの選択肢を選んでなお疑い続ける内向直観(Ni)タイプとは対照的です。つまり、Neタイプの人々は、「これとこれが良さそうだ」と複数の道を模索し、一度決めるとあまり迷わず進みます。反対に、Niタイプの人は一つの選択肢を選ぶ傾向がありますが、その後も「これでよかったのか」と繰り返し考え続ける傾向があります。
Neタイプの人々は、世界の本質に関わる物珍しい洞察や、宇宙エレベーターのようなクレイジーなアイデアについて議論するのが好きです。彼らは、普通はあまり話題にのぼらないような、世界の仕組みに関するユニークな考えや、例えば「宇宙エレベーター」のような突飛なアイデアについて話すのが好きです。Neクアドラ(アルファ・クアドラとデルタ・クアドラ)のユーモアは、一見すると無関係の現象を対比させます。Neクアドラ(アルファ・クアドラとデルタ・クアドラ)に属する人々のユーモアは、ぱっと見では関係がなさそうに見える物事を並べて、その違いを面白く見せるような笑い方として表現されます。
ウィキソシオンの説明
第1機能 Ne(ILE, IEE)
モデルAでの第1機能:先導機能
他の人の「知りたい」という気持ちや興味をうまく引き出したり、それを利用して行動を起こさせるのが得意です。異なる場面や知識、技術、人とのあいだにある共通点を見つけるのが早く、自然にそれができます。また、自分と違う分野の知識や、さまざまな社会的背景をもつ人たちと関わることを好むため、いくつもの活動や人間関係に同時に関わることができます。さまざまな視点や考え方にふれ、それらをうまく組み合わせたり、折り合いをつけたりすることに面白さを感じます。新しい企画を始めることや、新しいスキルを学ぶこと、新しく出会った人たちと関係を築くことなど、「何かが始まるとき」に特に強く惹かれます。「新しいことを始める」という行為には大きな魅力を感じますが、「前にやったことをもう一度やる」とか、「一度始めたことを最後まで仕上げる」といった作業には、あまり気持ちが向きません。そうした意味で、「物事をきちんと完成させる」という感覚からは、少し距離のある人たちだと言えるかもしれません。何かが自分の手に負えなくなったときや、長く放置していたことに気づいたときには、それをきちんと片付けたり、責任を持って最後までやり遂げるよりも、そのまま放り出してしまうことがあります。こうした傾向は、内向感覚(Si)が暗示機能、つまり第5機能の位置にあることと関係しているのかもしれません。
第2機能 Ne(LII, EII)
モデルAでの第2機能:創造機能
自分が気づいたことや考えたことを、現実のある場面にあてはめて考えるのが好きです。そして、それを全体の流れや大きな意味とつなげて理解しようとします。「今どうなっているか」よりも、「どうなれるか」「もっと良くするにはどうすればいいか」といった話をするのが好きです。理想的な未来について話すことにわくわくします。そのため、第2機能にNeを持つ人は、まわりの人に対してつい高すぎる期待をしてしまうことがあります。ときには、現実的ではないほどの要求をしてしまうこともあります。新しいアイデアやチャンスを、自分の楽しみのために集めるのではなく、自分にとって大切だと感じる問題や課題の解決に役立てようとします。
第3機能 Ne(SLE, SEE)
モデルAでの第3機能:役割機能
SLEやSEEのタイプは、他人の動機や考え、実際の能力をうまくつかむのが得意ではありません。相手が何を考えているのか、どんな力を持っているのかを見極めるために、はっきりとした課題や試練のようなものを与えて、その反応を見ることがあります。つまり、相手を試すことで本当の姿を知ろうとする傾向があります。また、思いもよらない行動や、見慣れない状況、あるいは自分が体験していない話を聞いたときには、疑いの気持ちや不信感がすぐに表に出やすいところがあります。「そんなこと本当にあるの?」というように、簡単には受け入れません。しかし、自分で実際に体験してみたり、時間をかけて慣れていくことで、そうした疑いは少しずつやわらいでいきます。新しいことに慣れるには、まず自分で動いて確かめてみる必要があるのです。Neを第3機能に持つ人たちは、物事や状況に自分で直接取り組むことができれば、比較的すぐに適応できます。しかし、まだ自分の身に起こっていない段階で先に説明されたり、「今すぐ必要ではないけれど、覚えておくといいかもしれない情報」として伝えられたときには、その情報をどう扱えばいいのか迷ってしまいます。実感がともなわないと、反応のしようがないのです。こうした人たちは、「いつかどこかで役立つかもしれない一般的な話」よりも、「もうすぐ、自分の関わっている分野で具体的に起きそうなこと」の方に強い関心を持ちます。つまり、現実に近い未来の出来事を重視します。また、理由がよくわからないまま遅れてきたり、急に突飛な方法で動く人がいると、強い怒りを感じることがあります。そうした予測できない行動に出会うと、自分の足場が崩れたように感じ、不安が強まるのです。日々の行動や結果を大切にしている彼らにとっては、これはとても耐えがたいことです。
