※より簡単な説明はこちら:「情報要素(by Irina Eglit)」
はじめに
情報要素(Information elements、IM要素、情報代謝要素、または紛らわしいですが「機能」ともいいます)とは、対人相互作用において重要な役割を果たす8つの精神的カテゴリーです。情報アスペクト(情報の側面)と同じ記号、同じ名前で表記します。
情報要素と情報アスペクト(情報の側面)の違いは、情報要素が精神の主観的な性質を意味するのに対し、情報アスペクトは精神から独立した現実の客観的な性質を意味するという点です。
情報要素の表記
情報要素 | |||
---|---|---|---|
名前 | 記号 | 2文字 | 1文字 |
内向的感覚 | Si | S | |
外向的直観 | Ne | I | |
内向的論理 | Ti | L | |
外向的倫理 | Fe | E | |
内向的直観 | Ni | T | |
外向的感覚 | Se | F | |
内向的倫理 | Fi | R | |
外向的論理 | Te | P |
情報要素のテーマ
Si 内向的感覚: ホメオスタシス、連続性、滑らかさ、フロー、満足、審美性、クオリティ・オブ・ライフ、喜び、リラクゼーション、便利さ、品質
Ne 外向的直観: 可能性、並べ換え、異種同形、類似性、本質、不確実性、未知、新しい「窓」を開いて会話に新しい可能性をもたらす、機会、チャンス、先駆け、閃き、興味と関与の多様性
Ti 内向的論理: 構造、分析、首尾一貫性、説得力、一致、整合性、理解、秩序、秩序の欠如
Fe 外向的倫理: 感情的雰囲気、ロマンチシズム、協調性、人の扱い方(待遇)、行動の質的判断、共感、観察可能な行動の倫理的評価、「行動の倫理性」
Ni 内向的直観: 時間経過による発展、歴史性、原因と結果、繰り返し、元型的なテーマと例、歴史または過去の原因を探す、イベントのダイナミクスからの過去-未来予測、リズム、行動を遅らせること、すぐに行動すること、過去から想像する力
Se 外向的感覚: 物体の静的性質をリアルタイムに感知すること、現実をリアルタイムに感知すること、外見、質感、形、静的な物体、衝撃、直接的な物理的効果、スパン、程度、範囲
Fi 内向的倫理: 内的な調和、個人的な感情の共鳴や不協和、共鳴、不協和、同情、哀れみ、支持、非難、判断、ポジティブな感情空間、ネガティブな感情空間
Te 外向的論理: 効率、方法、メカニズム、知識、仕事、活動理由、最も論理的な行動方針の活動への方向性、「行動の論理」、功利主義、便宜性、利益
精神状態
人はある要素を「使っている」とき、自然にそれに対応した精神状態になり、それがボディランゲージやボキャブラリーに反映され、また、周囲の人にも同様の影響を与える傾向があります。周囲の人は、その要素がモデルAのどの機能を占めているかによって、興味(自我)、娯楽(超イド)、退屈(イド)、イライラ(超自我)といった反応をします。
- Ne
: 現状から可能性を見出す、様々な可能性を議論に持ち込む、組み替え遊び、置換、バリエーション、代替案、解決策(時にはありそうもない、あるいはばかげているように見える選択肢を含む)、革新的で、新鮮な刺激に満ちた会話。
- Ti
:分析的な精神状態。思考の明確さと正確さ、さまざまなレベルの構造の一貫性、秩序、規則性の感覚。 「デバッグ」:システム全体を見て、無意味な欠陥や間違いを見つけること、単純でよく理解された部分から独自のシステムを構築すること。
- Fe
: 周囲の環境や他人の行動・選択のダイナミクスから、気分や態度を判断し、「感情の雰囲気」を察知すること。現在観察可能な他者の反応や行動から、他者の感情や態度を分析し評価すること、自分の感情や経験を率直に表現すること、言葉やジェスチャーの表現的な組み合わせによって、感情的・社会的空間に影響を与えること。
- Ni
: 長期的な内省的精神状態、「時間切れ」や、手遅れになりそうな活動の埋め合わせ、過去の出来事を記憶から一般化し抽象化すること、また、これらの一般化を用いてこれから起こることを確認し、過去を振り返って現時点で何ができるかを評価し、最も可能性の高い一連の出来事を予測すること。無為自然の境地の忍耐力。
- Se
: 自分の周りの空間や具体的な環境を認識し、外部を観察する精神状態、「現実の感知」、「リアルな『今』の認識」、手で触ることが出来るほど近くのものも、遠く離れているものも、自分の周りの物事はなんであれ意識することができる動員状態、空間的な意味で物や人を動かす目的で力を及ぼすこと、空間以外の影響を受けずに人や物を知覚すること。
