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機能の次元とは
ソシオニクスにおいて「次元」とは、「強い機能」と「弱い機能」の違いの原因になる要素である。
全ての機能は、4種類のパラメータ「経験」「規範」「状況」「時間」の一部・または全部を持っているとされており、各機能はこのパラメータを考慮して情報を処理する。
次元 | 機能の位置 | パラメータ |
---|---|---|
4次元性 | 1, 8 | 経験, 規範, 状況, 時間 |
3次元性 | 2, 7 | 経験, 規範, 状況 |
2次元性 | 3, 6 | 経験, 規範 |
1次元性 | 4, 5 | 経験 |
各機能は以下のパラメータを持つとされる。1次元性の機能は「経験」パラメータだけを持つ。
また「経験」パラメータは全ての機能が持っている。
次元と言う考え方は、タイピングをする際に非常に重要になる要素である。
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1次元性機能とは
モデルAの第4機能(脆弱機能)と、第5機能(暗示機能)のことである。
この2つの機能は、唯一「経験」パラメータだけに依存して情報処理を行っている。
経験とは何か
次元パラメータの「経験」とは「個人的な経験」である。
「個人的な経験」というのは、「私はこう理解する、私はこう感じる、私はこう感じる」ということである。つまり、個人的な理解・五感による知覚・個人的な内的な評価のみに基づいて情報を処理することになる。
この個人的な感覚・感情は、本質的に人にそのままの情報を伝達することが出来ないものである。
例えば、青色の絵の具を見たとして、自分の目に映った視覚情報を他人にそのまま伝達することは出来ない(「青色」という言葉に変換して伝えることは出来るが、実際に自分の目にうつる画像を伝達することは出来ない)。「経験のみを考慮する」1次元性機能の情報処理は、ちょうどこれに似ている。1次元性機能の情報処理は、しばしば他人からすると奇妙に見えるという特徴がある。
自分の1次元性機能は、客観的な形で(自分を外から見るように客観視して)評価することは出来ない。
1次元性機能の特徴
白黒的な評価
また、蓄積された個人的な経験を評価する際、「好きか/嫌いか」「快か/不快か」といった、雑な白黒的評価以上の正確な評価を下せない(評価にグラデーションがない)。
例えばFi(関係性の倫理)が1次元性の場合、「友達」と「友達ではない」という評価はできても、その中間が欠落していることがある。しかも現実の人間関係を評価しようとしても、この単純な評価では的確に説明することが出来ず、「この人は自分にとってどういう人か」「AさんとBさんはどういう関係か」と評価すること自体を諦めてしまうこともある。
1次元性機能の苦悩
1次元性機能には苦手意識を明確に感じていることが多い。頭の中の知識として、一般的に「こうするべき」だとわかっていてもできないという意識があったり、真新しい状況に直面すると途端にうまくいかなくなるのを自覚していることが多い。
しかしながら「個人的な経験」に依存している機能であるが故に、客観的にどれだけ正当性を示されても「相手の言い分のほうが正しい」と実感することができず、自分の奇妙な1次元性機能の働きに逆らえないような面もある。
◆◆◆
人間社会は、ありとあらゆること、例えば「ものの数え方」といった「論理」から、「道徳や倫理的規範、コミュニケーションや行動の仕方」などに至るまで、一定の「合意」や「暗黙の了解」で成り立っている。
しかしながら、学習経験の薄い1次元性機能が機能する場合、みんながごく自然に「メートル」という単位を使って会話している中で、一人だけどうしても「『メートル』の意味が理解できず、感覚として受け入れることもできず、腑に落とすこともできずに」、オリジナルの単位を勝手に作って会話に参加しようとしているような状態になる。
「みんな分かっている・出来るのに、自分だけが分かっていない・出来ない」
という苦しみが1次元性機能には存在する。
こうした周囲とのギャップのせいで、1次元性機能については「バカだ」「注意力が足りない」「腕白すぎる」「怠け者」「非論理的だ」「非倫理的だ」「行儀が悪い」「無礼だ」「平凡だ」「だらしがない」などと子供の頃から非難されることになる。
