男性の場合
信頼できて、きちんとしていて責任感のある男性です。そのうえ姿勢が良く、胸を張って堂々としているため、まさに軍人のように見えます。あらゆる制服が似合うタイプです。短く切りそろえた髪と相まって、どんな服を着てもビシッと引き締まって見えます。バタバタと動き回ったりなどしません。いつも冷静に、慎重に動きます。開放的で、意欲的で、男性的な顔つきを見れば、決してこのタイプの男性が、陰謀に夢中になったり、捏造したりするような人物ではないことが、すぐにわかるでしょう。
初対面の人と話す際には、礼儀正しく、善意に満ちた会話者として接します。フレンドリーに微笑み、あなたに会えてどれだけ嬉しいかを示そうとするでしょう。彼の普段の内気で陰気な顔は、まるで魔法のように魅惑的な笑顔に変わります。
会話に適した話題がない場合、あまり多く話そうとはしません。また、ゲストの輪の中で「司会者」になろうとする人でもありません。彼は体系的な思考を持っています。もしもあなたがふさわしい話題を提案するのであれば、それを活かしてコンピューターの仕組みから芸術や愛といった概念まで、何にでも論理的な根拠を示してくれることでしょう。
少し刺激を与えてみたり、冗談を言って笑わせてみれば、彼がすぐに元気になって笑顔で応じてくれるのがわかるはずです。一般的に、このタイプの男性はホリデー、カーニバル、劇場の雰囲気が好きです。レストランや、明るく美しいショーに出かけて、楽しい時間をすごすような人です。ディスコの陽気なお祭り騒ぎに巻き込まれ、オフィスの新年会では赤い帽子をかぶって走り回り、バカ騒ぎに興じます。
そうやって陽気な空気に染まるだけではなく、厳格でドライな性分であるはずの彼自身、なぜ自分がそこまで反応してしまうのかわからないほど、猛烈に何かに感動してしまったり、感傷的になってしまったりすることもあります。例えばメロドラマの主人公に感情移入してしまって、気付いたら涙を流していることがあります。解雇されても仕方がないようなことをした同僚を見て、本人にとっても全く予想外なほど、同情心でいっぱいになってしまうこともあります。同僚の身内が病気になったり、犬が突然死したり、妻が浮気したりした場合など、特にそうなりやすいです。
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このタイプの人の主な夢は、自分の人生に混乱や不確実性がなく、周囲のすべてが理解可能で信頼できるものになることです。彼は自分の人生の計画を立てますが、急な変化には痛烈に反応します。さらに、彼にとって将来の出来事がどのように発展していくのか見通すのは困難なことですが、それにも関わらず頑固なまでに周囲の人の諫言に耳を傾けようとしないこともあります。こうした全てのせいで、実際に間違いをおかしてしまい、そこから自分なりに学ぶしかないという羽目になりやすいです。
典型的なLSIは、自分の権限と責任の範囲を明確に理解していて、着実にその役割を果たすことができるため、優秀で信頼できる労働者やマネージャーになります。LSIは、職場恋愛を激しく拒絶する唯一のタイプかもしれません。彼にとって同僚は恋愛対象にはなり得ません。仕事をするために仕事をしているのであって、恋愛生活の多様性のために仕事をしているわけではないのです。公私混同は決してしません。
LSIは誠実で責任感があり、仕事でも家庭でも頼りになる人です。しかし、何をすべきかの明確な指示を受けるか、または状況が明確になるまで、なかなか行動しません。彼はすべてのことに完全な明確さを求めます。それは仕事の問題だけでなく、個人的な関係においても同様です。