情報要素の二分法
情報アスペクトには3つの基本的な二分法があります。したがってそこから派生する二分法には4種類あります [1]。
静的/動的および外向性/内向性(別名:物体/領域)の二分法はソシオニクスの最初の開発者であるAushra Augustaに由来するものです。
外面/内面もソシオニクスの初期から提唱されている二分法ですが、これは別の著者によって提唱された二分法です。しかしこの外面/内面という二分法は、意味のない内容であると一部の専門家から批判されています。
合理/非合理という二分法は、ユングの類型論に由来します。
二分法リスト
静的/動的
- 静的な「スナップショット」
- 関連性のないエピソード
- 一定に動き続ける物体と領域
外向/内向
- 見た目上の性質と因果関係
- 内在的な性質
- ある物事と別の物事の間にある内的な関係性
外面/内面
- 明示的で直接的な現実の内容
- 暗黙的で間接的に知覚可能な現実の内容
非合理/合理
- 知覚が第一
- フィルタリングされていない「ありのまま」の情報
- 判断が第一
- 整理された評価情報
抽象化/詳細化
アルファ価値/ガンマ価値
ベータ価値/デルタ価値
情報要素・静的/動的
静的な情報とは離散的(一つ一つがバラバラ)で、変化しない時とする時の差が激しく、変化する場合は突然変化する情報です。:
- Ne
: 離散的な時間的段階と、離散的な選択肢のセット
- Ti
: 問題や出来事の間における、離散的な論理的・構造的依存関係
- Se
: 縄張りと支配領域を定める離散的な空間的境界線
- Fi
: 「友」や「敵」といった対人関係の個々の種類
動的な情報とは、連続的で、常に変動しているものについての情報です。:
情報要素・外向/内向
外向的な情報とは、他の物事との関係とは無関係の、ありのままの物事に関する情報です [3]。
内向的な情報とは、それらの固有の特性とは無関係の、物事が互いにどのように関連しているかについての情報です。
- Si
: 人物Xにとって条件Yは快適か否か
- Ti
: ステートメントXは、ステートメントYから論理的に導かれるか否か
- Ni
: 事象Xは結果Yに繋がるか否か
- Fi
: ある人物XとYの間の関係が良好か否か
関連記事
訳注
- ^ つまり「①静的/動的」「②外向/内向」「③外面/内面」「④非合理/合理」「⑤抽象化/詳細化」「⑥アルファ価値/ガンマ価値」「⑦ベータ価値/デルタ価値」という合計7種類の二分法があるという意味。一部の二分法は、他の二分法の組み合わせで決定される。
- ^ ソシオニクスには「尊重する機能」と「控え目な機能」というものがある。「アルファ価値」とは、アルファクアドラが尊重する情報要素のことを意味する。関連記事「クアドラ」
^ ソシオニクスとユングやMBTIの機能の定義が大きく異なる理由のひとつは、ソシオニクスの機能の外向/内向が、ユングやMBTIの外向/内向と大きく異なっているからである。
もともとソシオニクスは「ユングを進化させたもの」を作ろうとして作成されたわけではなく、様々な思想やアイデア(ユングは複数ある材料のひとつにすぎない)を統合して作り出されたものである。そのためにユングと同じ単語を使っていても、ソシオニクスにおいてはその意味合いが異なる場合がある(そしてユングの既述的には正であることが、必ずしも「ソシオニクスの正」になるわけではない)。
ソシオニクスの内向/外向には「物理学のアイデア」が非常に重要な役割を占めている。これがわからないまま、MBTIの機能の定義そのままでタイプを解釈すると、かなりおかしい解釈になってしまう可能性がある。
ソシオニクスのFi/FeとMBTIのFi/Feが逆転しているような印象を受ける人がいるかもしれないが、この理由はソシオニクスの内向が複数のオブジェクトやサブジェクトの「関係性」を意味するからである。
(記事「J/Pスイッチ」では「タイプの説明という観点から見た場合、MBTIのINFPに最も近いのは、ソシオニクスのIEI(INFp)です」という説明があるが、これはおそらくソシオニクスのFi/FeとMBTIのFi/Feの定義の違いから来ているのではないかと思う。実際、記事「ソシオニクス x MBTI の分布」の表を見る限りMBTIのINFJに最も多いソシオタイプはEIIであり、IEIは非常に少ない。そしてMBTIのINFPに最も多いソシオタイプはIEIである)