双対関係であるILEの説明にもSEIに関する説明があります。
意識的な機能
第1機能(先導):Si
あらゆる形での調和と美、ポジティブで明るい人生、高度に洗練された楽しみを求める傾向、こういったものは、SEI(ISFp)の基本的な価値観です。このタイプの人々は、様々な形で美しいものを創造するだけでなく、すでに存在する創造物を保全しようとする傾向が強いのが特徴的です。
SEIは人生を愛し、感謝します。このタイプの人にとって人生を味わうことは非常に重要であり、「生活を美しく、明るく、楽しくするべきだ」「生きるということは祝福されるべきものだ」という認識を大切にしています。SEIにとって誰かに幸せや楽しみを提供することは、その喜びを受けとることと同じくらい楽しいことです。
これと同じ理由で、SEIは他人に迷惑をかけたり、他人の気分を害さないようにしています。彼らは自分の人生を楽しみ、誰かのためにそれを複雑にするつもりはありません。彼らは、満足感や充足感をもたらしてくれるもの全てに献身的です。
◆◆◆
SEIは現実主義者です(そうでなければ、ILEのような直観的「夢想家」と双対関係にはなれなかったでしょう)。このタイプの人は、家族の幸福と繁栄、住みやすい家の維持、他人との良好な関係の維持など、人生に対する自然で基本的な価値観を志向しています。
良い気分、バランスのとれた心の状態、魂、心、体の中の幸福感、これら全てがSEIにとって重要です。これらの条件のどれかが欠けていると、彼らはひどく動揺します。例えば昼休みに外食ができず、ジャンクフードを常食しなければならないような状況になれば、SEIは落ち込んでしまいます(「これでは胃炎になるもの無理はない…」)。
豊かさと貧しさ、幸福と不幸、健康と病気、生と死、これらはSEIが繰り返し考えることになる大きなテーマです。
SEIは自分が住みたい、学びたい、旅をしたいと思う条件を考えたり、それについて振り返ってみるのが好きです。またSEIは仕事、教育、余暇のための条件がきちんと考慮されていなかったり、不十分だった場合にはそれを批判しようとします。
一度経験した感覚を、しばしば詳細に記憶し、再現することができます。音、色、匂いなどを一つの完全な印象として記憶し、それによって、「何らかの感情に結びついた連想」を呼び起こし、出来事、人物、関係を想起することができるのです。
◆◆◆
SEIは他の人々が経験する不快な感覚に気づくことができます。例えばこのタイプの人は、他人が暑すぎたり、寒すぎたり、新鮮な空気を十分に得られなかったり、きつすぎる靴を履いていたりすると、それに気が付きます。誰かが痛みを感じていることに気づき、その原因が何であるかを察知することもできます。そしてSEIは問題の原因を取り除こうとします。
というのもSEIは感覚を、個人的なもの、人に密接なものだと考えているため、感覚の影響はなるべく繊細で控え目でなければならないと考えているためです。
こういった数々の特徴のため、典型的なSEIは医療関係の仕事に適性があります。
◆◆◆
SEIは自分自身の気分の悪さや状態の悪さが大きな心配の種になります(そのため、気分の悪さに苦しんでいる人に共感を示すことができます)。このような場合、SEIは自分の状態や感覚に完全に没頭してしまいます。特に自分(SEI)の状態に無関心で、同情や気遣いを示さないような人と交流しなければならない時には苛立ちを感じます。
思いやりが十分に表現されていない場合、SEIはそれを「冷酷さ」や「人間関係の悪さ」の表れだと解釈します。自分の不満が周囲の人を苛立たせるだけだとわかると、もっと良い時期が来るまで、その人との接触を制限しようとします。
形だけのお見舞いの言葉や、一般的な励ましの言葉を述べても、SEIの状態は少しも改善されません。SEIが落ち込んでいたり、病気になったりしたときに必要なのは、励ましではなく慰めなのです。
SEIは自分が肉体的な過負荷に適しているとは思っていないので、極力(特に余暇の場合は)、肉体的に激しい負荷がかかる活動をしたがりません。控えめで気取らない快適な環境に身を置き、愉快で楽しい人々と一緒にリラックスすることを好みます。身体を酷使したり、危険な要素があったり、基本的な設備が整っていなかったりする観光にはあまり興味がありません。
◆◆◆
SEIは余暇を自然の中で過ごすのが好きで、その美しさを強く感じ取ることができる人々です。そして、美しく感じたものは全て覚えておこうとします。一般的に、SEIは良いことは全て覚えておき、「後で思い出すことができる」ようにします(「人生とは、生きたことではなく、記憶されたことである」)。
客人をもてなすのも好きです。自分のセンスの良さや料理の才能を発揮する機会があるのは嬉しいものです。客人を迎える準備をすること自体が、SEIにとっての楽しみなのです。
歓迎の雰囲気、素敵な音楽、柔らかな照明、美しい銀食器、香ばしい料理など、ディナーや祝賀会での楽しみが余すところなく含まれ、最も充実したものになるように、SEIは通常、訪問者のために「感覚的な祝賀会」を準備しています。
SEIは招待客のリスト、テーブルのデザイン、料理の組み合わせ、ワインの選択など、これからのディナーや社交的な集まりの詳細を全て徹底的に考えます。
例えば、その日が正月であれば、それにふさわしい部屋の配置、衣装、プレゼント、サプライズなどを考えます。SEIは自分のホリデープランの計画を誰かに邪魔されると、とても動揺して怒ります
(「想像してみてください。クリスマスに、美しい火が灯ったロウソクのついたケーキを部屋に運び入れようとした瞬間に、誰かが勝手に部屋の照明を付け、プレゼントを配りをはじめた様子を。そもそもプレゼントはサンタクロースから贈られるものであり、モミの木の下で見つけられなければならないということをまるで理解していないと言わざるを得ません。こうして子供のための休日を台無しにされて、怒るなという方が無理な相談です」)。
◆◆◆
SEIは通常、感覚の調和に関わる全てのことに対して強い自信を持っており、また、素晴らしいセンスを持っています。
匂いで食べ物の味や出来具合を判断することができる、料理のスペシャリストです。単に料理を作るだけでなく、その料理が人にどのような喜びをもたらすかを想像しながら、心を込めて料理を作ります。