1次元性機能は「きわめて個人的な感覚。感情」に基づいて情報を処理しているというのは先ほど説明した通りだが、それ故に1次元性機能の反応を批判された際に
「なぜ自分は非難されているのか分からない」
「自分は真理を知っている。正しいやり方を知っているのに」
と「自分は不当な批判をされている」と感じてしまうことも多い。
「規範」パラメータを持つ2次元性機能、3次元性機能、4次元性機能は、外部からの批判が正当なものだと判断できた場合、自分のネガティブな反応を修正する(少なくとも「外部の批判は無視しよう」という結論に達したとしても「全く持って的外れな批判だ」だと心の底から納得して無視することは出来ない)。
それに対して1次元性機能は違う反応を見せる。
本当に「なぜ自分がこんな評価をされるのか」が、どうしても腑に落とすことができないのである。
◆◆◆
また、親切な誰かから「もっと他に良いやり方がある」と教えられて、目の前で実演されたとしても、どうしても心の底から納得することは出来ない(少なくとも自分で実際にやってみて、個人的な経験として体験しないと納得できない)。
これは、不安定な足場に立っている時に、「頑丈だけど透明で、目に見えない足場」の存在を教えてもらっても、なかなかその言葉を信じて「何も無さそうな」虚空へ足を一歩踏み出せずに、不安定な足場にしがみ続けている状態と似ている。外からのアドバイスは聞こえず、パニック状態で陥って、自分の絶望の悲鳴しか聞こえなくなってしまうのである。
ごく稀に、本人が意識的に努力して人のアドバイスを聞こうとしており、なおかつ強い信頼に値する誰かがアドバイスをくれた場合にだけ、透明な足場に向けて一歩足を踏み出すことはある。とはいえ、ほとんどの場合、周囲の人にできることは何もない。ただ不安定な足場にしがみついている様子を見守るしかない。
1次元性機能の反応の特徴
この反応は、その時々で強い場合もあれば弱い場合もある。
- 脅威のないところに脅威を見出してしまう。
- 自分の不適切な反応を誘引する原因になった誰かの行動に対して、他者からすると全くもって信じられないような理由や目的を妄想して、こじつけてしまう。
- パラノイア的な反応(周囲がみんな敵に見える、みんな偽りに見える)
- 自分自身の反応を適切に評価することが出来ない(自分を外から見るように客観視できない)
- 実際に起こりうる脅威からすると、的外れな「対策」しか取れない。
- (第4機能について)行動の原動力が「恐怖」一色。恐怖が行き過ぎて、無力感に苛まれ、無感覚になることもある(恐怖を感じさせる物事から目を背けるよう学習する)(第5機能は「恐怖」ではなく「憧れ」が原動力になることもある)。
1次元性機能の利点
冒頭で1次元性機能は「弱い・劣った」機能だと言ったが、次元理論を発展させたイェルマークは、この「弱い・劣った」という表現は正確ではないという考え方もある。
1次元性機能のうち、第5機能は暗示機能とも呼ばれているが、これは無意識的なブロックであるバイタルブロックに含まれる機能でもある。
第5機能(暗示機能)は「私に関係するものか/私とは無関係なものか」という基準(つまり敏感で、かつ人それぞれ独特の基準)で情報を区別しているが、この区別の根拠となる「経験」は、未加工の状態、そのままの形で保存され、蓄積されているものだとしている。
イェルマークは、この「未加工の状態で保存する」ことを可能しているのが、「1次元性」という性質と「バイタルブロック」という性質であり、そのおかげ(*1)で人は自分個人が必要としている情報だけを的確に拾い出すことが出来るのだと説明している。
(*1)「規範」パラメータがある機能(第4,5以外の全ての機能)の場合、「規範」によって受け入れる情報をゆがめたり、シャットアウトしてしまうことがある。また、無意識的なバイタルブロックの機能(第5,6,7,8機能)ではなく、意識的なメンタルブロックの機能(第1,2,3,4)である場合、「意識」によって同じく情報をゆがめたり、シャットアウトしてしまうことがある。
タイピングの注意点
他の次元の機能との見分け
1次元性機能と「規範」パラメータを持つ2次元以上の機能の見分け
