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エニアグラム タイプ7とタイプ8の違い

2021年7月13日火曜日

エニアグラム タイプ7 タイプ8

タイプ7とタイプ8の違い

エニアグラムのタイプ間の違いについてドン・リチャード・リソ、ラス・ハドソンの情報を参考にして整理しました。なお、他の研究者(イチャーソやナランホ、トライタイプのキャサリン・フォーブルなど)とはタイプの定義が異なる可能性があるのでご注意ください。他のタイプの比較:「エニアグラム 全タイプ比較

目次[非表示]

タイプ7とタイプ8の特徴の整理

タイプ7とタイプ8は、行動の勢いや自己主張において似ているように見えることがありますが、その根本的な動機や行動のパターンは大きく異なります。以下の比較を通じて、両者を区別するためのポイントを示します。

主要な動機

  • タイプ7: 新しい経験を求め、制約や不快な状況から逃れることが動機です。自由を大切にし、楽しみを追い求めます。
  • タイプ8: 自分の力を保ち、他人に支配されないことが重要です。状況をコントロールし、自立を守ることを目指します。

違い
タイプ7は自由を求めて広がりを目指し、タイプ8は力を求めて集中を重視します。動機が解放志向か支配志向かで違いが見られます。

健全な状態の特徴

  • タイプ7: 楽観的で柔軟な考え方を持ち、他者と協力して新しいアイデアを生み出します。好奇心旺盛で、周囲に喜びを与え、明るい雰囲気を作り出します。
  • タイプ8: 自信に満ち、決断力を持って周囲を導きます。公正で守るべきものに対して保護的な態度を示し、困難にも立ち向かう強いリーダーです。

違い
タイプ7は楽しく協力的な雰囲気を作り出すことに重点を置き、タイプ8は指導力と保護的な態度を強調します。広がりと明るさが特徴的なタイプ7に対し、タイプ8は集中した強さを持っています。

通常の状態の特徴

  • タイプ7: 衝動的で注意が散漫になり、責任を避ける傾向があります。楽観的すぎて、現実の問題を無視してしまうことが多いです。
  • タイプ8: 威圧的で自己主張が強く、他者に自分の意見を強く押し付けます。対立を好み、弱さを見せずに頑固な態度を取ります。

違い
タイプ7は回避的で軽快な態度が目立つ一方、タイプ8は対立的で強い態度が特徴です。行動の背後にある動機が、逃避か力の行使かの違いです。

不健全な状態の特徴

  • タイプ7: 焦りと混乱に支配され、衝動的に逃げる行動が強まります。現実を直視できず、自分を破壊するような行動や無責任な態度が目立つようになります。
  • タイプ8: 冷徹で攻撃的になり、他者を完全に排除しようとします。支配欲が制御できなくなり、孤立や破壊的な結果を招くことがあります。

違い
タイプ7は不安からくる無秩序な逃避が特徴的で、タイプ8は怒りからくる計画的な攻撃が際立ちます。行動の基盤が混乱か支配の暴走かで異なります。

対立への反応

  • タイプ7: 対立を軽く受け流し、「面倒だから次に進もう」と逃げがちです。衝突を避け、新しい選択肢を見つけて方向転換します。
  • タイプ8: 対立を正面から受け止め、「負けない」と立ち向かいます。自分の力を示し、相手を屈服させるまで譲りません。

違い
タイプ7は対立を避けるために広がりを持って回避し、タイプ8は対立に立ち向かい集中して制圧します。逃避する軽さと戦う重さが異なります。

タイプ7とタイプ8を見分けるためには、その動機が自由を求めるものか、力を求めるものかを確認し、行動が回避による広がりか、支配による集中かを観察することが大切です。特に通常の状態から不健全な状態に移行した場合、衝動的な行動や攻撃的な態度が似てくることがあります。そのため、行動の背景にある感情(焦りや怒り)や、対立への対応の仕方に注目することが重要です。

親との関係における位置づけ

共通点

幼少期における養育者との関係が性格形成に与える影響

  • タイプ7とタイプ8は、幼少期における養育者との関係がその後の性格に大きな影響を与えます。タイプ7は養育者からの安定感の欠如を感じ、タイプ8は養育者との関わりを通じて自己を強化していきます。

感情的な防衛機制の形成

  • 両者は、親との関係から生じる感情的な課題に対処するために防衛的な態度を築きます。タイプ7は不安を回避するため外部に逃避し、タイプ8は傷つきやすさを隠し、強さを求める傾向があります。

