彼らの世界は無限であり、流動的であり、多様であり、その状態は絶えず変化しています。ILIは連続する出来事の中に自分の居場所を見つけ、自分の可能性を実現することを目指しています。行動することが意味を持つのは、努力という行動を実行するのに最適な瞬間が見つけ出され、そうすべきだと彼らが頭の中で設定した時だけです。
強力な機能
Ni - 先導機能(第1機能)
内向的であるILIの意識は、常に内部で構築された想像上のモデルで動いています。彼らにとっての外界は、内的なイメージを発展させるための出発点としてのみ機能しています。ILIの主要な機能は時間の直観であるため、時間内のプロセスがどのように変化していくのかを、彼らは上手くモデル化することができます。
ILIの意識は、あらゆる期間を容易に包含し、世界を包括的かつ体系的に認識し、その中で起こっている全てのプロセスを動的に把握します。時間軸を自在に横断し、遠い未来を見通すことができます。したがって戦略的な予測の領域でILIに敵う人はほとんどいません。
ILIの想像力は世界をダイナミックな流れの中で捉えます。その中で全てが動き、全てが相互作用し、全ての人々が働き、何らかの動機に基づいて行動を起こしています。ILIは意識の中で人々の行動のモデルを生み出し、それを検証することで、ある人が現在行っている行動が将来どうなるのか、その結果を予測することができます。
先見の明があるため、彼らはある状況で人が何を言おうとしているのか、何をしようとしているのか、すでにわかっていることが多いです。そのため自分が全てを知っていて、全てを見抜いているように感じることもあります(ある意味では真実です)。また、問題の本質を見抜き、最終的な結果を思い描く能力は、洞察力に富んでいるようにも見えるため、ILIは賢く先見の明がある人、哲学者のような人だという評価を受けているかもしれません。基本的に彼らの予言は懐疑論的な色彩を帯びたものであり、彼らは周囲の人々が不必要な行動や軽率な行動をしないように警告することを好みます。慎重なILIは、何かをする前に何度も何度も確認します。また、他の人にも同じようにするように呼びかけ、焦って軽率な発言をしたり行動をしたりする人を批判します。
ILIの原動力の一つは、自分が価値ある存在だという感覚であり、それに関連して自己主張をすることです。多くの場合、ILIは自分が苦労せずに出来ることに関して他人が無能を晒すのを観察することで気分が良くなります。ILIの精神的な能力の多くは確かに高いです。このタイプの人は完璧な記憶力を持っていることもよくあります。この長所を生かして、疑問の原因を特定し、問題の全ての側面を理解し、博識さの礎となる巨大な基盤を構築します。
このタイプの人は、まさに百科事典のような知識を持っている人たちです。しかしILIには保守性もあります。これは、新しいもの、テストされていないもの、証明されていないもの、それがどこに繋がるのかはっきりしないものに対する不信感に表れています。ILIが持つ「自分を主張したい」「自分の存在意義を感じたい」という傾向は、「社会的に高い地位やステータスを得ようとすること」を意味しません。むしろ彼の傾向は、特定の知識の分野で出来るだけ自分を高め、自分の知覚性を可能な限り深めて、まさにこのNiの領域において他者に対する自分の優位性を感じようとすることを意味しています。
Te - 創造機能(第2機能)
ILIは進行中のイベントやプロセスのダイナミクスを調べ、そのダイナミクスを自分の望む方向に誘導することを目標にしています。結果を正確に予測した後、彼らは行動するのにふさわしい「正しい瞬間」を待ち、その瞬間が来るまで何もしません(ILIは不必要な行動を取ることを好みません)。見込みがあると判断したら、行動に移すのです。
彼らは同じ問題を解決する複数の方法を認識しています。そのため、優先順位をつけられないことが多々あります。ILIは急かされることを好まず、問題が「熟す」まで、そして思いつく解決策が、彼らの想像力の中には既に存在している物事の全体像にカチリとハマるまで待ちます。ある種の「保留」は彼らの特徴であり、将来何かあったとき修正できるだけの余地を残しておきたがります。
ILIの仕事への適性は非常に選択的です。適切な仕事や職業に就けば、驚くべきエネルギーと素晴らしい生産性を発揮しますが、その一方で眠れない夜が続いたり、極度の不安やストレスが数ヶ月から数年に渡って続いたりすることもあります。
ILIの仕事のスタイルは堅実で几帳面です。自分に合った仕事や職業を見つけられなかった場合、「なぜこんなことをしなければならないのか。こんなことをしても何もいいことはない」という風に疑念が増大します。そのあげく最低限の期待に応えることもできずに会社を解雇されたり、学校や大学を退学したりと大変なことになってしまいます。このような場合の彼らは無力であり、彼らの非合理性が自分自身の生存のための最小要件さえ満たすことを困難にしてしまって、「芯」のない無気力な人間になってしまいます。
脆弱な機能
Fe - 脆弱機能(第4機能)
感情の方向性をなかなか定められないため、ILIは自分の感情を隠すことを好みます。しかし何かに強く悩まされると、文字通り感情が溢れ出してしまい、自分をコントロールできなくなってしまいます。こうなることを防ぐために、他人とはなるべく心理的に大きな距離を保とうとします。馴れ合いはILIを苛立たせます。彼らは人間関係において冷静で礼儀正しい関係を望んでいます。
