エニアグラムのタイプ間の違いについてドン・リチャード・リソ、ラス・ハドソンの情報を参考にして整理しました。なお、他の研究者(イチャーソやナランホ、トライタイプのキャサリン・フォーブルなど)とはタイプの定義が異なる可能性があるのでご注意ください。他のタイプの比較:「エニアグラム 全タイプ比較」
目次[非表示]
タイプ2とタイプ3の特徴の整理
主要な動機
- タイプ2: 他者に愛され、必要とされることを深く求めます。人間関係を強化するため、思いやりや奉仕を通じてつながりを築こうとします。
- タイプ3: 成功や認識を重要視し、周囲から評価されることを目指します。自分の能力やイメージを高めて、注目を集めることが動機となります。
違い
タイプ2は「人とのつながり」を最も大切にし、感謝されることで自分の価値を確認します。一方、タイプ3は「成果や評価」に重きを置き、成功によって自分の価値を証明しようとします。
健全な状態
- タイプ2: 思いやりがあり、温かい性格で他者を支援します。他者の良さを引き出し、利他的な行動を取ることが特徴です。
- タイプ3: 自信に満ち、目標達成能力が高いです。自分の力を最大限に活かし、周囲を励ましながら模範となる姿勢を示します。
違い
タイプ2は「感情的なサポート」を重視し、タイプ3は「自分の成果」を通じて周囲に影響を与えます。関わり方が「寄り添う」か「導く」かが異なります。
通常の状態
- タイプ2: 他者との距離を縮めるために、過度に親密になろうとします。必要とされたい気持ちが強まり、自己犠牲的な行動が目立ちます。
- タイプ3: 成功を追い求めて努力を重ねますが、競争心が強まり、他者との比較に固執します。成果を重視するあまり、感情的なつながりが薄れがちです。
違い
タイプ2は「感情を表に出し」、人とのつながりを深めようとしますが、タイプ3は「感情を抑え」、客観的な成果や競争で自分の価値を証明しようとします。
不健全な状態
- タイプ2: 依存心が強まり、他者を支配しようとします。感情的に操作し、罪悪感を与えて相手を引き止めようとします。
- タイプ3: 失敗を恐れて自己を偽り、冷徹で計算高い態度を取ります。手段を選ばず成功に固執し、破壊的な行動に走ることもあります。
違い
タイプ2は「人間関係を利用して支配」しようとし、タイプ3は「自分の優位性を保つために手段を選ばない」。執着する対象が異なります。
感情の扱い方
- タイプ2: 感情を率直に表現し、他者と共有します。共感力が高いですが、否定的な感情を抑える傾向もあります。
- タイプ3: 感情を隠し、表現を控えめにします。成果や評価を優先し、感情に振り回されないようにコントロールします。
違い
タイプ2は「感情を積極的に活用」し、人との関係を築こうとしますが、タイプ3は「感情を抑え、管理」し、冷静な印象を保とうとします。
ストレス時の反応
- タイプ2: 限界を超えると怒りが爆発し、タイプ8のように攻撃的で支配的な態度を取ります(タイプ2の退行先はタイプ8です)。他者への奉仕が裏目に出たと感じると、苛立ちを外にぶつけます。
- タイプ3: 燃え尽きるとタイプ9のように無気力になり(タイプ3の退行先はタイプ9です)、目標への興味を失います。行動が鈍くなり、現実逃避の傾向が強まります。
違い
タイプ2は「外向きに感情をぶつける」のに対して、タイプ3は「内向きにエネルギーを失う」。ストレス時の反応の方向性が異なります。
タイプ2とタイプ3の見分け方として、主な動機(人とのつながりを重視するか、成功と評価を追求するか)を確認することが有効です。また、感情を表に出すか抑えるか、ストレス時に攻撃的になるか無気力になるかといった違いも、判断の手がかりになります。
親との関係における位置づけ
共通点
幼少期の養育者との影響
- タイプ2とタイプ3は、幼少期に接した養育者との関係が性格形成に大きな影響を与えます。タイプ2は愛情や保護を求め、親との絆を深めようとする一方で、タイプ3は承認や評価を通じて自己価値を築こうとします。
防衛的な反応
- どちらも親との関係で生じた感情的な課題に対処するため、防衛的な行動を取ることがあります。タイプ2は愛されないことへの不安から献身的に振る舞い、タイプ3は拒絶を恐れて成果を追求します。
他者への適応
