SLE(ESTp)は、リーダーシップに優れ、権力と効率を重んじる性格の持ち主です。目的を達成するためには、無駄を排除し、素早く状況を把握して行動しますが、感情や倫理的な部分には弱さを持ち、冷徹に見えることもあります。以下に、具体的な特徴を紹介します。
力と権力への執着:SLEは常に権力構造を意識し、どんな環境でも自分の地位を確立しようとします。例えば、新しい職場でSLEは短期間で自分のリーダーシップを発揮し、チームを自分の手中に収めます。また、新しい場所に引っ越す際には、その空間を自分の縄張りとして支配し、近隣に強い存在感を示すこともあります。
リーダーシップと効率性:SLEは、組織を効率的に動かす能力を持っています。例えば、職場で問題が起こった際、SLEは周囲の状況を素早く把握し、最適な行動をとることができます。無駄を嫌い、目的達成のために全力を注ぎます。例えば、プロジェクトの締め切りが迫ると、SLEはチームにプレッシャーをかけ、全員を限界まで駆り立てて問題を解決に導きます。
対人関係:厳しさと依存の拒絶:SLEは他人に対しても自分に対しても厳しく、約束を守らない人には容赦しません。例えば、友人が約束を守らなかった場合、その人に冷徹な態度を取ります。依存を弱さと見なしており、他人を自分に依存させることで強さを証明します。人間関係では主導権を握り、決定権を自分で持ちたがります。
仕事への姿勢・能力と意欲:SLEは仕事に対して非常に意欲的で、困難な状況でも自分の能力を発揮します。例えば、難しいプロジェクトが降ってきた時、他の人が尻込みする中、SLEは率先して指揮を執り、解決策を見つけ出します。会議では他人の意見を聞きながらも、最終的には自分が決定権を握ります。
感情と倫理の弱さ:SLEは感情表現が苦手で、特に親しい人にはネガティブな感情をぶつけてしまうことが多いです。例えば、パートナーに対して仕事のストレスをぶつけ、後で後悔することがあります。また、倫理的な問題を引き起こしがちで、相手に抑圧的な態度を取ってしまうこともあります。
日常生活の具体例:SLEは実用性を重視する人物です。例えば、男性のSLEは家では機能性を最優先にし、物の配置を整えます。女性のSLEは家の中を完璧に整え、質の高い家具や料理で快適さを追求します。また、経済的な生活を重視し、無駄を省くために石鹸を再利用したり、安価で質の良い野菜を選んだりします。
結論:SLEは、強いリーダーシップを持ち、効率的に組織を動かす人物ですが、その冷徹な一面や独断的な振る舞いがトラブルを招くこともあります。感情表現や倫理に苦手意識を持ちながらも、IEIとの関係でバランスを取ることができる、複雑で魅力的なタイプです。
双対関係であるIEIの説明にもSLEに関する説明があります。
意識的な機能
第1機能(先導):Se
「強者は、たとえ小声で話していても耳を傾けてもらえる」─ アレクサンドル・レベジ
強さ、力、目的意識、決断力、忍耐力 - これらは、SLEの第1機能の主要な価値観です。彼らは一人一人の強さと「意志の力」を評価することに長けています。彼らは自分以外の「権力を熱望する人々」には特に注意を払い、決して他人に「意欲的なイニシアチブ」を譲ろうとはしません。
SLEが強い関心を持つものは次の二点です。一つ目が「既存の社会構造における力と権力の配分」、二つ目が「彼ら自身の能力」です。言い換えれば、このタイプの人たちは、職業や興味の有無にかかわらず、意識的にも無意識的にも、一生にわたって、常に自分自身に問いかけているのです。「誰が誰に勝つのか?」と。
SLEの「意志的な感覚(Se)」は「私が彼らに勝つか、彼らが私に勝つか」という形で表れます(「私が小さい頃は父が私を従えていましたが、大人になった今は私が父を従えています」)。
自分の体力や能力、権威といった自分の力を実感できることは、SLEにとって重要な意味を持ちます。
SLEは能力と影響力を尊重し、SLEから見て「正しい」パワーバランスの上に成り立つあらゆる階層システム(上下関係や指揮命令系統)を尊重します。SLEは、既存のシステムの中で自分のポジションを見つけようとします。これは、SLEの全ての努力の最初のステップである「最小限のプログラム」であり、SLEの掲げる中心的な目標です。
SLEの「意志的なプログラム」とは、短距離の目標を、あらゆる手段を駆使して次々に達成していくことです(「目的は手段を正当化する」)。
SLEの最終的な目標は、組織内でリーダーの地位を確立することです。現在、彼らがどんな立場であっても(例えば、政府の部局長や野党のリーダーなど)、それは問題ではありません。SLEは常に自分が権力を持っていると感じています。自分が担当する分野では、SLEは他に誰も敵わない存在であり、疑いなく権威を持って、「神であり王」といった立場にあります。
たとえSLEが一般社員として働いている場合でも、彼らは「より高い」目標を設定し、短期間で経営者を自分に従わせることができるかもしれません(それが、自分で部門を率いるよりも良い結果を生むこともあります)。
権力の組織化とリーダーシップは、SLEの社会的な役割の一つです。彼らは既存の組織の中で、共通の目標を持つ仲間を見つけ、影響力を持つ利害関係者としてビジネスを進めます。そして、「部下」を作り上げ、SLEが監督し調整することで、自分の下部組織を少しずつ築いていきます。こうして、既存の権力構造を圧縮しながら、少しずつその権力を掌握していきます。
SLEは、最終的な目的に繋がらない無駄な目標に時間を使うことはありません。また、目標を見失って進む方向を誤ることもありません。例えば、SLEが反対運動に関心を持つのは、その運動が大きくなって影響力を持つ可能性がある場合だけです。具体的には、「その運動をすれば、自分が政治的資本を得るチャンスがある」「反対運動のリーダーになる可能性がある」と感じた場合にのみ時間を使います。
SLEは「使い走り」のような立場を受け入れません。助けを求めたり頼んだりするのが苦手で、そうすることが屈辱的に感じるからです。そのため、SLEは他の人に自分が必要としていることをさせるような状況を作り出します。これは、まるで小さな「鉄の輪」のような方法です。
SLEにとって、「自分が騙されているかもしれない」と感じることは耐え難い屈辱です。それは自我を傷つけるだけでなく、彼らの全ての計画を崩壊させてしまいます。
SLEはよく「尊敬」と「軽蔑」の考え方にこだわることがあります。彼らはどこでも自分の優先順位を認めさせようとしますが、それは自分に自信がないことの表れでもあります。SLEは、内面に「卑屈さ」を感じるほど、他人に「もっと自分を見てほしい」「もっと尊敬してほしい」と強く思うようになります。
