DCNHサブタイプ:簡易版の説明はこちら
同じタイプ内での違い
タイプが同じ人同士で、なぜこんなに違いがあるのでしょうか。この疑問は、長い間、関心の的でした。同じタイプであるはずの二人の人間が、同じ状況下にあってなぜこれほどまでに異なる行動パターンを示すのでしょうか。
簡単な実験をしてみましょう。同じタイプの人を3~4人集めます。誰が、どの学派のソシオ専門家が彼らのタイプを特定したかは問いません。
彼らに何か課題を与え(知的な問題を共同で解決する、特定の状況を演じてもらうなど)、彼らの行動を観察します。
すると、タイプが同じであるにもかかわらず、ある者はより積極的に、ある者はより消極的に、ある者はより臨機応変に、ある者はより保守的になる、といったことがわかるでしょう。
最も興味深いのは、同じタイプの人ばかりを集めれば集めるほど、彼らの間にはより多くの違いが見つかるということです。
こういったところから、我々は類型論の深さを垣間見ることができます。
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ここで述べたようなことは驚くべきことではありません。
他の知覚的な分野でも同じようなことを観察できます。例えば、同じ缶に入っていた白いペンキで壁を塗ったとします。すると、同じペンキで塗ったはずなのに、場所によって象牙色に見えたり、クリーム色に見えたりと、様々な色合いに見えるのではないかと思います。
楽器演奏でも同じです。同じ曲を、同じ人が同じ楽器で演奏しても、実際に奏でられる音色は毎回少しずつ異なっています。版画を印刷すると、同じ図案を印刷していても、実際には毎回インクの付き加減が違ったりするせいで、ひとつとして同じ印刷物は存在しません。
このように、本来のタイプ以外に複数のタイプが混ざりあったような性質を持つ人はとても多いです。この不純物を私は「サブタイプ」あるいは「バリアント(変異体)・オブ・タイプ」と呼んでいます。
他の科学的な分野でも同じような現象が見られます。例えば化学の世界には「異性体」というものがあります。これは同じ種類・同じ数の原子を持っているにもかかわらず性質が違う化学物質のことをさす言葉です。心理学におけるタイプのバリアント(変異体)は、異性体の一種のようなものだといえます。これは生物学における亜種の概念にも似ています。生物の種の中に亜種が存在することは、異常な事態ではなく、全く正常な現象として認識されています。
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タイプ内の差異がどのような仕組み・システムによって生じるのかという問題について、私は以前、ある説を提唱しました。これはかなり以前のことで、1980年代後半のことです。
ここでは、この時に発表した論文の内容を紹介したいと思います。
ソシオニクスにおけるサブタイプの問題は、理論的には2つの方法で解決されます。
第一の方法は、特殊な双極尺度 [1]です。通常の一般的なタイプの双極尺度 [2]と違って、表面的にあらわれる特性であり、一般的なタイプの双極尺度の下位レベルの要因として機能します。私はこの第一の方法を組み合わせ二分法的アプローチと呼んでいます。
第二の方法は、古典的なソシオニクスモデルの枠組みの中で、ある機能の強化を考える方法です。機能の表れ方は、その位置(精神の構造における階層的な場所 [3]とは等しくありません。同じ場所、つまりソシオニクスのモデル内で同じ位置にある機能でも、表現の度合いは人によって全く異なります。
こうした機能の表現のされ方、つまり行動面に着目してサブタイプの枠組みを作り、分類することが可能です [4]。こうした方法は、第一の方法である組み合わせ的な二分法とは対照的に、機能的・位置的アプローチと呼ぶことができます。
この第一の方法(二分法からDCNHを探る方法)と第二の方法(強化されている機能からDCNHを探る方法)は、互いに矛盾するものではなく、相互に補完し合うものです。
そのため Humanitarian Socionics Schoolの専門家は、この両方のアプローチを活用しています。
この2つのアプローチは、どちらか片方のアプローチがもう片方のアプローチよりも優れているといった類のものではなく、その時々の状況と目的に応じて柔軟に活用されるべきものです。
