IEIは想像力というかけがえのない庭を持っています。彼らはその助けを借りて過去や未来に出かけ、まわりの世界全体を感じ、現在の出来事の背景にある力学を理解します。そして人々を奮起させ、やるべき活動に誘うことができます。
強力な機能
Ni - 先導機能(第1機能)
IEIのNiは、彼らの意識がプロセスの時間的なモデリングに没頭していることを示しています。彼らの思考は簡単に時を航行し、時間を進めたり戻したりします。
ILIとは対照的に、IEIは倫理に焦点を当てているため、物質世界や生産の問題にはあまり関心がなく、人々の感情、関係、可能性の発展に関心を向けます。
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子供は走り、大人は働き、人々は行動を起こし、川は流れ、天体が空を巡っていく。IEIにとって、時間はすべてが沈み込むエーテルのようなものです。
夢想家でロマンチストであるIEIは、簡単に現実から切り離されて、イメージや洞察の世界に引き込まれていきます。そしてそこから楽しみや自分の存在意義を得ることができるのです。
空想的で息を呑むような冒険の要素を含む文学に惹かれます。
小説の中の登場人物と一緒に活動している自分を想像したり、創造的な想像をしたりするのです。洗練された人々と共に外航船で世界を巡る旅を思い浮かべたり、暖炉と白いピアノのある素晴らしいコテージや、美しく超越的な愛を思い描いたりします。
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しかし同時に、IEIは差し迫る危機を感じ取ることもできます。社会の中に漂う、ほとんど目立たない空気のようなものや、ダイナミクスの流れを捉えることもできます。危機が迫っているときには、非常に興奮し、心が乱れてしまいます。
人の特徴や個性、能力や可能性に気付くことに長けており、能力のある人に惹かれます(時には自分自身の目的のために)。
自分自身の能力や才能についていえば、「自分が持つ精神的な貴族性は他者を超えている」という内的な確信を持っています。そのため、彼らは自分自身のことを人類のエリートの一員であると考えていますが、通常はこの認識を公に示すことはありません。
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強力な機能ブロックに含まれるNiは、彼らが「自分の外側の視点に立って」自分自身を見ることを妨げます。
自分の行動を客観的に評価することが難しく、何かにつけて自分を正当化したがる傾向があります。
現実から離れようとする傾向があり、自己評価が難しいため、自己中心的で、自分の世界に過度に没頭してしまいます。
Fe - 創造機能(第2機能)
IEIは、イベントの裏に隠れたパターンや流れを発見すると、周囲の人々に感情的な影響を与え、適切な行動に導こうとします。
彼らは人の気分や印象に働きかけて、自分が必要とする反応を引き起こす方法をよく知っていますが、それを力ずくではなく、説得によって引き出そうとします(感情を爆発させて「もうだめだ、助けが来ないと自分はどうにかなってしまいそうだ」という形の「説得」をすることはありますが)。
「その時々で必要となる具体的な行動をとる」等の実利的な活動は得意ではないため、周囲の人が行動を起こすように誘導しようとします。
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良好な雰囲気の下にいると、それに釣られてすぐ気分が良くなるほうですが、それと同時に簡単に気分を害してしまう面もあります。
時には、否定的なイントネーションや非難のまなざしを向けられるだけで、その日はずっとネガティブな気分になってしまうこともあります。
自分の正しさに自信を持っているので、自分を取り巻く人々がIEIの出すシグナルに反応せず、必要な行動を取らない場合、IEIの抱える苛立ちと感情的な熱は非常に大きくなり、なかなか心を鎮めることができないまま、自分の主張を全ての人に証明しようとすることがあります。
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慣れ親しんだ人たちと一緒にいるときは、注目されることを楽しみます。笑顔でいること、褒めること、相手の発言を支持すること、礼儀正しく親切にすることなど、適切な振る舞い方を知っています。
IEIが憂鬱と失望の時期に入ると(これは決して珍しいことではありませんが)、彼らは自分を孤立させてしまいます。
暗い時期が終われば、再び明るくなり、聡明さを取り戻します。そして将来や自分の人生に前向きな期待を持つようになります。
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幸運にも、愛情とサポートに満ちた雰囲気の中に身を置くことができれば、彼らの最高の資質、すなわち「他者に対する思いやりを持ち、精神的な支えになる能力」が明らかになります。
気分が高揚している時のIEIは、周囲の雰囲気を敏感に察知し、温かい共感を示します。
感受性が豊かなIEIは、あらゆる芸術に敏感に反応します。特に音楽や詩が好きで、自分で作曲したり物語を書いたりするなどという風に、芸術作品をつくることもあります。コンサートや美術展に行くのが好きです。天性の文才を持っています。
脆弱な機能
Te - 脆弱機能(第4機能)
IEIは、自分の空想の世界や思索の領域に逃げ込むことで、自分にとってあまりにも過酷で残酷な現実から身を隠そうとします。
彼らの仕事の能力は内面の状態に大きく左右されるため、仕事上の活動や生産性は予測不可能です。
短時間エネルギッシュな活動を行う状態と、長時間何も行動しない状態を交互に繰り返します。
一般的にあまり活力のあるタイプではないため、継続的に力を発揮することには難があります。
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虚弱な体質、疲労感、エネルギー不足といった無気力状態を、長時間の睡眠によって補おうとします。
こうした理由から、必要な精神的支援がなければ、自分の能力に見合った社会的地位を得られないことが多いです。