SLEは依存を嫌います。「依存すること」を弱さだと考え、逆に「誰かに依存させること」を強さだと感じます。彼らは自分が他人に「価値ある支援」をすることや「必要とされること」が好きです。そして、自分が与えた好意を覚えておき、時にはお返しを求めることもあります。
彼らが「自分の影響力を広げたい」と思うのは、単なる野心だけでなく、誰かに服従させられることを避けたいという欲求もあるからです(「自分が相手を服従させるか、相手が自分を服従させるか」)。
SLEは生涯を通じて「安全を確保するための余裕」を持とうとします。彼らは無駄に前に進むわけではなく、「未来のため」に少しでも多くを得ようとします。彼らは必ずしも「降伏」を悲観的に考えるわけではありません。降伏によって何かを諦めることもありますが、その時放棄するものは、彼らにとって「本当に大切なもの」ではないからです。
このタイプの人々には、経営や物理的な利点、そして「縄張り」を自分のものにすることが特徴としてあります。
SLEにとって、空間を支配することは最も大事な課題です。このタイプの人々は、最も自然に、そして時には意識せずにこの課題を達成します。
SLEは他の人に空間を取られるのが嫌です。例えば、共同のキッチンで少しスペースを取られたり、裏庭に数メートルのスペースを取られたりすると、たとえ小さなことであっても、それが自分以外の人によってされると不満を感じます。
このタイプの人々にとって、空間を取ることは自然なことです(SLEは無意識のうちに、部屋の中央にいることがよくあります。例えば、部屋の真ん中に移動しながら、壁際に座っている人と楽に会話をします)。
SLEは、時々自分の「行動範囲」を意識的に広げます。例えば、SLEが他の都市や国に行こうと決めた場合、まず友達から情報を集め、友達の友達や親戚の家を訪ねます。その前に、訪問先の人たちが自分を歓迎してくれるかどうかは考えません。そして、訪れた先で相手の生活や状況を聞き、自分の話をして、新しい友達を作ります。数日間滞在して、次回は友達のような感覚で再び訪れます。
SLEは日常生活でも、よく周囲の騒音や騒ぎを通じて自分のスペースを作ります。子供のSLEは、庭中に響くような声で親に返事をすることが特徴です。彼らはその瞬間、周りの空間を自分のものだと感じています。
新しく引っ越したSLE、特に南国出身のSLEは、家のドアを開け放ち、大音量で音楽を流して、近所の古くから住んでいる人に自分を舐められないようにします(「この場所の支配者はお前たちじゃない」といった感じです)。これと同じ理由で、一部のSLEは、隣人の大音量の音楽に怒り、立ち退き要求をすることもあります。
SLEは常に力の使い方が原始的です(「俺かお前か、どちらか一方が力を持つ」)。つまり、選択肢がありません。これは、SLEがいつも近くの目標や、勝つか負けるかに集中しているからです(「成功か失敗か」)。SLEの人間関係も、この考え方に従っています(「リーダーか召使いか」「オーナーか無名か」)。SLEのシステムでは、パワーバランスは強者と弱者の2つだけです。SLEは強者の立場にいることが好きですが、もし負けた場合は、その負けを認めて勝者に従うこともできます。
SLEの特徴は、仕事に対する並外れた能力と意欲です。彼らは障害が多ければ多いほど、力を発揮します。
SLEは、他の人が自分の「導く力」や権威を疑うことを許しません。このタイプの人は、自信を持って堂々と話します(二分法:宣言)。自分に甘えを許さず、それがネガティブになることを恐れています。人に要求することが好きです。決断力、忍耐力、堅実さなど、強い意志を示し、厳しくも公正なリーダーを目指します。
SLEは、リーダーや組織作りを得意とします。彼らは社員の能力を正確に把握し、全員に最高の成果を求め、最適な配置で仕事を割り振ります。そして、効率よく仕事を進めるために、集中したペースで働かせます。
普段の生活では、SLEは自分の力を発揮できていないと感じることがありますが、緊急時には活力が湧きます。そのため、SLEは意図的に緊張感を作り出そうとし、怖い話をしたり、状況を悪く語ることがあります。これは、緊迫感を生み出すための行動です。
極限状態はSLEを活性化させます。彼らは部下に対して厳しい条件を課し、緊張を強いることがあります。穏やかなスケジュールに不必要な「極端さ」を持ち込むこともありますが、これはSLEにとって普通のことです。そのため、SLEと一緒に働く人は、こうした面に慣れる必要があります。
SLEは、グループで問題や解決策を話し合うのを好みますが、最終的な決定は自分で下し、その責任を取りたがります。
「戦いに勝つのは、良いアドバイスをした者ではなく、その実行に責任を持ち、命令を下した者である」─ ナポレオン・ボナパルト
SLEは責任者になることが好きで、そのために何をすべきかをよく知っています。
現在の状況や力の分布を素早く把握して判断し、行動します。恐れ知らずで、リスクを恐れません。危険な状況では、自分の考えをしっかり持たなければならないと考えています。極限状態では、SLEの強い意志、決断力、勇気、実用的な思考が、解決策や出口を見つける助けになります。
危機的な状況では、SLEは断固たる行動をし、「戦力の増強」を求めます(軽い態度は許しません)。冷静でエネルギッシュに行動し、反撃します。外部からの物理的な危険があれば、慎重に撤退することもあります。しかし、争う必要がある場合、自分の利益を犠牲にしてでも撤退せず、最後まで戦い抜きます(「何としても勝利を掲げよ!」)。
SLEは相手に合わせず、独自の判断で行動します。普段は礼儀正しく控えめですが、自分の価値観を無視されると怒りを抑えきれません。「軽視されている」と感じると、SLEは内心で焦り、一刻も早くこの状況を抜け出そうとします。
SLEは集団の中で非公式なリーダーになることが多いです。危機的な場面や大事な局面では目立たないようにし、裏でコントロールを試みます。
SLEは自分の力を集める必要性を、行動が適切であること、持久力、そして確信を持って語ります。また、規律や強い意志、決断力を育てることの重要性について話すのが好きです。周りの人々を元気づけて動かし続けます。
SLEは自分にも他人にも厳しく、約束を守らない人を尊敬しません。そういう人は「意味がない」と感じ、軽蔑することがあります。
彼らは自分の力や意義、社会的使命に自信を持っており、挑戦的な精神で競争を楽しみます。
自分の価値観を絶対的な真実として、他人に押し付けがちです。彼らは「厳しい現実」を語ることが多く、現在の状況を受け入れる能力を重視します。
他の人には面倒に思われることもありますが、SLEは自分の経験を積極的に共有し、「生き方」や「物事がどうあるべきか」を教えようとします。
第2機能(創造):Ti
このタイプの人々は、一生をかけて喜んで学び続けます。絶えず、どこでもそうしています。徹底的に物事に取り組み、あらゆる情報を収集・分析し、資格のレベルを向上させようとします。