栄養学に関心が高く、食に対するこだわりが強いのが特徴です。信用できない食べ物は、どんなに頼まれても食べません。このタイプの人は、どちらかというと好みの面では保守的な傾向があります。
どんな状況でも、温もりと居心地の良さを演出する方法をSEIは知っています。
SEIはささやかな手段を駆使して、いつも自分の家を飾りつけています。SEIはそのために、自分の作品やハンドクラフト、自作の絵や子供の写真などを使うことがあります。インテリアのデザインについては、SEIは複雑でエレガントなスタイルを好み、しばしば装飾的な要素を加えます。
空間をとても効率的に使い、どんなに小さな場所でも心地よくする術を知っています。また彼らは自分の家だけでなく、一時的に逗留する場所であっても、快適で落ち着きのあるものに整えようとします。
SEIの家の秩序は(特にパートナーと暮らしている場合)、住人にとっては邪魔にならず、負担のない形で維持されています。家族が物を散らかしても、他の家族が決まった場所に物を置く習慣を身に着けるまでずっと、SEIは辛抱強くそれらを集めて決まった場所に片づけます。もしSEIが家全体に定期的に秩序を与えるだけの力を持っていない場合であっても、秩序が厳密に維持され、全てが整理され、センスよく配置されている場所が家庭内のどこかに必ず作られています。
SEIの家にあるものは、便利で、とても美しい食器ばかりです。休日用に使うセットの食器だけでなく、普段使いの食器もそれぞれ用意しています。美しい食器や美しいベッドリネンなどといったものには目がありません。柔らかくて便利な家具、カーペット、枕、ナプキンなど、目を楽しませてくれるもの、リラックスさせてくれるものは、必ずと言っていいほどSEIの家にあります。
SEIの美学は、小さな部分、小さな形で感じられるようにデザインされています。そのため、SEIの美意識の特徴である、ある種の装飾的な飽和状態が存在します(これは全ての非合理的な感覚・倫理タイプであるSEIとSEEの美意識に特徴的なものです)。
SEIの中には、芸術的な才能を持っていて、それを表現することに喜びを感じる人もいます。そのため理容師や美容師という職業のための特別な訓練を受けたわけではないのに、その仕事をプロ以上にこなすこともあります。また、プロとしてデザイン(服、髪型、足、家具など)を手がけているSEI以上に優れている人はめったにいません。
色、線、形、音、匂いなどの調和を敏感に感じ取ることができます。このタイプの人は、優れたパフューマーやテイスターになります。SEIは匂いと色、色と音の相性の良い組み合わせを選択する方法を知っています。例えば特定の音楽、ムード、色の組み合わせ、特定の芸術的方向性、または服のスタイルに対応する香水を発明することができます。
SEIは、独自のファッションを創り出すことができるだけでなく、既存のファッションの方向性に合わせることもできます。着ていて不便なものや、自分の外見の欠点を強調するようなものは絶対に着ません。これが「この人はどんな服を着ても魅力的に見える」と周囲の人々に思わせるような、ある種の才能が生まれる理由です。
SEIの中には太りやすい体質の人もいますが、彼らはその問題を見事に解決し、センスの良い服を着て、どんな状況でも快適に動き回る能力を持っています。自分の体重のせいで不便を感じることは、彼らにしてみれば許しがたいことです。そのため、SEIは必要だと思ったらいつでもダイエットを始めます。
彼らは自分の魅力にいつも自信を持っており、周囲の人たち、特に異性から見た場合も、実際に魅力的に見えることが多いです。他の人々から魅力的に思われることが当然であるという状況に喜びを感じます。自分が美しいことは当たり前なので、自分の美しさについてあれこれ考えることはありません。
彼らは外見を通して人々を喜ばせることに喜びを感じます。さらに、SEIは自分の外見をもっと魅力的にしたいと思っている人には、アドバイスや行動を通して喜んで協力します。これは普段、自分の外見に十分な注意を払っていないILEにとっては特に、かけがえのない協力です(あるSEIの学生は、ILEの教授のことをこう言っています。「彼(ILE)を見るたびに、きれいに丸洗いしたいと思っていました」)。
◆◆◆
自分の愛する人や家族を大切にすることほど、SEIにとって当然なことはありません。これはSEIの主要かつ重要な価値観のひとつです。SEIの家庭のメンバーは、常に彼らに食事を与えられ、世話をされ、養われています。SEIは自分が必要とするものを最小限にすることはできますが、家族がわずかな不便さも感じないよう常に努力します。
SEIは、子供の美的教育を非常に重要な問題と考えています。仮に失業手当で生活していたとしても、子供のためにピアノを購入したり、音楽教室の費用を負担したりすることもあります。
◆◆◆
SEIは通常、友好的で、口論や対立をする傾向はありません。他の人と積極的に関わり合い、周囲のどんな人とも個人的な付き合いができます。また、暖かさと親しみの感情を作り出すこともできます。SEIは会話相手を素晴らしく感じ、非常に巧みに、そして誠実に感情的な共感を示します。人々の信頼と信用を簡単に獲得し、それを悪用することはほとんどありません(仕事の利益のために必要でない場合に限り)。
SEIは他者に率直さと誠実さを求めます(これはSEIが優れた諜報員、エージェント、心理療法士、教育者になることを可能にする資質のひとつです)。
◆◆◆
SEIは、一度経験した感情を記憶し、再現することができます。人に共感する場合、その人の気持ちや性格を想像することができます。また、他人の感情を自分の中で再現し、その人が経験した感情を「体験」することができます(この資質により、SEIは非常に優れた俳優、外交官、調停者になることができます)。
深刻な喧嘩や論争が始まると、SEIは状況を和らげたり、口論している人の気を引いたり、落ち着かせたりしようとします(この特性は、しばしば議論に行き詰まり、それが喧嘩に発展してしまうILEの倫理面での問題を和らげることに繋がります)。
もちろん、SEI自身も対立の当事者として喧嘩に巻き込まれることがありますが、それでもSEIにとって不愉快なのは、いつも「敵対状態」という状態そのものです。こうした理由から、SEIは争い合う人と人の仲を取り持つ役割を果たしたいと考えるようになります(シャトル外交の達人)。
