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ソシオニクス 情報要素(by A. Augusta)

2022年7月30日土曜日

ソシオニクス 情報要素

ソシオニクスの機能

ソシオニクスの生みの親オーシュラによるソシオニクスの8種類の情報要素(Ne,Ni, Se, Si, Fe, Fi, Te, Ti)の説明。

※少し難解です。より簡単な説明はこちら:「情報要素(by Irina Eglit)

オーシュラによる説明

Ne(外向的直観)

オブジェクト(客体)のポテンシャルエネルギーに関する情報(例えば人の身体的、精神的能力や、潜在能力に関する情報)を知覚します [1]

この知覚は、オブジェクトや現象の構造を理解し、その内面を把握する能力を与えてくれるものです。この情報要素は、周囲のポテンシャルエネルギーを見抜くことができるか否かを決定します。


この要素が先導機能(第1機能)の位置にある人は、顕著な認知的興味を持っています。彼らは絶えず根底にある現象を研究し、複雑なことをシンプルにして人に上手く伝えることが出来ます。自分が理解したことを人に説明するのが好きな人です。条件に恵まれれば科学者や作家に向いています。

彼らはオブジェクトが持つ「ポテンシャルエネルギー」を増やすための「最適な方法」を見つけ出すことができます。周囲のオブジェクトの可能性やポテンシャルを理解することによって、周囲の人々に「活気」を与えます。


Ni(内向的直観)

過去にルーツを持ち、未来へと続いていく全ての時間的なプロセスの知覚に関わります。時間とは、連鎖するイベント間の相関関係です。

このNiという知覚的な要素は、一連のイベントと人々の行為、それらの因果関係、それに対する参加者の態度、つまり、これらの関係性が生み出す人々の感情(フィーリング)についての情報を提供します。


Niは、過去、未来、そして現在についての感情(フィーリング)という形で、情報の知覚を行います。例えば、慌ただしさ、冷静さ、あるいは興奮としてであったり、「ベストタイミングだ」という感覚(センス)や、「まだ早い」という感覚、生活リズムが適切か適切ではないかと言う感覚、差し迫った危険の感覚や、安全の感覚、期待感、遅刻への恐れ、先を見通せているという感覚、先行きが見えない不安感などといった感覚が、これに相当します。

人はどんな時でも、このような時間の感覚(センス)を持っています。人は時間の外側で生きることも、時間に対して無関心でいることもできません。したがって、ある種の時間感覚は、その時々の心理状態と不可分なものだと言えます。

この知覚要素は「将来に対する予測や計画・あらゆるトラブルや誤った行動の回避・過去の経験からの学習などに関する能力」、または「これらの能力の欠如」を定義します。


この要素が先導機能(第1機能)である人は、先天的に戦略的能力に優れており、様々な活動において「最も最適なタイミング」を選択することが出来るようになります。そのため「いつ戦うべきか」「いつ戦わないでおくべきか」というタイミングを見極めることが出来ます。

時間的な相互作用とは、オブジェクト(客体)との衝突を回避する能力、つまりオブジェクトが自分の中に影響を与えるのを回避する能力として解釈できるかもしれません。

自分の中にオブジェクトが映り込むことを回避する能力と解釈できるかもしれません。


Se(外向的感覚)

物体の「運動エネルギー」とでも呼ぶべき情報を知覚します [2]。この情報とは、例えば、その人がどれだけ組織化されているか、動員されているか、体力やパワーがあるか、自分の意志や立場を活かして他人と戦う意志を行使できるかなどを意味します。

この知覚には、人が持つ「運動エネルギー」の量や、「物事を成し遂げるために、それがどれだけ役に立つか」を見分ける能力が含まれています。他者の意志やエネルギーに対抗して、自分の意志やエネルギーを発揮できるか否かかを定義するものです


この要素が主導機能(第1機能)の位置にある人は、卓越した個人の力 / 意志を持っています。こうした人々は、生まれついてのオーガナイザー(まとめ役・主催する人)です。目標達成のために人々を動員する力を持っており、生物・無生物を活用して管理することができます。

