双対関係であるSLEの説明にもIEIに関する説明があります。
意識的な機能
第1機能(先導):Ni
IEIはロマンチックで夢想家的なタイプです。彼らにとって時間は伸縮自在で創造的な素材であり、自分の裁量で「圧縮」したり「延長」したりすることができるものです。
「時よ止まれ、お前は美しい!」
IEIは自分の時間を非常に大切にしています。特にそれが楽しい経験をするための時間であれば、なおさらです。面白さや楽しさに欠ける時間は、彼らにとって単なる「失われた時間」というだけでなく、一種の腹立たしい見落としであり、許されるべきではないものです。
IEIは、自発的に時間を管理できるような、そして利便性が考慮されているような、柔軟性のあるスケジュールで生活したいと考えています。
◆◆◆
誰かのせいで自分の計画がうまくいかなくなると腹が立ちます。そして、ホリデーの集まりやお祝いの席に招待されなかった場合、それだけで強い苛立ちを感じます。例えば、自分の計算が狂って希望が叶わなかった場合、目の前にあった目標が急に遠ざかって達成できなくなった場合、誰かが自分の支持や後援を拒否して「自分の翼」から振り落とされた場合などです。
IEIにとってこれらは全て不幸な出来事であり、到底納得できるものではなく、あらゆる手段を講じてこのようなことが起こらないようにしようとします(大抵の場合、これは成功します)。
一見するとIEIは日常生活から切り離されている人のように見えますが、彼らは自分の周りで起こっていることを十分に、現実的に評価する能力を持っています。望ましくない出来事を予見し、その影響を回避する方法や、悪影響が長期化しないように緩和する方法を知っています。
IEIは、対立が悪化し、はっきりした対応や説明をしなければならなくなった時点で、上手くそこから抜け出すことができます。戦術を変え、状況を自分の手中に収めて、結果に備える時間を確保しようとするでしょう(例えば別の有益そうなスポンサーや援助者を見つけるなど)。
◆◆◆
彼らは自分の希望、関心、計画に従って、人間関係が進展するペースを設定します。自分と他人の時間を管理する「ディレクター」の役割を果たします。イベントを自分のテンポに従わせ、自分の人生のリズムで生きられるように仕向けます。IEI自身が急ぐ必要性を感じない場合、会話相手もIEIを急がせることは出来ません。IEIの話し相手は知らず知らずのうちにIEIの会話のペースに乗せられていることでしょう。
IEIは昔話に出てくる妖精のような人です。どんな人の人生でも「甘い夢」に変えてしまうことができます。このことから、IEIは目標や具体的なターゲットに向かって前進し続けている人、例えばIEIの双対であるSLE(ESTp)のような人の良きパートナーとなります。
IEIは何かが自分の「指示」や「采配」通りに進まないとイライラします。
IEIは「決定的な瞬間」が来たときは特に敏感に察知します。ここでIEIは誰かを「冬眠」から「目覚めさせ」、「いまこそ行動すべき時だ」ということを明確に示しします。
IEIは自分が必要とするだけの時間を常に持っています。彼らはあまりにも困難で非現実的な目標を自分に課すことはありません。日々の予定を詰め込みすぎて疲労困憊することもありません。常に自分にとって必要なポイントに到達することができます。
厳密に一日の計画を立てたり、目先のことだけでなく遠い未来のことまで含めた密なスケジュールや計画に「囚われる」ことを好みません。必要性を感じなかった場合、時間を守らないこともあります。ただし、彼ら自身が望んだ場合は、時間通りに行動することもできます。
IEIは、自分のために時間を使うことができます。激動の時代の中で、いつ「静かな港」で待つべきなのか、いつ誰かに守られて「冬眠」するべきなのかを知っています(IEIにとって最も快適なのは、双対であるSLEの「翼」の下にいる時です)。
しばしばIEIは「成功が手の中に勝手に落ちてくる人」のように見えることがあります。多くの人が羨むその資質により、このタイプの人は自分の人生をうまくアレンジすることができます。
◆◆◆
IEIはまた、ニュースやイベントの動向を読み、そこから世論の全体的な方向性を判断し、「風がどこに吹いているか」を知るように心がけていることが多いです。新しいトレンド、展開、方向性には常に注意を払っています。
苦しみとは永遠に続くものではなく、時間の経過と共に変化していくものだと考えます。そしてターニングポイントを心待にしています。そのため、一見すると暗くて気が滅入るような出来事でも、IEIは笑顔で語ることがあります。危機の後に訪れる変化に期待を寄せ、その変化を有益なものにしようとします。
IEIは、誰かが自分の考えに合わない不都合な時間の使い方を押し付けてきた場合、激しく抵抗し、その無意味さを証明しようとします。
IEIは自分が望むように行動したいと思っているので、彼らの意に沿わぬ時間の使い方をするよう説得することは非常に難しく、またそうすることが無駄でさえあります(例えば、伴奏者として仕事をしていたIEIは、劇中、音楽の休憩時間を勝手に短くすることを決めました。役者と監督の両方は、それに驚き不愉快になりました)。
IEIにとって、自分の時間は常に自分だけのものです。そして仕事中の時間も自分だけのものと考えています。仕事をしたければするし、プライベートなことや会話に気を取られてしまうこともあります。
他人と一緒に何かをやっている時でさえ、自分の時間を非常に大切にしています。彼らは時間を「感謝すべき寛大な贈り物」だと考えています。
第2機能(創造):Fe
これはIEIの第2の価値であり、ポジティブな態度を生み出し、自分の存在によって他人の気分を向上させるスキルでもあります。IEIはこの機能による恩恵を、周囲の人々と惜しみなく共有します。