彼らは自分自身に手を加えること(自己啓発、研鑽など)を楽しみます。彼らの手を加える範囲は広範囲に及んでいます。また、興味の範囲も幅広いです。
SLEが科学研究を行う場合、ランクや賞を第一の目標にしているわけではありません。しかし、自分の能力と実績を文書化した証拠(例えば卒業証書、証明書など)は、彼らにとって重要なものです。SLEは、広く認められている権威者を尊敬し、自分の能力を具体的に示すことを好みます。 しかし彼らにとって最も大切なものは教育の中身そのものであり、証明書それ自体の価値はそれに劣るものでしかありません。
SLEは、記憶力が良いことが多いです。様々なテーマについて自分の意見を持ち、必要に応じてそれを説明し、正当性を主張できます。確立された事実、統計、歴史的な例を広く適用することができます。
質問を検討する際に、彼らは取るに足らない些細なことまで考慮してしまいます。SLEがディベートやディスカッションの準備をしている場合、ディベートの流れを予想して、選べる選択肢の中から最良の証拠を選択しようとします。また、必要なら数学的な計算までして事前に全てを検討しようとします。情報源の妥当性を重視しており、必要に応じて注意深く、そして慎重に情報を選ぶことができます。疑わしい情報源は使わないようにします。
SLEは、知識を力だと考えます。そしてそういった価値観を持つ彼らは、関係性の論理(Ti)を最も重要なもののひとつであると考えます。SLEはTiのおかげで先導機能Seを知的な形で発揮することができます。
SLEの考えでは、情報を持たない人、知識を持たない人は無防備です。身を守るために、情報と知識を欠かすことはできません。そのためSLEにとって必要な情報を収集することは、潜在能力を開発することと同じくらい重要なことです(多くの場合、SLEにとって情報を収集することと潜在能力を開発することは同じ意味をさします)。重要度が高い情報であれば、お金を出したり、策略を用いたり、あるいは彼ら目線では「ちょっとした」脅しを利用して、何が何でも手に入れようとするかもしれません。彼らにとって、必要かどうかにかかわらず、情報とは常に価値があるものなのです。
「見知らぬ街を旅するときは、その街をよく知るべきだ。万が一、征服しなければならなくなった場合に備えて」─ ナポレオン・ボナパルト
SLEが情報を収集する際、彼らは双対関係にあたるIEI(INFp)から多くの支援を受けています。IEIは「出来事の中に身を置く」ことに努めているタイプであり、幅広い人脈(役に立つ人も役に立ちそうにない人も含めて幅広い人脈)を持っており、たとえ相手が口下手な人であっても、さりげなく会話に参加させることができ、並外れた好奇心で自分に役立ちそうなことには何にでも興味を示します。
SLEの意図的な圧力(Seによる圧力)は、論理的な議論と説得の方法によって発揮される傾向があります。彼らは持ち前の柔軟で適応性のある論理(創造機能としてのTe)を活用して、自身の先導機能の目的を果たそうとします。
SLEは、個人的な利益や目標にとってどうかという観点から、先導機能Seという力の配分に関する機能によって結論を出すため、あらゆるテーマで常に客観的であるというわけではありません。したがってSLEが議論の際に持ち出してくる情報のうちいくつかは、実際には客観的にみて真実ではないという場合もあります。SLEと議論する場合、彼らの個人的な視点や信念を他人が覆すことはできないのだということを常に念頭に置いておく必要があります。
SLEとの議論は、多くの場合、無意味な試みだと言わざるを得ません。一度SLEと議論をすると、相手はすぐに彼ら特有の傾向(発言の偏り、投機的な傾向、安直な結論を出したがる傾向、「はい」か「いいえ」だけであらゆる問題を解決しようとする傾向)に気が付くことになります。まるで「物事には『白』か『黒』かしかない」とでもいうかのように見えることがあります。
彼らは個人的な計画について話す場合、それを自分自身の目標と関連付け、自分の能力と成功の可能性に基づいてアドバイスを行います。そのため、SLEと個人的な計画について話し合うことが常に有意義であるとは限りません。SLEは、自分がまだ掘りあてていない「金の鉱脈」を、他の誰かが掘ることを許しません。そして彼らの論理や主張、信念といった全ての力は、「他の人に金の鉱脈を掘りあてさせないこと」を目的にしています。SLEは、自分の利益や目的に反するアドバイスはしません。
彼らは基本的に、客観的な真実というものを、自分から遠く離れた「精神的な反省」のためではなく、意図的な議論を構築するための手段として使用します。たとえ周囲の意見に反するような意見であっても、自分の意見を主張し、それを守るために、あらゆる許可された、あるいは許可されていない議論の方法を駆使します。声を荒げ、感情的に、あるいは肉体的に圧力をかけることもあります。 議論の中で、彼らは真実ではなく勝利を求めています。
相手を説得する手段がない場合、他の参加者や観察者を利用して、相手をあざ笑い、相手の信用を失墜させようとします。とにかく「どんな手段を使ってでも勝たなければならない」と思っています。
しばしばSLEは、タイミングを見計らって「うまいこと一言でまとめた」ような類いの発言をすることで相手を圧倒し、それ以上の発言を封じようとすることがあります。
もちろん、このタイプの人が知識を必要とするのは、議論に勝ち、自分が信頼を獲得するためだけではありません。論理的思考能力は、彼らの知性にとって最も重要なツールです。
第3機能(役割):Ne
SLEが先導機能 Seをうまく発揮するためには、全ての行動において先見の明と慎重さが必要になります。もし見落としがあった場合、彼ら自身が抱いていた計画の失敗、キャリアの崩壊、そして指導的地位からの失墜という事態を招いてしまいます。SLEの場合、大きなスケールで活動した際に大きな損失を被る危険性もあります。
全ての感覚タイプでみられる特徴ですが、SLEは可能な限り具体的な話をしようとした結果、余計なことを言ってしまい、それが仇となってしまうことがあります。
SLE自身もこの点には問題を感じているかもしれません(「私の口は私の敵だ」)。馴染みのない人とのコミュニケーションに必要となる「慎重さ」や「注意深さ」などの資質を身につけようとしても、ついつい具体的な思考の流れや理由、事実にばかり気を取られてしまい、この「可能な限り具体的に話そうとして余計なことを言ってしまう」悪癖をやめることはできません。
例えば、SLEが交渉担当をする場合、次のようなことが起こるかもしれません:「弊社は、高額な救急医療を割引するサービスを提供します。このサービスのためにお客様は毎月料金をお支払いにならなければなりません」