物(オブジェクト)を扱い、入手できるサンプルに基づいて、ほとんど全てのオブジェクトを再現することができます。このことは、彼らのマテリアル(材料、資料、データ、道具、人材)を整理する能力の高さを表しています。主導機能にSeを持つ人々は、自分の意志、エネルギー、力を具現化する方向に自分を駆り立てる性質を持っており、自分の意志に他人を従わせたいという強い願望を持っています。


Si(内向的感覚)

オブジェクト(客体)の内部状態を、互いに前提条件となるイベント・事象間の関係として捉えます。この要素は、プロセスが自分の内部状態によってどのように反映されるかという情報を知覚します。その中には、自分の状態や、相互依存によって呼び起こされる人々の感覚(センス)も含まれます

空間における相互作用とは、あるオブジェクトが別のオブジェクトに反映されることに他なりません。オブジェクトは他のオブジェクトに反映され、互いに特定の感覚を呼び起こします。

外界の情報を、現在進行中のイベントによって引き起こされる感覚という形で知覚します。例えば「痛み」という感覚は、基本的に「機能している身体」と、「その機能を阻害する身体の一部で起こっているプロセス」との関係が、人の心の中に反映されたものです。


この知覚要素が先導機能(第1機能)の位置にある人は、周囲の空間の性質・品質を変えて、その中にいる人々の感覚に影響を与える力を持っています。彼らは身体的な不快感を避け、他人をそれから守ることができます。

この要素は、過去に体験した美的感覚を再現する能力によって定義されます。このわかりやすい例はルーベンスです。彼は自然からではなく経験上の美的感覚の記憶から絵画を描き、それによって鑑賞者に特定の美的体験を呼び起こそうとしました。

ここでは、作り手が意図した美的感覚を他者に与えることができるオブジェクトを再現するという形で創造性が表れます。このタイプの人が何かを準備する場合、まず最初に「最終的な作品が持つ、すべての関連する性質・品質」を思い描くことから始めます。

彼らは、以前体験した美的感覚と、新しい美的体験を区別することができます。それらを「収集」し、記憶することができるのです。そのために必要となる前提の力は、「自分の感覚と他人の感覚を対比させる力」「自分の満足のために争う力」「自分の美的センスや習慣だけでなく、他人の美的センスや習慣を作り出して完成させる力」です。


Fe(外向的倫理)

オブジェクト(客体)の中で起こっているプロセスに関する情報を知覚します。この要素は、まず人の中で起こっている感情(エモーショナル)のプロセス、興奮や抑制、その場のムードなどの知覚を行います。

この知覚要素は、何が人を興奮させ、何が人を抑制するのかを知る能力を意味します。人が自分の感情状態をコントロールすることができるかできないか、また、他の人の感情状態をコントロールすることができるかできないかを定義するものです。


この要素が主導機能(第1機能)の位置にあるとき、人は自分のムード(機嫌)を他の人に伝えたり、誘導したり、感情によって他者に活力を与える先天的な能力を持っています。

彼らには、自分の気分を他人に伝染させる力があります。自分の生活や活動に有益と思われる感情(エモーショナル)状態を他人に押し付ける傾向があると言えるかもしれません。


人が通常「感情(エモーション)」または「感情表現」と呼ぶものは、多かれ少なかれ、この内部的な興奮を、筋肉の活動をほとんど行わずに直接放出することに他なりません。陽気に笑う人は、顔と体の筋肉の特定の動きを介して、高ぶった感情や内なる興奮を解放します。これは意図した活動に内なる力を発揮できない時に、過度な興奮を抑えるための手段としての意味を持っているかもしれません。

