本記事ではアマトリカの発達・劣化段階について説明する。そもそもアマトリカとは何かという場合は、記事「アマトリカ」参照。
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4つの発達段階と4つの劣化段階
エロス・アガペー・ストルゲ・フィリアにはそれぞれ4つの発達段階(リビドーパターン:建設的でポジティブなものとして関係を認識するパターン)と4つの劣化段階(デストルドーパターン:破壊的で不安定な関係として認識するパターン。ネガティブで、口論や暴力、破壊につながるパターン)がある。
ポジティブ | ネガティブ | ||
---|---|---|---|
元型 | 発達段階 | 元型 | 劣化段階 |
エロス | ① キュート | マニア | ① 拒絶 |
② 恋人 | ② 誘惑 | ||
③ 配偶者 | ③ 不貞 | ||
④ アイドル | ④ 躁暴 | ||
フィリア | ① バディ | フォビア | ① 隠者 |
② フレンド | ② 敵対者 | ||
③ コンパニオン | ③ 裏切者 | ||
④ ヘッド | ④ 追放者 | ||
アガペー | ① アシスタント | プラグマ | ① 乞食 |
② レスキュー | ② 犠牲者 | ||
③ ガーディアン | ③ 害虫 | ||
④ パトロン | ④ キラー | ||
ストルゲ | ① 生徒 | ティラニー | ① ロスト |
② 教師 | ② 批評者 | ||
③ 助言者 | ③ 詐欺師 | ||
④ 賢者 | ④ 狂人 |
ポジティブな元型には、人生経験や長期の休息によって補充される、自己実現のための心理的リソースが必要になる。
ネガティブな元型は、ネガティブな環境、ネガティブな個人的偏見や態度によって生じる。
機能の位置に関係なく、全ての機能が全ての段階になりうる可能性がある。
エロス(E)
エロス:リビドーパターン
エロス(Эрос, Eros)には、発達段階ごとにキュート、恋人、配偶者、アイドルの4種類の元型が割り当てられている。
① キュート(Милый, Cute)
エロスの最初の段階。初対面の人相手に「かっこいい、かわいい」と感じるような、気軽で無邪気な段階。自分の頭の中にある「理想の恋人像」を他者に投影している段階。
② 恋人(Любящий, Loving)
エロスの二番目の段階。付き合い始めたばかりの、恋の情熱あふれる段階。互いの性的魅力をより強く感じるようになっていく楽しい恋愛の段階。
③ 配偶者(Супруг, Spouse)
エロスの三番目の段階。相手を自分のただ一人の配偶者として選び、結婚した段階。浮かれた恋の段階は過ぎたものの、さらに深い愛情で結ばれている。
④ アイドル(Кумир, Idol)
エロスの四番目の段階。① キュート、② 恋人、③ 配偶者という全ての段階の経験を統合した、エロスの完成形としての段階。相手に投影した「理想の恋人」への愛ではなく、現実に生きている人間への愛を知った段階。
他者に「理想の恋人」を投影せずとも愛を実感できる段階であるため、この段階のエロスは自給自足的なものになる(他者に投影している場合、現実の人間と「理想の恋人像」と現実の人間のギャップに一喜一憂することになるが、投影を止めた解放された結果として、現実の恋人が自分に何をするか、しないかに関わりなく、相手への愛を自ら育めるようになった段階)
マニア:デストルドーパターン
マニア(Мания, Mania)には段階ごとに拒絶、誘惑、不貞、躁暴の四つの元型が割り当てられている。
なおカタカナにすると空目しそうになるが、「アニマ(Anima)」ではなく「マニア(Mania)」なので注意。マニア(Mania)は躁的な狂気を意味する。
① 拒絶(Отвергнутый, Rejected)
キュートの反対にあたる段階。自分自身も、自分の好きなものも愛せない。自分を愛せない裏返しで、他人に「ありのままの私を愛して、受け入れて」と迫るようになる。
苛立ち、悲しみなどのネガティブな気分に悩まされる。ここで慰めてくれるような人に出会えない場合、より状態が悪化する。