自分が観察した全ての現象に対して、IEIは非常にダイナミックで、印象に残るような感情的方法で反応します。自然界に存在するありとあらゆるもの(物、人、出来事)に、IEIは関心を寄せます。IEIの性質は、他の人々がIEIに積極的に近づくきっかけにもなります。なぜならIEIのような「自分の長所に心から惹かれて興奮し、自分自身も想像していなかったような面白いことを見つけだしてくれる人」を邪魔に感じる人などほとんどいないからです。
また、IEIは相手の目を見て深い敬意の態度を示しながら相手の話を聞くことができます。
IEIの親愛に満ちていて、親切で控えめな笑顔は、雲間から差し込む日差しのようです。時には夢見がちに、時にはずる賢く、しかし常に願い事をしているような、楽観的で励ましに満ちた笑顔です。IEIの雰囲気も太陽の光に似ています。愛想が良く、愛情深くて好感の持てる、気さくで喜びに満ちたものです。
◆◆◆
ロマンチックな夢を見ている時、IEIはここではない遠いどこかに意識が飛んでいきます。そんな時は、世界の全てが明るい色になり、太陽の光と「新鮮な露のきらめき」で満たされます。この甘美な夢のような至福の状態、おとぎ話のような眠りが無限に続けばいいと感じていても、夢から醒めなければならないとIEIが思った時には、しっかり醒めることもできます。
IEIは、外部からの刺激が、この幻想的なエーテルの調和を妨げることを嫌います。そのような時、彼らは台無しにされた創作物の作者のような気分になってしまいます(ここまで読んで、IEIのことを「頭を混乱させる薬」「警戒心を解いて眠りにつかせるための薬」のようなものだと考えるのは間違っています。絶対に間違いです。
IEIの主な心理的任務は、ストレスが多く、自分に負荷をかけがちな双対のSLEをリラックスさせることです)。
IEIは「態度や雰囲気の職人」であり、彼らが描いた絵はその通りになります。Feは彼らが周囲に影響を与える道具であり、これを使って誰かを罰することも、報いることもできるのです。
彼らの理解では、気分や状態には常に物質的な要素があり、芸術作品のようなものです。自分が作り出した「穏やかな調和」の雰囲気が適切に評価されず、報われない場合、IEIは「別の絵を描く」必要があると考えます。
また、自分が創り出したトーンが、周囲の人々から適切な反応や支持を得られないものであった場合、自分自身に対して不快さを感じます。これは、彼らの気分や状態の急変につながるかもしれませんし、時には喧嘩に発展するかもしれません(IEIにとって気分とは、自分の環境を操作する方法なのです)。
IEIほど、情け容赦なく厳しい言葉を浴びせ、激しく喧嘩をして、自分の感情的な影響力を増幅させることが得意な人はいないかもしれません。IEIは、言葉で誰かに火をつける方法を知っています。相手が過ちから教訓を学び、二度とそれを繰り返さないようにするために、できるだけ早くそ相手の過ちを正すのに十分な言葉を巧みに使います。繰り返しになりますが、このようなIEIの倫理的な影響力の発揮の仕方は、主に彼らの双対であるSLEの不活性な感情とやや粗い倫理観に向けられた場合には効果的ですが、他の人(より繊細な性格の人)にとっては耐え難いものになります。
◆◆◆
IEIは自分があまりにも弱く、相手に依存しすぎていると感じた結果として、相手と心理的な距離をとろうとすることがあります。彼らがそうする目的は、心理的な距離を調整すること、潜在的な問題にパートナーの注意を引きつけ、自分のニーズをパートナーが最も受け入れやすい形で表現することです。
IEIは、自分の問題を「ビジネスライクに」話すことができません。IEIにとってこれはあまりにも粗野で無粋なものに感じられてしまうからです(IEIはSLEの傷つきやすい感情とデモンストレーション的な実用主義を無意識のうちに志向しています)。そのため、相手に自分を理解してもらうために必要なのは、機転の利いた微妙なヒントをだけで十分だと考えています。
彼らは人に合わせるのが上手です。しかし、もし何らかの理由で接触がうまくいかなかった場合、IEIは常に不安を感じてしまいます。「もしかしたら、この人は見た目ほどオープンではないかもしれない」、あるいは「危険かもしれない」等(ここでIEIの-Niが働き、危険から遠ざかりたいという欲求が生まれます)など、近づくことができなかった理由について考え始めるのです。[1]
◆◆◆
IEIは自分の状態に合わせて、周りの人の資質を倫理的に評価します。つまり、自分の機嫌が良ければその人を褒め、賛辞を述べますが、自分の機嫌が悪ければ他人に対して批判的になります。動揺している時や苛立っている時、IEIは「真実を突きつけてやりたい」というどうしようもない欲求に駆られ、最も不愉快な真実の言葉を口にすることがあります。IEIは定期的に人との対立を起こしますが、これはIEIが人間関係のシステムの中で自分の立場を知るための手段です。
IEIの全ての感情とムードは「芸術的パレット」であるだけでなく、「楽器セット」であり「武器庫」でもあります。彼らは自信をもって、その魅了、アピール力を武器として最前線で振るいます。IEIのこうした力は、ただの見かけだけのものではありません。彼らの比類なき魂の顕れなのです。
第3機能(役割):Si
感情的なイメージが強く、鮮明で、具体的であればあるほど、IEIはこの「感覚の感知(Si)」という側面を強く感じ取ります。
このような理由から、IEIは音楽、演劇、詩など、自分の「感情のパレット」全体を思う存分発揮できる職業に就き、成功を収めます。例えば音楽家のIEIは、音の美しさをその表現力によって正確に認識します。美しい音とは、感情的に飽和した、倍音の豊かな音であり、醜い音とは、表現力のない「空虚な」、または鈍い音です。
同じことが、IEIの色の組み合わせに対する認識にも当てはまります。IEIにとって「美しい組み合わせ」とは、何らかの感情的なイメージを刺激したり、感情的な連想を呼び起こしたりする組み合わせのことです(例えばデザイナーのIEIは、自分のプロジェクトのために色の組み合わせを選ぼうとして長い間苦心していましたが、あるとき突然「適切な気分」でいくつかの絵を描き、その絵の色を元にしてデザインの仕事を進めました)。(wikisocion編集者注釈:このような「偶然」の発見は、IEIの特殊な思考形態に起因するものです)[2]
