本記事では、ソシオニオクスの機能の次元における一次元性機能と経験パラメーターについて解説します。
一次元性機能とは?
一次元性機能は、情報を比較・評価するための「外部基準」を持たず、経験だけを頼りに判断します。そのため、社会的・一般的な規範に従うことや、別の基準へ柔軟に切り替えることが苦手です。
定義と特徴
モデルAにおいて、「1次元性機能」は第4機能と第5機能が該当し、持つパラメーターは後述する「経験」パラメーターのみです。この機能は個人的な経験に基づいて情報を判断・処理する力に限定され、それ以外の規範・状況・時間といった視点は持ちません。
「規範」パラメーターの有無について
たとえ表面的には規範について語れるとしても、経験の浅い状況下で、実際に知識としては知っている規範に従った行動ができなかったり、行動の正当化に規範を用いることができなければ、規範パラメーターを持っているとはみなせません。一次元機能では、そうした応用が難しいです。
一次元機能は「自分の経験だけが頼り」の機能です。他人の基準やルール、状況の変化、未来への想像にはあまり頼らず、自分の過去の経験や記憶だけで判断しがちです。
典型的な表れ方
下記は一次元性機能の典型的な表れ方の例です。
- 自分の能力や判断に自信を持てず、疑問視されると強い感情的反応(特に不安に基づく反応)を見せることがある。過度に自信がない、あるいは過度に自信があるよう振舞ったり、それまで自信満々だったのに、突然自信を失って他者に依存するようになるなど、感情的な波がある。
- 自分の判断と異なる判断を目にすると不安になり、それまでの自分の判断を完全に捨てて、異なる判断を鵜呑みにしてしまったり、その逆に異なる判断を言った人が、まるで自分を攻撃しているように感じてしまったりする。
- マニュアルを知っていて、それについて適切に語ることは出来ても、未経験の状況に直面した時には、そのマニュアルを適切に利用できない。(これは一見すると「規範パラメーター」の表れに見えますが、未経験の状況で、知識=規範だけ知っているという状況で、その知識を活用できていないため、規範パラメーターが欠けている可能性があると評価できます)
- 社会の一般的な評価ではなく、自分独自の基準で評価してしまう。例えば、スポーツの練習方法として効果的だと広く知られていて、実証されてもいる方法があっても、それを無視して自分の体験に基づく練習方法を採用するなど。「なぜチャレンジが上手くいったのだと思いますか?」と聞かれた時に、具体的にどの方法論がどのような点で優れていたからという説明をする代わりに「頑張ったからです」といった返答をすることもある(評価基準が主観的な努力量になっている)。
- 情報の収集の仕方にムラがある。また、大量の情報を持っていても、実体験としてそれらの情報を個々に活用する経験を積まない限り、なかなかうまく活用できない。
経験パラメーターとは?
定義と役割
「経験」パラメーターは、第1機能から第8機能までのすべての機能が持つ基本的な情報処理パラメーターです。個人的な経験を通じてパターンを認識し、一般化する能力にあたります。「一次元性機能」ではこの経験だけが頼りになりますが、上位の機能では他のパラメーターと組み合わされて機能します。
経験パラメーターとは、「個人的な経験にもとづいて情報を認識・判断する性質」です。外部の規範やルールに依存せず、「自分が実際に体験したこと」だけを根拠にします。
典型的な表れ方
下記は経験パラメーターの典型的な表れ方の例です。
注意点として、下記の特徴は全ての機能に見られるものです。一次元性の第4機能や第5機能だけでなく、四次元性の第1機能など他の全ての機能が下記のような特徴を見せることもありえます。
- 未知の状況で咄嗟に判断を下す際に、自分の過去の経験をもとに判断する。
- 「そのやり方じゃうまくいかないよ」と指摘されても、実際に自分で試してみたがる。
- 「こういう問題があった時、あなたはどうしますか?」と尋ねられて、「Aである場合は、Bという対応をします」「Cである場合、Dという対応をします」と答えること自体はあっても、実際には「過去にそうすべきと読んだ・聞いた情報」をそのまま答えているだけであったり、過去の自分の体験談を羅列しているだけに終始している。(このケースは、一見すると状況ごとに柔軟な対応をしているように見えるため、「状況パラメーター」の表われであると誤解しやすいので注意が必要)。
まとめ
一次元性機能(第4, 第5機能):個人的な経験のみに頼り、外部のルールや状況、将来への視点が欠けています。
経験パラメーター:全機能が持つ最も基本的なパラメーター。直感的・主観的な判断や学びの源。外部との比較や応用を伴わない判断の核となります。