十分な睡眠と休息を取れば改善することもある。
② 誘惑(Искуситель, Tempter)
恋人の反対にあたる段階。① 拒絶の「愛への飢え」が悪化した段階。
愛を求めて手当たり次第に関係を持とうとするが、どこまでいっても自分自身による自分自身への愛が不足しているのを埋められないため、「自分を本当に愛してくれる人など存在しないのではないか」という気持ちを払拭できない(自分を愛せない自分自身を他者に投影している)。
手っ取り早く愛を感じられそうな好意として、肉体的な繋がりを求める傾向が強まる。
③ 不貞(Изменник, Unfaithful)
配偶者の反対にあたる段階であり、②誘惑がさらに悪化した段階。
目の前の現実に生きる人間を、ただ自分の頭の中の「理想の恋人」の代替物として見る。理想像に合わないと感じると、次々に相手を捨てて乗り換えていく。現実の人間が頭の中の理想の恋人像と常に100%一致することは有り得ないので、一人の人間を選ぶことができなくなってしまう。
悪い意味でかなり行動的になる。通常この段階までいってしまうと、そこから抜け出すことはほぼ不可能。性的なイメージに惹かれる傾向が非常に強くなる。
④ 躁暴(Маньяк, Maniac)
アイドルの反対に当たる段階であり、③不貞がさらに悪化した段階。この段階では、理想の恋人の肉体を手に入れたいという絶え間ない渇望に支配されている。
病的な性欲に駆られた結果、犯罪行為を犯す危険さえある(例えば③の段階では理想像と合わない言動を相手がとった際に、暴力を振るって自分の理想通りの言動をとるよう相手に強いるなど)。
フィリア(F)
フィリア:リビドーパターン
フィリア(Филия, Filia)には、発達段階とにバディ、フレンド、コンパニオン、ヘッドの4種類の元型が割り当てられている。
① バディ(Приятель, Familiar)
フィリアの最初の段階であり、他者との繋がりを構築し始めたばかりの段階。まだコミュニティにおける自分の立ち位置を確立できてはいないものの、一定のコミュニケーションの輪は形成されている状態。
② フレンド(Друг, Friend)
フィリアの二番目の段階。自分を表現できる、安心感、信頼感のあるコミュニティが形成された段階。似たような興味を持つ者同士が集まっていることが多い。
③ コンパニオン(Соратник, Associate)
フィリアの三番目の段階。互いを完全に信頼し、ただの友達以上の関係になったコミュニティが形成された状態。共通の目標に向かう準備ができている。
④ ヘッド(Глава, Chapter)
フィリアの最終段階。自分がコミュニティで本当に果たしたいと思う役割を見つけ出し、それを果たせるようになった段階。(無理してそのような役割を演じることが出来るようになった段階ではなく、自然に、自分が望む役割を果たせている状態)
フォビア:デストルドーパターン
フォビア(Фобия, Phobia)には、段階ごとに隠者、敵対者、裏切者、追放者の四つの元型が割り当てられている。フィリアの親しみやすさの代わりに、恐怖と不安、孤独感が生まれ、それが攻撃性へと変わっていく。
① 隠者(Отшельник, Hermit)
バディの反対にあたる段階。自分自身に向き合うことを避けるために、他人との関係も避け始める。
自然な状態で人と交流できているバディとは逆で、自然な自分を隠した人付き合いしかできないため、仮に人との交流があったとしても、内面的な不安定さのせいで散発的にしか付き合えず、長続きしない。
注意として、これは自然状態が「平均的な人間よりも社交的ではない人(例えばビッグファイブの外向性が平均未満の人)」を指しているのではない。なんらかのストレスが原因で一時的にこうなっている状態のことを指している。
② 敵対者(Неприятель, Enemy)
フレンドの反対にあたる段階。フレンドの真逆であり、信頼のない人間関係・自己開示できない人間関係において陥る段階である。