◆◆◆
このタイプの人たちは、自分のことを美意識の高い人間だと思っています。ショーやコンサート、映画祭に参加するなど、さまざまな創作活動を楽しんでいます。芸術家であれ、俳優であれ、音楽家であれ、IEIは自分をひとつの領域に限定することはありません。様々な情報源から得た、明るい活力に満ちた印象を、自分の仕事の領域に持ち込んで実現するのです。
(wikisocion編集者注釈:このようなタイプの説明は、アーティスト、ミュージシャン、プロデューサー、その他のクリエイティブな人は皆、IEI、あるいはEIEにタイプされるというステレオタイプを助長してしまうことに繋がります。実際には、多くのIEIは芸術的な活動に携わっていません。例えば軍隊に入って出世したり、教師や大学教授になることを選んだりします。同様に、他のタイプの人の中にも、強い自我を持ち、創造的で芸術的な仕事に挑戦し、成功を収める人がたくさんいます。創造的な才能や職業をタイプと混同しないようにする注意が必要です)
彼らは文化や芸術の分野で見られるあらゆる革新性を積極的に追いかけ、最新の雑誌や広告のパンフレットを読みます。IEIの家には、そういったものが至るところに見られるでしょう。新聞折り込みの雑多な広告を長い間保存している場合もあります。それは、その広告の写真が好きだったり、いつかその商品を買うことを夢見ていたりするからです(IEIは夢を見るのが好きです。彼らは頻繁に自分の願いを精神的に実現しており、写真もまた一種の夢の実現のようなものです。「いつかこの商品を買うぞ!」という夢の具現化でもあるのです)。
このタイプの人々は、その美的志向において、ある種の矛盾を抱えています。つまり、一方では自分の好みに保守的であり、他方では新しいものを求め、受け入れるのです。例えば服装の好みにはそうした傾向がみられます。自分が慣れ親しんだ服を着るか、または自分に合うか合わないかに関係なく最新のスタイルの服を着るかのどちらかです。味覚も同様で、伝統的で決まり切った料理を作るか、かなり実験的な味の組み合わせをした贅沢な料理を作るかのどちらかです。
IEIはこれまでに何度も見たり、味わったり、感じたり、経験した結果、刺激をうけなくなってしまい、自分の中で確立された感覚の枠組みの中で閉塞感を感じた時、新しい、時には美的に矛盾した感覚にチャレンジし始めます。
社会的な場では、IEIは凛としたマナーを示そうとします。彼らは洗練されたエレガントなスタイルを心がけています。華やかで快適な雰囲気の中で過ごすことができます。美しいものに囲まれているのが好きなのです。
◆◆◆
他人にちょっとしたプレゼントを贈るのが好きなほうです。プレゼントが「お金」という場合も、もちろん嫌いではありません(ただし、彼ら自身はお金をプレゼントとして貰った場合、すぐにそれを使ってしまいます。しかも何に使ったのかあまり覚えていません)。IEIにとって、思い出に残る高価で美しい物をもらうことは、いつも嬉しいことです。
「あなたから貰った調理器具セットはとてもいいプレゼントでした。みんな『なんて素晴らしい調理器具セットだ』と褒めていました」
このように、他の人からも称賛されるようなプレゼントは、IEIにとって嬉しいプレゼントです。
IEIの美的センスは、周囲の人々の意見に影響されて形成されることが多いです。
◆◆◆
家事、家庭内の整理整頓、快適さや居心地の良さの演出、清潔さや秩序の維持など、IEIの前にはいくつかの問題が立ちはだかります。こういった問題に、IEIは最初は熱心に取り組みますが、問題に直面するとすぐにその熱意が冷めてしまいます。
こうした「嫌なこと」に時間を使いたくないと考えているIEIは、自分のために自分で「快適な巣」を作り、それを自分で整えるということがほとんどできません。彼らは無意識のうちに、このような領域の問題解決を手助けをしてくれる誰かを求めています。
そして、この「IEIを助けてくれる誰か」は、IEIの双対であるSLEであることが多いです。SLEは外向的な感覚が特徴的なタイプです。SLEは人の家に入ると、最初に「悪くない部屋だけど、ここの寄木細工は直して、このキャビネットは色を塗り替えたほうがいいな」などと言う可能性が高いタイプです。IEIとは全く違うタイプですが、IEIは喜んでSLEの手助けを受け入れることでしょう。
IEIは、SLEが便利で質のいい生活をもたらしてくれるのを楽しみにしています。そして同時に、IEIは自分の「創造的な夢」を通して、SLEとIEI自身を刺激することができます。
(wikisocion編集者注釈:LSI、ESI、SLI、ESEなどの強力なSiを持つ他のタイプも、双対であるSLEとは異なる方法で、IEIが「居心地の良い巣」を作り、物質的な幸福を向上させるのを助けることができます)
第4機能(脆弱):Te
世の中には「常にイニシアチブを取り、エネルギッシュで、ビジネス志向な人」がいますが、IEIはこういうカテゴリーからは程遠い人です。これには多くの理由があります。
まず第一に、IEIは自分が楽しめない仕事や、自分の考えに合致しない仕事に時間を使いたくないと感じるからです。彼らは音楽を聴きながらパソコンで仕事をし、ピアノを弾きながら本を読み、テレビでスポーツ中継を見ながら教科書の新しい章を読んだりします。
第二に、IEIはあまり急いで自分の仕事をするべきではないと考えているからです(もしかしたらその仕事は誰にも必要とされていない仕事かもしれないし、他の誰かが「その仕事をやりたい」と言い出すかもしれない。こういったことを彼らは考えています)。言い換えれば、あまりにも仕事が早い人にならないようにするために、あえて低いペースに抑えて仕事をしているのです。
