ソシオニクスの各タイプの特徴、特に病的な状態時の表れ方のまとめ(Voroschenko氏による記述の日本語訳)。
ILE (ENTp):感情不安定性、気分循環性
状態の変化の仕方に特徴があります。嬉しい出来事があると、活動への意欲が高まり、話が弾み、思考の回転も非常に速くなります。反対に、悲しい出来事があると気分が沈み、反応や思考の速度が遅くなります。
ちょっとした出来事の変化でも、気分が簡単に変わる傾向があります。
あるときは注目を集め、周囲を動かすような活発さを見せますが、別のときには閉じこもって黙り込むこともあります。
困難を乗り越えて職業的に成功することもありますが、時期によっては意欲が抑え込まれたように感じることもあります。普段は活動的で多弁でも、急に口数が減り、動きがゆっくりになることもあります。
社交の場では陽気で活発に振る舞いますが、親しい人の前では不満を漏らしたり、健康に関する不安(心気的傾向)を見せることもあります。
話し上手で、表現が明快であり、言葉遣いも巧みです。アルコールが入ると特に饒舌になる場合があります。
感情が深く、気分の波がはっきりしているのが特徴です。明るく楽しいときもあれば、静かで控えめなときもあります。
刺激的な出来事のあとには、その興奮や真剣さの余韻が長く続き、出来事自体が過去のものになっていても、しばらくはその影響を受け続けます。
感動しやすく、優しく思いやりがあります。偉大な芸術作品の前では深い感嘆や畏敬の念を抱きます。ただし、時には気分が大きく落ち込み、自分を追い詰めるような心理状態に陥ることもあります。
SEI(IEFp):実演的・高揚型
見せかけや演技めいたふるまいを好み、感情表現が豊かで活動的です。
自慢することが多く、言動は遠慮がなく率直です。形式ばらない反面、少し礼儀を欠くところもあります。
人に気に入られようとお世辞を言ったり、うまく立ち回ったりする傾向があります。態度はオープンで親しみやすく、接し方も直接的です。
生まれつきの作家気質・ジャーナリスト気質で、おしゃべり好きです。芸術や音楽、書物を心から楽しみ、社交的で人の集まる場所や注目を浴びる場を好みます。
役になりきることが得意で、演技の才能に恵まれています。時には少し気取った話し方をしたり、外国語を交えたり、冗談やしゃれた言い回しを使うこともあります。
強い虚栄心をもち、自分の非を認めるのが苦手で、自己賛美的な傾向があります。
状況をうまくごまかしたり、計算高く振る舞うこともあります。頭の回転が速く、自信に満ちた印象を与える人物です。議論では口が立ち、言葉をためらわずに反論します。魅力的で愛想がよく、どこか茶目っ気があります。
他人を批判したり、身近な人をからかったりしても気にしません。良い印象を与えようと気を配り、感じのよい態度で場を盛り上げ、人を惹きつけます。うぬぼれが強く、いつも忙しそうで、つかみどころがなく、抜け目ない面もあります。
怒ると、普段の「優しい人」の印象が一変し、失言や傲慢な態度、無礼な発言をすることがあります。ときには激しい言葉で相手をやり込めることもありますが、表面上は親切で善良な人物を装い続けます。噂話を好む傾向もあります。
ESE(ESFj):活動亢進型(エネルギー過多型)
気分が高揚しやすく、何かをせずにはいられないほど行動的で、活力にあふれています。話し好きで、会話の途中でも話題が脱線しやすく、頭の中では次々と思考が巡っています。
人生を明るくとらえ、悲しいことがあってもすぐに気持ちを切り替えて前に進みます。その様子は、生きることが自然で、世界が軽やかに感じられるかのようです。
常に新しい刺激を求め、未知のものに惹かれ、思いがけない発想や創造的なアイデアを次々と生み出します。自発的で想像力が豊かであり、思考は絶えず動いています。
話術に優れており、場の中心として人を楽しませることができるため、一緒にいる人を退屈させません。冗談や機知に富んだ言葉で周囲を引きつけることも多いです。
しかし、その明るさがときに苛立ちや短気へと変わり、思いつきで終わる行動や、内容のない計画に流れてしまうこともあります。無邪気で気ままな幸福感と、止まらないおしゃべりが特徴的です。人との関わりにおいては機転が利き、柔軟に対応することができます。
一方で、倫理的な自制心はあまり強くなく、集中力に欠ける傾向があります。明確な目標に向かって一貫して努力することが難しく、社会の枠組みや規範に適応するのも得意ではありません。そのため、仕事や活動を転々とすることが多いです。全体として、どこか浮き立つような軽やかさをもっている人です。
