15種類あるレーニン二分法の一つ。
表記ゆれ:
賢明(Judicious)/果敢(Decisive)
道理に合った(Reasonable)/毅然とした(Resolute)
周辺性・末梢性(Peripheral) / 中心性・中枢性(Central)
タイプ分類
賢明:
アルファクアドラ(ILE, SEI, ESE, LII)とデルタクアドラ(IEE, SLI, LSE, EII)
果敢:
ベータクアドラ(SLE, IEI, EIE, LSI)とガンマクアドラ(SEE, ILI, LIE, ESI)
α | β | |||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
ILE | SEI | ESE | LII | EIE | LSI | SLE | IEI | |
賢明 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ||||
果敢 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ||||
γ | Δ | |||||||
SEE | ILI | LIE | ESI | LSE | EII | IEE | SLI | |
賢明 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ||||
果敢 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
典型的な特徴
賢明
- 自然状態はリラックス状態です。
- あらかじめリラックスした状態でいて、必要な時だけ動員すると最も効果的に働けます。
- 動員→リラックスは簡単ですが、リラックス→動員は難しいです。また、リラックス→動員には外部からの働きかけが必要になります。
- 問題を小さな段階に分割し、各段階ごとに動員します。そして段階と段階の間でリラックスする傾向があります。
- 自分の動員が顕在化すると同時に、つまり行動を検討し始めると同時に、それを意識します。しかし、最も強く動員する時期、つまり行動の時期についてはあまり意識していないことが多いです。
- 準備段階に焦点を当て、最も重要視しています。「行動」の段階は暗黙的で、あまり注意を向けません。
- 労働条件(例:快適さ、自由、利便性)を、結果と報酬(例:給与)よりも重視します。
- 「賢明」の態度は「内向性」によって強化されます。
- リラックス状態よりも動員状態の方が、自分の状態をより意識しています。
- 「検討というのは素晴らしい時間です。検討している間は、まだ決定する必要はありません。その後何もする必要がないのなら、なおさらです」
果敢
- 自然状態は待機状態です。
- やるべきことに備えて動員し始めることが出来る場合、最も効果的に働けます。
- リラックス→動員は簡単ですが、動員→リラックスは難しいです。動員→リラックスには外部からの刺激(例えば映画鑑賞)が必要になります。
- 一度に全てのタスクを実行する傾向があります。タスクの合間に内的な「待機状態」を確保する傾向があります。
- 自分が最も強く動員する時期、つまり行動の時期を意識しています。一方、準備段階は暗黙的で、あまり注意を向けません。
- 行動を起こすことに最も重点を置き、「準備」の段階は暗黙的で、あまり注意を向けません。
- 結果と報酬(例:給与)を労働条件(例:快適さ、自由、利便性)よりも重視します。
- 「果敢」の態度は「外向性」によって強化されます。
- 動員状態よりもリラックス状態の方が、自分の状態をより意識しています。
- 「検討に時間をかけすぎる必要はありません。それは常に決断を下されることで終わります」
拡張された特徴
2003年のレーニン特性の研究から取得。
賢明
- 賢明なタイプは、自然な状態でリラックスしています。目的を達成するために必要なときだけ動員され、集中します。タスク完了後、再び動員を解除します。この動員解除の状態は、賢明なタイプの自然な状態です。
- 何か重要な仕事に取り組む前に、この自然な状態である「弛緩状態」の時間(リラックスして気を紛らわす時間)を過ごすことが必要です。休めば休むほど、その後の動員と集中力が高まり、重要な瞬間のパフォーマンスおよび全体のパフォーマンスが向上します。難易度が高ければ高いほど、事前の休息が重要になります。
- 賢明なタイプの動員状態(高活動状態)から弛緩状態(低活動状態)への移行は問題になりません。しかし自分自身を「動員」させようとする時に、彼らは困難を経験する可能性があります(自然な状態を離れることになるため、このタイプの場合、動員への移行が困難です)。動員されるためにはある種の刺激(外的要因が彼らに行動を強制するか、他の誰かが彼らのために行動する状況に身を置く傾向があります)。