IEIが仕事の「やる気」に目覚めるのは極めて稀です。その場合でも、締め切りギリギリまで仕事を先延ばししてしまいます(時には締め切りに間に合わないこともあります)。これがIEI自身に何の影響も与えないこともありますが、このせいで仕事をクビになってしまうこともあります(しかしIEIはすぐに次の仕事を見つけます。または、それができなければ自分の面倒を見てくれる誰かを見つけます)。
IEIが仕事をするためには、彼らが働く気分になる必要があります。しかし、いつも「至福の精神状態」か「緊張してイライラした状態」のどちらである場合、どこで「働く気分」になるタイミングが訪れるのでしょうか。
ほとんどの場合、IEIはあまりにもリラックスしすぎています。また、周囲の人々もリラックスさせてしまうため、「自発的な衝動」を与えられる人が周囲に一人もいないという状態になってしまい、自分の努力で自分を動かすことが極めて難しくなってしまうのです。
◆◆◆
IEIは自分の物を他人の家に置いておくのが嫌いです。なぜなら「戻ってこないかもしれない」と考えるからです。
しかし、自分の家に他人が物を置いても気になりません。仮に誰かがIEIの家に物を置いていたとして、それがIEIにとって馴染みがないものであっても、IEIは(自分のものと同じくらい)あっさり馴染んでしまいます。特に必要なものほどすぐに「それがあって当たり前」になるため、「手放せなくなってしまう」と冗談めかして語るIEIに筆者は出会ったことがあります。
お金についても同じです。IEIは、お金や領収書を入れるために、たくさん仕切りのある大きな財布を自分用に購入するかもしれません。しかし、特にIEIが一人暮らしをしておらず、二人暮らしでもない場合、お金はこのポケットに長くは入っていません。
IEIの浪費ぶりは、時に「パートナーとお金の消費競争をしているのではないか」と思えるほどです。パートナーとの共通の貯金通帳にお金を振り込む前に、自分のためにお金を使ってしまいがちです(IEIのベータ・クアドラ・コンプレックスの表れです)。
◆◆◆
IEIは責任を負うことを嫌います(この性質は、全てを自分で解決し、決定し、自分が責任を負うことを好む双対のSLEの性質と上手く補完しあっています)。そのためIEIは自分の責任を誰かに押し付けようとすることがあります。このタイプの人々が責任のある地位に就くと、多くの人に影響する問題を引き起こしてしまう危険性があります。例えば自分にしか決定権がない問題解決策の採用を頻繁に先延ばしにしたりします。
時には、ゲストに「希少で重要な情報」を与えたくないと考えたり、「秘密を漏らした」と非難されるリスクを避けたいと思った結果、わざと無能なふりをすることもあります。
また、生産工程の順序を間違えたり、関係者に誤った情報を伝えたり、さらには重要な情報を忘れてしまったりすることもあります。もしIEIが権力者である場合、こうしたミスをしてしまうと部下や関係者に多大な損害を与えることにつながりかねません。
IEIは自分の仕事の結果をチェックするのも嫌いです。IEIが経理担当者である場合、数字を書き間違えたり、書類を紛失してしまったり、支払いのメモを取り忘れたりしてしまって、天文学的な負債を作りだしてしまうこともあります。
◆◆◆
とはいえ「IEIは有益なことは何一つできず、役立たずの人間である」というわけではありません。IEIの中には熟練したスキルを持った人や、勤勉な人もいます。言うなれば、IEIは自分にとって必要と思われることなら何でもできるのです。IEIの問題は、それが何であるかを常に本人が認識しているわけではないという点です。
IEIを絶えず働かせ続けることはできません。SLE以外のタイプのパートナーに、「IEIを労働に駆り立てる力や、IEIの健康状態を維持する能力がないから」ということだけが原因ではありません。IEIは不適切な労働環境に置かれていると、どんどん弱っていき、病気になってしまうからです。IEIを「馬車馬のように働かせる」ことはできません。なぜならIEIはタフなタイプではないからです。IEIは感覚機能が弱いですが、これはIEIにとって非常に深刻な問題です。
この状況を救えるのは、IEIの双対であるSLEがそばにいることだけです(SLE以外のタイプの場合、IEIがリラックスした状態から抜け出せなくなってしまう危険性があります)。仕事への高い適応力、強い目的意識を持つSLEだけが、IEIの「リラックスさせる性質」の影響を受けすぎないで済みます(そして程よくリラックスできます)。また、SLEはIEIが最も生産的かつ最適な方法で仕事をするよう促すことができます。全てのタイプの中で、このような能力を持っているのはSLEだけです。
無意識的な機能
第5機能(暗示):Se
IEIにとって、自信に満ちていて目標志向が強い人は尊敬の対象であるだけでなく、憧れの対象でもあります。「彼らのそばにいたい」「彼らの翼に抱かれたい」「彼らに必要とされたい」「彼らの役に立ちたい」と思っています。そうした人々の友情と信頼を勝ち取ることができた場合、IEIは深く満足し、喜んで彼らのサポートを受け入れます。
IEIには、自分を支援してくれそうな人を見つけ出す才能があります。自分のサポーター(あまりサポーターとして役に立つわけではないけど自分に友好的な人と、サポーターとしての能力を持っているものの、まだポジティブな関係を築けていない人)を選ぶための一種の自然な戦術を持っているのです。
一方で「弱虫」や「無能」と仲良くすることは好みません。役に立つ人脈の作り方を知らず、自分で立ち上がることができず、他人を肘で押しのけながら目標に向かって突き進む「肘を使った仕事」ができない「不幸な人」を尊敬しません。IEIにとって、こういった人々は全く理解できない人々です。