1次元性機能では、「一般的に見てどうか」ということは考慮されない(この情報を処理をするためには、「規範」パラメータが必要になる)。
ただしタイピングの際にミスタイプする原因として、1次元性機能でも以下は可能であるという点の考慮漏れがある。
- タイピングされる人間は、知識としては「模範解答(行動、反応、評価、意見の規範)」や「一般的に受け入れられているルール」を知っていて、その知識に基づいた発言もできるという点を留意しておく必要がある
- 1次元性機能であっても「規範的な行動をとろう」とする意識自体が必ず欠如しているというわけではない。
- 学習によって「規範を考慮に入れた」場合と同じ情報処理を行うことがある
例えばタイピングの際、タイプ判定者が「あなたの恋人が何か悩みを抱えているようです。あなたはどうしますか」と質問したとする。
するとタイピングされる側が、「一般論として、こうすべき」という情報を思い出して「相手の言葉を遮らずに、黙って話を聞きます」と答えることがある。
しかし現実でこういう状況に直面した際は、よほど似たような経験を積んでいるでもない限り、その模範解答通りの行動をとることはできない(= 1次元性の特徴)という場合がある。
1次元性機能と3次元性機能、4次元性機能の見分け
1次元性機能も3次元性機能(第2機能、第7機能)・4次元性機能(第1機能、第8機能)も「規範」から逸脱はすることはある。しかしながら、両者は逸脱の仕方が異なっている。
1次元性機能には経験パラメータしか存在しないため、何らかの行動を起こす際に、ベンチマーク(=規範)と比較する術を持っていない。つまり、後天的な経験や、個人的な感覚に依存している。「やってみたら上手くいった」という経験を蓄積していくことはあるが、1次元性機能による規範からの逸脱は、未経験ゆえの想定外の逸脱と、過去の経験を踏まえた逸脱のどちらかになる。
一方、3次元性機能や4次元性機能には状況、規範、経験という3つのパラメーターが存在する。規範パラメータを持つ3次元性機能が規範から逸脱する場合、「状況を鑑みた結果、あえて規範を無視すべきだ」と考えた上で逸脱する。
第4機能と第5機能の見分け
共通点
- どちらも1次元性の機能である。
- どちらも他人から見た場合、状況に対して不適切な反応をするため、見分けが困難。
見分けのポイント
第4機能はメンタルブロック(第1~第4機能側のブロック)にあり、第5機能はバイタルブロック(第5~第8機能側のブロック)にあることに着目すると判別しやすい。 ブロックが違うため、実行するタスクが異なっている。
第4機能(脆弱機能・痛みを伴う機能)の特徴
- メンタルブロック、超自我ブロックに含まれる。
- 第3機能とブロック化されているため、人は第3機能の「提案」によって、第4機能の側面に関する情報を意識的に処理する(規範意識だけはあるが、思い通りには上手くいかない状態)。
- 経験に基づいて「トラブルを回避」しようとする。
- 他人からの否定的な評価は、痛みを伴う反応を引き起こす(ただしこれは第4機能のみの特徴ではなく、第5機能への批判的な反応も、苦痛であることがある)。
- 第4機能に従って行動しなければならないことが多い場合、かなりストレスになる。
◆◆◆
第5機能(暗示機能)の特徴
第5機能(暗示機能)によってもたらされる情報によって生じる反応
- 面白くて魅力的で印象的に感じる。
- そこから未来の可能性が開かれているように感じられる。
- 経験上、自分にはとてもじゃないが同じように上手くはやれないと思い知っている。
- 憧れを抱いて、自分も同じように出来るようになりたいと感じる。どうやったら同じように出来るのかを知りたくなる。
- 情報の流入をシャットアウトする。
- 執拗に情報が繰り返された場合、不快さを感じる。
また、第5機能はバイタルブロック(第5,6,7,8機能)にあるため、バイタル機能共通の特徴として、以下の特徴を持っている。
- まず反応する
- 認識する
- 状況ごとに異なる規範を理解する(規範・状況パラメータを持つ場合)
- 対象のアスペクト(側面に)に上記3の理解を反映する