それを聞いた客は、次のようなことを言うかもしれません。:「ちょっと待ってください。今後数年間は利用する予定がない救急医療サービスのために毎月料金を支払わないといけないんですか。この『割引』はどれくらいになるんですか?」
SLEは議論のどこかで、自分に対する「切り札」を出しています。彼らの論理は、意志的な圧力が強い裏返しとして、直観的な面の弱さがあります。SLEの主張は常に何らかの目先の利益に向いてしまっています。
そして彼らの説得は、実際のリアルなデータではなく、彼らが「こうあってほしい」と望むデータに基づいています(自分の利益という観点からふるい分けた事実を使用して相手に説得を行うため、このタイプの人々はあらゆる商業的事業の仲介者として素晴らしい働きをします。彼らは「ドーナツホール(つまりドーナツの穴のように一部分が欠落している状態。例えば保険契約などで、保険適応対象外になる部分)」が丸見えな商材ですら、堂々と取引することができます。
もしも強力無比な意思の力(Se)に加えて直観まで身に着ければ、まさに鬼に金棒ではないかと思うかもしれませんが、残念ながらSeとNeは互いに阻害しあう関係であるため、これは不可能です。
SLEがいくらNeを発達させようと努力しても、SLEにとって直観は十分な力にはなりません。それだけではなく、そうやって無理にNeを発達させようとした結果、彼らの先導機能 Seが弱くなってしまうこともあります。これはどういうことかと、ゆるぎない意志と決意を持って行動・前進しなければならないときに、「いや、もっといいチャンスがあるんじゃないだろうか」と二の足を踏んでしまうような状態です。
SLEは、特に社会的接触の初期段階では「可能性の直観(Ne)」の側面に関する計算を考慮に入れる必要性を抱えています。SLEは新しい人と接点を持つという点では、とても慎重なほうです。
初対面の人が相手の場合、SLEのコミュニケーションのやり方は慎重で、かなり警戒心が強いほうです。相手に出来る限り好印象を与えようと自分の行動をコントロールしつつ、他方では相手を観察し続けて、相手の意志の可能性と自分の意志の可能性を関連付けようとします。
それだけではなく、自分の持つ力が相手の持つ力より大きいことをさりげなくアピールするための状況を作り出そうと画策したり、自分が「リードする権利」と「イニシアチブをとる権利」を持っていることを宣言し、それに対する他の人の反応を伺うこともあります。また、相手が自分に依存するように仕向けることもあります。
こうしたことは、SLEのコミュニケーションスタイルとして習慣化されて機械的に行われている場合もあれば、どこまでやって大丈夫なのか、限界を「偵察」するために行われている場合もあります。
SLEは外見的には率直なタイプですが、奇跡的とも言えるほどの高い適応力も持ち合わせています。例えば無節操で、不正直で、のめりこみやすい面があるSLEがいたとします。そのSLEがそうした特徴を持っていることをよく知っている人相手であっても、「自分に信頼を感じさせる」という荒業ができてしまうほど、SLEは自分を「世間一般的に受け入れられているイデオロギー」に合わせて見せる能力が高いです。
SLEは立てた目標に対して、まっすぐに突き進むことはありません。むしろ逆に、「その目標が達成できたとしても、何の益にも害にもならない人」のような振る舞いをしたり、「今現在行っている方法とは別の方法で行動したらどうなるのか評価してみよう」とすることがあります。個人的な魅力を利用してみたり、友人やその他の人脈を利用して影響力を行使しようとするかもしれません。
つまり、既存の人脈や上下関係に基づくネットワークを頼りに、「影響力のレバー」を探し、「役立つ人」や「役立つグループ」を見つけ出そうとするのです(鉄の輪を締め上げる戦略)。彼らは無駄な労力を極力なくし、必要な時だけ必要な努力をしようとします。
SLEは、「後援者」「恩恵者」「ゴッドファーザー」(あるいは「レーニンと子供たち」に登場するような、典型的な「子供好きの良いおじさん」的な父親像)の役割を果たしたがります。
プロの政治家であるSLEは、巧みに他者をナビゲートし、操る方法を知っていますが、彼ら自身は「自分のライン」と「自分のコース」を見失うことはありません。短期的な譲歩以上のことはしません。
彼らは自らの持つ「即興で成功させる」という能力を頼りに戦略を立てます(二分法:戦略)。戦略を立てるにあたって、彼らは「自分から行動してみて初めて見えてくることがある」という精神で行動します。
SLEは、硬い枠組みの中で仕事をすることを嫌います。彼らにとって行動の自由と大きなスケールは欠かせないものです。
SLEの計画は柔軟に、実際の状況に応じて常に修正されます。彼らは誤ったタイミングで行動することを恐れており、可能な限り期待される戦術に頼り、必要な瞬間まで自分のイニシアチブと決定的で画期的な活動を温存します。
SLEは、効果的な助言を与えることができる全ての人々の話に耳を傾け、専門家と会話をし、彼らから学ぶことを好みます。将来の計画について、SLEは自信を持って楽観的に話そうとしますが、必ずしも成功するとは限りません。
たとえ親しい友人相手であっても自分の不幸話や、うまくいっていないという話をしないようにしています(SLEと、SLEの双対であるIEIは「不幸な人」をあまり評価しないタイプです。したがってSLEは自分の不幸な要素を可能な限り隠そうとします)。
また、SLEは「全てを管理下におき把握している人」という印象を他人に与えたがるほうですが、それでも自分の持つコネクションに関する情報は絶対に話したがりません。
彼らは確かに全てを「握って」いますが、そういった情報は自分と自分の仲間のためだけに使っています。この性質が、彼らの双対であるIEIを大いに魅了します。
第4機能(脆弱):Fi
SLEは自分の倫理的資質に幻想を抱くことはありません。
というのも、彼らは自分の倫理的資質の不快な特性について、嫌と言うほどよく知っているからです。例えば、初対面の人に対して不信感を抱いてしまう傾向があったり、他人の行動の動機を疑ってかかる癖があります(これは「関係性の倫理」Fi、「可能性の直観」Neの側面が弱く脆弱な位置にあることから生じている特性です)。
残念ながら、SLEは自分の倫理的な「コンプレックス」や「恐れ」、そして不信感や誤解に基づいて、個人的な人間関係を形成していきます。これは、このタイプの人たちの抱える最も深刻な問題の一つです。
SLEは、自分のネガティブな「欠点」が周囲に露呈して、自分の先導機能 Seや「知性」の機能(創造機能 Te)に従って熱心に作り上げようとしている「厳しくも公正なリーダー」というポジティブなイメージが崩れてしまうのではないかと心配することが多いです。確かにSLEは、自分の行動が倫理的に正しいと信じています。しかし、SLEの独裁的な態度や強い意志、パートナーに対する頑固さ、独断的な行動を見ると、実際には倫理的な権利や選択の自由がないことは明らかです。