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もうひとつ無視できない重要な問題があります。それは、タイプに対して全部でいくつのサブタイプを割り当てるべきかということです。この問題の答えは「サブタイプの数は、扱うグループの平均的な大きさ(人数)よりも少なくてはならない」ということです。
小規模なグループ(集団階層の最下層)では、基本的なタイプのサブタイプを4~8個区別するだけで十分です。
もし、ソシオン(コミュニケーション組織の最上位に位置する、密接に相互作用する小グループのシステム全体 [5] )を扱わなければならないのであれば、全16のソシオタイプ全ての混ざり具合や細かな差異をどうやって区別するのかという点が課題になります。
4種類のサブタイプを区別する方法(DCNH)
例えば、ある役職に就くために、3人または4人の似たような候補者の中から1人を選ぶという問題に直面したときや、同じタイプの人が何人か集まって一緒に仕事をしていて、そのうちの誰かをリーダーにしなければならないときなどに、このレベルの詳細が必要になります。
また、個人的な生活でも、こうした「似たような候補者から一人を選ぶ」ような選択をしなければならないことがあります。
例えば身近な二人のうち、どちらか一人を選ばなければならない時があります。それぞれがそれぞれの良さを持っているので、片方を選ぶのではなく二人ともと付き合いたいと思うことでしょう。
しかし、身近にいる双対関係の友人全員とコミュニケーションをとるにしても、どのような順番で会うのか、誰と、どのくらい集中してコミュニケーションをとるのか、どのタスクを誰と一緒に解決するのか、などといったことは自分で考えなければなりません。
コミュニケーションに優先順位をつけないと、彼らとの関係に混乱が生じて、最終的には崩壊してしまうかもしれません。
3種類の双極尺度
1番目の極性:接触 / 距離
コミュニケーションの必要性が高いほど「接触」、逆に人から距離を置く必要性が高いほど「距離」となります。
このように、接触 / 距離という尺度は4つの内部的なグラデーションに分かれています。
2番目の極性:開始 / 完了
「完了」とは、着手したことを最後までやり遂げる能力や、整理整頓を好む傾向を意味します。
「開始」というのは、逆に開始する能力、簡単に切り替える能力、そしてそれに付随する物事や行動の混乱・無秩序さを意味します。
ここまでの説明からわかる通り、これはいわゆる合理性/非合理性という尺度を具体化したものです。
我々が注意しなければならないのは「合理的な人は家の中で秩序を保ち、物事を計画立てて実行し、非合理的な人は物を散らかし、計画を立てるのが面倒だと感じたり、計画など不必要だと感じやすい」と考えるのは間違いだということです。実際には、ここまはっきりした傾向が行動に表われるわけではなく、両極の間には中間的なグラデーションがあることが多いです。
開始 / 完了が「完了」側である人々にも大きくわけて二種類の人がいます。
ひとつは明確な合理タイプで、もうひとつは、まるで合理タイプのような行動を好む非合理タイプです。
そしてこれ同様に「開始」側にも二種類の人がいます。明確な非合理タイプと、まるで非合理タイプのような行動を好む合理タイプです。
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- 合理タイプ的な行動(整理整頓を好むなど)をとる合理タイプ(ESFjやINTjなど「j」で終わるタイプ)
- 合理タイプ的な行動(整理整頓を好むなど)をとる非合理タイプ(ESFpやINTpなど「p」で終わるタイプ)
- 非合理タイプ的な行動(計画嫌いなど)をとる合理タイプ(ESFjやINTjなど「j」で終わるタイプ)
- 非合理タイプ的な行動(計画嫌いなど)をとる非合理タイプ(ESFpやINTpなど「p」で終わるタイプ)
3番目の極性:接続 / 無視
これは、外部環境の変化に対する感度に基づいています。
「接続」はそのような変化に非常に敏感です。そして「無視」はその名の通り、無視することができます