これは実際のLSIの話です。ある38歳のLSIの男性が愛する人と同棲していました。彼は二人の関係が良好だと思ったので、彼女に結婚を申し入れ、それと同時並行して、将来自分たちが結婚後に住むための家を建て始めました。ところが突然、その最愛の女性が、他の街からやってきた別の若い男性とロマンチックな冒険をしていたことが発覚しました。彼が最初に感じた衝動は「彼女との関係を解消したい」でしたが、その一方で彼の心の中には疑念が渦巻きました。全てが上手くいっているように見えたのに、なぜこんなことが起こってしまったのかよくわからなかったからです。そこで彼はまず「調べる」ことに決めました。彼女と話し合い、すべてを、つまり、彼女との間で何が起こったのか、彼女の浮気がどれだけ偶発的で無計画な物であったのか、彼女がこの状況をどう考えているか、彼女が愛人にどれだけ深く引かれているか、そして将来どうするつもりなのかを明らかにすることにしました。これなしでは、彼は重要な措置を講じることができませんでした。
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LSIはよく知らない人相手には疑り深く、不信感だけをもって接しますが、もしも家族に関する話題に引き込むことができれば、心を開いて、少し話しすぎなほど話すこともあります。典型的なLSIが誰に対しても不信感をもって接するのは、まさに相手を信頼して心を開くための大きな内面的準備のためだと言えます。しかし人を見極めるのが苦手なため、誰に対してもオープンな態度をとるのではなく、ごく少数の親しい人にのみ心を開こうとするのです。
そのため、もしも彼のインナーサークルに入ることができれば(例えば彼と結婚したのであれば)、まるで頑丈な岩壁に守られているかのような安心感を得ることができます。この一見すると真面目で、陽気さに欠ける彼は、家族や身内を愛し、彼らのために日々英雄的な行為をする覚悟があります。家庭では善良で優しく思慮深い夫・父であり、家族の利益を第一に考えます。
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もちろんLSIの人生には責任だけがあるわけではなく、個人的な興味や趣味もあります。彼は物をコレクションするのが好きで、しかもその種類は多岐にわたります。コイン、マッチ箱、地下鉄の代用貨幣、バスの切符、切手、タグなどが彼のコレクション対象になるかもしれません。このタイプの男性は、歴史や政治にも興味を示します。こういったことに精通していることが多く、喜んでこうした話題について語ります。
物理的な力に訴えることは好みません。そうした手段に訴えるのは、他にとれる選択肢がわからない最悪の場合だけに限られます。まず最初に相手に攻撃的な行動をとることを思いとどまらせ、もっと平和的な方法で問題解決しようとします。それが完全に失敗した時のみ、彼は相手の記憶に長く残り続けるような攻撃をします。
LSIとの関係で生じる不都合は、あなたがかなり深刻な仕事の提案をしても、彼は断固としてそれを拒絶しようとすることに起因しています。例えば明日、すぐにキッチンの壁紙を張り替えてほしいという提案をされても、突然発生した割り込み作業に臨機応変に応じることはまずないでしょう。また、突然お金を貸してほしいという要求も嫌がります。
女性の場合
優雅で清楚なLSIの女性は、全16タイプ中、最も厳格で地に足が着いた女性の一人です。若々しくて、ほっそりしていますが、同時に力強くたくましいです。このタイプの若い女性は、本物のエルフのような印象を与える人です。均整の取れた美しい顔をしており、そのためにマルヴィーナ [1](ロシアの寓話に登場する優雅で美しい女性)に喩えることができるタイプです。他のどの女性と見間違えることもないでしょう。ただ、その整った体型と、毅然とした歩き方に注意を向けるだけで、十分に彼女だとわかります。
厳格なスタイル、標準的なカット、落ち着いたトーンの服装を好みます。シンメトリーで統一感のある服装は、彼女の心に近いものです。華美や奇抜さを好まないため、ほとんどの場合は落ち着いた色と伝統的な服装のセットだけを選びます。裾が斜めになったスカートや非対称のカットのブラウスはを着ることは、まずないでしょう。
このタイプの女性は、突飛なことを避けようとします。それは服の好みだけの話ではなく、対人関係における彼女の行動においても同様です。
