タイプ1とタイプ9が共通して嫌う状況や人、および、それぞれにおいて、タイプ1とタイプ9の間にある差異を整理しました。
なおこの記事はドン・リチャード・リソ、ラス・ハドソンの情報を参考にしてサイト管理人独自の観点から整理したものであり、正確な原典を知りたい方にはオススメできない記事です。ご注意下さい。他のタイプの比較:「エニアグラム 全タイプ比較」
ルールや約束が守られない場合
- タイプ1: 例えば、友達が約束の時間に遅れると、「信頼が崩れる」と感じて苛立ちます。表面上は冷静に注意しますが、内心では「正義が損なわれた」と思い、自己規律を強化して不満を抑えます。問題の改善を求めて行動します。例:職場で同僚が提出期限を守らないと、「責任感がない」と指摘し、期限の重要性を強調します。
- タイプ9: 同じ状況で、「またか」と思いつつも、表面的には「まあいいか」と笑顔で流します。内心では「平和が乱れることへの不安」を感じ、感情を抑えて我慢し、現実から少し距離を置きます。共通点は我慢する姿勢ですが、1は正義への執着、9は安定を守りたいという思いが違います。例:グループ旅行で誰かが集合時間に遅れても、「次は気をつけてね」と軽く済ませ、波風を立てません。
無秩序で混沌とした環境
- タイプ1: 例えば、散らかった部屋を見ると、「これではいけない」と感じて整理を始めます。表面では効率を重視する態度を取りますが、内心では「秩序がないと正しく生きられない」と焦りを感じ、行動を通じて問題解決しようとします。例:会議で資料が乱雑だと、「整えないと」と自分からファイルを整理し始めます。
- タイプ9: 同じ状況で、「落ち着かない」と感じつつも、表面上は「そのうち片付くだろう」と放置します。内心では「混乱がストレス」と嫌悪しながらも、現実から目を背けて感情を抑えます。共通点は不快感を覚えることですが、1は問題解決に動き、9はそれを避けようとする点で異なります。例:キッチンが散らかっていても、「後で片付ければいいか」と放っておいて、ソファで休むことにします。
感情的な衝突や大声での言い争い
- タイプ1: 例えば、家族が大声でケンカをしていると、「品がない」と批判的に感じます。表面上は仲裁に入りますが、内心では「正しい解決方法が必要だ」と怒りを抑えて、ルールを守らせたがる傾向があります。感情は規律に変わります。例:レストランで他の人が大声で揉めていると、「静かにすべきだ」と店員に注意を促します。
- タイプ9: 同じ状況で、「うるさい」と感じて耳を塞ぎたくなり、表面上は静かにその場を離れます。内心では「平和が壊れる恐怖」を抱き、感情を抑えて距離を取ろうとします。両者とも感情を抑えますが、1は問題に介入しようとし、9はそれから逃げようとする点が異なります。例:近所で騒がしい音が聞こえると、「関わりたくない」とカーテンを閉めて音楽をかけます。
怠惰で責任感のない人
- タイプ1: 例えば、仕事でサボっている同僚を見て、「無責任だ」と感じます。表面的には注意を促し、内心では「自分の義務を果たさないのは許せない」と思い、正義感が強く働きます。改善を求める意識が強く、批判的に見えることがあります。例:グループ作業で誰かが手を抜くと、「みんなが平等に働くべきだ」と役割を再分担します。
- タイプ9: 同じ状況で、あまり関わりたくなくて「面倒だな」と感じます。表面的には穏やかに接しながら、心の中では「関わると疲れる」と感じ、無関心を装います。嫌悪感は似ていますが、タイプ1は状況を正す意識が強く、タイプ9は避けようとする意識が強い点が違いです。例:家事をしないルームメイトに「別にいいよ」と言いつつ、内心では距離を取ります。
押しつけがましく干渉する人
- タイプ1: 例えば、意見を強引に押し付ける上司に対して、「自分で決めたい」と反発を感じます。表面的には冷静に反論しつつ、内心では「自分の正当な自律が侵害された」と怒りが湧きます。自己主張で対抗しようとする意識が強いです。例:親から服を選ばれようとした場合、「自分には自分の好みがある」と静かに拒否します。
- タイプ9: 同じ状況で、「鬱陶しい」と感じつつ、表面的には「はい」と従います。内心では「自分のペースが乱れる」と不安を感じ、感情を抑えて我慢します。両者とも不快感を抱きますが、タイプ1は抵抗し、タイプ9は従う傾向にあります。例:友達が予定を押し付けてきたとき、「いいよ」と答えながらも、内心でストレスを感じます。
不公平で倫理に欠ける状況
