遺伝子から性格を調べるキット「Genelife Myself2.0(外部リンク)」を使った結果、こんな感じでした(2021年に受けました)。
測定の仕方
キットに付属している専用容器に唾液を採取し、郵送で送ります。遺伝子検査以外に、性格分析テストも受験できます。数週間~一か月前後で結果が返ってきます。
製品の説明では、解析結果が得られる割合を示すCall Rateが98%であるとなっています(サイト管理人は一度で全項目検査できました)。Call Rateが一定割合以下の場合、無料で再検査ができるようです。詳細は「Genelife Myself2.0(外部リンク)」の「重要なお知らせ」に書いてあります。
ビッグファイブの結果
SLOANに置き換えると
サイト管理人の結果をビッグファイブSLOANのタイプに変換すると、こんな感じになります。
- 性格分析テストから見た現在のタイプ:RLOAI
- 遺伝的な素質:SLOAI
社会性
別名「外向性」
外向性が高い場合「S」、低い場合「R」
サイト管理人の場合:
性格分析:「12」、中央値の15よりも小さいので「R」。
遺伝子検査:「17」、中央値の15よりも大きいので「S」。
慎重性・繊細性
別名「神経症的傾向」
慎重性・生産性が高いほど、神経症的傾向が高い。
注意:慎重性・繊細性が高い場合「L」、低い場合「C」
SLOANは「情緒安定性」という項目名なので、慎重性・繊細性が高い=SLOANでいうところの情緒安定性が低い(L)となります。
サイト管理人の場合:
性格分析:「16」、中央値の15よりも大さいので「L」。
遺伝子検査:「19」、中央値の15よりも大きいので「L」。
勤勉性
別名「誠実性」
誠実性が高い場合「O」、低い場合「U」
サイト管理人の場合:
性格分析:「19」、中央値の15よりも大さいので「O」。
遺伝子検査:「24」、中央値の15よりも大きいので「O」。
協調性
協調性が高い場合「A」、低い場合「E」
サイト管理人の場合:
性格分析:「19」、中央値の15よりも大さいので「A」。
遺伝子検査:「19」、中央値の15よりも大きいので「A」。
開放性・文化性
協調性が高い場合「I」、低い場合「N」
サイト管理人の場合:
性格分析:「21」、中央値の15よりも大さいので「I」。
遺伝子検査:「21」、中央値の15よりも大きいので「I」。
MBTIに置き換えると
ビッグファイブとMBTIとの間の相関性は複数の研究者によって研究されていますが、それを参考に、今回の結果をMBTIに置き換えてみると、こんな感じになります。
- 性格分析テストから見た現在のタイプ:INFJ
- 遺伝的な素質:ENFJ
サイト管理人のMBTIタイプはINFJですが、今回の検査ではだいたいそれに近い結果が出ました。
ビッグファイブ | MBTI |
---|---|
社会性(高) | E |
慎重性・繊細性 | なし |
勤勉性(高) | J |
協調性(高) | F |
開放性・文化性(高) | N |
MBTIタイプや性格分析テスト結果はI(内向)ですが、遺伝的な素質はE(外向)という結果が出ました。このズレは下記のような理由で生じたのかもしれません。
- 遺伝子以外の要因で内向っぽくなった可能性があります。MBTIは生来タイプとされていますが、とある調査結果では、外向/内向と思考/感情の遺伝率は0.60である、つまり60%は遺伝子から説明できるが、40%は遺伝子以外の何かに左右されている可能性が示唆されています(ちなみに直観/感覚と判断/知覚の遺伝率は0.40でした)。
参考:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/9529660/ - 検査対象外の遺伝子の中に「内向っぽくする遺伝子」があった可能性があります。遺伝子には未解明なことがまだまだ多いです。
