SLI(ISTp、熟練職人、工芸家、ジャン・ギャバン)
自我ブロック
第一機能:Si(内向感覚)
SLIは、自分や周りの人が、どんな活動や刺激によってどんな感覚や身体状態になるかを自然に感じ取るのが得意です。例えば、体に違和感があったり、物の配置や人の雰囲気にしっくりこないものがあると、すぐに気づきます。そして、そういった不快感や「なんとなくおかしい」と感じる状態を早めに解消し、落ち着ける状況に整えようとします。
彼らは、音質のよいステレオや、肌ざわりがよく使いやすい服、見た目が心地よいインテリアなど、「感覚的に心地よい」モノに強く惹かれます。そうしたモノがあると、自分の感覚が正しかったと感じられるからです。そのため、それらを他人に制限されたり奪われそうになると、強く抵抗することがあります。ときには、強い所有欲や縄張り意識を見せることもあります。また、SLIは、自分や他人の身体状態をよく覚えていて、どんな出来事や環境がそれにどう影響するかを想像するのが得意です。人の行動を理解しようとするとき、まずその人の身体状態に注目します。身体のコンディションこそが、その人の行動を決める大きな要因だと考えているのです。彼らは、生活や住まいをシンプルに保つのを好みます。派手すぎるモノや、複雑で義務に追われるような暮らしには、ストレスを感じます。
大切な人に対しては、忙しさに流されず、五感で楽しめる心地よさを味わう時間を持つようにと勧めます。そして、自分の身体の声や本当の欲求に耳を傾けることも大切だと伝えます。SLI自身も、日ごろから自分や身近な人の健康に気を配っています。彼らは、身体的に心地よく感じる状況に強く惹かれます。快適な感覚や、身体を動かす楽しさを大切にしています。仕事の場でも、じっとしているよりは、体を使って何かに関わるほうを好みます。物事の流れをただ見ているよりも、自分の手でプロジェクトに関わりたいと思うのです(これは、未来の展開を予測する力=内向直観[Ni]が弱いことも関係しています)。また、SLIは、身体の動きやしぐさで、自分の興奮や嫌悪といった感情をはっきり表現するのも得意です。
第二機能:Te(外向論理)
SLIは、落ち着いた口調で淡々と話すタイプで、感情よりも正確な情報を伝えることを重視します。物や人がどれくらい役に立つか、目的をどれだけ果たしているかをよく観察し、評価するのが得意です。少ない行動で最大の成果を出すことに長けており、効率をとても大切にしています。
彼らは、質の高いモノや人を適切な場所や役割に配置することに強い関心があります。買い物のときには、商品やサービスをじっくり分析・比較するのが好きで、この判断を他人に任せるのは好みません。品質や機能性を見極め、選び抜いた中から最もコストパフォーマンスの高いものを見つけると満足します。限られた資源を無駄なく使い、重要なニーズとそうでないものを見分ける力に優れています。自分の時間や労力がどれだけ見返りを生むかを判断する感覚も鋭く、割に合わないと感じた仕事はためらわずに手放します。また、自分が高い能力を発揮できない分野には初めから興味を持ちません。他人の誠実さや公平さを見抜く力もあり、信用できない人とは関わらないようにします。
SLIの根本的な関心は、人に心地よい感覚をもたらす素材・場所・空間・行動を見つけ出すことです。人への関心はありますが、一定の距離を保って関わる傾向があります。彼らにとって人間とは様々な性質を持ったオブジェクトのように見えています。複雑な分析や理屈を好むわけではなく(非価値・控え目な Ti)、自分の五感を通じて得た体験から全体像をつかむことに喜びを感じます。何が心地よく、何が不快かを見極めることで、自分のまわりの世界を理解しようとします。そしてその理解をもとに、状況や人を自分の目的に合わせてうまく使ったり調整したりできると感じることで、自信と安心感を得るのです。
超自我ブロック
第三機能:Ni(内向直観)
SLIは、人から「急いで」と言われたり、ペースを上げるようにせかされると、大きなストレスを感じます。本当に急ぐ必要があるなら、不安をあおるのではなく、ちゃんと理由を説明してほしいと思っています。理由がわからないまま焦らされると、かえって動けなくなってしまうこともあります。SLIは、「目に見えることの背後に、もっと深い意味や仕組みがあるかもしれない」と感じることがあり、「今この瞬間」に強く意識を向けている自分にも気づいています。未来への不安をできるだけ遠ざけ、目の前の現実をそのまま受け入れようとする傾向があります。とはいえ、心の中では「これからどうなるんだろう」「本当にうまくいくのかな」と不安を抱えていることもよくあります。ただ、それを表に出さず、明るく前向きにふるまおうとします。SLIは、将来のことをあまり重く考えすぎず、なるべくシンプルに捉える傾向があります。そのため、自分の行動が将来にどんな影響を与えるかに気づかないこともあります。SLIは、限られたチャンスに情熱的に取り組みつつも、いろいろな結果を見越して準備できるような前向きな人(Neが主導機能であるタイプの人)を好みます。
