エニアグラムのタイプ間の違いについてドン・リチャード・リソ、ラス・ハドソンの情報を参考にして整理しました。なお、他の研究者(イチャーソやナランホ、トライタイプのキャサリン・フォーブルなど)とはタイプの定義が異なる可能性があるのでご注意ください。他のタイプの比較:「エニアグラム 全タイプ比較」
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タイプ1とタイプ2の特徴の整理
タイプ1とタイプ2は、外見上では似ていることがあります。特に、他者を助けたり、状況を改善しようとする時に、両者の行動が似て見えることが多いです。しかし、それぞれの動機や内面的な動きには明確な違いがあり、以下でその違いを比較しながら見分け方を整理します。
主要な動機づけ
- タイプ1: 正義感が強く、倫理的な完全さと理想を追い求める傾向があります。他者の成長を支援し、自分を非難から守ることも重要視します。
- タイプ2: 他者に愛され、必要とされることを強く願い、奉仕を通じて自分の価値を感じようとします。感謝や親密なつながりを求める気持ちが動機となっています。
違い
タイプ1は内面的な動機(正義や理想)に基づき行動し、タイプ2は外部からの愛や承認を求めます。自己規律と他者との絆という点で違いがあります。
健全な状態の特徴
- タイプ1: 賢く現実的で、深い思いやりと客観的な視点を持っています。倫理的な行動で他者を導き、公正さや真実を示す教師のような存在です。
- タイプ2: 無私で愛情深く、他者の感情に寄り添ってサポートします。寛大で相手の成長を促し、温かな友情で人々を包み込みます。
違い
タイプ1は原則に基づいて指導的な役割を果たし、タイプ2は感情的なつながりを大切にして支えます。行動の根本的な動機が理想的な原則か、心からの共感かに違いがあります。
通常の状態の特徴
- タイプ1: 理想主義が強まり、批判的で規律を守る態度が目立ちます。他者の誤りを正そうとし、完璧さを追い求めるあまり柔軟さを欠くことがあります。
- タイプ2: 他者に親しく接し、過剰に世話を焼くことがあります。お節介で自己犠牲的になり、相手からの感謝を期待して行動が大げさになりがちです。
違い
タイプ1は自己と他者に厳格な基準を設けて行動し、タイプ2は相手を喜ばせるために自己を犠牲にします。行動の根本的な動機が規範に対する固執か、感情的なつながりへの依存かが異なります。
不健全な状態の特徴
- タイプ1: 自分の考えに固執し、不寛容になりがちで、他者を冷徹に非難することがあります。強迫観念に支配され、偽善的な行動や深刻な抑うつに陥ることもあります。
- タイプ2: 操作的で高圧的になり、他者に罪悪感を抱かせることがあります。自己欺瞞が強く、攻撃性を隠しながら心身症的な症状を使って同情を引こうとします。
違い
タイプ1は理想への過剰な執着から冷たく攻撃的になるのに対し、タイプ2は愛を求めて間接的に人を操ります。攻撃性が直接的な非難か、隠れた支配かに違いがあります。
感情表現と自律性の傾向
- タイプ1: 感情を抑えがちで、特にポジティブな気持ちは控えめに表現します。自律性を大切にし、他者からの干渉を避ける傾向があります。
- タイプ2: ポジティブな感情は自由に表現しますが、怒りや敵意は抑えます。親密な関係を求め、他者とのつながりを優先する傾向があります。
違い
タイプ1は感情を抑え、独立を重視するのに対し、タイプ2は感情を共有し、他者との依存関係を築こうとします。自己抑制と他者との結びつきの違いがあります。
タイプ1とタイプ2を区別するためには、それぞれの動機が自己の正しさを求めているのか、他者の愛を求めているのかを確認し、行動が原則を守ろうとしているのか、個人的な奉仕に基づいているのかを観察することが大切です。特に不健全な段階では、自己犠牲や厳しさが似ていることが多いため、感情の表現(抑制か開放)や目的(自律か親密さ)に注目する必要があります。また、性別による影響も考慮すべきで、女性は奉仕を愛と結びつけやすく、男性は正義を奉仕の一形態として捉える傾向がある点も重要な観察ポイントです。