これらの特徴の結果として、IEIは「壮大なハッタリをかまして、あたかも自分が権力や影響力を持っているかのように錯覚させようとする人たち」の影響下に置かれてしまうことがあります。IEI自身はこうした人に引っかからないように気を付けていますが、往々にして希望と現実を混同してしまい、こうした人物の罠に引っかかることがあります(IEIは直観が優れていますが、そんなIEIより遥かに要領がいい「直観的」な人も世の中にはいるのです)。
◆◆◆
IEIは、自分の強さを決して自慢しません。自分の力を誇示することはありませんし、他人と力比べをするようなこともありません。誰かの挑発に乗ったり、「あえて」挑戦したりすることもありません。
ボクシングに例えるなら、IEIにとって力を誇示する人々と自分はそもそも階級が違うのです [3]。彼らはミニマム級の自分がヘビー級と比較して弱く見えることを恥ずかしいことだとは思っていません。なぜならIEIは自分が持つ「弱さ」を効果的に活用できる人々だからです。IEIは自分が貧弱で無防備に見えることを何も悪くないと思っています。そうでなければ、一体だれがIEIを助けようとするでしょうか。
必要であれば、IEIは他人の同情を誘うことができます。大人になっても、誰かに押しのけられたり、拒絶されたりすると、泣き出してしまうことがあります。さらに、IEIはこれを弱さや恥ずべきことの表れだとは考えていません。しかし、自分を拒絶した人、自分に無関心を示した人は、罪悪感の重荷を感じるかもしれません。このようにしてIEIは、嘆きと同時に非難を繰り広げます。
また、自分がトラブルや苦難に直面していたときに無関心だった人のことをIEIは許しません(一般的にIEIは人を滅多に許しません。良いことは忘れることがありますが、悪や悪意は決して忘れません。誰かが身近な人を傷つけたり、悪意のある行為をした場合も、IEIは忘れませんし、相手の悪事を蒸し返し続けます。「彼があなたにどれほどひどい仕打ちをしたか、忘れたのですか?なぜ今になって彼を助けようとするのですか?」)。
IEIの弱さは、SLEの強さと同じ起源を持っています。SLEが何かを放棄しなくてもいいようにするために自分を強く見せようとするのと同じ理由で、IEIは自分が利用されたり騙されたりしないようにするために、わざと自分を弱く見せます。これは「不利な立場に立たされたくない」というベータ・クアドラ・コンプレックスの表れです。
◆◆◆
IEIは、【繊細な感情的影響力】と【正確な直観的推測】に基づいた、自分自身を支える独自の方法を持っています。
例えばレストランで、IEIは魅力的な自然さで「お金を持っていない」と言い出すかもしれません(しかも支払いの瞬間にそう言うかもしれません)。これは事実お金を持っていないわけではなく、同席している人の中にお金を持っている人がいて、しかもその人が自分のことを気に入っていることを知っており、「この人なら奢ってくれる」と確信しているからこそ「お金を持っていない」と言うのです(はっきり「お金を持っていない」というのではなく、自分が何もしなくても自然に問題が解決するのを、つまりIEIのことを気に入っている人が自然に「奢るよ」と言い出してくれるのを、控え目な表情で待っている場合もあります)。この場合、IEI自身の支払い能力は問題ではありません。
「仮に自分がお金を持っていたとして、『人に奢りたい』と思っている人に、彼らの希望通り『奢らせてあげる』ことの何が問題なのか。この人は本当に奢りたいと考えているのかもしれないし、すでにお互い楽しい時間を過ごしているなら、なおさらそう考えていても不思議ではない」
IEIは常に自分の魅力に自信を持っています。特に若い頃はそうであったことを思い出すとよいでしょう。
お金の問題に関しては、おそらくIEIは非現実的な人という印象を与えるでしょう。
しかし彼らは自分の考えを持っている人であり、自分の利益に反することは絶対にしない人であり、そして自分から見て「必要のない」支出をしたがらない人なのです。IEI本人は通常、自分を寛大な性格の持ち主だと考えていますが。
この無意識の戦術は、経済観念の強いSLEに向けられることもあることに注意が必要です。基本的に、このIEIの戦術(相手に奢らせてあげる戦術)は双対であるSLEには使用されませんが、それでもIEIが自分を補完してくれるSLEの持つ真のメリットを評価し、SLEの保護と友情を失わないようにするために、些細なことで議論するきっかけを作らないようにしようと決定するまでは、SLEに対してもこの戦術が使用されます。
一方SLEは、急に追加で料金を支払うことは実はあまり好きではありませんが、IEIとの付き合いを楽しんでいた場合は、特にIEIへ支出することを大きな損失とは考えません(もしSLEがIEIとの付き合いを楽しんでいなかった場合は、SLEは後悔することなくIEIと別れてしまうので、結果的に誰も気分を害しません)。
◆◆◆
IEIが他人の力を利用できるからと言って、自分の力を伸ばすことに興味がないわけではありません。しかし他の多くの人と同様に、IEIは主に自分の楽しみのために、自分の力を伸ばそうとします。体力を使うような活動はほとんどしません。時々、そういう気分になった場合だけ友人のためにディフェンダーの役割を果たしたり、戦いに巻き込まれることもありますが、IEIはハードで激しい肉体労働には不向きです。
IEIは時折、意志を持って努力することが難しいと感じることがあります。時には自分に言い聞かせるように「首輪をつけて」「引きずって」仕事場に向かうようなこともあります。しかしSLEによって、IEIが必要としている「意志的な動機」という衝動を与えてもらうことができれば、この点は改善します。
IEIはSLEと同じように、既成の秩序を意識しており、権力を持つ人々に逆らうことはありません。SLEと同じように、自分にとって確実な利益がある場合にのみ反対派に加わります。そしてSLEと同じように順応的です。自分の個人的な意見が多数派の意見に反している場合は、自分の意見をわざわざ表明しないことを好みます。必要に応じて自分の主張を取りやめたり、価値観を変えたりすることもできます。