- MBTIは、正しくは選好のタイプであって、ビッグファイブで扱う性格特性のタイプではないため、「性格特性としての外向性は高くても、選好は低い」という可能性があります。
関連記事「MBTI、ソシオニクス、16Personalitiesその他16タイプ類型の違い」
ビッグファイブ以外の性格の結果
他にもこんな感じで色々な検査結果が出ます。以下は遺伝子型から割り出された結果です。
◆◆◆
性格、コミュニケーションはこんな感じでした。能力は、これ以外に「匂いの感じやすさ」に関する能力の項目が幾つかありました。
性格、コミュニケーション、能力以外にも、体質と食生活・栄養に関する検査項目があります(本記事では割愛します)。
各検査項目の意味
性格:
- 不確実なことへの恐れ:未知の状況や普段と違う状況に対する不安の感じやすさ。
- 損害回避:周囲に合わせて自分の態度や主張を柔軟に変えることができるかどうか。近い未来に発生する可能性のあるリスクを大きく見積もるか、小さく見積もるか。損害回避が高い場合、心配性で悲観的な傾向があり、高い場合は楽天的な傾向があるとされている。
- 新奇性探求:高いほど好奇心が強く、新しい経験や刺激を好む傾向がある。
- 行動持続性:高いほど1つの行動を継続する傾向が強く、低いほど1つの行動を継続するよりは新しい可能性を探そうとする傾向が強い。
- 失敗を避ける傾向:この傾向が高いほど次の傾向の両方が増す。①失敗を回避するように行動する傾向。②失敗した際の脳の記憶領域の活動性が高くなる傾向。
- 短期的利益を求める傾向:目の前の利益を追いかけるか、すぐには利益が得られなくても後になってから多くの利益を得られる道を選ぶか。
- 倫理観:高いほど他者に対して誠実で、低い場合は人をだましたりゴマをすったりすることに抵抗が少ない傾向がある。
- 落ち込みやすさ:落ち込みやすい人ほど絶望や悲しみを感じやすい傾向がある。
- 規則正しさ:規則正しさが高いほど、計画通りに物事を進むことを好んだり、整理整頓を好む。
- ネガティブ思考:ネガティブ思考になりやすい人ほど、不安や怒り、その他のネガティブな感情や行動を起こしやすい傾向がある。
- 神経質:敏感で不安を感じやすく、慎重な行動をするか、多少のリスクを気にせず行動するか。
- センチメンタリティ:高い人は情緒豊かで感傷的、低い人は冷静で感傷的にならない。
- ストレスに対する反応性:高いほど、緊張したり、不安や心配を感じて情緒不安定になりやすい傾向。
- 恐怖への反応度:恐怖体験をした時、すぐに平常状態に戻るか、時間がかかってしまうか。
- 幸福感:幸福感を感じやすいかどうか
コミュニケーション:
- 調和性:周囲に合わせて自分の態度や主張を柔軟に変えることができるかどうか。
- 協調性:他人と協力して、集団として何かをやる能力が高いか、それとも一匹狼タイプかどうか。
- 外向性:興味や関心が自分の外に向きやすいかどうか。
- 開放性:ビッグファイブの開放性。
- 報酬依存系:金銭的な見返りだったり、社会的な賞賛や信頼を求める傾向が強いかどうか。
- 自己志向性:責任感が強く、目的意識や決断力が高いかどうか。
- 自己超越性:人や物、環境に対して敏感で共感しやすいかどうか。他者の痛みを自分の痛みとして感じるかどうか。
- 疎外感:孤独感や、周囲の人との間に距離を感じやすいほうかどうか。
- 支配欲:他人を自分に従わせようとする傾向。
- 自分と似たタイプの友人を求める傾向:そのまんまの意味です。
- 自分と違うタイプの友人を求める傾向:そのまんまの意味です。
- 社会性:公共の利益になるような振る舞いをする傾向が高いかどうか。
- 恋愛初期のコミュニケーション力:恋愛初期に感情表現を上手くできるかどうか。
