四気質
誰もが四気質の特徴を多かれ少なかれ持ち合わせているが、その強弱には個人差がある。
- Choleric, 黄胆汁質(胆汁質)
- Sanguine, 多血質
- Melancholic, 黒胆汁質(憂鬱質)
- Phlegmatic, 粘液質
対立する気質(CholericとPhlegmatic、あるいはSanguineとMelancholicの組み合わせ)の影響が強い場合、わかりにくいことが多い。
気質が不明瞭な場合、それぞれの気質に共通する特徴に着目すると、自分の気質がわかる可能性がある。
はっきりと非感情的な場合、CholericとPhlegmaticの組み合わせの可能性がある。
逆に感情的であったり、感受性の強さを感じる場合、SanguineとMelancholicの組み合わせの可能性がある。
また、人と一緒にいる時間の方が好きか(外向的:CholericとSanguine)、一人の時間の方が好きか(内向的:MelancholicとPhlegmatic)も判断材料になる。
オンラインテスト
OSPP Four Temperaments Test(外部サイト)
二分法
Choleric
- 外向的(群衆の上に立ち、群衆を率いる地位を自然に求める)
- 非感情的(敵対者への怒りと、敵対者を打倒した勝利の喜び以外の感情が鈍い)
- 高い自己評価(「周囲の人々よりも強く、優れている自分」「食物連鎖の上位にいる自分」像を持つ)
- 楽観的(「自分は成功者になれる」と信じている)
- 表現的(自分の考えを表明することを恐れない)
- ハード(タフで、集中力があり、目標第一に行動する。誰かとぶつかり合った場合、簡単には引き下がらない)
Sanguine
- 外向的(一人の時間がないというのは困るが、それでも、どちらかというと人と接している時に「自分は生きている」という実感を得る)
- 感情的(状況に合わせて、めまぐるしく変化し続ける)
- 高い自己評価(自分はなんだかんだで優れているほうだと感じるし、それを人から賞賛されると素直に嬉しい。もっと自分に注目してほしい)
- 楽観的(物事の明るい面に目を向ける。なんだかんだで上手くいくだろうと感じる)
- 表現的(絶え間なく変化する感情を素直に表現する。感じていることを人と共有しようとする)
- ソフト(気楽。人生を楽しむ。あまり何事にも真剣にならず、遊び心やゆとりを持って取り組む)
Melancholic
- 内向的(アイデアや考えを共有できる人と、少しの時間を楽しく過ごすことはできるが、すぐに消耗しきってしまう。一人きりの時間が最も心安らぐ時間)
- 感情的(感受性が強い。美しさにも、悲しみにも、苦痛にも心を打たれる。恐怖に敏感。表にはあまり出さないが、感情に心を乱されやすい)
- 低い自己評価(「どんなに努力を重ねても、いつもどこかが足りない自分」という評価)
- 悲観的(人というものは基本的には意地悪な生き物だと思っているし、悪い事態が起こる一歩手前の状態がずっと続いているような感覚がある)
- 非表現的(好き嫌い自体はかなりはっきりしているが、それをわざわざ表現して不快な思いをするのは面倒なので、自分の心の中に留めておこうとする)
- ハード(物事を真剣に、深刻に捉える。極端なところがある。どうせやるなら、出来る限り最高のものを目指したい。低レベルなものにはなかなか興味を持てない)
Phlegmatic
- 内向的(聞き上手で比較的誰とでも上手くやっていけるが、賑やかな社交の場よりは、静かで落ち着いた交流のほうが好み)
- 非感情的(気分はいつも安定していて、心の平穏状態が乱れること自体がほとんどない。それに加えて、自分の気持ちを表現して他人を煩わせたくないと感じるので、感情表現も控え目)
- 低い自己評価(黙って他の人に従うのが苦ではない。「他の人と比べると『いてもいなくてもどっちでもいい、どうでもいい人間』」という自己評価)
- 悲観的(「自分ごときでは上手く出来ないだろう」とか「自分より上手に物事をこなす人は、掃いて捨てるほどいるだろう」と考えがち)
- 非表現的(自分が話すより人の話を聞いている方が楽。人を煩わせたくないので、自己主張はあまりしない)
- ソフト(穏やかで従順。心配事や争いのない静かな生活を望む)
黄胆汁質(胆汁質)
Choleric [Dominant]
Cholericが強く、他の3種類の気質が弱い場合の気質を、Choleric [Dominant] や Choleric (Mostly)と表記する。
