エニアグラムのタイプ間の違いについてドン・リチャード・リソ、ラス・ハドソンの情報を参考にして整理しました。なお、他の研究者(イチャーソやナランホ、トライタイプのキャサリン・フォーブルなど)とはタイプの定義が異なる可能性があるのでご注意ください。他のタイプの比較:「エニアグラム 全タイプ比較」
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タイプ8とタイプ9の特徴の整理
タイプ8とタイプ9は、一見するとどちらも力強さや安定感を備えているように見え、特定の状況では混同されることがあります。しかし、彼らの内面の動機や行動の根底には明確な違いがあります。以下の比較では、それぞれの特徴と見分けるポイントを整理します。
主な動機
- タイプ8: 自らの力を確立し、周囲を掌握することで独立を保ちたい。影響力を強め、弱さを隠しながら無敵であり続けようとします。
- タイプ9: 内面的な安らぎを維持し、環境との調和を何よりも重視します。衝突を避け、一体感の中で心地よさを求めます。
違い
タイプ8は自己主張と支配を通じて力を求めるのに対し、タイプ9は平和と一体感を通じて安定を求めます。動機が外への影響力か内面的な安らぎかで分かれます。
健全な状態
- タイプ8: 自信に満ち、他者を勇気づけるリーダーとなります。果敢で誠実、決断力があり、人々を守りつつ大きな目標に向かいます。
- タイプ9: 穏やかで受容的であり、人々を癒し調和をもたらします。楽観的で純粋、安定感を提供し、争いを鎮める力を持ちます。
違い
タイプ8は率先してリーダーシップを発揮し影響力を広げますが、タイプ9は受け身で調和を促し、静かな存在感で周囲を支えます。主導的か支援的かという違いがあります。
通常の状態
- タイプ8: 自己充足を重視し、他者に自分の意志を押し付けます。威圧的で対立を恐れず、支配的な態度で環境を掌握しようとします。
- タイプ9: 他者に迎合し、衝突を避けるために受動的になります。問題を軽視し、現実を直視せず、感情や努力を抑えて平和を優先します。
違い
タイプ8は自己主張が強く対立を厭わないのに対し、タイプ9は自己を抑え衝突を回避します。行動が積極的な支配か消極的な回避かが異なります。
不健全な状態
- タイプ8: 無慈悲で攻撃的になり、誇大妄想に囚われます。他者を徹底的に服従させようとし、暴力的で破壊的な衝動に駆られます。
- タイプ9: 現実から乖離し、無力感に苛まれます。問題をひたすら否定し、感情が麻痺し、極端な場合は分裂的な状態に陥ります。
違い
タイプ8は攻撃性を外に向け支配を強めるのに対し、タイプ9は内に閉じこもり現実を拒絶します。反応が攻撃的な拡大か逃避的な縮小かという点で対照的です。
対立への態度
- タイプ8: 対立を厭わず、議論や衝突をエネルギー源とします。自分の立場を貫くために積極的に対峙し、力を示します。
- タイプ9: 対立を極端に避け、平和を守るために譲歩します。あらゆる衝突を避け、問題を見て見ぬふりをして調和を保とうとします。
違い
タイプ8は対立を自己の力を示す場と捉えますが、タイプ9は対立を平和の脅威とみなします。対立への姿勢が積極的か消極的かが、明確な判別点となります。
タイプ8とタイプ9を見分けるには、動機が支配欲なのか平和への欲求なのかを確認し、対立に対する姿勢が積極的か回避的かを観察することが重要です。特に通常の状態では、両者とも表面的な強さが隠れることがあります。そのため、行動が自己主張に基づくのか、調和の維持に根ざしているのか、さらに対立への反応に注目する必要があります。不健全な状態では、攻撃性の向き(外向きか内向きか)や現実との関わり方に顕著な違いが現れます。
親との関係における位置づけ
共通点
幼少期の養育者の影響
- どちらのタイプも、幼少期に関わった養育者との関係が性格形成に深く影響を与えます。タイプ8は養育者から強さや価値観を学び、タイプ9は調和や安定の感覚を受け継ぎます。
感情を抑える傾向
- 親との関わりの中で、感情的な弱さを隠したり抑えたりする傾向があります。タイプ8は傷つきやすさを認めず、タイプ9は内面の混乱を避けるために感情を押し込めます。
自己認識の形成への影響
- 養育者との関係が、自己の捉え方に大きな影響を及ぼします。タイプ8は強さを基盤に自我を確立し、タイプ9は他者との一体感を通じて自己を見出します。