自分の意見や権威を他人がどう受け止めるかという問題は、SLEにとって非常に重要な問題です。この点に関していえば、他のどのソシオタイプと比べても、SLEはこの問題を重要視していると言えます。
SLEにとって「自分の最も価値がある資質」は「知性」と「能力」です。そのため、「自分の知性と能力を自分だけが評価している」のではなく「他の人々も自分の知性と能力を評価している」ということが重要になります。
またSLEにとって、単に見た目がそう見えるというだけでなく、「いい待遇、いい関係性に恵まれた場合、潜在的にそうなる可能性を秘めている」と認識されることも大切です。あるがままを受け入れられ、評価されるだけでなく、ポジティブな倫理的可能性を考慮したうえで評価されることが重要なのです(SLEの双対であるIEIは、こういった点をよく見抜いて評価してくれます)。
SLEは「自分は上手くやれる」ということをはっきりとは言わず、ヒントや冗談のような形で示そうとします。彼らは賢明で慎重なので、こういったことを露骨にアピールしたりはしません。自分で自分を褒めるような行為は、SLEにとって場違いで不適切なことのように感じられます(これは双対であるIEIを潜在的に志向しているために生じる傾向です)。
SLEは、自分に近づこうとする人々(心理的に距離を縮めようとする相手)に自分を正しく理解してもらうことを大切にしています。そうした相手には、自分の性格や普段の行動、人についての好みなどを話すこともあります。
SLEにとって大切なのは、他の人に自分の行動が「悪意がない」と感じてもらうことです。厳しさや疑い深さは敵に対して向けるもので、友人には良い性格や行動を見せるよう心がけています。
もしSLEが友人に対して「SLE側にも問題を引き起こすかもしれない支援」をする必要がある場合、SLEは自分から「自分に悪影響を及ぼさない、それでいて求められている支援と同等の、別の支援」を提案することがあります(例えば、友人から「借金の保証人になってくれ」と頼まれた場合、SLEはおそらく拒否しますが、その代わりにSLEは友人に多額のお金を貸すことを申し出るかもしれません)。
SLEは、自分の友人だけでなく、友人の友人も助けることができます。もちろん助けるかどうかは状況次第ですし、助けた相手が恩返しをしてくれることが前提です。
SLEにとって、ただ尊敬されるだけでは足りません。彼らは自分が愛されることを重視しています:「恋することがメインではなく、他人に恋をさせることがメインだ」
SLEが個人的な関係において遭遇する問題の一つは、相手の愛をただ信じることができずに、愛の証明を求めるところです。
SLEは倫理的な自己評価を控えめにした状態で関係を築くため、他者と心理的な距離を詰めることを恐れています。 「よく見ると魅力のない人だな」と思われないかどうか不安なのです。
このような態度は、SLEが関係性の倫理(Fi)の側面で、非常に緊張した、非論理的な、不自然な行動をとることに繋がってしまいます。
人間関係で前向きな手応えを感じた場合、距離が今以上に縮まることを恐れて、SLE自身の手で関係を断ち切ってしまうことも少なくありません(このタイプの男性は、物理的な距離は積極的に縮めますが、個人的・倫理的な距離は縮めません)。
このタイプの人々は、個人的な関係を築くのに苦労しますが、それは「どのように人間関係を築くべきか」という点について、現実的とはいえないほど高い理想を抱いているからです。その漠然とした理想の前で、SLEは自分の無力さを痛感し、途方にくれてしまうのです。
SLEは、主導権争いをしたらトップにならなければ気がすまないほうですし、少なくとも実際に「パートナーに選択の自由を与えない」という問題点もあります。
こうしたことが原因になって、彼らはしばしば倫理的問題を引き起こしてしまいます(これはソシオニクス的に見て互換性のない、つまり簡単に言えば、相性が悪いパートナーを想定しています)。SLEは自分の意見、自分の権威や力で相手を強く抑圧し始めます。彼らはパートナーのために全てを決め、全てを事前に考え、パートナーを厳しい状況に置き、パートナー側からの反論を許しません。
例えば、誰かと会うスケジュールや時間を即座に、そして反論を受け付けないような素振りで指定することがあります:「火曜と木曜の1時から2時の間で。それ以外の時間には会えません」
また、それ以外にも条件をつけることもあります。:「私たちが知り合い同士だというのを他の人に覚られないようにするために、もし私とどこかで偶然会ったとしても、顔見知りであるという素振りは見せないでください」
SLEがこのような行動をとるのは「既婚者であるから」ではないこともあります。これは次のような心配から来ていることもあります:「今は独身でも、将来誰かと結婚した時に、この人と繋がりがあったことが問題になるかもしれない」
SLEは、たとえ現在の人間関係が悪化しても、直観力を鍛え、先見の明を持とうとします。それが元で相手を怒らせたり、強く動揺させたりすることは、彼らにとっては二次的な問題でしかありません。しかし、こういったSLEの行動は、そのうち「二次的」とは呼べないほど重大な問題を起こし始めてしまいます。
SLEは、倫理的な問題に率先して取り組もうとすることで、重大な過ちを犯してしまいます。本当の自分ではなく、自分が「こう見られたい」と思っている自分を見せようとするだけでは駄目なのです。
さらに彼らは、このかなり不安定な基礎(「こう見られたい」という理想の自分像)の上に、自分の人間関係の関係性をモデル化し、構築しようとします。
そんなモデルを作り出すSLEが、「自分の思い描く通りに関係が発展していくこと」を望んでいるのは言うまでもありません。そのために、SLEは「今、この人との人間関係はうまくいっているのか」何度も何度も確認したくなってしまいます。残念ながら、これはSLEがやってはいけないことです。そんなことしても、彼らが自分のためになる何かを得ることはできないでしょう。
関係が良いかどうか、前向きかどうかを確認する必要はありません。SLEはすでに自分でそれを理解しています。逆に、関係が悪かったと分かっても、それを知ることに意味はありません。自分の欠点をわざわざ聞いても、SLEの自信を失わせ、コンプレックスを強めるだけです。その結果、彼らは以前のような厳しい態度を取るようになってしまいます。
SLEには、彼らが「悪い」と感じる機会を与えてはいけません。これは何のプラスにもなりません。SLEの欠点を「目の前に突きつける」ようなことをしてはいけません。これでは、彼らをより厳しく、冷酷にしてしまうだけです。
