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エニアグラム タイプ5とタイプ8の違い

2021年7月12日月曜日

エニアグラム タイプ5 タイプ8

タイプ5とタイプ8の違い

エニアグラムのタイプ間の違いについてドン・リチャード・リソ、ラス・ハドソンの情報を参考にして整理しました。なお、他の研究者(イチャーソやナランホ、トライタイプのキャサリン・フォーブルなど)とはタイプの定義が異なる可能性があるのでご注意ください。他のタイプの比較:「エニアグラム 全タイプ比較

タイプ5とタイプ8の特徴の整理

タイプ5とタイプ8は、独立心が強く、時に攻撃的な態度を見せる点で似ているように思えます。しかし、その根底にある動機や行動の方向性には明確な違いがあります。ここでは、それぞれの特徴を比較し、両者を識別するためのポイントを整理します。

主な動機

  • タイプ5: 知識を深め、自己理解を進め、外部からの干渉を避けることを重視します。安全を確保するために情報を蓄積し、独立した思考を求めます。
  • タイプ8: 自立を維持し、環境を支配し、無敵であることを示したいという欲求が強いです。自己主張と影響力の拡大を行動の原動力とします。

違い
タイプ5は内面的な安全や知的探求を求め、タイプ8は外部への影響力や支配を重視します。動機が内省的か行動的かが大きな違いとなります。

健全な状態の特徴

  • タイプ5: 知的好奇心が旺盛で、革新的なアイデアを生み出します。自信を持って知識を共有し、他者に洞察を提供します。
  • タイプ8: 威厳ある指導者として振る舞い、他者を守りながら大きな挑戦に立ち向かいます。寛大さと高潔さを備え、影響力を建設的に発揮します。

違い
タイプ5は知識を通じた貢献を重視し、タイプ8は実践的なリーダーシップを発揮します。影響を与える方法が理論的か行動的かが異なります。

通常の状態の特徴

  • タイプ5: 内向的で感情を表に出さず、周囲と距離を取ります。必要なものを最小限に抑え、自己完結を図ろうとします。
  • タイプ8: 自己主張が強く、他者を支配しようとします。威圧的で対立的になり、自分の意志を通すために環境をコントロールします。

違い
タイプ5は退避や孤立を選び、タイプ8は支配や対決を優先します。行動が内向きか外向きかが明確な違いとなります。

不健全な状態の特徴

  • タイプ5: 現実から乖離し、極端に孤立します。偏執的になり、非現実的な思考に囚われ、恐怖や混乱に支配されます。
  • タイプ8: 無情で暴力的になり、全能感に取りつかれます。他者を徹底的に攻撃し、自己の生存のためにすべてを犠牲にします。

違い
タイプ5は内面的な崩壊と恐怖が中心であり、タイプ8は外向的な破壊や冷酷さが目立ちます。反応が内省的な混乱か、攻撃的な支配かが異なります。

身体とのつながり

  • タイプ5: 身体とのつながりが希薄で、思考の世界に没頭しがちです。現実的な行動や身体的感覚に対する関心が低いです。
  • タイプ8: 身体とのつながりが強く、本能的な行動を重視します。実践的で感覚的な面が強く、物理的な存在感を大切にします。

違い
タイプ5は精神的な世界に重きを置き、タイプ8は身体を通じた現実への関与を強めます。現実との向き合い方が抽象的か具体的かが異なります。

タイプ5とタイプ8を区別する際は、動機が知識と孤立に根ざしているか、支配と力への欲求に基づいているかを確認することが重要です。特に通常から不健全な状態では、行動が内向的な退避か外向的な対決か、身体との関係が希薄か密接かに着目すると、違いが明確になります。攻撃的な側面が共通して見える場合でも、それが恐怖による回避か、自信に基づく行動かを見極めることで、両者の違いがはっきりします。