自立の模索

  • 養育者との関係が自立の道筋に大きく影響します。タイプ7は養育者の不在や不十分さを感じ取ることで、自ら満足を得ようとします。タイプ8は支配を避けるため、自己の力を確立しようとします。

相違点

養育者との結びつきの特性

  • タイプ7: 養育者との繋がりが断たれ、心理的に隔絶された感覚を抱くようになります。安定や愛情が欠けていると感じ、自分で満足を得る方法を模索します。
  • タイプ8: 養育者との愛憎が入り混じった複雑な結びつきを保ちながら、その関係を補完する形で自己を形成します。愛情や価値観を獲得するために、強さが必要だと学びます。

親との向き合い方

  • タイプ7: 養育者への依存を避け、欲求不満を感じると、外の世界に逃げ込み、自己充足を追求します。親への期待を捨て、自由を最優先します。
  • タイプ8: 養育者に頼ることなく結びつきを維持しつつ、自らの権威を強調します。支配されることを拒み、親に対して保護者としての役割を果たすことに力を入れます。

感情的な結果と行動パターン

  • タイプ7: 養育者からの喪失感や不安が、過度な体験追求や現実逃避の行動につながります。内面的な痛みを避けるため、外部の世界に向かって目を向け続けます。
  • タイプ8: 養育者との葛藤から、傷つきやすさを抑圧し、強さへの執着を持ちます。他者に対する不信感と自己主張を強化し、感情の管理を徹底します。

タイプ7とタイプ8は、養育者との関係が性格に深い影響を与える点や防衛的な態度を取る点で共通していますが、その向き合い方や結果には違いがあります。タイプ7は養育者との断絶から自由と多様性を追い求め、外部へ逃げる形で自立を目指します。一方、タイプ8は養育者との結びつきを基に強さと支配を築き、内面の弱さを隠しつつ自立を追求します。これらの違いが、両者の世界への接し方や感情の処理方法に明確な差異を生み出しています。

外見上の共通点(誤認されやすい理由)

タイプ7とタイプ8は、エニアグラムにおいてどちらも攻撃的な性格タイプとされ、強い自己主張とエネルギッシュな姿勢が顕著であるため、外見上は混同されやすいです。両者は、人生で求めるものを追い求める強い個性を持ち、行動的で自信にあふれた印象を与えます。例えば、タイプ7は多様な体験を求めて活動的に動き回り、健全な状態では熱狂的で社交的な面を見せます。一方、タイプ8は強い影響力を持ち、健全な状態では指導者としての威厳を感じさせます。この「自分の意志を貫こうとする力」が、両者を区別する際に混乱を招く大きな要因となっています。

さらに、両者は積極的に周囲と関わり、他者を巻き込む傾向があります。タイプ7は楽しさや新しい可能性を追い求める中で周りを引き寄せ、通常の状態では自己中心的な衝動が目立つことがあります。それに対して、タイプ8は支配や自立を確保するために環境を制御し、通常の状態では威圧的な態度が顕著に表れます。この「周囲への影響力の強さ」が、外見上の行動として似て見え、判別を難しくします。特に不健全な状態では、両者とも衝動的で破壊的な行動に出ることがあり、タイプ7の現実逃避とタイプ8の暴力的な支配が似通った混乱を引き起こすため、誤認されるリスクが高まります。こうした行動の目立ちや力強さが、両者の違いを見分ける際の障害となります。

本質的な違い(決定的な見分け方)

動機の焦点

  • タイプ7: 行動の原動力は多様性と自由であり、新しい体験を次々と試しながら人生をより豊かにしようとします。退屈や制限を避け、選択肢を広げることで喜びを見いだし、楽しさの最大化を目指します。不安から逃れるため、常に動き続け、深さよりも広がりのある経験を優先します。そのため、長期的な責任や一つの目的に縛られることを嫌い、自由な生活を重要視します。
  • タイプ8: 動機の中心は強烈さと支配にあり、自己の力を環境に及ぼすことに情熱を注ぎます。自立を保ち、他者に影響を与えることで存在感を示し、弱さへの抵抗が行動を駆り立てます。楽しさよりも強烈な体験や権力の確保に価値を置き、状況を掌握することで安心感を得ます。目標達成のためにリスクを冒し、自己主張を貫く姿勢が顕著です。

