内向的論理 Ti
内向的論理(Ti)は、内向的、合理的、静的な情報要素です。 Ti、L、構造の論理、白の論理とも呼ばれます。
内向的論理(Ti)は一般的に下記の能力と関連しているとされます。
- 論理的な整合性と正確さを認識する能力
- 分類と体系を生成して適用する能力
- 体系的で概念的な理解を整理する能力
- 妥当性、対称性、美的感覚によって本能的に物事の論理的なつながり(論理的な類似、相違、相関を含む)を見抜く能力
一般的な真実と、それがどのように現れるのかについての、少し個人的ではありますが説明可能な理解を通して、現実に対する自分の期待を構築するという意味では、「常識」という概念に似たところがあります。
Tiを重視するタイプ [1]は、日常生活で当たり前だとされている信念の一貫性・整合性に自然と疑問を抱きます。
彼らは知識を得るために外部の権威に頼る [2]のではなく、自分自身の経験と判断に基づいて決断を下すことを非常に好んでいます。彼らが外部の権威的な情報に頼るのは、それ以外どうしようもなくなった時に限られます。
また、「明確に定義された、内面的な一貫性のある意見を持つ人々」に敬意を抱くことが多く、彼ら自身、人生を方向づけるためには内面的な確信が必要だという考えを持っています。Tiを重視するタイプにとっては、個人的な真実の基準は、世間一般のコンセンサスよりも信頼できるものなのです。
Tiを重視するタイプの人々は、実用性ばかりを重視している意見は浅はかなものだと考え、ありきたりな実務的な事柄についての公の議論を制限しようとします。また、冗長な情報には特に敏感です。
ウィキソシオンの説明
第1機能 Ti(LII, LSI)
モデルAでの第1機能:先導機能
論理性というレンズを通して現実を観察しており、すぐに現実の中や、彼ら自身の見解・行動体系の中における適切な位置を認識します。
新しい情報や経験に対して、しばしば論理的な側面に過度に焦点を当てた主張を自由に繰り広げます。
例外が存在しないルールを最も重要視しており、それがコミュニティで受け入れられているルールであろうと、自分自身のルールであろうと、あるいは相手のルールであろうと、一連のルールに従わない人や物事を常に批判的に捉えます。
他人のルールや規則を採用することは出来ますが、彼ら自身のルールや規則が最終的な判断の拠り所になります。こうした彼ら自身のルールや規則は、常に改良され続けています。
高い基準を持っており、「要求が多い人、厳しい人」という印象を持たれることが多いです。
第2機能 Ti(ILE, SLE)
モデルAでの第2機能:創造機能
自分が経験したり研究したりした一連の現象を説明するために、論理体系や考え方を容易に作り出します。
彼らはこうして作った論理体系や考え方を「不変なもの」「あらゆる物事を説明付ける包括的なもの」とは見なしていません。
新しい経験や情報を得るごとに、改良したり、破棄したりします。
第3機能 Ti(ESI, EII)
モデルAでの第3機能:役割機能
短時間であれば、冷静な学問的・理論的視点から物事を語ることができますが、こういう時の彼らは堅苦しく、頭でっかちになりやすく、また緊張状態にもなりやすい傾向があります。
◆◆◆
先導機能であるFiによって下した個人的な決定を、必要だと感じれば論理的に正当化しようとします。
しかし、特に論理的な議論の矛盾を指摘されると、すぐにイライラしてしまいます。
こういう時はその後、倫理的動機を説明するか、その問題自体を完全に避けようとすることが多いです。
第4機能 Ti(SEE, IEE)
モデルAでの第4機能:脆弱機能
理論的知識の情報源を完全に拒否するか、その逆に完全に受け入れてしまう傾向がありますが、情報源はどこかといった情報や、その情報源に自分が固執していることを明らかにしたがらない傾向もあります。
◆◆◆
自分が扱う理論的カテゴリーの数を制限しようとします。
