タイプ3とタイプ7の違いを整理しました。なお本記事はドン・リチャード・リソ、ラス・ハドソンの情報を参考にしてサイト管理人独自の観点から整理したものであり、正確な原典を知りたい方にはオススメできない記事です。ご注意下さい。他のタイプの比較:「エニアグラム 全タイプ比較」
タイプ3
タイプ3の特徴は、自己顕示と他者への無関心が顕著に現れる点です。彼らは自分の価値を他人に認めさせることに執着し、常に自分が優れていることを示すことに力を入れます。例えば、豪華な車や高い地位を見せつける行動は、単なる楽しみではなく、他者を圧倒しようという計算的な意図が見え隠れしています。
会話においては、自分の成功を控えめに話題にし、他者の話を無視して自分中心に話を進めることが多く、相手を軽視する雰囲気を醸し出しがちです。このような態度は、彼らが「自分こそが優れている」と強く信じていることに起因しています。
タイプ3の否定的な側面は、感情を隠し、完璧なイメージを保とうとするところに現れます。彼らは失敗や弱さを認めることなく、ミスを他人に押し付けることがよくあります。職場では、チームの成果を自分の功績として主張し、裏で同僚を蹴落とす行動を取ることもしばしばあります。外見上は洗練された態度を保っていますが、その裏には冷酷な計算があり、自己の立場を守るためなら他者を利用することもあります。
タイプ3が不健全な状態に陥ると、これらの傾向はさらに顕著になります。嘘や誇張で自分を飾り、周囲を欺くことが目立ちます。他人への共感が薄れ、失敗を隠すために平気で仲間を裏切ることもあります。
彼らの成功は一見華やかですが、その内面には虚しさが漂っています。他者を犠牲にして自己を高める一方で、真の信頼関係を築くことができず、孤独を感じることがよくあります。彼らの「輝き」は、実は他者を犠牲にして築かれた表面的な虚栄に過ぎず、周囲には不信と不満をもたらすことが多いです。
タイプ7
タイプ7は、自分本位で無責任な言動をしばしば見せます。彼らは自分の楽しみを最優先し、周囲の状況や他人の感情を無視することがよくあります。例えば、新しい趣味に夢中になりすぐに飽き、使いかけの道具や途中で投げ出した計画を他人に押しつけることもあります。こうした行動は一見活発に見えますが、実際には計画性に欠け、周囲に迷惑をかけるだけです。飲み会や集まりでは、自分の冗談や騒ぎで場を支配しようとし、周囲が疲れていても気に留めません。むしろ「もっと楽しんで!」と無理に盛り上げようとし、その押しつけが不快感を与えることもあります。
タイプ7の衝動的な性格は、現実的な問題に向き合うのを難しくさせます。彼らはその場の気分を優先し、約束を守るよりも自分の欲求に従うことが多く、締め切りを守らないことにも罪悪感を感じません。提案するアイデアは華やかで魅力的に聞こえることが多いものの、実際に実行に移すと混乱を引き起こし、最終的には何も成し遂げられないことがほとんどです。タイプ7がしばしば描かれる「頭の回転が速い人物」という印象とは裏腹に、こうした無計画さは、彼らが深く考えたり、一貫した行動を取ったりする能力を欠いていることを示しています。また、簡単な快楽や刺激的な体験に依存する傾向もあります。「楽しさ」を追い求めるあまり、周囲を振り回す姿は、「陽気な人」ではなく、依存的でだらしない人物として映ることがあります。
タイプ7が不健全な状態に陥ると、こうした特徴はますます顕著になります。自分の不安を隠すために他人に感情をぶつけ、怒鳴ったり無視したりすることが増えます。また、楽しさを失うことへの恐怖から逃げ続け、その責任を他者に押し付ける卑怯な態度が目立つようになります。
こうしたタイプ7は、表面的には明るく見えるかもしれませんが、実際には脆く無秩序で、周囲に負担をかける存在です。タイプ7に対してよく使われる「自由奔放な生き方」という表現が美化されがちですが、それが過度になると、単なる我儘や無責任な態度に見えてしまうことがあります。
親との関係における位置づけ
共通点
養育者像への敏感な反応
- タイプ3とタイプ7は、幼少期に養育者の感情や期待に敏感に反応し、それに応じて自己を形成します。タイプ3は養育者を喜ばせる方法を学び、タイプ7は養育者の不在や不安定さを感じ取り、自己依存に向かう傾向があります。
外部への依存傾向
- 両者は養育者との関係がうまくいかないと、自己価値を外部に求めがちです。タイプ3は他者からの賞賛を、タイプ7は楽しみや充実感を求めて、内面的な不安を埋めようとします。
自己形成への影響
- 養育者との関係が、両者の自己像に大きな影響を与えます。タイプ3は成果やイメージを通じて自己を定義し、タイプ7は喪失への恐れから自由や楽しみを重視することが多く、どちらも本当の自己を見失うことがあります。
相違点
養育者像との結びつき方
- タイプ3: 養育者像との結びつきが強く、養育者の期待に応えることで愛情や承認を得ようとします。養育者の反応を敏感に感じ取り、好まれる自分を作り上げる傾向があります。
- タイプ7: 養育者像との結びつきが弱く、頼りにできないと感じることが多いです。愛情や安定を得られない経験から、自己充足の道を選び、他者への依存を避ける傾向があります。
対処法
- タイプ3: 養育者を喜ばせるために成果や成功を通じて自己価値を証明しようとします。拒絶を恐れ、他者に好かれるイメージを保つことに力を注ぐ傾向があります。
- タイプ7: 養育者の不在や不足を補うために、新しい経験や楽しさを追い求め、喪失感を埋めようとします。楽観的な態度で内面の不安を隠すことがしばしばあります。
自己と養育者像の関係の結果
- タイプ3: 養育者像の期待に応えようとする過程で本当の自己を抑え込み、他者からの賞賛が得られないと空虚感や敵意を抱くことがあります。親密な関係を築くことが難しくなることもあります。
- タイプ7: 養育者像との断絶が自己依存を強化し、自由や満足を追い求める一方で、深い喪失感や不安を内面に秘め、表面的な楽しさに逃げる傾向があります。
タイプ3とタイプ7は、養育者との関係において「適応」や「外部への依存」という共通点を持ちながら、その動機や結果には大きな違いがあります。タイプ3は他者の目に映る成功を通じて自己を確立し、拒絶を避けることに注力します。対照的に、タイプ7は養育者像の不足に起因する自己充足を求め、喪失への恐れを隠しつつ自由を優先します。これらの違いが、両者の生き方や人間関係に決定的な影響を与えています。
参考資料
- Don Riso and Russ Hudson (1996), Personality Types: Using the Enneagram for Self-Discovery
- Misidentifying Threes and Sevens