意思決定の基盤

  • タイプ7: 思考が意思決定の中心となり、鋭い頭脳がアイデアや計画を生み出します。好奇心に導かれ、可能性を追い求める一方、直感よりも理論的に考える傾向があります。感情や現実よりも未来のビジョンに重きを置き、即興的に行動を起こすことが多いです。しかし、衝動的な思考が現実的な実行力を欠く場合もあります。
  • タイプ8: 本能が意思決定の基盤となり、直感的に行動を決定します。現実的な課題に即座に反応し、感情や状況を直感的に判断して行動するため、思考よりも体が先に反応します。感情的な揺れはあっても、実践的な視点を持ち続け、迅速かつ力強い決断を下すのが特徴です。

現実との関係

  • タイプ7: 未来志向が強く、現実よりも次の楽しみや可能性に意識が向かいます。計画や興味が広がりすぎて、地に足をつけるのが難しく、散漫になりがちです。現実の制約を軽視し、理想や夢に逃げ込みがちで、目の前の課題に集中するよりも次に何をしようかと考えることが多いです。
  • タイプ8: 現実的な視点が強く、現在の状況にしっかりと根ざして行動します。環境を掌握し、具体的な成果を出すことに集中するため、目の前の課題に全力を注ぎます。現実を直視し、それを自分の意志で変える力を持つと信じ、未来の空想よりも今を支配することに価値を置きます。

権力への姿勢

  • タイプ7: 権力にはほとんど関心がなく、むしろそれを維持するための努力が自由を制限すると感じます。多様な体験を楽しむためには束縛を避ける必要があり、権力の追求がその障害となると見なします。他者を支配するよりも、自分が自由に行動できる状態を重視し、責任を負うことを避ける傾向があります。
  • タイプ8: 権力を積極的に求め、自立と影響力を保つための手段として重視します。環境や他者を支配することで、自分の意志を貫き、弱さから身を守ると考えます。権力を持つことは自然な欲求であり、それを握ることで安心感を得ます。他者に従うことを嫌い、自分が主導権を取ることを選びます。

具体的な見分け方のポイント

行動の目的が楽しさか支配か

タイプ7は新しい体験や楽しさを追い求めて行動し、様々な活動に積極的に参加します。一方、タイプ8は環境や他者を支配し、自己の力を示すことに重きを置きます。行動の目的が快楽追求なのか権力行使なのかを観察することで、違いが明確にわかります。

会話が拡散するか集中するか

タイプ7は話題を次々と広げ、会話が軽やかに進んでいきます。対してタイプ8は主張が強く、一つのテーマに集中し、会話は力強く進行します。会話の流れが散漫か一つの点に集中するかを見れば、違いがはっきりわかります。

現実への向き合い方が浮世離れしているか、地に足がついているか

タイプ7は未来や空想に意識が向かい、現実から浮世離れしていることが多いです。タイプ8は現実の課題にしっかりと向き合い、地に足をつけて行動します。現実への姿勢が夢想的か実際的かを見分けることで、両者の違いが分かります。

権力への態度が無関心か積極的か

タイプ7は権力を自由を制限するものと見なし、関心を示さず避ける傾向にあります。タイプ8は権力を積極的に求め、自立と影響力の源として重視します。権力に対する態度が消極的か積極的かを確認することで、タイプを見分けることができます。

感情の表れが軽快か激しいか

タイプ7は感情を軽やかに表現し、楽観的な雰囲気が強調されます。タイプ8は感情が激しく、怒りや情熱が前面に出ることが多いです。感情表現が明るく広がるか、重く集中的かを見れば、タイプの違いが分かります。

まとめ

  • タイプ7は多様な体験を追い求め、タイプ8は力強い影響力を目指す。
  • タイプ7は思考が主導し、タイプ8は直感や本能に基づいて行動する。
  • タイプ7は現実から離れ、タイプ8は現実をしっかりと支配する。
  • タイプ7は権力に興味を示さず、タイプ8は積極的に権力を追求する。
  • タイプ7は楽観的で拡散的、タイプ8は現実的で収束的。

7w8の特徴概要と7w6との違い

7w8の特徴概要

7w8は、楽しさを追求する中で自らの力を強調するタイプです。新しい挑戦を好み、例えば趣味のスポーツや仕事において大胆にリスクを取ります。自信に満ち溢れ、やりたいことを迷わず実行し、周りを巻き込むよりも自分で道を切り開くことを好みます。例えば、突然旅行を決め、他の人がついてくるのを待たずに出発することがあります。

