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ソシオニクス ベータ・クアドラ (1) by Stratiyevskaya

2022年5月1日日曜日

EIE IEI LSI SLE クアドラ ソシオニクス

ソシオニクス ベータ・クアドラの特徴1


はじめに

ベータ・クアドラが持つ「従属」(または「サトラップ」)コンプレックスは、他のクアドラ・コンプレックスと同様に、4つの主要な情報的側面(ベータの場合、+Ti:エボリューション的な関係性の論理、+Fe:エボリューション的な感情の倫理、-Se:インボリューション的な意志の感覚、-Ni:インボリューション的な時間の直観)から構成されています。[1]

「サトラップ」という用語は、動物行動学においてヒエラルキーの下位のメンバーを指す言葉として使われています [2]

これらは下記で示すような、3つの特徴的なクアドラの性質を生み出します。


貴族主義

二分法「貴族主義

合理的な側面はエボリューション的であり、プラス記号が付いています。非合理的な側面はインボリューション的であり、マイナス記号が付いています:+Fe, +Ti, -Se, -Ni

この特性によれば、すべての人は次のような権利を持つとされます。

  • 上下関係を確立し、階層を形成し、維持し、保護する権利。
  • 階層ごとに定められた伝統、習慣、儀式を守り、その遵守を徹底する権利。
  • 下位者を上位者に従属させる権利。システム内で優位な地位を得るために戦う権利を主張する権利。
  • 権利、特権、機会獲得に対する地位的優位性のために戦う権利。
  • 法的、機会的、社会的な優位性を高め、特権的な立場から他者との交流を行う権利。
  • 個人的な意見や行動の権限を抑制する権利。
  • 特定のトピックに関する自由な発言、批判を制限する権利。他者(下位者)の発言や行動を統制し、批判する権利。
  • 自分の見解、判断、権限、意志を権威的に押し付ける権利。


果敢

二分法「果敢

エボリューション的で非合理的な側面の優位性:+Ni +Se

この特性によれば、すべての人は次のような権利を持つとされます。

  • 権力者という立場から他者と交流する権利。
  • 権利、立場、権力的に見て優位な立場から他者と交流する権利。
  • システム内で有利なポジションを得るために、権力的な手段を用いて戦う権利、また、自分にはそうする権利があると主張する権利。
  • 自分自身や他人の問題を、限られた時間の中で効率的に解決し、責任ある決断を下し、他人を従わせる権利。
  • 自分の意志、自分の決定、自分の意見に他人を従わせる権利。
  • システム内で優位に立ち、自らの戦闘能力と今この瞬間の特殊性を有利に、効果的に利用する権利。


主観主義

二分法「主観主義

インボリューション的で合理的な側面の優位性: -Ti -Fe

この特性によれば、すべての人は次のような権利を持つとされます。

  • イベント、意見、行動を主観的に分析する権利。
  • 犯人を探し出し、システムから排除するのと同時に、自分が排除されないよう抵抗する権利。システム内に自分の居場所を確保するために戦う権利。
  • 他人と意見や判断を戦わせ、自分の意見を最終的な真理として押しつける権利。
  • 自分の意見を強固に、鋭く、はっきりと伝えて、相手を議論・人間関係のシステム・社会のシステムの下層階級に突き落とす権利。

第二クアドラ(ベータ・クアドラ)の時代は、文明の初期段階において、あらゆる物理的な力(残忍な力も、圧倒的な力も含む)に至上の価値を見出す時代です。

安全で強固な国家の基礎を築き、それをさらに強化し、効率的に発展させて、権威主義・神権主義の国家、強大な帝国、巨大文明を創造する時代です[3]


ベータ・クアドラ・コンプレックスから生じる恐れと懸念

上記の特性が合わさった結果として、ベータ・クアドラの社会では、システム内での支配的な地位を求める、激しい権力闘争が発生します。誰もがトップを目指し、誰もが自分が支配権を得るために戦っています。この権力レースで、最下位や「遅れ」を望む人は誰もいません。誰もが「人から抑圧されないようにするために動く」という原則に従って生きており、これがヒエラルキーの中に特殊な緊張状態を生み出しています。それぞれが特権を握ろうと画策し、それぞれがより良い部分を自分のものにしようとします(特に限られたリソースを人と分け合わなければならない「配給」的なシステムが導入されている場合)。誰もが、利益と特権というクリームがたっぷりかかったケーキで囲まれたいと願っています。

ここでは誰も餌皿の奪い合いから押し出されたり、支配的な立場から引きずり降ろされたくはないのです。職場や家庭の隅に追いやられたり、階級を下げられて、被支配者側の立場に陥りたくはないのです。

ベータ・クアドラは、「全員に行き届くだけの甘いニンジンがない」ことを恐れています。システムの下層に追放された人に与えられるのは、ニンジンではなく鞭、つまり褒賞ではなく罰を与えられることになります。下層に追いやられてしまうと、人は、特に繊細な魂を持つ人は生き残ることが出来ません。ベータ・クアドラの世界では、「名誉」や「尊厳」は抽象的ない概念でもなければ「空虚な言葉」でもありません。ヒエラルキーの底辺に追いやられることは、夢と魂に別れを告げることを意味します。魂は滅ぼされ、夢には唾を吐きかけられます。