LII(INTj):気分変調型
深刻で、人生の暗く悲しい面に注意が向きやすくなります。悲観的な考えが強まると、適応障害に近い停滞した心理状態に陥ることもあります。作業のペースは遅くなり、会話にはあまり参加せず、必要なときだけ短く言葉を挟むようになります。常に真面目で落ち着いた雰囲気を保ち、倫理的にも誠実で厳格です。
責任を伴う仕事に対しては慎重すぎるほど受け身で、臆病さや優柔不断さが見られます。軽率さや楽天的な明るさは少なく、過去のつらい出来事を強く記憶しており、時には涙もろくなることもあります。
劣等感を抱きやすく、自分がどの分野で力を発揮すべきか迷うことがあります。全体として受け身で控えめな傾向がありますが、感情のエネルギーが低下し、無気力状態に陥ることもあります。誠実で思いやりのある性格ですが、動作はゆっくりしており、少し不器用です。心から笑うことは少なく、服装はきちんと整えていますが、物事の決断の際には時間がかかるタイプです。
SLE(ESTp):自己制御的で緊張が高く、時に爆発的な気質
興奮しやすい性質と、几帳面な性質を併せ持っていますが、この二つはしばしば矛盾します。強い自制心と統制力を備えているものの、実際にはどちらか一方の傾向が目立つことが多いです。
子どものころは几帳面さが行きすぎて、周囲を挑発したり怒らせたりすることがあります。体が小刻みに震えるようなことがあり、ときには何かに強くこだわることもあります。
成長するにつれて心のバランスが取れ、より落ち着いた性格になります。反応は衝動的ですが、仕事や家庭では自制が働き、状況を自分の意志でコントロールしようとします。
社会の場では、場にそぐわない発言を恐れて反応が遅れ、少し鈍い印象を与えることがあります。外に出かけると、抑えていた自制がゆるみ、思い切った行動を取ることもあります。
IEI(INFp):几帳面で細部に注意を払いつつも、明るく活発な気質
全体として穏やかでバランスが取れた気質といえます。勤勉で働き者であり、人生の中で明確な目標を立て、それに向かって着実に努力を重ねます。
基本的に人生を楽しみ、陽気で前向きな性格です。人づきあいが広く、多くの人と関わることを好みます。
体調がすぐれないときでも、治療より仕事を優先するほど責任感が強い傾向があります。ときには特定の恐怖症を抱えることもありますが、普段は外出やダンスを楽しみ、話上手でもあります。
生活リズムを大切にし、決まったスケジュールを守る傾向があります。ときに心気症(健康に関する過度の不安)や閉所恐怖などの神経的な不調を経験することもありますが、物事にはあらかじめ準備を整え、早めに取りかかる慎重さがあります。
常に何かに取り組みたいという活動的な欲求が強く、重要な出来事の前には感情が高まり、緊張のために食欲を失うこともあります。
EIE(ENFj):几帳面で細部に注意を払いつつも、明るく活発な気質
EIEの感情表現が豊かな側面には、本来の内面のエネルギーが外にずれて表れる傾向があります。そのため、衝動的に行動したり、感情を抑えずに表現する姿が目立ちます。見た目は誠実そうでも、どこか演技的で、役割を生きているように振る舞うことがあります。他者からの承認や称賛を強く求め、自分への注目を集めようとする点も特徴です。
ときには自己憐憫に陥ったり、苦しみを誇張して道徳的な優位を示そうとするなど、殉教者のような態度を取ることもあります。感情表現は大げさで、身振り手振りや表情が豊かです。思考より感情が先に動くため、軽率な行動に出る場合もあります。ペネロペのように、報われない努力を続けたり、終わりの見えない状況を引き延ばしてしまうこともあります。
他者の心を見抜く洞察力と、相手に合わせる柔軟さを持ちます。そのため、サービス業などの対人分野で力を発揮しやすいタイプです。自分の主張を抑えて周囲と調和を保ち、芸術的才能や社交性、奉仕への意欲も備えています。
一方で、利己的な欲求が強まると人間関係が不安定になりやすく、自信過剰になったり、現実から逃れるために体調不良を口実にするなど、「病への逃避」を行うこともあります。
EIEは「パトス」と呼ばれる、感情に満ちた劇的な行動様式を持ちます。感受性が高く、想像力に富み、その資質が創造的な成果として評価されることもあります。思考は自由で制限が少なく、人生の中でさまざまな役を演じ分けます。ときに自慢や冒険的な行動に走り、見せかけや偽りの関係に陥ることもあります。感情的で芝居がかった面があり、自己賛美に傾く傾向も見られます。
LSI(ISTj):緊張性・興奮性・気分変調性