人間関係においては率直で積極的に意見を述べ、自分の意見をはっきり伝えます。例えば、友人との計画で「ここに行こう!」と主導権を握ることが多いです。現実的な考え方を持ち、楽しみだけでなく結果にも重きを置き、自由を確保するために強い態度を取ることが特徴です。失敗を恐れずに果敢に行動します。

7w8の視点から見た7w6との違い

7w8から見ると、7w6も楽しさを追求するタイプですが、どこか優柔不断で周囲を気遣う印象を受けます。7w8は「やりたいなら今すぐやる」と即決し、例えば新しいレストランに迷わず行こうとするのに対し、7w6は「みんなが賛成してるかな?」と他人の意見を気にする傾向があります。

また、7w8は自分の意志で積極的に行動し、計画を一人で進めるのに対し、7w6は仲間との調和を大切にし、不安を感じると周りに相談を持ちかけることが多いです。7w8が「自分が楽しければいい」と独立を優先するのに対し、7w6は「みんなで楽しんだほうが安心する」と協調を求める点が大きな違いです。

8w7の特徴概要と8w9との違い

8w7の特徴概要

8w7は、力強さと楽しさを大胆に追い求めるタイプです。自分の意志を貫き、例えば新しいプロジェクトを即座に始めて周囲を巻き込むことが得意です。エネルギッシュで行動的、冒険心が強く、リスクを恐れず挑戦する姿勢を持っています。例えば、急に山登りを計画し、仲間を誘って実行に移すことがあります。

人間関係においては率直で強気な姿勢を取ることが多く、例えば意見が対立すると「自分のやり方が一番だ」と主張することがあります。楽しさと力を両立させ、自分のペースで突き進むことを好みます。現実的で結果を重視しつつ、陽気な雰囲気を作り出すことが得意です。独立心が強く、他者に頼るより自分で道を切り開く姿勢が特徴です。

8w7の視点から見た8w9との違い

8w7から見ると、8w9は同じく力強いタイプでも、より穏やかで控えめな印象を受けます。8w7は「今すぐに動いて結果を出したい」と考え、例えば会議で即決を求めるのに対し、8w9は「一度落ち着いて様子を見よう」と静かに待つことが多いです。

また、8w7は楽しさを求めて大胆に動き、例えば派手なパーティーを仕切るのに対し、8w9は平和を大切にし、争いを避けるために柔軟に対応します。8w7が「自分が主導して楽しむ」と自己主張を強調するのに対し、8w9は「みんなが落ち着いていることが一番大事」と調和を優先する点が大きな違いです。

7w8と8w7の違い

7w8と8w7は、どちらも積極的で自己主張が強く、周囲に強い印象を与えるタイプです。エネルギッシュで大胆な姿勢が共通しており、楽しさや力を求める姿勢が似ているものの、内面的な動機や行動の背景には明確な違いがあります。これらを理解することで、両者を区別することができます。ここでは、内面や動機の違いに焦点を当て、それらを整理してみましょう。

行動の類似性:大胆さとエネルギーの発揮

7w8と8w7は、どちらも大胆でエネルギッシュに行動します。新しいアイデアを実行する際には、ためらうことなく動き出し、周囲を巻き込むことが得意です。7w8は趣味の活動を即座に始め、8w7は仕事のプロジェクトをリードして進めます。楽しさや力を強調する姿勢が似ており、他者に与える影響力の強さも共通しています。

内面的動機の違い:楽しさか支配か

  • 7w8: 7w8の内面では、楽しさと自由が最大の動機となります。新たな挑戦を通じて気分を高揚させたいと考え、例えば急に旅行を計画することで退屈を避け、楽しさを求めます。力はあくまで楽しさを支えるための手段に過ぎません。
  • 8w7: 8w7の動機は支配と自立に重きを置きます。自分の影響力を発揮し、環境を掌握することで自分の存在感を示すことが重要です。例えばプロジェクトを進める際、楽しさも求めますが、主に自分の影響力を確立するために動きます。

他者との関わり方:巻き込みと圧倒の違い

  • 7w8: 7w8は他者を楽しさに巻き込むことが得意で、協力はそのための手段と捉えています。例えば、友達を誘って遊びに行く際には、「一緒に楽しもう」と気軽に声をかけます。周りとの関わりは自由を広げるためのものとして意識しています。
  • 8w7: 8w7は他者を圧倒し、自分のペースに引き込むことを好みます。例えばグループで何かを決める際、「これで行こう」と決定を下し、周りを従わせることを重視します。関わり方は支配を強化する場として捉えています。

