双対関係であるSLIの説明にもIEEに関する説明があります。
意識的な機能
第1機能(先導):Ne
このタイプの人々の特徴は、非常に鋭い洞察力を持っていることです。人の性格をほとんど一瞬で、しかも非常に正確に判断し、簡潔な人物像を掴むことができます。また、倫理的な側面(Fiの側面)から事態の展開を予測するのが上手です。かなり正確に未来の展開を予測することもあります。
相手の気分や態度のほんのわずかな変化も敏感に察知できます。気軽なコミュニケーションをしやすい人です。IEEには人と接することが得意な人が多いです。
◆◆◆
俳優にも例えられるIEEは、スピーチをする際、非常に素早く聴衆との共通言語を見つけ出し、それを維持し続けることができます。芸能界でも活躍できるような人です。本番ではリハーサルの時以上の力を発揮できます。
「舞台恐怖症」という言葉はIEEには縁のない言葉です。観衆がいればIEEの気分は向上します。医学の世界で活躍することもあります。
しばしば、ささいな兆候や病気の初期段階から適切な診断を下せる名医になります。
計画実行に際して、「いつ動けば最も成功する可能性が高いか」を見極める力があるため、あまり労せずに大きな成功をおさめることができます。
状況に応じてチャンスを適切に利用します。そのおかげで、どんな状況でも最大の利益を引き出すことができます。
◆◆◆
IEEには、常に自分の能力を試しつつ、周囲と自分を比較し続けるという特徴があります。
競争がある環境に身を置いて自分の力を試してみたり、ちょっとしたテストを作って、他人の力を試してみたりするのが好きです。
一般的にIEEは、他人の成功には内心かなり嫉妬します。他人のほうが自分より優れていたとしても、それをあまり認めたがりません。
もしもIEEが誰かを称賛しているとすれば、それは「相手と自分のレベルに天と地の差があったり、そもそも勝負している土俵が違うせいで、IEEの勝利を脅かす危険性がない人」であるか、または「IEEがこれから勝ち星を上げたいと思っている分野で、今現在活躍している人」のどちらかです。
◆◆◆
自分自身の能力や可能性への高い期待の結果として、IEEは成功という要素の重要性を認識するようになります。
IEEにとって、成功することは当たり前のことです。そして、成功できないことは不都合なことです。このような「プログラム的 [1] 」な自分自身への要求のために、IEEは自分のどんなミスや失敗も許せません。
もし自分のミスや失敗を認めざるを得ない場合、彼らの自尊心は傷つきますが、これは「元々自分が期待していたよりも、自分の能力や可能性は大したことなかった」と感じてしまうからです。
このタイプの人々は、どんな状況でも、どんな場合でもトップであろうとします(または少なくとも周囲にはそのような印象を与えようとします。「『自分をどう見せるか』という問題は、『自分が人からどう見られるか』という問題と同じだ」)。
さらにIEEは、しばしば自分自身を「欠点のない人間である」と評価し、それを主張することがあります。彼らは自分の行動を批判されるのが大嫌いです。
頭では「欠点のない人間なんて存在するわけがない」と理解していても、自分自身の重大な欠点をきちんと認識できていないこともあります。
「もし私に欠点があったら、ぜひ仰ってください。もし言ってくれれば改善しますよ」と大真面目に話すこともあります。
◆◆◆
常に彼らは成功を収める方法に興味と関心を寄せています。IEEの多くは「ある分野で成功する方法」であったり、「ある分野で秀でる方法」についての本を著しています。
IEEは「いつも自分がトップに立ちたい」というニーズを抱えています。そして、そのニーズを満たすために、彼らはどんな状況や場面であっても勝利を目指します。IEEにデッドロックやデッドエンドは存在しません。
どんな状況でも罪を認めず、何事もなかったかのように振舞うIEEを窮地に追い込むのは不可能です。どんな状況でも動揺を表に出さず、いかなる状況でも敗北を認めないという驚異的な力を持っています。
◆◆◆
何年も苦労して成功をおさめるという戦略は、IEEにとっては魅力的なものではありません。