ILIは他人との交流における感情的な関与の欠如を、知的なゲームで補うことが多いです。彼らにとって人との交流はチェスのようなものであり、そこでの彼らの目的は、自分の能力を、そして他人の無能さを示すことなのです。自分の方が他人よりも知的に優れていると実感することが彼らの愉しみであり、自分の知的な優秀さを直接的または間接的に表現できる機会を見逃すことはありません。もしもこうした衒学的言動を抑圧するような環境で育った場合であっても、ILIは何か別の方法で静かに自分の虚栄心を満たそうとするでしょう。
信頼できる少数の人々とのコミュニケーションでは、ILIはオープンで誠実な態度をとることができます。時には驚くほどの優しさと寛大さを示し、自分にとって必要なものを手放すこともあります。ただしこれは、ILI本人にとって関心があるものを手放すというより、ILI本人としては無関心であると感じているものを手放すことの方が多いです(「感覚」はILIの弱点です)。
Si - 役割機能(第3機能)
健康、美意識、ライフスタイル、服装などの問題に関して、ILIは控えめで必要以上のことはしません。このような問題では見識が乏しく、彼らはそのような情報を(彼らから見て)有力な情報源から得ることを好みます。このような分野(例えば家庭のこと)について、彼らはあまりにも無力なので、他人に心配をかけ、本当の意味でのケアを必要とすることがあります。病気の際は医師の指示を守り、食事の指導や薬の処方箋に忠実に従おうとします。
このタイプの人の意志の性質は両極端です。あるILIは他人が羨むほどの強い目的意識、頑固さ、忍耐力を示すのに対し、別のILIはまるっきり惰性で生きていて、意志というものが麻痺していたりします。こうした両極端な面は行動にも見られます。ある時は過剰な意欲を示し、別のある時は消極性を示します。
結論として、ILIにとっては何よりも適切な職業を見つけ、自己実現することが重要であると言わざるを得ません。そうでなければ彼らの天賦の才能が伸びることはなく、全くの無駄になってしまいます。
職場と家庭でのILI
ILIは意識的にリーダーになろうとしているわけではありませんが、彼らの潜在的な虚栄心はリーダーになることで満たされます。彼らは自分自身を研究所、協会、大学の長にふさわしいと考えているからです。この確信は、一部のILIにとっては実際に正しい確信である場合もあります。この場合のILIの優秀さは、長期的な結果や成果を考える能力に支えられていますが、こうした能力はどのレベルのマネージャーにとっても最も重要な資質であることは間違いありません。
ILIは部下に対して敬意を持って接することを好みます。彼らは、ある同僚の能力やプロとしての可能性を見分け、その知識を活用することができます。しかし自信を持って部下に仕事を任せることができず、全てを自分でチェックしたがる傾向があります。また自分よりも上手に仕事をこなす人がいた場合、内心穏やかではいられません。
ILIは浮気知らずの善き家庭人でもあります。たとえパートナーが不寛容であっても、家族とは喧嘩をしたがらず、出来る限り争いから逃れたいと考えています。しかし危機的な状況になると「爆発」して自分をコントロールできなくなり、文字通りの狂気的な状態に陥ることがあります。そのような時には、家具や食器を壊したり、肉体的な暴力に訴えることもあります。彼らは子供を大切にします。特に子供の教育には力を入れ、自分の労力やお金を惜しみなく費やします。ライフスタイルや健康に関しては、大切な人に全面的に依存しています。
機能の概要
- 世の中のあらゆるプロセスをダイナミックに理解します。時間軸を自在に横断し、遠い未来を見通します。懐疑的で批判的です。直面している状況に応じて、彼らは未来の展望から得た様々な選択肢の中から最適なものを選びます。
- 仕事への適性は非常に選択的です。適した仕事に就くことができれば、誰もそれを止めることができないくらい疲れ知らずに働き続けます。様々な案件ごとに適したチームを上手く見つけ出します。几帳面な性格で、システム内の複雑に絡み合った情報を巧みに解きほぐすことができます。
- 常に自分の感情をコントロールし続ける自信がないため、なるべく感情的な行動をとらないようにしています。感情をコントロールできなくなると、他人や自分自身に対して思いもよらない行動をとったりします。親しい人とは心理的に近い距離で付き合うことを好み、礼儀正しく、時間をかけて関係を築いていこうとしますが、ILI自身が気付かないうちに他人を怒らせてしまうことがあるため、必ずしも成功するとは限りません。
- 快適で居心地の良い家に住みたいと思いつつも、それを実現するために自分の時間や資源を使いたくはないので、他の人にこうした問題を任せようとします。やらなくてはいけないことがあったとしても、自分のやる気を自分で引き出すということが難しいタイプであるため、意志というものが麻痺しているように見える状態になることもあります。この「麻痺」を解くためには、外部からの干渉が役立ちます。
職業
ILIは、政策、財務、科学、軍事研究など、戦略的な予測が必要とされる場所であれば、どこでも素晴らしい活躍をすることができます。感覚タイプの助けを借りることで、あらゆる規模のグループを率いることができます。また哲学や芸術などの人道的な分野にも興味を持ちやすいです。