公共のシステム(特にイデオロギー的な活動)に関する仕事ができて、柔軟な労働時間の条件下で働けるような職場は、IEIにとって満足できる職場です。
第6機能(動員):Ti
IEIは、重要と思われる情報を収集することに対して非常に積極的なタイプです。一見ぼんやりしているように見えますが、十分な観察力があり、何か面白いことを教えてくれる人を簡単に見つけることができます。IEIは情報を集めることによって、双対であるSLEに価値あるサービスを提供しています。
SLEにとって「知識」は「力と保護」と同じ意味を持つ言葉であり、SLEにとってこうしたサービスは特に価値があると感じられるものです。SLEと同じように、IEIも情報というものに高い価値を感じます。両者ともに、学び、新しい知識を得ることは非常に有益であると考えています。
IEIは情報を収集し、確認することに長けています。彼らは多くの情報源から情報を収集しますが、それは最も包括的で信頼できる情報源です。情報の選択とその分析は非常に綿密に行われます。最も価値のある情報は、IEIが自分のために保管し、親しい人たちと共有します。
IEIは人から隠し事されるのが我慢ならないタイプです。また、自然に「自分に情報を隠さない」よう促すことができます。IEIにとって「知りたい」と思うだけで十分です。興味があることは何でも学べます。IEIの好奇心には限界がなく、時には良識にも縛られません。無邪気な表情で、IEIはかなり無粋な質問をすることができます(「あなたの合格を裏で手助けしてくれた人は誰ですか」)。
IEIから何かを隠すことは非常に困難ですが、IEIが隠したいと思っている情報を他者が得ることは、さらに困難です(特にIEIにとって害になる情報の場合)。
◆◆◆
IEI自身は誤った情報や古い情報を発信してしまうことがありますが、IEIはそういった誤情報・古い情報を非常に嫌います。また、このような情報を利用して行われる裏切りや狡猾な行為は絶対に許しません。IEIが敵になるのはこのような状況下です(これは非常に危険なことです!)。
「誰かが自分を騙した」と理解したとき、または「誰かが自分を裏切って自分で遊ぼうとしている」と理解したとき、IEIは「不利な立場に置かれたくない」というベータ・クアドラ・コンプレックスから、加害者との関係を悪化させてしまうのです。
IEIにとって、論理的に一貫していることは難しいことです。そしてこの点について、IEIは特に何か努力しているわけではありません。IEIは、自己認識の上では「自分は論理的に鋭い推論ができている」と信じていますが、実際にはたびたび論理的矛盾を繰り返してしまいます。
IEIを論理的に打ち負かすために、厳格な議論を展開する必要はありません。IEIは論理ではなく倫理で勝負します。そしてIEIを論破することは非常に困難です。IEIは議論を脱線させたり、無関係な話題に話を逸らしたり、個人的なことを言い出したり、相手との人間関係を清算し始めることに長けているためです。
(wikisocion編集者注釈:この戦術は、倫理サブタイプの直観倫理タイプが最もよく使うものです。議論のある時点で、相手の個人的な資質、グループ内での社会的地位、他人との関係についてコメントし始め、議論を論理的なものから個人的なものへと変えてしまうのです。この戦術は、Fi-SEEのような他の倫理サブタイプの倫理・非合理タイプも使用します。彼らは創造機能の位置にある強力な倫理機能をツール的に使用して、「個人的な言い訳」を挿入し、論理的な説明をするのが苦手なことを「隠蔽」しているのです)。[4]
◆◆◆
IEIにとって、論理的な推論の一連の流れを完全に理解するのは難しいことです。このタイプの人にとって、拡大された広範な論理的分析を全体的に把握することは難しい事です。
IEIは、最も難しい概念を最もシンプルでわかりやすい言葉で説明することができ、最も説得力のある議論を見つけて、それを他の人に納得してもらえるような順序で並べることができます。論理タイプの説明は、IEIの肌には合いません。多くの論理タイプの説明は、無駄に複雑に絡み合っていたり、本筋とは関係ない話に脱線していたりして、IEIを大いに苛立たせます。
その点、SLEの論理はIEIにとって最適であり、最も説得力があるものです。
(wikisocion編集者注釈:IEIはLIIによって提供される論理的な説明も受け入れるため、この説明は完全には真実ではありません。ただし、LIIの説明は有益で知的な豊かさがありますが、SLEの議論のようにIEIを動員するものではありません)
どんなトピックについても、IEIは自分の意見の客観性を積極的に示そうとはしません。彼らにとっては、自分の意見が周囲の人々の意見とどれだけ相関しているかを評価することの方が重要なのです(wikisocion編集者注釈:個人の意見を調整したり比較したりすることは、主観主義タイプ全てに当てはまる説明です)。[5]
IEIは、深遠なテーマについて議論したり考えたりするのが好きですが、通常、自分のことを「深遠な」哲学者だとは思っていません。「その場の雰囲気で」「自分が楽しむために」するのであって、徹底的に深く研究するためにやっているわけではないからです。
◆◆◆
IEIの学習教材を覚え、IEIの論理的なコンセプトを理解するのは、かなり難しいです。IEIは自分のオリジナル用語に論理的な定義を与えようとしますが、こうしたことはしないように頼むほうがいいでしょう。科学的、技術的なテーマの講義を行うことも苦手としています。理論的・技術的な分野の研究レポートを提出したり、講義を聞いたり、試験に合格したりしなければならない場合、IEIはいつもユーモアで自分の無力さをカバーしようとします(しかし、それがいつも彼らを救うわけではありません。
