SLE-IEI
SLEは、他の外向タイプと同様に、他者からイニシアチブを取られることを好みません。もしもイニシアチブを取ろうとしてくる人がいると、彼らは面白く感じませんし、うっとうしくて迷惑に感じてしまいます。そのためだいたいの場合、そういう人はSLEから好まれません。こういう時、そうしてネガティブに感じていることをSLEは出来るだけ隠して、礼儀正しく振舞おうとしますが(特に女性のSLEの場合)、かなり嫌な気分になってしまいます。
SLEにとって、愛に肉体的側面を求めるのは当然の権利だと感じています(ただしこの権利は、SLE自身がそれを求めていて、相手から無理やり押し付けられない場合に限ります)。他者への欲望、つまり他者と肉体的に同一化したいという願望は、彼らにとって理解しやすく、ごく自然なことだと感じられます。これは紛れもなくSLEの本質の一部分です。
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このようにSLEは欲望への理解には長けていますが、その一方で愛の感情への理解は疎いです。感情は彼らの弱点です。SLEは、欲望(この人が魅力的だ、この人を自分のものにしたいという欲望)には精通しています。SLEは、人に選ばれる側ではなく、人を選びたいと思う側の人間です。また、自分の魅力もきちんと認識しています(また、その認識に自信を持っています)。しかしながら、人から愛されている(愛の感情を抱かれている)かどうかという点には疎く、滅多に確信を持てません。
SLEにとって、肉体的魅力は自己実現のためのありふれた手段です。そして愛の感情、つまり他者との精神的同一化は、誰もが手に入れられる贅沢ではないと感じています。SLEは、パートナーが彼ら自身よりも彼らの感情を大切にしていると確信できるまで、自分の感情を話すことが出来ません。SLEにとって、自分の感情を語るという行為は、ほとんど自分自身を裏切ったかのように感じることです。SLEは愛の感情という概念を他者との精神的な同一化としてではなく、不正な欲望、不相応な贅沢として恐れています。
またSLEは愛の感情だけではなく、他の感情も恐れています。そして彼ら自身も、そして彼らと親しい人々も皆、恐怖や憎しみの感情など知らないと確信しています。驚嘆や羨望といった感情も同様です。
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SLEが感情という点で完全にオープンになれる相手はIEIだけです。
IEIは一方では非常に豊かな感情を持っており、他者の感情をよく理解し、自分の感情を隠しませんが、他方では非常に無力で、人生に迷っているかのような印象を与える人々です。
そんなIEIと出会った時だけ、SLEは「この人なら、自分の感情を決して笑ったりはしない」と確信できます。仮にIEIに拒絶されたとしても、SLEからするとIEIは無力すぎて拒絶が拒絶に見えないほどなので、SLEの感情が傷つくことはありません。またSLEにとって、IEIの性的な慎み深さは、真摯な感情や安定した関係性に欠かせないものに見えるため、好ましく感じられます。
男性は弱い人にだけ自分の弱さを恐れずに見せることができるため、女性の弱さを探そうとするとよく言われます。しかしこれは間違いです。情報代謝の種類(ソシオニクスのタイプ)という意味に限れば、ある人が他の人より弱いということはありません。二人の関係についても同じことが言えます。
SLEの強みは、エネルギー、論理的な結論を下す能力、そして感情の放棄にあります。SLEの弱みは、感情を表に出さないことです。そしてIEIの強みは他の人々に適応し、感情を操る能力です。深い愛の感情を持ったIEIの弱さに惹きつけられるのは、SLEだけかもしれません。しかしIEIから見たSLEも、SLEから見たIEIと同様に「弱さが見える人」なのは確かです。
IEIが、SLEとSEEのどちらか片方を恋人として選ぶ場合、おそらくIEIはSLEを選ぶでしょう。その理由は、IEIがSLEの弱さに惹かれたから、つまり、恋愛において横柄な態度をとってしまうような弱いところがあるSLEに惹かれてしまったからです。
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出典の全文訳:人間の双対性(by A. Augusta)
訳注
- ^ オーシュラの理解では、欲望(特に肉体的な魅力を感じたり、感じさせたりすること、その魅力によって人を引き寄せること、引き寄せられること)は感覚機能で処理する情報であり、感情(人を愛する気持ち)は倫理機能で処理する情報であるとしており、感覚タイプは欲望に、倫理タイプは感情に精通しているとしている。