この極性は、古典的な動的/静的という双極尺度をサブタイプのために洗練させたものです。(wikisocion注釈:動的タイプ[10]は周囲で起こっていることに敏感であるため、「接続」を修正しますが、静的タイプは外部環境の変化があっても、ほとんど変化しません)
3つの尺度の組み合わせ
この3つの尺度を組み合わせると、以下の4つのサブタイプができあがります。
- 接触 / 完了 / 接続 サブタイプ「ドミナント(D)」
- 接触 / 開始 / 無視 サブタイプ「クリエイター(C)」
- 距離 / 完了 / 無視 サブタイプ「ノーマライザー(N)」
- 距離 / 開始 / 接続 サブタイプ「ハーモナイザー(H)」
2つの機能の強化
Fe・Teの強化
これらの機能は、気質では「率直的・自己主張的」に分類される機能です。
実際の社会的立ち位置がどのような立ち位置であっても、これらの機能が強化された際はサブタイプ「ドミナント」が形成されます。
Ne・Seの強化
これらの機能は、気質では「柔軟・可逆的」に分類される機能です。
これらの機能が強化された場合、サブタイプ「クリエイター」が形成されます。
Ti・Fiの強化
これらの機能は、気質では「バランス・安定的」に分類される機能です。
これらの機能が強化された際はサブタイプ「ノーマライザー」が形成されます。
Si・Niの強化
これらの機能は、気質では「(受容的・適応的」に分類される機能です。
これらの機能が強化された際はサブタイプ「ハーモナイザー」が形成されます。
拡張版
出典上にはない情報ではあるが、上述の理論はその後さらにカスタマイズされて、下記の「2+1」の理論になった。
- TeSe(またはSeTe )+ Fe を強化:ドミナント
- FeNe(またはNeFe )+ Se を強化:クリエイター
- TiSi(またはSiTi )+ Fi を強化:ノーマライザー
- NiFi(またはFiNi )+ Si を強化:ハーモナイザー
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詳しくは記事「タイプ、DCNHサブタイプ、アクセント - DCNHと強化される機能」参照
自律的なグループ行動のパターン
DCNHという4つのサブタイプが存在することは、実験的にも確認されています。同じタイプの人間を4人集めて、各々が自由に行動できるようなグループを作った場合どうなるか、そこでの行動パターンを観察した結果、次のようなことが確認されました。
ドミナントはリーダーの役割に、クリエイターはアイデアを生み出す役割に、ノーマライザーは仕上げ役に、ハーモナイザーは校正者の役割に最も適していました。
Humanitarian Socionics Schoolワーキンググループは、2006年に実施した一連の実験で、これらの非公式な役割 [11]の存在を検証しました。
4人のグループではなく3人のグループであれば、1人で2つの役割を兼ねることになります。
最も多いのは、ドミナントとクリエイターを兼ねるパターンや、ノーマライザーとハーモナイザーを兼ねるパターンです。
これらはそれぞれエネルギー的に近い役割であるため兼任されやすい傾向があります。ただし実際には、信じられないような組み合わせが観察されることもあります。
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小さなグループが異なるタイプで構成されている場合、役割分担はサブタイプだけでなくタイプ自体の影響も受け始めます。
しかし私たちが観察したところ、一般的なタイプ要因は、近距離での密なコミュニケーションの条件においては、決定要因というよりも背景になるものであるようです [12]。
サブタイプ判別テストの展望
またサブタイプは、次のようなテストでも判別することが可能です。忍耐力や臨機応変さ、創意工夫や遵法精神・規範を守る意識などの資質を示すことを強いるような状況を用意し、そこでの固定化された行動や反応 [13] を観察する方法です。この応用として次のような方法が考案され始めています。こうした試みはまだ始まったばかりです。
- DCNHのどの方法を使っても同じように効果的に解決できる課題を使ったテスト。
- 1とは逆に、DCNHのうちどれかひとつが明らかに解決方法として適しているような課題を使ったテスト。
サブタイプはタイプ間の関係にどのように影響しますか?