機会さえあれば、彼らは率先して和解したり、説得したり、誰かを納得させます。非公式な場で根回しをしたり、問題を解決したりすることに長けています。
第2機能(創造):Fe
感情面では、SEIは二面性のある印象を与えることが多いです。つまり、外見的には陽気で楽しげで楽観的に見えながら、内面的には抑制されて緊張しているように見える人です。
慣れないグループの中で、SEIは特別な注目を集めないようにしています。この場合、行動するよりも観察しようとする傾向が強いです。
外見上、SEIは常に穏やかでバランスが取れており、自分に自信を持っているオープンな人のように見えますが、内面的には常に控えめで不信感を抱いているようなところも感じさせます。「抜け目のない秘密主義者」という印象を持たれることがとても多いです。実際、SEIは口が滑って余計なことを言ってしまうのを恐れています。
◆◆◆
親しい人との間では、SEIは気楽で自由なコミュニケーションをとります。
彼らは友人の興味を引くような面白い話をして、友人を楽しませるのが好きです。彼らはグループの精神的な支柱になりたがります。巧い話をしたりジョークを言ったりすることで、見事にその場の雰囲気を盛り上げることができます。ジョークが不適切だと受け取られた場合、機転を利かせて素早く話題を変え、別の場所に注意を向けさせることもできます。
注意しなければならないのは、SEIがグループ内のムードを良好に保つのは、それが自分自身の精神的な状態と矛盾しない場合に限られるということです [1]。
◆◆◆
SEIは、監督者やマネージャーの立場で、全ての従業員と良好な関係を維持しようとします。従業員の個人的・心理的な環境に注意を払うことが重要だと考えています。
彼らは他人を批判することはあまりしないようにしています。紛争や敵を増やすことを好まないからです。したがって、たとえ誰かを批判する必要があるとしても、SEIは可能な限りソフトな形で批判するようにします。
誰かと対立したり、心に傷を負ったりするようなことがあれば、SEIは一歩下がって、それ以上関係を悪化させないようにし、全てを冗談に変えてしまおうとします(この資質は、批判に対して過敏すぎるILEとプライベートで接するには絶対に欠かすことのできない資質です)。
(wikisocion編集者注釈:SEIは人の性格や人間関係、行動について個人的なコメントをしたり、からかったり、あだ名をつけたり、おかしな風刺的イメージを作ったり、時には一線を越えて相手に失礼な嘲笑をしたりすることによって、相手が良い方向に変わるように鼓舞することがありますが、自分の言動に怒りを感じた人がいたと察した場合はすぐに止めます。言うまでもなく、誰もがこうしたFe的な「からかい」にうまく反応するわけではありませんが、こうした手段は、SEIの双対であるILEを活性化させるには役立ちます)。
◆◆◆
誰かをサポートしたり、自分の気持ちを正当化したり、相手を落ち着かせたり、慰めたりする必要があると考えた場合、SEIは巧みにそれを実行します。
SEIが自分の問題に誰かの注意を向ける必要があると考える場合、SEIはこれを「創造的に」達成します。他の人たちが無視できないようなストレスフルな状況をわざと作り出し、問題が少なくとも部分的に解決し始めるか、自分自身が落ち着くまで「他の人々の関心と注意をひきつけて、手放さない」のです。
SEIは自分の問題を率直に話すことを恥ずかしいとは考えていません。さらにSEIは、あまり親しくない相手にも自分の問題を率直に開示します。必ずしも親しい友人相手にだけそういったことをする、というわけではないのです。
そのため、このタイプの人々は不平不満が多いという印象を他の人に与えることがあります(しばしばSEIはILEに働きかける際、こうした倫理的な「戦術」をとります。ILEのFeは第6機能であり、動員機能なので、このような戦術が有効なのです。SEIはこうすることでILEの注意を幻想的なプロジェクトからそらし、具体的な事実や問題をILEの目の前につきつけます)。
第3機能(役割):Ni
SEIは通常、自分の時間も他人の時間も大切にしますが、それと同時に自分が必要とする結果を得られるまで際限なく時間を費やす面があります。例えば何かを上手く理解できなかったり、聞きたい話を聞けなかった場合、自分が完全に理解したり、聞きたい話を聞けるまで、相手を巻き込んで延々と話を続けようとします。「ちょっとだけ」訪問して、数時間相手と話し続け、自分が興味を持った問題の全てについて完全な情報を得ようとすることもあるかもしれません。
時間厳守という概念は倫理的、個人的な観点から見てとても大切な概念だとSEIは考えています。もし時間通りに出来ない場合、彼らは非常に不快な気分になります。そして「もし時間通りじゃなくてもいい」という状況になれば、彼らは喜んでそれを受け入れます。
(wikisocion編集者注釈:モデルAを踏まえて考える場合、SEIのNiは「しなければならない」「するべき」という超自我ブロックの機能であるため、このタイプの人は一般的に外部から提示されたスケジュールを守ろうとします。また、それを守れない場合は気が気でなくなります)
◆◆◆
綿密に決まっている1日のスケジュールは、SEIにとって様々な理由で不便です。正確なスケジュールに従って生活しなければならないこと、特定の時間にどこで何をやっていないといけないか決まっていることは、このタイプの人にとってしばしば負担に感じられます。
彼らは娯楽やリラックスのための時間と、仕事のための時間を常に計画できるわけではありません。いつリラックスして過ごすかは、彼らの状態や気分次第です。
もし許されるのであれば職場で決められている休憩時間以外に、休憩をとることもあります。仕事を切り上げるタイミングは、時間ではなく「どこまで仕事が進んだか」によって決まります。
SEIの時間の大半は、目先のことや必要なこと、心配事などに費やされるため、計画性はほとんどありません。
SEIは約束嫌いです。これは不測の事態が起こって約束を果たせなくなるかもしれないという恐れがあるからです。
◆◆◆
SEIは、明日を確信している楽観主義者のような振る舞いを演じることがあります。未来について何らかの予想を立てるのは好きですが、彼らの予測は往々にして素朴で単純なものに留まります。例えば、SEIは偶然起こったラッキーな出来事を、将来の明るい見通しの前触れだと捉えることがあります。