- 親との関係を通じて、タイプ2とタイプ3は他者の期待に応えることを学びます。タイプ2は他者を喜ばせるために奉仕し、タイプ3は評価を得るために成果を追い求めるようになります。
相違点
親への依存度
- タイプ2: 親や養育者に強く依存し、愛情と保護を求めます。家庭内では「世話をする役割」を担い、愛を得るために自己犠牲的な行動を取ることが多いです。
- タイプ3: 親の承認を求めますが、依存することはなく、自分の価値を証明することを重視します。養育者の期待に応えつつ、独立した存在として認められることを望みます。
権威との関わり
- タイプ2: 親や保護者との一体感を感じ、権威に寄り添う傾向があります。家族の期待に応え、奉仕を通じて関係を維持しようとしますが、時には愛憎が交錯することもあります。
- タイプ3: 親をロールモデルとして見るものの、無条件に服従することはありません。親の期待を超えて成果を上げることで、自己の地位を確立しようとします。
感情と親との関係の影響
- タイプ2: 親との関わりが自己犠牲的な傾向を強め、「愛されるためには尽くすべきだ」という信念を持つようになります。これにより感情的に他者に依存しやすくなります。
- タイプ3: 養育環境が成果への執着や自己愛的な傷を生み、「本当の自分」よりも「成功した自分」を優先する価値観を強めます。感情を抑え、評価を求める姿勢を強化します。
タイプ2とタイプ3は、親との関係において「幼少期の影響」や「適応的な防衛反応」という共通点を持ちつつ、その向き合い方が異なります。タイプ2は親への依存と奉仕を通じて愛を得ようとし、感情的なつながりを重視します。一方で、タイプ3は親からの承認を基に自己価値を高め、独立と成果を優先します。この違いが、他者との関係の築き方や自己認識に大きな影響を与えます。
注釈:ナランホの解釈によれば、タイプ2は「親から特別に愛された子供」とし、タイプ3は「親から適切な注目や関心を得られなかった子供」と解釈されています。
外見上の共通点(誤認されやすい理由)
タイプ2とタイプ3は、外見上非常に似ているため、しばしば誤解されやすいタイプです。その主な理由は、両者が他者から好かれ、注目されたいという強い欲求を持っている点にあります。タイプ2は他者に尽力し、温かな気遣いを示すことで愛されようとし、タイプ3は自己の魅力や業績を高めることで賞賛を集めようとします。この「魅力的で目立つ」という特徴が、社交的で親しみやすい印象を作り出し、両者の混同を引き起こす要因となっています。
特に、2w3やタイプ3の2ウイング3w2では、個人的な魅力や他者を喜ばせる欲求が強調されるため、区別がさらに難しくなります。例えば、タイプ2が他者に優しく接して気遣いを見せることで注目を集める様子は、タイプ3が自らの輝きで人々を惹きつける態度と非常に似ています。
また、両者とも感情を活用する傾向がありますが、その表現方法には違いがあります。タイプ2は感情を率直に表現し、親しみやすさを強調します。一方、タイプ3は感情を抑制しつつ、状況に応じて感情を演出することがあります。このような感情の使い方が「魅力的」と形容される共通点となり、どちらが本心からのものかを見分けるのが難しくなります。
さらに、健全な状態では両者とも自信と社交性を発揮し、周囲に良い影響を与えるため、外見上の違いがより曖昧になります。そのため、タイプ2が他者中心の動機で行動しているのか、タイプ3が自己の成功を追い求めているのかという本質的な違いが見過ごされやすくなり、誤解を生む原因となります。
本質的な違い(見分けるためのポイント)
動機の違い:奉仕による愛か成果による評価か
- タイプ2: 他者に愛され、必要とされることを生きがいとしており、奉仕や思いやりを通じて関係を深めようとします。親密さや感謝を得ることで自己価値を実感し、他者の幸福が自分の喜びとなる傾向があります。例えば、困っている人に手を差し伸べ、その笑顔や感謝を求める姿勢が特徴的です。愛情を動機とするこの姿勢は、他者との絆を最優先に考えるところから来ています。
- タイプ3: 自己の価値を認められ、注目されることを最も重視し、成功や成果を積み重ねることで他者に印象づけようとします。地位や賞賛が自己肯定感の源となり、他者の評価を通じて自分の存在価値を見出します。例えば、仕事でトップを目指したり、魅力的なイメージを作り上げることに全力を注ぎ、自分の輝きを他者に見せつけることが動機となります。