確かにサブタイプの影響力は、特に限られた範囲で集中的に密接なコミュニケーションをしている状態では大きくなります。しかしグループが出来上がる際は、まず最初にサブタイプ間の関係性のシステムが生まれます。この時点で生じたコミュニケーションシステムは、次の点に沿って考えると明確に説明付けることができます。
リーダーの存在の有無
- 対称的(対等で、特定のリーダーを必要としない関係)
- 非対称的(不平等で、特定のリーダーを必要とする関係)
コミュニケーションの方向性
- 誘引的
- 反発的
アクションの進め方
- シングルタスク
- マルチタスク
ここで強調しておきたいのは、上記のような関係性の特徴は、拡大解釈可能な曖昧で抽象的なものではなく、具体的で実験によって検証可能なパラメータであるということです。
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これらを組み合わせると、次のようになります。
対称的で誘引的な関係(双対関係的サブタイプ)
これは対称的なサブタイプ [14]の間で発生するものです。この関係は、調和や円滑さをもたらすような性質のものです。
最初は困難に感じることが多いですが、その後、パートナーは次第にこの関係が提供する分業の利点を理解し始めます。逆境に置かれれば置かれるほど、強みが光るようなグループです。
DN, ND, CH, HC
対称的で反発的な関係(同一関係的サブタイプ)
同じサブタイプ同士の組み合わせから構成される関係で、サブタイプの性質がそのまま表れます。
この関係には創造性があります。最初はお互いに高揚感や熱狂をもたらしますが、時間が経つにつれて、二人の間に不一致が生じ、お互いに失望します。過酷な試練を乗り越えるこえるには難しい関係です。
予備的な役割をこなしたり、仕事のローテーションを切り替えたりリーダーやスタッフを入れ替える際のバックアップを担うには向いています。
DD, CC, NN, HH
非対称的で誘引的な関係(要求関係的サブタイプ)
サブタイプにおける要求関係に相当する関係です。
この関係は、あるメンバーが別のメンバーを一方的に活性化する関係です。
ドミナントはクリエイターに対して影響を与え、クリエイターはノーマライザーに対して影響を与えます。ノーマライザーはハーモナイザーに影響を与え、ハーモナイザーはドミナントに影響を与えます(このようにして活性化する側とされる側の関係が一周します)。
この関係はグループ内の活発なコミュニケーションを促進するような関係になります。
D ⇒ C ⇒ N ⇒ H ⇒ D
非対称的で反発的な関係(監督関係的サブタイプ)
この関係はサブタイプの監督関係と呼ばれています。
この関係は、レートを設定し、一定範囲内に物事がおさまるよう一方的に減速するような性質を持っています。この関係はちょうど「非対称的で誘引的な関係」とは反対の関係になります。
そのため何らかの誤りを修正するような観点から見ると有用な関係です。
ドミナントがハーモナイザーを修正し、ハーモナイザーがノーマライザーを修正し、ノーマライザーがクリエイターを修正し、クリエイターがドミナントを修正します。活性化を引き起こす向きとはちょうど逆向きに一周する形になります。
D ⇒ H ⇒ N ⇒ C ⇒ D
結論
- 同一関係的サブタイプ(DD, CC, NN, HH)は、知的発達(理解、学習、特定分野でのアイデアの生成)に貢献します。
- 要求関係的サブタイプ(D ⇒ C ⇒ N ⇒ H ⇒ D)は、社会活動、集中的な作業、外部拡張に最も適しています。
- 監督関係的サブタイプ(D ⇒ H ⇒ N ⇒ C ⇒ D)は、心理的安定化、夢と現実のバランスをとることに特化しており、友情、教育に最も適しています。
- 双対関係的サブタイプ(DN, ND, CH, HC)は、物理的な互換性(日常生活、親密な関係)を提供します。
8種類のサブタイプを識別する
この作業は、グループが7〜8人に増えたときに必要になります。
8つのサブタイプを区別するために、個人的な欲求の階層を反映した「一次/二次」という尺度が追加されています。
理論的には、すでに知られている3つの極性を含めて、合計7つの極性があることに留意する必要があります(ただし、サブタイプの二分法を全て説明することは、このレポートの主題から外れるため省略します)。
