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はじめに
この関係では、どちらのパートナーも内向的です。どちらも否定主義タイプであるため、しばしば互いに警告し合い、抑制し合い、「冷静になれ」と促そうとします(たとえ両者ともその必要がなくても、です)。またどちらも情緒主義タイプであり、出会った当初はお互いに拘束力のない共感を示しますが、それは何かを義務付けるものではありません。しかしそれにもかかわらず、両者は互いの示す共感を非常に真剣に受け取って解釈します。というのも彼ら(SEIとLII)は無意識のうちに、自分たちの双対である構成主義タイプ(SEIの双対ILEと、LIIの双対ESEは共に構成主義タイプです)という、肯定的感情をすぐには表現するよりも、行動を通して自分の肯定的な態度を示し、強化しようとするタイプを指向しているからです。しかし、活性化関係においては、情緒主義タイプであるSEI、LIIのどちらのパートナーも、特に関係の初期段階では、自分の行動やサービスを急いで提供しようとはしません。
多くの場合、パートナーは初めて会ったときからお互いに共感し始めます。SEIは、LIIの優しさ、家庭的な性質、慎重な思いやりのある態度、子供に対する自己犠牲的な愛情、そして家族や家庭の利益のために全力を尽くす能力(家庭のメンバーの利益のために「溶け込む」能力)に惹かれます。一方、LIIはSEIを、真面目で、知的で、責任感があり、冷静で落ち着いていて、親切で思いやりがあり、家族志向のパートナーだと感じます。もちろん、これらの資質はすべて、両者どちらに備わっているものですが、唯一の問題は、活性化関係の中で、それらがどのように現れるかという点です。
チャンネル 1 - 6
「経験の感覚」(Si)の側面
ここでは、LIIはSEIの感覚的なケアによって活性化されます。最初のうちは、LIIはパートナー(SEI)の持つ資質、すなわちLIIの世話を焼いたり、LIIが座る食卓の座席はどこがいいか、どんな献立がいいかといったことを心配してくれる点にとても感銘を受けます。しかしLIIは時間の経過とともに、SEIが感覚的な側面にばかり目を向けすぎていると感じるようになります:「食卓を過度に神聖視するな」。LIIの双対ESEがあふれ出る感情(emotions)から行うことを、SEIは芸術として行います。ESEが1時間でごちそうの全てを用意できるとしたら(材料を持ってきて皿を片付けるだけで済みます)、SEIはケーキ1個準備するのに5時間かけます(しかも作ったケーキを切ることを惜しみます)。ESEが夕飯のためにパートナーを待たせることは滅多にありませんが、SEIは活性化関係において、ますます頻繁にそうするようになります。なぜなら活性化関係はSEIの感覚的創造性を刺激し、パートナーに何か特別なものをごちそうしたいという意欲をかき立てるからです。
さらに、SEIはパートナーに少しの味見も、ちょっとお菓子をつまむことさえも許さず、パートナーのために心を込めて作ったものに完全に参加させようとします。そういうSEIの様子を見て、SEIはどうやらパートナーよりもこういう「職人技」を愛しているのではないかと思い至ったLIIは、どうにかしてSEIの優先順位を感覚から倫理へとシフトさせようとします(つまりLIIの双対であるESEの価値観を押し付けます)。そして人間のニーズが最優先であり、食事は単なる食事でしかなく、最も重要なのは家庭内の不和の原因とならないよう時間通りに食事を準備するべきだと教えようとします。一方SEIは自分の努力が報われていないことに気付き、また、「ただ何か」を簡単に手早く準備することもできないため、パートナーを喜ばせるにはどうしたらいいのか分からなくなってしまい、次第にペースが落ち、何もしなくなることもあります。そうして仕事から帰宅したLIIが夕食を食べずに帰ることになるのです:「何を作ったらいいのかわからない。私が作るものは全て、あなたにふさわしくない!」。
「関係の論理」の側面 (Ti)