力への向き合い方:道具と目的の違い

  • 7w8: 7w8にとって力は、楽しさを追求するための道具として利用されます。例えば、仕事でリーダーシップを取る際も、面白い結果を得るために力を使います。力そのものに執着することはなく、自由を保つために力を行使します。
  • 8w7: 8w7にとって力は目的そのものであり、支配と自立を維持するための基盤です。例えば、リーダーシップを取るのは自分の意志を貫き、周りを従わせるためで、力を握ることで内面的な安心感を得ます。

不安への対処法:逃避と対決の違い

  • 7w8: 7w8は不安を感じると、楽しい行動でそれから逃げようとします。例えば、ストレスがたまると、新しい趣味や遊びに没頭して気を紛らわせ、内面的な不安に向き合うよりも外に出て解消を図ります。
  • 8w7: 8w7は不安に直面すると、それに力で対決しようとします。例えば、ストレスを感じると問題に立ち向かい、解決するまで押し切ることで不安を抑えます。逃げることなく支配することで安心感を得ます。

判別方法

  • 動機の確認: 「何のために行動するのか?」に注目しましょう。7w8は「楽しさが欲しい」と感じ、8w7は「力を示したい」と感じる傾向があります。行動の理由が大きな手がかりです。
  • 他者への態度: 他者との関わり方を観察しましょう。7w8は「一緒に楽しもう」と誘い、8w7は「従え」と圧力をかけます。協力か支配かが判別のポイントです。
  • 力の使い方: 「力はどう使われるのか?」を見てみましょう。7w8は楽しさを追求する手段として力を使い、8w7は力を目的そのものとして使います。内面の優先順位が行動に現れます。

結論

8w7は自分の立場を守り、「誰にも屈しない」姿勢を大切にします。一方で、7w8は自由な選択肢を広げたり、「もっと面白い道を探す」ことに意識を向けます。内面的には、8w7は他者への反発を強く示し、7w8は停滞を避けるために素早く変化を起こす傾向があります。

補足

タイプ7とタイプ8は、時に非常に判別が難しいことがあります。ここでは、まずはエニアグラムの基本的な概念をおさらいした後で、このパターンについて詳細に説明していきます。

基本的な恐れと情念

「基本的な恐れ」(Basic Fear)とは、誰もが心の奥底に持つ避けたい不安のことで、各タイプごとに異なる形で現れます。例えば、制限されたり傷つけられたりすることへの恐怖がそうです。各タイプの行動や思考の根底には、この基本的な恐れが存在しています。そして、あまり聞きなれないかもしれませんが、「情念」(Passion;直訳すると「情熱」ですが日本語の「情熱」はポジティブなニュアンスが強いので、本サイトでは「情念」と訳しています)とは、恐れから逃れようとする強い情念を指し、タイプ特有の癖として表出します。例えば、新しいことに飛びつく傾向や、状況を仕切る力強さなどがそうです。この情念は、普段の振る舞いの中で繰り返し見られるパターンです。「基本的な恐れ」と「情念」の二つが絡み合って、タイプごとの内面や行動が描き出されます。

タイプ7・タイプ8の恐れと情念

タイプ7の基本的な恐れは、制限されたり不快な状況に閉じ込められたりすることへの強い不安です。彼らは自由を失うことや、内面的な苦しみに直面することを避けようとします。そして、タイプ7の情念は新しい経験や可能性を過剰に追い求める傾向です。そのため、タイプ7は常に動き続けることで不安を遠ざけようとします。対して、タイプ8の基本的な恐れは、他者に操られたり傷つけられたりすることへの抵抗感です。自分を守り、独立性を保つことが重要で、弱さを見せることを嫌います。タイプ8の情念は、自分自身の手で状況や人を掌握することを求める傾向や自分の意志を貫く強い情念として現れます。これらの要素は、各タイプの行動や内面の核を形作りますが、情念の表れ方が他タイプの特徴と混ざると、判別が難しくなります。

判別が難しいケース:情念の表れ方が典型的でない

ケース1:基本的な恐れはタイプ7であるものの、情念の現れ方がタイプ8に似ているケース
ケース1は「自分が制限されたり、閉じ込められることへの焦り」から「強引に状況を仕切り、自分の意志を押し通す行動を見せる」というケースを指しています。例えば、計画が思うように進まないと、「自分が状況を動かさないと、この閉塞感から抜け出せない」と感じて、周囲を圧倒する態度を取るかもしれません。