相違点
親との結びつきの度合い
- タイプ8: 親と関わりを持ちつつも、完全に一体化せず、自立への道を模索します。愛情や支えを受けながらも、自己の力を優先する傾向があります。
- タイプ9: 親との結びつきが強く、その影響を深く内面に取り込みます。養育者の課題や感情を自分のもののように受け入れ、自己の境界が曖昧になりがちです。
葛藤への対処
- タイプ8: 親との衝突や家庭内の不和に正面から向き合い、自らを鍛えることで対処します。支配されることを避けるため、強固な防衛を築きます。
- タイプ9: 親の不和や問題を避け、解離や無視を通じて内面の平和を維持しようとします。対立を直視せず、調和を保つことを優先します。
自立への姿勢
- タイプ8: 親から与えられたものを超え、自らの権威を築こうとします。他者に依存せず、自分の運命を自ら切り開くことを重視します。
- タイプ9: 親との一体感を重視し、自立よりも他者との調和を優先します。自己主張よりも、環境に適応する形で自分を保とうとします。
タイプ8とタイプ9は、親との関係が自己形成に影響を与える点や感情を抑えがちである点は共通しています。しかし、その向き合い方には明確な違いがあります。タイプ8は親との関係を通じて強さと自立を求め、衝突を恐れずに向き合います。一方、タイプ9は調和や一体感を大切にし、対立を避けることで自分を守ろうとします。こうした違いは、彼らの世界との関わり方や成長の方向性に大きな影響を与えます。
外見上の共通点(誤認されやすい理由)
タイプ8とタイプ9は、雰囲気が似ているため見分けがつきにくいことがあります。その一因は、どちらも強い存在感を持ちながら、それを異なる形で表す点にあります。タイプ8は自己主張が強く、堂々とした態度で周囲に影響を与えますが、健全な状態では落ち着きや包容力が増し、穏やかに見えることもあります。一方、タイプ9は穏やかで受容的な態度が特徴ですが、対立を避けながらも内に安定感や芯の強さを秘めており、それがタイプ8の自信と重なって見られることがあります。特に、両者がバランスの取れた状態にあるとき、タイプ8の威厳とタイプ9の静かな安心感が似た印象を与え、誤解を招きやすくなるのです。
タイプ8とタイプ9は、感情を抑えがちという共通点もあります。タイプ8は自分の弱さや脆さを見せないようにし、力強さを前面に出すことで自分を守ります。一方、タイプ9は内面の平穏を保つために感情を抑え、表向きは落ち着いた態度を貫きます。このように感情を抑える傾向があるため、どちらも冷静または無関心に見られやすく、違いが分かりにくくなるのです。また、対人関係においても、タイプ8が支配的な態度を和らげたときや、タイプ9が少し自己主張をしたとき、それぞれの振る舞いが似た印象を与えることがあります。その結果、外見や表面的な行動だけでは見分けにくくなり、両者が混同されやすい要因となっています。
本質的な違い(決定的な見分け方)
動機の方向性
- タイプ8: 自分の力を示し、周囲を支配することを最優先します。自立を維持し、弱さを見せないよう常に強さを求めます。環境や人々を自らの意志で動かし、影響力を拡大することに喜びを感じます。そのため、自己主張が強く、他者を圧倒することで自己の存在を確立しようとします。どんな状況でも主導権を握り、自分の運命を自ら切り開くことに執着します。
- タイプ9: 内面の穏やかさと環境との調和を最も重視します。対立や変化を避け、心地よい一体感を維持することが行動の原動力です。自己を抑え、周囲に溶け込むことで安定を保とうとします。自立よりも他者とのつながりを優先し、自分の欲求を後回しにしてでも平和を守ろうとする姿勢が顕著です。
対立への姿勢
- タイプ8: 対立を避けるどころか、むしろ力の源として積極的に受け入れます。議論や衝突を通じて自分の立場を示し、相手の本気度を試す機会と考えます。対立を恐れることなく、それを楽しみながら自己の力を示そうとし、強く主張して相手を圧倒することで満足感を得ます。
- タイプ9: どんな状況でも平和を保つことを最優先し、できる限り対立を避けようとします。衝突が起こりそうな場面では、譲歩したり問題を見ないふりをしたりして、調和を守ろうとします。対立によって内面の安定が揺らぐのを恐れ、感情を抑えて穏やかに振る舞おうとするため、相手と正面から向き合うよりも回避する傾向が強くなります。