LIIの見せる論理の優雅さは、しばらくの間SEIを感激させますが、やがてSEIはパートナー(LII)の論理の無味乾燥さと細かさに疲れを感じ始めます。SEIから見て、LIIの論理には柔軟性が欠けているように感じられます。あまりにも堅苦しく、原則的で不変すぎます。そこでSEIはLIIの優先順位を変えようとします。人生をもっと気楽で柔軟な方法で扱うべきであり、場合によってはもっと冒険心やチャレンジ精神を持つべきで、自分の論理と原則の奴隷になっていてはいけないと主張します。しかしこの説得がうまくいかないと、次第にLIIから距離を置くようになります。SEIは絶え間ない議論と指示にうんざりし始めます。
チャンネル 2 - 5
「可能性の直観」の側面 (Ne)
SEIは自分の暗示機能に関する情報を十分に受け取っていません。というより、LIIから得られる情報は、SEIが望んでいる情報の質とは異なるものです。LII(創造機能がNe)の柔軟で創造的な直観は、SEIの双対であるILE(主導機能がNe)の主導的な直観が持つ想像力や空想の幅に欠けています。LIIの直観にできることは、すでに自分の前に提示されているアイデアを巧みに正当化し、発展させ、体系立てることだけです。典型的なLIIが、大規模な素晴らしい推測を行うことはほとんどありません。そのためSEIは最終的にパートナー(LII)の知的能力に懐疑的な気持ちを抱くようになっていきます。「そんなことは、LII以外の誰かがすでに思いついていることだろうな。LIIが手を組んで座っている間に」。困難な状況で、LIIが常識をひっくり返すような何かを見つけることができないこと(または見つけようとしないこと)は、SEIを悩ませます。そのせいでLIIと一緒にいても、SEIは自分が守られているという安心感を得ることが出来ません。SEIからすると、危機的状況下に置かれたLIIはあまりにも柔軟性が無く、一本調子で妥協がないため、すべての再調整や操作をSEI一人でしなければならないと感じてしまいまいます。
「感情の倫理」の側面 (Fe)
合理的で一本調子なLIIは、パートナー(SEI)の倫理的な操作性や芸術性に不安を感じます。LIIは、誰かが自分に対して気を使ったり、自分の感情を操作されたり、よくわからない理由で不機嫌になったり不満を言われることが苦手です(「何か不満があるなら、ほのめかすのではなく、率直に話してください」)。また、LIIは「感情の揺れ」、例えば甘い言葉とか仕草で愛を「与えられること」、あるいは不機嫌さや不満で「罰せられること」にも不満を感じ、時間がたつにつれてこうした感情の揺れから距離を置くようになっていきます。LIIはこうした感情を信頼しません。SEIが示すような、人間関係に対して柔軟に使用される感情は、LIIの暗示機能が期待する感情とは異なるものです。ここでもまた、LIIはSEIに対して、感情で遊ぶのはよくないことだ、それでは何も生み出すことは出来ないと証明して、SEIの優先順位を変えようとします。しかしSEIにとってFeとはただのツールでしかなく、二次的な価値しかないものです。どれだけLIIが躍起になってSEIに働きかけても、SEIの主導と創造の優先順位はいかなる状況でも変わりません。しかしSEIと活性化関係にあるLIIは、SEIの主導と創造の優先順位を理解しないまま、自分の双対であるESEの優先順位をSEIに押し付けようとします。
チャンネル 4 - 7
「意志の感覚」の側面 (Se)
SEIはSeの側面に関して、LIIを効果的にサポートすることは出来ません。無意識のうちに、SEIのSeは、双対であるILEの規範的なSe、つまり自分の意志で戦いに参加したり、競争心や闘志を発揮することを厭わないSeに方向づけられています。そのためSEIは後から非難されるのを避けるために、対立や口論には関わらないようにします。しかしSEIの消極的な不干渉を、LIIは否定的に捉えて非難します。LIIはSEIのこうした態度を見て、連帯感が欠けているとか、自分の意見や自分の軸がないと感じるだけでなく、臆病さ、芯の弱さ、無情さの表れだと見なしてしまいがちです。そしてこのせいで、LIIはSEIに対してかなり不快な意見を抱くこともあります。これは「戦いが終わってしまった後」のSEIのコメントでさらに悪化します(争いに関わらないようにしている間も、SEIの監視機能Seは休むことなく働き続けています)。そしてもちろんSEIのコメントはLIIの耳に心地よいものではありません。SEIによれば、対立から上手に抜け出す他の方法をLIIは見つけ出すことができなかったとか(これはLIIのNeに対する批判です)、LIIのやり方は一般的に見てあまりにも辛辣で直接的すぎた(LIIの論理機能はモデルA二分法「不活性」に分類されますが、SEIのこうした「辛辣すぎた」「直接的すぎた」というコメントは、LIIの「妥協のない」不活性な論理に対する批判です)。こうしてLIIはパートナーに期待しているサポートの代わりに、実現不可能な「もっとこうすべきだった」という後出しコメントを聞く羽目になります。