この段階では他者が「敵」と同じ意味を持つようになる。敵意と不信感に満ちていて、「素直に自分を表現すると、そこに付け入られるリスクがあるかもしれない」という不安感がある。
「敵」への牽制に役立ちそうであれば、自分の本心を隠すだけではなく、表現することもある(ただしこの場合もフレンドのポジティブな自己開示とは違って、敵意と拒絶に満ちた形にしかならない)。
「ありのままの自分は受け入れられないかもしれない」関係性を続けているうちに、他人との関係だけではなく、自分自身との関係も断絶していくことになる。
③ 裏切者(Предатель, Traitor)
コンパニオンの反対にあたる段階であり、① 隠者の一時的な交流回避の段階や、② 敵対者の「他人は敵かもしれない」と感じる段階より悪化した、「他人は敵だ」と感じる段階である。
コンパニオンが「自分の仲間ならきっと自分やコミュニティ、社会、世界にとってプラスになる何かをもたらしてくれるに違いない」という信頼があるのに対して、③ 裏切者は「この人たちは明確な悪意を持った敵であり、絶対に自分や世界にとってネガティブな何かをもたらすに違いない」という絶対的で継続的な不信感がある。
他者との交流はゼロか、もしくは露骨な敵意と否定的な言動に満ちた関係かのどちらかである(はっきりとした形の拒絶だけではなく、受動的攻撃的な形での拒絶も含む)。
受動的攻撃的とは:何か嫌なことがあった時に、はっきり言葉に出して拒絶・反抗するのではなく、むしろ何も言わないままサボったり、無視したりするなどの消極的な形で拒絶・反抗すること。
④ 追放者(Изгой, Outcast)
ヘッド(自分の周囲にコミュニティを築く段階)の反対にあたる段階。
「自分は絶対に受け容れられない」「他人はみんな敵」という認識が完全に固定化してしまい、他者と交流の一切を拒絶し、他者と信頼関係を築いたり、コミュニティを作ったり、参加したりすることが全くできなくなった段階。
自力でこの段階から抜け出すのはほとんど不可能に近い。
アガペー(A)
アガペー:リビドーパターン
アガペー(Филия, Agape)には発達段階とにアシスタント、レスキュー、ガーディアン、パトロンの4種類の元型が割り当てられている。アガペーは、人間関係におけるサポート、ケア、援助に対応した側面である。
① アシスタント(Помощник, Assistant)
アガペーの最初の段階。経験が不十分で、十分な支援は出来ないものの、人から助けを求められれば、喜んで一時的なサポートを行うだけの前向きな意欲がある段階。
② レスキュー(Спасатель, Saver)
アガペーの二番目の段階。他者を支援する経験やスキルが充実した段階。助けを求められずとも、自分から継続的にサポートをしたいという強い意欲がある。
③ ガーディアン(Опекун, Guardian)
アガペーの三番目の段階。ただ「大切な人の役に立つ」ことに焦点を合わせて、独りよがりではない柔軟なサポートを行えるようになった段階。
④ パトロン(Покровитель, Patron)
アガペーの最終段階。相手から見て「かけがえのない支援者」としての立場を確立した段階。本当に必要とされている支援は何かを見つけ出し、安定的に支援する中で、他者から見ても「これこそが本当に必要とされていた支援の形だ」と思えるような、ある種の支援の正解の形に到達した段階。
プラグマ:デストルドーパターン
プラグマ(Прагма, Pragma)。段階ごとに乞食、犠牲者、害虫、キラーの四つの元型が割り当てられている。アガペーの他者への気遣いだけでなく、自分自身への自信も失われ、心理的疲労感、無力感が生じる。こうした無力感が悪化すると、次第に怒り、苛立ち、復讐心が生じ始める。
① 乞食(Просящий, Begginger)
アシスタントの反対にあたる段階。自分には助けが必要なのに、他者からの支援や配慮が不十分だと不満を感じる。
自分の能力への自信の低下や、他者への過剰な要求が、この段階に陥るきっかけになることがある。