感情の扱いの違い:オープンな表現か抑えた演出か
- タイプ2: 感情を素直に表現し、他者の感情に共感することで深いつながりを築きます。喜びや悲しみを共有し、温かい雰囲気を作り出すのが得意で、他者の感情に寄り添うことで自己も満たされます。例えば、友人の悩みに涙を流したり、励ましの言葉をかけることが典型的ですが、否定的な感情を抑えがちな面もあります。
- タイプ3: 感情を内に秘め、必要に応じて演技的に表現します。冷静さを保ち、感情よりも成果やイメージを重視するため、深い感情を抱くことがあってもそれを表に出すことは少なくなります。例えば、大切な場面で感動を装うことはあっても、本当の感情を明かすのは苦手で、自己の内面を隠しながら魅力的な外見を保とうとします。
親密さへの態度の違い:求めるか避けるか
- タイプ2: 親密さを強く求め、他者との深い関係に安心感を求めます。愛情や依存を通じて結びつきを強化し、他者に必要とされることで自分の存在を確認しようとします。例えば、家族や友人に過度に接近し、関係が途切れることを恐れすぎてお節介になったり、絆が切れると不安を感じることがあります。
- タイプ3: 親密さには慎重で、一定の距離を保ちながら関係を築こうとします。自己の独立性や成功を重視し、他者に本当の自分を見せることを避けるため、深い結びつきには不安を覚えます。例えば、表面的な友好関係を楽しむものの、内面を明かすことに抵抗があり、他者との間に目に見えない壁を作りがちです。
ストレス時の反応の違い:爆発か撤退か
- タイプ2: ストレスが限界に達すると、タイプ8のように支配的で攻撃的な態度に変わることがあります。他者に尽くしてきた努力が報われないと感じると、怒りを爆発させることがあります。例えば、感謝されないことに耐えきれず、感情的に他者を責めたり、高圧的な態度を取ってしまうことがあります。
- タイプ3: 過度に疲れ果てると、タイプ9のように受動的で無気力な状態に陥ります。目標への執着が薄れ、感情が麻痺し、内向きになります。例えば、過労で意欲を失い、活動を放棄して引きこもりがちになり、他者との競争から距離を置き、現実逃避をすることがストレスへの対応方法となることがあります。
他者との関わり方の違い:自己犠牲か自己高揚か
- タイプ2: 他者の期待に応えるために自己を犠牲にし、奉仕を通じて愛や承認を得ようとします。他者のために尽力することが自己肯定感を保つ手段であり、自己の欲求を後回しにすることが多いです。例えば、疲れていても他者のために尽力し、感謝されることで自己を保つことがよく見られます。
- タイプ3: 他者からの評価を利用して自己の価値を高め、成果や外見を重視します。自己犠牲よりも自分の地位やステータスを向上させることを目標とし、時には他者を踏み台にすることもあります。例えば、他者の賞賛を得るために努力を重ね、自分の成功を強調することで自己価値を確立しようとします。
具体的な見分け方のポイント
奉仕するか目立つか
タイプ2は他者のために尽力し、思いやりを示すことで愛を得ようとします(例: 相手の問題に共感する)。一方、タイプ3は自分の成果や魅力を前面に出して注目を集めようとします(例: 成功を誇示する)。
感情を共有するか隠すか
タイプ2は感情を素直に表現し、他者と感情を共有することを重視します(例: 涙を流して慰める)。それに対し、タイプ3は感情を抑え、必要に応じて演技をすることが多いです(例: 落ち着いて対応する)。
親密さを求めるか距離を取るか
タイプ2は他者と深い関係を築き、親密さを求めます(例: 頻繁に連絡を取り合う)。タイプ3は親密さに対して控えめで、表面的な関係を好みます(例: 本音を避け、一定の距離を保つ)。
怒りが爆発するか無気力になるか
タイプ2はストレスが溜まると感情的になり、怒りを露わにすることがあります(例: 長期間我慢した後、感情的に反応する)。対して、タイプ3は過度の疲れにより無気力になり、感情を封じ込めます(例: すべてを放棄して引きこもる)。
自己を捧げるか高めるか
タイプ2は他者のために自己を犠牲にして奉仕し続けます(例: 疲れていても他者のために尽力する)。タイプ3は自己を高め、他者からの評価を利用して自分を価値ある存在として示します(例: 賞賛を得るために努力し続ける)。
まとめ
- タイプ2は愛を得るために他者に尽力し、タイプ3は成功を追求し注目を集める。
