健全度レベルが平均的なレベルのタイプ1とタイプ3には表面的な類似点が多いため、よく混同されることがあります。どちらも高い基準をクリアしたいという欲求を持つタイプですが、その基準の根拠や、根本的な動機は全く異なっています。
タイプ概要
タイプ1 | タイプ3 | |
---|---|---|
囚われ | 怒り | 欺き |
根源的恐れ | 悪く、欠陥があり、邪で堕落していること | 無価値であること、 達成したこと以外に価値をもたないこと |
根源的欲求 | 善き存在であること、人徳があって バランスがとれていて誠実であること |
自分に価値があり、好ましい人間で、 受け容れられていると感じること |
超自我の声 | 正しいことをすれば大丈夫だ | 成功していて、 人からよく思われれば大丈夫だ |
共通点
タイプ1とタイプ3は下記の点が共通しています。
- 効率的で非常に整然としている
- 自分の気持ちを後回しにして物事を進める
- 自分を高めたい、高い基準をクリアしたいという欲求がある
- クールで礼儀正しい
相違点
タイプ1とタイプ3は下記の点が異なっています。
タイプ1 | タイプ3 |
---|---|
理想主義者であり、完璧さと秩序を求める傾向がある。強い良心に導かれ、自分や環境をコントロールして誤りや失敗を避けることを努める。 | 実用主義者であり、目的を達成するために効率的な手段を重視する。 |
感情を抑制しながら、自制心を持って行動するよう努めるが、苛立ちや失望を感じると表情に出てしまいやすい。 | 感情を切り離し、目的達成に専念する。苛立ちや失望を含めて本当の感情を隠しながら、必要に応じて表情や振る舞いを変えることができる。 |
特定の方法や手順に執着し、理想に近づくために徹底的に努力する。 | 適応力が高く、目的が達成できないと感じたら戦術を変更する。 |
心の底で抱えているネガティブな感情:義憤、憤怒、苛立ち、罪悪感 | 心の底で抱えているネガティブな感情:敵意、傲慢、さらにその根底にある恥辱や屈辱 |
自分の中にいる厳しい超自我に裁かれないようにするために、完璧であろうとする | 家族の恥さらしものだと感じないで済むようにするために、優秀であろうとする |
他人に対して自分の基準を押し付けがち。 | 自己を宣伝して他人に自分の価値をアピールしがち。 |
ストレス下での自己要求が高まり、完璧主義的な傾向が強調される。 | ストレス下でのタイプ1と同様に自己要求が高まるものの、タイプ3の場合はそれが競争心の激化という形で表れやすく、成功や成果への焦燥感が強まる。 |
自己イメージを保つために自己制御し、規則に従うことを重視する。 | 自己イメージを保つために、外見や成功の象徴にこだわる傾向が強くなる。 |
自己イメージ・理想・自分や他者に抱いた期待と、現実とのギャップを感じると不安や焦燥が増し、それを埋めようと努める。この時、タイプ1は「自分自身や周囲の人々に対して過度な努力や完璧主義を求める」「規則や秩序をより強め、自己制御や、ルールへの厳格な遵守により焦点をあてる」「より多くの責任を負い、それを果たす」「自己改善や成長に焦点を当て、自己啓発に取り組んだり、新しいスキルを習得する」ことで、現実とのギャップを埋めようとする。 | 現実とのギャップを感じると、内面的な不安や虚無感に苛まれるため、タイプ3はタイプ1と同様に、現実とのギャップを避けようとする。タイプ1とは異なり、タイプ3はそのギャップを埋めるために成功や魅力の幻想に執着する。自身の成功や魅力を強調し、外見や社会的地位を通じて他者に自分をアピールすることによって、他者からの賞賛や認定を得て、それによって自尊心を確立しようと試みる。 |
他者と関係を築く際、他者に対しても自分と同じ基準を課し、それに従うことを求める傾向が強い。 | 他者と関係を築く際、自分の成功や、その他のポジティブなイメージを強調する傾向が強い。 |
(タイプ4への退行)ストレスがかかると、普段の自己抑制が緩み、タイプ4の特徴が浮かび上がる。自己批判が高まるのと同時に、現実からの解放を望む欲求が増大するため、感情がかき乱されたり、自己不信感に囚われる。その結果、行動や感情の不安定さが増し、自己抑制が難しくなる。やや不健全なタイプ1は、ルールに例外をつくることで、無自覚なダブルスタンダードに陥りがちである。この状態のタイプ1は、「他人には厳しく自分には甘い、わがままな人」として評価されることもある。努力しても見返りが少ない厳格な超自我からの圧力にうんざりして、義務から解放されることをテーマにした夢想に耽ったり、自分の身の周りに芸術的な環境を整えようとすることもある(この影響で、タイプ1は「自分は芸術に理解がある人間だ」という自己像を持ちやすい)。 | (タイプ9への退行)自分が他者よりもすぐれていることをアピールしたがるが、それが行き過ぎて他者から賞賛されるよりも、むしろ孤立しそうになったと感じると、急に人をなだめたり、弁解しはじめたり、地味な役割(本当はしたくない嫌な仕事を含む)を自分から引き受けて、良心的なメンバーを演じることで、自分の存在感を薄めようとする(出すぎた杭になりたくないタイプ9的な特徴の表れ)。自分を素晴らしい人間だと知らしめるための競争や自己PR、自己欺瞞にエネルギーを使い果たし、疲れ切って挫折に追い込まれてしまうと、それまで自分自身から隠していた自己不信が一気に爆発し、無感動で漫然とした状態に陥ってしまう。一度この状態に陥ると、普段の目的志向や効率性が失われてしまい、幻想的な成功の妄想をしながら、停滞しきった諦めの状態に沈み込んでしまう。 |
ユングのタイプ論との関係
タイプ3はしいていうなら、外向的思考に似ている部分もなくはありませんが、ドン・リチャード・リソ、ラス・ハドソンの著書「Personality Types: Using the Enneagram for Self-Discovery」のTable 14.2. The Jungian Correlationsでは、タイプ1は外向的思考に似ており、タイプ3は該当なしとされています。
参考:
- Misidentifying Ones and Threes
- Personality Types: Using the Enneagram for Self-Discovery (English Edition)
- Understanding the Enneagram: The Practical Guide to Personality Types
- Personality Types: Using the Enneagram for Self-Discovery
- 新版 エニアグラム【基礎編】 自分を知る9つのタイプ