ケース2:基本的な恐れはタイプ8であるものの、情念の現れ方がタイプ7に似ているケース
ケース2は、「他者に従うことへの強い反発」から「次々と新しい活動に飛び込み、動き続けることで自立を守ろうとする」ケースを指しています。例えば、上司の指示に苛立ち、「別の面白いことを始める」と新たな選択肢を探す行動に出る可能性があります。


ケース1:基本的な恐れはタイプ7であるものの、情念の現れ方がタイプ8に似ているケース


タイプ8との類似点

この人はタイプ7ですが、表面的には力強く自己主張し、状況を自分のペースに持っていく姿勢が目立ちます。例えば、グループで意見がまとまらないとき、「私が決める」と強引に進める態度が、タイプ8の掌握欲とそっくりです。表層心理では、「自分が動かないとダメだ」という思いが強く、威圧的な振る舞いを見せることもあります。


タイプ8との相違点
  • 表層心理: 「自分が仕切ってしまえば停滞しない」と、状況を動かすことに執着します。これは、タイプ8の「掌握したい」という情念に似ていますが、目的は「制限や閉塞状態を避ける」ことであり、力そのものへのこだわりではありません。
  • 深層心理: 「動けない状況に閉じ込められる」という不安が根底にあり、掌握は「自由を確保する手段」にすぎません。例えば、強引さの裏で「これがダメならさっさと別の場所にいこう(逃げてしまおう)」と考える瞬間が垣間見えます。そこにタイプ7の拡散的な逃避情念が潜んでいます。タイプ8なら、自分の弱さを晒すような逃げは考えません。

ケース2:基本的な恐れはタイプ8であるものの、情念の現れ方がタイプ7に似ているケース


タイプ7との類似点

類似点: この人はタイプ8ですが、表面的には軽快で多様な活動に飛びつき、常に新しい何かを求める姿が目立ちます。例えば、会議でルールに縛られそうになると、「もっと面白い案がある」と話題を逸らし、タイプ7の拡散的な行動と重なります。表層心理では、「動き続ければ大丈夫」と楽観的に振る舞います。


タイプ7との相違点
  • 表層心理: 「自分から新しいことを始めてしまえば縛られない」と感じ、過剰な経験を求める動きがタイプ7の情熱に似ています。しかし、その裏には「弱者として他人に従わされる立場に追いやられることを防ぐ」という意図があります。
  • 深層心理: 「傷つけられたり従わされたりする」という抵抗感が根底にあり、動き回るのは「自立を守る防壁」です。例えば、活動に飛び込む中でも、「誰かに弱さを見せたくない」と警戒する瞬間が垣間見えます。そこにタイプ8の防衛的な姿勢が隠れています。タイプ7なら、「制限からの解放」が主で、自分の弱さを晒すことへの本能的な警戒は薄いです。

まとめ

タイプ7と8の判別が難しい場合、表面的な振る舞いや表層心理に着目するだけでは混乱が生じます。ケース1では、掌握への情念が目立つものの、深層の「制限への焦り」がタイプ7の本質を示し、ケース2では、過剰な経験への欲求が目立つものの、「支配されることへの抵抗」がタイプ8の核を表します。判別の鍵は、深層の恐れに注目することです。日常のストレス反応や、選択の裏にある動機を観察することで、どちらの恐れが優先かを捉えられるでしょう。

判別が難しいケース:支配と制限の恐れの絡み合い

「支配されることへの焦り」が先にあり、それが「制限されることへの警戒」につながる場合や、「制限されることへの恐れ」が先にあり、「支配されることが制限の一因」と感じる場合、どちらが基本的な恐れかを判別するのはより難しいです。前者は、他者に操られる恐怖が主であり、ルールや制約はその結果として嫌われます。一方、後者は、自由を失う不安が主で、支配がその脅威の一つとみなされるパターンです。この絡み合いが、タイプ7(制限への恐れ)とタイプ8(支配への恐れ)の境界を曖昧にします。


判別のポイント:弱みと縁切りへの抵抗感


弱みを見せることへの態度

タイプ7は、自分の弱さを見せることにそれほど強い抵抗はありません。例えば、追い詰められたら「まいったな」と笑って誤魔化し、次の選択肢を探す軽さがあります。一方、タイプ8は、自分の弱さを見せることに強い苛立ちを感じます。例えば、「弱いと思われたくない」と、たとえ不利でも正面から立ち向かう姿勢が目立ちます。弱みを隠すために、無理に強がることもあります。