- タイプ2は感情を素直に表現し、タイプ3は感情を抑え、コントロールする。
- タイプ2は親密な関係を築こうとし、タイプ3は距離を取りながら関係を維持する。
- タイプ2はストレスにより怒りを爆発させ、タイプ3は無気力に陥って活動を停止する。
- タイプ2は自己を犠牲にして他者に奉仕し、タイプ3は自己の成長を最優先に考える。
2w3の特徴概要と2w1との違い
2w3の特徴概要
2w3は他者に好かれることを重視し、魅力的な姿で周囲を引き寄せるタイプです。温かい心と社交的な態度を持ち、他者を楽しませたり、喜ばせたりするのが得意です。例えば、パーティーでみんなを笑顔にしようと気を使ったり、自分の料理を振る舞って褒められることを楽しんだりします。周囲からの注目や愛情をエネルギー源にして、それを得ることで自信が高まります。
とはいえ、感情は明るく見せることが多く、内心の不安や疲れはあまり表に出しません。例えば、忙しくても笑顔で接し、自分の辛さを隠して元気な姿を保とうとします。人と関わることが好きで、親しみやすい雰囲気を作りながら、自分の魅力を発揮して自然と注目を集める場面を求めます。奉仕の気持ちと自己アピールがうまく融合していることが特徴です。
2w3の視点から見た2w1との違い
2w3から見ると、2w1も他者を助けるタイプではありますが、より真面目で控えめな印象を与えます。2w3は「みんなを楽しませて自分も輝きたい」と考え、例えばイベントで盛り上げ役を買って出るのに対し、2w1は「正しいことをして役立ちたい」と考え、裏方で黙々と支援する姿が目立ちます。
また、2w3は注目されることを楽しみ、人と気軽に関わるのに対し、2w1は感情を抑え、ルールや義務感を大切にして慎重に行動します。2w3が「みんなが喜んでくれるなら多少派手でも構わない」と明るさを重視するのに対し、2w1は「派手さより誠実さが大切だ」と、控えめで落ち着いた奉仕を選ぶ傾向があり、2w3にはその慎重さが少し地味に感じられることがあります。
3w2の特徴概要と3w4との違い
3w2の特徴概要
3w2は成功を追い求める一方で、人との温かい繋がりを大切にするタイプです。魅力的な笑顔や親しみやすい態度で周囲を引き寄せ、注目を浴びるのが好きです。例えば、仕事で成果を上げた後に仲間と一緒に祝う場を作ったり、友人に気前よくプレゼントを贈ったりします。人から好かれることで自信が高まり、目標達成と良好な人間関係を両立させようとします。
感情は明るく見せるのが得意で、どんなに疲れていても元気な姿を見せようとします。例えば、忙しい日でも笑顔で冗談を言い、周囲を盛り上げようとします。自己アピールが強く、目立つことを好みますが、同時に他者に優しさを見せて愛されるシチュエーションを求めるのが特徴です。成果を上げる力と社交的な性格が合わさった、活気ある雰囲気を持っています。
3w2の視点から見た3w4との違い
3w2から見ると、3w4は同じく成功を目指しますが、もっと静かで内向的な印象を与えます。3w2は「みんなに好かれて目立ちたい」と考え、例えばパーティーで中心となって盛り上げるのに対し、3w4は「自分のスキルを極めて認められたい」と思い、黙々とプロジェクトに取り組む姿が目立ちます。
さらに、3w2は人との関わりを楽しみ、感情を明るく見せるのに対し、3w4は感情を内に秘め、一人でじっくり考えることが多いです。3w2は「みんなで楽しい方が成功だ」と考えて人と一緒にいることを好みますが、3w4は「独自性が大事」と考え、自分の世界を守ろうとし、3w2にはその孤立した印象が少し遠く感じられることもあります。
2w3と3w2の違い
2w3と3w2は、どちらも他者から好かれたいと願い、自分が注目されることを楽しむタイプで、外見は明るく魅力的で似た特徴を持っています。社交的な場における存在感や他者を引き寄せる温かさが非常に似ているため、この2つのタイプはしばしば混同されます。しかし、タイプ2とタイプ3には内面的な動機や行動の背景に違いがあり、これを理解することで両者を区別することができます。ここでは、内面的な視点からその類似点と相違点を整理し、識別のポイントを探っていきます。
行動の共通点:魅力と社交性の輝き
