第1機能「良いもの」主体的倫理(Fi)
「もし誰かを愛するなら、それは本気で心から愛することで、決して変わることはありません。逆に、憎むと決めた相手に対しても、同じように心から憎み続けるでしょう」
EIIは、人間関係や感情に非常に強く執着し、一度抱いた感情を簡単には変えません。誰かを「良い」と感じると、その人をずっと大切にしようとします。一度心から抱いた感情を裏切られたと感じると、その人を「悪い」と見なすことになり、憎しみや軽蔑の感情を抱きます。この憎しみは通常は隠されていますが、相手が強く嫌悪感を引き起こす場合には、露骨に現れることもあります。
周囲からは、しばしば道徳的な観点を重んじるモラリストだと思われます。これは、彼らの感情や価値観が人生において非常に大きな役割を果たしているためです。しかし、彼らは自分の内面でその感情を大切にし、あまり外に出すことはありません。何かが彼らの価値観に強く影響を与えると、その時初めて感情が外に現れることが多いです。そのため、ネガティブな感情がポジティブな感情よりも目立ちやすく、周囲から誤解されることもあります。
彼らにとって物事は「良い」か「悪い」の二択であり、その判断に異議を唱えても意味がありません。理由を論理的に説明することはほとんどなく、説明しても一般的な言葉に終始します。
過去にポジティブな感情を抱いた相手を大切にし続けますが、人々を「良い人」と「悪い人」に明確に分けてしまいます。「良い人」は愛し、「悪い人」には激しい憎しみや軽蔑を抱きます。もし周囲に愛する人が少ないと感じると、隠れた攻撃性が表れることがあります。愛する人がいないことは、彼らにとって自分の存在意義を失うことを意味するからです。
義務や名誉、道徳といった概念に非常に敏感ですが、それらは彼ら自身の理解に基づくものです。重要なのは、社会の価値観よりも自分の感情や他者との関係です。したがって、一般的な社会規範にはあまり関心を示さないこともあります。
評価は滅多に変わることはなく、特に「悪い」評価から「良い」評価に変わることは非常に稀です。裏切られたと感じた相手は、たとえ改心しても、永遠に「嘘つき」と見なされます。彼らは非常に多くの感情とその微妙な違いを持っており、豊かな内面世界を持っています。
周囲の人々が自分の道徳観に外れると、非常に敏感に反応し、まるで常にそれを監視しているかのようです。彼らの肯定的な感情は、相手が自分の「良い」「悪い」の基準に沿った行動をして初めて保たれます。
彼らのこうした価値観は非常に個人的で主観的なため、社会の中では理解されにくいことがあります。自分の倫理観に深く浸かっている一方で、社会規範から外れることもあります。そのため、EIIにとって、同じ価値観を共有できる人を見つけることが重要なことです。
第1機能・第3機能:愛する親しい人々の健康を守ることが重要です。彼らは自分の病気よりも、愛する人々の病気に対して強い心配を抱きます。
第2機能「必要」客体的直観(Ne)
「世界は本来、調和のとれた場所です。しかし、それに反するものがあるならば、それは排除されるべきなのです」
EIIの人生の目的は、世界を改善し、調和をもたらすことです。外部の状況を整え、全体としての調和を創り出すことが彼らの目指すところです。そのため、調和を乱す行動に対しては、時に厳しい態度を取ることがあります。彼らは、物事の可能性を見極め、巧みに流れに乗ることが得意で、創造的な方法で問題に取り組みます。何を、どこで、どのように改善すればよいのかを理解しており、状況を分解して、より調和のとれた形に再構築することができます。また、人類を幸せにするための斬新なアイデアを生み出すこともあります。
彼らは、混沌とした状況に自ら積極的に関わり、そこを整理しようとします。複雑な問題に対しては、独創的な方法で解決策を見つけたり、対立を解消したり、他人のために何かを成し遂げたりすることができます。その才能を発揮し、革新者として活躍することもあります。
ただし、時には何かの仕事をやり遂げないままにしてしまうことがあります。それは、完全にやり遂げると自分が必要なくなってしまうと感じるからです。彼らにとって、完璧な世界は動きがなく死んだ世界と同じであり、常に改善の余地を探し続けることが重要だと考えています。
また、外部の調和を創り出す手段として、芸術に取り組むことが多いです。彼らは、どんな場所でも調和のとれた環境を作り出すことができ、理想の世界や人々を作り上げようとします。しかし、現実の人々が必ずしもその理想に合致するわけではないため、その不一致を解決するために「抜本的な改革」が必要だと考えることがあります。
彼らは、他者を教育することを好みます。例えば、ゴミ箱の横に捨てられた瓶を見て、それが調和を乱す行為だと感じると、たとえ危険を伴っても注意を促すことがあります。なぜなら、それが彼らが創り出す調和の一部だと考えているからです。