「時間の直観(Ni)」の領域においてSEIに特徴的な点は、それまで楽観主義的だったのに、いきなり悲観主義に陥ることがある点です。例えば誰かから仕事を褒められた日には、自分の輝かしいキャリアを思い浮かべていたのに、別の日に誰かから叱られたり批判されたりしたら、すぐに自分は将来クビになるかもしれないというような真っ暗な未来を思い浮かべたりします。
自分の将来、家族の将来、国の将来、社会の将来。これらのテーマは、SEIにとって常に悩みの種です。しかも、SEIはこの面で具体的な見通しを立てることができません。「私はどうなるのか?私たちはどうなるのだろうか?」という不安は、SEIにとって常に未解決のままであり、しばしば彼らにとって「自分が改善すべき問題点」だと認識されます。これはSEIにとって非常に苦しい課題です(こうしたSEIの側面がよく表れている例として、エリダール・リャザーノフの映画「約束された天国」や「予言」があります)。
SEIにとって、状況の進展を時間軸で見ることは困難です [2]。そのためSEIは無駄な期待に多くの時間を費やしてしまうことがあります。また期待に固執するあまり、他の実行可能な可能性や見通しを退けてしまうこともあります。
「SEIには期待に固執してしまうという性質がある」というのは、SEIが問題の具体的な結果や成果によって時間的コストを考える点、つまり、時間を度外視して結果だけを見た場合「良い結果」であれば、どれだけ時間がかかっていようが「良い結果だった」と正当化してしまう傾向がある点からみても説明できる性質です。
彼らは肯定的な結果が得られれば、そのために費やした時間を後悔しません。
◆◆◆
SEIの双対であるILEは、将来の見通しを予測し評価するというSEIにとって最も価値のあるサポートをしてくれます。ILEほど上手に社会の進歩をグローバルな視点から読み解くことができる「予測者」はいないかもしれません。ILEは個人、家族、あるいは社会全体がある一定期間後にどのような状態になっているのか、将来どのような変化が起こりうるのか、何が影響してそうした変化が起こるのかといった様々なことを巧みに予想して人に伝えることができます。
良くも悪くも「どういう結果になるのか」だけでなくILEは「いつ変化が起きるのか」という点まで見通すことができます。そんなILEがいれば、わざわざSEIが占い師に頼る必要はなくなります。ILEがそばにいれば、SEIは無駄な期待をして時間を浪費することはありません。ILEはそのようなことを許さず、他の有望な長期計画に方向転換させてくれるでしょう。
第4機能(脆弱):Te
これから始まるどんな仕事でも、たとえそれが好きな仕事であったり、習慣的で恒常的な仕事であっても、SEIは何か重荷のような必要性を感じてしまいます。これはこのタイプの人々の最も深刻な問題の一つです。
「たとえ創造的な衝動の波に乗って、インスピレーションを受け、素早く簡単に仕事の一部を完成させたとしても、それでもなお、その仕事の完成までにやるべきことはたくさんある。そこからまた細部に至るまできちんと作業し、最終結果を確認するところまで頑張り続けないといけない」
こうしたことがSEIの目の前に横たわっており、それが心にのしかかり、曇らせ、恐怖を与えるのです。
何か作業をする時、SEIはそれまで自然にリラックスできていた状態から抜け出します。
この状態から抜け出して仕事をするモードに切り替えなければならないことが、SEIの心に負担をかけ、不快感を与えるのです(「このコーヒーを飲み終わったら仕事をしよう」「このタバコを吸い終わったら仕事をしよう」「このプロジェクトを完成させなければ…」「私がどれだけ仕事をやりたくないと感じているか、想像できる人はいるだろうか」「私のためにやってくれる人はいないだろうか」)。
SEIは、「いくつかの問題に対処する必要があること」、そして「それをやりたくないこと」を頻繁に示しています。「仕事が大変すぎる」「時間が足りない」とよく文句を言います。
日常の些細な問題を全体の問題にまで広げ、そのせいで自分自身や周囲にストレスを与えることがあります。
しばしば「SEIは他の誰よりも働いており、彼らの人生は他の誰の人生よりも困難で重荷である」という印象を与えてしまうのです。
(wikisocion編集者注釈:SEIは自分の代わりに自分の仕事の一部、または全部をやってくれる人を探しており、しばしば家族にそのような助けを求めます。些細な問題を騒ぎ立てることで周囲の人々の関心を集め、自分が計画した仕事に協力を申し出てもらい、自分で全てをやらなくていいようにしむけて自分の労力を節約しようとします)
SEIにとって仕事に着手し始めるまでが、いつも苦労の連続です。まるで仕事が自分の能力を超えているように見えたり、どうすればいいかわからなくなってしまったり、十分なリソースや材料がない、あるいは仕事場が十分に整っていないように見えてしまうのです。
◆◆◆
創造的な衝動のおかげでSEIは自分でも知らず知らずのうちに仕事をやり遂げていることがあります。「どうやればいいか」というアイデアが浮かんだら、SEIはそれを実行します。しかし「一度のインスピレーション」で出来る仕事の量は限られています。では彼らは、どのようにして何冊もの小説を書き、多くの映画を監督しているのでしょうか。
SEIは創造的な感覚を生かして非常に素晴らしい働きをします。SEIの仕事の進め方は、多くの場合「ひらめき」から仕事を開始し、その後は無理やりにでもそれをやり続けて完成させるというスタイルになります(このタイプの人の芸術作品の多くは、本であれ、映画であれ、オペラであれ、作品の最初の部分が、その続きや終わりの部分よりも、はるかに才能にあふれていて、有望で、興味深いものに見えます)。仕事の前半と後半に間には、時に大きな時間の隔たりがあります。SEIが仕事を続け、完成させるためには「機が熟す」必要があります。これはSEIにとって非常に重要なことです。ひらめきさえ待てば、あとはなんだかんだで結果が自分を正当化してくれるからです。