2w3と3w2は、魅力的な振る舞いで周囲を引き寄せる点が共通しています。例えば、パーティーで絶えず笑顔を見せてみんなを盛り上げたり、気前よくプレゼントを渡して喜ばせたりする様子が見受けられます。どちらも他者からの愛情や賞賛をエネルギー源とし、社交的な場で輝くことで自己満足を得るのです。この明るさと親しみやすさが、両者を似たタイプに見せますが、その裏に隠れた目的や感情の使い方には違いがあります。
内面的動機の違い:愛か成功か
- 2w3: 内面的には、愛され、必要とされることが最も重要です。他者に尽力し、温かい関係を築くことで心が満たされます。例えば、友人が落ち込んでいる時に励まし、その感謝の言葉で安心感を得ることが動機となります。人との繋がりが自己価値の中心にあります。
- 3w2: 内面的な目標は、成功と認められることです。自分の輝きを高め、他者からの称賛を得ることで自信を持ちます。例えば、仕事で成果を上げ、それに対して褒められることを求め、それが自己肯定感の基盤になります。愛されることも大事ですが、成功が最も優先されます。
感情の使い方の違い:奉仕の道具か自己演出か
- 2w3: 感情をオープンに表現し、他者との絆を深めるために使います。例えば、友人の悩みに共感して涙を流し、寄り添うことで愛情を示すことが動機です。感情は奉仕の手段として他者に与えることで、自分が満たされる感覚が強く感じられます。
- 3w2: 感情は自己を高めるための演出として使われ、必要な場面で見せます。例えば、大切な場面で温かい笑顔を振りまくものの、本心を隠すことがよくあります。感情は成功や魅力をアピールするために使われ、他者に与えるよりも自分の輝きをサポートする役割を果たします。
他者との関わり方の違い:支えるか輝かせるか
- 2w3: 他者を支えることで自分の存在意義を感じ、奉仕を通じて関係を築きます。例えば、仲間が困っている時に積極的に手助けし、その喜ぶ顔に満足感を覚えます。他者の幸せが自分の存在意義とつながり、支える役割を好みます。
- 3w2: 他者を輝かせる場面で自分が目立つことを求めます。例えば、チームの成功を導きながら、自分がリーダーとして称賛される状況を望みます。他者を活かすことが自己の成功のためであり、輝く中心にいることが重要です。
判別方法:動機と行動の背景を見る
- 動機の確認: 「なぜ他者と関わるのか?」を観察することで、違いが明確になります。2w3は「愛されることが重要」と考え、他者のために行動し、3w2は「認められることが重要」と考え、自己のために行動します。
- 感情の現れ: 感情が自然に現れるのか、それとも計算された結果なのかを見極めます。2w3は感情をオープンに表現し、3w2は状況に応じて感情を調整して見せます。
- 他者への態度: 他者を支えることが目標なのか、それとも自己を高めるための手段としているのかを確認します。2w3は他者の幸福を最優先し、3w2は自分の輝きを重視する傾向があります。
補足:辛口解説
エニアグラムにおけるタイプ2とタイプ3は、どちらも社交的で魅力的な性質を持ち、他者からの反応を強く求める傾向があるため、表面的には区別が難しいことがあります。ここでは、参考資料を参考にしながら、タイプ2、タイプ3に特有の、受け入れにくいと感じるかもしれないネガティブな特徴に焦点を当て、それがどのように表れるのかを、できるだけ率直かつ暗い視点で描いていきます。これによって、タイプ2とタイプ3のどちらに当てはまるのかを判断する手がかりとなるかもしれません。
タイプ2の特徴
歪んだ愛と依存の泥沼
タイプ2には、他者への助けが、無意識のうちに打算的な要素や過度な依存心を伴う傾向があります。彼らは温かく思いやりを持って周囲と接し、困っている人を支えることで喜びを感じますが、その根底には純粋な善意以上の欲求が潜んでいます。心の中で、他者に尽くすことで「感謝されたい」「必要とされたい」という強い願望を抱いているのです。そして、期待していた反応が得られないと、表面上は微笑んでいても、内心では失望や怒りを抱えることがあります。
この歪んだ愛情は、「自分は無償で愛を与えられる特別な存在だ」という自己像を守るための防衛機制でもあります。タイプ2は、自分の内にある利己的な動機を認めることに強い抵抗を感じ、そのため、他者に尽くす行為が実は内面の空虚感や不安を埋めるための手段であることを無意識に隠してしまいます。例えば、誰かに親切にしたにもかかわらず、相手が十分に感謝しない場合、心の奥底で不満や苛立ちが湧き上がることがあります。これは、タイプ2が無意識に「見返り」を期待している瞬間です。
