はじめに
ソシオニクスでは、タイプ自体の二分法(例えばILEが外向的、直観的、論理的、非合理的であるとする二分法)以外に、モデルAの機能自体にも二分法があります。本記事ではモデルA機能二分法のひとつ、評価と状況について解説します。
評価 / 状況
評価(第1機能、第4機能、第5機能、第8機能)
評価機能は、人の精神の最も強い機能(第1機能と第8機能;4次元性機能)と、最も弱い機能(第4機能と第5機能;1次元性機能)です。これらの機能に関係する領域については、強力な判断が下されます。
メンタルリングの不活性機能と、バイタルリングの接触機能でもあります。この機能を通して、人は人を評価し(メンタル・不活性)、人から評価されることを期待します(バイタル・接触)。この評価結果はあまり変化しません。
「評価」x「受容」:第1機能と第5機能
機能二分法が「受容」である評価機能、つまり第1機能と第5機能は個人にとって重要な価値がある存在です(第1機能と第5機能は、機能二分法では「尊重」にも分類される機能です)。その人の人格の中心を構成するものであるため、ここで行われる評価は真剣に受け止められます。
第1機能には評価と決定の中核があり、完全に不活性なままです。
また、補完的な第5機能で受け入れられた情報にも個人的な評価が行われます。第5機能の弱さにも関わらず、人はそれに価値を感じており、環境との接触を図りながら、成長しようと努めます。
「評価」x「生成」:第4機能と第8機能
機能二分法が「生成」である評価機能、つまり第4機能と第8機能は抑制されています。
これらの機能(第4機能、第8機能)で評価が生成されるのは、情報が二分法「尊重」x「受容」機能(第1機能、第5機能)によって処理できず、その代わりに二分法「控え目」x「受容」機能(第3機能、第7機能)によって処理される場合に限ります。
この領域(第4機能、第8機能)で生成された情報は抑制されているため、ここでの評価は否定的になりやすいですが、それにもかかわらずその評価が変わることはほとんどありません。これは第4機能に特に良く当てはまります。
第8機能の評価は、第2機能に賛同する形で生成されます。たとえ第8機能の領域が非常に洗練されていたとしても、人はあまり自分の第8機能で生成された評価を真剣に受け止めない傾向があります。
状況(第2機能、第3機能、第6機能、第7機能)
メンタルリングの接触機能とバイタルリングの不活性機能でもあります。これらの機能は、評価機能とは逆に、状況に柔軟に適応することを目指し、他者に対しては評価を控え、その代わりに具体的な行動に対してのみ評価を行うようにする機能です。
状況機能にはケースバイケースでアクセスされるため、これらの領域での決定や判断には、多かれ少なかれ一定の傾向があります。
「状況」x「受容」:第3機能と第7機能
機能二分法では「状況」「受容」「控え目」となる機能であり、普段は抑制されています。通常、二分法「尊重」x「受容」機能(第1機能、第5機能)によって自信を持って評価できない場合に限って、これらの機能が情報を受容します。
第3機能では、情報は意識的に受け入れられますが、第3機能の情報要素は、本質的に第1機能の情報要素に対抗する情報 [1]であるため、第3機能は抑制されてもいます。
第3機能は二分法「接触」となる機能でもあるため、個人にとってはある程度重要であると見なされていますが、決して強調されているわけではありません。
第7機能についていえば、人はこの分野の情報の取り扱いには長けていますが、通常は第1機能が優先され、第7機能は無視されてしまいます [2]。第7機能では、状況に応じてさらなる情報の受け入れが行われます。
通常、第7機能の情報は無視されることが多く、その代わりに、その人の第5機能による情報の受け入れが行われます。
「状況」x「生成」:第2機能と第6機能
機能二分法が「生成」である状況機能(第2機能と第6機能)は、評価機能によって受け入れられた情報だけを生成します。
第2機能は二分法「強い」x「尊重」機能でもあります。人は自分の自我を他者から認識してもらうために、第2機能で生み出した情報を環境と接触させる必要があります。ただし、新しい情報は、第1機能が情報を受け入れることができる状況でのみ生成されます。
第6機能は二分法「不活性」x「弱い」x「バイタル」x「尊重」機能です。そのためここで生み出された情報はあまり意識的に理解されませんが、それでも第6機能の情報は、第2機能の原動力として作用します。
この評価と状況という二分法を理解することは、モデルAの情報代謝経路を理解する上で必要不可欠です。