世間は十分に自分を気に掛けてくれないという気持ちが無気力感を生じさせる。何もしたくないという願望が生じることもある。
② 犠牲者(Жертва, Victim)
レスキューの反対にあたる段階。「どうせ自分には何もできない」と開き直って、成り行き任せで受動的になった段階。
仮にその状況を見た誰かが、自分の足で立ち上がるための支援をしてくれたとしても、何かと否定的な理由をこじつけて支援を拒絶してしまう。
自分が上手くいかない原因だと思えるような誰かや何かへの不平不満を言う以外は何もしようとしない。しつこい疲労感や精神の耗弱状態に悩まされる。
③ 害虫(Вредитель, Pest)
ガーディアンの反対にあたる段階。
他者に利益をもたらすガーディアンとは逆に、他者(特に②犠牲者の段階で不平不満を言ってた対象)に害となるような破壊的行動を取り始める。この場合の破壊的行動には、突発的な行動もあれば、執拗に続けられる行動もある。
また、そのような行動を「自分は悪くない、世間(または自分の親や、それ以外の誰か)が悪い」と正当化し、人に害を及ぼす行動に喜びを見出すようになる。
④ キラー(Убийца, Killer)
パトロンの反対にあたる段階。本人にとっても社会にとっても有益であるはずのものを否定し、破壊しようとする段階。
自分に苛立ちを引き起こす他者(特に②犠牲者の段階で不平不満を言ってた対象)を完全に破壊するために、極めて攻撃的な行動を取り始める。「これは苛立ちから逃れ、問題を解決するために必要な行動だから仕方ない」と正当化する。
第1プラグマ(例:AEFSなど最初がAのタイプ)がこの段階まで落ちた場合、自分の行動を正当化し、計画、実行に移すという形で表れることが多い。
第2プラグマの場合、このプラグマのテーマ自体が主目的になるのではなく、もっと他の何かのついでに、この段階の破壊的行動をとろうとすることが多い。
第3プラグマの場合、第1プラグマと違って自分の破壊的な行動を正当化したりはしないものの、「無意識のうちに」「偶然」そうした破壊的行動をとってしまうことになる。
第4プラグマの場合、「犯罪を犯すことで問題を解決する」というある種の原始的なテンプレートに従って、あまり深く考えずに破壊行動をとることが多い。
ストルゲ(S)
ストルゲ:リビドーパターン
ストルゲ(Сторге, Storge)には、発達段階とに生徒、教師、助言者、賢者の4種類の元型が割り当てられている。ストルゲは自分と他者が向かうべき方向性を定めて、人を導いたり、アドバイスしたり、養育することに関する側面である。
① 生徒(Ученик, Pupil)
ストルゲの最初の段階。新しいことを学んで、自分の世界を広げようとする意欲に満ちている。自分に自信をつけて、より責任ある立場に立つ準備をする段階である。
② 教師(Учитель, Teacher)
ストルゲの二番目の段階。カリキュラムやスケジュールを作り、他の人々や自分自身を成長させる。楽しみよりも、知的に洗練されていること、厳格さ、教科書的な正しさを重視する。
③ 助言者(Советник, Advisor)
ストルゲの三番目の段階。教育の実践的な経験を積み、教科書的な正しさよりも深い理解に至り始めた段階。厳格で硬直的なカリキュラムに終始せずに、周囲の人々の実態を踏まえて、より柔軟で適切な教育スタイルを生み出すようになる。
④ 賢者(Мудрец, Sage)
ストルゲの最終段階。③助言者の段階を経て、外界との様々な交流を重ねながら教育経験を積んだ結果、自然に自分の教育や知性のスタイルに独自性が生まれ、それを実感として感じられるようになった段階。(独自性を求めた結果としての独自性ではなく、どこで、誰に教育したかに依存して自然に生じた独自性。AさんやXという集団にとって適切になるよう試行錯誤して生まれた教育と、BさんやYという集団にとって適切になるようにした教育が異なるが、この場合の独自性は、この「誰を相手にして試行錯誤してきたか」に依存して生じるものを指す)
②教師の段階で見られたような形式主義への傾倒はなく、現実の人々や世界に対してオープンに開かれている。