外向的で、大胆で、せっかちで、意志が強い。物事がスピーディにすすむ状態を好む。すぐにイライラしてしまう。結果志向が強い。独立精神旺盛。自分ひとりで何とかしようとする。
どんどん決断を下して物事を前進させようとする。自分が望む結果を得ることを第一に考える。主導権を握りたがり、権威的な立場を求める傾向が強い。人間関係を重視せず、野心的で横暴な面がある。
他の気質の人々ほど多くの休息を必要としない。興奮しやすいが、すぐ冷静さを取り戻す。あまり怒ることはないが、自分主導でガンガン物事を進めたがるため、外見的には怒りっぽく見えることがしばしばある。
他人に思いやりや共感を示すのは苦手。
Choleric-Sanguine
Cholericの早く結果を得たいという面と、Sanguineの人から受け入れられたいという面を併せ持っている。指導型のリーダー気質。天性の主催者であり売り手でもある。自分ひとりで結果のために突き進むというよりは、周囲の人と共に結果を出そうとする。勝負事を好む。恐れを知らず、まるで無尽蔵のエネルギーを持っているかのような人々。
集中力はあまりない方で、細かい作業や、根気強さを要する作業をやり抜くことは苦手。それでもせっかく始めたことをやりっぱなしにするのも嫌なので、そういう作業は他の人に任せようとする(放棄したほうが良い物事でさえ、そうすることがある)。議論や討論次第で結論が変わる分野(例えば政治や社会科学的な学問)のほうが、そうでない分野(例えば数学)よりも好き。
口達者で、自分のアイデアや目標を上手く宣伝して、他の人を焚きつけることができる。自分の指示に従わない人にはイライラしてしまうが、そのイライラが長続きすることは無い。かなりせっかちなため外見的には怒りっぽく見えることがあり、人を委縮させてしまうこともある。敵や非協力的な人々には容赦しない。
あまり活発に活動できない状況だと、エネルギーが有り余ってしまい苦痛を感じる。身体的にも活発だが、頭の中も目まぐるしく動き回っている。睡眠時間は短い。
Choleric-Melancholic
比較的よく見られる組み合わせ。Cholericの早く結果を得たいという面と、Melancholicの正しく物事を行いたいという面を併せ持っている。目標を達成するために計画を立てる。決断力に優れており、勤勉で、学業成績に優れる人が多い。分析的で、口が立つ上に頑固で負けず嫌いなため、議論するとだいたい相手の主張のアラを見つけ出して論破してしまう。優れたリーダーになれるが、時に独裁者的になることもある。
他のCholericのバリエーションよりも社会と関わることに関心が薄い。CholericもMelancholicも情緒不安定な傾向のある気質であるため、繊細で、他者に対していい意味でも悪い意味でも過敏なところがある。すぐにイライラしてしまうこともあるが、それが長続きする方ではなく、すぐに落ち着きを取り戻す。こういった繊細な面と同時に、Choleric-Melancholicは強い意志が備わっており、戦略的で、自分から積極的に変化を起こそうとする面がある。
「目標に向けて自分が立てた、綿密な計画を達成すること」に突き動かされている。問題を解決したり、決断を下すことを好む。目標達成に専念している時に、最もポテンシャルを発揮できる。こういう場合、手元に情報がわずかしかなくても、持ち前の創造力や洞察力を発揮して解決策を導き出せることもある。仕事中毒になりやすい。
Choleric-Phlegmatic
珍しい組み合わせ。Cholericの早く結果を得たいという面と、Phlegmaticの他の人を受容し、適応しようとする面を併せ持っている。他のCholericよりも個人主義的で頑固なディレクターのような人々。一度決めたことを変更するのは苦手。
意志が強く、集中力がある。ストイックそうに見える人で、感情的という言葉からはほど遠い。あまりお喋りをしたり、大笑いしたりはしない。どこかよそよそしく見える。全ての外向的な気質(CholericとSanguineの全てのバリエーション)の中で、最も落ち着きがある組み合わせ。限られた人とだけ、ゆっくり親交を深めていこうとする。次々に交際関係を広げたり、手当たり次第に人助けをしたりはしない。
勤勉で計画性があり、最初はパっとしない人に見えることもあるが、長期的に見ると高い能力を示すことが多い。他の人々のスキルを把握し、組織立てて活用するのが上手い。自分の決断を下す能力には自信を持っており、主導権を握りたがる。せっかちなほうで、できることはすぐに片づけようとする。