人気というものがいかに短命であるのか、群衆の興味がいかに気まぐれかを、彼らはあまりにもよく知っています。IEEにとって、一瞬の名声のために何年も労力を注ぎ続けることは、他のいくつもの機会を見逃すことと同じです。
これはあまりにも割りにあわないことです。
周囲の人々の注目を集め、何が何でもそれを維持することが必要だと感じています。これは彼らにとって「成功の直観」の訓練のようなものです。特に幼少期や青年期には、常に自分自身に注目を集めようと試行錯誤し続けていた人が多いです。
自分の存在を無視されると、怒ったり、神経質になったりします。他人の注目を集めることで、IEEは文字通り花開きます(他のタイプの人々への忠告になりますが、この状態のIEEとは競争しないほうがいいでしょう)。こんな時のIEEは、面白く、オリジナリティにあふれています。
一方で、もしも十分な関心を自分に集められない場合、IEEはその場にいる全員を無視し始めます。こうした反抗は、社会への挑戦であると同時に、自分への注目を集めるためのもうひとつの手段でもあります。
「成功すること」「人気を得ること」「人気を維持すること」、こういったことはすべて同列の「偉業」であり、IEEにとっては最も重要な成果です。
だからこそIEEには派手な大胆で冒険や「倫理的実験」を好む人が多いのです。大人になっても、人をからかったり、なじったり、冗談を言ったりするのが好きなIEEが多い理由でもあります(必ずしも適切ではないジョークを言う場合もありますが)。
◆◆◆
IEEは自慢話が大好きです。異性との交際がうまくいったとか、自分が元々持っている力を発揮しただけで、難しい状況をあっさり打開できたとか、そういう話を好みます。
IEEがこういった話をする目的は、その話を聞いた人が思わずIEEを見習いたくなるよう促すためです(IEE自身、無意識でやっている場合もあります)。IEEが語る「活躍」が最初から最後までフィクションであったとしても同じです。
彼らは、実際にはしなかったこと(口では何やら素晴らしい実績を語っていたとしても実際にはしなかったこと)について、他の人がどう反応するのか興味があるのです。
IEEはさまざまな状況で、人々の持つ可能性を常に「探求」しています。彼らの周りの世界すべては、彼らの「実験場」といっても過言ではありません。IEEは「他人の手によって」状況を完全に調査し、他人の過ちや他人の経験から学ぶことができます。
◆◆◆
このタイプの人々は、何か独創的なアイデアを思いつくと、自分の周りにいる人の中の誰をそのアイデアの実行者にしたらいいのか、誰がアイデアをテストするのに都合がいい人物なのかを、素早く思い浮かべることができます。IEEは自分のアイデアに興味を持って受け入れてくれる人、実行へと移すのに賛同してくれる人を見つけるのが上手いです。
彼らは、自分が提案する事業は他の誰でもない「実行者」の利益のために行われるものであり、「実行者」に不愉快な思いをさせることはなく、むしろその逆に「実行者」に大きな利益をもたらすのだと言って説得します。IEEの説得はとても巧みなので、かなり慎重で疑り深い人でさえ「実行者」に仕立て上げることができるかもしれません。
もちろんIEEは誰かを実行者に仕立て上げるにあたって、どんな餌を使えばいいのか、どんな論法を使えば相手をその気にさせられるのか、はっきり意識しています。
自分の計画が成功し、少なくとも何らかの利益を上げることができれば、IEEは心から喜びますが、その利益が実行者の懐に入るだけでは当然満足しません。彼らは、自分の懐にもその利益を入れるチャンスを絶対に見逃しません(そのために、例えば何らかの「借り」があることを相手に仄めかしたりします)。
「実験」が失敗した場合、IEEが考えるのは、自分が焚き付けなければ「実行者」は失敗せずにすんだこと、そして自分が誰かを苦しめる元凶になってしまったということです(一般的にIEEは自分の失敗についてあまり考えないようにしています)。
しかしデール・カーネギーがアドバイスするように、IEEは「おがくずを挽こうとするな [2] 」の精神で生きています。彼らは、どんな場合でも「本質的には自分は損をしていない」という風に考えます。