また、「拳を使った善」や「戦闘的な善」をSLEに押し付けようとしてもいけません。彼らはこの種の「善」を信じていないからです。
悲観的で直観力が弱いため、SLEは関係の初期の善意、無条件の愛、全てを包み込む善という考えを完全に信じることができません。SLEは、自分の目で見たこと、目の前で展開されたこと、つまり具体的な人物との具体的な関係の中で、自分自身が「うまくいっている」と感じたことだけを信じています。
彼らはパートナーごとに「自分がパートナーから評価された」という実績を通して自己認識を固めます。
しかもSLEはパートナーの発言だけを材料にして評価されたかどうかを確認しているわけではありません。パートナーの表情、声のトーン、笑顔などの顔の表情を敏感に感じ取り、それらを通して確認するのです。
そのため、パートナーがSLEの行動に失望する前に、パートナーからの評価が低いことに気づいたSLEの方が先に失望することがあります。そして、SLEは「この人との関係はうまくいかないかもしれない」と感じ、それに合わせて行動してしまいます。
もしSLEが「相手が自分を低く評価している」と感じると、相手が思っているよりも自分の評価を上げようとして、自分をアピールし始めることがあります。SLEはパートナーに対して、「自分がどう扱われるべきか」や「どう接してほしいか」を示すようにします。つまり、「私はポジティブで、フレンドリーに接してほしい」といったサインを送ろうとするのです。
SLEは、見た目や形式的には関係を続けているように見えますが、実際には精神的や知的な部分で既に関係が終わっていることがあります。
パートナーは朝から晩まで、SLEに「SLEがいかに優れているか、偉大で親切であるか」を伝え続けなければなりません。こうした理由から、SLEにとって良い関係は、双対タイプのIEIとの間で築かれることが多いです。
IEIは直観力に優れていて、前向きな性格をしています。そのため、人をしっかり見極めることができます。IEIはSLEの才能や良さに心から惹かれ、SLEの自己評価を大きく高める手助けをします。その結果、SLEはIEIの価値も高く感じるようになります。
SLEにとって、「この人は本当に素晴らしい」と思ってくれる人の存在は、とても大切です。そのため、SLEはその期待に応えようと頑張ります。
無意識的な機能
第5機能(暗示):Ni
SLEの特徴といえば「前へ前へ突き進む猛烈な勢い」ですが、躊躇してしまうような状況や疑問を向けられるような状況に直面すると、この特徴は途端に曇ってしまいます。
例えば、すぐに解決しなければならない緊急の問題が無尽蔵にわき続けるような状況です。そんな時、SLEはとても心配症になります。彼らにとっては、自分の人生の全てがかかっているように感じてしまうのです。
こうした困難を感じているSLEは、先が見えずに慎重にならざるを得ない状況で、普段のように前へ前へと行動できない苦痛に耐えています。こんな時のSLEはとても傷つきやすいです。
SLEは様々な予測や予感の影響を受けます。また、陰気な予感には特に注意を向けます。
このタイプの人々は、占いやお告げ、根拠のはっきりしない憶測にも耳を傾ける傾向があります。中には占星術による予言を信じて、それに従って計画や行動を調整しようとする人もいます(特に女性のSLE)。
SLEにとって、こういったものから得られる情報はとても参考になる情報だと感じられます。何らかの予言的な内容が書かれている場合は特にです:「今週は些細なことで悩んだり、誰かと自分がうまくいっているかどうか試すような言動はとらずに、確信を持って平穏に暮らしましょう。しっかり休息をとって、健康に気をつけてください」
SLEが必要としているこうした類の予言は、双対であるIEIにも行うことができます(彼らはSLEの心情を察して、SLEにとって必要なものを見抜くことができるためです)。
例えば、どんなに暗いニュースがあっても、IEIは励ましのほほえみをもって次のようなことを言ったりします。:「このトラブルや苦難は一時的なものに過ぎません。すぐに過ぎ去ってしまうでしょう」
期待される立場にあることが、SLEには重くのしかかってきます。特に時間がかかる人間関係には悩まされるほうです(空約束で自分の言動を誘導されたり、一方的に遊ばれた後で断られたり、結果に繋がらない多大なパートナーシップや愛に労力をかけるはめになった時など)。
SLEはこうした人間関係の駆け引き的なゲームを嫌います。場合によっては親しい友人に対して「こんなゲームをしていたら、いつかしっぺ返しを食うだろう」と諭すこともあります。
彼らは予想外の時間の浪費を嫌います。SLEにとって、他人の問題を押し付けられるということは、自分に時間とエネルギーを奪われるということを意味します。
SLEは通常、自分にどれだけの時間があるのか、その時間をどのように使えばいいのか、何をして過ごせばいいのか、ほとんど考えていません。そのため自分の時間があまりにも非生産的に使われているように思えて、スケジュール帳を埋めようとすることがあります。また、その逆に自分の予定があまりにもいっぱいいっぱいに感じて、何から手を付けたらいいのかわからなくなってしまうこともあります。その状態から持ち直すには、また時間が必要になります。
SLEは、必要な仕事をこなすための時間配分に問題を抱えていることが多いです。
このタイプの人の多くは、一日を徹底的に計画し、その日に決められたことを実行し、どこにいても時間通りに行動し、締め切りや約束の時間を大切にしようとしています。しかし、それにも関わらず不測の事態が起きてしまい、計画が当初の予定通りに行かないことがあります。
他の感覚タイプと同様に、SLEは短い時間に出来るだけ多くのことをやろうとするあまり、過剰な負荷やストレスを抱えやすい傾向があります。
SLEの双対はIEIですが、IEIはまさにSLEにとって偉大なコンサルタントと呼べるような存在です。IEIは「それは今やるべきか」「いつやるのがいいのか」という観点からタスク管理をするのが得意であり、また「仕事には果てがない」という事実をSLEに思い出させてあげることもできます(このおかげでSLEは「自分があまりにも無茶に働きすぎていた」ということに気が付き、適度に休息をとれるようになります)。
(wikisocion編集者注釈:SLEは自分に無茶な負担をかけたり、身体的な負荷の強い危険な仕事をする一方で、ケガをしないように作業するという部分の意識には甘さがあるタイプです。そのためSLEは早い段階で健康を害す傾向があると言われています)
さらに、IEIは「クリティカルタイム」を意識しています。クリティカルタイムとは、「生き生きとした積極的な行動の時間」であり、「決定的なインパクトを与えられる時間」であり、「これ以上遅れたり、待ったりすることは『死に等しい』という時間」です。