親との関係における位置づけ
共通点
保護者との初期の関わりが与える影響
- タイプ1もタイプ2も、幼少期に接した保護者との関係がその後の性格に大きな影響を与えます。タイプ1は規律や期待を通じて自己を形作る一方、タイプ2は愛情や承認を通じて自己を定義します。
超自我の発達に対する影響
- 保護者との関わりは、内面的な規範や価値観を築く基盤となります。タイプ1は厳格な自己基準を通じて、タイプ2は他者への奉仕を通じて超自我を育てます。
感情的な葛藤の起源
- 幼少期の保護者との関係において、タイプ1もタイプ2も愛や安全を求める一方で、不安や不満を感じることがあります。これが後の行動や感情の抑圧の原因となることがあります。
相違点
保護者との依存関係と距離の取り方
- タイプ1: 保護者が与える規範に不満を抱きながらも、それに依存せず、自分自身で新しい基準を築こうとします。自立を大切にし、保護者との繋がりを断ち切ろうとする傾向があります。
- タイプ2: 保護者の愛情や承認に強く依存し、それを補うために他者に奉仕する姿勢を取ります。心理的には保護者から完全に離れず、関係性を維持し続けようとします。
権威に対する態度の違い
- タイプ1: 保護者を権威として認めつつ、そのルールが不公正や不安定だと感じると反発し、独自の規律を作り出そうとします。最終的には保護者の影響を超えることを目指します。
- タイプ2: 保護者を権威として認め、補完する存在として行動します。自分がその役割を引き継ぐことで、保護者に従い、愛を得ようとします。
感情に対する向き合い方の結果
- タイプ1: 保護者との関係で感じた不信や怒りを内面に抑え、それを自己統制や完璧主義として表現します。感情を否定し、理想的な自分を追い求める姿勢が強くなります。
- タイプ2: 保護者への愛憎が混じった感情を他者への奉仕に転換し、自己犠牲を通じて承認を求めます。否定された感情は間接的に現れます。
タイプ1とタイプ2は、幼少期の保護者との関係が性格に与える影響や、超自我を通じて自己を律する傾向に共通点があります。しかし、タイプ1は保護者の権威に反発し自立を目指す一方で、タイプ2は保護者に依存し、補完する形で他者との関係を築きます。この違いが、タイプ1の規律志向とタイプ2の愛情志向という行動パターンに大きく表れています。
外見上の共通点(誤認されやすい理由)
タイプ1とタイプ2は、見た目には似ている部分があります。どちらも真剣で責任感が強く、他者に良い影響を与えようとする姿勢が顕著だからです。たとえば、両者とも奉仕の精神を持ち、タイプ1は正義や倫理を通じて、タイプ2は愛情や支援を通じて他者を支えます。この「他者のために行動する」という姿勢が、外見上似た結果を生み、混同されやすい理由となっています。特に健全な状態では、タイプ1が公正で思いやりのある指導者として、タイプ2が温かく献身的な助け手として現れるため、その違いを見分けるのは難しいことがあります。
さらに、タイプ1とタイプ2はどちらも良心に基づいて行動し、自己犠牲的な側面を見せることがあります。タイプ1は理想を追い求めるために自分を厳しく律し、タイプ2は他者の愛を得るために自分を捧げるため、表面上は共に努力家に見えるのです。通常の状態でも、タイプ1の規律正しさとタイプ2の過度な気配りが、他者への深い関わりとして映りやすく、誤解を招くことがあります。また、性別による自己認識の違いも影響を与え、女性のタイプ1が愛情深いと誤解されたり、男性のタイプ2が正義感が強いと見られたりすることで、さらにその違いが曖昧になります。これらの外見上の共通点が、実際の動機や感情表現の違いを見逃させ、分類を難しくしているのです。
本質的な違い(見分けるためのポイント)
動機の源泉
- タイプ1: このタイプの動機は、常に「正しくありたい」という内なる欲求に基づいています。倫理的な完全さや理想を追い求めることが、行動の主な推進力となり、自己や他者が高い基準に達することを重視します。行動は正義や真実への強い信念に基づき、個人的な感情よりも普遍的な価値観が優先されます。例えば、不正を見過ごせず、それを正すために尽力する姿が典型的です。自己を非難から守り、理想に忠実であり続けることで精神的な安定を保とうとします。そのため、自己規律が非常に強く、他者の反応よりも自身の良心に従う傾向があります。
