タイプ1とタイプ2が共通して嫌う状況や人、および、それぞれにおいて、タイプ1とタイプ2の間にある差異を整理しました。
なおこの記事はドン・リチャード・リソ、ラス・ハドソンの情報を参考にしてサイト管理人独自の観点から整理したものであり、正確な原典を知りたい方にはオススメできない記事です。ご注意下さい。他のタイプの比較:「エニアグラム 全タイプ比較」
不公平で無責任な状況
- タイプ1: 例えば、職場で誰かが仕事をサボり、その結果他の人に負担をかけているような状況が嫌いです。表面的には「ルールが守られていない」と感じて、冷静に批判や改善を提案します。しかし、内面では正義感が傷つき、「このような不完全さは許されない」と感じる不安を覚えます。具体的には、グループ課題で一人だけ努力せず、その成果を平然と他人と分けようとする場面が我慢できません。
- タイプ2: 同じような状況でも、「一生懸命頑張っている人が報われない」と感じて嫌悪感を抱きます。表面では「誰も助けてくれないなんてひどい」と感情的に反応し、困っている人に寄り添います。深層では、愛や感謝を得られないことに不安を感じ、「自分がもっと必要とされれば状況が変わるかもしれない」という自己犠牲的な衝動が生まれます。具体的には、ボランティアで自分が頑張ったのに、他の怠けている人が褒められる状況に腹を立てる場面です。
感謝されない努力
- タイプ1: 例えば、時間をかけて完璧な資料を作成したのに、誰にも認められないと感じると、苛立ちを覚えます。表面的には、「自分の努力が無駄だった」と不満を抱えながらも冷静に指摘するかもしれません。しかし、内面では「正しい行動が評価されないのは間違っている」と感じ、その信念が揺らぐことに不安を感じます。このような状況では、自己の価値を再確認しようとするあまり、さらに厳しくなってしまいます。具体例としては、夜遅くまで計画を立てたのに、上司が「それは当たり前だ」と流してしまう態度に苛立つ場面です。
- タイプ2: 同じような状況でも、「頑張ったのに誰も気づかない」と悲しみや怒りを感じることがあります。表面的には、感謝を求める言葉や自己犠牲を強調しがちです。深層では、「自分が愛されていないことに価値がない」と感じる恐れが湧き、他者に認められるためにさらに努力しようとします。具体的な例としては、家族のために手料理を作ったのに、誰も「ありがとう」と言ってくれず、それに無視されることで傷つく場面があります。
偽善的で自己中心的な人
- タイプ1: 例えば、言葉だけで行動しない同僚に対して、強い反感を抱きます。表面的には、「偽りの正義は許せない」と冷静に非難し、距離を取ろうとします。しかし、内面では、「この不誠実さが許されることは秩序の崩壊だ」と感じ、自己の理想を守るために孤立を選んでしまうこともあります。具体例としては、環境保護を訴える友人が、平気でゴミを捨てる姿に強く憤慨する場面です。
- タイプ2: 同じような人に対して、「人を騙してまで注目を集めようとするなんて」と感情的に嫌悪感を抱きます。表面的には、相手を避けつつも愚痴をこぼすことが多いです。深層では、「自分は誠実に行動しているのに、認められない」という不満が募り、愛されたいという自分の理想を守るためにその相手を敵視します。具体例としては、親切を装って目立とうとする知人が、自分を無視する態度に対して怒りを感じる場面です。
混乱したルールのない環境
- タイプ1: 例えば、指示が不明確で、誰も責任を持たないような会議を嫌います。表面的には、「このままでは何も進まない」と感じ、秩序を取り戻すために提案を行います。内面的には、「正しい基準がなければ全てが崩れる」と恐れ、自己統制を強化して状況を自分でコントロールしようとします。具体的な例としては、イベントの準備で誰も役割を決めず、適当に進めている状況に耐えられない場合です。
- タイプ2: 同じような状況で、「誰か助けてくれないと困る」と感じ、不安を表に出します。表面的には、周囲に助けを求めながら不満を漏らします。内面的には、「頼れる人がいないと自分は無力だ」と思い、愛や支援を求める気持ちが強くなります。例えば、旅行の計画が混乱して誰もリードしないとき、心細さから誰かに頼りたくなる場面です。
冷淡で無関心な態度の人
- タイプ1: 例えば、困っている人を無視する同僚に対して、強い苛立ちを感じます。表面的には、「それは間違っている」と静かに指摘し、正しい行動を取るように促します。内面的には、「思いやりが欠けていることは倫理的に許されない」と感じ、正義感が傷ついて、自己の理想を守るために距離を取ることがあります。例えば、道で転んだ人を無視して通り過ぎる人に対して、正しい行動を取るよう求めたくなる場面です。