第5機能(個人的経験)はバイタルブロックに含まれる超イドブロックにあるため、情報処理は無意識のうちに「オートで」行われる。多くの場合、実際の情報処理が行われた後になってから初めて、自分の反応に気づくことになる(ただし強いストレスに晒された場合、第4機能も「不適切な反応」を爆発させてしまうことがある)。
規範の言及と規範パラメータの有無
1次元性機能であっても、規範の存在を知っていて、知識として規範について語ることができるという点には注意が必要である。つまり、規範的な内容を語ったからといって、それだけでは規範パラメータがあることの根拠にはならない。
規範パラメーターを持つ機能と、1次元性機能の違いは、人がこれらの規範にどのように関わり、規範を適用する必要性をどのように正当化するかという点にある。
規範パラメーターを持つ機能(特にメンタルの第3機能)は、単に規範を参照するだけでなく、絶えずそれらを適用し、権威や慣習に言及する。
そしてこれらの規範に従い、一般的に受け入れられた範囲を超えないようにして、「正しい」ことを追求する性質がある。
一方、1次元性機能の場合、実際に規範に従った行動をとったり、行動の正確性を評価することが難しいという違いがある。
また、一見すると規範に従った行動を取っているように見える場合であっても、詳しく掘り下げると、以前自分で試してみたら成功したからという「経験」に基づくものであるというパターンもある。そして、この一見すると規範的にも見える「経験」は、「正しさ」ではなく「快・不快(好き・嫌い)」の観点から語られるという性質がある。
具体例の紹介
1次元性のTiの例
SEE・第4機能Tiの場合
Q:以下の単語を分類してください。
A:とあるSEE(1次元性のTiユーザー)の回答
仕事:電話、紙、技術、特許
ライフ:サンダル、医者
SEE「私にとって、音楽と歌は『自然』に含まれる言葉です。なぜなら私の町では、休日に歌や音楽、踊りを楽しむ場所といえば自然の中だからです」
◆◆◆
⇒ 単語の分類(Ti)の際、個人的な経験による分類が見られる。その結果、他の人から見ると「奇妙な」分類の仕方をしている。 一般的な分類からの逸脱がある(規範パラメータの欠如)
EIE・第5機能Tiの場合
Q:「論理的であること」についてどう思いますか?あなたにとっての「論理的」と、世間一般的な「論理的」の意味は一致しますか?
A:EIE「どうでしょう。論理に対する考え方って人それぞれだと思うんですよね。これ、よくあることなんですが、私の心の中の解決策に対して、明らかに非論理的で汚らしいもので正当化しようとしてくる人っているんですよ。以前はそのまま誘導されていましたが、今ではそれはなくなりましたね。いくら形式論理に精通した人であっても、自分のやっていることを自分で理解していないことが多いんだということに気づいてしまったからです」
◆◆◆
⇒ 論理(Ti)に対する考え方が個人的な経験に依存している点、「なぜ自分が他の人たちからこんな不当な評価をされるのか」、どうしても納得できていない点が観察できる。
1次元性のTeの例
IEI・第4機能Teの場合
Q:自分の成果物の出来映えを自己評価できますか?
A: IEI「出来るか、出来ないかというと『出来る』ものの、どうしても主観的な評価にはなってしまいます。客観的評価は難しいです」
◆◆◆
⇒ 自分の1次元性機能は、客観的に(自分を外から見るように客観視して)評価することは出来ない。
EII・第5機能Teの場合
EII「誰も私のことを『実用的』だとは言いません。私と実用性という言葉は全く反対の言葉のように感じます。よく実用的ではないことを人から非難されますが、これが非常に苦しい時があります」
◆◆◆
⇒ 第4機能と紛らわしい(おそらくこれ単独ではタイプ判定の根拠にはならない。第4機能も「規範を守ろう」とする意識があり、おそらく現代の多くの社会では、「実用的であること」が「規範的な在り方」だとされるため)が、少なくとも、暗示機能であることが明らかな場合、この発言には下記のような背景があることはわかる。
- 「私に関係するものか/私とは無関係なものか」という基準が「私に関係するもの」だと判定された情報である。
- 経験上、自分にはとてもじゃないが同じように上手くはやれないと思い知っている。
- 憧れを抱いて、自分も同じように出来るようになりたいと感じる。どうやったら同じように出来るのかを知りたくなる(だからこそ批判が苦痛になる)。