- タイプ2: このタイプの動機は、他者から愛され必要とされることに強く依存しています。自分の価値は他者の反応に基づいており、感謝や承認を得るために奉仕を行います。感情的なつながりを築くことで、自分の存在意義を感じます。例えば、困っている人を助けることで喜びを得て、その見返りとして愛情を期待することが多いです。内面的な正しさよりも他者との関係性が優先され、自己犠牲を払ってでも相手に認められたいという欲求が行動を引き起こします。
行動の基盤
- タイプ1: このタイプの行動は、客観的な原則や規範に基づいています。正しいと考える基準を守り、その「正しさ」を他者に示すことを目指します。例えば、ルールや倫理を重視し、状況を論理的かつ合理的に改善しようとします。個人的な感情よりも普遍的な価値観を優先するため、時には冷たく感じられることもあります。正義や秩序を保つことを目的にしており、他者への影響を理想を実現する観点から捉えます。自律を大切にし、感情よりも理性に頼る傾向があります。
- タイプ2: このタイプの行動は、個人的な感情や人間関係に深く根ざしています。相手の気持ちに寄り添い、支援や気遣いを通じて親密な関係を築こうとします。例えば、相手の必要に応じて助け、感謝や愛情を得ることを目指します。行動の目的は関係性の強化であり、客観的な基準よりも相手の反応を重視します。感情的なつながりを優先するため、自己犠牲を厭わず、時には過剰に介入することもあります。
感情の扱い
- タイプ1: このタイプは感情を強く抑える傾向があります。特にポジティブな感情は控えめに表現し、不満や苛立ちを感じても、それを控えめに伝えます。例えば、喜びを内に秘めつつ、誤りを指摘するときは冷静に意見を述べます。感情は理想や規律に従い、自己統制が最優先されるため、他者に感情を押し付けることは少ないです。不健全になると、抑えた怒りが強迫観念や冷酷さとして表れることもありますが、基本的には感情を表に出さず、自律を守るために感情を抑えることが多いです。
- タイプ2: このタイプは肯定的な感情を積極的に表現することが得意です。愛情や喜びを率直に示し、他者に温かさを伝えますが、怒りや敵意は抑えがちです。例えば、感謝の気持ちを大げさに伝える一方で、不満を感じてもそれを隠すことが多いです。感情は他者との繋がりを築くための手段と捉え、自己の欲求を抑えるために否定的な感情を認めません。不健全になると、抑えた怒りが間接的な操作や身体的な症状として現れることがありますが、普段は感情を自由に表現することが特徴です。
関係性の姿勢
- タイプ1: このタイプは自律性を重視し、他者との距離を取ることを好みます。自分の領域を守り、他者からの干渉を避ける姿勢が強いです。例えば、他者の助言を受け入れず、自分の判断で行動します。関係性は理想や正義を共有する場と捉え、感情的な結びつきは重要視しません。不健全になると、他者に対する不寛容さが強まり、孤立する傾向がありますが、基本的には独立した立場を保ち、他者に頼るよりも自己を律することを選びます。
- タイプ2: 親密さを強く求め、他者との深い繋がりを作りたいと考えます。関係の中で自己を定義し、他者に依存することで安定を感じます。例えば、相手の人生に深く関わり、必要とされる存在であり続けることを目指します。感情的な融合や相互依存が目標で、他者の承認を得ることで自己を確立します。不健全になると、この依存が操作や支配に変わりますが、普段は他者との密接な関係を最優先し、自律よりもつながりを重視します。
自己認識の焦点
- タイプ1: 自己を厳しく律し、理想に近づくことで自分の価値を見出します。自己認識は内面的な正しさや完全性を基にしており、他者の評価よりも自己の基準が重視されます。例えば、誤りを犯すことを恐れ、自己批判を通じて成長を目指します。行動や感情は理想に従い、他者の反応に依存せず、自己の良心に忠実であることが自己肯定の鍵です。不健全になると、自己への厳しさが強迫観念に変わりますが、基本的には内省的な価値観が中心です。