しかし、それは同時に「自分の興奮や動揺を、他者に伝える意識的な方法」でもあります。つまり、彼らはそうすることによって自分の内的興奮や動揺を他者の精神に誘発させることもあるのです。例えば「怒り」も過剰な興奮を抑える方法です。この際の「怒り」は、通常、相手を感情的に興奮させるのではなく、相手の感情を抑制して消耗させたり、相手の活動レベルを下げたり、あるいは相手の活動をきつく誘導したりすることに向けられています。


Fi(内向的倫理)

これは、あるオブジェクト(客体)やサブジェクト(主体)と、別のオブジェクトやサブジェクトとの間の主体的(サブジェクティブ・主観的)な関係性です。この関係性は、互いの位置関係や運動状態によって何らかのエネルギー(位置エネルギー・運動エネルギー)が生じている二つの物体間の関係にも例えられます。

この知覚要素はオブジェクト間の相互的、または一方的な必要性・不必要性の有無に関する情報を伝えるものだと言えるかもしれません。


この要素は、現実として存在するオブジェクトが持つこうした一面に関する情報を、物理的な願いや願望、心理的または精神的な欲望、他の人々のニーズを満たす特定のオブジェクトの必要性という形で認識します。これは言い換えれば、生物と無生物に向けられた、その人の願望・欲望と興味です。これには好き嫌いや愛憎などの感情、特定のオブジェクトを手に入れたいという欲望、あるいは貪欲さ・寡欲さが含まれます

この種の高次の感情(気持ち、フィーリング)は倫理的と呼ぶことができます。なぜなら、人々のニーズ間の関係性は、主に倫理的規範によって規制されるからです。


この知覚要素が先導機能(第1機能)の位置にある人は、自分と他者の希望や願望を知覚し、評価する先天的な能力を持っています。彼らは、誰が何を欲しがっているのかを常に把握しています。主観的な現実の認識と自分の希望を、他人のそれと対比させることができます。

自分の願いと他人の願いの両方を形にし、完成させる力を持っています。自分に必要な人間関係を構築する能力と、他者に影響を与える能力に対する自信の両方を備えています

これは人々の愛着や執着を操作する力であり、人々の倫理的感情(フィーリング)に影響を与えて、それを社会の理想に近づけるという力と欲求を生み出します。


Te(外向的論理)

生物および無生物の身体活動、活動性、行い、アクションに関する情報を知覚します。この知覚は、何が起こっているのかを理解する能力を提供します。物事の進め方を考え、合理的な行動と非合理的な行動を区別し、他人の仕事を指揮する能力の有無を定義しています


この要素が主導機能(第1機能)の位置にある人は、自分や他の人の仕事を計画し、プロセスの論理性と非論理性を理解し、この理解に従って他の人々の作業活動を修正する力を持っています。また、これは物事を行うための最も合理的な方法を個人的に適用し、他の人々に伝える能力にも関わっています。


Ti(内向的論理)

あるオブジェクト(客体)と別のオブジェクトを、何らかのオブジェクトの基準、例えば距離、重さ、量、価値、強さ、品質に基づいて比較する過程で生じる感情(フィーリング)を「論理」と呼びます。これはオブジェクトという観点からの評価に関わる感情(フィーリング)であり、ある状況下では、その感情(フィーリング)の体験者を活性化したり不活性化したりするのに役立ちます。

自分の中に入ってくる情報を、オブジェクトの相関関係と比率の適切性と不適切性であったり、オブジェクト間でバランスがとれているか否かであったり、特定のオブジェクトの利点を他のオブジェクトよりも理解しているか否かと言う感覚(センス)として認識します。また、オブジェクトや現象について知っているか・知らないかによって生じる全ての感情(フィーリング)、例えば好奇心、尊敬、恐怖、物事の論理性・非論理性の感覚、物事に対する論理性と非論理性の感覚、様々なオブジェクトに対する自分の効力感と無力感も含まれます


これらの感情(フィーリング)を、筆者らは「論理」と呼んでいます。この感情(フィーリング)の総和が、その人の論理的センスであり、人によってその発達度合いは異なっています。論理的感情(ロジカル・フィーリング)とは、知識の有無、比較可能性と比較不可能性、バランスの有無、空間とその中のオブジェクトの位置に関する情報を伝達するものであると言えるかもしれません。

