このタイプはかなり違いが大きいタイプなので、この2つのタイプの間で誤認が発生することはあまりありません。
タイプ1(ストレスでタイプ4に退行する)が、「自分はタイプ4だ」と思い始めた時に発生するようです。ストレスを受けているタイプ1が、表面的な「不健全なタイプ4の特徴」だけを見て、「自分も憂鬱な気分になったり、落ち込んだり、他人から疎外されていると感じることがあるからタイプ4に違いない」と思い込んでしまうことが時折あります。
退行というのは、ストレス下でメインタイプの危険な不健全状態に陥らないための一種の防衛手段です。しかし、こうして退行して表面的には退行先のタイプに似たような言動をとるようになっても、囚われや恐れ、動機が退行先のタイプのものに変わるわけではありません。タイプ4に退行したタイプ1にも同様のことが言えます。表面的にどれだけタイプ4っぽさがあっても、彼らはタイプ4の問題(「自分の感情をあまりにも意識しすぎてしまう」)ではなく、タイプ1の問題(「自己嫌悪・罪悪感」)に苛まれています。
タイプを考える際は、タイプの表面的な特徴ではなく、真の動機や囚われを見極める必要があります。
また、健全度が高く、タイプ1に統合しているタイプ4(理性、節度、客観的価値への関心を持つタイプ4)や、教職についているタイプ4(自分の感情や内面に振り回されずに行動することを強く要求される職業についているタイプ4)がタイプ1に間違われることもあります。しかし、タイプ1に統合したタイプ4であっても、彼らの本質はタイプ4です。そのため、タイプ2やタイプ9ではなく、タイプ3やタイプ5をウイングとして持っています。
タイプ概要
タイプ1 | タイプ4 | |
---|---|---|
囚われ | 怒り | 妬み |
根源的恐れ | 悪く、欠陥があり、邪で堕落していること | アイデンティティがないこと 個人的な存在意義がないこと |
根源的欲求 | 善き存在であること、人徳があって バランスがとれていて誠実であること |
内面の体験からアイデンティティを作ること 自分自身と自分の存在意義を見つけること |
超自我の声 | 正しいことをすれば大丈夫だ | 自分に正直であれば大丈夫だ |
共通点
タイプ1とタイプ4は下記の点が共通しています。
- 完璧主義の傾向がある
- 現状に対して不満を抱きがち
- 怒りっぽい
- 自分のパーソナルスペース内では、自分のルールを遵守してほしいという願望が強い(例「ここでは必ずスリッパを履いてください」)
相違点
タイプ1とタイプ4は下記の点が異なっています。
タイプ1 | タイプ4 |
---|---|
まず自分の義務を果たそうとする。感情問題は後回しにしがち | まず自分の気持ちを整理してから、義務に取り組もうとする |
他人の効率の悪さや決められた手順に従わないところに対してイライラしやすい | 自分の感性や創造性に気づいてくれない他人に対してイライラしやすい |
イライラした相手に対して、自分の意見をどんどん押しつけようとする | イライラした相手から冷たく距離を置こうとする |
ユングのタイプ論との関係
ドン・リチャード・リソ、ラス・ハドソンの著書「Personality Types: Using the Enneagram for Self-Discovery」のTable 14.2. The Jungian Correlationsでは、タイプ1は外向的思考に、タイプ4は内向的直観に近いとされています。