- タイプ2: 他者への奉仕を通じて自己の価値を確認します。自己認識は他者の愛や感謝に依存し、外部からの肯定的な反応が自己評価を支えています。例えば、誰かを助けることで自分が愛される存在だと感じ、相手の反応が自己評価に大きく影響します。内面的な基準よりも他者との関係が重視され、自己犠牲を通じて認められることを目指します。不健全になると、自己欺瞞が強まり、奉仕が操作的な行動に変わりますが、普段は他者の目が中心となります。
具体的な見分け方のポイント
他者へのアプローチの目的
タイプ1は正義や秩序を実現するために、他者に対して規範を示し、改善を促します。対して、タイプ2は愛や感謝を得ることを目的に、感情的なサポートや親密さを提供します。タイプ1の目的は理想の実現であり、タイプ2は関係性の強化を目指します。
感情表現のスタイル
タイプ1は感情を抑え、喜びも控えめに表現し、不満がある場合は冷静に伝えます。一方、タイプ2は愛情を積極的に表現し、怒りを隠すことが多いです。抑制と開放という点で、両者には明確な違いがあります。
規律と親密さの優先度
タイプ1は自己規律を最優先し、他者との距離を保ちながら秩序を守ろうとします。対照的に、タイプ2は親密さを重視し、他者に近づいて依存的な関係を築こうとします。行動には、自律を重んじるか、結びつきを重視するかが現れます。
自己評価の基準
タイプ1は自分の正しさや倫理的な基準をもとに自己評価を行います。対して、タイプ2は他者からの承認や感謝を通じて自己価値を感じます。自己評価の基準が内面的な規範か、外部からの反応かが主な違いです。
対立時の反応
タイプ1は対立時に原則に基づいて冷静に意見を述べ、批判的になります。一方、タイプ2は感情的なアプローチや罪悪感を使って対処します。タイプ1は論理的に、タイプ2は間接的な方法で反応するのが特徴です。
まとめ
- タイプ1は正義を重んじ、タイプ2は愛を求めます。
- タイプ1は感情を抑え、タイプ2は感情を自由に表現します。
- タイプ1は規律を優先し、タイプ2は親密さを重視します。
- タイプ1は自立して行動し、タイプ2は他者に依存します。
- タイプ1は自己の基準で評価し、タイプ2は他者の評価を重視します。
- タイプ1は論理的に批判し、タイプ2は感情的な影響を与えます。
1w2の特徴概要と1w9との違い
1w2の特徴概要
1w2は、正義感と他者への思いやりを兼ね備えたタイプです。理想を追い求めるだけでなく、他の人を助けることでその理想を実現しようとします。例えば、学校で不公平なことを目にした場合、ルールを正すだけでなく、困っている人を励ますこともします。温かさと厳しさを兼ね備えた特徴があります。
感情は比較的表に出やすく、特に他者への共感や支援の気持ちが強いです。友人が困っているときは、すぐに話を聞いて解決策を提供しようとします。自分の正しさを信じながらも、他者との関係を深めることで満足感を感じます。行動には熱意があり、周りに良い影響を与える力を持っています。
1w2の視点から見た1w9との違い
1w2の視点から見ると、1w9は同じく正義を重んじているものの、より控えめで静かな印象を受けます。1w2は「正義を広めるために人々を助けたい」と考え、積極的にボランティア活動などに参加するのに対し、1w9は「穏やかな環境を作りたい」と思い、本を読んだり静かにアイデアを考えることが多いです。
また、1w2は感情を表に出して他者と積極的に関わり、近づくことを好みますが、1w9は感情を内に秘め、距離を置きながら調和を保とうとします。1w2は「熱心に人を支えることが重要」と考え、行動するのに対し、1w9は「冷静に物事を全体的に見ることが大切」と考えます。このため、1w2は1w9の静かな姿勢を少し遠く感じることがあるかもしれません。
2w1の特徴概要と2w3との違い
2w1の特徴概要