また、幅広い個人的な経験を通じて最終的にその必要性を発見するまで、新しい用語、体系、システム、規則、ルールを「誰かが個人的な思惑で勝手に作っただけの不必要なもの」と考える傾向があります。
◆◆◆
発言する時間がきちんと確保されているような場合であれば、自分の意見を明確に述べることができますが、自分の意見に異を唱え得て、論理的な議論や論争に引きずり込もうとする人に対処することには苦手意識があります。
そのため彼らは、自分の新たな決定や意見が「正しい」と確信できていて、「他の人から疑問を投げかけられても、十分に自分の考えを擁護できるだろう」と思えるようになるまで、自分の新たな決定や意見を公表することに消極的です。
第5機能 Ti(ESE, EIE)
モデルAでの第5機能:暗示機能
よく考えこまれた考え方の体系を持つ人に、強い憧れを抱きます。直接関係のない概念に関する多くの背景情報よりも、明確で簡潔な説明を好みます。
自分の行動が理にかなっていることを望んでおり、そのために、自分の行動の背後にある概念的理解が正しいという外部からの保証を必要としています。
確信に足るだけの情報が不足している場合、慌てふためいてしまい、合理的な行動が全く取れなくなってしまうかもしれません。
第6機能 Ti(SEI, IEI)
モデルAでの第6機能:動員機能
自分の信念と理解の体系の明確さを求めており、新しい概念に触れたり、新しい思考体系や概念が取り入れられた哲学的議論に参加することを楽しみます。
自分の行動を裏付ける論理的な明確さに不安を感じやすく、ある程度合理的に考えたり、判断するための外的なサポートを必要としています。
これらのタイプの人にとって、構造の論理 Ti という情報要素に含まれる「構造」は、どちらかというと目標達成のための手段として利用するべきものです。彼らは自分が成長するためのバックグラウンド的なガイドとして、こうした「構造」を活用をしようとします。
第7機能 Ti(LIE, LSE)
モデルAでの第7機能:無視機能
アイデアや理念、論理体系(論理システム)の内部ロジック [3]に焦点を当てた議論を容易に理解できますが、そうした点にはほとんど無関心です。
こういった論理システムは自分自身の目標にとってはほとんど無価値であり、全く興味をそそられない、非生産的なものだと捉えています [4]。
第8機能 Ti(ILI, SLI)
モデルAでの第8機能:実証機能
他者の発言や仮定を論理的に切り分け、そこに論理的欠陥があることを示すというように、これらのタイプの人々は論理的な立場から、他者の意見や視点の批判を行うことがしばしばあります。
しかし実際のところ、現実を「綺麗な論理体系」で正確に表現しきることなど不可能だと思っているため、過度にこうした批判を行うことはありません。
価値機能の側面 by Dmitry Golihov
価値機能:モデルAの第1機能、第2機能、第5機能、第6機能のこと。別名「尊重する機能」
第1機能 Ti(LII, LSI)
自分の理解、考え方、論理、概念に非常に執着しており、それらに自信を持っていて保守的です。
彼らはこうした「自分の理解」や「考え方」などによって「生きています」が、それは必ずしも他人と共有できるものではなく、他人からの説得で変更・修正されたりもほとんどしません [5]。
自分の理解と事実が一致しない場合、彼らはしばしば事実のほうを「価値が低い」と判断することもあります。
◆◆◆
自分の理解に対して批判されると、苛立ってしまいます。
自分のビジョンを論理的に説明しようと思えばできますが、積極的に他人にも理解できる形で説明しようという意欲は乏しいです:「わかる人にはわかる。わからない人にはわからない」
そのため、自分の論理的判断を受け入れてくれて、それに異議を唱えようとしない人たちに囲まれたがります。
自分の考えを変えることは非常に難しく、自分の間違いを見直すのに多大な時間を要します。
◆◆◆
すべてが自分の理解通りの形に収束することを好みます。そして、そうならない場合は苛立ってしまいます。彼らの考えを変えようという場合、確かな論拠を用いるしかありません。