また、IEIは、時間の経過とともに明らかになっていく他者の倫理的な可能性を見ています。そのためIEIは「この人に何を期待すればいいのか」「この人は誠実な人なのか」「この人は敵か味方か」といった質問に答えることができます。
これら人生の重要な問題についてのIEIのアドバイスは、SLEにとって非常に頼りになるものです。
第6機能(動員):Fe
無意識のうちに、SLEは(論理的なタイプとして)推論に自分の感情を従属させようとします。
例えば、自分の気分が仕事にも部下や同僚との関係にも影響を与えないようにします。SLEは、誰に対しても同じように、レベルの高い、親しみやすいトーンを保とうとします。
しかし、このタイプの人々は、状況に応じて柔軟に適切な感情表現をすることが苦手です。関係性の倫理(Fi)の弱さは、感情の倫理(Fe)にも問題を引き起こします。
例えば、倫理的に気まずい状況に置かれたとき、SLEはしばらくの間、その心理的な不快感に耐えようとします。しかしその後、彼らは全く別の状況で、不適切なタイミングで、何も関係のない人にそれまで我慢していた感情をぶつけてしますのです。
SLEは、自分が感じている感情と、自分を「こんな風に見せたい」という感情の矛盾に悩まされています。彼らは、抑制された不動の仮面の下に、深く情熱的な感情を秘めています。
SLEは、自分のポジティブな感情(彼らの最も深くにある、強い親密さの感情)を自分の最も親しいパートナーに見せようとはしません。その一方で、彼らがどれだけ「こんな風に見せたい」と望んでいたとしても、ネガティブな感情をすぐ親しい人にぶつけてしまいます。そして後になってから、自分勝手にネガティブな感情を爆発させてしまった自分自身を責めます。
彼らは自分の評判や、他の人が自分をどう見ているかを心配しています。人を不当に怒らせたり、動揺させたりしたことを後悔することもあるでしょう。
SLEは思いやりに傾倒するだけでなく、自身の高貴な衝動を自己称賛する傾向もあります。さらに、彼らにとって、自分が持つ倫理的な可能性を明確に示すことは非常に重要なことです。そうすることで、自分の長所やポジティブな資質に目を向けてもらいやすくなり、自分が望むような状態の人間関係を得ることが出来るからです。
SLEは「良いことは目立たずに行われるべき」という考えには違和感を覚えるという人が多いですが、これは自分の行動の動機(「いい人間に見られる」ために行動しようとするところ)に対する批判のように感じられて、気になってしまうからです。
幸いなことに、このタイプの人々にとって、彼らの最高の動機を奨励し、彼らの最も前向きな感情を活性化し、そして彼らがそれに従って良いものを作り出す助けをしてくれる存在として、宗教という「倫理的な出口」があります。さらに宗教は、彼らの心の奥底にある、未だ汚染されていない神聖で誠実な感情に彼らが気付くきっかけにもなります。
「自分のそばには自分の愛に値する人がいない」という場合、最も深い秘密の考えや願いを託すことができる何かがあるというのは、SLEにとってプラスになるかもしれません。ここでは心の奥底にある感情を表現することは奨励されており、それを恥じる必要はありません。
また宗教以外にも、自分の感情を素直に吐き出すことが出来る、他の「出口」や機会もあります。
具体的に言えば、クリエイティブなアーティストや役者のグループもまた、「出口」になります。ここでは、SLEの強みや気質を存分に発揮することができます。このようなタイプの俳優でも、感情を制限する必要があると感じることがあるのは確かです:「俳優は感情的に控え目に生きなければならない。さもないと仕事にも人生にも感情が足りなくなる」─ アリーサ・フレインドリフ
SLEは、自分が孤独で誤解されていると感じていることが多いです。そしてそのために、見知らぬ人たちの中で、自分の本当の気持ちを見せることを躊躇ってしまいます。
通常、SLEは自分の気分を周囲の人々の感情的なトーンと結びつけようとしますが、この試みはいつも成功するわけではありません。他の人から感情的に浮いてしまうこともあります。しかもSLEは「かなりはっきり浮いてしまう」方なので、周囲の人々にとって必ずしも心地の良い存在にはなれません。
新しいグループに参加する際、SLEはしばしば、不運にも「大衆のまとめ役」や「ジョーカー」の役割を引き受けてしまうことがあります(男性のSLEに多いです)。しかし、うまいジョークを言うことが出来ず、それが原因で不快な結果に繋がることもあります。SLEは無理にリーダーの役割を果たそうとすることがあり、「自分の立場を押し付けられる」と非常に腹を立てます。このような場合、彼らは怒りを露わにし、物理的な衝突(殴ったり掴みかかるなど)を起こすこともあります。
また、これとは真逆の行動をとることもあります。大衆的な歓喜から距離を置いて、近寄りがたく、そして影の薄い状態に徹するのです(こういった態度をとるのは、女性のSLEの方が多いです)。
SLEは、自分の感情や内面の経験を話さなければならないことに戸惑いを感じてしまいます。
彼らにとって、こうしたことはとてもプライベートで、自分の本質に関わることです。どう話せばいいのか分からず、話すのが怖いのです。「薄っぺらい」「馬鹿げている」「慎みがない」と思われることが恐れられています。
確かに、不自然な行動を取ろうとすると、SLEにとってはほとんどの場合、良い結果になりません。自分の役割に夢中になりすぎると、行動が不適切になり、時には常識を超えてしまいます。
ただし、SLEは「良識」に関して大きな問題を抱えているわけではありません。彼らが問題を起こすのは、どう振る舞うべきか分からないからでも、教育が足りなかったからでもありません。この点については、特に問題はないことが多いです。。
しかし、SLEがリラックスして気を緩めた瞬間(特にゲストと一緒にいる時)、彼らは「自分の役割を外れている」と感じ、その状況に困惑します。何かを見られたり言われたりすると、敏感に反応してしまいます。
SLEが冗談を言ったり発言したりした時、誰かが不適切に反応すると、感情が高ぶります。その時に、もし良識と適切さを思い出せば、自分の言葉や行動をコントロールできるかもしれません。
多くの場合、SLEはゲストの前でリラックスしないように気をつけたり、自分の家でゲストと会うことで、より落ち着きと自信を持った環境を整えようとします。
SLE自身も、自分の短気に悩まされており、自分の自制心の無さにいつも後悔しています。その場の勢いで言い過ぎてしまったこと、誰かを怒らせてしまったこと、誰かに悪く思われてしまったことなどを後悔しているのです。一部の、そして特にこのタイプの女性は、自分がやったことを償おうとします。