2w1は、他者を助けることに喜びを感じる一方で、正しい行いを大切にするタイプです。温かく思いやりのある態度で人に寄り添い、同時に倫理的な観点から行動します。例えば、友人が悩んでいるときには、優しく励ましながらも「正しい解決方法」を提案することが多いです。感情は豊かですが、自己犠牲を美徳として、節度ある行動を心がけることがあります。
他者との関わりでは、思いやりとともに、少しの厳しさを持っています。例えば、困っている人に手を差し伸べるとき、心から共感しつつ、無責任な行動に対してはそっと注意を促すことがあります。自分が支援することで役立っていると感じることに満足し、その支援が正しい形で行われていることを重要視する姿勢が特徴です。
2w1の視点から見た2w3との違い
2w1から見ると、2w3は人を助ける点では同じですが、より目立ちたがりで華やかな印象を持っています。2w1は「正しく人の役に立ちたい」と考え、例えばボランティアで静かに支援するのに対し、2w3は「みんなに愛されたい」と思い、パーティーで明るく振る舞って注目を集めます。
さらに、2w1は感情を少し抑えつつ倫理的に行動しようとするのに対し、2w3は感情を積極的に表現し、人気を得ることを重視します。2w1は「支援は正しい方法で行われるべきだ」と内面的な基準を重視しますが、2w3は「みんなが喜ぶことが大切だ」と外部の評価を優先します。これにより、2w1は2w3の派手な振る舞いを少し軽薄に感じることがあるかもしれません。
1w2と2w1の違い
1w2と2w1は、どちらも他者を支え、正しいことを大切にする姿勢が共通しています。表面的には、困っている人を助ける行動や善意に満ちた態度が似ているため、混同されやすいですが、内面的な動機や無意識の衝動には明確な違いがあります。これを理解することで、両者を区別する手助けになります。ここでは、行動の似ている部分と内面的な違いを整理し、判断材料を探ります。
行動の共通点:支援と正義感
1w2と2w1は、他者を助け、正しい方向に導こうとする点で共通しています。例えば、仲間が困っているとき、どちらも手を差し伸べ、状況を改善しようとします。1w2は不公平を正しながら支援を行い、2w1は温かく寄り添い、改善を促します。この「他者を助ける」という行動が、両者を似たタイプに見せる要因ですが、その背景にある動機には大きな違いがあります。
内面的な動機の違い:理想の追求か愛の獲得か
- 1w2: 行動の背後には、正しい世界を作りたいという理想があります。例えば、職場でルールが守られていないと感じた場合、それを正しながら同僚を助けることで満足します。支援は正義を広めるための手段であり、内面的な正しさが行動を導きます。
- 2w1: 動機は、他者から愛され、必要とされることにあります。例えば、友人が落ち込んでいるときに話を聞いて励まし、その感謝の言葉で心が満たされます。支援は愛情を得るための手段であり、正しさはその行動をより強化する要素です。
感情の処理の違い:抑制と表現
- 1w2: 感情を抑え、冷静さを保つ傾向があります。例えば、助けた相手から感謝されても「それは当然のこと」と控えめに対応します。内面的には正義に対する信念が感情を抑え、支援を理性的な枠組みで行おうとする衝動があります。
- 2w1: 感情を豊かに表現し、共感を大切にします。例えば、誰かを助けるとき、温かい言葉や優しい態度で喜びを共有し、感情を前面に出します。愛や繋がりを求める衝動が強く、正しさはその感情を支える形で現れます。
他者との関係性の違い:指導と感情的絆
- 1w2: 他者を導く立場を重視し、正しい方向を示しながら支援します。例えば、グループで問題が起きた際には、解決策を提案しながら手助けをします。自立を保ちながら他者を引き上げることが目標で、冷静な距離感を保ちつつ支援します。
- 2w1: 他者との親密な関係を大切にし、感情的な繋がりを重視します。例えば、困っている人に寄り添い、深い関係を築こうとします。支援を通じて愛情を深め、他者に依存することで自分を安定させようとする衝動があります。
自己評価の違い:内面的基準と他者の反応