あまり他人に厳しいほうではないが、人に指示出しする時にはこの「せっかちさ」が見え隠れしやすい。人に苦言を呈する際はストレートに言わず、ユーモアを交えた皮肉の形で遠回しに表明する(回りくどすぎて、ただの冗談なのかどうかがわかりにくい時もある)。
多血質
Sanguine [Dominant]
Sanguineが強く、他の3種類の気質が弱い場合の気質をSanguine [Dominant] や Sanguine (Mostly)と表記する。
外向的で、明るく人懐っこい。お喋りで快活。初めて会った人相手に、まるで何年も前から付き合いがあるかのように振舞うこともある。一人でいるのは嫌いで、他の人を巻き込みながらどんどん活動するため、変化の原動力になりやすい。楽しいことが大好き。
自分の感情や考えを自分の中にため込まないほうで、何か思ったり感じたりすると、すぐにそれについて話したり、行動に移したりする。自分の感情や考えをうまくコントロールできないことがある。
注意力がなく、忘れっぽい面がある。整理整頓も苦手。興味がある人や物事に関わっている時は熱中しきってしまって他の用事を忘れてしまうこともあるが、興味がない人や物事と関わらなければならない場合、すぐに飽きてしまう。また、一人で過ごしているとだんだん気が滅入ってしまう。
人に受け入れられないこと、いい印象を与えられないことを恐れているため、流行には気をつかう。また、競争的な面もあるため、「敗者」「失敗した人」と思われることも強く恐れている。何かについて話す際に、実際よりも誇張して話したり、重要な細部を省略してしまったりすることがよくある。
Sanguineの気質が中心的な分野としては、ビジネス、政治、スポーツ、エンターテイメントがあげられる。人と関わりながら、協力したり競争したりできるようなスポーツ全般を好む。
Sanguine-Choleric
全ての組み合わせの中で最も外向的な組み合わせ。Sanguineの社会的に受け入れられたいという面と、Cholericの早く結果を得たいという面を併せ持っている。自分の望む結果を得るために、他の人を説得しながら自分の道を突き進もうとする。自信に満ちており、かなりエネルギッシュな人々。楽観的で人に対する関心が強い。口が立つ方だが、饒舌すぎるあまり、うっかり自分の弱みまで喋ってしまうこともある。
このSanguineのバリエーションは、他のバリエーションよりも自己主張が強い。責任を取ることを恐れず、自分がリーダーシップを発揮できるポジションを自然に求める。様々なタイプの人々から尊敬と信頼を集める力がある。友好的にビジネスを進めようとする。意思決定を下すのは得意だが、そのために必要な情報収集はあまり好きではないため、他の人を使おうとする。
社会的な関わりが強い活動や仕事であればあるほど活き活きとしてくるが、その逆だと刺激不足でウンザリしてしまう。物事を最後までやり遂げる力はあまりない。ほんの少しの不安や恐怖、怒りを感じただけで、衝動的に行動してしまうという弱点もある。物忘れが多い。
Sanguine-Melancholic
よく見られる組み合わせ。Sanguineの社会的に受け入れられたいという面と、Melancholicの正しく物事を行いたいという面を併せ持っている。この気質の組み合わせを持つ人々は、感受性が豊かで、創造的で、細部にまできちんと気を配る傾向が強い。
Sanguine-Melancholicは、他のSanguineよりも堅苦しく感情的なところがある。メンタルが強靭だとは言い難い人々だが、想像力が豊かで、音楽や執筆、芸術、それに問題解決などの多くの分野で創造性を発揮する。
他のSanguine同様、人と一緒にいる必要性は強い方だが、それと同時に一人の時間もそれなりに必要としている。典型的なSanguineが衝動的なのと比べると、Sanguine-Melancholicはずっと計画的で、一人でじっくり考えたり、計画を練ったりしたいと考えるほうである。またMelancholicの影響で完璧主義なところがあり、質が高いものや、ステータスが高いものを好む。
この組み合わせの人々は、細かい計画がある方が上手く動きやすいと感じる。失敗を恐れてしまうほうだが、一度それを乗り越えれば、ほとんどのことは卒なくこなせるほうである。