- タイプ2: 同じ状況で、「なんて冷たい人だろう」と感情的に反応し、相手を避けるか、困っている人を助けることを強調します。表面的には、無視する相手を非難し、被害者に寄り添おうとします。内面的には、「自分が愛されない世界は怖い」と感じ、温かさを示すことで自己の価値を証明しようとします。例えば、困っているのに無視される友人に対して、裏切られたような気持ちを抱くことがあります。
過剰な依存や甘え
- タイプ1: 例えば、いつも助けを求めてくる人に対して、「自分で努力すべきだ」と冷たい反応を示します。表面的には自立を促しつつ、距離を取ります。内面的には、「依存は成長を妨げる」と感じ、自己規律が乱されることに苛立ちます。例えば、毎回宿題を頼んでくるクラスメイトには、自立を促す態度を崩さないことがあります。
- タイプ2: 同じような状況で、「私がいないと困るのかも」と複雑な気持ちを抱きます。表面的には手を貸しますが、内心では疲れを感じていることがわかります。内面的には、「必要とされるのは嬉しいが、愛されていないと辛い」と葛藤し、過度な依存に振り回される不安が強まります。例えば、何でも頼ってくる弟に手を貸しつつ、感謝されないと疲れを感じることがあります。
強引で支配的な態度の人
- タイプ1: 例えば、自分の意見を強制する上司に反発します。表面的には「それは間違っている」と論理的に反論します。内面的には、「支配は自由や正義を奪う」と感じ、自己の自律を守るために戦いたくなる衝動が湧きます。例えば、強引に自分のやり方を押し付けるコーチに対して、理論的に反論して自分の意見を守ります。
- タイプ2: 同じように支配的な態度に対して、「私の気持ちを無視するなんて」と感情的に距離を置きます。表面的には支配から逃れようとして不満を漏らすことがあります。内心では、「愛されない関係は耐えられない」と感じ、不安が高まり、自己犠牲的に支配を和らげようとすることがあります。例えば、命令口調の親に逆らえず、内心で傷つきながら従ってしまうことがあります。
幼少期の保護者との関係性
共通点
保護者との初期の関わりが与える影響
- タイプ1もタイプ2も、幼少期に接した保護者との関係がその後の性格に大きな影響を与えます。タイプ1は規律や期待を通じて自己を形作る一方、タイプ2は愛情や承認を通じて自己を定義します。
超自我の発達に対する影響
- 保護者との関わりは、内面的な規範や価値観を築く基盤となります。タイプ1は厳格な自己基準を通じて、タイプ2は他者への奉仕を通じて超自我を育てます。
感情的な葛藤の起源
- 幼少期の保護者との関係において、タイプ1もタイプ2も愛や安全を求める一方で、不安や不満を感じることがあります。これが後の行動や感情の抑圧の原因となることがあります。
相違点
保護者との依存関係と距離の取り方
- タイプ1: 保護者が与える規範に不満を抱きながらも、それに依存せず、自分自身で新しい基準を築こうとします。自立を大切にし、保護者との繋がりを断ち切ろうとする傾向があります。
- タイプ2: 保護者の愛情や承認に強く依存し、それを補うために他者に奉仕する姿勢を取ります。心理的には保護者から完全に離れず、関係性を維持し続けようとします。
権威に対する態度の違い
- タイプ1: 保護者を権威として認めつつ、そのルールが不公正や不安定だと感じると反発し、独自の規律を作り出そうとします。最終的には保護者の影響を超えることを目指します。
- タイプ2: 保護者を権威として認め、補完する存在として行動します。自分がその役割を引き継ぐことで、保護者に従い、愛を得ようとします。
感情に対する向き合い方の結果
- タイプ1: 保護者との関係で感じた不信や怒りを内面に抑え、それを自己統制や完璧主義として表現します。感情を否定し、理想的な自分を追い求める姿勢が強くなります。
- タイプ2: 保護者への愛憎が混じった感情を他者への奉仕に転換し、自己犠牲を通じて承認を求めます。否定された感情は間接的に現れます。
タイプ1とタイプ2は、幼少期の保護者との関係が性格に与える影響や、超自我を通じて自己を律する傾向に共通点があります。しかし、タイプ1は保護者の権威に反発し自立を目指す一方で、タイプ2は保護者に依存し、補完する形で他者との関係を築きます。この違いが、タイプ1の規律志向とタイプ2の愛情志向という行動パターンに大きく表れています。
参考資料
- Don Riso and Russ Hudson (1996), Personality Types: Using the Enneagram for Self-Discovery
- Misidentifying Ones and Twos