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タイプの分類
戦術:Np, Sj
戦略:Nj, Sp [1]
α | β | |||||||
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ILE | SEI | ESE | LII | EIE | LSI | SLE | IEI | |
戦術 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ||||
戦略 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ||||
γ | Δ | |||||||
SEE | ILI | LIE | ESI | LSE | EII | IEE | SLI | |
戦術 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ||||
戦略 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
典型的な特徴
戦術
- 目標は固定せずに、方法に焦点を合わせて操作します。
- 目標は方法によって定義され、方法に合わせて変更されます。
- 選択肢を広げることを好みます。選択肢が少なすぎる状態を、好ましく感じません。
戦略
- 方法は固定せずに、目標に焦点を合わせて操作します。
- 方法は目標によって定義され、目標に合わせて変更されます。
- 目標(ゴール)を変えたがりません。目標から逸脱せざるを得ないことは、戦略タイプにとって望ましくないことです。
典型的な特徴(拡張版)
2003 年のレーニンの特徴の研究から取得。
戦術
- 戦術タイプは、自分の現在の状況、直近の行動、実際の選択に焦点を合わせます。言い換えると、一連のイベントの連鎖が導く可能性のあるゴール(目標)ではなく、そこに至る道(イベントの連鎖)をより重視します。
- 原則的に、戦術タイプは到達すべき単一の「ポイント」、つまり目標(ゴール)を「固定」しません。そのため、戦術タイプの方向性は変化しやすいです。
- (戦略タイプとは対照的に)戦術タイプは「今現在の行動」と「望ましい最終状態(目標)」を常に比較する傾向はありません。戦術タイプは、「今現在のルートにどれだけ適合しているか(自分の方向性とどれだけ一致しているか)」という観点から、新たな目標を評価します。
- 戦術タイプにとって、「現在起こっているイベント」「過去に起こったイベントの全ての可能性(起こったこと、起こり得たこと)」、つまり様々なシナリオや結果を、等価なものだと認識します(どれも等しく起こる可能性があったイベントだと認識します)。
- 意識的に目標設定することは稀です(状況的なプレッシャーから設定する場合はあります)。遠大な(超長期的、グローバルな)目標設定を避けます。
- 意識的にルート/経路を操作します。現在の出来事と、今自分が行うことのできる行動を比べ、多くの異なる可能性を検討し、何らかの基準(例えば最適な効率性)に従ってそれらを配置します。
- もしも自分の行動が何らかの具体的な目標に繋がるものだと認識していて、実際にその目標に到達した場合、空虚さや失望を感じます [2]。
- 語彙:戦術タイプの会話では「方向性」「手段」「方法」という言葉が多用されます。戦術タイプは自分の行動の目的については語らず、その代わりに他の概念(「必要性」「夢」「興味」「課題」など)に置き換える傾向があります。
戦略
- 戦略タイプは、行動や出来事そのものではなく、自分が到達したい「ポイント」、つまり行動の目標に焦点をあてます。
- 戦略タイプは原則的に、ゴールに到達するまでの間に具体的にどう行動するかを定めません。そのため目標到達のための「軌道」は変化する可能性があります。
- 戦略タイプは自分の行動や選択を評価する際、自分の望む目的(目標)にどれだけ近づけるかという点から評価します。
- 過去を分析する際に、戦略タイプは、現在のポイントに繋がった「決定的瞬間(最も重要な段階)」を強調します。「もしもあの時こういう選択をしていたら起こっていたかもしれないイベント」と「実際に起こったイベント」を等価なものだとは捉えません(「実際に起こったイベント」そのものを、それ自体によって個別に認識します)。
- 意識的に目標を設定します。また、一度たてた目標を破棄することに抵抗を感じます。もしも、やむを得ない事情で目標を変更しなければならない場合、混乱することもあります。目標を達成することで満足感を得る一方で、そこから外れたり、失敗してしまうと失望を感じてしまいます。
