精神的エネルギータイプ(TPE)とは
連想モデル独自のタイプ。自我、イド、超自我、超イドの4タイプあり、フロイトの自我、イド、超自我、そしてユングの集合的無意識のエネルギーを司るタイプだとしている。
連想モデルにおいて、自我、イド、超自我、超イドという言葉は主に精神的エネルギーのタイプ(TPE)に対して使うが、これはモデルAの自我ブロック、イドブロック、超自我ブロック、超イドブロックとは別の概念なので混同しないようにする必要がある。
4つのエネルギー(自我、イド、超自我、超イド)
イド
イドとは人格の本能的な部分のことを意味しており、栄養を摂取して肉体を維持すること、暖かさを求めること、性的欲求を満たすことなど、肉体的な欲求を満たす役割を担っている。イドは快楽の原則に導かれており、その目的は、欲望から生じる緊張を和らげることであり、もう一方では即物的な欲求を満たすことである。
人格のこの部分は、混沌とした情熱に支配されている。論理的思考や時間の流れの認識もない。衝動は、人格の構造全体にエネルギーを供給する巨大なエネルギー源となっている。
フロイトはイドを、今この瞬間の自分の欲望を満たそうとする、我儘で甘やかされた子供に例えている。
自我
自我は、外界の影響を受けて変化するイドのエネルギーによって生成される。
自我は現実の原則に導かれており、人は自我のおかげで夢と現実、主観と客観を区別することができる。
人格のこの部分(自我)は、行動の道徳性ではなく、その人自身への影響を気にする。そのため自我は、ある行動に対する他の人の反応を考慮しながら、同時にイドのニーズを満たすために最も適切なタイミングを模索することになる。
自我は、行動の計画を立て、決定を下す合理的なリーダーに例えることができる。
超自我
超自我は、個人の道徳的な発達に責任を持つもので、次の2つの側面から構成されている。
- 悪い行動に対して罪悪感という形で自我を罰するものである「良心」としての側面。
- 良い行動に対して誇りと自尊心という形で自我に報いる「理想」としての側面。
自我は、イドと超自我という相反する欲求を満たすよう求められることになるが、この葛藤によって抑圧された個人的な経験がもととなって個人的無意識を形成する。
超イド
集合的無意識を構成する元型の内、とくに元型「シャドウ」に関連するエネルギー [1]。
連想モデルでは、元型「シャドウ」は超イドの精神的エネルギー(TPE)の特性を大きく左右する存在だと考えられている。
「シャドウ」は創造性の源であると同時に、破壊の欲求も持っており、その起源は全ての関心事が生存と子孫繁栄の本能に還元されていた原初の時代にまで遡ることができる。破壊の可能性を秘めていることから、人格の「闇の部分」と呼ばれることもある。イドと同様、超イドは善と悪の区別がない非道徳的なものであり、子孫のために自己犠牲を払ったり、その逆に同族を残酷に殺戮するような動物的本能にも関連している。超イドは本能に基づいており、ある意味では無邪気なエネルギーであるといえる。
TPEの分類
連想モデルでは、TPEグループは、外向 / 内向、合理 / 非合理、静的 / 動的という3種類の基本的な二分法によって構成されている。
自我タイプ - 外向、合理、動的(LIE、EIE、LSE、ESE)
超自我タイプ - 内向、合理、静的(LII、EII、LSI、ESI)
イドタイプ - 外向、非合理、静的(ILE、IEE、SLE、SEE)
超イドタイプ - 内向、非合理、動的(ILI、IEI、SLI、SEI)
機能レベルで見た場合、4つのタイプグループは、同じ二分法(外向 / 内向、合理 / 非合理、静的 / 動的)の交点に位置するため、同じ性質を持つ4つの機能ペアに対応している。機能ペアとタイプグループの関係は以下の通りです。
イドタイプ - NeとSe
- 背景からイメージを一瞬で分離すること、テーマや問題の本質や内容を定義すること、推測や洞察のレベルでの可能性(可能性の直観)- 外向直観(Ne)
- リビドー、相互作用、遊び、空間的に自由に動き回り、好きな場所に留まること、解放への衝動、ストレス解消、欲望や本能を満たすために空間を支配したいという欲求 - 外向感覚(Se)
自我タイプ - TeとFe
- 目標設定、活動への合理的なアプローチ、行動・技術・方法・労働効率の合理性 - 外向合理(Te)
- 感情の発露、自分と感情の状態を外に向かって自由に表現すること- 外向倫理(Fe)
超自我タイプ - TiとFi
- 規則、原則、思考、因果関係、自分の判断を深め、自分の主観的な理解を重視し、客観的に与えられた事実とは異なる場合がある。- 内向論理(Ti)
- 道徳的な規範、モラル、他者の視点、動機やニーズに焦点を当てる。- 内向倫理機能(Fi)
超イドタイプ - NiとSi
- 現在の時間を超えて、現実から離れ、時間の変化に焦点を当てること(時間的な直観)- 内向直観(Ni)
- 空間の感覚、自分の主観的な感覚を通して自分の内側と外側の空間の変化を知覚すること- 内向感覚(Si)
- ^河合隼雄の文献などで「個人的な影」という用語が頻出することからわかる通り、日本のユング研究ではシャドウは必ずしも集合的無意識にのみ関連したものではないが、ここでは参考文献内の記述に従い、シャドウを集合的無意識の元型として説明する。