親との関係における位置づけ

共通点

幼少期の体験が性格の土台を築く

  • どちらのタイプも、幼少期に養育者とどのように関わったかが、その後の性格や行動パターンの形成に深く関わります。タイプ5は知識や自立への志向を、タイプ8は力や自己主張の基盤をこの時期に培います。

感情の抑圧と防衛の傾向

  • 養育者との関係の中で感じた傷つきやすさや恐れを抑え込もうとする点も共通しています。タイプ5は人との距離を置くことで自己を守り、タイプ8は強さを前面に出すことで内面の脆さを隠します。

信頼関係の築き方に影響を受ける

  • 幼少期の養育者との関わり方が、その後の信頼関係の築き方に影響を及ぼします。タイプ5は他者と距離を取りがちになり、タイプ8は自分の力で生きることを優先する傾向が強まります。この影響は、後の人間関係にも反映されます。

相違点

養育者との心理的な距離

  • タイプ5: 養育者との関係が心理的に遠く、感情的なつながりが薄いです。自己を確立するために独立した思考を持ち、知識を深めることに意識を向けます。
  • タイプ8: 養育者と一定の関係を保ちながらも、過度な依存を避けます。愛情や価値観を受け入れつつも、自分自身の力を優先し、自立を強く意識します。

権威に対する態度の違い

  • タイプ5: 養育者を含めた権威に対して距離を置き、支配や干渉を避けるために内向的な姿勢を取ります。自分の領域を守ることが最優先されます。
  • タイプ8: 養育者や権威をそのまま受け入れることをせず、自分自身が主導権を握ろうとします。支配されることを拒み、自らの権威を確立しようとします。

感情の処理と自己防衛の方法

  • タイプ5: 養育者との関わりで生じた感情を抑え込み、孤立や知識の追求によって対処します。思考を重視し、感情に振り回されないようにします。
  • タイプ8: 養育者との関係の中で芽生えた優しさや傷つきやすさを隠し、強さや攻撃的な態度で自己を守ります。内に秘めるのではなく、外へ向けて力を示すことで自分を保とうとします。

タイプ5とタイプ8は、幼少期の養育者との関わりが性格に影響を与える点や、防衛的な傾向を持つ点では共通しています。しかし、タイプ5は感情を内に閉じ込めて孤立を選ぶのに対し、タイプ8は強さを前面に出し、環境に働きかけようとします。これらの違いは、タイプ5が内向的な独立を求めるのに対し、タイプ8が外向的な自立を目指す姿勢として表れ、それぞれの生き方や他者との関係性に大きな影響を与えます。

外見上の共通点(誤認されやすい理由)

タイプ5とタイプ8は、性格的には大きく異なるように見えますが、外見上の共通点があるために混同されることがあります。まず、どちらのタイプも独立心が強く、他者からの干渉を避けようとする点が共通しています。タイプ5は知識を盾にして自己を守り、タイプ8は力を頼りに自立を貫きますが、どちらも自分の領域を確保しようとする姿勢が目立ちます。この強い自立志向が、外見上似た印象を与える要因となります。また、両者とも感情をあまり表に出さず、内面の脆さを隠そうとするため、冷静で距離を取った態度に見えがちです。そのため、対人関係において誤解を招くことが少なくありません。

さらに、攻撃的に見える振る舞いや、率直なコミュニケーションのスタイルも、両者が混同される要因となります。タイプ5は自分の知識や立場を守るために鋭い言葉を使うことがあり、タイプ8は意志を貫くために強い態度を取ることが多いです。このように「相手を圧倒する」ような言動が、外見上の類似性を生み出します。特に、ストレスを感じたときにタイプ8が内向的になり、一時的にタイプ5のように引きこもることがあるため、行動パターンが重なりやすくなります。加えて、どちらも自分を集団の外側に置く意識があり、周囲に溶け込まず独自の道を進もうとするため、孤立した存在として認識されがちです。こうした特徴が、両者の違いを判別しづらくし、誤認を引き起こす要因となっています。