他の人に好印象を与えて、他の人から受け容れられることに強い関心がある。そのため、典型的なSanguine(「あけすけで、人をあまり疑わず、誰とでもすぐに仲良くなる人」)と比べると用心深い。初対面の人と急激に仲を縮めることもあまりない。「この人なら自分を拒絶しない、受け入れてくれる」と感じることができれば、友好的になる。
何かを批判すべきだと感じた場合、黙認せずに口に出す方だが、何かと考え込みやすいほうで、「どうして自分はあんなことをしてしまったんだろう」「あの時の自分の言い方は、あれで本当によかったんだろうか」とグルグル考えてしまうことも多い。これからの予定や計画について考えすぎて眠れなくなってしまうこともある。他の人の痛みを自分の痛みのように感じてしまうことがある。
Sanguine-Phlegmatic
Sanguineの社会的に受け入れられたいという面と、Phlegmaticの他の人を受容し、適応しようとする面を併せ持っている。この組み合わせは、自然に他者とうまく関わり、末永く関係を続ける力に繋がる。楽観的でよく笑う穏やかな人。Sanguineのバリエーションの中では最も内向的。
落ち着きがあり、友好的で受容的。自立的で人に依存したりはしないが、共感的で聞き上手なため、他の人から話しかけられやすい。子供からも懐かれやすい。他人を信頼し、友人に忠実で、既存の人間関係を大切にするため、子供の頃に友達になった人との関係が大人になってからも続いていることが結構ある。
非常に頑固な面があり、一度決めた習慣を頑なに維持し続ける。人と一緒にいる時間も大切だが、一人の時間もそれなりにしっかり確保しないと参ってしまう。Sanguine-Melancholicは一人の時間に考え事をしたり今後について思いを巡らせたりするが(思考が活発になりすぎて眠れなくなることもある)、それと比べるとSanguine-Phlegmaticは一人の時間にゆったり休息をとる。そうやってのんびりしていると、数分で夢の世界に行くこともしばしば。
仕事のモチベーションは低めで、規律正しいとは言い難いという欠点がある。Sanguine-Phlegmaticについて、とある雇用主が「彼は私が今までに解雇した人の中で、最も親切な人でした」とコメントした例がある。
黒胆汁質(憂鬱質)
Melancholic [Dominant]
Melancholicが強く、他の3種類の気質が弱い場合の気質を、Melancholic [Dominant] や Melancholic (Mostly)と表記する。
内向的で、論理的、分析的な人々。事実に基づいたコミュニケーションをとろうとする。良心的な人だが、ほとんど全てのことに対して疑り深い。当然、他人もまず疑ってかかるタイプであるため、人の言葉の裏を探ろうとする。また、相手の意図がはっきりするまで慎重なコミュニケーションに徹する。
リスクを冒すこと、間違った決断をすること、無能とみなされることを恐れる。新しいことに対しては、じっくり考え終わるまで否定的な態度をとる傾向がある。
人に対する反応は遅く、間接的なことが多いが、これも慎重さゆえである。不安を抱きやすく、どこか臆病で自信がないように見えることもある。人や出来事にネガティブな評価を抱いた時は、不機嫌になる。
一人で深く考える時間や、一人で綿密な計画を練る時間を必要としている。それが確保できないと、行動に不安が付きまとってしまい、生産性が落ちる。状況が好ましくない場合、攻撃的になることも多い。
完璧主義者で、物事を正しく行いたいという願望が強く、高い品質を求める。既存のルールを守り、外的に受け入れられている基準にしたがって物事を行おうとする。ただし、「こうするのが正しい」とだけ言われても、それに唯々諾々と従うのではなく、「それは本当に正しいのか」「そもそも何が『正しい』ことなのか」と突き詰めて考える。
意思決定は慎重で、徹底的に情報を集めたがる。また、不安を払しょくするために、同じような質問を何度もしてしまうことがある。最善の結果を得ようとするあまり、意志決定に時間をかけすぎてしまう。
身の回りのものは整理整頓できているか、または傍目には整理整頓できていないように見えたとしても、本人は何がどこにあるのかをきちんと把握していることが多い。
Melancholic-Choleric
あまり見られない組み合わせ。Melancholicの物事を正しく行いたいという面と、Cholericの結果を出したいという面を併せ持っている。完璧主義者であり、強力なリーダーシップを備えている。物事を正しく行い、結果を出すことに留まらず、何が正しいかを自分で見極めようとする。
