IEE-SLI
IEEは自分の感情を自分の感情を全く抑圧したりなどせずに、自信を持って欲望を追求します。しかし全ての直観タイプと同様に、彼らも魅力 [1]を回避しようとします。このタイプの人々は、愛と憧れについての熱狂的なスピーチをします。彼らの微笑や見た目も魅惑的です [2]。
しかしIEEの愛撫はどこか自信無さげで、慎重で、直接的に与えたり要求したりするよりも、もっと遠回しな形で誘惑し、与えてもらえるのを期待しています。キスする時は、まるで蝶が触れるかのようにそっと行います。IEEは自分の意志でそれ以上進めることができませんし、そうする方法も知りません。彼らは自分の望みを、自分自身以上にパートナーが理解してくれている状態を好みますが、だからこそ、他者に依存することへの恐れや、愛情表現において無知や粗野に見えることへの恐れも感じています。
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論理タイプであれ、倫理タイプであれ、全ての直観タイプの人々にとっての最大の喜びは、他の人々が絶望してしまうような状況から抜け出す方法を見つけ出すことです。非常に多くの場合、彼らはまったく役に立たない問題を解決するために生きていることがよくあります。IEEの場合、特に感情的な状況に関わる問題解決が得意です。人の精神構造を理解していて、人を喜ばせるにはどうすればいいのかを考え出すことができ、また、それをしないではいられません。
IEEは非常にモテます。しかも色々な人から好意を向けられたとき、誰かひとりだけではなく、みんなを幸せにしたいと思って行動してしまった結果として、非常に浮気っぽい人だと見られてしまい、「ドン・ファン」のあだ名を名付けられてしまうことがよくあります。いわゆる「ドン・ファン」と呼ばれる人々は、女性が大好きで、女性と大きな成功を収めているように見えますが、それと同時に親密な関係になることを恐れていて、最後の瞬間には恋人に「失望」してしまう人でもあることが知られています。ある心理療法家は、これを性的冷淡さで説明し、別の心理療法家は、あらゆる女性の中に自分の母親を見出そうとする事実として説明します。既婚者や、すでに恋人がいる女性を特に好む傾向に着目して、ただ他の男に勝ちたいのだと説明する心理療法家もいます。しかしお察しの通り、ここで重要なのは「既婚者の注意を引くのはより困難な作業であり、だからこそ面白い作業だ」という点です。
つまりIEEは、外向性と、人を惹きつける力の影響で生じた落ち着きのなさのために、かなり移り気なのです。ヨーロッパの文化においては、IEEのような性的抑制と情熱的な感情を併せ持つ男性は、女性人気が非常に高いです。感情を恐れず表現する勇気を持ち、ドン・ファンと言われるほどの積極性がありながら、それでいて女性を脅かすような危険性を感じさせない男性だからです。さらに男性が上位で、女性が下位という暗黙的な認識が広がっている文化において、「身体目当てではなく、自分の精神性に注意を向けてくれる」男性は、非常に女性ウケがいいです。
IEEの精神にとって、身体的な同一化は、状況のコントロールを放棄し、自分をパートナーと完全に同一視すること、つまり立場を放棄することを意味します。そのため彼らはしばしば身体的および精神的な同一化から逃げようとしますが、「困難な状況を解決する」という直観タイプが大好きなことを放棄するのは難しいとも感じています。
そんな彼らが必要としているのは、頑固で控え目でありながらも、魅力に関わる情報とビジネス思考に関わる情報の両方に精通していて、これらの点では完全に信頼できるだけの力を持った人、つまりSLIです。手遅れになる前に（つまりIEEとSLIの両方が、他の誰かの恋人や配偶者になる前の段階で）SLIと出会うことができたIEEは、そこでドン・ファンの放浪を終えます。きっと「彼（IEE）が本気になるなど、誰が想像できたことか」と言われることでしょう。
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SLIは大自然の中であれ、日常生活であれ、とても快適に過ごします。何か必要なことがあれば、人に相談することなく、自分で上手く対処します。一貫性をもって自分の快適さに気を配っています。動作は穏やかで正確で、非常に経済的です。費やした労力よりも大きい仕事の成果を挙げる人という印象を与えることが多いです。まるで人が見ていないところで密かに仕事をしていたのではないかと思えるほどです。SLIというタイプは、環境にないものを要求することなく、そこから与えられるものを活用する能力によって特徴付けられます。
すべての感覚的内向タイプは、自分の真の感情を顔に出さないという特徴を持っており、対話者に自分の内なる世界の情報を与えません。SLIはほとんど常に一定して冷静でミステリアスです。SEIはほとんど常に一定して暖かく、思いやりを感じさせられるような微笑みを浮かべています。ILEが自分の感情を表に出すこと、自分の感情を認めることを恐れるタイプだとすれば、SLIは自分の感情を表に出すことを恐れ、感情に行動が左右されることを恐れるタイプです。
SLIは夢の中で理想のパートナー像を思い描きますが、そのイメージはほとんどの場合IEEによく似ています。あるSLIの学生は、自分の理想の騎士について次のように語っています：「ハンサムで、エレガントですが、お洒落にはあまり関心が無く、外見にはそこまで気を配っていません。動作にはどことなく迷いがあり、正確さに欠け、少し不器用ですらあります。豊かな精神性を持ち、好奇心に満ちた眼差しをしています。恐れを知らず、善意、衝動、決意に満ちています。新しい崇高なアイデアのためなら、いつでもすべてを放棄できます。私はそんな彼の友人であり、アシスタントであり、恋人でありたいです」。おとぎ話に出てくる恐れを知らない銃士や船長のようなイメージです。
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出典の全文訳：人間の双対性（by A. Augusta）
訳注
- ^ 魅力：ここでは異性を惹きつける魅力（特に身体的な魅力）をさす。日本語で「魅力を感じる」といった場合、身体的魅力だけではなく、精神的資質への好感や、愛の感情など無数の要素を含めた話になるが、この出典では、「魅力」と「感情」をはっきり別物として扱っているので注意。「魅力（特に身体的魅力、恋人を自分の物にしたいという欲望）」は感覚の情報、「愛の感情」は感情の情報だとしている。IEEは「感情」には精通しているが「魅力」の理解には疎いタイプであり、SLIは「魅力」には精通しているが「感情」には疎いタイプとして説明されている。
- ^ 微笑や見た目も魅惑的：これは「感情表現が魅惑的」という意味の話。「優れたファッションセンスという意味での見た目」だとか「異性を思わず虜にするような肉体美」という意味での魅惑ではない（これらは感情ではなく感覚に紐づく話。もしも誰が見ても美形だと感じるような肉体美を持っていたとしても、直観タイプの場合、自分の肉体的魅力には自信を持てず、あまりアピールしたがらない）。