本質的な違い(決定的な見分け方)

行動の動機

  • タイプ5: 知識を深め、自己理解を深めることが行動の中心です。外部からの干渉を避け、自分の内面で世界を構築しようとします。情報を集め、分析することで安心を得て、他者に頼らず独立した思考を維持しようとします。この動機は、外界を支配することよりも、自分自身をコントロールすることに重点を置いています。
  • タイプ8: 自立を保ち、周囲に影響を与え、自分の力を示すことが大きな原動力です。無敵であることを証明したいという強い欲求があり、環境や他者を自分の意志に従わせることで安心感を得ます。行動を通じて自己を確立し、権力や影響力を拡大することに価値を見出します。

問題への対処法

  • タイプ5: 内向的な傾向が強く、問題が生じると距離を取って対処します。感情や外部からの要求を避け、自分の思考や知識に没頭することで状況を整理します。他者との関わりを最小限に抑え、慎重に行動することで自己完結を目指します。
  • タイプ8: 外向的で、問題に対して積極的に立ち向かいます。対立を恐れず、挑戦を楽しみながら自分の意志を貫こうとします。環境や人間関係の中で主導権を握り、現実的な成果を重視する姿勢が特徴です。

身体との関わり方

  • タイプ5: 身体への意識が低く、思考や精神的な活動を優先する傾向があります。現実的な行動や感覚にあまり関心を持たず、身体的な欲求を抑えて頭の中での活動に没頭します。日常生活でも地に足がつかず、抽象的な思索に集中しがちです。
  • タイプ8: 身体と強く結びつき、本能的なエネルギーを行動に活かします。感覚が鋭く、実践的な活動を好み、物理的な力を通じて自分を表現します。身体を積極的に使い、環境に働きかけることが自然なスタイルとなっています。

感情の扱い方

  • タイプ5: 感情を内に秘め、表に出さないように抑えます。感情が自分のコントロールを乱すものと考え、知識の探求や孤立によって不安を管理します。他者との感情的な関わりを避け、冷静さを保つことを重視します。感情を処理するよりも、切り離して思考に集中する傾向が強いです。
  • タイプ8: 感情をエネルギーに変え、外に向かって発散します。弱さや恐怖を認めず、強さや攻撃的な態度で覆い隠そうとします。感情を抑え込むのではなく、力に変えて周囲に影響を与え、自己を主張するスタイルを取ります。

他者との関わり方

  • タイプ5: 他者との関係に依存せず、距離を置くことを選びます。感情的なつながりを最小限にし、自立を保つために孤立を好む傾向があります。対人関係では干渉を避け、自分の領域を守ることを重視します。他者との関わりは必要最低限にとどめ、独立した生き方を貫きます。
  • タイプ8: 他者を支配し、主導権を握ることで自分の立場を強化します。対人関係では自らの意志を押し通し、依存を避けながらも他者をコントロールしようとします。自分の影響力を確立することで、安心感を得ることが特徴です。

具体的な見分け方のポイント

会話の仕方と反応

タイプ5は質問されると慎重に考え、筋の通った答えを準備しようとします。これに対し、タイプ8は即座に意見を述べ、強い自信を持って相手を圧倒するような話し方をします。

ストレスを感じたときの反応

タイプ5はストレスを受けると静かに引きこもり、一人で考える時間を必要とします。一方で、タイプ8は状況に対して積極的に立ち向かい、強気な態度で主導権を握ろうとします。

身体の使い方や雰囲気

タイプ5は控えめな姿勢で、できるだけ目立たないように振る舞う傾向があります。反対に、タイプ8は堂々とした立ち姿で、自然と力強いエネルギーや威圧感を醸し出します。

人との関わり方

タイプ5は人と一定の距離を保ち、感情的な関わりを最小限にしようとします。対照的に、タイプ8は他者に積極的に関わりながらも、自分の意志を貫き、関係性の主導権を握ろうとします。

