両タイプの差異が現れやすいシーンを想定して、より詳しく比較しました。なお本記事はドン・リチャード・リソ、ラス・ハドソンの情報を参考にしてサイト管理人独自の観点から整理したものであり、正確な原典を知りたい方にはオススメできない記事です。ご注意下さい。他のタイプの比較:「エニアグラム 全タイプ比較」
具体例を交えたタイプの違いの整理
状況設定
受験生のタイプ6とタイプ7が、「今持っている参考書が少しわかりにくく、ネットでの評判も悪い」という状況で、塾講師から「参考書は色々買わず、今持ってる一冊だけを徹底的にやれ。絶対にそのほうが効率的だ。次々に買うのはバカ」と強く言われた状況。
タイプ6とタイプ7の反応と行動
タイプ6
最初の反応
タイプ6は最初、この助言に強い不安と混乱を感じます。「わかりにくい参考書で本当に大丈夫か?」と心配しつつ、塾講師の強い口調に「言うとおりにした方がいいのかな」と葛藤します。ネットの悪評が頭をよぎり、「失敗するかも」と恐怖を増幅し、「バカ」と言われることに「自分が間違ってるのか」と自己不信が強まります。表層では「塾講師がそれほど強く言うなら信じてみよう」と納得しようとしつつ、深層では「受験に落ちたらどうしよう」と恐怖を感じます。信頼したい気持ちと自己不信がせめぎ合い、安全を求める心が揺れ、混乱した心境になります。「私の判断じゃ決められない」と依存心が表面化しつつ、指示への疑問が拭えず、なかなか決断しきれないこともあります。
その後の行動
最終的には、塾講師への依存心から助言に従う可能性が高いです。例えば、「この一冊を徹底的にやる」と決めて、参考書に付箋を貼り、細かく質問をメモして塾講師に確認します。不安を減らすため、進捗を逐一チェックし、「これで正しいか」と何度も聞き直すでしょう。悪評が気になりつつも、「信じるしかない」と自分を納得させ、指示通りに進めることで安全感を得ようとします。ただし、心の揺れから集中が途切れることもありそうです。
または、プレッシャーの強さのあまり、不安が行動を中途半端にすることもあります。例えば、一度は塾講師からやれといわれた参考書を「徹底的にやる」と決めて始めますが、心が落ち着かず、頻繁に塾講師に「これで合ってるか」と確認を求めます。ネット評判を再確認して迷い、別の本を少し見るものの、「バカ」と言われた言葉が頭に残り、結局最初の一冊に戻ります。集中できず進捗が遅れ、「失敗したらどうしよう」と愚痴をこぼすか、友達に不安を吐露するでしょう。自衛的に動きつつも、揺れる心が効率を下げます。
塾講師の断言に従いつつ疑念を抱く揺れは、タイプ6の「従順と反発」の両価性の表れです。指示された参考書をやりながらも「間違ってるかも」と迷うのは、安定を求める深層と不信感が混じっているためです。不安に圧倒された結果として、行動が停滞気味になることもあります。
タイプ7
最初の反応
タイプ7は塾講師の助言に即座に苛立ちを感じ、「バカ」という言葉に「自分が否定された」と気分を害しつつ、「そんな窮屈なやり方は嫌だ」と反発します。「一冊だけを徹底的にやれ」という断言は、選択肢を狭め、単調な努力を強いるため、タイプ7の内面に反発を呼び起こします。即座に無数の反論が頭に思い浮かぶかもしれません:「わかりにくい本を繰り返すなんて時間の無駄」「別の参考書なら楽しく進められる」「一冊に縛られるなんて非効率的」「もっと評判良い本があるのに」。この深層での制限への抵抗が表層の反発に繋がります。
その後の行動
タイプ7は助言を無視し、自分のやり方を貫くでしょう。例えば、「もっと面白そうな参考書があるはず」とネットで評判を調べ、新たな一冊を衝動買いします。わかりにくい参考書は放置し、「こっちの方が頭に入る」と自己流で進め、友達と「どの本がいいか」話して気分を上げます。塾講師の指示を「自分には合わない」とあっさり切り捨て、多様な選択肢を試して楽しさを保つ行動が優先されます。