◆◆◆


ベータ・クアドラは次のようなことを恐れています。

  • 自分の名誉、尊厳、社会における特権的地位を手放すこと。
  • 権利を持たず、貧困に苦しめられる立場に突き落とされること。降格すること。
  • システムの特権階級から社会の底辺に突き落とされること。
  • 肩書、地位、特権、権力を奪われること。
  • 屈辱的な報復や罰。
  • 他人の邪悪な意志に左右されるような立場にいること。
  • 自分の社会的地位や立場が覚束ないこと。
  • 誹謗中傷、名誉棄損、冤罪を受けること。
  • 自分に背を向けて他人が結託したり、噂話、陰口、陰謀、裏切りの対象になること。極限状態で生き残り、社会的地位を回復させる妨げになる可能性のある全てのこと。

ベータ・クアドラは、自分の優れた社会的地位、階級的地位、権利、特権に対する攻撃を許しません。つまり、自分の地位や権利に異議を唱えられたり、冗談か本気かを問わず、馴れ馴れしく扱われることを許しません。ベータ・クアドラが馴れ馴れしく扱われたくない理由は、自分が「嘲笑に委縮してしまう弱虫」であり、「自分のために戦うことが出来ない弱者」だという誤った印象を与えてしまう危険性があるからです。


◆◆◆


以下はベータ・クアドラにとって許しがたい事です。

  • 上下関係、指揮命令系統を揺るがす混乱。
  • エチケットや礼儀に反すること。
  • 階級や権威の軽視。、わざと侮蔑的な態度を取られたり、馴れ馴れしく軽んじられること(仮にちょっとしたジョークの一環だとしても許せない)。
  • 個人の権利、目標、野心を侵害されたり、名誉や尊厳を冒涜されること。
  • 階層、社会、システム内での違法行為、反抗、無礼な行動、不適切な行動。

自分の意志に対する他者の抵抗、無礼や反抗の行為に対して、ベータ・クアドラ(主に感覚タイプ)は「個人的に侮辱されている」「自分の立場が危険に晒されている」と感じます。つまり「自分をシステムから追い出そうとする試み」「自分を支配的立場から追い出そうとする試み」だと解釈してしまうのです。そのため、ベータ・クアドラはそれに対して攻撃的で威圧的なプレッシャーをかけて対処しようとします。


ベータ・クアドラにとっての攻撃性は、便利で効果的な自己防衛手段であるだけではなく、目標をできるだけ早く達成するための効果的な方法であり(-Se↑、-Ni↑)、システム内で権力を掌握し(*1)、システムを主導して自分の支配的な地位を維持し、そこから追い出さないように保つ力でもあります(+Ti↑、 +Fe↑)。

(*1)定義によれば、それぞれの個人が持つ攻撃性の違いに応じて、全コミュニティのメンバーは自己組織化し、階層を形成します。最も攻撃的な者は権力を握り、ヒエラルキーの頂点にとどまり、最も攻撃性の低い者(無反応で従順な者)は階層の底辺に押しやられてしまいます [4]


◆◆◆


ベータ・クアドラは、彼らにとって身近で快適な秩序を破壊されることを見過ごしません。また、彼らにとって身近な階層システムの外側に存在する世界を想像することもできません。このような階層システムがない場合、彼らは急いで代替となるようなシステムを構築しようとします(これは均質で階級のない社会、学校、寄宿学校、兵舎、閉鎖的な機関、犯罪環境、アウトカーストと追放者の世界で起こります)。

システムから排除され、階層の下位に落とされ、二位に甘んじる者、あるいは最下位にいる者として、支配者から自分が好き放題に扱われてしまう恐怖。これは慣習的に「従属コンプレックス」と呼ばれることがあります。



出典:


訳注

  1. ^ Stratiyevskayaはエボリューション的を「建築的・肯定的」、インボリューション的を「再構築的・否定的」という意味で使用している。
    参考:Социон и соционная природа человека(外部サイト)
    ソシオニクスにおける一般的な用語としてのエボリューション、インボリューションの意味はこちら
  2. ^ アケメネス朝ペルシアにおいて、属州の統治を任されている知事のことを「サトラップ」とよぶ。このサトラップは、王直属の巡察官、いわゆる「王の目」「王の耳」によって監視、監督されていた
  3. ^ ソシオニクスでは、文明の発生から衰退までのサイクルをクアドラで考えることがある。文明の最初はアルファ・クアドラ的な世界観が優勢で、文明が成熟するに従ってベータ、ガンマ的な世界観へと変遷していき、最終的にデルタ・クアドラに至って文明が終わる。関連記事「社会的進歩リング
  4. ^ 二分法「中心性/周辺性」に基づく定義。ベータとガンマは二分法「中心性」のタイプである。つまり「社会の中心を占める」タイプ

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