この論理的感情は、その人自身の興味やニーズを考慮せずに、オブジェクトの性質の相関関係のみを考慮するため、客体的(オブジェクティブ・客観的)と呼ばれます。この知覚要素は、オブジェクト、またはそれらのコンポーネント間の客体的で論理的な関係を見ることができるか、できないかを決定します [3]


この要素が先導機能(第1機能)の位置にある人は、オブジェクトの静的現実、つまりオブジェクトの世界の関係性を論理的に評価する能力によって区別されます。また、彼らは自分の希望に応じて、異なるオブジェクトのプロパティ(オブジェクトが持つ状態や特性)間の相互関係を変更する能力を持っており、この影響を通じて、これらのプロパティのキャリア(担い手)としてオブジェクト自体に影響を与えます。

あるオブジェクトと他のオブジェクトの関係を正しく評価することは、どのオブジェクトを避けるべきか、どのオブジェクトなら「ハント(狩ることが)」できるのかを知るのに役立ちます。彼らは、自分の論理、つまりオブジェクトという観点から見た現実、パターン、法則、世界の相関関係についての知識を、他者の知識と対比させることができます。彼らは、オブジェクトという観点から見た現実に関する自分の知識だけでなく、他者の知識も取り入れて完成させる能力を持っているのです。この能力は、他者の論理(あるいは他者の論理の欠如)と衝突した際に、力強さを生み出します。


出典:


訳注


  1. ^オブジェクト/サブジェクト自体はユングも多用している言葉である(独:Objekt / Subjekt)。日本語のタイプ論の書籍では客体/主体と訳されていて、ユングの定義する外向性/内向性と密接にかかわっている(ただしケピンスキーの情報代謝理論や、物理学、情報技術のアイデアなど、ユング以外のアイデアを取り入れたオーシュラの切り口はユングとは異なるので、オブジェクト=外向性機能が扱う対象物、サブジェクト=内向性機能が扱う対象物とはならない)。オブジェクト/サブジェクトの最も一般的な訳語は客観/主観だと思うが、日本語の(通俗的な意味での)客観的という言葉には「公平な見方」、主観的という言葉には「独りよがりな決めつけ」「偏った見方」といったイメージが含まれるので、この訳語は極力避けている。ソシオニクスの文脈上のオブジェクト/サブジェクトにはこのような意味合いは含まれない。

  2. ^オーシュラは物理学のアイデア「力学的エネルギー = 位置エネルギー + 運動エネルギー、位置エネルギーが増えれば運動エネルギーが減る、運動エネルギーが増えれば位置エネルギーが減る、両方の和である力学的エネルギーは一定の値である」を取り入れて情報要素を定義づけた。日本語だとイメージしにくいが、位置エネルギーとはпотенциальная энергия, potential energyであり, つまりカタカナ英語ではポテンシャルエネルギーである。上述するNeの説明で出てきたポテンシャルエネルギーは位置エネルギーのことである。そしてSeが知覚する運動エネルギーは、ポテンシャルエネルギーが変換されたものである。 参考:https://socioniko.net/ru/articles/aug-duality1.html

  3. ^コンポーネントとは、オブジェクトを構成する、ある程度の機能的な意味でのまとまりを持った部品や要素のこと。例えるなら、オブジェクトが実体としての「パソコン」だとすると、コンポーネントはオブジェクトを構成している部品や要素、例えば「キーボード」や「ブラウザ機能」などを意味する。このコンポーネントのように、オーシュラの説明はIT用語から生じたアイデアらしきものが多いため、IT用語のほうのイメージがわからないと何を言っているのかわかりにくい話が多い。オーシュラは1970年~80年代にソシオニクスを作り出したが、それとだいたい同じ時期にコンピューターサイエンティストのアラン・ケイが生み出した、IT用語のほうの「オブジェクト指向」の考え方が広がり始めている。

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