知識や影響力の求め方

タイプ5は知識の探求に深く没頭し、論理的な理解を最優先します。一方で、タイプ8は実践的な行動を重視し、具体的な力や影響力を発揮することで結果を出そうとします。

まとめ

  • タイプ5は知識の習得に力を入れ、タイプ8は影響力を高めることを重視します。
  • タイプ5は内向的で物事を深く考え、タイプ8は外向的で行動的です。
  • タイプ5は問題が生じると距離を置こうとし、タイプ8は正面から向き合います。
  • タイプ5は自分の身体をあまり意識せず、タイプ8は身体的な感覚や力を活かします。
  • タイプ5は一人でいることを好み、タイプ8は周囲に対して主導権を握ろうとします。

補足

タイプ5とタイプ8が共通して苦手とする状況や特徴を整理し、それぞれの反応の違いをまとめました。特に、タイプ5が最も避けたいと感じるネガティブな状況と、それに対するタイプ8のリアクションの違いに注目しています。

無力さや弱さが露呈する場面

  • タイプ5: 知識の不足や感情のもろさが他人に知られることを、耐えがたい屈辱と感じます。例えば、会議で質問に答えられなかったとき、外見上は冷静を装いますが、内心では「無能だと思われた」と強い自己嫌悪に陥ります。自分の価値が揺らぐような感覚に囚われ、二度と同じ失敗をしないよう心を閉ざし、さらに孤立しようとする傾向があります。思考が堂々巡りし、逃げ場のない不安に飲み込まれることが多いです。
  • タイプ8: 同じような状況では、力不足や無力感を突きつけられることに強い怒りを覚えます。議論で押し負けた場合、表向きは大声で反論し、相手をねじ伏せようとすることが多いですが、内心では「弱く見られるなんて許せない」と屈辱感が募ります。この感情が衝動的な行動につながり、支配権を取り戻そうと攻撃的になることがあります。弱さを認めること自体が許せず、自らを正当化し続ける傾向があります。

他者に支配されたり干渉されたりする場面

  • タイプ5: 他者から指示されたり、行動を制限されたりすると、強いストレスを感じます。例えば、上司に細かく指示されると、表向きは従うように見せかけますが、内心では「自由を奪われた」と強い不安に襲われます。自分の領域が侵害されたと感じると、無意識に距離を置こうとし、より内にこもる傾向があります。自分のペースを乱されることが何よりも苦痛で、関わりを最小限にしようとします。
  • タイプ8: 他者から支配されることを極端に嫌い、明確な敵意を示します。例えば、上司に命令されると、反抗的な態度を取ったり、強引に自分の意志を貫こうとしたりします。内心では「自分を縛るなんてありえない」と怒りが爆発し、相手を打ち負かすことで自由を取り戻そうとします。支配されることへの恐怖は非常に強く、それを拒絶するために攻撃的になることがあります。

感情的な依存を求められる場面

  • タイプ5: 他人から感情的な支えを求められることに強い抵抗を感じます。例えば、友人が泣きながら助けを求めた場合、表面上は冷静を装いますが、内心では「巻き込まれたくない」と強い不安を抱きます。感情の渦に巻き込まれることで自己を見失う恐れを感じ、無意識に距離を取ろうとします。結果として、冷淡に見える態度を取ることが多く、関係を断ち切ることで自分を守ろうとする傾向があります。
  • タイプ8: 他人の弱さに対して苛立ちを感じ、突き放そうとします。例えば、誰かが頼ってきたとき、「自分で何とかしろ」と厳しく突き放すことが多いです。内心では「こんな弱さに依存されるなんて屈辱だ」と感じ、他人に頼られること自体を嫌います。感情的なつながりが自分の力を奪うと考え、支配される前に拒絶する傾向が強くなります。そのため、感情を持ち出す相手に対して冷酷な態度を取ることがあります。

参考資料

ソシオニクス・タイプ診断

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