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ソシオニクス 連想モデルにおける情報代謝

2021年5月23日日曜日

ソシオニクス 連想モデル


IM
連想モデルはモデルAを踏襲しているが、両者には共通する部分と異なる部分が存在する。

モデル図

LII_IM
Fig.1 モデルAと連想モデルにおけるLII


共通点

モデルA、連想モデルともに、機能1,2,3,4が意識的(メンタル)、5,6,7,8は無意識的(バイタル)である部分は共通している。また、次元性理論 [1]も踏襲している。


相違点

モデルAと連想モデルで異なるのは、情報代謝の流れ方である。

モデルAでは右側の機能が外界と接触し、第3機能(役割機能)と第5機能(暗示機能)で情報の取入れを行い、主にFig.2-1のような流れで情報代謝を行っているとされている。

それに対して、連想モデルで情報の取り込みの中心になるのは第5機能(暗示機能)と第7機能(監視機能)であり、Fig.2-2のように、7→1→2→8のリングと5→3→4→6のリングが情報代謝の中心になるとされている。

連想モデルでは、外部の情報は無意識下にある機能(第5と第7)から取り込まれ、意識的な部分で処理されて、無意識的な領域に保存されるとしている。


modelA_IM
Fig.2-1 モデルAにおけるLIIの情報代謝

modelButterfly_IM
Fig.2-2 連想モデルにおけるLIIの情報代謝


連想モデルにおける情報代謝

連想モデルにおける主要な情報代謝の流れは二種類ある。


トップリング

一つは⑦監視機能から始まる流れ(7→1→2→8…)。

まず最初に外界からの情報を⑦監視機能が取り込む。そしてその情報は、主導チャネル(LIIの場合Ti-Te)を通して①先導機能に伝達される(主導チャネルは情報を取り込むという外から内に向かう流れで使用される)。それによって活性化された①先導機能は、②創造機能を併用しながら情報の処理を行う。この処理にはほとんど労力がかからず、ごく自然に(無意識的に)行われる。


次に①先導機能から創造チャネル(LIIの場合、Ne-Ni)に向けて情報が伝達される。このチャネルは情報を処理して外部に発信するために設計されたチャネルであり、先導チャネルに依存しているが、処理の大部分は意識的に行われる。創造チャネルでの情報の動きの方向性は、自分から外界へという逆方向、つまり外部生産的な方向になっている。ここで作成された情報は、周囲の世界を積極的に変えることを目的としており、先導チャネルと比べると、より意識的な努力、注意、そして提供される情報の質に対する責任が必要となる


ボトムリング

もう一つは⑤暗示機能から始まる流れ(5→3→4→6…)。これは⑦監視機能から始まる情報代謝であり、すなわち精神活動を補完する役割を担っている。

ここでは③役割機能の求めに応じて、外界から⑤暗示機能が情報を取り込み、役割チャネル(LIIの場合Fi-Fe)に沿って③役割機能へと情報が伝達される。これは能動的で、外部とのコミュニケーションに関わり、そしてほとんどの場合、意識的に行われる。上述の主導チャネルと同様に、外部から情報を収集するという役割を担ってるものの、先導チャネルと違って弱い機能を介して情報収集するため、これを使って情報収集するためには多くの労力が必要になる。そして自然な情報収集が行われる主導チャネルと違い、意識的に外界に求めたり、時には厚かましく、しつこく催促するようなこともある。また、情報の吸収にも苦労が伴うため、役割チャネルを活用しなければ獲得できないスキルや能力を身に着けるには多くの困難が伴う。人が成長するためには避けては通れないチャネルでもある。

情報の取り込み自体は⑤暗示機能で行うが、この役割チャネルでは③役割機能が意識的に働いているため、情報の流れが完全に内向きな先導チャネルとは違って、この役割チャネルはむしろ自分から外界への情報の流れるともいえる(「もっと役割チャネルに関する情報をくれ」と意識的に情報をとりに行こうとする)。


役割チャネルの働きで獲得された情報は、外界とのコミュニケーションが弱く、意識的でもない痛みのチャネル(脆弱チャネル)(LIIの場合、Se-Si)に伝達される。痛みのチャネルを通して、人は外部に向けて情報を作成し、送信すること自体は一応可能だが、多くの場合、それは他人のためではなく自分自身の自己防衛のための情報作成という形で行われる(情報を自分に与えてくれる人がいない場合、自分の経験に頼るしかなくなるが、こういう時にこの痛みのチャネルが働くことになる)。こうして痛みのチャネルを動かして鍛えた結果として、個人の意識は、その人自身にとって意義のある知識を開発し、蓄積していくことになる。内的生産的であり、このチャネルでは自分に向かって情報が移動する。このチャネルはほとんどの場合、自分のために働く。例のLIIの場合でいうと、将来の不安に備えて貯金や節約する(Se-Si)という形で表れたりする。


サブタイプと情報代謝

情報代謝を見れば、どのタイプがサブタイプになりやすいか理解することができる。


同一クラブ内での比較

例としてLIIをみて行くことにする。

LIIと同じクラブ(直観・論理の働きが強いタイプ)には、ILE、LIE、ILIの3種類がある。

LIIから見て、これらは次の関係に当たるタイプである。


LIIとILI:疑似同一
LIIとILE:鏡像関係
LIIとLIE:消滅関係


機能の順序は次の通り。
LII: 1Ti, 2Ne, 3Fi, 4Se, 5Fe, 6Si, 7Te, 8Ni
ILI: 1Ni, 2Te, 3Si, 4Fe, 5Se, 6Fi, 7Ne, 8Ti(疑同)
ILE: 1Ne, 2Ti, 3Se, 4Fi, 5Si, 6Fe, 7Ni, 8Te(鏡像)
LIE: 1Te, 2Ni, 3Fe, 4Si, 5Fi, 6Se, 7Ti, 8Ne(消滅)