仮に結果が不本意なものであったとしても、少なくとも経験という情報を得ることができたのは確かですし、さらに言えば「実行者」ではない彼らIEE自身が痛い思いをしているわけではないからです。
IEEの「実験」は、IEEが本質的に否定主義者であるという観点から説明することができます [3]。IEEは確かに一見すると軽薄で無鉄砲に見えるかもしれませんが、実際には慎重で用意周到な人です [4]。
道なき道を切り開いて突き進むのではなく、舗装された安全な道を好みながらも、何としてでも自分が一番乗りして賞品を得ようとします(ゴールする前から賞品を「先取り」することさえあります。
IEEにとって、先取り行為は「勝利によって得られるもの」を損なう行為ではありません。それどころか、自分が得られるものを増やせる行為だと捉えます)。
◆◆◆
他人の成功や功績、実績には無関心ではいられません。また、他人の成功が本当かどうか確認したくなる衝動に駆られることも多いです。
例えば自分の恋人が新しい仕事の将来性を自慢したら、IEEは恋人の周囲にいる誰かを使って、恋人が語る将来性が本当に魅力的なものなのかをチェックしようとします。
IEEにとって「チャンス」に関する情報は非常に重要です。だからこそ、ありえないと感じれば、もう一度チェックしようとします。
その一方で、IEEは自分が「諜報員」の役割をすることは非常に嫌がります。もしも、ほんのわずかな危険でも感じたら、IEEは「純粋な善意から」彼らを危険な場所に派遣した人物の正体を暴きます。
IEEに重要な任務を任せることは、非常にリスキーです。IEEは誰も予測できないような行動ばかりとっているかのように見えるかもしれませんが、その実、彼らの行動原理は常に変わりません。IEEはどんな状況でも「自分にとって」最も損のない行動をとろうとします。
◆◆◆
彼らは、魅力を感じるものなら何でも試すチャンスを逃しません。常にアンテナを張っており、あらゆる出来事・意見・動向を把握しようとします。どんな意見やトレンドを支持すべきか鋭く見抜き、常に「一番乗りする人」になります(他の多くのタイプからすれば、卑劣で抜け目のない人に見えることさえあるかもしれません)。
自分の能力、資格、将来性を、実際のレベルとは関係なく、自分の最も有利になるようにプレゼンテーションできます。彼らは、自分の行動を「実験」だと捉えています。そのため、バレることを恐れずに、しばしば「ハッタリ」をかまします。ハッタリがあっさり通用すれば万々歳ですし、「ハッタリを言っている」と思われても、それはそれで構わないのです。「こういうやり方をすると、ハッタリだと受け取られる」という情報も、いつか何かの役に立つかもしれないからです。
自分の能力を過大評価する傾向と、他人の能力を過小評価する傾向があります。
自分の能力をはるかに超えた仕事を引き受けることもしばしばあります。これは、ある程度やってみれば、仕事の効率が上がって自分も他の人と同じようなスピードで仕事できるようになるだろうと期待していたり、あるいは自分の力を証明する絶好のチャンスを得られるかもしれないと期待しているからです。
IEEは「あまりにも大袈裟に宣伝しすぎて、後になってから『期待はずれだった』『大したことないやつだった』と思われるかもしれない」という風には考えません。
彼らの「自分をうまく呈示する能力」は抜きん出ています。もしも自分の実際の能力に疑問を投げ掛けられても、自分の非を認めません。
たとえ糾弾されても、あえて説明や謝罪することもなく、さっさと姿を消してしまいます。
それにも関わらず、もし「自分を正当化しよう」と思った場合、彼らはいつでも簡単にそうすることができます。
「もし私がまだすべてのことに精通していないとしても、学ぶ意欲はあるし、自分の能力に期待できないとも思っていません」と言ってのけることでしょう。
IEEは、特に双対であるSLIのような説明や教育が好きな人相手であれば、自分が無能だと思われることに繋がりそうなことでも躊躇せず挑戦します。
◆◆◆
こんなIEEが、なぜか「自分の過ちを認めることができる人」だと他人から思われやすいのには理由があります。
IEEは内面的には罪悪感と無縁で、誰かと「一緒に遊ぶ」ために、反省と自己批判をしている姿を演出してみせることがよくあるからです。