感情の表出
- タイプ8: 感情を大胆に表に出し、特に怒りを力の象徴として使います。自分の意志を通すため、感情的な爆発を恐れず、周囲に強い印象を与えます。弱さや傷つきやすさを隠し、圧倒的な存在感で他者を従わせようとします。不健全な状態では、この感情が暴力や破壊へとエスカレートすることがあります。
- タイプ9: 感情を内に閉じ込め、表に出さないよう努めます。怒りや不安があっても、それを抑えて平静を装い、内面の平和を守ります。感情を表すことが調和を乱すと恐れ、現実から距離を置く形で対処します。不健全になると、感情が麻痺し、現実とのつながりを失います。
行動の原動力
- タイプ8: 自己主張と環境への影響力を強く意識し、自らの意志で物事を動かそうとします。他者を自分のペースに引き込み、障害を乗り越えながら力強く前進するのが特徴です。健全なときは周囲を鼓舞し、不健全なときは強引に支配しようとすることがあります。
- タイプ9: 受動的で対立を避ける傾向があり、内面の安定を守るために問題から距離を取ります。他者に順応しながら調和を維持しようとし、行動よりも環境に適応することを優先します。変化を好まず、現状維持を選びやすいのが特徴です。
不健全時の反応
- タイプ8: 不健全になると攻撃性が増し、他者を支配しようとします。自分の力を過信し、無敵であるかのように振る舞い、時には暴力的になることもあります。敵対するものを容赦なく排除し、破壊的な衝動に突き動かされるため、周囲を巻き込みながら破滅へと進む危険があります。
- タイプ9: 不健全になると、現実から切り離され、内に閉じこもります。抑うつ的になり、問題を直視せずに感情を麻痺させることで対処しようとします。自己や周囲とのつながりを失い、極端な場合は解離的な状態に陥ることもあります。現実を受け入れることを拒み、過剰な逃避によって反応するようになります。
具体的な見分け方のポイント
他者への命令口調の有無
タイプ8は強い口調で指示を出し、自分の意志を貫こうとします。例えば、「今すぐやれ」とストレートに命令するのが自然です。対照的に、タイプ9は命令を避け、「どうしたい?」と相手の意見を尊重しながら穏やかに接する傾向があります。
議論での態度
タイプ8は議論の場で積極的に意見をぶつけ合い、必要なら声を荒げてでも自分の考えを押し通そうとします。対立そのものを楽しむこともあります。一方、タイプ9は議論を避ける傾向があり、沈黙したり譲歩したりして、できるだけ争いを回避しようとします。
感情の爆発の方向
タイプ8は怒りを外にぶつけ、威圧的な態度で周囲に影響を与えます。時には物に当たることもあり、感情を率直に表現します。一方、タイプ9は怒りを表に出さず、内に押し込めます。静かに距離を取ったり、無表情のままやり過ごしたりして、感情を目立たせないようにします。
問題への取り組み方
タイプ8は問題に直面すると、力ずくでも解決しようとします。例えば、障害をすぐに取り除こうと積極的に行動します。一方、タイプ9は問題に目を向けず、「そのうち何とかなるだろう」と放置する傾向があります。
集団内での役割の取り方
タイプ8は集団の中でリーダーシップを取り、指示を出して主導権を握ります。一方、タイプ9は目立たず脇役に徹し、調和を保つために支援的な役割を選びます。
まとめ
- タイプ8は支配を求め、タイプ9は調和を目指します。
- タイプ8は対立を好み、タイプ9は回避します。
- タイプ8は感情を外に出し、タイプ9は感情を抑えます。
- タイプ8は行動的で、タイプ9は受動的です。
- タイプ8は攻撃的になり、タイプ9は解離します。
8w9の特徴概要と8w7との違い
8w9の特徴概要
8w9は、力強さと穏やかさを兼ね備えたタイプで、周囲との調和を保ちながら影響力を発揮します。例えば、大切な人々を静かに支えつつ、必要な場面では毅然とした態度を取ることができます。自己主張が必要なときでも、無駄な対立を避け、周囲と協力しながら力を示すことが多いです。
対人関係では、落ち着いた態度と安定感のある振る舞いが特徴です。感情を強く表に出すことは少なく、穏やかで包容力のある話し方をする傾向があります。周囲の人々に安心感を与えながら、自分の意見や立場をしっかりと守ります。独立心が強い一方で、他者との関係を大切にし、静かに影響を与えながら自分の力を発揮するのが得意です。