第4機能 Ne(LSI, ESI)
モデルAでの第4機能:脆弱機能
よく分からない方向に進んでいく可能性のあるアイデアやチャンスには、慎重というよりむしろ疑いの目を向けがちです。特に、新しい技術や発想については、それによって具体的にどんな利益が得られるのかがはっきりしていないと、前向きになれません。結果が不安定だったり、大きな変化を引き起こしたり、あるいは変化そのものが必要ないと感じられるようなアイデアには、あまり関心を持ちません。それよりも、すでにある問題をうまく解決できそうな現実的なアイデアや、新しい技術のほうに価値を見出します。LSIやESIは、誰かについて「この人はこの分野に向いていない」と感じた場合、その人がその分野で活動を続けるのをやめさせようとすることがあります。しかし皮肉なことに、彼らは人の才能を見抜くのが得意とは言えず、ときどき判断を誤ります。彼らはたいてい、自分とは違う考え方を理解しようとはせず、自分の見方だけを深く掘り下げようとする傾向があります。また、自分の考えや発想を人に伝えて興味を持ってもらうことがあまり得意ではありません。それがどんなに価値のあるアイデアだったとしても、です。また、何か新しいことに挑戦しようとしていたり、まだ得意ではない分野でスキルを伸ばそうとしている人の「将来的な可能性」を評価しようとする人を嫌う傾向があります。とくに、そうした評価の対象が自分自身であるときには、強い反感を抱くこともあります。自分の可能性については、基本的には疑い深いほうです。ただし逆に、特定の分野については根拠のない自信を持ってしまい、実際以上に自分を高く評価してしまうような極端さも見られます。
第5機能 Ne(SEI, SLI)
モデルAでの第5機能:暗示機能
「常に新しいものを求め、物やお金にこだわらない生き方をしている人」に対して、強い尊敬や憧れを感じやすいです。また、自分の可能性を信じてくれたり、自分にしかない力や感性を認めてくれる人には、特別な親しみを感じやすいです。自分の才能や特別な経験を目立たせようとすることはあまりありません。それよりも、自分に共感してもらえるように、あえて「ごく普通の人」のようにふるまうことを選ぶことが多いです。ただし、親しい関係の中では、自分が持っている独自の面をもっと素直に表に出せるようになります。自分の特別な力や個性に対してはとても敏感です。ただし、それを見せることで人ともっと近づけると思うよりも、逆に距離を取られてしまうのではないかと心配する傾向があります。こうした人は、「自分だけの個性が、仲の良いグループの中でちゃんと受け入れられて、応援されるようになったらいいな」と強く願っています。ただ、それと同時に、「念のために」あまり親しくない集まりや大きなグループの中では、自分の個性や才能を目立たせないように気をつけています。また、「自分にはどんな特別な力があるのか」を自分自身で見つけるのは難しいと感じています。そのため、自分の将来についてはっきりとした目標を決めたり、長い目で見たキャリアの計画を立てることを後回しにしがちです。
第6機能 Ne(ESE, LSE)
モデルAでの第6機能:動員機能
「新しい発想や豊かな想像力を持ち、世界のさまざまな出来事とつながっているような感覚を与えてくれる人」に対して、私は深く敬意を抱きます。それがすぐに役立つものではなくても、その広がりや視点の豊かさに価値を感じるのです。さらに、自分が今している仕事や経験していることについて、思いがけない視点や、型にはまらない考え方で意味を深めてくれる人には、特に感謝の気持ちを覚えます。
第7機能 Ne(IEI, ILI)
モデルAでの第7機能:無視機能
異なる分野の知識や経験の間にある「表面的なつながり」を見つけることもできますが、そうした目に見える関係よりも、「何か特別な意味があるような、神秘的で奥に隠された本質的なつながり」に意識が向きやすい傾向があります。表には現れにくいけれど深い意味を持つ関係を見つけ出すことに関心を持ちます。また、物事や状況が「どんなふうに発展していきそうか」といった可能性を自然に感じ取ることはできますが、その可能性を生み出している「裏側の流れや仕組み」のほうに強い関心を持ちます。そして、未来の可能性をあれこれ考えすぎてしまわないように、自分でブレーキをかけることもあります。