これらのタイプの人々は、新しい情報にはまず疑ってかかることが多いです。確信が持てない場合、すべてを慎重に検討するまで絶対に「イエス」とは言いません。
彼らにとって、自らの思考はどんな状況でも「頼る」ことができる「確固たる土台」のようなものです。したがって、こうした「外部から受け取った新しい情報への疑り深さ」という特徴も、「自らの思考」を足場とする彼らとしては、特に問題なことだとは感じません。
◆◆◆
すぐに他人の意見を認めるよう他人から迫られても、それは無理な相談です。
一般的に、彼らはまずすべてを自分で理解しようとします。それから初めて「他人の意見」を受け入れるかどうか判断します。もしも自分で理解できない要素があれば、新しい情報の消化にはさらに時間がかかります。
そのため、たとえとても単純な話であっても、その情報を活用するまでに非常に長い時間を要することがあります。
第2機能 Ti(ILE, SLE)
創造機能(第2機能)Tiを持つ人々は、長く、事細かで、クリエイティブな説明を好みます。
優秀な教師やインストラクターです:「私は全員が全てを理解したと100%確信できるまで、そして彼らが聞きたいと思う限り、説明します」
これらのタイプの人々に質問すると、何時間も答えを聞かされることがあります。
◆◆◆
時々、何かについて「自分はどのように理解しているのか」を話してくれる人の話をただ聞きたいと思うことがあります(通常、本人に直接「話してください」と頼まない限り、こうした話はなかなか聞くことは出来ません)。
これと似たようなことは、創造機能にTeを持つタイプ(ILI, SLI)でも見られますが、「事実を提供すること」に主眼を置いているILI, SLIとは違い、ILE, SLEが主眼を置いているのは「他者が理解に至ること」です。そのためILE, SLEは時々、まるで小さな子供相手話しているかのように、簡単にした説明することがあります。
常に質問を投げかけるべき聴衆を探しており、知識の観点からではなく、それをどのように理解するのかという観点から、よりわかりやすく、丁寧に説明します。
◆◆◆
これまでに研究されたことのない分野に惹きつけられるかもしれません。また、自分にとって未知の領域を探求し始めるかもしれません。
こうした活動は、自分の「理解」の範囲を開拓し、拡大できることであるため、創造機能としてのTiを持つ人々にとっては、非常に魅力的に感じられる活動です。
第6機能 Ti(SEI, IEI)
彼らにとって、全てを理解することは非常に重要なことです。
もしも何か難しい質問をされた場合、彼らは「理解してはいるけど、かなり変わった方法でしか理解できていない」と答えるかもしれません。
何かを理解できないと、自尊心が低下してしまうため、「自分が何かを理解していないこと」を認めたがりません。
◆◆◆
自分の論理性を人から褒められると嬉しくなります。「それを考えたのは自分だ」と自慢したくなります。
日常生活でよくある話を引き合いに出すのを好みますが、彼らがこうしたテクニックを好む理由は、「その手の話の場合、誰もいちいち【論理的に見てもっともらしいかどうか】など気にしないから」です。
一般的に、自分の考えを擁護する際には、自分以外の誰かを持ち出すことが多いです(そうすることで「客観性に対する責任」が自分からその人に転嫁されるからです)。
事実確認を必要としない領域で、自己実現をします。
◆◆◆
彼らがTiの領域で行う自己防衛には、受動的な自己防衛と、能動的な自己防衛の二種類があります。
受動的な自己防衛の場合、自分が何かを理解できていないことを認めたり、自分で自分のことをバカだと言ったり、「誰も自分のことを理解してくれない」と不平を言ったりします。
能動的な自己防衛の場合、「自分は全てを正しく理解している」と主張します。
彼らが持ち出す論理は、常識や日常の論理です。そのため、SEIやIEIと議論した場合、その相手は「反論が難しい」と感じることが多いです。