第四機能:Fe(外向倫理)
SLIは、感情が大きく表れる場面や、感情や情熱を声に出して表現するよう求められる状況で、不安や緊張を感じやすいです。そのため、自分の弱点である「外向倫理(Fe)」に関わることを、できるだけ避けようとします。ただし、身体感覚や行動、動きの整理がうまくいかなくなると、この苦手な部分が強く表に出てしまい、強い無力感や喪失感に襲われることがあります。
SLIは、時間をかけて人と親しくなりたいと感じています。ゆっくりと関係を築くことで、評価や批判を気にせずに安心して過ごせるようになり、内に秘めている情熱を少しずつ表に出せるようになります。SLIの情熱はとても繊細で、丁寧に敬意をもって扱われる必要があります。「情熱が足りない」や「情熱的すぎる」といった言葉は深く傷つき、そう言った相手にはもう感情を見せようとしなくなります。また、表情を見て感情を推測されることにも強い不快感を持ちます。そうした推測はたいてい外れていると感じているからです。自分の気持ちを言葉で伝える代わりに、イライラして相手から距離を取ってしまうこともあります。ただし、信頼している相手に対しては、自分の気持ちをじっくり話すことができます。そのときに話す「気持ち」は、今その場で感じている「Fe的な感情」(訳注:楽しい、つまらない等の瞬間的な感情)ではなく、人間関係に対する「Fi的な考え」(訳注:あの人が好き、嫌いなどの持続的な感情や、自分と誰か、自分以外の誰か同士の間にある関係性についての考察、あるいは人間関係全般に対する考え)や、他人に対して感じるイライラ(これは「Si的な感覚」とも関係しているようです)などです。
SLIは、物事に対して感情的に反応したり、取り乱したりすることにあまり理解を示しません。感情を抑えられず爆発させる人に対して、どこか批判的な見方をしてしまいます。SLIにとっては、自分の言葉や感情がまわりにどう影響するかをまず考えるのが当たり前に感じられます。そのため、その場の気分でネガティブな感情をぶつけるような態度には、強い無責任さを感じ、許しがたく思うのです。たとえ一度でも感情的に怒られた経験があると、そのことを何年も覚えていて、その人に対してずっと否定的な印象を持ち続けることもあります。SLIには、そのような態度が「必要以上に侮辱的で悪意あるもの」と映るのです。
SLIは、大人数での社交や雑談がとても苦手です。たくさんの人に対して幅広い感情をうまく「演出」して保つことができないからです。また、同時に多くの人からぶつかってくる予測できない感情を受け止めて整理することは、SLIにとって非常に負担が大きく、難しい作業です。そのため、社交的な場面を避けがちで、人付き合いが控えめになります。ただし、少人数での落ち着いた会話や、自分がよく知っている話題についての一対一のやりとりであれば、むしろ安心して楽しむことができます。
超イドブロック
第五機能:Ne(外向直観)
普段、SLIは自分の内側に意識が向いていて、人からどう見られているかや、自分の言動がどれくらい他人の関心や警戒を引いているかにはあまり気づきません。あまり知らない人からじっくり観察されていて、あとで「実は見抜かれていた」と知ると、とても驚きます。ただし、それを怖いとは思わず、むしろ嬉しかったり、面白く感じたりします。彼らは、すでにはっきり目の前にあるチャンスでなければ、それに気づいたり活かしたりするのが苦手です。将来についてはどこか楽観的で、チャンスをつかむための準備をしたり、うまくいかなかったときの対策を考えたりすることにはあまり関心がありません。そういったことが得意で、想像力があり、先を見通して計画を立てられる人に強く惹かれます。SLIは無意識のうちに、自分を新しい方向へと引っ張ってくれる人を求めているのです。なぜなら、自分から動き出すのがあまり得意ではないからです。
SLIが人を理解するのは、実際に接して得た経験がもとになります。遠くから観察したり、人を比べて分析するのはあまり得意ではなく、実際に一対一で関わるまでは相手に強い関心を持たないこともあります。人の性格を一般的な言葉でうまく説明するのは苦手ですが、実際にやりとりする中で「この人はこんな感じ」と感覚的につかむのは得意です。自分に新しい視点をくれるだけでなく、自分の考えも大事にしてくれる人を高く評価します。SLIはいつも関心の幅を広げたいと思っていて、新しい情報を知って理解が深まることに強い喜びを感じます。また、「もしこうだったら?」という想像を楽しむのが好きで、そこにユーモアを見出すこともよくあります。SLIは、他のIxxpタイプ(Ixxp: SEI, IEI, ILI, SLI)と同じように、新しい刺激がないとだんだん動きが鈍くなることがあります。一人で新しい趣味や活動を見つけるのは得意ではないため、それが見つからないと、いつもの生活を繰り返すだけになってしまいます。現実味のないようなアイデアでも、誰かと話し合うこと自体が楽しく、そのやりとりだけでも満足できます。そして、思いがけずチャンスが目の前に現れると、SLIはとても喜び、それを実現しようと積極的に動き出します。