SEIは未完成の仕事を人にあまり見せたがりません。また自分の仕事のプロセスを他人にコントロールされるのも嫌います。たとえそれが建設的な批判であっても、仕事中に誰かがSEIのやり方、コンセプト、スタイルを批判することも嫌います。SEIの理解では、これは彼らの行く手を阻む障害物を作ることを意味します。このような場合、SEIは通常、他人から干渉されることなく一人で最後まで仕事をできるようにすること、そして何の妨害も受けずに最終結果を発表できることを許可してほしいと要求します。
◆◆◆
SEIは、自分の創造的な可能性を完全に実現できるような職業を選ぼうとしますが、そうでない場合は自分のスキルと可能性に見合った仕事を探そうとします。こうした場合、SEIは自分の輝かしいキャリアをあまり喧伝しようとはしません。叱られもせず、褒められもしないような、とにかく目立たない立ち位置でいようとします。雇用主の目に留まらないようにして、多すぎる仕事や責任、義務、そしてあまりにもイニシアチブをとらなければならない状況を避けようとします。
SEIは一般的に仕事を恐れ、仕事から逃げる方法を探しているような印象を受けることがあります。誰かが自分の仕事に新しい問題を持ち込んで複雑にしてしまうと、SEIはひどく腹立たしく感じてしまいます。例えば、トレーニングのためであったり新しいシステムを構築するために、単純な問題をあえて複雑な方法で解決することを強要されると(ソシオニクスのタイプでいうと、デルタ・クアドラのLSEが時折こういった注文をつけることがあります)、SEIは文字通り腹を立てて冷静さを失います。SEIが必要としているのは、最小限の時間と労力で済む、最もシンプルで賢明な手順や方法論を誰かに示してもらうことです。もし複雑でいいなら、その程度は自分でもできることです。
SEIは説明書を非常に注意深く、丁寧に読み込みます。彼らは「推奨されるやり方」に対して非常に注意を払います。授業のノートもきちんと取ります。クラスの中で最も完全で正確なノートをとるのは、おそらくSEIです。また、彼らは他の生徒にノートを見せてほしいとも頼みます。他の生徒がこれを断ると、彼らはすぐにとても不機嫌な顔をします。なぜなら彼らにとって、これはとても重要なことだからです。
何かの手順を独自に理解し、それを合理的かつ効果的に使用するという点に関していえば、SEIは真の勝利者です。SEIは、自分の良く知っている手順を教えてほしいと頼まれたり、助言を求められたりするととても嬉しく感じます。時にはこうした方法論的な相談に乗ることが自分の天職だとさえ感じるほどです。
◆◆◆
SEIはかなり頻繁に、どうすればもっとうまくお金を稼げるか考えています。しかしSEIにとって非常に困難なのは、まさにその「お金を稼ぐこと」です。彼らには、例え自分が高度な技術と教育を受けた専門家であっても、数か月かけて集中的に仕事を探した果てに、自分にとって不利な条件で仕事することに同意してしまう傾向があるためです(「わかりました。推薦と資格を得るためであれば、タダで働いてもいいです」)
SEIにとって重要なことは、将来、職業を変える必要がないように、また、仕事を探す面倒がないように、常に需要のある成長分野で仕事を見つけることです(SEIの「行動の論理 Te」の側面は、「時間の直観 Ni」の側面と「可能性の直観 Ne」の側面につながっています)。したがって仕事やビジネスの問題では、これらの要素の働きが強いILEのアドバイスや予想を聞くと、最も楽に上手くいきます(ILEとSEIは双対関係であり、TeはILEの実証機能です)。そのためILEは、パートナーであるSEIの不十分な実用性に寛容になることができます。
SEIのパートナーがILEである場合、SEIはパートナーのビジネス上の資質を非常に高く評価し、ILEの提案の多くに同意します(「結婚して最初の年に、ILEは極端な節約生活をする必要があると言いました。それを受けて一年目はかなり質素に暮らし、二年目にはすぐに車を購入しました。二年目からILEはフルタイムで働くことができるようになり、さらには正社員になりました。おかげで家も買えるようになったんです」)。
特に、一時的である場合、トンネルの先に光が見えている場合、そして最後に最も重要なことですが、家族や愛する人のために必要な場合、SEIは極端な節約生活をすることができます。無意識のうちに、SEIはパートナーの直観を信頼します。これは、彼らが双対であるILEの強い直観を志向しているからです。このようにして、SEIは困難な状況から抜け出す方法が可能な限り短い時間で見つかるという事実を常に認識しており、信頼しています。このことはSEIを落ち着かせ、その後、彼らは経済的に家族の仕事や家事、その他の問題の世話をすることを通して、喜びをもって当面の問題に取り組みます。なぜなら、1羽の雌鶏から5種類の料理(スープ、手羽先の揚げ物、ゼリー、サラダ、肉詰め)を作り、大勢の家族を養うことができるのはSEIだけだからです。
◆◆◆
SEIは仕事が苦手なように見えるかもしれませんが、実はとても勤勉な人です。恵まれた環境の中で、自分の天分に基づいて仕事をすることで、SEIは常に素晴らしい結果を出します。好きな仕事に没頭しているSEIは、どんな競争相手にも負けません。SEIの仕事は、常に非常に重要で重大な責任をがかかっています。SEIは時に「才能ある怠け者」という印象を与えますが、実際には「才能ある働き手」であることが多いのです。
無意識的な機能
第5機能(暗示): Ne
SEIは可能性を探すことに関係する全てのことにおいて自信がありません。いつもそばの人からのサポートや助けを求めているかのように、自分の行動が正しいかどうかをアドバイスしてくれるメンターやアドバイザー、先生を探しています。
SEIは自分の可能性を過小評価する傾向があります。自分の重要な問題を解決するためには、自分の可能性は不十分だと感じてしまうことが多いのです。例えば「自分には人脈がない」「きっと誰も助けてくれないに違いない」「相談できる人がいない」「頼れる人がいない」「自分と一緒にいてくれる人なんていない」と思いがちです。
彼らは先見の明を持って慎重に行動しようとしますが、「(潜在的な可能性も含めた)全ての可能性を、自分だけで考慮する」というのは、SEIにとってあまりにも難しい事です。この領域では頻繁にミスをしがちですし、時には深刻な問題に発展することもあります。