プラグマ:デストルドーパターン
ティラニー(Прагма, Tyranny)。ストルゲのデストルドーパターン。ティラニーは圧政・暴虐・独裁という意味。段階ごとにロスト、批評者、詐欺師、狂人の四つの元型が割り当てられている。
このパターンに陥ると、自分がどこへ向かえばいいのかわからず、自分の考えに自信も持てなくなっていく。周囲の人々や社会に闇雲に反抗したり、最終的には「いっそ狂ってしまいたい」と思うようになっていく。
① ロスト(Потерянный, Lost)
生徒の反対にあたる段階。
ストルゲのリビドーパターンである① 生徒と同様に、自分がどこへ向かえばいいか模索しているが、生徒とは違って勤勉さや忍耐を嫌い、手っ取り早くて楽な方法に飛びつきたがる。
状況に不満を抱き、それを変えたい、間違いを正したいと願っているが、それが建設的な形ではなく、非建設的な怒りや反抗心として現れる。
② 批評者(Критик, Critic)
教師の反対にあたる段階。「自分の正しい考え」を相手に認めさせたい、相手に影響力を与えたいという欲求を持ち、他者を自分の支配下に置くために苛烈な批判をする。
自分の意見を冷静に、体系的に伝えるのではなく、相手のプライドをへし折るような粗探しをて、相手の弱点や問題を大げさに吹聴し、攻撃しようとする(さらには、そうして攻撃された相手の反応を悪用して、より圧力をかけようとする)。
第2機能がストルゲである場合(例:ASEFなど、二番目にSがあるタイプ)は、ある程度自分がどう見られるかを気にして取り繕うところがあるが、第1機能がストルゲであるタイプの批判はかなり鋭く、苛烈なものになることが多い。
第3ストルゲの批判は質問じみた形を取ったり、懇願じみたものになりやすく、第4ストルゲの批判は、仮に発言自体は痛烈であったとしても「もっとこうするべき」というビジョンが欠けていることが多い。
③ 詐欺師(Обманщик, Cheater)
助言者の反対にあたる段階。「詐欺」とあるが、これは「自分の掲げる方向性や、それを探すためのアプローチ方法の不健全さ」から目をそらそうとしているという意味で、自分自身に対して詐欺的・欺瞞的である。
第1ストルゲの場合、「進むべき道」を掲げていて、それに向かって最後まで突き進もうとするが、同時に内心では本人自身がその道のおかしさや不健全さを認識しているため、表向きにはあまり表現しなくなる(内面的には「妄信したい」という自分と「おかしいんじゃないか」という自分が絶えずせめぎ合い、深刻な対立が起こっている状態)。
第2ストルゲの場合、掲げる「進むべき道」自体は柔軟ではあるものの、第1ストルゲよりも他者を巻き込む傾向がある。
第3ストルゲの場合、特定の「進むべき道」を掲げたり、追求したりするのではなく、近視眼的に「間違い」「欺瞞」を避けることに終始していることが多い。
第4ストルゲは、外部の規範や権威に盲従し、依存してしまう。
④ 狂人(Помешанный, Crazy)
賢者の反対にあたる段階。何か(イデオロギー、狂信、アルコールや薬物など)にのめり込み、自分が掲げた「進むべき道」を進むために、あらゆるものを犠牲にしようとする段階。
他者と全く接触せずに、自分の夢の世界に没頭する場合もあれば、そうした夢の世界に他人を引きずり込もうとすることもある。
リビドーパターンの賢者も、自分独自の思考世界を持っているが、賢者の思考世界が本人にとっても他者にとっても健全で有益なものであるのに対して、狂人の思考世界は不健全で害を及ぼすものである。
この段階に落ちた第1ストルゲの場合、自分の世界に没頭して抜け出せなくなることが多いが、第2ストルゲの場合、場合によっては目的がなく、プロセス自体のために不健全な依存に陥る場合がある。
第3ストルゲは自分自身にせよ外部世界にせよ、一切の権威が崩壊したアナーキーな世界で彷徨う狂人になり、第4ストルゲの場合、外部の権威から押しつけられた不健全で狂気に満ちた指示や教義に盲目的に従うような、無責任な寛容さに陥ることがある。