さらに、タイプ2は他者への情緒的依存が非常に強く、自分の価値が他者の愛や承認にかかっているため、それらが得られないと自己の存在価値が揺らぎます。親しい人から無視されたり、尽くした相手に冷たい態度を取られると、深い孤独感に悩まされ、自己の存在が否定されたように感じることがあります。そして、この感覚を埋めるため、他者への依存心をさらに強めてしまうのです。
自己欺瞞と依存の露呈
タイプ2とタイプ3に共通する、認めづらいネガティブな側面は、「自己欺瞞」と「他者への依存」です。タイプ2にとって、「無私で愛情深い自分」という理想像は自分のアイデンティティの根幹を成しており、その理想が崩れることに強い恐れを抱きます。同様に、タイプ3は「自立した成功者」という自己イメージを守ろうとし、他者への依存心が露呈することを非常に恐れます。どちらのタイプも、本当の自分と向き合うことを避け、理想化した自己像にしがみつくことで心の安定を保とうとします。
タイプ2においては、この自己欺瞞や依存心が表に出ると、「偽りの聖人」として晒されるような耐え難い屈辱を感じます。例えば、献身的な行動が打算的だと指摘されたとき、表面上は平静を装いながら、内心では激しい羞恥心や怒りを抱えることになります。
タイプ3の特徴
虚飾の輝きと冷淡な自己中心性
タイプ3には、虚栄心に満ちた表面的な輝きと、他者を利用する冷徹な自己中心的な性格があります。彼らは、自信に満ち、成功を追求する姿勢で周囲の関心を引きますが、その背後には、自分を優れた存在として見せるための虚飾と、他者の価値を軽んじる冷徹さが潜んでいます。タイプ3の最大の関心事は他者からの称賛や評価です。しかし、それが得られないと、自分の存在価値が失われたような深い不安が押し寄せます。その不安から逃れるために、タイプ3は無意識のうちに他者を出し抜き、時には他人を傷つけることもいとわないことがあります。
この虚飾に包まれた輝きは、「自分は特別で有能な存在である」という幻想を守るための防衛策でもあります。タイプ3は、自分の脆弱さや失敗を直視するのが難しく、失敗は自己価値を根本から揺るがすものと感じるため、それを隠すために他人の手柄を奪ったり、事実を曲げたりすることがあります。例えば、プロジェクトで成果を上げられなかった際に、他人の貢献に便乗して「自分の貢献」を誇張したり、場合によってはそのプロジェクトでの真の貢献者が自分だと見せかけることもあります。これは自分を守るための本能的な行動ですが、タイプ3自身もその行動が必要不可欠だということで、自分の中にある空虚感を感じていることに気づいているかもしれません。
さらに、タイプ3は他者との関係を冷徹に断ち切る傾向があります。タイプ2が関係を保つために自己犠牲を払うのとは異なり、タイプ3は自分の輝きを脅かすものや人を無情に排除します。例えば、友人が自分よりも注目を集めた場合、表面上は祝福の言葉をかけつつも、心の中では嫉妬や競争心が燃え、相手をどのように上回るかを必死に考えていることもあります。この冷徹さは、自己の成功を他者の感情よりも優先させる価値観から生まれ、他人を単なる成功への足場や障害物として見ることもあります。
自己欺瞞と依存の恐怖
タイプ2とタイプ3に共通する受け入れがたい要素は、「自己欺瞞」と「他者への依存」です。タイプ3にとって、「自立した勝者」という自己イメージは生存戦略そのものであり、もし自己欺瞞や依存心が明らかになれば、自分が無価値な存在だということが暴かれるかのように感じます。タイプ2も「愛される存在であること」に固執しますが、タイプ3は自己欺瞞が明るみに出ることで、「自分は偽物である」という強い恥辱を感じます。そのため、他人の助けがなければ成し得なかったことを隠すために、他者の支えを軽視したり、成功の背景を美化することがあります。彼らはその瞬間、「これでよし」と自分に言い聞かせるものの、内心では自分の本当の姿が空虚であることに気づいているかもしれません。
参考資料
- Don Riso and Russ Hudson (1996), Personality Types: Using the Enneagram for Self-Discovery
- Misidentifying Twos and Threes