- 1w2: 自分を内面的な正しさに基づいて評価します。例えば、不正を正しながら他者を助けた時、自分の倫理観に沿った行動に価値を感じます。もちろん他者の反応も嬉しいですが、自己の理想が優先されます。
- 2w1: 他者の反応に基づいて自己を評価します。例えば、助けた相手から感謝されないと、自分の存在意義に不安を感じます。正しさは愛されるための手段であり、他者の評価が自己の基盤となります。
判別方法:動機と態度の観察
- 動機の確認: 「なぜ支援するのか?」という問いを考えると、判断の手がかりになります。1w2は「正しいことを実現するため」、2w1は「愛されるため」と感じます。行動の目的がそのタイプを区別するポイントです。
- 感情の態度: 支援時の感情に注目しましょう。1w2は感情を抑えて冷静に対応し、2w1は感情を豊かに表現し、温かさを感じさせます。統制か解放かが大きな違いになります。
- 関係性の焦点: 他者との関わり方を観察します。1w2は指導的で距離を保ち、2w1は親密さを求めて近づきます。正義を重視するか、愛情を重視するかの違いを見極めることがポイントです。
結論
1w2は正義を追い求めつつ、「理想を広めながら他者をサポートする」ことを大切にします。一方、2w1は愛を基盤に、「他者に寄り添いながら正しい行動を支える」姿勢を持っています。内面的には、1w2は規範を守りながら支援をリーダーシップを持って行い、2w1は感情的なつながりを優先しながら正しさを強調することを重視しています。
補足
タイプ1とタイプ2が共通して嫌う状況や人、および、それぞれにおいて、タイプ1とタイプ2の間にある差異を整理しました。
不公平で無責任な状況
- タイプ1: 例えば、職場で誰かが仕事をサボり、その結果他の人に負担をかけているような状況が嫌いです。表面的には「ルールが守られていない」と感じて、冷静に批判や改善を提案します。しかし、内面では正義感が傷つき、「このような不完全さは許されない」と感じる不安を覚えます。具体的には、グループ課題で一人だけ努力せず、その成果を平然と他人と分けようとする場面が我慢できません。
- タイプ2: 同じような状況でも、「一生懸命頑張っている人が報われない」と感じて嫌悪感を抱きます。表面では「誰も助けてくれないなんてひどい」と感情的に反応し、困っている人に寄り添います。深層では、愛や感謝を得られないことに不安を感じ、「自分がもっと必要とされれば状況が変わるかもしれない」という自己犠牲的な衝動が生まれます。具体的には、ボランティアで自分が頑張ったのに、他の怠けている人が褒められる状況に腹を立てる場面です。
感謝されない努力
- タイプ1: 例えば、時間をかけて完璧な資料を作成したのに、誰にも認められないと感じると、苛立ちを覚えます。表面的には、「自分の努力が無駄だった」と不満を抱えながらも冷静に指摘するかもしれません。しかし、内面では「正しい行動が評価されないのは間違っている」と感じ、その信念が揺らぐことに不安を感じます。このような状況では、自己の価値を再確認しようとするあまり、さらに厳しくなってしまいます。具体例としては、夜遅くまで計画を立てたのに、上司が「それは当たり前だ」と流してしまう態度に苛立つ場面です。
- タイプ2: 同じような状況でも、「頑張ったのに誰も気づかない」と悲しみや怒りを感じることがあります。表面的には、感謝を求める言葉や自己犠牲を強調しがちです。深層では、「自分が愛されていないことに価値がない」と感じる恐れが湧き、他者に認められるためにさらに努力しようとします。具体的な例としては、家族のために手料理を作ったのに、誰も「ありがとう」と言ってくれず、それに無視されることで傷つく場面があります。
偽善的で自己中心的な人
- タイプ1: 例えば、言葉だけで行動しない同僚に対して、強い反感を抱きます。表面的には、「偽りの正義は許せない」と冷静に非難し、距離を取ろうとします。しかし、内面では、「この不誠実さが許されることは秩序の崩壊だ」と感じ、自己の理想を守るために孤立を選んでしまうこともあります。具体例としては、環境保護を訴える友人が、平気でゴミを捨てる姿に強く憤慨する場面です。