8w9の視点から見た8w7との違い
8w9の視点では、8w7も力を持つタイプですが、より衝動的でエネルギッシュな印象を与えます。8w9は「落ち着いて状況を把握し、周囲の人々を守りながら力を発揮したい」と考えます。例えば、慎重に計画を立ててから行動に移すのに対し、8w7は「スピード感を持って積極的に動き、楽しさを重視したい」と考え、瞬発的に行動を起こします。
また、8w9は対立を避けつつ状況をコントロールしようとするのに対し、8w7は対立を恐れず、時にはそれを楽しみながらエネルギーを外に解放します。8w9は「周囲との調和を大切にしながら、確実に成果を出す」ことを意識しているのに対し、8w7は「勢いに乗って、目標を素早く達成する」ことに重きを置いています。そのため、8w9にとって8w7の積極性は少し慌ただしく感じられることがあるかもしれません。
9w8の特徴概要と9w1との違い
9w8の特徴概要
9w8は、穏やかでありながら内に強さを秘めたタイプで、平和を大切にしつつも、必要なときにはしっかりと自己主張をします。例えば、友人や家族の間で意見が対立した際には、静かに調整役を務めつつも、自分の意見をさりげなく通すことがあります。普段は落ち着いており、衝突を避けるために感情を抑えることが多いですが、いざという時には揺るがない意志を見せるのが特徴です。
対人関係では、親しみやすく、自然体で接することが得意です。例えば、カフェで仲間と過ごすとき、和やかな雰囲気を作りながらも、自分のペースを守ることができます。調和を大切にしつつ、流されることなく安定感を持って行動します。感情を過剰に表現することはなく、静かに自分の立場を守りつつ、心地よさを求める姿勢を持っています。必要な場面では、堂々とした振る舞いを見せる魅力もあります。
9w8の視点から見た9w1との違い
9w8の視点から見ると、9w1も平和を求めるタイプですが、より規律を重んじる傾向があります。9w8は「みんながリラックスして楽しく過ごせればそれで十分」と考え、例えば冗談を交えながら場を和ませることが得意です。一方で、9w1は「正しい方法で調和を保ちたい」と考え、ルールや道徳を大切にする姿勢が強く現れます。
9w8は感情を抑えつつも、必要な時には力強く自己を守りますが、9w1は感情を抑えながらも、理想や倫理観を重視しようとします。9w8は「柔軟に流れに乗って解決したい」と考え、場の雰囲気を大切にします。一方で、9w1は「間違ったことは見逃せない」として、時には厳格な態度を取ることがあります。このため、9w8は9w1の真面目さを少し堅苦しく感じるかもしれません。
8w9と9w8の違い
8w9と9w8は、どちらも穏やかで力強い特徴を持っており、外見や行動が似ていることがあります。そのため、見た目だけでは混同されやすいですが、内面的な動機や力の使い方には明確な違いがあります。この違いを理解することで、両者を区別できるようになります。以下では、内面や動機に基づいて類似点と相違点を整理し、見分けるポイントを紹介します。
行動の共通点:穏やかさと力強さのバランス
8w9と9w8は、どちらも穏やかな雰囲気を持ちながら、必要な場面では力強さを発揮する点が共通しています。例えば、グループで意見が対立した時、両者は穏やかに状況を落ち着かせながら自分の影響力を示すことができます。8w9は静かにリーダーシップを発揮し、9w8は控えめに支えつつもその場に現れます。このように、穏やかさと力のバランスは両者に共通していますが、その背景にある動機や意識には明確な違いがあります。
内面的動機の違い:支配欲と平和への渇望
- 8w9: 8w9は、自己の力を確立し、周囲に対する支配力を持つことが内面的な動機です。たとえば、家族や仲間を守るために行動する際でも、自分の影響力を保つことが目的となります。平和は支配をしやすくする手段として使われ、力強さが重要視されます。
- 9w8: 9w8の動機は、調和と内面的な平和を保つことです。仲間との関係を穏やかに保つために力を使いますが、その力は平和を守るために必要なものであり、支配よりも安定を重視します。
力の使い方の違い:主導か防衛か
- 8w9: 8w9は力を主導的に使い、状況を自分の意志で動かそうとします。例えば、新しい計画を進めるとき、静かに指示を出して周囲を自分のペースに引き込むことがあります。内面的には、環境を支配するために力を使うという意識が強くあります。