- 戦略タイプは、意識的に目標をもって行動します。もしも複数の目標がある場合は、目標を分類して階層化します。
- 目標がない場合、何か物足りない、不完全な人生だと感じます。その状態に不快感を覚え、自分がどこへ向かえばいいのか途方に暮れてしまいます。
- 語彙:戦略タイプは会話の際に「目標」「目的」といった言葉を多用します。戦略タイプは自分の目標や目的を明確に表現し、正確に定式化して記述します。戦術タイプのように、他の概念に置き換えることはありません。
注釈
このグループを理解する上で重要な要素は、「目標・目的・ゴール / 方法・道筋」という対立です。
戦略タイプの意識は、目標・目的・ゴールそのものにより大きく向けられており、それを達成するための行動にはあまり向けられておりません。一方、戦術タイプの意識は、経路、すなわち実際の行動(段階)により大きく向けられており、最終目標にはあまり向けられておりません。
こうした意識の偏りは、個人が行う意思決定などの意識的な活動だけでなく、外部環境、背景となる出来事などの同時的な要因も含まれます。
一般的なレベルでは、ある一定の目標に向かって軌道修正するか(戦略)、固定された軌道に合わせて目標を変動させるか(戦術)、という「基準点」の違いと言えます。
仮説
戦術タイプは、コースから逸脱せざるを得なかった場合、目標に到達しても失望を感じます。これは、彼らにとって目標(ゴール)よりも、コースや経路の方が重要だと感じるためです。そのため、コースや経路よりも、目標(ゴール)を重視しなければならない状況を不快に感じます。
これは戦術タイプの中でも、合理タイプの場合(つまりSj)は特に深刻です。もともと計画的な行動を好む傾向があるため、計画が崩れるとより大きな違和感を覚えてしまいます。
また戦術タイプは目標(ゴール)に到達した際にも虚無感を覚える傾向があります。これは、コースがそこで途切れてしまったように感じるからです。こんな時、彼らは地に足がついていないような感覚に一時的に襲われてしまいます。普段生活するうえで自然に感じている自信や意志の強さが損なわれてしまうのです。
戦術タイプにとって、「自分の道を進んでいる」実感がある時は、すべてが明快で順調に感じられます。しかし目標(ゴール)に到達すると、たとえそれが切望していたものであっても、自分がこれまで歩んでいた道が途切れてしまい、次に何をすればいいのかわからなくなるような感覚に陥ってしまいがちです。
具体例
戦術
- 「グローバルな目標について話すのは難しく感じます。私にとって目標とは、いくつかのローカライズされたタスクを意味しています」
- 「私にとって目標とは『一つの大きな目標』ではなく『小さな目標の連鎖』です」
- 「進みながら全てを拾います」
- 「長期的な目標は、達成することはしますが、なぜか最初の目標から斜めにズレていることが多いです」
- 「最終目標なんて立てたら死んでしまう!そんな概念、自分には存在しない」
- 「それぞれの道の先には複数のゴールがあります。私は道を進みながら、途中でそうしたゴールをキャッチします」
- 「長い間、私の道は私にとってははっきりしていました」
- 「できたはずなのに、実際にはできなかったことがたくさんあります」
- 「私の人生には、多くの可能性があったはずです。今とは違う場所に住んでいたかもしれませんし、違う職業についていたかもしれません」
- 「もしも私が別の人だったら、全てが違っていたかもしれません」
- 「ある時ふと人生を振り返り、ありえたかもしれないことを考えると、たくさんの分岐点が見えてきます。別の宇宙で別の道を歩んでいる自分が見えてくるのです」
戦略
- 「大きい目標、小さい目標。目標の大小は関係ありません。それを意識することに意味があるのです。私にとって目標は明確で、コースは未定です。思い描いたことをいつもどうやって達成しているかは、あまりよく覚えていないことも多いです」
- 「私は目標の奴隷でした」
- 「目標は、自分自身を組織化する中心点のようなものです。どんなに些細なことであっても、達成されないままになっている目標があると恥ずかしく思います。一度描かれた目標というのは、どうやっても消すことはできないものなのです」
- 「グローバルな目標があると安心できます。私の場合、目標で設定した基準を満たす道があれば、それを採用します」
- 「目標に向かう道の途中で、他の目標に気を取られることはありません」