第2機能・第3機能:EIIは、世界を安全で信頼性が高く、健康的なものとして調和させることを目指しています。そのため、このテーマについてよく話すことがあります。
第2機能・第1機能、第2機能・第4機能:時には、倫理的な観点から物事を評価したり、秩序を作り出して世界を改善しようとすることもあります。
第3機能「問題」主体的感覚(Si)
「サンドイッチは健康的で、安全でなければなりません」
EIIにとって、健康や安全、信頼性、そして「何が体に良いか・悪いか」は、日常的に非常に重要なテーマです。これらは彼らの生活の中心的な関心事であり、その姿勢は周りにもはっきりと分かります。まるで歩く医療事典のように、どんな体調不良にもすぐに対処法を思いつく知識を持っています。健康や体調は、彼らの自己評価にとって非常に大きな意味を持っており、そのため、冷水浴や朝のランニング、健康サプリメントの摂取など、時には過剰と思われるほどの努力を惜しまないことがあります。また、伝統的な医学だけでなく、代替医療や自然療法にも強い関心を持ち、「健康に良い」と聞けば、何でも試してみたくなる傾向があります。これらの話題は日常的に話され、健康を守ることが大きなテーマとなっています。
EIIは、小さな危険にも非常に敏感です。例えば、気温が低くなれば、真っ先に「暖かい服を着るべきだ」と気づきます。また、誰かが車を速く運転しているのを見れば、「スピードを落としてください」とお願いすることがあります。彼らは、どんな小さなリスクも見逃しません。たとえば、車のドアのネジが一本外れているだけで、「これが命に関わるかもしれない」と考え、移動をためらうこともあります。道具や機器の点検は非常に徹底しており、どんな小さな不具合も見逃すことはありません。「自分のパラシュートは自分で畳む」という信念を持ち、重要なことは他人に任せることなく、必ず自分で確認します。
健康に問題が発生すると、EIIの自信は大いに傷つきます。積極的に対応する場合は、「まだまだ自分はやれる」と証明するために、率先して重い荷物を運ぶなどの活動を行います。一方、消極的になると「もう年だし、体が弱い」と感じることがあります。どちらの場合も、体が元気であると実感することは、非常に大切だと考えています。そうした理由で、ハイキングやロッククライミング、マラソン、トライアスロンなど、体力を試すような挑戦を好む傾向があります。これらの挑戦をクリアすることで、「自分はまだ健康である」と実感し、健康に対する不安を解消しようとします。
EIIにとって最も耐え難いのは、他人の前で無力に寝込んでいる状態です。単に体が動かないことが苦痛であるだけでなく、その姿を他人に見られることが非常に屈辱的だと感じます。また、働いている組織や職場がしっかりと医療面でサポートしてくれるかどうかは、彼らにとって大きな安心感の源です。「健康に良い」「体に良い」という言葉には特に敏感で、こうした価値観に強く影響されることがよくあります。
社会的な保障や国家によるサポートにも関心を持ち、「将来、誰も自分に水一杯すら差し出してくれない状況になるのでは」といった不安を抱くことがあります。孤立や無力感を避けるため、支援システムや人間関係のつながりを重要視しています。自分の健康状態が良好であることを確認するため、定期的に体を試すような活動、例えばアウトドアやスポーツなどに挑戦することが、理想的な方法だと考えています。こうした挑戦を乗り越えることで、「自分の体には問題がない」と自信を持つことができます。
第4機能「欲求」客体的論理(Te)
「一般市民が規則に従わないのは非常に残念なことです」
EIIは事実や数字に強く影響され、それ以外の情報にはあまり注意を払いません。自分がどのような状況に置かれているかを理解し、何をすべきかが明確に分かる環境を好みます。特に、育った時代の政治体制や社会規範など、外部の秩序に強く影響されます。そのため、社会的な変化に対して非常に敏感で、秩序が崩れるくらいなら、変化の時代に生きることを嫌う傾向があります。
常に秩序が整った環境を求め、混乱や予測不可能な状況を避けることを重視します。秩序に強く引かれ、その秩序が変わらないことを強く望むため、軍隊のような規律や規則が明確に定められた環境に魅力を感じることがあります。また、物事が整理されていて、客観的な事実に矛盾しないことが重要だと考えます。どのような状況でも、慣れ親しんだルールや法律に従って、物事が進んでいることを重視します。
さらに、誰がどこにいるべきか、何をすべきか、どの書類をどう集めてどこに提出すべきか、どのように記入すべきかを知ることに価値を置きます。このように、「こうすればこうする」といった明確で曖昧さのない行動指針がある環境に最も安心感を覚えます。