- 彼氏/彼女なし傾向:脳内のセロトニンレベルを左右する因子のひとつであるHTR1Aという遺伝子は、①社会経済的地位、②外見、③宗教的な信念、④子育てスタイル、⑤抑うつ症状の起こしやすさ、⑥抑うつ症状を起こした時、うまくコントロールできるかどうか、この①~⑥全てを左右しているといわれているが、①~⑥が高能力な遺伝子型か、そうではない遺伝子型かどうかから判定している項目。
- 女性のモテ度:(女性の場合)従順で空気を読めるほうかどうか。(男性の場合)リーダーシップや社会的優位性があるかどうか。
- 外見的な魅力を求める傾向:そのまんまの意味です。
能力:
- 計算速度:小学生レベルの算数の能力(計算速度)が高いか低いか。
- 記憶力:言語記憶、画像記憶、エピソード記憶、短期記憶、長期記憶に関する記憶力があるほうか、ないほうか。
- 音程に関する能力:音の高低の聞き分けや、正確な発音をする能力。
- 加齢による"脳力"への影響:作業記憶や注意力、集中力、メンタルコントロール能力、映像記憶や論理的思考力が衰えやすいかどうか。「下がる傾向」の人ほど衰えやすい。
- 運動能力(無酸素運動能力):短距離走など、短時間に強い力を発揮するような運動に関する能力。
- 注意力・集中力:数唱能力と、簡単な算数の問題を集中して説き続けられるかどうか。
- 悲しみの表情の認識力:そのまんまの意味です。
- 怒りの表情の認識力:そのまんまの意味です。
- 嫌悪の表情の認識力:そのまんまの意味です。
- 情報処理速度 - Digit symbol (DS):WAISの検査項目の一つ。数字符号置換検査という、あらかじめ提示された数値と記号の組み合わせの情報を使って、記号を数値に、あるいは数値を記号に置換する作業の速度と正確性を測定する検査の能力。
- 情報処理速度 - Symbol search (SS):WAISの検査項目の一つ。あらかじめ図の情報が与えられた後で、新しく提示された情報の中に新規の図が含まれているかどうかを判断する能力を測定する検査。
- 情報処理速度 - Inspection time (IT):WAISの検査項目の一つ。あらかじめ長さの異なる2本の線の情報が与えられる。そして一定時間後、どちらの線の方が長かったかを答える検査。
- 情報処理速度 -Simple RT (SRT):WAISの検査項目の一つ。「音が鳴ったらボタンを押す」ような、単純な情報処理糊能力の速度と正確性に関する検査。
- 情報処理速度 -2-choice RT:WAISの検査項目の一つ。あらかじめ与えられた情報を元に、2つの選択肢から1つの選択肢を選び取る速度に関する検査。
- 情報処理速度 -4-choice RT:WAISの検査項目の一つ。あらかじめ与えられた情報を元に、4つの選択肢から1つの選択肢を選び取る速度に関する検査。
- 情報処理速度 -8-choice RT:WAISの検査項目の一つ。あらかじめ与えられた情報を元に、8つの選択肢から1つの選択肢を選び取る速度に関する検査。
- 情報処理速度 -Speed Factor:WAIS-IIIのDigit symbol (DS)とSymbol search (SS)の処理速度が速いか遅いか。
体質と食生活・栄養に関する検査項目は割愛します。
感想
サイト管理人はWAISを受けたことがないので、今回の結果を見てもあまり評価が出来ないのですが、主観的にはあっていると感じるものも、そうではないと感じるものも両方あるといった印象です。
遺伝子には未解明なことがまだまだ多いと書きましたが、こちらの項目についても同様なので、「既知の遺伝子の情報を踏まえた限りではこうだったけど、未知の遺伝子の影響が考慮されていないせいで、現実とは異なる結果が出てしまう」ということが十分ありえると思います。
結果には具体的にどの遺伝子を見て検査結果を出しているかが記載されているので、生化学、医学系の論文を読む可能性があるという人にとっては、「科学論文がより身近に感じられるようになる」という意味で有益かもしれません。