1次元性のFiの例
SLE・第4機能Fiの場合
SLE「『人にどうやって共感を示したらいいのか分からない』という問題をはっきり意識しています。他人の泣き言を黙って聞き続けるなんて私には無理です。『グダグダ言ってないで、さっさと手を動かして、やるべきことをやれよ』と言いたくて仕方なくなってくるんです」
◆◆◆
⇒ 自分の1次元性機能に対して明確な苦手意識を持っている点が観察できる。
LSE・第5機能Fiの場合
LSE「他の人にあいさつをしたり、他の人から『こんにちは』と言われたときに笑顔でこたえることはできるが(今までに何度もやったことがあるので)、自分が『こんにちは』とあいさつした時に、他の人があいさつを返してくれなかった場合、どう行動すべきかわからず途方に暮れてしまい、規範的とはいいがたい行動(例えば憤慨したり、次の日には逆に自分から無視してみたりするような行動)をとってしまうことがあります」
◆◆◆
⇒ 倫理(Fi)に対する規範意識(どうするべきか)はあるが、未知の状況に直面すると途端に規範通りの行動(または関係性の倫理Fiという観点から見て適切な行動)が取れなくなってしまっていることがわかる。
1次元性のFeの例
SLI・第4機能Feの場合①
SLI「『なんで自分はこんなに悲しい思いをしているか』と涙ながらに語っているような人と接する際、誤解されてしまうことが多いです。というのも、泣いてはいるものの、他人の助けが必要な状況に陥っているわけではない場合、『ええと、それで結局あなたはどうしたいんですか?私に何をしてほしいんですか?』ということ以外、何も私の頭に思い浮かばないからです。しかもどうやら、それがそのまま顔に出てしまっているらしく、そのせいで相手の期待を裏切ってしまい、怒らせてしまうことがあります」
◆◆◆
⇒ 感情の倫理(Fe)の側面に対する不適切な反応が観察できる。また、Feを使用せざるを得ない状況に、強いストレスを感じていることも観察できる。
SLI・第4機能Feの場合②
SLI「ネガティブな感情を、どうやってスマートに表現したらいいかサッパリわからないんです。そういった感情表現自体が野蛮に見えてしまいます。もしネガティブな感情を表現しなければならないという状況に陥った場合、自分を自分でコントロールできなくなってしまいます。急に爆発したり、とんでもない中傷を言ってしまったりするんです」
◆◆◆
⇒ 感情の倫理(Fe)に対する苦手意識が見られる。1次元性機能に負荷がかかりすぎた場合、不十分な反応しかできなくなってしまう。また、しばらくの間、機能の働きを制御できなくなることがあるが、その特徴も見られる。
この機能の制御不能状態は、バイタル機能の反応に似ているものの、強いストレスがかかっている状況ではメンタルブロックの1次元性機能(第4機能)も同様に制御不能状態に陥ってしまうことがあるのでタイピングの際は注意が必要になる。
1次元性のSiの例
ILE・第5機能Siの場合
ILE「知識としては『黒色にはどんな色が似合うか』『タイツが似合わない人はどういう体型の人か』というのは知っているんです。でも実際に服を選ぶときに、その知識が役立つことはほとんどありません。また、知識の応用ができないので、状況が変わると途端に上手くいかなくなってしまいます。例えば気温や天気に合わない服装をしてしまうこともあります」
◆◆◆
⇒ 感覚(Si)に対する規範意識(どうするべきか)はあるが、それを適切に活用できない。
1次元性のSeの例
EII・第4機能Seの場合
EII「人間関係には、時として他人を威圧したり、煽ったりといった強引な接し方をすべき状況があるということは分かります。また、社会一般的に見てそうする必要がある時に強い態度に出ても、人間関係が壊れたり反発されたりすることはほとんどないというのも分かるんです。それが頭ではわかっていても、いざその時が来ると『いや、こんなこと言って人間関係が悪化したらどうしよう』『自分がそこまでやっていいんだろうか』とどうしても思ってしまって強い態度に出ることが出来なくなってしまいます。そして、そのせいで自分の利益を守りきることができないんです」
◆◆◆
⇒ 意志の感覚(Se)に対する規範意識(どうするべきか)はあるが、それを適切に活用できない。
IEI・第5機能Seの場合