- タイプ1: 例えば、誰かが不正をして得をすると、「許せない」と強く感じます。表面的にはそれを正そうと行動し、内心では「倫理が崩れる危機感」を抱き、行動で正義を回復しようとします。例:テストでカンニングを見かけたら、「公平であるべきだ」と先生に報告します。
- タイプ9: 同じ状況で、「気分が悪い」と感じながらも、表面的には「仕方ない」と見過ごします。内心では「調和が崩れる不安」を抱えつつ、感情を抑えて関わりを避けます。タイプ1は正義に執着し、タイプ9は平和に執着している点が内面的な違いです。例:行列で割り込みがあっても、「面倒だ」と感じつつ黙って順番を待ちます。
変化を強いる急な予定変更
- タイプ1: 例えば、急に予定が変更されると、「計画が狂ってしまう」と不満を言います。表面的には新しい調整を急ぎ、内心では「正しい流れが崩れた」と焦り、再びコントロールを取り戻そうとします。例:旅行の予定が急に変更されると、「効率が落ちる」と感じ、新しいプランを急いで立てます。
- タイプ9: 同じ状況で、「面倒だ」と感じながらも、表面的には「まあいいか」と受け入れます。内心では「安定が崩れる不安」を抱え、感情を抑えて順応します。タイプ1は秩序を回復しようとし、タイプ9は安定を保とうとすることに焦点を当てています。例:急な飲み会の誘いがあっても、「行ってもいいか」と気楽に参加し、流れに任せます。
自己中心的な態度の人
- タイプ1: 例えば、いつも自分の話ばかりする人に対して、「礼儀がない」と感じます。表面的には静かに注意し、内心では「正しい関係が欠けている」と思い、正義感から改善を求めます。例:自慢話ばかりする知人に、「人の話も聞いてほしい」と穏やかに伝えます。
- タイプ9: 同じ人に対して、「疲れるな」と感じながらも、表面的には聞き役に徹します。内心では「調和が乱れることに対するストレス」を感じ、感情を抑えて距離を取ろうとします。タイプ1は改善しようとし、タイプ9は我慢し続ける点で内面的に異なります。例:自己主張が強い親戚に対して、「うんうん」と相づちを打ちながらも、内心では疲れを感じます。
親との関係における位置づけ
共通点
親からの影響について
- タイプ1とタイプ9は、幼少期に接した親や養育者から受けた影響が、その後の人格形成に大きな役割を果たします。タイプ1は規律や期待を通じて自己を築き、タイプ9は感情的な結びつきを通じて自己を形成します。
内面の調和を求める欲求
- タイプ1とタイプ9は、親との関係から生じた内面的な葛藤に向き合い、調和を求める傾向があります。タイプ1は厳しい規範を基に自分を整え、タイプ9は平和な一体感を大切にし、安定を保とうとします。
感情抑制の背景
- 親との関わりの中で、感情を抑える態度が形成されます。タイプ1は批判や罰を避けるために感情を抑え、タイプ9は不和を避けるために感情を押し込めることが多いです。
相違点
親との結びつきの形態
- タイプ1: 親や保護者との結びつきを断ち切り、独自の規範を築こうとします。自立を目指し、親の影響を超える厳しい自己基準を設けます。
- タイプ9: 親や養育者と強く一体感を持ち、その影響を内面に取り込もうとします。両親との結びつきを通じて自己感覚を形成し、分離を恐れます。
親の権威に対する態度
- タイプ1: 親の権威を不公平や不十分だと感じ、反抗的な態度を取ることがあります。自分でルールを作り、親の影響を超えようとします。
- タイプ9: 親の権威を受け入れ、調和を保つために順応します。親の不和や問題を内面化し、それを避けるように行動します。
自己主張の源
- タイプ1: 親との関係で非難を避ける必要から、自己主張が強くなります。感情を抑えつつも、自分の正しさを主張する力が生まれます。
- タイプ9: 親との一体感が強いため、自己主張が弱くなります。自分の欲求よりも親や他者との調和を優先し、自己を後回しにする傾向があります。
タイプ1とタイプ9は、幼少期における親との関わりが人格形成に大きな影響を与え、感情を抑えながら内面の調和を求める点で共通しています。しかし、そのアプローチには大きな違いがあります。タイプ1は親の影響を断ち切り、自立を目指す一方で、タイプ9は親との一体感を強く求め、依存的な結びつきを維持しようとします。この違いが、タイプ1の強い自己規律とタイプ9の受動的な平和志向として現れ、人生の中での行動に影響を与えます。
参考資料
- Don Riso and Russ Hudson (1996), Personality Types: Using the Enneagram for Self-Discovery
- Misidentifying Ones and Nines