そのためIEIは社会的地位の高いエネルギッシュな人々を密かに羨ましく思い、社会や運命が自分を不当に扱っていると考え、無意識のうちに自分を正当化しようとして、自分の不幸の原因と考えられそうな外的要因を探してまわる傾向があります。
またそれと同時に、自分の感受性の高さや精神的な繊細さ、洗練された理念や理想ゆえに、自分は他の人々と同じ方法で行動することができないのだと考えて自分を慰めています。
このように、彼らは自分を周囲の世界よりも上に見て心理的に自分を守ることで、自分の受動性を正当化しているのです。
自分の身に起こるすべてに対して責任を負うことは難しいと考えています。特に物事がうまくいかない時には、外部の要因に責任を転嫁しようとする傾向があります。
IEIは日常生活を送る上で必要な仕事 [1]をほとんどしようとしません。なるべくその面倒から逃れようとしたり、怠けて手抜きしようとします。
Si - 役割機能(第3機能)
IEIは、自分の健康や外見に関わる全てのことにおいて、他の人々よりも良い印象を与えられるように気を配っており、社会の一般的な基準を守るようにしています。
たとえ経済的に恵まれていなくても、IEIにはエレガントで洗練されたセンスの良い服を着たいという生来の望みがあることを知っておくべきでしょう。
IEIの女性は、適当な服を急いで着て1時間遅刻しない様にすることよりも、エレガントなドレスにセンスよく選び抜いたアクセサリーを身につけて、素晴らしい姿で人前に立つことを選びます(IEIの女性は明るくカラフルな服よりも、ダークトーンの服を好みます)。
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金銭管理にあまり力を入れていません。お金を使いすぎたり、逆に何をしていいかわからず漫然と貯金することもあります。
金銭的に余裕がなくても、実用性のない美しくエレガントなものを買わずにはいられないということがよくあります。
IEIはフォロワーや個人主義者であることが多く、リーダーになることはほとんどありません。
彼らが有利に活動できるのは、どう行動すべきかが明確に規定されていて、しかも何らかの創造性を発揮できる側面がある領域です。
主導権を握ることや、他人と対立することが苦手なため、ほとんどの場合、自分が暮らす社会の規範に黙って従おうとします。
職場と家庭でのIEI
気分が移ろいやすく、優柔不断で、他人のために責任を負うだけでなく、自分の責任を自分で負うことも避けたがるため、IEIはリーダー的なポジションには就きたがりません。
しかし、もし何かの弾みでそのような立場になってしまった場合は、戦略的なタスクを上手く管理することができます。部下とは機転を利かせて接し、感情を利用して周囲に影響を与えます。彼ら自身は穏やかな関係を求めています。大人数より少人数のグループを任されるほうが望ましいです。
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IEIにとって、愛と家族は人生における重要な価値観です。彼らは他人に深い感情を抱くことができ、たとえ自分が拒絶されたとしても、大切な人のことを何年も覚えていて、共感することができます。しばしば想像力を働かせて、実際には相手が持ち合わせていないようなロマンティックな資質を相手に投影してしまうことがあります。
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家事に専念するのは苦手です。これは彼らの一番の鬼門です。IEIに対して家事をするように厳しく要求しても、困惑するだけで何の行動にも結び付かず、場合によっては喧嘩や争いを引き起こすだけで終わることもあります。
このような問題を納得のいく形で解決するために、IEIは家事を他人に転嫁しようとします。
多くの場合、IEIは自分の無力さを示して他人に助けてもらおうとします。それがうまくいかないと、IEIは急にきつい態度をとることがありますが、あまり馴染みがない人に対しては常に礼儀正しく穏やかです。
大切な人への愛を感じた時など特別な場合に限り、IEIは自分の内なる力を結集し、十分なエネルギーを投入して、自分の意志で家事をこなすことができます。
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IEIは自分の家で客をもてなすことが好きです。客に楽しんでもらうために、食卓を美しく整えようとします。彼らにとって、食事そのものよりも楽しい触れ合いや会話こそが重要なことであり、食事はそのための単なる手段にすぎません。IEIが客のために何かをする場合は、それがなんであれファンタジーの要素を取り入れて楽しませようとします(例えば客を迎え入れる時や客に指示を出す時、ハンドクラフトを飾る時など)。
その一方で、IEIは自分のために豪華な食事を用意することはほとんどありません。パンとジャム(たまたま冷蔵庫にある場合)だけの夕食で満足してしまうのです。
機能の概要
- 夢想家でロマンチストのIEIは、現実から遊離しやすいタイプです。彼らは出来事を感じ取り、そのダイナミクスに気づくことができます。人々の中に秘められた可能性や本質を見抜き、興味のある分野に新しいアイデアを提案することができます。
- 他人の気分に影響を与えることや、「感情的なうねり」を利用して他者から必要な反応を引き起こすことができます。圧力ではなく、温かさと誰でも受け入れるような懐の広さを示そうとします。道徳的な問題や行動規範について話すのが好きで、そうした問題に関する自分の観察をまわりの人に認めてもらおうとします。
- 仕事への適性は、もっぱら気分に左右されるので予測できません。頻繁に低エネルギー状態に陥るため、無理して仕事をすることは難しいです。形式的なヒエラルキー、組織化、体系化、こうしたことは全て彼らを苛立たせて疲れさせるだけであり、モチベーションを高めるために必要な「生きた魂」をこうした物事の中から見出すことができません。
- 世界の美しさや調和をよく感じとることができますが、実務は苦手で、繰り返し作業や正確な手順を踏むことも苦手です。
職業
IEIにとって最も好ましい仕事は、人道的な活動の領域で見つかります。例えば音楽、文学、芸術、出版・印刷、ジャーナリズム、テレビやラジオの放送、インタビュアーなどです。また、数学の分野で成功しているIEIもしばしば見受けられます。
訳注
- ^ 具体的には家事など。