- タイプ2: 同じような人に対して、「人を騙してまで注目を集めようとするなんて」と感情的に嫌悪感を抱きます。表面的には、相手を避けつつも愚痴をこぼすことが多いです。深層では、「自分は誠実に行動しているのに、認められない」という不満が募り、愛されたいという自分の理想を守るためにその相手を敵視します。具体例としては、親切を装って目立とうとする知人が、自分を無視する態度に対して怒りを感じる場面です。
混乱したルールのない環境
- タイプ1: 例えば、指示が不明確で、誰も責任を持たないような会議を嫌います。表面的には、「このままでは何も進まない」と感じ、秩序を取り戻すために提案を行います。内面的には、「正しい基準がなければ全てが崩れる」と恐れ、自己統制を強化して状況を自分でコントロールしようとします。具体的な例としては、イベントの準備で誰も役割を決めず、適当に進めている状況に耐えられない場合です。
- タイプ2: 同じような状況で、「誰か助けてくれないと困る」と感じ、不安を表に出します。表面的には、周囲に助けを求めながら不満を漏らします。内面的には、「頼れる人がいないと自分は無力だ」と思い、愛や支援を求める気持ちが強くなります。例えば、旅行の計画が混乱して誰もリードしないとき、心細さから誰かに頼りたくなる場面です。
冷淡で無関心な態度の人
- タイプ1: 例えば、困っている人を無視する同僚に対して、強い苛立ちを感じます。表面的には、「それは間違っている」と静かに指摘し、正しい行動を取るように促します。内面的には、「思いやりが欠けていることは倫理的に許されない」と感じ、正義感が傷ついて、自己の理想を守るために距離を取ることがあります。例えば、道で転んだ人を無視して通り過ぎる人に対して、正しい行動を取るよう求めたくなる場面です。
- タイプ2: 同じ状況で、「なんて冷たい人だろう」と感情的に反応し、相手を避けるか、困っている人を助けることを強調します。表面的には、無視する相手を非難し、被害者に寄り添おうとします。内面的には、「自分が愛されない世界は怖い」と感じ、温かさを示すことで自己の価値を証明しようとします。例えば、困っているのに無視される友人に対して、裏切られたような気持ちを抱くことがあります。
過剰な依存や甘え
- タイプ1: 例えば、いつも助けを求めてくる人に対して、「自分で努力すべきだ」と冷たい反応を示します。表面的には自立を促しつつ、距離を取ります。内面的には、「依存は成長を妨げる」と感じ、自己規律が乱されることに苛立ちます。例えば、毎回宿題を頼んでくるクラスメイトには、自立を促す態度を崩さないことがあります。
- タイプ2: 同じような状況で、「私がいないと困るのかも」と複雑な気持ちを抱きます。表面的には手を貸しますが、内心では疲れを感じていることがわかります。内面的には、「必要とされるのは嬉しいが、愛されていないと辛い」と葛藤し、過度な依存に振り回される不安が強まります。例えば、何でも頼ってくる弟に手を貸しつつ、感謝されないと疲れを感じることがあります。
強引で支配的な態度の人
- タイプ1: 例えば、自分の意見を強制する上司に反発します。表面的には「それは間違っている」と論理的に反論します。内面的には、「支配は自由や正義を奪う」と感じ、自己の自律を守るために戦いたくなる衝動が湧きます。例えば、強引に自分のやり方を押し付けるコーチに対して、理論的に反論して自分の意見を守ります。
- タイプ2: 同じように支配的な態度に対して、「私の気持ちを無視するなんて」と感情的に距離を置きます。表面的には支配から逃れようとして不満を漏らすことがあります。内心では、「愛されない関係は耐えられない」と感じ、不安が高まり、自己犠牲的に支配を和らげようとすることがあります。例えば、命令口調の親に逆らえず、内心で傷つきながら従ってしまうことがあります。
参考資料
- Don Riso and Russ Hudson (1996), Personality Types: Using the Enneagram for Self-Discovery
- Misidentifying Ones and Twos