- 9w8: 9w8は力を防衛的に使い、調和を保つために控えめに発揮します。例えば、対立が起こりそうなときには穏やかに介入して収めますが、無理に力を使うことはありません。内面的には、平和を保つことを最優先しており、力の使い方は必要最低限にとどまります。
感情への向き合い方:抑えた支配か隠した強さか
- 8w9: 8w9は感情を抑えながらも、静かな支配力を示します。例えば、怒りを感じていても、穏やかな態度で相手に圧力をかけ、従わせることができます。内面的には、感情を抑えつつも、影響力を保つことに意識を向けています。
- 9w8: 9w8は感情を隠し、強さを内面に秘めます。例えば、不満を感じても無表情でそれを処理し、必要最低限の力で状況を収めます。内面では、感情を外に出すことが調和を乱す原因になると考え、それを避ける傾向があります。
対立への姿勢:管理か回避か
- 8w9: 8w9は対立を管理し、自分の立場を守ることを重視します。例えば、議論が起こった際には、穏やかに状況を収めながらも自分の意見を通すことができます。内面的には、対立をコントロールして支配的な立場を維持しようと意識しています。
- 9w8: 9w8は対立を回避し、平和を優先します。例えば、衝突が起こりそうな場合には、静かにその場を離れ、波風を立てないようにします。内面では、対立が不安を引き起こすと感じ、その回避が最も重要だと考えています。
判別方法:動機と行動の観察
- 動機の確認: 「行動の目的は何か?」に注目します。8w9は「自分の力を示し、領域を守るため」に行動し、9w8は「調和を保ち、心地よさを維持するため」に行動します。支配を目指すか、平和を求めるかで区別できます。
- 力の使い方: 力の現れ方を観察します。8w9は穏やかな力で状況をリードし、例えば静かに指示を出すことがあります。9w8は力を控えめに使い、必要最小限で対処します。例えば、対立を避けるために穏やかに事態を収束させます。
- 感情の扱い方: 感情の表れ方に注目します。8w9は感情を抑え、威圧感を示すことがあり、9w8は感情を隠して穏やかさを保ちます。ストレスの場面でどのように反応するかも、判別の手がかりとなります。
結論
8w9は自分の力を静かに保ちながら、「支配と安定のバランスを取る」ことに重点を置きます。一方、9w8は心地よい調和を最優先し、「平和を守りつつ、必要な時には強さを発揮する」姿勢を持っています。内面的には、8w9は穏やかに他者を掌握しようとし、9w8は対立を避けつつ自分の快適さを保つことを重視しています。
補足
タイプ8とタイプ9は、どちらも安定感や力強さを持っています。しかし、特にタイプ9が「平和的」という印象とは異なり、無礼で無遠慮な態度を取ることがあり、このためにタイプ8と混同されることがあります。ですが、両者の内面的な動機や行動の背景を理解すれば、明確に区別することができます。ここでは、タイプ8が意図的に力を誇示するのに対し、タイプ9の無遠慮さは単なる手抜きに過ぎない点に注目し、それぞれの違いを詳しく解説します。
内面的動機の違い:支配か省エネか
タイプ8が無礼な態度を取るのは、相手に対して明確な目的を持っているからです。例えば、相手が自分より上に立ち、自分をコントロールしようとする態度を見せると、威圧的な態度で相手を圧倒し、自分の力を示そうとします。支配したいという欲求が根底にあり、軽い挑発を通じて相手の反応を探り、さらに圧力を加えて優位に立とうとします。力を使うことで自分の存在感を強化し、周囲を自分のペースに巻き込もうとするのが特徴です。
ステレオタイプでは、タイプ9は争いを避ける人物として捉えられがちですが、実際には「この相手なら適当でいいか」と思って手を抜いた結果、無礼な態度を取ることがあります。例えば、相手が自分にとって脅威でないと感じると、礼儀を省いて適当に対応することがあります。これは、対立を避けながらも自分が快適でいるために必要最低限の労力しか使いたくないという心理から来ています。タイプ8が積極的に力を示すのに対し、タイプ9は力を抑えて楽をしようとする点で大きな違いがあります。
行動の持続性:執拗か、その場限りか