例えば大学院の電子工学の試験で、あるIEIの学生が講師からトランジスタを渡された後、軽率にも「わあ、この配線を見て!蟻の触角みたい」と言ってしまいました)。 このようなタイプの人が理論系の学問を教えているのは珍しいことです(このタイプの人が理論を教えることはほとんどありません)。
(wikisocion編集者注釈:これは事実に反するステレオタイプです。IEIの中には、物理学はもちろん、数学、哲学、コンピュータサイエンスなどの大学院に進学する人もいます。ただしその頻度はILEのようなタイプに比べると低いかもしれません)
第7機能(監視):Ne
IEIは何かしらの「可能性」を感じさせる人が好きです。新しい知人は、まずこの観点から評価されます。
自分をうまくアピールできない人は、IEIの注意を引くことはできません。自分にとって興味深い人と知り合いになったIEIは、「面白い会話、楽しい娯楽、共通の問題に対する援助、貴重な情報や人脈」など、一言で言えば、全てを肩代わりします。
IEIは人の潜在的な可能性を評価するのが上手いです。さらに、その人が現在どのような人であるかだけでなく、どのような人になる可能性があるか、そして最も重要なことは、その人自身が今後どのようになりたいと思っているかを評価します。このような理由から、IEIは双対であるSLEの将来的な計画、目標、目的に敬意を持って接し、彼らの周りで自分が守られていると感じます。
無意識のうちに、さまざまな状況や人間関係によってどのような可能性がもたらされるかを観察しています。彼らは、いつでも、どこでも多くの知り合いを作ります。相手が重要な人物かどうかは問題ではありません。
IEIは、誰もが何かの役に立つことを証明します(また、知人が持つそれぞれの可能性を即座に判断し、同時に、将来的に自分にとっては負担になるような人物との結びつきを避けようとします。これは無駄な交流に時間を使わないようにするためです)。
彼らは「不幸な人」を見抜く目を持っています。IEIは不幸な人には興味がありません。彼らと交流することは、自分にはできない一種の贅沢だと思っています。
その一方で、IEIは身近な人に関する膨大な量の情報を記憶し、常に新しい多様な情報を補う面があるため、時に病的なまでに好奇心が旺盛な人という印象を与えます。身近な人の能力や才能、良いところ、可能性などを宣伝したり、褒めたりするのが好きです。
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IEIは、自分自身もまた「何か」を持っているように見えます。彼らは、自分の能力を非常に上手くアピールすることができます(時々ハッタリをかますこともありますが)。
また、自分の失敗談を語ることにも抵抗がなく、むしろ「失敗談」というものを好意的に受け止めることができます。特定の人脈について「この人脈は私にとって重要だと感じる」と、さりげなく、ここぞというタイミングで語ることもできます(ただし、あくまで「さりげなく」語るだけです。これは、過剰に「この人脈は素晴らしい」と語りすぎた場合の負の影響を考慮しているためです)。
直接、誰かから後援や協力を求められても、それをできるだけの自信はありません。人を拒否したくないという気持ちと、貴重な人脈を安易に共有したくない(後々「自分と元々仲が良かった人」と、「自分が人脈を共有してあげた人」同士が仲良くなり、自分が脇に追いやられてしまうと嫌だ)という気持ちが入り混じっています。
このような理由から、IEIは人と約束をしたり、人にサービスを提供することにとても慎重です。滅多に人から助けを求められなくても、そのことを残念に思ったりはしません。
ただし自分の計画に支障をきたさない範囲であれば(そして今後自分に協力してくれそうな人であれば)、進んで他者に協力します(IEIは、自分の長所を理解してくれて、自分との友情を大切にしてくれる双対のSLEであれば喜んで手助けをします)。
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IEIは、機会やチャンスが自分の手をかすめて「通り過ぎてしまう」ことに不安を感じています。また、自分を取り巻く人々の将来の計画(特にその計画の中で自分がどのような役割を担っているか)に常に強い関心を持っています。もし誰も自分のことを気にかけてくれなかったとしても、IEIは「もっと私のことを気にかけてほしい」と自分からお願いしに行くことはありません。彼らは単に「創造的」に怒るだけだと思われます。[6]
IEIが何らかのプログラムに参加することになった場合、彼らは自分の名前の上に「参加取り消し線」を引かれることを容認しません。プログラムに合格した後、IEIは自分自のために良い機会とチャンスを引き出し始めます。つまり、自分に最大限の注意を払い、最大限の時間を使い、他人のためのスペースを残さないようにします(IEIは、自分をアピールするために「肘を使って仕事をする」という独自の方法を駆使します)。
(wikisocion編集者注釈:これは、エニアグラムのタイプが感情センターであるエニアタイプ2,3,4のIEI、特に競争相手への羨望の感情を特徴とするタイプである4w3と3w4には当てはまりますが、他のエニアグラムタイプのIEI、例えばタイプ6や9についてはあまり適当な説明ではないかもしれません)。[7]
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IEIは時々、「ここではない何処かへ行きたい」と思うことがあります。ある場所でじっとしているうちに、他の人にチャンスを取られてしまったのではないかと、ふと感じてしまうのです。
また、自分の限界を試したいと思い立って、大胆な行動を取ることがあります。これが上手くいくと彼らは非常に喜び、その経験を熱心に話したりします。
IEIは無意識のうちに、あらゆる状況の「限界ライン」を見つけようと「地面を調査」します。彼らは無意識のうちに状況を誘導することで、わざと危機を近づけたり、遠ざけたり、煽ったり、スムーズに解決してみせたりすることがあります。