IEI「力強い人には興味を掻き立てられてしまいます。強い人を見るといつも面白い人だと感じます。『強い人』とはどんな人なのか、うまく説明はできないのですが、ただ内なる強さを持っていることは確かです。強い人の性格や、どうやって強さを発揮しているのかを観察すると楽しいですし、なぜ彼らは強いのかを考えるのも楽しいです。強い人と話すのも面白いです。単純に面白いですし、新しい魅力的なことをたくさん学べるからです。私は強い人の視点に興味があります。私は自分自身が弱い人間だと信じています。だから、強くなる方法を彼らから学びたいのです。ついでにいうと、強い人のそばにいれば、何か問題が起こったときに守ってもらうこともできます」
◆◆◆
⇒ 第5機能(暗示機能)の側面の情報のうち、「私に関係するものか/私とは無関係なものか」が「私に関係するもの」だと判定された場合のポジティブな反応が観察できる。
1次元性のNiの例
LSE・第4機能Niの場合
LSE「夫と私は同じ会社に勤めているので、一緒に出勤しています。私は歩いて行くことが多いのですが、夫は朝、少し長く寝て、バスで行くことを好みます。バス停は家の近くにあり、このバスはいつも時刻通りに到着します。夫と一緒にバスで出勤する場合、いつも私が先に家を出てバス停で夫とバスが来るのを待っています。夫は私の後から、バスに乗り遅れない程度の時間に家を出てバス停にやってきます。夫は『急がなくても大丈夫、間に合うよ』と言うのですが、私はどうしても早く家を出ないと不安になってしまうのです。別に夫の言うことを信じていないわけではないのです。夫は仕事に遅刻したことなど一度もありません」
◆◆◆
⇒ 時間の直観(Ni)の側面について、脅威のないところに脅威を見出してしまっている点や、他者の適切なアドバイスを受け入れられず、自分の不適切な機能の働きに縛られている点が観察できる。
SLE・第5機能Niの場合
SLE「重要なイベントが起こるのを待つのは簡単ですか?それがいつ生じるか予想できない場合も簡単ですか?私には不安です。もしそういう危険性があるときは、ずっとそれについて考え続けてしまいます。また、いつ重要なイベントが起きるか自体はわかっていても、その結果が予想できない場合も苦痛です。特に自分にとってネガティブな結果になる可能性が非常に高い場合はそうです。今現在の私は、まさにこういう状況にいます。どうにかしてイベントのことを忘れたり、何か好転できるようなことをしたいとは思いますが、どうにもなりません。こういう時、私は全てが終わるまで、どうしても落ち着くことができなくなってしまいます」
◆◆◆
⇒ 上述のEII(第5機能Te)の場合と同様のパターン。第4機能と紛らわしい。必ずしも第5機能が面白さ・興味深さに満ちたものではないということの表れである。
1次元性のNeの例
SEI・第5機能Neの場合
SEI「事前に何かを予測したり、計算するのが苦手です。前回と違う問題だと迷ってしまいますし、考えているうちに意識が別のどこか行ってしまうので、集中して取り組むこともできません。ところで、私には友人がいます。彼はよく政治について『こうすればもっと良くなる』と予測しています。私自身は政治に疎いので、正直こういう話はあまり面白くはないのですが、それでも『世の中には、政治家の誰が、何を、どうすれば社会をより良くすることができるのか、正しく見抜いている人がいる』という事実には深く感動してしまいます」
◆◆◆
⇒ 第5機能(暗示機能)の側面の情報のうち、「私に関係するものか/私とは無関係なものか」が「私に関係するもの」だと判定された場合のポジティブな反応が観察できる。
SLI・第5機能Neの場合
SLI「私は昔から、『人がお互いを評価し、意見を言う心理ゲーム』が大好きでした。不謹慎に思われるかもしれませんが、『ある人が別の誰かのことをどう見ているのか』知りたくて、好奇心を抑えられないのです。また、人から面白いこと、楽しいこと、得することを教えてもらうと、すぐ乗ってしまいます。昔から私は、友人や知人からそういう『宣伝』をされると、すぐに『乗せられてしまう』ほうです」
◆◆◆
⇒ 第5機能(暗示機能)の側面の情報のうち、「私に関係するものか/私とは無関係なものか」が「私に関係するもの」だと判定された場合のポジティブな反応が観察できる。