タイプ8の無礼な態度は、一度始めると長時間続く傾向があります。目的を達成するまで諦めず、相手が反発するとさらに強く押し返し、強引な振る舞いを貫きます。威圧的な態度は途切れず、相手を圧倒するまで続けられるのが特徴です。この行動は、力関係をはっきりさせ、支配的な立場を維持しようとする内面的な執着から来ています。外見的には落ち着いている瞬間があっても、その根底には相手を従わせたいという意図があります。もし相手が反発してくると、さらに威圧的な態度を取ることが多く、その苛立ちを鎮めることなく威圧をやめることができません。
一方、タイプ9の無礼な態度は状況に応じて変わり、一貫性がありません。例えば、軽く無視するような態度を取っても、相手が怒ると急に態度を変えて、「冗談だよ」と言って笑いながらごまかしたり、話題を逸らしたりします。この柔軟さは、根本的には面倒な対立を避けたいという心理から来ています。タイプ9はリラックスしている時ほど無礼になることがありますが、タイプ8のように一貫して強硬な態度を取ることはありません。相手の反応に合わせて態度を変えるのが特徴です。威圧的に振る舞ったとしても、内心ではその行動が負担に感じられ、対立が長引くとエネルギーを使い果たしてしまいます。
力の使い方の違い:攻撃的か防御的か
タイプ8は力を攻撃的に使い、積極的に状況を自分の支配下に置こうとします。例えば、相手が自分に危害を加えられないと確信すると、挑発的な態度を取って力を誇示し、自分の優位性を確立しようとします。このような力の使い方は、自己を外部に向かって拡張し、他者を自分の影響下に置くことで満足感を得ようとする意図があります。無礼な態度は、力を示す手段として活用されます。
一方、タイプ9は力を防御的に使い、無駄なエネルギーを使わないようにします。例えば、相手が自分にとって脅威でないと感じると、礼儀や気配りを省き、より力を使わない振る舞いを選びます。無礼さも、対立を避けつつ余計な手間を省くための手段であり、タイプ8のように支配を目指すものではありません。タイプ8が力を外向きに使うのに対し、タイプ9は内向きに抑えて省エネを重視するという点で大きな違いがあります。
見分けるポイント:動機と反応に注目
タイプ8とタイプ9を区別するためには、まず「なぜ無礼なのか?」という動機に注目することが重要です。タイプ8は「力を示して相手を支配したい」という意図で無礼な態度を取ります。一方、タイプ9は「できるだけ楽をしたい」という理由から、相手に気を使わずに適当に対応することがあります。つまり、無礼さの背後にある動機が支配欲か省エネの心理かを見極めることがポイントです。
相手が反発したときの反応を見れば、さらに違いがはっきりします。タイプ8は、反発されても動じることなく、むしろさらに強く反応し、圧力をかけ続けます。対して、タイプ9は反発されると態度を急に変え、ご機嫌を取るように振る舞うことがあります。例えば、「冗談だよ、ところでさ~」と話題をそらすことが典型的です。このように、タイプ8は粘り強く持続的な反応を示すのに対し、タイプ9は状況に応じて態度を変えるという点で違いがあります。
結論
「平和主義者」というイメージとは異なり、タイプ9は時に他者との対立を気にせず、無関心な態度を取ることがあります。そのため、タイプ8と混同されることもありますが、両者の内面的な動機や行動パターンを理解すれば違いが分かります。タイプ8は支配を目指して一貫して力を誇示し、タイプ9は快適さを優先し、散発的に無礼な態度を取ります。
動機(支配欲 vs 省エネ志向)と反応(執拗な態度 vs 柔軟な態度)を基に観察することで、タイプ8とタイプ9の違いをより明確に見分けることができます。この視点を持つことで、タイプ9の複雑な性質をより深く理解することができるでしょう。
参考資料
- Don Riso and Russ Hudson (1996), Personality Types: Using the Enneagram for Self-Discovery
- Don Riso and Russ Hudson (1999), The Wisdom of the Enneagram: The Complete Guide to Psychological and Spiritual Growth for the Nine Personality Types
- Misidentifying Eights and Nines