例えば状況の全体的な性質を常に把握し続けられないために、他人からSEIの誠実さや親しみやすさを利用されてしまい、その挙句、信頼を失ってしまうこともあります。
自分がよくこういった問題を引き起こしがちだと思い知っているSEIは、より慎重に、より先見の明を持って行動しようとしますが、それにもかかわらずSEIは自分を率直に表現しすぎてしまい、後になってそれを大きく後悔することがしばしばあります。
そのためSEIは「この状況は、自分にとってどのようなメリットがあるのか」「このような場合にはどのように行動するのがよいのか」「自分の行動がどのような結果をもたらす可能性があるのか」といったアドバイスに、常に興味を持って耳を傾けています。
こういった問題はSEI一人ではなかなか解決するのに苦労する問題です。自分の推測に自信が持てず、どれだけ自信たっぷりの口調でそれについて話してみても、SEI自身の心の中の疑念が晴れることはありません。
◆◆◆
SEIがパートナーとしてILEを得た場合、状況は一変します。ILEは浮世離れしたところがあるように見えても、賢明に状況の可能性を、その潜在的なものまで含めて見抜き、パートナーの能力を評価することができます。ILEの状況分析は、SEIの行動に賢く、そして必要性に適した方向性を与えます。
ILEは「可能性の直観 Ne」の側面に関する完全な情報を、彼らの双対であるSEIに対して正確に提供します。
ILEにとってSEIはこうした話をする相手として理想的なタイプですが、SEI以外のタイプがパートナーであるという場合、このテーマでの楽しく生産的な接触や会話は、原則として起こらないか、あるいは不十分な形で終わってしまうこともあります。
ILEのそばにいるSEIは、自分がしっかり保護されていると感じます。そのおかげで彼らは人生の最も困難な状況を生き抜き、耐えることができるのです(「ILEと私がここに引っ越してきたとき、私たちは完全に孤独で、助けてくれる人が誰もおらず、また、家族も親戚もいませんでした。でも私たちは自分たちの努力で全てを成し遂げました」)。
◆◆◆
これまでにも説明した通り、SEIは人生を現実的に見ようとします。したがって、自分の可能性や潜在能力を発揮するための自信を持つことは、SEIにとって非常に重要な課題です。彼らは自分の天職を早く見つけることができれば、それだけ自分を実現することが簡単になると考えています。
ILEとパートナーになったSEIは、より興味深い方法で創造的に働くことができるようになります。双対であるILEとのパートナーシップがあってこそ、SEIは自分の中のファンタジーを無限に発展させ、それを応用できる分野で聡明なイノベーターとして活動するチャンスを得ることができるのです。これによってSEIは、自信をもって芸術や映画の新しい方向性を決めることができるようになり、新しいスタイルやジャンルの創造者になります。
◆◆◆
自分の子供の才能を伸ばすために、SEIは努力もお金も惜しみません [3]。SEIは常に、自分の子供の中に宝くじの「当たり」を見たいと願っており、実際に「当たる」こともあります。自分の子供の能力を通して、SEIは自分実現できなかった才能や可能性を実現しようとすることがよくあります。
SEIにとって、自分の才能を伸ばすことは大きな意味があります。こうした理由からSEIは自分の職業上の可能性についての意見や、自分に与えられているチャンスや可能性についての意見、自分の能力や今後の伸び代についての評価に大きな関心を持っています。また同時に自分の能力を批判されることを嫌います。
自分の才能を見つけ出し、それを花開かせてくれる人に対して、SEIは強い関心を向けます。彼らは将来の明るい見通しや、これから先の人生で期待できる面白い出来事について聞くのが好きです。SEIは老後、長年の夢を実現しようとしたり、以前は何らかの理由で自分にはできないと思っていた仕事を、年を取ってから極めようとするかもしれません。
第6機能(動員):Ti
SEIは論理的に健全かつ具体的であるように見える仕事であれば、喜んで引き受けます。彼らはそれをするのに十分な程度には理論に対する深い理解をもっています。
情報源の信頼性は、SEIにとって非常に重要です。例えば、SEIが参考にした情報源に何らかの論理的矛盾が見つかった場合、SEIは矛盾に対する説明を見つけるまで、あるいはこの矛盾がどの程度致命的なものなのか、自分の仕事や仕事の全体的な流れに対してどのように影響するかを把握するまで落ち着きません。
もしSEIが情報の正確さや信憑性に疑問を持っているなら、自分で独自に、時間とお金をかけてでも理論的な資料を作成するしようとします。例えば、このタイプのある学生は、自分用に電子辞書を購入し、必要ではあるものの外国語で出版されていたためそのままでは読めなかった資料を全て翻訳しました。
SEIは、自分にとって重要と思われる資料や情報を丹念に集め、徹底的に分析し、熟考します。彼らは細部や些細な事実を綿密に観察します(「夫が新聞を読もうとしたら、すぐにそれを捨ててしまったので、何かがおかしいと思いました。こんなことは今まで一度もありませんでした。新聞を最後まで読まないなんて」)。
◆◆◆
卓越した観察力、そして入手した情報を深く分析する能力を持つSEIは、様々な職業で素晴らしい活躍をすることができます(例えば諜報員、検査官、医師、俳優、映画監督などの職業に向いています)。
SEIは、最も有望な科学的手法に大きな関心を寄せています。彼らは最新の開発情報を得ようとしたり、コンピュータを最新のプログラムとアップデートで改修しようとします。
◆◆◆
信頼できる事実と、論理的で首尾一貫した議論によってのみ、彼らは納得することができます。またSEIにとって、説明の難しい現象の中から論理的な規則性や法則を見つけ出して観察することは面白さを感じることです。[4]
幸いなことに、SEIの双対はILEであり、ILEは「自然界にまだ存在しないもの、最も大胆な空想、最も大胆な概念を計算して考え出すこと」ができます。「ILEの論理的な計算に基づけば、どんなに難しそうな夢であっても簡単に実現できるのではないか」、そうSEIには感じられるかもしれません。SEIは(彼らの冷静なリアリズムと)喜びをもって、ILEの最もファンタスティックなプロジェクトに参加し、ILEが空前絶後の大事業を実現させるたの援助をします。