連想モデルにおける情報代謝(トップリング)は次の通りになる。
LII:7Te ⇒ 1Ti ⇒ 2Ne ⇒ 8Ni ⇒ 7Te...
ILI:7Ne ⇒ 1Ni ⇒ 2Te ⇒ 8Ti ⇒ 7Ne...(疑同)
ILE: 7Ni ⇒ 1Ne ⇒ 2Ti ⇒ 8Te ⇒ 7Ni...(鏡像)
LIE: 7Ti ⇒ 1Te ⇒ 2Ni ⇒ 8Ne ⇒ 7Ti...(消滅)


疑似同一

LIIとILIの情報代謝の流れを見ればわかる通り、開始地点が違うだけで、流れ方は全く一緒であることがわかる。このことから、同クラブのタイプの中でも、疑似同一関係にあたるタイプの開発は比較的簡単に行うことができるとされている(タイプ判定の際に、疑似同一関係の間で迷いが生じる人が多い理由にもつながっている)。

イドブロック(機能7,8)と自我ブロック(機能1,2)のバランスは、どんなタイプの人にも自分自身との調和の感覚をもたらすと言われている [2]。イドブロックの機能はバイタルブロック(機能5,6,7,8)に位置しているため、これらの機能の開発は子供の遊びや創造性のように感じられ、人に大きな喜びをもたらすともされている。

しかし、イドブロックの個々のニーズについては、あまり理解されない傾向がある(制限機能である第7機能に来る情報が煩わしく、余計なものに思えることがあったり、背景機能である第8機能は使用するのが億劫で、知識やスキルの不足を感じやすい機能でもあるため)。そのため、イドブロックを成長させる必要性を感じず、ポテンシャルがあるにも関わらず疑似同一関係にあたるタイプの能力を開発しないこともまたよくある。


鏡像関係

LIIの鏡像関係にあたるILEは、先導機能(4次元関数・最も強い機能)がNeである。一方、元々LIIのNeは創造機能(3次元関数)であるため、LIIがNeを先導機能(4次元機能)並みに使用するには困難が伴う。そのため、サブタイプ形成の難易度は疑似同一の場合よりも高くなる


消滅関係

LIIの消滅関係にあたるLIEは、第7機能がTiである。第7機能は別名「無視機能・制限機能」とも呼ばれているが、もしLII(先導機能Ti)がLIEのように情報代謝を行おうとした場合、最も強力に機能している機能を制限機能として動かすことになるため、情報代謝の流れ自体がそこで過剰に制限されてしまい、破綻してしまいやすい傾向がある。そのため、サブタイプ形成の難易度は疑似同一の場合よりも高くなる


衝突関係

LIIの衝突関係はESI。

LII: 1Ti, 2Ne, 3Fi, 4Se, 5Fe, 6Si, 7Te, 8Ni
SEE: 1Se, 2Fi, 3Ne, 4Ti, 5Ni, 6Te, 7Si, 8Fe


連想モデルにおける情報代謝は次の通りになる。

トップリング
LII:7Te ⇒ 1Ti ⇒ 2Ne ⇒ 8Ni ⇒ 7Te...
SEE:7Si ⇒ 1Se ⇒ 2Fi ⇒ 8Fe ⇒ 7Si...

ボトムリング
LII:5Si ⇒ 3Se ⇒ 4Fi ⇒ 6Fe ⇒ 5Si...
ESI:5Te ⇒ 3Ti ⇒ 4Ne ⇒ 6Ni ⇒ 5Te...


衝突関係に当たるタイプを鍛えるためには、第4機能(脆弱機能・痛みを伴う機能)を先導機能並みに鍛えなければならないため、非常に難しいことが見て取れる。この開発の鍵となるのは、超自我ブロック(機能3,4)の機能を開発だとされている。機能3,4はどちらも意識的な機能であり、なおかつ機能3が役割機能と呼ばれることからもわかる通り、衝突関係に当たるタイプの価値観は、弱いながらも意識的な価値観であり、本人はこれらの機能を自己改善する必要性については理解していることが多い。

この開発を行った人物の例として、タンジェマンはオーシュラ(モデルA提唱者)をあげている。オーシュラのタイプはILEであるが、ILEの衝突関係にあたるタイプであるESIの立場に立って、人々の行動に関心を持ち、分析した結果、オーシュラは人と人との関係の領域における法則についての新しい理論(モデルA)を生み出すことができたとしている。


注釈:
  1. ^機能の次元性という考え方は、A. Bukalov, V. Ermakによって提唱されたもの。機能の強弱を4段階で表わす。最も強い機能(機能1,8)が4次元性、最も弱い機能(機能4,5)が1次元性となる。①人生経験(人生経験に関連する情報を蓄積して使用することができるが、不慣れな状況では不適切に動作する可能性がある)、②社会規範(社会的規範、基準、パターンを吸収し、それらに従って行動することができる)、③状況の把握(状況をナビゲートし、非標準的な解決策を見つける)、④時間指向(目の前にある状況だけでなく、過去、未来に対しても能力を発揮して解決方法を模索できる)の4つの次元があり、機能1,8は①②③④、機能2,7は①②③、機能3,6は①②、機能4,5は①が可能であるとされている。詳細はこちらの記事を参照「機能の次元

  2. ^ここでいうイドブロックや自我ブロックは、連想モデル固有の用語であるTPEのイドタイプや自我タイプ等とは全く別の概念なので混同しないようにする必要がある。


参考:

ソシオニクス・タイプ診断

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