本記事およびリンク先の内容は、ドン・リチャード・リソおよびラス・ハドソンの情報をもとにしたものです。ナランホなど、他の専門家の定義や解釈とは異なる可能性があります。
全タイプ間の比較
タイプ1
- タイプ1とタイプ2の違い
- タイプ1とタイプ3の違い
- タイプ1とタイプ4の違い
- タイプ1とタイプ5の違い
- タイプ1とタイプ6の違い
- タイプ1とタイプ7の違い
- タイプ1とタイプ8の違い
- タイプ1とタイプ9の違い
タイプ1:
- 基本的な恐れ:自分が間違っている、欠陥がある、悪い人間だと思われることへの恐れ
- 基本的な欲求:誠実であること(行き過ぎると完璧主義と批判に陥ります)
- 情念:憤怒。完璧を求めるあまり、自分や世界に対して常に不満を感じ、思い通りにならないことに苛立ちを募らせます。しかし、怒りを表に出すことを良くないと考え、無意識のうちに抑え込んでしまいます。
- 幼少期のメッセージ:間違いを犯してはいけません
- 失われたメッセージ:あなたはいい人です
タイプ2
- タイプ1とタイプ2の違い
- タイプ2とタイプ3の違い
- タイプ2とタイプ4の違い
- タイプ2とタイプ5の違い
- タイプ2とタイプ6の違い
- タイプ2とタイプ7の違い
- タイプ2とタイプ8の違い
- タイプ2とタイプ9の違い
タイプ2:
- 基本的な恐れ:愛される価値がないと思われることへの恐れ
- 基本的な欲求:愛されたいという欲求(行き過ぎると他人に必要とされることに執着してしまいます)
- 情念:傲慢。自分の本当の欲求を後回しにし、他者を助けることで満たされようとします。そのため、自分の苦しみを直視せず、気づかないうちに無理を重ねることがあります。また、自分の優しさや献身を誇りに思うあまり、知らず知らずのうちに自己満足に陥ることもあります。
- 幼少期のメッセージ:自分のニーズを持ってはいけません
- 失われたメッセージ:あなたは必要とされています
タイプ3
- タイプ1とタイプ3の違い
- タイプ2とタイプ3の違い
- タイプ3とタイプ4の違い
- タイプ3とタイプ5の違い
- タイプ3とタイプ6の違い
- タイプ3とタイプ7の違い
- タイプ3とタイプ8の違い
- タイプ3とタイプ9の違い
タイプ3:
- 基本的な恐れ:自分には価値がない、存在意義がないと感じることへの恐れ
- 基本的な欲求:価値ある存在になりたいという欲求(行き過ぎると成功を追い求めることに囚われるようになります)
- 情念:欺瞞。自分が「エゴ(自我)」だけの存在だと思い込む自己欺瞞から始まります。その結果、彼らは本当の自分を隠し、社会的に価値があるとされる自分を作り上げようとします。これは「虚栄心」に繋がり、内面的な充実を求めるのではなく、成功や他者からの評価を追い求めることになります。
- 幼少期のメッセージ:自分の気持ちやアイデンティティを持ってはいけません
- 失われたメッセージ:あなたはありのままのあなたとして愛されています
タイプ4
- タイプ1とタイプ4の違い
- タイプ2とタイプ4の違い
- タイプ3とタイプ4の違い
- タイプ4とタイプ5の違い
- タイプ4とタイプ6の違い
- タイプ4とタイプ7の違い
- タイプ4とタイプ8の違い
- タイプ4とタイプ9の違い
タイプ4:
- 基本的な恐れ:自分らしさが失われ、誰からも特別だと思われないことへの恐れ
- 基本的な欲求:自分らしくありたいという欲求(行き過ぎると自己陶酔に陥ります)
- 情念:嫉妬。「自分には何かが足りない」と感じることから生まれます。他人が持っているものを羨ましく思い、自分に足りないものを欲しがり続けます。そのため、自分がすでに持っている幸せや恵みを見逃してしまうことがよくあります。
- 幼少期のメッセージ:あまりにもうまく物事をこなしたり、幸せであってはいけません
- 失われたメッセージ:あなたはそのままのあなたを見てもらえています
タイプ5
- タイプ1とタイプ5の違い
- タイプ2とタイプ5の違い
- タイプ3とタイプ5の違い
- タイプ4とタイプ5の違い
- タイプ5とタイプ6の違い
- タイプ5とタイプ7の違い
- タイプ5とタイプ8の違い
- タイプ5とタイプ9の違い
タイプ5:
- 基本的な恐れ:無能な役立たずだと思われることへの恐れ
- 基本的な欲求:有能でありたいという欲求(行き過ぎると実用性のない専門知識にこだわるようになってしまいます)
- 情念:貪欲。他人との関わりが自分の時間やエネルギーを奪うことを恐れ、過剰に消耗することを避けようとします。そのために、人との接触を最小限にし、距離を置くことが多くなります。
- 幼少期のメッセージ:この世界で快適に過ごすことは許されない
- 失われたメッセージ:あなたのニーズ(欲求)は、他人や状況にとって負担や問題にはなりません
タイプ6
- タイプ1とタイプ6の違い
- タイプ2とタイプ6の違い
- タイプ3とタイプ6の違い
- タイプ4とタイプ6の違い
- タイプ5とタイプ6の違い
- タイプ6とタイプ7の違い
- タイプ6とタイプ8の違い
- タイプ6とタイプ9の違い
タイプ6:
- 基本的な恐れ:頼れる人や指針がなく、不安に取り残されることへの恐れ
- 基本的な欲求:安心したいという欲求(行き過ぎると特定の信念に固執してしまいます)
- 情念:恐れ。起こっていないことへの不安から最悪を想定し続け、過剰に警戒します。他者や権威、自分の力に頼ろうとしますが、結局不安は消えず、信頼を確かめる行動を繰り返します。
- 幼少期のメッセージ:自分を信じてはいけません
- 失われたメッセージ:あなたは安全です
タイプ7
- タイプ1とタイプ7の違い
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- タイプ3とタイプ7の違い
- タイプ4とタイプ7の違い
- タイプ5とタイプ7の違い
- タイプ6とタイプ7の違い
- タイプ7とタイプ8の違い
- タイプ7とタイプ9の違い
タイプ7:
- 基本的な恐れ:楽しみを奪われたり、苦しみに閉じ込められることへの恐れ
- 基本的な欲求:幸せになりたいという欲求(行き過ぎると現実逃避に走ります)
- 情念:暴食。死や無への根源的な恐れからくる空虚感を埋めようと、楽しみや刺激、可能性を際限なく求め続ける傾向です。しかし、どれだけ得ても満たされず、次々と新しい対象へ移っていきます。
- 幼少期のメッセージ:誰にも何も頼ってはいけません
- 失われたメッセージ:あなたは守られます
タイプ8
- タイプ1とタイプ8の違い
- タイプ2とタイプ8の違い
- タイプ3とタイプ8の違い
- タイプ4とタイプ8の違い
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- タイプ6とタイプ8の違い
- タイプ7とタイプ8の違い
- タイプ8とタイプ9の違い
タイプ8:
- 基本的な恐れ:他人に傷つけられたり、支配されることへの恐れ
- 基本的な欲求:自分を守りたいという欲求(行き過ぎると常に闘争的になります)
- 情念:欲望。これは「常に強く、支配的でありたい」という欲求です。力強さを持ち続け、周囲に対して影響力を誇示し、物事を自分の力で動かそうとします。
- 幼少期のメッセージ:弱さを見せたり、誰かを信じてはいけません
- 失われたメッセージ:あなたが裏切られることはありません
タイプ9
- タイプ1とタイプ9の違い
- タイプ2とタイプ9の違い
- タイプ3とタイプ9の違い
- タイプ4とタイプ9の違い
- タイプ5とタイプ9の違い
- タイプ6とタイプ9の違い
- タイプ7とタイプ9の違い
- タイプ8とタイプ9の違い
タイプ9:
- 基本的な恐れ:大切な人とのつながりが失われ、孤立してしまうことへの恐れ
- 基本的な欲求:平和でいたいという欲求(行き過ぎると極端な無関心状態に陥ります)
- 情念:怠惰。ここでいう「怠惰」とは、現実から目を背け関わりを避ける心理的回避です。目に見えて怠惰である場合もあれば、むしろ怠惰とは真逆の存在に見えることもありますが、いずれにせよ本質的には必要なことを避け、心理的に面倒な課題から距離を取ろうとします。
- 幼少期のメッセージ:自分を主張してはいけません
- 失われたメッセージ:あなたの存在は大切です
参考資料:
- Don Riso and Russ Hudson (1996), Personality Types: Using the Enneagram for Self-Discovery