問題の深い理解よりも、事実や数字をもとにした解決策を重視する傾向があります。そのため、問題を統計や客観的な法則に基づいて理解し、実際の状況の本質的な問題に目を向けることを避けることもあります。長くて複雑な説明を好まず、すぐに結論を求めることが多いです。「要するに、実際のところはどうなの?」というように、理由や背景よりもすぐに使える解決策やルールを求めます。例えば、「2×2=4」のような明確なルールをすぐに知りたがります。
また、専門用語を好み、それだけで十分と感じることもあります。規範や上下関係を乱す人を嫌い、特に目で見て手で触れられるような「確かな事実」に強く影響されます。そのため、このような「信頼できる事実」を提供されると、簡単に納得してしまうことがあります。巧妙な詐欺師が視覚的に訴える「手品のようなごまかし」を使うと、騙されやすくなることがあります。
第-1機能「悪いもの」客体的倫理(Fe)
自分の感情や物事への考え方を優先しすぎて、他人との関係や社会的なルールを無視してしまうことがあります。そのため、無意識のうちに他人と衝突したり、敵を作ってしまうこともあります。状況に応じて適切な行動が求められますが、例えばパーティーで口論を始めたり、結婚式で騒いだりするのは不適切です。しかし、この機能はEII自身の意識にないため、そういった行動が不適切だということに気づかないことが多いです。また、他人との関係を軽視し、外部のルールや関係の重要性を認めないことがあります。例えば、「心から愛し合っていないのであれば、法律上結婚しているということに、もはや大した意味はない」と考えることがあります。こうした人にとって、結婚や社会的な関係は感情を確認するための手段に過ぎず、感情がなければその関係は意味がないと見なすことが多いです。
ただし、この機能がうまく働かない場合や、他人から客体的倫理について批判されたり話題になったりすると、この機能を使って自分の行動を見直すことがあります。その結果、少しずつ他人との関係の重要性を理解し始め、過去のようなトラブルが減っていくことがあります。
「行動規範」という考え方は、EIIにとっては理解が難しく、社会のルールに従おうとする気持ちが薄いです。自分の価値観に基づいて、社会のルールを置き換えてしまうことがあります。極端な例ですが、もし本人がそう感じるなら、葬式で笑ってしまうことさえ「普通だ」と考えてしまうかもしれません(もちろん、これはあくまで極端な例です)。
第-2機能「不必要」主体的直観(Ni)
EIIは感情や内面的な状態について、いくつかの「適切な行動」のパターンを持っています。例えば、「葬式では悲しむべき」「お祝いの席では明るく振る舞うべき」など、状況に応じてどう感じるべきか、どう行動すべきかという枠組みが決まっています。自分もその枠に合わせて行動し、周りの人にも同じように振る舞うことを期待します。もし周囲の人がその枠から外れると、「間違っている」と感じることがあります。
EIIにとって、「理念」や「原則」などの抽象的な概念は、あくまで何かを達成するための手段であり、それ自体に大きな意味はありません。普段は意識されることは少なく、必要なときに使う程度です。
第2機能Neを活かすような仕事に就けていない場合、他人の考え方や価値観に対して批判的になることがあります。しかし、その批判は単なる否定ではなく、相手が抱える悩みや問題を理解するためのきっかけになります。このようなプロセスを通じて、自分の行動や関わり方を見直し、理想の「完璧な人間像」ではなく、実際の生身の人々に合った自然で調和の取れた関係を築くことを目指します。
第-3機能「問題解決」客体的感覚(Se)
健康を維持するために「穏やかな方法」、例えば、日々の運動や食生活に気を使うことが難しい場合、強い決断をして厳しい手段に頼ることがあります。具体的には、登山や寒中水泳、東洋武術、厳しい食事制限、断食、過酷なマラソンなどです。つまり、健康が悪化すればするほど、自分をもっと追い込むような行動を取る傾向があります。もし健康に問題がなければ、この機能は比較的穏やかに表れます。医学や健康法に興味を持ち、少しの健康リスクにも敏感になり、予防策を積極的に取り入れることがあります。
しかし、健康に問題があるときは、身体を「戦闘能力のある存在」として鍛えようとします。これは単に健康を維持するだけでなく、身体そのものを強さの象徴として作り上げる姿勢です。例えば、性的な持久力を「自分の健康の証」と見なしたり、危険を伴うエクストリームスポーツに熱中したりすることがあります。山岳の激流をカヤックで下るような挑戦を通して、「こんな過酷なことをやり遂げる自分は決して弱くない」と実感しようとします。この行動には、「極限を乗り越える自分=健康な自分」という考え方が反映されています。
第-4機能「したくない」主体的論理(Ti)