第7機能(監視):Se
SEIは、自分の意志の強さ [5] について、おおよそ次にような認識を持っていることが多いです。
「私は最近になって、自分には大きな意志の力があることを理解しました」
SEIの意志力は確かに強力ではありますが、彼らは特別な必要性がない限り、それを使わないようにします。そのためSEIの印象は、柔らかく、リラックスしていて、意思決定の方法を非常に正確かつ繊細に行おうとしている人、というものが多いです。
これは、SEIの意志の感覚(Se)が、無意識のうちにILEの弱くて敏感な意志の感覚を志向しているという事実によって説明できます。
そのためSEIは誰に対してもあからさまな意志の圧力をかけないようにしています(極端な危機的状況に意思を効果的に発揮出来るようにするために、SEIは普段、無意識のうちに自分の力を蓄えるようにしています)。
(wikisocion編集者注釈:スポーツや武術において、意識的なSiと無意識的なSeが強いタイプは、あまり急激なインパクトを与えない、丸みを帯びたような滑らかな動きが特徴です。戦闘では、Siが強いタイプは「タンク」、つまり相手の攻撃をひきつけて、自分が本格的に攻撃を開始する前に相手を消耗させるスタイルを好むかもしれません)
◆◆◆
状況に応じて、SEIは毅然とした態度で臨むことができますが、それにもかかわらず、自分の意志の資質を過剰に使うことはありません。
SEIは、他人に対して厳格に、反論を許さず自分に従うことを要求するような立場で働くことを好みません。SEIは通常、管理職のトップの立場に立った場合であっても、「ソフト」で誠実なリーダーになります。(SEIの役者が冷徹なリーダーや君主の役を演じる場合、原則的に自分の意志的な感覚Seを使用しません。
彼らは、外見はソフトで誠実でありながら、内面は厳格で揺るがない決意を持っているように演じます。つまり彼らは「演じ」てはいますが、TeやSeが強力なリーダー像を演じるのではなく、Siを上手に使用するリーダー像を演じます)。
SEIが厳しい態度を示すのは、「柔らかい」アプローチが良い結果をもたらさない場合に限られます。例えば、自分の要求が拒否された場合、SEIは完全に耐えられないほどのストレスとプレッシャーの状況を作り出します(これは多くの場合、SEIの長所を大きく損なってしまうことに繋がります。また、SEIは過度のストレスを自分に与えることを嫌います。彼らは自分の力を節約し、効率的に使用することを好みます)。
◆◆◆
SEIは、意志的な行動という方法に頼ることを非常に嫌っています。彼らにとっては、このような状況に陥いること、そして強いられることは不愉快以外の何物でもありません。無意識のうちに自分の双対であるILEの弱い感覚と倫理的な機能を指向しているSEIは、このような行動が許されるのは、非常に極端な状況に限られることを理解しています。
自分の要求が常に無視され、自分の利益が全く考慮されず、自分の犠牲が誰にも注目されず、評価されない場合、SEIは苦労して費やした努力が無駄になったことを後悔しはじめます。そしてそこからSEIはパートナーの利益をあからさまに無視することによって復讐を始めます(ただしこれはSEIにとっては最も極端な手段です)。
よほどのことがない限り、SEIは誰かを罰してやろうと考えたり、何かを強引に押し通したりすることはありません。彼らは説得や会話といった「友好的な方法」で全てを成し遂げようとします。彼らはスキャンダルを嫌い、ネガティブな感情を抱くことなく、事実に基づいて冷静に問題を議論したいと考えています。
他人との接触において、SEIは厳しい倫理的手段を使わないようにしています。喧嘩をするのは不愉快ですし、誰かを拒絶したり、断らなければならないのも不愉快です。SEIにとって、誰かと喧嘩したり、誰かを拒絶したり、何かを断らなければならないのは全て気分のいい物ではありません。
そのためSEIは礼儀に欠けている人や自分を押し付けようとしてくる人を警戒しています。SEIは「どうでもいい相手との関係を維持しなければならない」という問題を、深刻な問題だと受け止めます。
◆◆◆
また、SEIは自発的な圧力をかけて自分のキャリアを築くことができません。この点に関して彼らができることは、自分の才能、忍耐力、人脈作りの技術を発揮することだけです。強引に障害物をなぎ倒しながら進めるような仕事のやり方も彼らには出来ないことです。
SEIは、熾烈な競争を伴う状況や職業を避けようとします。彼らは権威や影響力を求めて他の人と争うつもりはありません(彼らはそもそも権威や影響力といったものに、そこまで価値を感じていません)。
しかし同時に、彼らは誰かが自分を絶望的な状況に追い込むことも許しません。選ぶ権利を奪われたり、個人の自由を侵害されたりすることも同様です。こうしたことは、たとえ相手がILEであっても許しません(ILEは時に自分の意志の力に酔って暴君や専制君主のような振る舞いをし始めることがあります)。
このような場合、SEIは直ちに論理的、倫理的にILEの行動の原因と理由を突き止めようとします。そして原因や理由を取り除き、論理的な説得によってILEを落ち着かせようとします。
SEIはどんな状況であっても(最も危機的で極端な状況であっても)、自分のパートナーとの良好な関係を維持するために、その原因や理由を取り除き、二人を落ち着かせ、論理的に説得しようとします。そして自分の持久力と意志の力を最大限に発揮して、パートナーとの良好な関係を強調し、維持しようとします(詳細は次の機能 Fiの説明で行います)。
第8機能(実証):Fi
SEIは、全ての関係において人間らしい調和を求めます。SEIには、すでに出来上がっている人間関係のシステムに参加し、そこで自分の価値観や見解、状況に応じた都合のいい地位を自分で選択する傾向があります。
SEIは、心理的に近い距離ですぐに結ばれた、最初から希望に満ちているような関係が最も心地よく感じます(これはILEにとっては問題のある機能「関係の倫理 Fi」を無意識に志向していることから生じています。最初、人や善意に対してバラ色の見通しを持ち、対人関係の距離が急速に縮まります)。楽しく善意に満ちた関係の中に身を置いているSEIは、その場の対人関係の調和を乱さず、むしろ自分の努力によって、全体の感情的なムードをさらに良いものにしようとします。