第8機能 Ne(EIE, LIE)
モデルAでの第8機能:実証機能
いろいろなアイデアをすぐに思いつくことはできますが、そうしたアイデアについて深く考えることはあまりありません。自分にとって、それはただの気晴らしのようなもので、本気で取り組むほどの価値があるとは思っていないのです。自分の中にある想像力やイメージは、それを使って何かを実現しようとしているテーマに集中させる方が自然だと感じます。まったく関係のないことについてあれこれ考えるよりも、その方がしっくりくるのです。
価値機能の側面 by Dmitry Golihov
価値機能:モデルAの第1機能、第2機能、第5機能、第6機能のこと。別名「尊重する機能」
第1機能 Ne(ILE, IEE)
彼ら(ILEやIEE)は、外の世界にどんな可能性があるかを感じ取りながら生きており、現実世界の全体的な雰囲気や流れに強く影響されます。彼らにとって「この世界は素晴らしくて、数ある中でも最高の場所だ」と感じられることが大切です。しかし、そうした理想的な感覚が乱されると、強い不快感や反発を示すことがあります。例えば、家の修理や日常的なメンテナンスのような、現実的で煩わしい問題に直面すると、ILEやIEEはイライラしたり、不満を感じやすくなります。また、彼らと話し合いをしたり、物事の条件を細かく決めたりするのは、時に難しく感じられるかもしれません。それは、彼らが日々の出来事に柔軟に対応しようとする傾向が強く、常に「他にも方法があるかもしれない」と考えているからです。例えば、会議の開始時間や場所を正確に決めようとしても、思ったようにはいかないかもしれません。彼らはこう言うかもしれません。「まずはAという場所に寄ってから、Bに行って、それから会議に向かうつもりです。その途中の予定が予定通りに終われば、だいたい〇時ごろには会議会場の近くには着けると思います」。このように、計画よりも流れや状況を優先する姿勢が、彼らの特徴の一つです。
彼らにとって、「時間」や「場所」は決して動かせない絶対的なものではありません。物事はすべてざっくりとした枠組みの中で動いているという感覚が強く、「会議のために、決まった時間に、決まった場所にいなければならない」という考えにはあまり納得できません。というのも、そうやって自分を何かにきっちり合わせることは、「世界全体が持っている美しさやバランス」を壊してしまうように感じるからです。例えば「どうせ遅れてるんだから、ついでにゴミ出しもお願い」といった頼み方をされると、彼らは強い違和感を覚えます。彼らの中では、「仕事に遅れるかもしれない」ということは最初からある程度想定済みであり、それもまた自然な流れの一部として受け入れられています。しかし、「ゴミ出しによってさらに遅れる」という状況は、彼らが頭の中で保っている「世界の整ったイメージ」にはそぐわず、突然入り込んできた異物のように感じられるのです。
このタイプの人たちは、外の世界について独特の見方を持っており、それに基づいて日々を過ごしています。その世界観は、他人の意見によって簡単に変わるようなものではなく、自分なりに築いた安定した考えに強く根ざしています。彼らはどこか風変わりで、個性的な印象を与えることがよくあります。次の瞬間にどんな発想が飛び出してくるのか、周囲の人には予想がつきません。そして、彼らの行動の中心には「すべては移り変わっていくものだ」という感覚があります。これは彼らにとってとても大事な考え方で、常に意識しているポイントです。そのため、自分の突発的なアイデアの流れに対して批判的な態度を取られると、わざわざ言い返すのが億劫に感じることもあります。そうなると、つい自分に理解を示してくれる人や、好意的に接してくれる人たちの中に身を置こうとする傾向があります。
たとえその人自身に非がなかったとしても、人と衝突したり、騒動を引き起こしたりする人には、苛立ちを覚えることがあります。というのも、そういったトラブルは「世界のバランス」を乱し、自分の思考の流れをかき乱す原因になるからです。彼らは、人の役に立つこと自体は好きです。けれども、他人のために何か新しいことを始めるよう求められると、それには抵抗を感じます。なぜなら、そういった行動もまた、自分が大切にしている「外の世界との調和」を崩すものとして受け止められるからです。
第2機能 Ne(LII, EII)
