タイプ3は本質的に他者の評価を重視し、周囲の期待に応える形で自己を調整します。しかし、現代の社会では、自分をしっかりと持ち、恐れずに主張すべきことを主張できる力強さが評価される風潮があるため、一部のタイプ3はタイプ8のような堂々とした態度を模倣することがあります。また、タイプ8は社会に適応する過程で、より効果的な方法でその特徴を発揮することを学びます。その際、両者には以下のような違いが見受けられます。
なお本記事はドン・リチャード・リソ、ラス・ハドソンの情報を参考にしてサイト管理人独自の観点から整理したものであり、正確な原典を知りたい方にはオススメできない記事です。ご注意下さい。他のタイプの比較:「エニアグラム 全タイプ比較」
自己主張の仕方の違い
- タイプ3(タイプ8のように振る舞うタイプ3): 自分の意見を強く主張しているように見せかけますが、実際には周囲の反応を慎重に見守り、決定的なイメージダウンを避けるために言葉を選びます。例えば、新商品の企画会議で「これが市場を変える」と自信満々に提案しますが、同僚が「予算が厳しい」と反論すると、「確かに調整の余地はあるね」と柔軟に方向転換し、チーム全員から「協力的だ」と好印象を与えます。タイプ3は積極的に自分を表現しますが、その背後には他者の反応を過剰に気にする傾向があり、自己主張が計算された演出にとどまることが多いです。
- タイプ8(社会に適応しているタイプ8): 自分の意見を通すために断固たる態度を取ります。例えば、新商品の企画会議で「これが最善の選択だ、他の案は非効率だ」と断言し、予算への懸念に「まずは動き出して、後で調整すればいい」と返答します。同僚が反論し続けると、「今は決断の時だ、迷っている暇はない」と穏やかながらも力強い口調で議論を収束させます。結果として「少し強引だ」「協調性に欠ける」とチーム内で囁かれることもありますが、完全に孤立することはありません。タイプ8の柔軟性を欠いた態度は、実力があったとしてもそれを嫌う人々を生むことがよくあります。
大胆さの表れ方の違い
- タイプ3(タイプ8のように振る舞うタイプ3): リスクを取るタイプ8を模倣し、挑戦的な行動を取る一方で、失敗を目立たせないように事前に慎重な準備を行います。例えば、部署の業績向上を目指して「私が新プロジェクトを立ち上げる」と宣言しますが、実際には事前に上司や同僚に根回しをして賛同を得てから実行し、失敗リスクを最小限に抑えます。「大胆な挑戦」と会議でアピールしつつ、実際は「準備が整っていた」と評価され、賞賛を得ることができます。もし合意が得られない場合でも、「これならどうか」と代替案を提示し、Win-Winの関係を築こうとします。不健全な場合、反対派を裏で取り込んで対立を最小化します。
- タイプ8(社会に適応しているタイプ8): 大胆な行動を取る際、他者の懸念を軽視しがちですが、社会的な枠組みの中で進めます。例えば、同じプロジェクトで「これを今始めれば必ず成果が出る」と即決し、リスクを指摘する部下に「細かいことは後で調整しよう」と冷静に答えます。準備不足のため初日に小規模なトラブルが発生しますが、迅速に対応して損失を許容範囲に抑えます。衝突については深刻に考えず、「衝突しても問題ない。早めに強く言った方がその後が楽になる」と前向きに捉え、チーム内で「少し強引だ」と見られながらも許容されます。この大胆さは時に波紋を広げますが、致命的な結果にはつながりません。
感情的なプレッシャーへの耐性
- タイプ3(タイプ8のように振る舞うタイプ3): 感情的なプレッシャーに弱く、激しい批判を受けると態度を変えます。例えば、プレゼンで顧客から「非現実的だ」と連続して指摘されると、「確かに見直しが必要ですね」と強気を引っ込め、笑顔で対応し場を収めます。この柔軟性で場を治めますが、顧客からは「優柔不断」と一時的に評価されることもあります。タイプ3は他者の評価を重要視し、プレッシャーには自己防衛的に対応するため、強気の態度は長続きしません。
- タイプ8(社会に適応しているタイプ8): 感情的なプレッシャーに耐性があり、批判にも冷静に対応しますが、感情的な強さが目立ちます。例えば、同じプレゼンで顧客からの批判に「その視点は理解するが、これが最良だと確信している」と毅然と反論し、議論を自分のペースで進めます。その後、顧客から「頑固だ」と不満が出ても、代替案を提示して取引は維持されます。タイプ8はプレッシャーを受けても自己の強さを保ち、その反応が多少の摩擦を生んでも、深刻な問題には発展しにくいです。
自分の提案にいきなり強めに反対された時
- タイプ3(タイプ8のように振る舞うタイプ3): 予想外に強い反対を受けて動揺し、計算ミスに焦りを感じるものの、表向きは冷静さを保ちながら議論を進めます。
- タイプ8(社会に適応しているタイプ8): 初めは「お前は何様のつもりだ」「偉そうにしやがって」と怒りがこみ上げますが、すぐに冷静さを取り戻し、その怒りを表に出さず、冷静に議論を続けます。
まとめ
タイプ3が社会的な期待に応じて「典型的なタイプ8のように、自分に自信を持ち、果敢に行動する人物像」を模倣する場合、必要に応じて堂々と自己主張を行いつつも、その一方で計算高く柔軟に対応し、他者の反応を気にしながら好感を得ようとする傾向が顕著に現れます。例えば、会議で自分の提案に反対意見を感じると、柔軟に方針を変更し、妥協案を模索することで協力的だと評価されることがあります。対照的に、社会適応したタイプ8は、自己主張が一貫して強く、他者の懸念を無視して自分の決断を貫きます。例えば、反対意見を軽く流しながらも自分のペースで進め、「押しが強い」と評価されることが多いです。大胆さについては、タイプ3はリスクを回避した上で挑戦をアピールし、タイプ8はリスクを顧みずに行動を開始します。プレッシャーへの耐性では、タイプ3は態度を変化させて脆さを見せる一方、タイプ8は毅然とした態度で耐え、摩擦を引き起こす点が異なります。これらの違いは、タイプ3の承認欲求とタイプ8の支配欲求に基づいており、両者を見分ける際の重要な指針となります。
参考資料
- Don Riso and Russ Hudson (1996), Personality Types: Using the Enneagram for Self-Discovery
- Misidentifying Threes and Eights