本記事では、ソシオニオクスの機能の次元における三次元性機能と状況パラメーターについて解説します。
高次元性機能と低次元性機能
ソシオニクスにおける高次元性機能とは、三次元性機能と四次元性機能を指します。これに対して低次元性機能は、一次元性機能と二次元性機能のことです。この区分はモデルAにおける二分法「強い/弱い」と同じ意味合いを持ちます。
| 次元の種類 | 対応する機能番号 | 分類(高次元性/低次元性) | モデルAの二分法 |
|---|---|---|---|
| 一次元性 | 第4, 5機能 | 低次元性機能 | 弱い |
| 二次元性 | 第3, 6機能 | 低次元性機能 | 弱い |
| 三次元性 | 第2, 7機能 | 高次元性機能 | 強い |
| 四次元性 | 第1, 8機能 | 高次元性機能 | 強い |
二次元性機能とは?
定義と特徴
二次元性機能(第3機能、第6機能)は「経験」と「規範」という二つのパラメータを持ち、過去の体験や学び(経験)と、社会的・文化的ルールや常識(規範)を基に情報を処理します。
三次元性機能(第2機能、第7機能)はこれらに加えて「状況」パラメータも持ちます。状況パラメータにより、その場の特殊性や条件を踏まえて柔軟に判断を変えることが可能です。
パラメータ構成
- 経験:過去の出来事や学びを記憶し、現在や未来の判断に活かす力。
- 規範:社会的・文化的ルールや常識を理解し、行動基準にできる力。
- 状況:その場の条件や文脈に合わせて規範や方針を柔軟に変える力です。これを持たない一次元性・二次元性機能は、経験や学習がない分野でこの柔軟さが不足します。
特徴の違い
| 項目 | 二次元性機能 | 三次元性機能 |
|---|---|---|
| 持つパラメータ | 経験+規範 | 経験+規範+状況 |
| 柔軟性 | 既存の規範や過去事例に基づいて対応するが、予想外の条件変化には弱い | 規範を理解した上で必要に応じて逸脱・調整が可能 |
| 判断基準 | 経験と規範の二つの視点から評価 | 経験・規範に加え、その場の条件や文脈も加味して評価 |
活用例
- 二次元性:複数の過去事例を比較し、より適切な行動を選択する/新しい状況でも既存ルールを応用。
- 三次元性:規範を守るべき場面では従い、例外的状況では逸脱して最適な結果を目指す。
状況パラメーターの典型的な表れ
以下は状況パラメーターの典型的な表れ方の一例です。
- 規則を軽視するということではなく、状況に応じて最適な対応を選べる柔軟性を持っている。例えば、職場では挨拶をすべきという規範を理解し、基本的にはそれに従っていても、相手の状況によってはあえて挨拶をしないという選択を取る。
- グラデーションのある判断基準を示す。例えば「真と偽という概念は、明確に二分できるものだと思いますか?」と質問された場合、「同じ命題でも、評価の観点や前提条件によって論理的な結論は変わるため、必ずしもそうとは言えないと考えます。例えば、ソシオニクスの原典に『〇タイプにはAという特徴がある』と書かれているとして、『〇タイプにはAという特徴がある』という命題は、文献上の事実確認という観点では真だといえます。しかし、その特徴が本当に〇タイプの典型的特徴だといえるかという心理学的・統計的観点からは、真とも偽とも断定できない場合があります」という回答をする。
誤判定しやすいポイント
- 経験豊富さや、学習経験の豊かさゆえの反応を、三次元性(あるいは高次元性)と混同してしまうケースがある。例え低次元性機能であっても、長年の反復で慣れや知識を得ていると、まるで高次元性機能のように高度な処理を行っているように見えることがある。特に普段の様子をほとんど知らない人同士で、口頭だけでタイピングが行われる場合、実際には低次元性機能であっても、まるで高次元性機能が出力したような回答が飛び交ってしまい、正確に判断できないことがありえる。関連記事:一次元性機能と経験パラメーター
- 三次元性の柔軟性を「規範意識が薄い」と誤解し、「規範パラメーターが欠如している」、すなわち「一次元性機能」の第4機能か第5機能だと誤判定してしまうことがある。
- 状況パラメーターによる判断調整を、優柔不断や一貫性の欠如と誤解して、低次元性機能だと誤判定してしまうことがある。