逃げることへの姿勢

タイプ7は、逃げることを自然に受け入れます。状況が厳しくなれば、「ここにいる必要はない」とさっと別の道を選ぶことへの抵抗感は薄いです。一方、タイプ8は逃げることに強い抵抗を示します。例えば、「逃げるのは負けだ」と感じ、撤退するにしても、あくまでも自分の意志で「戦略的撤退をした」という形にこだわります。さらに、逃げが戦略的なものであったとしても、「弱さを見せた」と苛立つ傾向がタイプ7よりも強いです。


縁を切る際の対応

タイプ7は、適当に相手の顔を立ててその場をやり過ごしつつ、徐々にフェードアウトして縁を切ることに抵抗が少ないです。一方、タイプ8はこれに抵抗感を持ちます。例えば、「中途半端に媚びるなんてありえない」と感じ、縁を切る際には、はっきり対決するか、明確な態度を示して関係を終わらせる形を好みます。

タイプ8の戦略的撤退への評価

タイプ8が戦略的撤退をどう捉えるかは状況次第ですが、一般的には複雑な反応になることが多いです。例えば、「今は引き時だが、後で必ず勝つ」と冷静に判断すれば、「自分の見切りの速さ」に自信を見出し、「これも強さだ」と肯定的に評価する一方で、「弱みを見せた」と感じる瞬間には苛立ちが混じります。タイプ8は「自分の意志で状況を動かす」ことに価値を置くため、「これ以上痛い目を見たくないなら、先にそっちが手を引くんだな」などといった、他者に強制された撤退であるなら「屈した」と怒るでしょう。逆に、自ら選んだ撤退なら、「次に備える自分の賢さ」と解釈し、苛立ちは少ないです。

判別アプローチ

ケース1(基本的な恐れはタイプ7であるものの、情念の現れ方がタイプ8に似ているケース): この人は、制限を恐れ、それが誰かの支配に繋がると感じます。表層では支配を避けるため強引に動くものの(タイプ8に類似)、弱さを見せても「次がある」と楽観的で、縁切りも軽やかです。深層では、「閉じ込められたくない」が主で、支配への焦りは二次的です。

ケース2(基本的な恐れはタイプ8であるものの、情念の現れ方がタイプ7に似ているケース): この人は、支配を恐れており、他人からの制限を受け入れているうちに、自分が支配されてしまうかもしれないと警戒します。表層では制限を避けるため動き回るものの(タイプ7に類似)、弱さや逃げに強い抵抗感があり、縁切りは断固とした形になります。深層では、「操られたくない」が主で、制限への恐れは支配への抵抗の延長にあります。

まとめ

支配と制限の恐れが絡む場合、弱みを見せることや逃げることへの抵抗感が判別の手がかりになります。タイプ7は軽やかさと柔軟性が強く、タイプ8は強さと対決姿勢が際立ちます。タイプ8の戦略的撤退は、自己主導なら強さとして受け入れますが、他者に強制された撤退であるなら苛立つでしょう。

判別が難しいケース:支配と制限の恐れの絡み合い(具体例)

支配と制限の恐れが絡むケースは非常に複雑なので、ここではさらに具体的な状況設定のもとで比較していきます。以下のケースに、「支配と制限の恐れが絡む」という条件を付与して整理していきます。

  • ケース1(基本的な恐れはタイプ7であるものの、情念の現れ方がタイプ8に似ているケース)
  • ケース2(基本的な恐れはタイプ8であるものの、情念の現れ方がタイプ7に似ているケース)

具体的な状況設定

ブラック企業を離職後、前職で受けたパワハラや自分への非金銭的な不正を労基に訴えるか、裁判を起こすかを検討している状況を想定します。訴えても金銭的メリットはなく、裁判で勝てば公の謝罪が得られる程度。どちらも時間と手間がかかります。次の職場は前職と無関係で、ブラック企業であることを知っており同情的で、訴えても煙たがられることはありません。


ケース1(基本的な恐れはタイプ7であるものの、情念の現れ方がタイプ8に似ているケース)


反応

パワハラや不正に「許せない」と苛立ちますが、「あんなやつらに時間かける価値ある?」とすぐに冷静になります。新しい職場での自由な生活に目を向けます。


内面の動き
  • 表層心理: 「自分で仕返ししたい」と、掌握欲(タイプ8に類似)が湧きますが、「面倒だな」と感じ、労基や裁判への意欲が薄れます。
  • 深層心理: 「過去に縛られたくない」が主で、パワハラは「制限の象徴」。謝罪への執着は薄く、新しい可能性が優先。