- 賢明なタイプは、大きなタスクをいくつかの小さな段階に分けて行う傾向があります。各段階を実行するために動員し、段階と段階の間に自然なリラックス状態に戻ります(リラックス状態に戻るのはとても簡単です)。
- 行動を起こすことを検討し始めた段階で(つまり動員し始めか、最も低いレベルの時に)、自分が待機状態に入ったことを自覚します。自分が決定を下した瞬間の認識が乏しく、あまりよく覚えていないことが多いです。
- 賢明なタイプは、準備段階(議論したり、選択肢を提示したり、どちらかを選択するといった段階)をより強く認識し、その段階により価値を置きます。この段階に、より多くの時間と労力を費やします。決断を下して実行する段階は、まるで暗示でもかけられているかのように重要視されず、注目されません。
- 仕事では、ある程度の利便性、自由、快適さを求めるタイプです。職場(彼らが実際に働く環境)を、労働条件から評価する傾向があります。賢明なタイプは利便性を放棄することはありません。成果(例えば金銭的な報酬)のために労働条件を犠牲にするつもりはありません。
- 会話の特徴:賢明なタイプは、ある決断に至った経緯や理由を説明しますが、それを実行に移した瞬間は強調しません。仕事についての会話では、労働条件(利便性、休憩の長さ、通勤時間)について話します。
果敢
- 果敢なタイプは、実際に必要になる前に、無意識のうちに次のタスク実行の準備のために動員されていることが多いです。タスクを達成した後、果敢なタイプはその後しばらくの間動員の状態のままになります。 待機状態が彼らの自然な状態です。
- 果敢なタイプは、重要なタスクが終了するまで、自然な動員状態にとどまる必要があります。動員が効果的であるほど、休息はより充実したものになります(「仕事に行かないと、休むことができません」)
- 必要なタスクを完了した後、動員状態からなかなか抜け出せません(多くの場合、この状態は焦点の定まらない考え無しの活動として表れます)。したがって果敢なタイプは、しばしばその後の追加の外部刺激を必要とします(「テストの後で映画を見に行きます」といった計画を立てたりします)。それ以外の方法として、作業を忘れてリラックスするために他人の力を借りることもあります。
- 果敢なタイプは、これから行う大きな仕事を段階的に分けるということはしません。その代わり、タスクが全体として達成されるように、タスクを実行する全期間にわたって動員し続けることになります。タスクが完了しないうちから、内面的には他のタスクを実行する待機状態に入っています。
- 果敢なタイプは、決定を下した瞬間、つまり動員状態が十分に高いレベルに達したときに、自身の動員の状態に気づきます。彼らは決定を下す瞬間をはっきり認識しており、また、そのことをしっかり覚えています(「私はそれを決定しました」)。
- 果敢なタイプは、決断した瞬間から、自分が関与する段階について、よりはっきりと認識することができます。実際の作業を最も重要視しているため、より多くの時間と労力を費やして作業を行います。準備や計画段階に対する評価や認識と、その後の決定と実行段階に対する評価と認識を比較すると、彼らの中では前者の評価のほうがより低く、また、はるかに曖昧な認識しか持っていません。
- 果敢なタイプは、結果(例えば報酬やボーナス)のために仕事をする傾向があります。そのためであれば快適さや利便性を捨てることが出来るため、賢明なタイプとは対照的です。彼らは、投資した労力に対して、どのようなリターンが得られるかという点から職場を評価します(金銭的報酬を含む)。
- 会話の特徴:果敢なタイプは、決定を下した瞬間を強調し、実行の段階を詳細に語ります。仕事に関する会話では「成果」「決定」「結果」について話す傾向があります。「お金」という言葉の使用頻度が高いです。
注釈
賢明/果敢の根本的な違いは、困難で重要な仕事を行う際に作り出す「動員 - 活動 - リラックス」のサイクルにあります。
「自然状態」という概念は個人の存在の全過程を指し示しているわけではなく、このサイクルの中にある特定のポイントのみを指し示しています。
賢明なタイプの自然状態は休息状態・弛緩状態です。
果敢なタイプの自然な状態は待機状態・動員状態です。
どちらのタイプもコントラストによってこれらの状態を明確に区別することができます。
賢明なタイプは「動員状態」に目覚め、果敢な型は「休息状態」に目覚めながら、意識的に本来の「ベース」となる状態から離れ、「力ずく」で必要な状態に持っていきます。
仮説
- 果敢な感覚タイプにとって、動員は感覚に関係するものであり、生理的なもの、身体の状態です(彼らにとって動員とは身体の緊張として認識されるものです)。果敢な直観タイプは、内的な覚悟やひらめきに似た動員状態を経験します(そしてそれに応じて説明します)。同様に、賢明な感覚タイプにとっての休息状態とは、身体へのプレッシャーやストレスがない状態、つまり身体的な感覚・状態を示します。賢明な直観タイプは主に、相反する状態が交互に現れる一定のリズムを感じます。つまりリラックスや弛緩を注意の発散として認識され、動員は注意が収束する焦点として認識されます。