第六機能:Fi(内向倫理)
SLIは、信頼できる落ち着いた雰囲気の中で、自分の気持ちや体験について語り合うような会話を好みます。ただし、自分から積極的に親しくなろうとはせず、むしろ相手に合わせたり、自然に感情的なつながりが生まれやすい状況を作ったりすることが多いです。親密さを大事にしながらも、自分から関係を深めるより、相手のペースに合わせて距離を縮めていくタイプです。
人との関係や人生について話す相手として、とても話しやすい人です。相手が落ち着いていれば、SLIは真剣に話を聞き、心から関心を持ってくれます。ただし、相手が感情的になりすぎると、その空気に影響を受けて、冷静に聞くのが難しくなることがあります。SLIは、相手の気持ちを傷つけないように気を配り、安心して話せる穏やかな雰囲気を大事にします。人への思いやりや気づかい、そして素直に感情を表すことを大切にしています。そうした人に自然と惹かれ、友達になりたいと感じます。普段は礼儀正しく、特に家族や親しい友人にはとても忠実です。そして、同じような思いやりや誠実さが返ってくることを期待しますが、そうならないこともあります。そうしたとき、SLIは静かに心の中でがっかりすることがあります。あまり表には出しませんが、その気持ちには人間関係への深い期待や価値観が表れています。
イドブロック
第七機能:Se(外向感覚)
SLIは、自分にも他人にも無理なことを求めず、相手を動かすときも圧力ではなく、楽しさや喜びといった報酬でやる気を引き出そうとします。他人から強引に何かをさせられそうになっても、動じることはなく、かえって頑なになることがあります。ただし、非常に強いストレスを受けたり、敵意のある状況に置かれると、SLIは一時的に攻撃的で強引な態度になることがあります。ときには、相手を傷つけようとするような悪意を持つことさえあります。この「外向感覚」は、SLIの無意識の中で最も強く、ときに攻撃的な形で現れます。また、SLIは、経済的な地位(例えば他人にどれくらい裕福に見られるか)や社会的な立場を高めること「だけ」を目的に行動することには、あまり魅力を感じません。
第八機能:Ti(内向論理)
SLIは、人生について考えたり、物事を分析するのが好きです。ただし、世界を理解するために一つの理論にこだわるのではなく、その時その時の状況に応じて論理的な考え方を使い分けます。世界にはいつも未知の要素があると考えており、自分の内面の体験についても、理屈で整理するより、そのまま感じ取ろうとします。SLIは、社会のルールに対して疑いの目を持ちます。例えば、伝統的な挨拶や握手のような形式には意味があると理解していても、自分からはあえて距離を取ろうとします。基本的に自分から他人に関わろうとはせず、相手からはっきり関わってこないかぎり、自分を前に出すこともありません。
SLIは、自分の考え方に強いこだわりがあり、それを否定されるのを嫌います。他人の考えが自分の理解に合わないと、簡単には受け入れず、むしろ疑ってかかります。もし誰かが無理に押しつけてきたら、自分が正しいと思うかぎり、その考えを守ろうとします。ただし、自分の論理を他人に理解してもらうこと自体には、あまり重きを置いていません。SLIは、時には論理的な分類や議論をうまく使いこなすこともありますが、自分を深刻にとらえすぎることはありません。それでも、身の回りの物や人を一貫して分類したりラベル付けしたりすることには熱心です。SLIにとって、世界をどう理解するかはとても重要なテーマなのです。一方で、抽象的な理論や一般論ばかりにこだわり、具体的な事実を軽んじる人には、いら立ちを感じることがあります。
ソーシャル・ロール
SLIの一般的なソーシャル・ロール(社会の中で、人が自然と演じがちな役割やキャラクター)は下記のようなものです。
- 自分のペースで静かに行動する、孤独を好む個人主義者です。少し変わっているものの、自分が楽しいと思えることに熱中し、それ以外のことにはあまり関心を持ちません。
- 現実的で落ち着いたタイプで、物事には冷静でシンプルな姿勢で向き合います。周囲が盛り上がっていても、感情に流されず、自然とその場を落ち着かせてしまうような人です。