時には「自らの過ちを認める」ことが、彼らにとって有益な倫理的トリック、あるいは戦術的な策略となることもあります。
彼らの目には、謙虚さは美徳とは映りませんが、他人の謙虚さの欠如には厳しく非難します(これはIEEにとって、他人のイニシアチブを妨害するのに役立つ便利なツールです)。
またIEEは、自分の都合に合わせて自分の個性を発揮し、発信しようとしますが、同じことを他人がすると、批判的に言及します。
どのような活動領域においても、IEEは自分にとって競争相手になりうる人物と、そうでない人物を心に留めておきます。
自分のライバルにならず、自分のことを支持してほしいと注目している人たちであれば、IEEは積極的に相手を元気づけ、支援し、鼓舞しようとします。しかし自分の邪魔になる可能性のある人物であれば、IEEは必ず相手の「翼をもぎとる」ための手段を探します。
彼らは、自分のほんの小さな成果にさえ、人々の注目を集め、重要性や意義を与えることができます。
そして必要であれば、それを大きな勝利へと「膨らませる」こともできます(IEEのこうした力は、新しい場所で地位を確立したり、一度は失墜してしまったプロとしての信用を取り戻すのにうってつけの力です)。
他の人の成功や成果を例に挙げながら、人に敗北の惨めさを教えたがります。自分の考え方や価値観を押し付けることもあります。
つまり、名声、キャリア、成果や業績に無関心で、競争意識やライバル意識を持たないことは、弱さや軽薄さの表れだと考え、そういった物事に無関心な態度をとる人を批難します(時々IEEは競争に対する無関心な態度を、不健全な個人主義の表れであると考えます。「他の人はみんな成功や栄誉を求めているのに、あなただけは、そんなものは必要ないんですね!」)
IEEは、少なくともあまり良く知らない人やそこまで深い付き合いではない人には、自分のことをあまり語らないようにします。
身近な人が自分に関する余計な情報を話せば、必ず非難します。
しかしその一方で、彼ら自身は、はっきり口止めされていない場合、他人の秘密(不都合な情報も含めて)を漏らしてしまうことがあります。他人にとって不都合な情報を漏らしてしまうこともあります。
彼らは思わず恥ずかしくなってしまうようなデリケートな状況を作り出すのが好きです(実のところIEEはこういう状況が大好物です)。
この上なく無邪気な顔で、人を困らせるようなことをしでかすこともありますが、自分の行動に対して誰かが怒るかもしれないということは考えていません(IEEにとって、これは「ただのゲーム」以外の何物でもないものです。「本気で嫌だったら、さっさとその状況から抜け出せばいいだけの話じゃないか」とでも言わんばかりです)。
◆◆◆
しかし彼ら自身は、どんなことがあっても自分がトラブルに巻き込れるようなことはしません。また、誰かをトラブルからかばったりもしません。
余計な責任を背負うことを恐れているのです。そのため、もしも困難なことや危険なことを強いられた場合、あっさり約束を破ることもあります。
有名人や、少なくともその家族と友人になるのが好きです。自分の素晴らしい(あるいは影響力のある)「友人」について話せる機会を決して逃しません。人気のある人が集まるパーティーには必ずと言っていいほど参加します。
◆◆◆
常に「新しいもの、ワクワクするもの」を求めています。
IEEの興味は広大で多様ですが、非常に表面的で不安定でもあります。新しいもの、未知のものはすべて彼らを惹きつけますが、残念ながら興味が長くは続きません。熱しやすく冷めやすいのです。新しい知人や人間関係への興味は、表面的で短命です。
新しいおもちゃを分解し、中身がどうなっているか調べたらすぐに興味を失う子供のように、IEEは人々の本質を一秒でも早く理解しようとします。その理解が表面的なものか、深いものかは問題ではありません。目的が達成されて好奇心が満たされると同時に、相手への関心を失ってしまいます。
相手とのそれ以上の関係についても、全くどうでもいいものになってしまいます(IEEはよく「誰かを追い出した」「誰かを拒絶した」「誰かを放り出した」と自慢します)。
IEEは、能力に応じて素早く人を評価することができます。