- 果敢なタイプは、彼らが行った決定を彼ら自身のものと見なし、状況を選択する際の周辺要因として捉えます。賢明なタイプは、自分の決断を「状況によって強制されたもの」「やらざるを得なかったもの」と捉えることが多いです。
- 果敢なタイプより賢明なタイプの方が、エネルギーを分散させることができ、支出を見積もることも出来ますが、果敢なタイプは、長期間にわたって高いレベルで「充電したエネルギー」を維持できます。
- 果敢なタイプは、「キャンペーン」方式で仕事を進めることを好みます。報酬をたくさん必要としている場合、何日も何週間も集中的に働き、その後から休息と余暇の時間を確保します。賢明なタイプの人にとって、こうした「キャンペーン」という仕事のやり方は不自然なものです。彼らは仕事を「小分け」にして進めることを好みます。
- 外向性と内向性という志向は、この二分法の現れ方を強化します。外向性は「果敢」を強調し、内向性は「賢明」を強調します。
例
賢明
「大きな試験の前日には勉強しません。散歩に出かけたり、軽く読書したりします」
「意図的にリラックスすることはありませんが、6時まで起きていることもありません」
「夜10時までには、全てが終わっているように調整します。いつもと同じように夜を過ごします。なぜそれについて、とやかく言われなくてはならないのですか?」
「疲れた時は必要なだけ休みます」
「一つの問題に長く取り組むべきではありません。別の機会まで延期してください」
「決断を下す瞬間に取り組むのは難解なことです。明確に判別できません。準備段階と決定するという行為は自動的に行われますが、その後に起こることは、それに関係していません。決めること自体が行動であり、いつでも決定しなおすことが出来ます」
「考えること、これが本当の仕事であり、その後の決断するという行為そのものは意に留めるものではありません。もし何かをする必要がある場合、それをせざるを得ない状況を心の奥底で感じることができます。そんな状況に自分を追い込みます」
「これは必要なのか、不要なのかという主要な選択肢があって、そこから物事が発展していきます。無意識のうちに何となく決まって、さらにそれが受け入れられたとしても、それに着手するとは限りません」
「検討は素晴らしいものです。それでも決める必要はありません。その後、何もしなくていいのならなおさらです」
「何かを決める前にはたくさん話し合いますが、どのような決定が下されたかは把握できていません」
「いくつかのバージョンでモデル化しました。まるで、すでにやったことがあるかのように」
「何かタスクを与えられたら、長い時間をかけて慎重に検討します。最終的に何かをすることを決心したとして、その瞬間は私にとって決定的な瞬間だとは言えません」
「仕事の中でメインとなる物事は、組織化の自由と選択の自由です」
「燃え尽きないようにするために、充電するための時間は非常に大切です」
「自分だけの快適な職場が欲しいです」
果敢
「まず一押ししてやってみて、それから休もう」
「試験前に、誰かが私の気をそらそうとしたり、誰かに絡まれたりすると、かなり苛立ってしまいます。注意力が散漫になってしまうから、言い換えると『ひらめき』が散ってしまうからです」
「時々あまりにも疲れすぎてしまって眠れなくなることがあります」
「何日も休みなく卒論を書いていましたが、それから家に帰って、そのまま倒れてしまいました」
「決断する時に迷いや揺らぎはありません。そういったものは決断を下すよりも前に起こるものです」
「私はいつも自分がどんな決定を下したかを記録しています。何かを決定するたびに、肩に責任の重荷がのしかかってくるように感じます」
「私は議論と検討のプロセスに長々と囚われはしません。それは決定を下せば終わることです」
「映画を観ると決めたら映画を観ます」
「決定を下した瞬間のことは当然覚えています」
「人が何かを語るとき、それがたとえ提案でしかないものであっても、私はそれを行動への合図だと受け止めてしまいます。行動を起こすかどうか決める段階は、あくまで中間段階にすぎません。なぜなら決定が下されたとしても、まだ何かがなされたわけではないからです」
「結局何か決まったの?決まってないの?どっち?」
「仕事は面白いものでなければなりませんが、報酬のことはもちろん考慮しています」
「私はお金のために働いています。自由時間は関係ないと思っています。私は自分に支払われる金額に見合う分だけ働きます」
理論的性質
賢明:
尊重する機能 Si, Ne
控え目な機能 Se, Ni
果敢:
尊重する機能 Se, Ni
控え目な機能 Si, Ne
尊重する機能と控えめな機能については、記事「ソシオニクス クアドラ」を参照。