LSIは、知的で考え方に深みがあり、物事を丁寧に考える傾向があります。責任感が強く、義務には真面目に取り組み、規律を重んじるタイプです。
その一方で、特定の考えにとらわれやすく、気分が沈みやすい面も見られます。ものの仕組みを理解したり、工夫して何かを作り出したりすることを好みます。性格は誠実で控えめ、努力家で落ち着いており、飾り気がありません。
人付き合いは多くありませんが、些細なことで感情が高ぶることもあります。それでも、他者との関係では穏やかさと親しみやすさを保とうとします。
SEE(ESFp):興奮性
本能的な衝動や強い欲求に従って行動する傾向のあるタイプです。体格がしっかりしている人が多く、精神的な問題よりも、体を動かしてエネルギーを発散することに関心を向けやすい特徴があります。
感情を素直に表す一方で、我慢が苦手なため、苛立ちをそのまま態度や言葉に出してしまうこともあります。自分の意見や要求を率直に伝えますが、その強さが原因で人と衝突することもあります。
行動的で体を使う仕事を好み、気分や状況によって職場を変える人も少なくありません。短気な人が多く、なかには飲酒が習慣化して問題となる場合もあります。
性的にも衝動的な面があり、関係が不安定になりやすい傾向があります。勢いで奔放な関係を持つことや、極端な行動に出ることもあります。若い頃には、思い立って家を飛び出すような行動をとることもあります。
その一方で、情に厚く、子供や動物に優しく、人の役に立つことに喜びを感じます。思考のペースはゆっくりしており、考えをまとめるまでに時間がかかることがあります。
ILI(INTp):ペダンティック
不安や疑いを別の対象に置き換えて処理する防衛のしくみがあまり発達していません。そのため、決断を先延ばしにしやすく、疑いをうまく切り替えられずに優柔不断になる傾向があります。
考えが頭の中で堂々めぐりし、結論を出すまでに時間がかかることも少なくありません。普段はまじめで勤勉であり、残業もいとわず、自分の行動を繰り返し振り返ります。
細かいことにも気を配り、翌日の予定を細かく立てるのが好きで、とても几帳面です。堅実で明確、そして完璧を目指す姿勢が強く、仕事には誠実に取り組みます。
ただし、責任の重い仕事にはプレッシャーを感じやすく、責任そのものを恐れることもあります。それでも、自分の成果に満足し、強い義務感を持って働きます。理由もなく転職することは少なく、健康にも気を配りながら地道に努力を続けます。
職場では誠実さと信頼感によって評価され、一定の影響力を持つこともあります。人との関わりでは礼儀正しく、模範的にふるまいますが、完璧を求めすぎて神経質になることもあります。
規律や秩序がはっきりした環境では安心して過ごせます。身体的には、顔のチックや強迫的な行動、過度の心配による不調、臆病さなどが見られることがあります。基本的に心配性で、内面には自信のなさを抱えています。
LIE(ENTj):固着型・執着の強いタイプ
感情的にとてもタフで、まるで感情が麻痺しているように動じにくい人です。復讐心が強く粘り強い一方で、些細なことで腹を立てることはほとんどありません。
ただし、誇りや名誉を傷つけられると、非常に敏感に反応します。感情の動きは多くの場合、自分の利益や「自分なりの正義」を守るためのものであり、そのためにうぬぼれや傲慢さ、強い自信、野心的な態度が目立ちます。
努力が報われにくく、周囲からの評価や励ましが少ない傾向がありますが、その分だけ疑い深くなったり、嫉妬や頑固さ、融通の利かなさが表に出やすくなります。
議論や対立を好み、理想や自分の考えにのめり込みすぎて頭が固くなることもあります。それでも、自己暗示にはかかりにくく、現実を見極める力はしっかりと保たれています。
強い野心は仕事や創造的な活動において大きな推進力となり、若いころからさまざまな分野で目立った成果を上げます。何度失敗しても立ち直り、再び成功をつかむ粘り強さを持っています。
アイデアが豊富で、常に新しい発想を生み出すタイプです。年齢を重ねるにつれて不安や恐れを感じやすくなりますが、健康管理や治療には積極的に取り組みます。
非常に強い正義感を持ち、「正義の狂信者」と呼べるほど自己主張が強く、他人の反対意見を受け入れることはほとんどありません。
ESI(ISFj): 心配性、几帳面型
大人になると、子供の頃のように恐怖に完全に支配されることはありません。ただし、強いプレッシャーを受けると、引っ込み思案になったり、心を閉ざしたりしやすい傾向があります。反対に、それを補うように、自信ありげな、あるいは少し生意気な態度を見せることもあります。