Melancholic-Cholericは体系的で緻密な思考をする人々で、細かい部分までしっかり目を配ろうとする。仕事でもプライベートでも、自分自身に課した厳格な決まり事や、やり方を順守する。
「自分が知っていること」や「あなたは何をすべきか」ということを人に伝えなければならないと感じることが多く、人に物を教えたり、人に訓練を課したりする側に立つことが多い。効率的に組織やビジネスを管理することが出来る。
自分にも他人にも極めて高い基準を要求する。完璧主義者で、細部まで妥協したがらない。この完璧主義は度を越えている場合があり、そのせいで「何かに満足できるということが、ほとんどない」という人もいる(自分自身についてでさえ満足できない)。意志決定はかなり遅いほう。徹底的に情報を集め、分析を重ね、これが最善だと確信するまで、決断を先延ばしする。
自分の基準や方針通りに行動できる場合に限れば外交的に振舞うことができるが、基本的には社交的とは言い難い。人と一緒に過ごす時間よりも、仕事や一人の時間を優先する。
堅物で、めったに笑ったりはしない。何か、あるいは誰か(自分自身を含む)について一度ネガティブな考えを持ってしまうと、それがなかなか頭から離れなくなってしまう。他のMelancholicのバリエーションほど長く落ち込み続けることは無いが、ちょっとしたことでも簡単に落ち込んでしまう。
MelancholicもCholericも自分自身を追い詰めやすく、敵意や批判に悩まされやすい気質であるため、その組み合わせであるMelancholic-Cholericは、ありとあらゆることに怒りを感じてしまいやすい(怒りを募らせすぎて、サディスティックになったり、大爆発したりすることもある)。
他のMelancholicのバリエーションと比べると強引で、他の人とコミュニケーションを取る際、攻撃的になってしまったり、「私が正しいと思う方法に従え」と強圧的に主張することもある。簡潔で率直な(時には率直すぎるほど率直な)コミュニケーションをとることが多く、柔軟性に欠けるため、人間関係において何かしらの困難を抱えている可能性がある。
Melancholic-Sanguine
よく見られる組み合わせ。Melancholicの物事を正しく行いたいという面と、Sanguineの社会的に受け入れられたいという面を併せ持っている。この組み合わせの人々は、調和的な関係性を求めており、基本的には緊張状態にならないように気を配っているが、調和を取り戻すために強めの自己主張をすることもある。
周囲の状況に気分が影響されやすく、周りが幸せな空気で満ちていれば、Melancholic-Sanguineも幸せな気分になるが、ネガティブな反応を向けられると簡単に落ち込んでしまったり、自己憐憫の海に呑み込まれてしまったりする。
Melancholicのバリエーションの中では最もフレンドリー。他人のニーズに敏感なため、ほとんどの人とうまく付き合うことができる。自分が受け入れられていると感じられるような相手と楽しい時を過ごすのが好き。しばしば聴衆の心を鷲掴みにする優れたアーティストやミュージシャンになる他、教育分野で活躍している人も多い。
正確に物事を考えるほうだが、バランス感覚も持ち合わせている。仕事とプライベートの両方について、自分が考える「きちんとしたやり方」を守ろうとする。身の回りは整理整頓されていることが多い(または少なくとも必要な部分だけはきちんと整頓整頓していて、自分なりに何がどこにあるかを把握している)。
高い品質と高いステータスを求めており、自分なりの基準に従って正しく物事を行おうとする。最善を求める裏返しで、意思決定が遅い。考え込みすぎてしまって寝付けなくなってしまうことがしばしばある。
野心は強いが、行動はあまり伴わない。批判に非常に敏感で、強い感情で反応することがある。自己イメージが低く、自分が悪くないことにまで罪悪感を感じて謝罪してしまう傾向があるのと同時に、他人に対して批判的で要求が厳しい面がある。
長時間じっと座っていなければならない活動よりは、ある程度動き回る活動のほうが快適に感じる。ただしウォームアップが遅く、朝起きてすぐに活発に動き回れるほうではない。そのため、朝すぐにあれこれ話しかけてくるのではなく、しばらく待ってくれる人を好む。
Melancholic-Phlegmatic
よく見られる組み合わせ。Melancholicの物事を正しく行いたい、何が正しいかを見極めたいという面と、Phlegmaticの状況に合わせて融通を利かそうとする面を併せ持っている。