彼らの人生の目的は、周囲の世界をよりよく整え、調和のとれた状態に導くことにあります。社会や環境を、部分ではなく「全体」としてよいものにしていくことを目指しています。そのため、そうした調和を壊そうとする人や行動に対しては、非常に厳しく反応することがあります。彼らは、変化のチャンスが訪れたときに素早く対応するのが得意です。ひらめきや機転を活かして、状況に応じた判断や行動をとることができます。そして、この柔軟でクリエイティブな対応力を活かしながら、目の前の問題に積極的に取り組みます。彼らは、どんな場所にいても、どんな状況に対しても、「もっとよくできる部分があるのではないか」と自然に考えます。物事を一度バラバラにして、そこからより整った、より進化した形に組み立て直すことができる力を持っています。彼らは、人類全体の幸福のために新しいアイデアを生み出すことがよくあります。混乱していたり、壊れかけていたりする場所に目を向けて、「どうすればそれを直せるか」を考えます。人々が抱える難しい問題をわかりやすく説明する工夫や、対立している人たちの間をうまく調整する方法を知っています。誰かのために、手を加えて物事を完成させる力もあります。そうした点で、彼らには新しい価値を生み出す「イノベーター」としての素質があります。ただし時には、無意識のうちに「これ以上はやっても意味がなさそうだ」と感じてしまい、途中で手を止めてしまうこともあります。その結果として、物事を最後までやりきらずに放置してしまう場合もあります。
Neを創造機能に持つLIIやEIIにとって、「完璧な世界」とは、すでに完成された静かな世界ではありません。むしろ、常に何かを改善しなければならない、複雑で対立の多い世界のことを意味しています。そうした中で彼らは、どうすれば外の世界に調和や一体感をもたらせるかを考えます。その手段として、しばしば芸術に目を向けることがあります。芸術的な活動を通じて、場所や人のあいだに穏やかで調和のとれた空気を生み出すことができるのです。彼らは、自分の理想にかなう人たちで満ちた、理想的な社会を思い描き、そのような世界を作り上げようとします。いわば、彼らはそうした理想世界を語り、かたちにしていく「ストーリーテラー(語り手)」なのです。しかし、現実の人間は必ずしも彼らの理想どおりには振る舞いません。そうしたギャップに直面したとき、彼らは自分の理想に合うように他者を変えようとすることがあります。その際には、ときにきっぱりとした態度で人に接することもあります。LIIやEIIは、人に何かを教えたり、良い方向に導いたりすることに喜びを感じます。例えば、誰かが道にゴミを捨てたとしましょう。その人が明らかに危険人物で、普通なら注意しにくい状況であっても、彼らはそれでも注意してしまうかもしれません。なぜなら、それが彼らにとっての「創造」――つまり、自分の理想や価値観を外の世界に表現する一つの形だからです。
第6機能 Ne(ESE, LSE)
何か大事なことを見逃してしまうのではないか、まわりの変化についていけなくなるのではないか——彼らはそんな不安を強く感じています。だからこそ、表向きには前に進んでいるように見えても、実は「今の場所」にとどまり続けようとしているのです。自分の価値を感じられるかどうかは、まわりの環境がうまくまとまっているかどうかに左右されます。もしそのバランスが崩れると、大きく動揺してしまいます。例えば家族の間で喧嘩が起きたとき、その喧嘩にもっともな理由があったとしても、あるいは喧嘩を通じて関係が深まる可能性があったとしても、彼らはなんとかして衝突をなかったことにしようとします。そして、全員が仲直りできるように必死になります。まわりの関係性や状況のバランスが壊れないようにするためなら、どれほど疲れていても、無理をしてその人間関係にしがみつこうとします。ときには、自分自身の気持ちや限界を完全に後回しにしてしまうこともあります。例えば、隣に住む人がガーデニングを始めたと知ると、自分もすぐにガーデニングを始めたくなります。話題の映画が公開されたら、とにかく観に行こうとします。新しいものを逃したくない、時代に取り残されたくない——そんな思いから、常に流行や最新の情報を追いかけようとします。その「外の世界の全体性」を追い続ける姿は、終わりのないマラソンのようです。自然の中で過ごすのが好きなのは、そこが落ち着いていて、全体がうまく調和していると感じられるからです。反対に、まわりで矛盾が起きていたり、何が起きるかわからないような不安定な状況は苦手です。そういうときには、できるだけ物事をはっきりさせようとします。そして、どんなに難しくても、自分の生活が今のまま変わらずに続くようにと願い、それを保とうとします。