彼らはいつも、誰に何を期待するか、誰を何に使うかを理解しています。
相手の最も弱い部分、アキレス腱を見抜く力を持っています。他人の弱みにつけ込むのが上手い人です。
そしてこの能力を利用して、第2機能の項目で述べるような独自の人間関係の仕組みを構築し、目的を達成します。
第2機能(創造):Fi
IEEの関係性の倫理(Fi)の特徴は、対話相手に適応する能力、すなわち「同調」する能力にあります。この資質によって、彼らはほとんど誰にでも(たとえこの上なく無口な相手にでも)、自分の利益を満たすために必要なだけ深く「相手の魂を覗き込む」ことができます。
彼らは、極端な秘密主義者を含めて、あらゆる人間、あらゆる魂の「鍵を開ける」能力を授かっています。そして、そのための手段や方法をたくさん持っています。
- 自分にとって興味深い人物を大げさに称賛し、その人に魅了される能力。その人の習慣、好み、興味、好き嫌いをすべて把握し、その人の生き方に即座に適応し、真似をする力。
- 多数派の意見(あるいは「年功序列」的な意見)に賛同し、異なる状況、影響、動きに自分の意見を適応させる能力。
- 人それぞれの自信と不安の程度を見抜く能力。その能力を駆使して、人の野心やコンプレックスにつけ込み、上手く操ることができます。
- 自分の持つ能力、影響力、人脈に興味を持たせて、人にサービスを提供する(あるいは押し付ける)能力。なおIEEは、自分が本当に価値を感じている人脈には人を寄せ付けません。不用意に人を近づけて、自分が得られるはずだった幸運を掠め取られたら嫌だからです。
◆◆◆
それでもIEEのことを「利己的な目的のために自分の力を使う、狡猾で陰湿な策略家」だと考えるのは間違いです。
IEEの人間関係構築術は、単に彼ら自身の「プログラム(第1機能)」をサポートし、彼らの構想したプロジェクトの成功を確実にするためのものでしかありません。
何の理由もなく、好意から他人に協力を申し出ることは出来るかというと、IEEなら出来ます。
また、実際IEEは頻繁にそうすることがあります。彼らは純粋な優しさから、相手を気遣い、援助を申し出ているのだということを知っておくべきでしょう。
しかしIEEが時期尚早な援助をすることはありません。また、相手が援助の申し出を受け入れると同時に、IEEは自分の両肩に新たな責任の重みを感じ、困難や危険に対して神経質になったり、自分の力や時間を不必要に費やすことを恐れ始めます。
この段階になってくると、IEEはなぜ援助なんて申し出てしまったのか、そしてなぜそれを相手は受け入れてしまったのかと動揺することさえあります。そして相手が自分に対してあまりにも多くのことを要求しているように思えてくるのです。
この不快さから逃れるために、IEEはしばしば自分が援助を申し出た相手と距離を置こうとします。つまり、相手から「これ以上あれこれ要求されないために」顔を合わせないようにするのです。
こういったことをしつつも、IEEは自分の言い出したことを忘れたりはせずに、最初のチャンスが来た時点で、すなわち申し出が受け入れられた直後、IEEが重荷を感じてだんだん不安になってくる前の時点で、自然に援助のための行動を開始します。
◆◆◆
IEEの持つ、もう一つの倫理的特徴は、非常に「ブラフ」が上手いという点です。とはいっても、これもまたIEEが意図的に誰かを欺こうとしてやっていることではありません。
IEEの「ブラフ」は、相手から持続的な関心を引き出し、相手の感情の深さを測るために行われるものであり、対人関係における心理的距離を調整するためのツールとして使用されるものです。
IEEは双対のSLIを無意識に志向していますが、こうしたIEEのブラフを活用した人間関係の調整術がここではプラスに働きます。
SLIはしばしば、あまりにも早い段階で倫理と感情の分野から官能的な快楽の領域に移行しようとしますが、それを満たした後は相手への関心を失ってしまいがちです。
IEEの戦術は、そんなSLIの興味を絶えず刺激し、関係性を安定化させるために、SLIにとっても必要な物だと言えます(IEEのような戦術をとれるパートナーがいない場合、SLIは満足のいくパートナーを得られないままになってしまう恐れがあります。