これは自分のためだけではなく、双対であるSLEのためにも行われます。SLEが空間における力の配置を「管理」し、IEIが時間における力の配置を「管理」するのです。
第8機能(実証):Fi
IEIは、倫理アナリストの役割を担うことはなく、自分から必要もないのに倫理や道徳についての綿密な分析や説明を行うことはありません。
倫理に反する行為に遭遇した場合は、それを他の人々の前に持ち出して議論し、他の人からの意見を受けてから結論を出します。彼らは、必要があれば周囲の人々の行動や行為の倫理性について無限に議論することができますが、倫理的なトピックについて話したり、判断したりすることが、あまり好きではありません。
IEIの関係性の倫理(Fi)の側面は、【行動の倫理】と【対象者に対する感情的な関係】の2つの部分から構成されていると言えるでしょう。IEI自身の個人的な道徳規範は、この2つのポイントの間に分散しているか、あるいはどちらにも含まれていません。
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IEIの行動の特徴は、「魂の魅力」とでもいうべきものが顕著に表れている点です。特に、誰かとの関係性の初期段階では、これが顕著に表れます。
相手の才能を心から称賛し、深い好意、心遣い、思いやりなどを示しながら、最大限に自分をアピールします。もちろん、このような深い好意などの「心のこもったリソース」を積極的に活用することで、IEIは相手の持つ「潜在的な可能性」を迅速かつ正確に推測し、今後この人とどのように関係性を発展させるべきか結論を導き出します。
IEIにとっての倫理的な相互関係は、「翼」の探索であり、パトロン、ディフェンダー、プロテクターの探索でもあります。
IEIは、自分の問題を解決するために他の人が協力を申し出てくれれば、何の問題も抱えなくて済むと考えています。そのため、IEIは自分が抱える問題を隠す必要はないと考えており、他の人が積極的に問題解決に参加することを認めています。
彼らは自分の幸福については消極的にしか話しませんが、自分の問題については、自分から進んで長く話します。
IEIは、「私は孤独で、まっとうな社会生活を送ることができていない」と話すことがありますが、実際には、孤独というものはIEIの自尊心を下げる原因になってしまうため、ほとんどの場合、本当の意味で今「孤独を感じているか」というと、別にそんなことはありません。
「私は魅力的で美しく、優れた感情的影響力を持つ人である」とIEIは考えています。そしてこの「精神的優美さ」を評価した人が、IEIから与えられた「精神的優美さ」の対価として、IEIの周辺環境に「物質的優美さ」をもたらすのは当然のことである、とIEIは考えます。
またIEIは、友人や知人との間に数多くの繋がりを築いているため、社会的な交流に不足を感じることはありません。
それにもかかわらずIEIはどんな関係にも安定性を求めています。そして同時に、自分の側からに人間関係の安定性を提供することは必ずしも出来ないとも考えています。IEIの人間関係における倫理的側面の発展性は、IEI側の「パートナーに対する興味と共感」がどれだけ持続するかにかかっています。
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IEIは「強さ」「自分に対する自信」「一度達成したことを継続する力」を持つ人をパートナーとして尊重します。したがって、SLEは、IEIの継続的な関心を得ることができ、IEIと安定した関係を築くことができると期待される唯一のタイプです。SLE以外のタイプの人々が、IEIをパートナーとして獲得するチャンスはSLEの場合よりも少ないです。
IEIはその場にポジティブな感情的ムードを生み出し、SLEが抱えがちな過剰なストレスを解消する手助けをします。またSLEの二面性から生まれる緊張状態をリラックスさせ、倫理的に保護し、「怪しそうな」潜在的危険人物について警告します。そのおかげで、SLEはIEIのアドバイスを考慮し、戦力を配分するだけでよくなります。
SLE以外のタイプの人々は、往々にしてIEIのアドバイスをただの噂話や、全く必要のない情報だと考えがちです。
SLEは、IEIがもたらす情報を真の意味で評価し、信頼と感謝をもってIEIに報いることができる唯一のタイプなのです。
訳注
- ^ -Niの関連記事「ベータ・クアドラ・コンプレックス」
- ^ IEIの認知スタイルは「シナジェティクス」に分類される。
- ^ 体重90kg以上のヘビー級と体重50kg以下のミニマム級のような違い。
- ^ 創造機能に倫理機能を持つ倫理サブタイプとは、具体的にはIEE-Fi、IEI-Fe、SEE-Fi、SEI-Feである。
^ 主観主義となるのは、アルファクアドラの全タイプと、全ベータクアドラの全タイプ。
MBTIのステレオタイプなタイプ描写では、時として感情タイプ=主観的、論理タイプ=客観的と説明されることがあるが、ソシオニクスでの主観的・客観的はT/Fの二分法とは関係ない。関連記事「二分法」「二分法の論理(T)と倫理(F)の正しい理解について by Trehov and Tsypin」
- ^ 創造機能Feによる怒りの演出。
^ IEIのアグレッシブさに関する説明は、ベータ・クアドラの特徴由来の説明だと思われる。
ベータ・クアドラにとってリソースとは限られたものであり、自分と自分の家族が人間らしく生きていくためには、弱者を蹴り落としてでも奪わなければならないものである。また、ベータ・クアドラにとって、リソースは社会的ヒエラルキーの上位にいるほど自由に占有できるものである。ヒエラルキーの下位者は、上位者によるリソースの搾取を甘受しなければならない。
関連記事「ベータクアドラ・コンプレックス」「クアドラ」)