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グループの欲求には一次的なものと二次的なものがあります。一次的な欲求とは、今現在必要としている具体的な何か(食品、健康、避難所、家族、親密さなど)です。そして二次的な欲求とは、より深くて高次な欲求(キャリア、社会的地位、精神的な安らぎ、知識欲など)です。こうした欲求に関する尺度を使ったサブタイプ判定用の質問票はまだ作成されていません。
8種類のサブタイプごとに、グループ内でとることの多い役割が異なっているため、実験的には対象者がグループ内でとる役割を観察することで、サブタイプを判別することができます。
- 一次的な欲求を持つドミナント(強化機能 Fe)
- 「モチベーター」(心理学者はインフォーマルなリーダーと呼ぶ)の役割を担います。 - 二次的な欲求を持つドミナント(強化機能 Te)
- 「エンジン」(フォーマルなリーダー)の役割を担います。 - 一次的な欲求を持つクリエイター(強化機能 Se)
- 「コンタクター」の役割を担います。 - 二次的な欲求を持つクリエイター(強化機能 Ne)
- 「グループのイノベーター」の役割を担います。 - 一次的な欲求を持つノーマライザー(強化機能 Fi)
- 「グループの良心」の役割を担います。 - 二次的な欲求を持つノーマライザー(強化機能 Ti)
- 「コーディネーター」の役割を担います。 - 一次的な欲求を持つハーモナイザー(強化機能 Si)
- 「デザイナー」の役割を担います。 - 二次的な欲求を持つハーモナイザー(強化機能 Ni)
- 「専門家」の役割を担います。
多くの場合、Humanitarian Socionicsでは、上記8つのサブタイプを「対応する8機能のうち1つの機能を強化した状態」であると定義しています。
開始 / 終了のような双極尺度の組み合わせからサブタイプを割り出しているわけではありません。
私が導き出した、8つのサブタイプと8機能の関係は次の通りです。
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ドミナント
強化機能 Fe
Feが強化されると、デモンストレーション的な行動をとろうとする傾向が生まれます。一次的な欲求を持つドミナントに対応しており、感情的なプレッシャーを与えたり、相手を鼓舞したり怖がらせたりする能力に関連しています。これは動物の場合、明るい色使いの体、叫び声、顔の表情の豊かさやジェスチャーに関連するものです。
強化機能 Te
Teが強化されると、身の丈にあった行動をとろうとする傾向が生まれます。これは二次的な欲求をもつドミナントに対応しています。このグループに属する人々は、自分の道を進むために、一生懸命に粘り強く働くビジネスリーダーです。
まとめ
上述のFeが強化された場合の傾向と、Teが強化された場合の傾向は、マスクの原則に従って、この両方が組み合わされた形で一緒に見つかることがよくあります [15]。FeとTeどちらの傾向も、ドミナントとしての役割を果たすためには必要なものであるということが推察されます。
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クリエイター
強化機能 Se
Seが強化されると、興奮性に関する行動が増える傾向があります。これは一次的な欲求を持つクリエイターに対応していると解釈されています。生存に関わる極限の状況で、常識に囚われない柔軟で迅速な解決策を提供します。
強化機能 Ne
Neが強化されると、感情的なムラを生み出します。これは二次的な欲求を持つクリエイターに対応しており、知的想像力や型破りなアイデアと関連しています。目の前の行き詰まりを打開するのではなく、未来の問題を解決することに目を向けています。
まとめ
SeとNe、この2つの機能は、イノベーションを産み出し、実行するというプロセスの両輪として機能することが多いです。
ノーマライザー
強化機能 Fi
Fiが強化されると不安に関連した行動が表われるようになります。一次的な欲求を持つノーマライザーに対応しており、伝統に基づいた正式なルールを必要としません [16]。
強化機能 Ti