洞察に満ちた賢明なIEEだけが、あらゆる点でSLIにふさわしいパートナーになれるのです)。
IEEの倫理的価値観を構成する一要素は紛れもなく善意です。したがってIEEの行動は悪意のあるものだと見なされるべきものではありません(他の全てのデルタクアドラのタイプと同様に)。
IEEは、相手が面白くて魅力的だと感じているからこそ、相手を知り、コミュニケーションをとり、関係を持とうとします。問題は、IEEがパートナーに興味を失った時に起こりますが、ほとんどの場合、これは付き合い始めの段階で起こることです。
ここでの問題は、遥か彼方に潜むあらゆる種類のスキャンダルを回避し、敵を作ったり誰かの怒りを買ったりするのを避けたいと願うIEEが、この厄介な状況(パートナーに対する興味を失ってしまった状況)をどのように回避しようとするのかという点にあります。
このような状況に直面した場合、IEEが即座に自分自身のために設定する最初で唯一の目標は、あらゆる手段を駆使して、厄介さを軽減し、ごまかすことです。
どんな手段を使ってでも相手を安心させ、疑いを払拭し、思いつく限りのことを約束し、自分の善意を納得させようとするのです。
いずれにせよ喧嘩を避け、対決を出来る限り先延ばしにしようとします。
そして時間が経つうちに、問題が自然に解決することを期待します(IEEが感情的な緊張状態を和らげようとするのは、弱く傷つきやすい双対のSLIの感情を無意識のうちに志向しているからです。
そのためIEEは通常、人間関係に完全な争いや対立を持ち込まないように努めています)。
IEEのパートナーに対する関心の欠如もそのまま継続されますが、IEEは誰にも「永久に姿を消す」ことを許しません。
例え彼ら自身がどんなに相手を遠ざけたとしても、必ず自分自身を思い出させて、IEEにとって最も心地よいと感じる形で関係性を再開する口実を見つけ出します。IEEにとって、これは距離を調整するもうひとつの方法です(IEEだけではなく、SLIもまた同じ方法で距離感の調整をするタイプです。SLIはパートナーからの感情的なプレッシャーとバランスを取るために、距離間を必要とします)。
◆◆◆
いかなる状況でも、IEEは一人ぼっちにならないようにします(IEEにとって孤独な人は負け犬のように見えます。孤独な雰囲気は、周囲から人を遠ざけ、成功のチャンスを奪う危険なものだと感じるのです)。
こうした理由と、持ち前の卓越したコミュニケーション能力から、IEEはどんな形の人間関係であっても、何かあった時の保険・バックアップとして念のため残しておこうとします(IEEがSLIとの間で行う倫理的な駆け引きにおける「裏切り」は、パートナーに極端に夢中になっていないという体裁を保つのために行われます。一般的に、SLIはあまりにも自分に夢中になっているパートナーに対して不快感を覚え、負担を感じます。
しかしIEEが行う人間関係のリスク分散のおかげで、SLIはあまりプレッシャーを感じずに済むようになります。また、それによってプレッシャーが軽くなったSLIには、IEEからの新しい倫理的なトリックに備える余裕も生まれます)。
同じ理由で、IEEは時に「バックアップ」の神話を作り、「ライバルの亡霊」を作り出します。
例えば元々は接点がなかったIEEの「憧れの人A」と「憧れの人B」の顔をつなぎ、AとBをライバル関係に持ち込もうとします(そのために、AとBを顔見知り同士の関係にしたうえで、IEEがそのうちの片方とデートに出かけてみたり、片方の「憧れの人」に対する自分の気持ちを、もう片方の「憧れの人」に話してみたりするというような倫理的トリックを好んで仕掛けます)。
IEEが何のためにこんなことをするのかというと、それはIEEが無意識に志向しているSLIが、こういった特殊な「倫理ゲーム」によって適度に活性化され、興味をかきたてられるタイプだからです。
またSLIは時に恋愛に対して「『恋人がいない人』というのは、つまり『誰にも必要とされていない人』ということだ。なぜ自分がわざわざそんな人と付き合わなければならないのか」というスタンスを取ることがあるため、「恋人のバックアップ」の存在を匂わせるほうが有利に働くことがあります。