または、学習や受験自体へのモチベーションが失われている場合、この「楽しくない状況」への苛立ちを強く感じます。既存の参考書がわかりにくく、塾講師の断言が自由を奪う中、「勉強自体がつまらない」と投げやりになります。表層では「どうでもいい」と無関心を装い、深層では「このままじゃダメかも」と不安が募ります。通常なら別の楽しい選択肢(新しい参考書の購入や、友人と受験勉強談義をして気分転換する)に逃げる可能性の方が高いですが、この場合だとプレッシャーで選択肢が狭まり、逃避の一形態として、「何もしたくない」と停滞に至ることもあり得ます。迫りくる受験をほったらかしにして、家でゲームに没頭するかもしれません。
共通点と相違点
共通点
両者とも参考書の悪評に不安や不満を感じ、塾講師の強い助言に感情が動きます。タイプ6、タイプ7どちらも、わかりにくい教材へのストレスを抱きます。
相違点
- タイプ6は不安から塾講師に依存し、「安全」を求めて従いますが、心は揺れます。例えば、指示を守りつつ疑念が消えません。内面的には塾講師を信じたい気持ちと不信感、および、安心したい気持ちと不安感がせめぎ合います。
- タイプ7は自由を求め、「楽しさ」を優先して反発し、自己流を貫きます。例えば、新たな参考書で気分転換を図ります。内面的には「縛られたくない」という気持ちがあります。
親との関係における位置づけ
共通点
幼少期の体験の影響
- タイプ6とタイプ7は、幼少期における親や養育者との関係が、後の性格や行動に大きな影響を与えます。どちらも幼少期の経験が人生の取り組み方に深く刻まれている点で共通しています。
感情的な不安定さの起源
- 親との関係に何らかの不安定さを感じた経験があり、その影響が後の心理的な防衛や行動パターンに繋がっています。どちらも幼少期の出来事が感情の安定を揺るがす要因となっているのです。
自己を支える手段の模索
- 親との関係が十分な安心感を提供しなかったため、両者は自らを支える方法を探し求めます。外部の支援を求めるか、自己解決を選ぶかの形で現れます。
相違点
親との結びつきの傾向
- タイプ6: 親や養育者に強い依存心を抱き、安全や承認を求める傾向があります。幼少期に規律や指導を提供してくれる存在に依存し、その影響が後の対人関係にも表れます。
- タイプ7: 親とのつながりが不安定で、安心よりも喪失感を抱きがちです。愛情や世話が不足していたと感じ、自分で満足を求める姿勢が根付いています。
親への期待と反応
- タイプ6: 親に安全と安定を求め、それが得られないと不安や恐怖が増します。服従と反抗を繰り返し、揺れ動く態度が見られます。
- タイプ7: 親に過度な期待をせず、頼りにできないと感じた場合には失望します。その結果、自分で必要なものを手に入れようとする自立的な行動が強まります。
親との関係から生じた動機
- タイプ6: 親との関係から生じた不安や依存心が、外部からの支えや枠組みを求める生き方に繋がります。安定を確保することが最も重要な目標となります。
- タイプ7: 親との関係における喪失感が、自由や幸福を追い求める原動力となります。自らの不足を埋めようとする姿勢が、体験への強い欲求を生み出します。
タイプ6とタイプ7は、幼少期の親との関係が性格に与える影響において共通点がありますが、その影響の受け取り方や対処の方法には大きな違いがあります。タイプ6は親を頼りにして安全を求め、不安の中で他者とのつながりを大切にするのに対し、タイプ7は親との関係の距離をきっかけに自己充足を求め、自由を優先します。これらの違いが、両者の世界との関わり方や感情の処理の仕方に深く関与しています。
参考資料
- Don Riso and Russ Hudson (1996), Personality Types: Using the Enneagram for Self-Discovery
- Misidentifying Sixes and Sevens