行動

「もういいや、次に進もう」と訴えるのをやめます。時間と手間を嫌って、前向きに切り替えます。新しい職場での生活を楽しむことに注力します。


ケース2(基本的な恐れはタイプ8であるものの、情念の現れ方がタイプ7に似ているケース)


反応

パワハラや不正に激しい怒り、「あの会社に負けたままじゃ終われない」と感じます。労基や裁判を一瞬「面倒だな」と感じるものの、「黙ったままではいられない」と決意を固めます。


内面の動き
  • 表層心理: 「次の職場での仕事に精を出しているうちにこの苛立ちも薄れるのではないか」というタイプ7に類似した思いが浮かびますが、「あいつらがあのまま偉そうにのさばっているのは屈辱だ」と抵抗感が勝ります。
  • 深層心理: 「支配されて、負けたままでいるのが許せない」が主で、パワハラは「自分の力を否定された」証拠。謝罪を獲得することは、「自分の力を取り戻す」象徴です。

行動

「裁判で謝らせてやる」と動き出します。時間と手間をかけても不正を正し、力を証明しようとします。


比較:類似点と相違点


類似点

両者ともパワハラや不正に苛立ち、最初は「どうにかしたい」と反応します。ブラック企業を打ち負かすことに金銭的メリットがない状況でも、まず最初に怒りや苛立ち、復讐心を感じる点では共通しています。


相違点

ケース1(基本的な恐れはタイプ7であるものの、情念の現れ方がタイプ8に似ているケース)

  • 表層心理: 「仕返ししたい」「相手を屈服させたい」は一瞬で、「時間かけるというのは、それはそれで自分に対する制限だ」と感じ、すぐに別の新しいことへと興味が移ります(タイプ7の拡散的な反応)。
  • 深層心理: 「過去に閉じ込められたくない」が主です。ブラック企業で受けたパワハラや不正は、当時「停滞や閉塞感」そのものでしたが、、今ではその恐れから解放されています。謝罪より今の自由の方が大事です。
  • 行動: 「次に行こう」と軽快に逃げます。

ケース2(基本的な恐れはタイプ8であるものの、情念の現れ方がタイプ7に似ているケース)

  • 表層心理: 「あんな屈辱はもう忘れてしまいたい」と一瞬思い浮かぶものの、「負けたままは許せない」と固執。タイプ7の拡散的な反応は抑えられます。
  • 深層心理: 「負けて逃げたままな状態は許せない」が主で、ブラック企業で受けたパワハラや不正は「力の否定」であり、その否定は離職した今現在も続いています。ブラック企業からの謝罪は、自分の力を取り戻した象徴となります。
  • 行動: 粘り強さを発揮して、「裁判を起こす」という道を選びます。

判別のサポート

下記の点を観察してください。

  • 時間と手間への反応: ケース1は「面倒」を避けて逃げ、ケース2は「面倒でもやる」と粘り強さを見せます。
  • 謝罪への執着: ケース1は謝罪に無関心であり、ケース2は謝罪を力の象徴と見なします。
  • 動機: ケース1の動機は「停滞の回避」、ケース2の動機は「力の否定への抵抗」です。

結論

ケース1は制限への焦りから軽快に次へと移り、ケース2は支配への抵抗から謝罪を勝ち取るまで闘います。時間への態度と謝罪へのこだわりが、判別の鍵となります。

注意点

一見よく似た状況でも、ほんの少し条件が違うと、行動結果が大きく変わる可能性がある点には注意してください。例えば上記の例では、タイプ7が「訴えずに新しい職場に専念する」と判断したことになっています。しかし、もしタイプ7が「自分の行動を観察している人々(ブラック企業とは無関係の第三者や、今後も交流する可能性のある人々)がいる」ことを意識し、「ここで黙って引いたら、その人々に『こいつは力で押せば言うことを聞く』と思われてしまう。それによって支配され、最終的には制限される事態に陥る」と考えた場合、全く異なる判断を下すかもしれません。

「タイプ7なら逃げる」「タイプ8なら立ち向かう」という単純な違いではなく、なぜ逃げると判断するのかに着目することが大切です。

参考資料

  • Don Riso and Russ Hudson (1996), Personality Types: Using the Enneagram for Self-Discovery
  • Don Riso and Russ Hudson (1999), The Wisdom of the Enneagram: The Complete Guide to Psychological and Spiritual Growth for the Nine Personality Types
  • Misidentifying Sevens and Eights

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