この組み合わせの人は、社交的とは言えないものの、明るくて親しみやすさがある親切な人で、Melancholicのバリエーションの中では最も気分が安定している。また融通も利くほうである。しかし他のMelancholicのバリエーションと同様、非常に分析的で、質の高さを好み、意思決定や行動は慎重で、細部まで気を配る人々でもある。
物事が正しいか、間違っているかに強い関心を向ける。納得できる説明のない突然の変化や計画変更には抵抗を試みる。研究者・学者肌であり、人道主義的な傾向もあるため、医学の発展に寄与したMelancholic-Phlegmaticは数多い。数学者や作家にも多い組み合わせである。
Melancholic-Phlegmaticは、じっくり考えを深めるための時間や、情報収集するための時間、そしてそれを基に組み立てた計画を必要としている。一人で物事に取り組むほうが調子よく活動できる。行動する前に「なぜ」という問いに答えようとする。できるだけ多くの情報を集め、あらゆる可能性について考えようとするため、決断を下すには時間がかかる。
問題を予測したり、解決策を考え出すことは得意だが、実際に行動を起こすのは苦手。色々考えてしまって、なかなか寝付けない。家族が寝静まった後の、誰にも邪魔されない一人の時間を愛しており、夜更かししがちな人が多い。
他のMelancholicよりも良心的でプライベートなほう。一人でいるか、家族や数人の親しい友人と一緒にいることを好み、あまり社交的な場に長時間留まったりはしない。Melancholic-Phlegmatic自身は屈託のない楽しげな人を好むため、Sanguineの友人がいるパターンが多い。
身の回りは整理整頓できているか、または少なくとも「どこに何があるのか」は把握できている状態を維持している。ビジネスでもプライベートでも「きちんとした手順」を守ろうとする意識が強い。
人に圧力をかけるのは苦手で、攻撃的な人とは距離を置こうとする。あまり人に敵意を感じたり恨んだりはしない方だが、一度そういった感情を抱いたら長くそれを燻ぶらせ続ける。自己批判的な傾向があり、自分のせいではないことにまで「自分が悪いのではないか」と悩んでしまうことがしばしばある。
粘液質
Phlegmatic [Dominant]
Phlegmaticが強く、他の3種類の気質が弱い場合の気質を、Phlegmatic [Dominant] や Phlegmatic (Mostly)と表記する。
野心があまりなく、受動的な面が強い人々。内向的で、穏やかで、のんびりしており、感情をあまり表に出さない。
受動的な性質の影響で、決断を先延ばしにしてしまう癖がある。変化と争いを嫌い、何事も成り行き任せに惰性で続けるため、「粘り強く一貫性がある人」といえるような面は持っているが、それが行き過ぎて「まるで思考停止しているかのような人」になる場合もある。実用的で、具体的で、伝統的な考え方をする。
人への反応は遅く、また反応の仕方も間接的である。しかし他者への温かく誠実な関心を持っており、ウォームアップは遅いが、変化を強要されたり自分のルーチンを乱されない限りは人には親切に接するため、どちらかというと付き合いやすい人々だといえる。少数の親しい友人を持つことを好む。友人には忠実で、相手が何をしようとしまいと長年の関係を断ち切ることは難しい。しかし一度それが壊れてしまうと元通りになることは滅多にない。
人と関わりすぎることを避け、家庭を中心としたプライベートで控えめな生活を好む。他の3種類の気質が持つ不安とは無縁の、淡々とした静かな日常を送り続ける。本心を隠すことが多い。
他人と一丸になって何かをしようとしたり、自分優先で強引に物事を押し進めたりすることはめったにない。ただ、周囲の成り行きには合わせるため、チームの足並みを乱すほうではない。融通を利かせることで他者との衝突をなるべく避けようとしている。一度恨みを持つと、それが長く続いてしまう。
Phlegmatic-Choleric
珍しい組み合わせ。Phlegmaticの他の人を受容し、適応しようとする面と、Cholericの目的志向の強さを併せ持っている。全てのPhlegmaticのバリエーションの中で最も活発だが、冷静さも目立つため、「熱血漢」に見えるような人物ではない。聞き上手ではあるが、あまり自分のことは話したがらない。
