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ソシオニクス 機能の次元

2021年5月19日水曜日

ソシオニクス タイピング指標 次元

機能の次元

ソシオニクスにおける機能の次元という考え方は、Bukalov(ブカロフ)によって1989年に提案され、1995年の論文によって広く知られるようになりました。イェルマークの「システム・ソシオニクス理論」にも取り込まれています。

この理論では、モデルAの8つの機能を「次元」によって性質付けし、高次元性機能と低次元性機能に分類しています。

概要

機能の次元の概要
分類 モデルAの位置 含まれるパラメーター 特性の概要
一次元性 第4機能
第5機能
経験 他者のアドバイスや、自分の過去の経験に依存しており、未知の状況への対応を最も不得手とします。
二次元性 第3機能
第6機能
経験、規範 ある程度の標準化された対応が可能ですが、杓子定規で柔軟性に欠けます。
三次元性 第2機能
第7機能
経験、規範、状況 その場の状況に応じた柔軟な対応が可能です。
四次元性 第1機能
第8機能
経験、規範、状況、時間 変化と発展を視野に入れた柔軟な対応が可能です。

次元ごとの説明

一次元性機能(第4、第5機能)

  1. 全ての機能は「経験」パラメータを持っています。
    • もっとも弱い一次元性機能でも、自分や他人を通して得た人生経験を元に情報処理ができます。経験が知識が豊富な場合、一般的な意味で優れた回答を行うこともあります。
  2. 一次元性は「経験」にのみ依存します。
    • 情報を吸収・処理する際に、過去の経験や学習から得た事例だけを拠り所にします。
    • 説明や理論を与えられても、それを受け入れたり消化したりすることが難しいです。
    • 自分の成功や失敗の経験を通じてしか学べません。ただし、知識としては「正しい行動」を知っていて、口頭では自信満々に「そういう状況では、私はこう行動する(知識に基づく正しい行動をする)」と語ることはあります。ここで重要なのは、実際に未知の場面に遭遇した場合どうであるかという点です。一次元性の場合、全く未経験の状況に直面すると、知っているはずの知識を活用して問題に対処することができません。
  3. 不慣れな状況では限界があります。
    • 経験の中に適切な行動パターン(テンプレート)がないと対応が難しいです。
    • その場合の行動傾向は次の通りです。
      • 精査せずに、「使えそう」だと感じた情報(過去の経験や、信頼できそうな他者から与えられた情報)に飛びつきます。
      • 一次元性機能の使用を避け、別の得意な機能で無理やり対処しようとします

関連記事:機能の次元:一次元性機能と経験パラメーター

二次元性機能(第3、第6機能)

  1. 人生経験に加え、社会的規範を吸収・適用できます。
    • 二次元性機能は「経験」と「規範」の2つのパラメータを使って情報を処理します。
  2. 「規範」とは何か?
    • 「理論」や「他者の経験」から得られる情報を指します。
    • 自分が経験していなくても、社会の慣習や集団的経験から導き出された「あるべき姿」や「標準的なやり方」を学べます。
  3. 状況に柔軟に対応しません。
    • 状況に応じて柔軟に変えることはできず、どんな場面でも典型的な解決策や標準的な方法をそのまま使おうとします
  4. 規範の役割と特徴
    • 周囲の環境や社会的に「普通」や「一般的」とされる行動様式を認識し、適用します。
    • 他者からの評価や慣習に基づき、「こうあるべき」という観点で物事を判断します。

関連記事:機能の次元:二次元性機能と規範パラメーター

三次元性機能(第2、第7機能)

  1. 経験と規範に加え、状況をナビゲートし非標準的な解決策を見つけることができます。
    • 三次元性機能は「経験」「規範」「状況」の3つのパラメータを使って情報処理を行います。
  2. 「状況」とは何か?
    • 特定の場面の微妙な違いを認識し、それに応じて適切に対応する能力です。
    • 状況固有の特性を踏まえた新しい解決策を生み出す働きが可能です。
  3. 多角的で創造的な情報処理を行います。
    • 個人の経験や社会的規範に加え、現在の状況の特殊性を考慮します。
    • 蓄積された経験や理論を創造的に活用し、現在の状況に適応させたり、別分野に応用したりできます。
  4. 未知の問題に対する対応力があります。
    • 複数の人生経験を組み合わせ、未経験の新しい問題や状況でも解決に導くことが可能です。

関連記事:機能の次元:三次元性機能と状況パラメーター

四次元性機能(第1、第8機能)

  1. 人生経験、社会規範、状況の習得に加え、時間指向があります。
    • 四次元性機能は「時間」「状況」「規範」「経験」の4つのパラメータを使って情報処理を行います。
  2. 時間を考慮した高度な情報処理能力を持っています。
    • 経験・規範・状況に加えて、時間軸で情報を処理し、未来の展開や変化を予測する力が高いです。
  3. 「時間の先取り」が可能です。
    • ある経験や状況が起こる前に、様々な偶発的な結果や可能性を見抜くことができます。
    • 時間の直観(Ni)」とは異なる概念です(後述)
  4. 全てのタイプが、それぞれ異なる「時間先取りができる分野」と「そうでない分野」を持っています。
    • 強力なNiを持つタイプ(例:ILI、IEI、LII、EII)がすべての分野で未来を見通すわけではありません。ILIやIEIは、社会全体のムードの変遷(少子高齢化に対する社会の動きが今後どう変化しそうか)をある程度確信をもって見通すことができるかもしれませんが、どの照明器具を選べば、今後自分の恋人や子供が風邪を引いたり、生活リズムが変わった時にも、最大限快適に過ごすことができるか(Si)を、何の参考資料も事前知識もなしに自信をもって予想するのは難しいでしょう。
    • Niは一次元性のタイプ(例:ESE、LSE、SEE、SLE)でも、四次元性のFeやSeを通して時間の先取りを行っています。例えば、職場内でどう立ち回れば迅速に権力を掌握でき、敵対者を黙らせることができるかを本能的にかぎ取る力(Se)という点では、SEEやSLEが秀でています。
  5. 多様な状況を複合的に時間軸で理解します。
    • 時間をかけて様々な状況を複合化し、個人の理解の主要な基盤となります。
    • 一般的でグローバルなレベルの理解を導き出すことが可能ですが、その全体像を他者に伝えるのは難しいです。
    • 原理的に、全く新しいものを生み出す能力も持っています。

関連記事:機能の次元:四次元性機能と時間パラメーター

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