IEEに、複数の憧れの人との交流を開始させるもう一つの理由は、いかなる状況においても、全ての注意を一人のパートナーに集中させないようにしているからです(先述した通り、SLIは自分に執着する人間を嫌います)。
そのため、IEEは複数のパートナーと複数の関係を開始し、それぞれのパートナーに、少しIEEから「無視」され、「素通りされた」ような感覚を与えます。
IEEがそのうちの一人と関係を進展させ、本当のパートナーになった場合、残りの「パートナー」は補欠扱いになります。しかしこの場合でも、本当のパートナーはどこか物足りなさを感じさせられることになるでしょう。
このタイプの人々は、しばしば気まぐれなプレイボーイのような印象を人に与えます。実際、彼らは様々な相手と親密な関係性を構築しますが、それと同時に最後の瞬間には肉体的な親密さを避けようとする傾向があります。
IEEにこうした矛盾ともいえる側面があるのは、彼らIEEが人との関係性に明確な距離感を設定しないという点から理解できます。
まるで近くて遠い存在であるかのように、ある種の曖昧さ、控えめな雰囲気を醸し出します。
このようなIEEの行動様式は、SLIにとって心地よい心理的距離感です。SLIは一定の距離に縛られる硬直した人間関係を苦痛に感じるからです。
また、IEEは危険な冒険を好み、倫理的な状況を限界まで複雑化して、思いもよらないような方法でそこから抜け出すことを好みます。IEEがこうした冒険を好む理由は、直観的なプログラム機能(第1機能Ne)からもたらされる「自分の倫理的な可能性の限界を探り、その限界を押し広げたい」という要求を持っているからです。
IEEはあらゆる倫理的状況で(というより倫理的な状況に限らず、あらゆる状況で)、絶えず自分の可能性と限界を広げ続けようとしています。
◆◆◆
では、IEEが肉体的な親密さを避けようとするケースがあるのは、なぜなのかも考えてみたいと思います。
この点もIEEが無意識のうちにSLIを志向している点から説明できます。SLIはすぐに過度の官能に飽き飽きしてしまうタイプです(SLIにとって「過ぎたること」は不愉快なことなので、あらゆる方法で避けようとします)。さらにIEEは直観的で、先見の明があり、慎重な性格の持ち主です。したがってIEEにとっては、今現在の感情や感覚の欲求を満たすことよりも、将来的に正しい方向に関係性を発展させることが重要なのです。
ここから「女性はミステリアスで手に負えないものであるべきだ。女性が男性にすぐ屈服すると、男性は女性への興味を失ってしまい、女性は再び一人になってしまうだろう」という固定観念が生まれます(そして、IEEはいつもこれを恐れています)。
IEEの関係性の倫理(Fi)は、どんな場合でも、どんな状況でも、まず直観的なプログラム(第1機能Ne)の求める基本要件のひとつである「より良く、より有望な新しいチャンスの探求」のために機能します。
そのためには、すでに確立された接点や関係性を切り離すことなく、他の選択肢や新しいチャンスのためにそれらを利用することが非常に重要になります。
これが、IEEが関係を終わらせないで、元恋人と「友好」関係を維持しようとするもう1つの理由です。
IEEは別のパートナーとの関係が複雑になったとき、必要に応じてこの「友人」に助けを求めたり、今の問題に巻き込んだり、コネとして使ったり、相談相手にしたりします(以前IEEに「愛する女性と過ごす一夜のために、自分の命を捧げることが出来ますか」と聞いたことがあります。彼はこう答えました。「そんなことはできません。元恋人とは友人でいるという私の基本原則を裏切ることになるからです。命を捧げてしまったら、誰とも友人になれないじゃないですか」)。
IEEは男と女の「友情」が存在すると信じています。IEEにとって「友情」を捧げるというのは、非常に繊細で慎重な「倫理的ゲーム」であり、その本質は、やはりパートナーとの間に必要な心理的距離を確立することにあります。
IEEにとって「友情」関係とは、通常、将来性がある有望な関係性を意味しています(彼らは関係性の倫理機能であるFiによって、自分と誰かの間の関係性に将来性や有望性があるかどうかを予期し、その見通しを元にして他者に「友情」を捧げます)。