◆◆◆
「自分の人生に入ってくるものは、全て把握し、理解しなければならない」と考えています。
そして他者と関わる場合、つまり他者の人生に「彼」という情報が入る場合、彼ら(SEI,IEI)は「(他者の)人生に入ってきたもの、すなわち私のことを、他者は理解すべきだ」と思います。
とにもかくにも、何かについて間違った理解をすることを、彼らは恐れています。そのため「自分が間違っていた」と気付いたとき、しれっと説明を変えることもあります(例:「確かにワニは空を飛ぶことができます…が、それはとてもとても地面に近いところでです」)。
◆◆◆
「あなたは私のことを理解してくれなかった。それができていれば、もっと良かっただろうに」と心配し、他者との相互理解にまつわる問題を、取り沙汰そうとします。
自分の誠実さを評価されたいと願っています。
第5機能 Ti(EIE, ESE)
時間と手間を惜しまずに、主に常識の観点から見て「すべてが明確な場所」を探し、「何かが不明瞭なままになっている場所」を避けようとします。
「複雑な物事を、もっと理解しやすくする方法を知っている人」を必要としており、それが出来る人に執着します。
もしも誰かから「これを理解するのは難しいだろう」と言われた場合、「理解しよう」と試みさえしません。逆に「これはわかりやすい」と言われれば、理解しようとする気になります。
他人の理解をはじめとして、一般的にどんな論理にも非常に影響されやすいため、これらのタイプの人々は、最も奇妙で非現実的なことを簡単に信じてしまったり、あっけなく言いくるめられたりします。
学ぶことが好きで、特にすべてを事細かく説明してくれるような講義が好みです。逆に、用語や事実をひととおり説明するだけの講義はあまり好きではありません。彼らはもっと詳しい話を求めているからです。
理屈を持ち出されると、簡単にだまされてしまうかもしれません。
すべてを単純明快に説明してくれる人がいる場所は、どんな場所でも好きです。
◆◆◆
もしも何かを理解できない場合、彼らはわざと馬鹿なフリをしたり、興味がないフリをしたり、退屈しているフリをします。
「実際には知っているにもかかわらず、知らないフリをする人」には腹を立てます。これは、まるで小馬鹿にされているような気分になってしまうからです。
彼らにとって最良の環境は、すべてが100%理解できる場所です。
訳注
- ^ Tiを重視するタイプ:全てのアルファクアドラ(ILE, SEI, ESE, LII)とベータクアドラ(SLE, IEI, LSI, EIE)のタイプ。また、Tiを重視するタイプはいずれも二分法「主観主義」でもあるため、Tiを重視しした場合の特徴を知りたい場合、本記事以外にアルファ、ベータクアドラの記述と、主観主義の記述が参考になる。
- ^ 知識を得るために外部の権威に頼る:Teが重視するタイプが好むこと。
- ^ 内部ロジック:論理的な繋がりや論理的整合性のこと。掃除機に例えると、掃除機が動く原理がここでいう「内部ロジック(Ti)」に相当する。ちなみに掃除機の使い方、修理の仕方はTe。
- ^ 例えばLIE, LSEにとって、「掃除機を修理するにはどうすればいいか(=正しい手順は何かという話、つまり情報要素Teの範疇の話)」には興味をそそられるが、掃除機がどのような原理で動いているか(=掃除機という論理システムが持つ内部ロジック)は「どうでもいい情報」だと感じやすい。関連記事「外向的論理 Te - 第1機能 Te(LSE, LIE)」
- ^ 第1機能(先導機能)は「不活性」という性質を持つ機能だと言われている(不活性の対義語は機能)。この不活性という性質を持つ機能は、外部からの影響を受けにくいとされる。不活性:モデルAの第1機能、第4機能、第6機能、第7機能。関連記事:「機能の特殊化」こちらの記事では、「接触/不活性」と「受容/生成」の2つの性質の組み合わせから、モデルAの各機能の性質を紐解いている。