「ビジネスの論理」の側面(Te)
LIIにとってのSeの側面と同じことが、SEIのTeの側面にも起こります。SEIはLIIから必要な種類のサポートを受けることが出来ません。SEIが何らかのプロジェクトやプロジェクトを始めて、失敗すると、後になってからLIIは「最初から十分な検討が欠けていた」「きちんと体系的な形でできていなかった」せいで失敗したのだとSEIに証明しようとします。もちろんLIIには、SEIに対して必要なサービスを提供し、さらには有望な技術を開発する力があります。しかしプロジェクトはすでに失敗しており、SEIはLIIの遅すぎる参加に対して、はっきり失望するでしょう。
チャンネル 3 - 8
「時間の直観」の側面 (Ni)
SEIの遅さや、積極性に欠けるためらいがちな態度、一日の予定を埋めるのを嫌がるところ、いつも「忙しすぎる」と言いながら進捗遅れの愚痴をこぼすところに、LIIは頻繁に軽い苛立ちを感じます。そしてLIIがSEIの時間の使い方を効率化しようとしたり、今の活動は中断して別の活動をすべき時間だとリマインドしたりしていると、今度はSEIがLIIに対してイライラし始めます。「たった今、休むために座ったばかりなのに、どうして邪魔するんですか?なぜこの人と会話させてくれないんですか?」。LIIは次第にSEIのスケジュール調整をやめてしまいます。それが空虚で絶望的な仕事であることを理解するからです。LIIは、直観タイプである彼にとっては笑ってしまうほど単純で馬鹿げたSEIの「予測」や「予言」に異議を唱えるのもやめます。LIIはさらにSEIから遠ざかって、静かに、邪魔されずに自分の仕事を進めようとします。
「関係の倫理」の側面 (Fi)
この側面では、SEIはパートナーに効果的なサポートをしようと尽力します。パートナーがサポートを必要としているかどうかは関係ありません。そしてLIIはFiの側面においては、他人からのサポートを必要としていません。LIIは自分の力で倫理的なぎこちなさに対処する術を学ぶことを非常に重視しています。そのためLIIは、自分(LII)の行動や発言の「鋭さ」を和らげようとしてくるSEIの癖に、少し苛立ちを覚えます(SEIからこういうサポートをされると、LIIはまるで自分が物わかりの悪い子供であるかのように感じてしまいます)。またLIIは、SEIがLIIに対して不公平な態度を取っているのではないかと警戒します。つまり、SEIはLIIに対して熱心に、献身的な協力をしようとしているのに、他の時にはLIIの要求や要望 [1]をボイコットしているようにLIIには感じられるのです。LIIは無意識のうちにESEの監視機能(モデルA二分法「不活性」な機能)としてのFiに方向づけられており、ESEのFiとは異なるSEIのFiの働き方に対して操作的だと不信感を抱きがちです。その一方でSEIにはそんなつもりはまったくなく、LIIがなぜ不信感を抱くのか理解できません。結局のところ、SEIにとっては自然に振る舞い、自分のパートナー(この場合LII)にふさわしい態度で接しているだけだからです。
おわりに
こうした違いや矛盾にも関わらず、活性化関係のペアは通常、子供、家庭、家族の共通の関心事を、愛情をもって共有しあいます。互いに居心地の悪さを感じ始めた場合は、「社交の場」に出て、より広い交友関係でのコミュニケーションをするといいでしょう。そうすると両者は無意識のうちに、自分の鏡像関係にあたるタイプの、より外向的な「サブタイプ」を蓄積し始めます。SEIであればESEのサブタイプを、LIIであればILEのサブタイプを獲得します。
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訳注
- ^ LIIの要求や要望:これはNiの側面において、LIIがSEIの問題点を改善するために行う要求や要望のこと。例えば今の時点でこれくらいのタスクは完了させておかないと後になってから困るので、もっと予定を詰めるべきとか、そろそろ次の作業をする時間だというアドバイス。