EIIは、長い説明や複雑な議論を避ける傾向があります。なぜなら、それらが不安や恐怖を引き起こすからです。深く考えることや知識を掘り下げることにあまり興味を示さず、知っている事実だけで十分だと感じます。例えば、「夜間に10%の人がインターネットを利用している」という統計を知った場合、その背景や意味を深く考えず、ただ「どう活用するか」について考えることに集中します。
そのため、EIIの知識は表面的で、時には深さに欠けることがあります。まるで百科事典を丸暗記したように、知識を披露することは得意でも、それを深く理解したり、背景を説明したりするのは苦手です。また、他人の立場に立って考えたり、相手の気持ちを理解しようとすることは少なく、他人の話からは事実や統計を拾い上げることが多いです。説明が長くなると、「細かいことはいいから、結論だけ教えて」と遮ることもしばしばです。これは、複雑な話が不安を引き起こすためです。
自分が理解していることが間違っていると気づくと、強い不快感を抱きます。「そんなの嫌だ、怖い」と感じるからです。そのため、深い議論に踏み込むことよりも、事実を並べて「遊ぶ」ような形で安心感を得ようとします。事実には反論しにくいため、その範囲で収まっていると安心できます。
他人に何かを説明するのは得意ではありません。知識をひけらかすことはできても、それを相手に分かりやすく伝えることや、適切に解釈することは難しいと感じます。そのため、「これを説明してほしい」「分かりやすく教えて」と頼まれると、逃げ出したくなることもあります。しかし、もしその場から逃げられない場合は、逆に自分から話題を振ることがあります。例えば、「自分はこう理解している」と少し話すと、相手がそれを訂正しようとして事実やデータに基づく話にシフトすることがあり、会話が事実中心になり、再び安心できる場になります。
この方法を覚えると、居心地が悪くなりそうな時に、自分の理解を少し話して会話を事実に引き寄せ、状況をコントロールしようとする傾向があります。
要約
合理タイプであるEIIは、内面的には予測可能で一貫した理性的な人格を持っています。しかし、外面的には非常に独特で、服装や職業、さらにはその人が生み出す「成果物」などにその特徴が現れます。このタイプの場合、第一機能は高確率で発生する出来事に関連しており、このために保守的な傾向を持ち、場合によっては陳腐であると否定的に評価されることもあります。一方、第2機能によって生み出される「成果物」は低確率の出来事に関連しており、その情熱的な性格が原因で、過度に感情的だとみなされることがあります。このように、内面的には保守的でありながら外面では情熱的であるというギャップが、周囲との理解を難しくし、その活動が認識されずに評価されないこともあります。
EIIは内向的で、自己を周囲の世界から切り離された存在として感じることが多いです。自分自身を理解するのは難しく、複雑に感じるため、他人に対してあまり個人的なことを話さず、内気な一面を持っています。しかし、自分の内面的な世界を探求することに喜びを感じ、外の世界はシンプルで理解しやすいと捉えています。そのため、周囲の状況をリードしたり、影響を与えたりする能力に優れています。支配的な欲求は自己に向けられており、このため環境の変化に柔軟に適応することが得意です。これにより、バランスの取れた性格が形成され、一定の自信を持っていることが特徴です。第一機能が支配的な欲求に関わっているため、積極的な姿勢を持ちますが、第二機能は補助的な欲求となるため、創造性に対してはあまり積極的ではありません。
EIIは質の高い情報の流れの中で生活しており、必要な方向性を見極める能力には優れています。しかし、それを実際に行動に移すためのスキルが不足していることがあり、その結果として成果を得るのは難しい場合もあります。実践的なスキルを持つ協力者がいれば、目標を達成するために大きな助けになるでしょう。
タイプの特徴
- 率直(自信の領域):自分に自信を持ち、率直に意見を述べることができます。自分の考えや意図をはっきり伝え、他人と真摯に向き合います。
- ロマンチック(確信の領域):ロマンチックな傾向を持っており、理想に対して深い関心を示します。愛情や理想的な世界を求める心情が強く表れます。
- 味わうこと(感情の領域):感情を大切にし、その中で喜びや悲しみを深く味わうことができます。感情的な経験がその人の成長に大きく影響を与えることがあります。
- 正しいこと(影響力の領域):道徳的な価値観に基づき、正しいと感じることを追求します。他人への影響を意識して行動することが多く、周囲の人々にもポジティブな影響を与えようとします。
成功の鍵
- 居場所におけるルール、秩序、法律、事実
- 健康と社会的保護
- 愛され、好まれる世界
- 世界に調和を生み出す能力への欲求
職業
紛争解決や平和を築く仕事、音楽家、立法者、最適化者、医師、インテリアデザイナー、教育者、建設業者、自然や食料分野の専門家、芸術家