穏やかで誠実。自分なりに正しいと思うことをしようとはするが、それを追求しすぎて波風を立てたり、他の人に脅威を感じさせることは無い。比較的、誰とでもすぐに仲良くなれる方だが、独立心が強く、人と群れたがらない一匹狼。
彼ら自身が人から搾取しようとすることは無いが、もしも人から一方的な協力を求められたり、理不尽な要求をされた場合は断固として拒否する。やや皮肉屋なこともある。
勤勉で忍耐強く、決断力もある。タスクを完了することに専念しており、一度にひとつの物事に集中して取り組む。自分が決めたやり方とペースから外れるやり方は好まない。人との関わりが希薄なルーチンワークを好む。
見るからにストイックそうに見える人。ぶっきらぼうでめったに笑わない。感情表現は控えめで、愛情や親愛の表現も消極的。怒った時は態度が頑なになり、静かに怒りを示す。
Phlegmatic-Sanguine
よく見られる組み合わせ。Phlegmaticの融通を利かせて周囲に適応しようとする面と、Sanguineの社会的に受け入れられたいという面を併せ持っている。Phlegmaticのバリエーションの中で、最もフレンドリー。たくさんの人と交流してバカ騒ぎするよりは、限られた友人や家族と過ごす静かで穏やかな時間を好む。
仕事でもプライベートでも温和で親しみやすく、他者に協力的で寛容であるため、どちらかというと人から好かれたり、付き合いやすいと思われやすい。人と対立したり、強引に何かを要求するのは苦手で、周囲の人々との調和的な関係を大切にしている。
ストイックそうな見た目の人が多いが、実際にはそれほどストイックではない(むしろ努力は苦手で、自分の実力以下のパフォーマンスしか発揮できていない人も多い)。心優しく、ユーモラスで、言葉を荒げたり、乱暴な態度を取ったりすることはないため、子供からも懐かれやすい。時にはおしゃべりになったり、自然な笑顔を見せることもある。
先述した通り、自分を追い込んでまで努力するのは苦手だが、つい人にサービスしてしまう面があったり、なかなかノーと言えない面があるため、自分の能力を超えることを引き受けてしまうことはある。
忠実で信頼できる人であるが、チームで行う活動よりは、一人でできる活動を好む。ルーチンワークは出来なくはないが、ちょっとした変化がある仕事のほうが楽しく働ける(ただし急激な変化は苦手)。自分のペースで働く方が快適なので、「最初にやり方を教えてもらったら、後は一人で自由にやれる仕事」が理想的。実際に自分の手でやってみながら学習する。一度決めたやり方やアプローチを変えることには抵抗がある。
Phlegmatic-Melancholic
よく見られる組み合わせ。Phlegmaticの融通を利かせて周囲に適応しようとする面と、Melancholicの物事を正しく行いたいという面を併せ持っている。Phlegmaticのバリエーションの中で、最も一貫性があり、あまり感情を表に出さない組み合わせ。他の気質の組み合わせよりもマイペースに生きており、のんびりしていてあまりストレスを感じることがない。自己イメージはどちらかというと低めなことが多い。
愛情表現は控え目だが、誠実で融通は利くほう。Phlegmatic-Melancholicは、最も穏やかで優しい気質の組み合わせの一つでもある。一人でいるのが好きだが、限られた友人や家族と過ごす時間もなくてはならないものである。
自分が友人だと思っている人が困っていたら、いつもごく自然に手助けする。人に恥をかかせるようなことは、決して言わないようにしている。
感情の波があまりなく、冷静で堅実。シンプルな服装を好む人が多い。消極的ではあるが集中力、決断力、忍耐力がある。独立心が強く、自分なりのペースをルーチン化したがる。節度を持って計画的に仕事をこなし、一度着手した物事は最後まできちんとやり通す。一度決めた方法を変えることには抵抗がある。好奇心旺盛で、色々なことについて調べたり、考えたりする。
人にノーと言うのが苦手で、人と対立したり、人に圧力をかけるのも非常に苦手。もしもそうせざるを得ない場合は、皮肉っぽく、やや攻撃的になってしまうことがある(とはいえPhlegmatic-Melancholicは、人に怒りを感じたり、敵意を抱くこと自体があまりないのに加えて、避けられる争いは避けようとする傾向が強いので、滅多に人と争いになることは無い)。
物質的な物や家族の時間、そして自分の友人に対する独占欲が非常に強い。しかしそれと同時に「何かに関与しすぎること」を恐れているため、何らかの集団に所属すること自体を恐れている面もある。