内面には繊細で傷つきやすい「子供」のような部分があり、ときにそれが他人から攻撃されやすい面として現れます。
心の奥では「優しくしてほしい」「仲良くしてほしい」と願っています。自律神経の働きが過敏になりやすく、ちょっとした刺激にも強く反応する傾向があります。
年齢を重ねると心配はやや和らぎますが、もともと不安を感じやすく、健康について必要以上に気にかけることがあります。このような心配性の性質が、自分に合った環境を見つけにくくしていることもあります。
性格は几帳面で整っており、喫煙を好まず、お酒も控えめです。
IEE(ENFp): 影響を受けやすく、高揚しやすいタイプ
感情の変化が激しく、喜びと不安のあいだを行き来しやすい傾向があります。出来事への反応が大きく、他の人よりも感情表現が豊かです。
嬉しいときは全身で喜びを示し、悲しいときは深く落ち込みます。まるで「歓喜から苦悶まで」が一瞬で入れ替わるようなタイプです。
人への思いやりは控えめながら自然にあらわれ、家族や友人を大切にし、彼らの幸せを自分のことのように喜びます。時には、突然強い情熱や行動意欲に駆り立てられることもあります。
自然や芸術、音楽などへの関心が深く、感性がとても豊かです。精神的な体験や人生の意味を探ることに惹かれることも多く、周囲の雰囲気や人の感情に敏感に反応します。
不幸な人や病気の動物を見ると、深い哀れみや思いやりを感じます。詩人や芸術家のような創造的な気質を持ち、誇りや勇気を示すときに少し大げさに見えることもありますが、それもこのタイプならではの魅力です。
SLI(ISTp): 気分変調症固定型:慢性的で軽い抑うつ気分にとらわれやすいタイプ
いつもどこかに不満を感じ、退屈の理由を次々と見つける傾向があります。心から喜ぶことは少なく、損失を誇張して嘆き、感謝の気持ちを抱きにくいタイプです。
気分は沈みがちで、つい心配事にとらわれ、欲が深く、他人の成功や利益を素直に喜ぶことができません。
自分の持ち物や立場を守ろうとする意識が強く、嫉妬や疑いを抱きやすい面があります。言葉では攻撃的になることがありますが、実際の行動にはあまり出ません。その裏では、状況をよりよく理解しようとして、密かに情報を集めることがあります。
基本的に不満を抱えていますが、あからさまに攻撃的な態度を取ることはなく、反対や対立に直面すると静かに身を引こうとします。
そのため、全体としてはいつも不機嫌そうで、喜びの少ない不平家という印象を与えやすく、家族や親しい人と口論になることも少なくありません。
LSE(ESTj): 誇示的・固着的
情熱的で粘り強く、やや頑固な性質をもっています。仕事では成果を上げやすい一方で、無駄な争いや行き詰まりに巻き込まれることもあります。
長い時間をかけて地位や影響力を築き上げ、壮年期には強い自信と野心をもって職場で安定した立場を保つ傾向があります。ときには周囲の関心や同情を引こうとして、体調の不調を訴えることもあります。
日常生活では、生活の質や仕事の完成度を重視し、自分の誤りを認めにくい面があります。感情を抑えるのが苦手で、苛立ちや怒りを表に出しやすいですが、冒険心も旺盛です。
不快なことを避けながらも情熱的に行動し、目標を優先するあまり倫理的な配慮を忘れてしまうこともあります。
EII(INFj): 情動的
感情の微妙な動きに敏感で、深く反応するタイプです。荒々しい感情を表すことは少なく、魂のこもった思いやりと優しさを持っています。
感情の振れ幅は穏やかで、柔らかく、共感的な性格です。自然の中で過ごしたり、美しい芸術作品に触れたりすることを心から楽しみます。周囲の人からは「心の美しい人」「魂の温かい人」と言われることが多いでしょう。
このタイプの優しさは、感情が外に表れやすい点にも表れています。感じたことがすぐに表情や仕草に現れ、まるでパントマイムの名手のように気持ちが伝わります。感動すると涙を流すこともあり、その姿は人間的で温かい印象を与えます。
ただし、人生の中で強い衝撃やつらい出来事に直面すると、その影響を深く受けやすい面があります。外部の出来事によって気分が沈み、うつ状態になることがあり、場合によっては深刻な精神的苦痛に至ることもあります。
落ち込みの程度は、経験した出来事の大きさに比例する傾向があります。
他人の感情を直接そのまま引き受けるわけではありませんが、自分の内面でじっくりと感じ取り、それを深く味わう傾向があります。そのため、他人の喜びや悲しみに共感しながらも、自分自身の感情の世界をしっかりと保っています。