- Don Riso and Russ Hudson (1999), The Wisdom of the Enneagram: The Complete Guide to Psychological and Spiritual Growth for the Nine Personality Types
エニアグラムのタイプの構成要素
基本的な恐れ
基本的な恐れとは、各タイプが持つ根本的な不安(死ぬこと、消滅することへの不安)のことです。
不安と言うとエニアグラムのヘッドセンター、特にタイプ6が連想されますが、この意味ではタイプ6に限らず全てのタイプはそれぞれ何らかの形で不安に囚われているといえます。幼少期に本質(環境によらず存在する「生まれ持った自分」)とのつながりが断絶することで生じるものであり、人格形成の起点となります。
基本的な欲求
基本的な欲求とは、基本的な恐れを補償するために生じた欲求のことです。「この欲求が満たされれば、基本的な恐れから解放される」という思い込みともいえます。
エニアグラムについて、すでに多くの情報に触れてきた読者の方にはわかりやすいかもしれませんが、エニアグラムの「タイプの特徴」は、ポジティブな性格特性よりも、むしろネガティブな性格特性が強調される傾向があります。これは、エニアグラムの核心が基本的な恐れや、そこから逃れようとする欲求にあるからであり、しかもこの欲求は、過剰補償の結果として歪んだ形であらわれることがしばしばあるためです。
情念
情念(Passion)。Passionを直訳すれば「情熱」ですが、ここれは日本語で「情熱」と聞いた時に連想されるイメージよりももっとダークなものを意味しています。病的な思考パターンへの執着を意味していると解釈する方がわかりやすいです。
タイプごとにそれぞれ異なる情念があり、伝統的な「七つの大罪」に「恐れ」と「欺瞞」を加えた9つが対応付けられています。人がどのようにしてエゴに囚われ、心身のバランスを崩していくのかを端的に表わすものです。無意識のうちに繰り返されるネガティブな行動パターンだともいえます。
幼少期の無意識のメッセージ
幼少期に、養育者や周囲の人々から受け取ったメッセージ(「生まれ持った自分」に歪みを生じさせたメッセージ)のことです。養育者は直接口に出していなくても、非言語的な形で受け取ってしまったメッセージであることもあります。そのため養育者に聞いても「知らない」「そんなこと言っていない」と言われることもあるでしょう。(エニアグラムのタイプが先天的なものであるか後天的なものであるかと言う議論はありますが、ここではこれについては論じません。先天的であると仮定する場合、同じ環境で育っても特定のタイプの人だけが特定の「幼少期の無意識のメッセージ」を感じ取ってしまうと解釈できるかもしれませんし、後天的であると仮定するのであれば話はさらにシンプルです)
例えば極端なケースですが「養育者がアルコール中毒で全く頼りにならず、むしろ些細なことで爆発する危険な存在であり、家の中は脱ぎ散らかされたままの服や、洗っていない食器、ゴミで埋まっていて、さらには目を離すと一瞬で死んでしまいそうな幼い弟や妹がいた」という幼少期を送った人が、こうした環境全体から「自分がしっかりしないと死ぬ」と本能的に感じ取り、それが心に強く焼き付いてしまったものが、エニアグラムにおける「幼少期の無意識のメッセージ」だと言えます。
失われたメッセージ
失われたメッセージとは、幼少期に十分に与えられることがなかったメッセージのことです。これは恐れを癒すことのできる肯定的なメッセージであり、各タイプが無意識のうちに渇望しているものです。
参考資料:
- Don Riso and Russ Hudson (1996), Personality Types: Using the Enneagram for Self-Discovery
- Don Riso and Russ Hudson (1999), The Wisdom of the Enneagram: The Complete Guide to Psychological and Spiritual Growth for the Nine Personality Types