◆◆◆
SEIは自分に対する良好な人間関係を、深い感謝の気持ちで受け取ります(「私は彼の贈り物に感動し、家に帰る途中で泣いてしまいました。これは純粋に相手への感謝の気持ちからの涙です」)。
彼らは良好でポジティブな関係を非常に重視し、そのような関係を強化するために全力を尽くそうとします。そのため、相手に対する自分の好意的な配慮は、時に誇張された形で表現されます。
SEIは周囲の人々に対して、「どのようにかかわりたいと思っているか」という点を明確に、明るく示そうとします。もし何か誤解をされた場合は、はっきり怒ります。
しかしパートナーとの関係を良好に発展させるために、SEIは「傷や不快感に囚われないこと」ことを自分に課しています。なぜなら、こうした傷や不快感はかなり深刻な倫理的問題に繋がる可能性があるからです。この手の倫理的問題を整理したり解決する場合、彼ら自身も大変な思いをすることになることがSEIにはよくわかっています。
◆◆◆
SEIの関係の倫理の側面は、最も有利な立場にあるわけではありません。したがってSEIは、パートナーとの間に前向きで対等な関係を維持するために可能な限りのことを行い、いかなる形でも問題を紛争につなげないよう気を付けています。そのためSEIは、パートナーの前向きな衝動をできるだけサポートし、また、あらゆる可能性を利用してパートナーとの関係に明確にポジティブな雰囲気と方向性を与えようとします。
SEIがこうした行動を行っていることは、彼らが無意識のうちに、双対であるILEの弱くて脆弱な倫理(Fi)を志向しているという事実によって説明されます。ILEにとって、パートナーからすぐ反応が得られるという点は、良好な人間関係のために欠かすことができない要素です。
ILEは、自分の倫理的行動 [6] に対する明確な反応が見られない場合、神経質になり始め、パートナーとの関係が本当に良好であることを確信できるまで、わざとパートナーを挑発するといった試し行動をしはじめます。
ILEは人間関係が良好か否かを見分けるのが苦手です。彼らは、目に見えてはっきり「良好である」とわかる状態でないと「人間関係がうまくいっている」と信じることができません。SEIの実証機能としてのFiは、まさに人間関係を「目に見えてはっきり良好である」とわかる状態にすることを目指しているため、ILEは相手がSEIの場合、「人間関係の良さチェック」のための試し行動をとる必要性から解放されます。
(例えば、自分の妻の気持ちがはっきりと表現されていないように感じたとあるILEは、妻が「本当の母親」になれるかどうか確認するために、息子をわざと隠して妻がどう行動するか試そうとしたことがあります)。
SEIは関係の倫理という点において、ILEを導くことができるだけのポテンシャルを持っています。
しかしSEIが暗黙裡の教育や訓練を行ってもなお、ILEが感情を率直に表現できないでいたり、不適切な振る舞いをしたり、ごっこ遊びのような儀礼的な関係をしなければいけない状態が続いてしまう場合、SEIとILEの間には何らかの非常に深刻な問題があることを意味しています。
SEIとなかなか上手くいかないと感じるILEに必要なことは、自分の関係の倫理が脆弱であることを考慮したうえで、「自分の隣には、愛と献身に満ちた友人がいる」ということを感じ、それを信じることです。
◆◆◆
大切な人の利益を守るためであれば、SEIは喜んで外交官の役割を引き受けます。
ILEをパートナーとして持つSEIは、自分のスキルを上手に使って人々との接点を築き、周囲の人々とパートナー(ILE)をごく自然に、滑らかに調和させることができます。ILEはそれに気付き、感謝してそれを享受します。SEIの前では、ILEは常に自分に自信を持つことができ、少なくとも倫理的に守られていると感じることができます。
SEIは、あえて特別なことをしなくてもILEを落ち着かせ、倫理的な問題や誤解を解決し、中立的で問題や誤解を引き起こさない話題にILEの関心を向けさせることができます。ILEに倫理的なミスがあった場合、SEIは他の人々の注意を引き、気をそらします。SEIはこういったことを、いとも簡単に、かつ自然に行うことによって、コミュニケーションや社会的接触に便利な心理的雰囲気を作り出し、ILEが安心して楽しめるようにします。
親しみやすさと善意を示すことは、SEIの求める感覚的な調和にとって欠かすことができない前提条件なのです。
訳注
- ^ SEIが精神的にネガティブになっている時は、グループ内のムードを良好にするための働きかけをしなくなる。
- ^ モデルAの第3機能を次元と言う観点から見た場合、「経験」「規範」パラメータは持つが、「状況」「時間」パラメータを持たないため。用語の意味については関連記事「機能の次元」参照。
- ^ ソシオニクスのNeは「才能」というキーワードに関連深い情報要素だと解釈されることがある。Stratiyevskaya以外だと、機能の次元を重視する学派のEglit I.Mなども、才能とNeを絡めた説明をすることが多い。
^ MBTIモドキ的な16タイプ談義でありがちな、感情タイプ(F型)に対する偏見的イメージを引きずっていると意外に感じるかもしれないが、SEIは「論理的であることを常々重視しており、論理的整合性に敏感で、論理性に欠ける発言にウンザリしたりイライラしやすく、客観的に見て論理的な思考能力に優れている人」の可能性がある。
機能の次元という観点から説明するなら、これはSEIのTiが2次元性であり、「経験」と「規範」パラメータのみを持つ故の特徴である。「状況」「時間」パラメータを持たないため、「一般的に見て正しいとされている論理の方法論」を重視し、オリジナルな意見や見解を生み出すよりも、外部の権威ある情報源や見解を参照・引用したがる。
次元とは別の観点からの考察だが、ユング二分法のうち「感情/思考(ソシオの倫理/論理)」は、発達の個人差がかなり大きいため、タイプ判定の決め手になることが最も稀だとするソシオニクス専門家(TrehovおよびTsypin)の考察もある。
- ^ ソシオニクスのSeは「意志の強さ」にかかわりが深い情報要素である。関連記事「ソシオニクスの機能の説明(by A. Augusta)」
- ^ 人間関係に影響を与えるために行われた行動。