SLEは自分が「難しい」性格をしていると自分を責めており、この問題について誰に相談したらいいのかわからなくなってしまっています。また、これがコミュニケーションや人との関係における深刻な問題を生み出してしまっていることも彼らは理解しています。
この状況は、SLEの双対であるIEIがいることで改善されます。
IEIは、軽やかで自由な交流を生む方法や、コミュニケーションの問題を解決する方法をよく理解しています。誰かの気まずさを取り除いて、もっと快適で楽しい方向に向けさせる方法も知っています。気の利いた褒め言葉や優しい言葉を見つけるのが得意です。
IEIと一緒にいる時、SLEは心からリラックスでき、肩の力を抜けます。また、IEIから倫理的なサポートを受けることもできます。IEIのそばで、SLEは魂の休息を得ることができるのです。
第7機能(監視):Si
この点について、SLEの男性と女性にはいくつかの違いがあります。
SLEの男性は、耐久性を重視し、維持に手間をかけません。
彼らは快適さを作るために多くの時間を使うことはありません。家の中はだいたい清潔で、物は決まった場所にあり、食べ物は新鮮で健康的です。これで十分だと考えています。服装はシンプルで目立たず、流行に左右されないスタイルを好みます。
SLEの女性は、男性の場合とは異なります。
彼女たちは、家庭を快適に保つために多くの時間と努力をかけます。家の中は常に整っており、特にゲストが来る前には完璧に整えます。すべてが清潔で輝いています。家具は質が高く、古風なものを好みます。家には多くの装飾品があり、例えば磁器の置物やクリスタルの花瓶、ナフキン、カーテン、大きな絵、観葉植物などがあります。要するに、家の中は「完璧に整った状態」です。また、料理が得意で、美味しい料理を作るのはもちろん、漬け物やジャムを作るのも得意です。海外に別荘を持ち、週末や休暇を楽しむ人もいます。流行にも詳しく、裁縫もできますが、個性的で明るく上品な色合いを好みます。音楽やアートにも興味を持っています。SLEの女性は「いつも元気で、歌ったり踊ったりするような人」です。
SLEの美的感覚は、ロシアの伝統的なフォークロア(民族的な織物やデザイン)にも表れています。高品質で幻想的、鮮やかで金色で装飾された芸術を想像してみてください。また、歌謡のフォークロアでは、善良でありながら恋に恵まれない「大胆で生意気な少女」など、SLEの美学を感じさせるテーマがあります。
SLEの女性は、「燃える家に飛び込み、疾走する馬を止める」ような人物です。自己犠牲を惜しまず、信じられないほどの忍耐力と不屈の精神を持っています。文句を言うことなく、毎日責任を果たします。不平を言ったり、病気になることを嫌います。それは、体調が悪くなって不機嫌になるのが嫌だからです。
SLEは病気になると特に他の人との関わりが難しくなります。自分の弱さを恐れており、「このままずっとこんな状態が続くのではないか」と不安になります。そのため、どんなことを犠牲にしても、常に活動的で落ち着き、明るくいようと努めます。
第8機能(実証):Te
SLEは非常に実用的なタイプで、すべての行動を有用性に基づいて説明します。
「無駄なことはしない」─ ナポレオン・ボナパルト
SLEは実用性を大切にしており、商品に関しては、価格や形、色、匂い、味などを評価するのが得意です。その長所と短所を見抜く力も抜群で、商品性についての記憶力も優れています。SLEは、商品価値に見合わない価格を支払うことはありません。また、見栄を張るために無駄な支出をすることも理解できません。自分に不利な商取引はしません。
収入に関係なく予算内で生活することを心がけています。そのため、裕福でありながらも堅実だと見られることが多いです。
家計を効率的に管理し、無駄なものを使わず捨てない「無駄のない家計」を目指しています。例えば、SLEの女性は、残った小さな石鹸を集めて食器洗いに使います。また、1回しか使えないものを2回使う方法を考えたり、家にある他のもので代用したりします。食べられる野菜を捨てることはありません。できるだけ安く、可食部分が多い野菜を買うようにします。
彼らは物を大事にし、カジュアルな服とフォーマルな服をきちんと分けて、服が長持ちするようにします。家ではシンプルで使いやすい服を着て、外では上質で見栄えの良い服を着ます。
SLEは仕事が得意で、仕事が好きです。どんなことでも最高のレベルを目指し、資格を取ろうとします。仕事は素早く、かつ質が高いです。
「最大の罪は、やりかたがわからないことを引き受けることだ」─ ナポレオン・ボナパルト
彼らは自分のスキルや得意分野を示し、状況に合わせて正確に行動します。
与えられた仕事は、なるべくわかりやすく説明します。もし、同僚がうまく理解できていなければ、理解できるまで何度でも説明します(これは、SLEの双対である、論理が弱いIEIが潜在的に望むことです)。同時に、SLEは自分の説明と反対の行動を許さず、もし説明を求められないと、不機嫌になることもあります。これは、自分の実用的で論理的な考えが十分に評価されていないと感じるからです。
SLEにとって、他の人に自分の仕事を褒めてもらったり、手本にしてもらったりすることはとても大切です。時にはそのためだけに働いているようにも見えます。
SLEは、だらしないことや不注意には耐えられませんが、努力している従業員や少なくとも努力しようとしている従業員のミスには寛大です(SLEは、IEIが生産的に見えるように、IEIをサポートします)。
SLEは、誰かに好かれたいと思うと、その人から頼まれるのを待つのではなく、自分から積極的に働きかけます(例えば、映画『The Blonde Around the Corner』のナデジダというキャラクターがその例です。彼女は、人々の必要をすぐに満たすことができる優れたセールスウーマンです。スイミングプールのチケットでも、輸入家具のセットでも、人脈を使ってすぐに手配します。SLEは、このように広い人脈を活かして他人を助けることができる人です)。
SLEは、「この人に感謝されたい、友達になりたい」と感じる人の問題を解決するのが好きです。自分が「全てを支配している」ように見られると嬉しくなります。
SLEは、信頼や愛を得るための最良の方法は、日常的な問題を解決するための支援を提案することだと考えています(こうした考えは無意識にIEIのようになりたいと思っているからです)。タチアナ・ドギレバが演じるナデジダのように、SLEは自分の努力が過小評価され、見返りがないと、強い不満を感じることがあります。
IEIは、SLEの誠実で寛大な配慮を、熱意と感謝をもって受け入れる数少ないタイプです。IEIは、SLEの実用的な能力、献身的な姿勢、仕事における無私の精神を高く評価しています。