Tiが強化されると、衒学的な傾向が生まれます。こうした傾向は、グループ全体のニーズを満たすことに関連しているため、二次的な欲求を持つノーマライザーに対応していると解釈されています。規制、指示、および明文化されている法律に基づいています。
まとめ
Fiの影響による行動とTiの影響による行動は、協調的に働いてお互いを強化することができます。自分の義務に対する誠実性と衒学的な態度は、規範的な行動の両輪として働くと考えられます。
ハーモナイザー
強化機能Si
Siが強化されると、アステノニューロティックな傾向 [17] に繋がります。これは、身体的な快適さの価値に関連しており、一次的な欲求を持つハーモナイザーに対応していると解釈されます。
強化機能Ni
Niが強化されると、自閉症的な傾向(自分の周囲に「フェンス」を張り巡らせ、自分の世界に没頭するような傾向)が生じます。これは精神的・メンタル的な面の調和に関連しており、二次的な欲求を持つハーモナイザーに対応していると解釈されます。
まとめ
SiとNiの行動はどちらも等価です。つまり、この二つの機能はセットで開発されることが多く、お互いを強化し合います。心の瞑想のためには、体をリラックスさせる必要があることはよく知られています。
結論
こうしたサブタイプを細分化していく方法に従うと、次の段階のサブタイプの粒度は16種類になります [18]。これまでに、私がここまで細かいサブタイプを活用しなければならない問題に直面したのは、進路指導の仕事において、異なる活動領域の接点でその人の職業を選択しなければならないという時だけでした。この最も複雑で困難なレベルについては、今後の研究で検討していきます。
訳注
- ^ 開始/完了 参考:Critical overview of V. Gulenko Interview
- ^ 論理/倫理や直観/感覚などのこと。
- ^ 先導機能や創造機能などの階層。
- ^ Ti-LIIとNe-LIIなどといった分類。
- ^ ソシオンとはソシオニクスの全16種類のタイプ全てが存在する集団。
- ^ 行動が外向的でタイプも外向型。
- ^ 行動が外向的でタイプは内向型。
- ^ 行動もタイプも内向型。
- ^ 行動が内向的でタイプが外向型。
^ ここでの文脈と別資料の整合性を踏まえると、この「動的タイプは~」以下の特徴は、古典的な静的/動的の定義にのみ存在した特徴であり、これらの特徴は、静的/動的の定義が見直され、洗練されていく過程で「静的/動的とは直接関係ない特徴である」とされて切り離されたものではないかと思われる。
(別資料:http://ip-socion.narod.ru/fun-bl.htmおよび、Gulenko著Формы мышления. - Соционика, ментология и психология личности, 2002, №4.:ここでは、グレンコがタイプを見極める際、静的/動的と結果/プロセスに焦点を当てていることを示している。もしも静的/動的について、外向/内向に対する接触/距離であったようなパターンの「一見すると動的に見える静的タイプ」という存在を許すとするならば、タイプを見極める際にその人の静的/動的に着目すべきという主張は論理的に破綻してしまうので、このような推測が考えられた)
- ^ 肩書きで決められた役割ではなく、自然発生的に生まれた役割分担。
- ^ つまり近距離の緊密なコミュニケーションでは、タイプよりもサブタイプのほうが表面的に表れやすい。
- ^ ある状況になると高い確率で起こす一定の行動や反応。
- ^ 対象的なサブタイプとは、D+N または C+H(参考:Система подтипов DCNH)
- ^ 具体例をあげると、LSE( Teの強いタイプ)が、ESEのマスク( Feの強いタイプのマスク)をかぶってドミナントとしての役割をはたそうとする。
- ^ おそらく「規範がなくて無秩序なグループにいる場合であっても、自分自身の不安感から、自分とグループが必要としているような規範を生み出すことができる」という意味。
- ^ astheno-neurotic:無気力・無感動で集中力がなく、神経過敏で不安やイライラが強く、眠っても疲れがとれず慢性疲労気味という神経衰弱的な傾向。
- ^ 8機能に+/-を組み合わせて16種類。