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初対面の相手には、魅力的な笑顔と眼差しを向けることでしょう。あなたのジョークに楽しそうに笑ってみせ、しばらくの間、楽しい会話を続けるためのサポートに回ろうとするはずです。チャーミングに振舞うことはもちろん、必要に応じて、優しく、儚く、無防備そうに振舞うことさえできます。
それでも誤解しないでください。彼女の中には本物の鉄のような芯が通っています。関係が構築できたと彼女が感じるとすぐに、あなたとあまり目を合わせないようになり、その代わりに要求の多さや独占欲の強さが頻繁に表れるようになります。さらにこのタイプの女性はロマンチックで高尚な魂を持っていることが多く、小説や映画のヒロインのようになった自分を想像するのも好きです。
もしもあなたが彼女の恋人になった場合、彼女はこうした事実を大っぴらにせずに、最初あなたに主導権を渡そうとするかもしれません。このタイプの女性は、パートナーがあまりにも受動的すぎる人の場合、気持ちが冷めてしまいやすいです。彼女は、自分を慕う者たちが精一杯に求愛し、気を配り、彼女の好意を得ようとしたり、彼女への献身を証明しようと努力することを非常に重視しています。これは、彼女が人間関係の進展の仕方に疎く、人から拒絶されることを恐れているからでもあります。さらにいえば、どんな不確実性も彼女を怖がらせます。そしてこれこそが、彼女が自分の気持ちを先に口にしないもうひとつの理由でもあります。
彼女と会話ができる関係が築けたからといって、それだけでは彼女と友達になれたと言えるかどうかはわかりません。このタイプの女性にとっての「信頼できる人」のハードルは非常に高いです。彼女の場合、本当に100%信頼できると思った相手でないと「親しい友人」や「愛する人」だとは見なしません。
あるLSIの手紙:「それにしても、朝に感じたことと、夕方に感じたことが一致しないのは気持ち悪いです。苛々してしまいます。まるで自分で自分が信用できなくなってしまったかのような気分になりますし、そんな自分を見せつけられているような気がして不愉快になります。こんなありさまで、一体誰を信用できるというのでしょうか」
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彼女の気持ちに火をつけるために、彼女の嫉妬心を煽るようなことをするのは止めておいたほうが賢明です。こういう場合、彼女はあなたを奪い合うための戦いに参戦するのではなく、単にあなたのことを「信頼できない相手」だと判断するだけで終わります。自分をミステリアスに思わせようとしたり、いきなり姿を見せていきなり姿を消してみたり、彼女に連絡したにもかかわらず、その後わざと連絡を絶ったりしても、ほとんどの場合彼女との関係に対してプラスになることはありません。覚えておいてほしいのは、そういう不確かで不明確な関係に、彼女はこだわったり、縋り付いたりなどしないということです。
もしも彼女に対して自分が信頼するに値する人間だということを証明したい場合、絶対に彼女を失望させるようなことはしないでください。一度でも彼女を失望させた場合、二度目のチャンスは永遠に訪れないことを理解すべきです。しかし、もしも彼女に献身的で忠実な友や騎士であると認識された場合、彼女自身もまた、あなたの信頼できる忠実な仲間になります。
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彼女は、想定外の出来事が起こらない人生を歩もうとしています。自分が何を望んでいるのかを理解していて、自分の計画にそっていきようとします。そして自分が将来のために決めたことを実現するための妨げになる状況を嫌います。真新しいものを警戒しており、週末の予定や来週の予定だけではなく、これから二か月後、三か月後、さらにはこの先二年間の人生の計画を立てようとします。学業、キャリア、結婚と家庭生活、子供(何月何日に何人生むか)、新居への引っ越し、洗濯機の購入、海外旅行、そういった全てにまつわる計画を立てます。