能動的防衛が働いているとき、彼らは「今の自分をより良くし、時代に合った形に変えていく」ように努めます。この働きによって、「とりあえず今は、これ以上変わらなくても大丈夫」「外の世界の変化に追いつけた」と感じられるようになります。つまり、「変化のスピードに置いていかれないようにする」という問題は、一時的にではあれ、解決されたように思えるのです。それに対して受動的防衛では、「どれだけ頑張っても、変化についていくことはできない」と受け止め、流れに身を任せようとします。「人生の流れから取り残されてしまった」「理想とする生き方なんて実現できない」と感じるようになるのです。ホリデーや伝統行事のような決まった習慣を好むことが多く、その点で彼らは社会の安定にも貢献していると言えるでしょう。彼らは「他の人と同じようでいたい」「周りの人と同じようなものを持ちたい」と望みます。また、自分の中にある理想を、現実のかたちにしようと努力します。例えば、おとぎ話に出てくるような完璧で幸福な世界を、現実の中で再現しようとするのです。そして「そんな理想は実現できない」と思ってしまうことは、自分の価値観を深く傷つけることにつながるため、そうならないように、幸せな結末を描く映画やおとぎ話のようなものを信じて、そこに「完全な世界」を見出そうとします。そのため、吉兆や凶兆、星占い、タロットカードなどに強い関心を持ち、宗教的な考え方を取り入れることもあります。理想の世界をつくり出すために役立ちそうなものなら、どんなものでも興味を示します。彼らにとっては、魔法のような理想の世界は、「魔法のようなやり方」でしかつくれないと感じられるのです。
第5機能 Ne(SEI, SLI)
外の世界が安定していて、物事がスムーズに進み、周囲に明るく前向きな雰囲気があるような場所を心地よく感じます。反対に、そういった安定や調和が感じられない場所は、できるだけ避けようとします。日々の生活や仕事のやり方も、このような考え方に基づいて作られていきます。また、大きな可能性を感じさせるような新しいアイデアに魅力を感じやすく、時には、自分では思いつかないようなユニークで創造的な提案に関わることもあります。このタイプの人は、周囲の空気や人間関係のバランスに敏感で、突然の変化や中断があると落ち着かなくなります。そうしたときに、状況をなんとか変えようとするのではなく、より安定して穏やかな場所へと静かに移っていく傾向があります。彼らにとっての「調和」とは、ただ人と仲良くするというだけではなく、「自分がその場の中心にいて、まわりが自分に合わせて動いているように感じられる状態」を意味していることが多いです。ホリデーシーズンや祭りといったイベントが好きで、そうした特別な場に参加することを楽しみます。そうした行事では、周囲との調和が感じられたり、祝いや楽しさに満ちた雰囲気を味わえるからです。このタイプの人は、多くの場合、自分が子どもだったころの空気感や思い出を心の中に深く残しています。そして、そのとき感じていた温かさや安心感を、大人になってからも繰り返し再現しようとします。一般的に、子どもの頃の体験に強い愛着を持っていて、あの時代にもう一度戻れたらいいのに、と感じることが多いようです。
才能のある人たち、例えば芸術家や音楽家、詩人などに強く惹かれる傾向があります。そうした人たちと関わりを持てるチャンスがあれば、お金を惜しまず支援することもありますし、自分の家に招いて楽しい時間を過ごしてもらおうとすることもあります。彼らには、「未来はきっとうまくいく」と信じて前向きに行動できるような人がそばに必要です。逆に、先のことが見えず、どうなるか分からないような状況にはとても不安を感じます。そのため、「こうすれば大丈夫」「こっちに進むといい」と、未来の方向性を示してくれる人を、簡単に信頼してしまうことがあります。彼らは、物事がきちんと順を追って進んでいくことを好みます。例えば、ある目標に向かって「まずこれをして、それが終わったら次にこれをする」といったように、段階的に進んでいける状態が安心できるのです。こうした連続性が突然崩れると、どうしていいか分からなくなって、立ちすくんでしまうこともあります。だからこそ、予定外のことが起きないように事前に準備をして、リスクに備えようとします。理想的な環境は、全体の流れやスケジュールがはっきりしていて、誰が見ても「普通はこうする」と思えるような道筋が用意されている場所です。突発的で予想外な出来事が起こらず、決められた流れに沿って物事が進んでいく、そんな「整った世界」が心地よいのです。例えば、「(1) 大学に入る、(2) このコースを受ける、(3) 4年で卒業する」といった明確な行動のステップがあるような環境です。ただし、そういった決められたスケジュールや習慣に慣れてしまうと、他の選択肢が見えなくなってしまうことがあります。その結果、自分で自由に道を選ぶことが難しくなる場合もあります。とはいえ、もし「もっと明るい未来がある」と確信できるような、より整った新しいスケジュールが見つかると、思い切ってそちらに切り替えることもあります。