- 「人は目標を持たなければならない。目標のない人生に何の意味があるのか」
- 「死ぬまでにやりたい35個の目標リストがあります」
- 「人は自分のやりたいことを常にはっきり口に出して説明できるわけではありませんが、それにもかかわらず彼らはそれを成し遂げています。考慮しようと思えばできる細々としたポイントはあるとは思いますが、私はそういったものよりも、もっと遠くを目指しています」
- 「人生には、『もしもそれをしなかったら自分が自分でなくなってしまう』ような、決定的な瞬間というものがあります。私はいつも、そうした瞬間がどこに私を導くのかを考えています」
- 「全ての行動はどこかに繋がっています」
- 「決定的瞬間はたくさんありました。重要なことは、それが私のゴールまでの距離を縮めるか、遠ざけるかという部分です」
- 「私は『決定的瞬間』をひとつひとつ記録につけ、リストアップしています。経験不足のため、問題をうまく解決できず、目標達成までに時間がかかってしまったことは課題ですが…。とはいえ、達成したいと思っていた目標を達成することだけはできました」
戦略タイプ同士の相互作用の例
Vera Stratiyevskaya著のEII-LIE(準双対関係)から引用した、戦略タイプ同士の相互作用の例:EII - LIE(両方とも戦略タイプ)の場合
彼らが何かを始めた場合、それは重要なものであり、その目標を達成するために途中で止まることはありません。
彼らは、パートナーの積極的な参加と行動が必要になる段階になるまで、パートナーと相談することなく一人で計画を進めてしまいます。相手の力量や余力を慎重に考慮することなく、また、相手の同意や助言を得ることもなく、そうしてしまいます。
そうして、いきなりパートナーに仕事や任務を「押し付ける」のです。このEII-LIEという戦略タイプペアの場合、お互いにそうする傾向がありますが、そのせいで互いにフラストレーションを感じてしまうことになります。
EIIの双対LSEや、LIEの双対ESIはどうなのでしょうか。LSEやESIは、粘り強く勤勉な戦術タイプであり、感覚タイプでもあります。そんな彼らでさえ無限にEII、LIEの計画につきあえるわけではありませんが、それでも割り当てられた仕事を処理し、目標と計画を実現化させるための強力なサポートができることは確かです。
しかし準双対関係であるEII-LIEの場合、そうは問屋は卸しません。どうすれば自分の目標を実現できるかばかりを考えている、楽観的過ぎる直観タイプの二人は、すぐに互いの計画の相互拒否状態に陥ってしまいます。
そんなに重要で手間のかかる計画を、自分に相談されることもなく勝手に、しかも同意なしに決められて、一体誰が喜んで受け容れられるというのでしょうか。
「これをして欲しいだって?他人をあてにしないで自分でやれば?今日、忙しいんだよね」
SLI - EII(両方とも戦略タイプ)の場合
EII「今週末、この発表会に行くつもりなんだけど、一緒にいかない?」
SLI 「いや、この週末には別の大事な予定があるから、発表会に行くのは別の機会にしてくれない?」
EII「え、二人でしないといけない予定なんて、あったっけ?」
SLI はそんなEIIからの問いに対して、曖昧なことを答えました。そして実際の週末がやってくると、SLEはただ座って映画を視たり、オンラインでチャットしたりしていました。
理論的特性
戦術/戦略は、非合理的な情報要素(Ne,Ni,Se,Si)が不活性側(モデルAの第1,4,6,7機能)か接触側(モデルAの第2,3,5,8機能)のどちらに配置されているかに対応しています。
戦術タイプは、不活性側に直観、接触側に感覚を持ちます。
戦略タイプは、不活性側に感覚、接触側に直観を持ちます。
訳注
- ^ グレンコは、タイプの特徴を踏まえてレーニンとは全く異なる戦術/戦略の分類を行っている。グレンコは、戦術:SEI、LII、EIE、SLE、SEE、LIE、EII、SLI(Nj, Sp)、戦略:ILE、ESE、LSI、IEI、ILI、ESI、LSE、IEE(Np, Sj)であるとしている。このように、特徴どころか分類自体が曖昧な点から見て、この二分法はあまりタイピングに使うべきではない可能性がある。関連記事「モデルG タイプ一覧表 戦術家と戦略家」
- ^ 例:何らかの行動=小説を書く、具体的な目標=小説を完成させるという場合、実際に小説を完成させると、満足感ではなく虚しさを感じてしまう(戦略タイプの場合、「小説を完成させる」という目標を達成できた時には満足感を得る)。
その他の二分法
こちらの記事「二分法」を参照。