これらすべてを達成するためには、多大な意志と強固な決意が必要なのは理解できることでしょう。LSIにはこの2つの資質が備わっています。しかも、彼女はこうした資質を自分自身に対してだけでなく、周囲の人々に対しても発揮されます。彼女は決して自分と一緒にいる人を甘やかしません。日々、彼女が立てた計画に適う行動をとるよう、飽きることなく他人にも強制し続けます。このタイプの人は、余分なことを計画したり、実行したりこそしませんが、もしもすでに何か思いついている場合は、「そのうち諦めるかも」と期待するだけ無駄です。
このタイプの女性は通常、正確で勤勉で責任感があり、良く勉強しますが、決められたことをこなすだけで、それ以上のことはしません。活気に満ちた学生生活に関わることは稀でしょう。人間関係の厳格さのため、通常あまり友人は多くないほうです。また、その数少ない友人に対してでさえ、プライベートな問題にまつわる不平を言ったり、自分の心の奥底にあるものを開示することは滅多にありません。
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このタイプの女性にとって家庭は非常に重要なものです。なぜなら、彼女にとって家庭とは、混沌として複雑な外界から自分が守られていることを感じられる安全な避難所になるものだからです。そのため、このタイプの人は、家庭生活には特別な注意を払い、秩序を保とうとします。彼女の家族は、過不足なく必要な物を手に入れられます。いちいち何をどうやって料理したかを語ったりはしませんが、彼女の家庭の冷蔵庫には常にシンプルでありながらも栄養満点の料理が常備されていることでしょう。
厳格で要求の多い母親になります。もしも彼女が感情表現することをケチらず、子供たちの「しつけ」の適切な程度を心得ていて、さらには自制心を持っていれば、礼儀正しく、規律正しい人間へと育てることができるでしょう。
このタイプの女性の義務感は、家庭だけでなく仕事にも及びます。向上心があり、意欲的にキャリアを築こうとする一方で、家族としての責任を無視したりはしません。就業後しばらくすれば、必要なスキルを完璧にマスターし、必要な知識を身に着けてしまいます。そんな彼女を見た上司は、彼女の勤勉さ、責任感、信頼性を高く評価することでしょう。「この人になら仕事を任せても大丈夫だ」と短期間で周囲の人々に思わせることができる彼女は、出世街道を歩むことになります。
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典型的なLSIは、ホリデーの雰囲気を非常に重視しています。特に好むのは、多くの場合ニューイヤーを祝うホリデーです。家族にとって重要な日(誕生日や記念日)を何もしないまま過ごすことも決してありません。そういう日がやってくれば、プレゼントを贈ったり、お祝い用の食事を用意したり、親しい友人を招いて自宅でパーティをするための準備をします。このタイプの人は非常に閉鎖的で慎重な生活スタイルを送っていますが、同時に、自分の真の仲間だけの集まりだと感じた場合は、仲間と一緒に楽しんだり、笑い合ったり、ふざけあったりして楽しいひと時を過ごす姿を見せたりもします。
お祝いするのにふさわしい理由を見つけて、ぜひとも彼、または彼女を招待してみてください。楽しくて、元気になれるような集まりだとわかれば、LSIは必ずやってくるはずです。もしもバカ騒ぎが歓迎されるようなお祝いであれば、おもちゃの眼鏡と付け髭の仮装グッズまで持参して参加することさえあるかもしれません。
訳注
- ^ マルヴィーナとは、古代ケルトの伝説上の詩人オシアン(このオシアンという詩人は、アイルランド伝承文学に登場するフィン・マックールの息子オシーンを原型とする人物だとされることもある)の叙事詩に登場する女性の名前であり、多くのロシアのロマン主義の詩(ヴァシーリー・ジュコーフスキー、コンスタンティン・バチュシコフ、アレクサンドル・プーシキン)にも頻繁に登場する、一種のロマンティックで美しい理想的な女性の象徴としての意味合いを持つ名前である。トルストイのロシア版ピノキオ(ブラティーノの冒険)にも登場する。