IEEは創造的倫理(NeFi)によって、この倫理的ゲームを行いますが、これもまた、双対であるSLIの脆弱な倫理機能に対して効果的に作用するように、IEEが無意識のうちに計算して行っている働きかけのひとつでもあります。
筆者が思うに、IEEが織りなす「倫理的な網」こそ、SLIにとって最も魅力的で、蠱惑的で、興味をそそられるものであるのと同時に、SLIを束縛しない関係性の形ではないかと思います(この網にうっかりSLI以外のタイプの人々まで引っ掛かってしまったとしても、それはIEEのせいではありません)。
第3機能(役割):Se
このタイプの人は、自分の中に強い意志を育てようとします。そしてしばしばIEEは、粘り強く圧力をかけながら、目標を達成するために必要な役割を果たします。
IEEは「個性を発揮できる」方法を好みます(また、そういうやり方が得意です)。関係性の倫理(Fi)の繊細さ、それに関連して生じるすべての損失を補うために、自発的な圧力と防衛力を自己開発し、否定と拒否を学び、「ノー」と言うことを学ぼうとします。
このタイプの人々は、その創造的で操作的な関係性の倫理(Fi)の影響で、「拒否することで誰かを怒らせること」「誰かの怒りや憎しみを買うこと」「新しい敵を作ること」を極端に恐れています。
そのために、ストレートに拒否するより、「キツさ」をゆるめるほうがずっと楽に感じます。屁理屈をこねて話すにしても、意志の強さや努力が必要であるため、IEEにとって気楽に使える手段とは言い難いです。
誰かが「私の言う通りにして!」「私の言うことを聞いて!」とIEEにしつこく要求を突きつけた場合、IEEははっきり面倒くささを感じてしまいます。
何かを拒絶しなければならない状況に直面した場合、IEEは攻撃的で残酷で妥協のない方法をとります。IEEは間違いなくあらゆる暴力、あらゆる攻撃性を嫌悪していますが、それにも関わらず、もしも平和的な手段で彼ら自身の望みを達成できない場合、暴力的な影響力の方法を行使します(もちろん「善意」からです)。
◆◆◆
自分を律するという意味では、IEEは最高とはほど遠いタイプです。義務感や責任感があまりないため、過度な負担を避け、不必要な約束はせず(約束だけでも重荷に感じて不安になるため)、できるだけ責任から逃れようとします。
時間厳守が難しいのは、単純に、支度をして適切な時間に行くという意志の努力が間に合わないからです。IEEは、意思を持って努力することが難しいタイプなのです。努力を必要としないソフトでリラックスした環境の中で、自分自身を大切に育み、心地よい思索や内省にふけることを好みます。
しかし、意志の力、決断力、持久力、身体的能力をどう伸ばすかというトピックは、IEEにとって非常に興味深いトピックであることは間違いありません。
これらの力が持つポジティブな面しか目に入らなくなることもあります。通常、IEEはこれらのトピックに関する会話に喜んで参加します。身体能力開発の分野での成果を語り、あらゆる種類の発達と強化のための情報交換を好みます。
IEEは、少なくとも良く知らない人の目を気にして、自分の能力開発のプロセスを控えるようなタイプではありません。職場でそのための演習を行うこともできます。
IEEは、見知らぬ人の存在に少なくとも当惑することなく、生産プロセスを停止することなく、職場で「開発と回復」の演習を行うことができます。また、彼らはこの「身体づくり」の方法を人に勧めることも好きです(「パソコンで仕事をする人は、15分おきにこうやって目の筋肉の運動を…」等々)。
もし「IEEオススメの体操と仕事を両立できない、したくない」と反論をされた場合、IEEは何か不条理なことを言われているような気分になってしまい、非常に不快になります(IEEは他の人に対してそう思っているかもしれませんが、実際のところ、IEEから何かを提案された他の人々のほうこそ、そう感じている場合も少なからずあります)。
最小限の時間と労力で効果的に身体づくりをする方法について書かれている雑誌を読み漁り、そこで得た知識を熱心に他の人々と共有します。
◆◆◆
このタイプの人々は、持久力や回復力といった話をするのが本当に大好きです(自分自身をモデルケースとして話す場合もしばしばあります)。自分の権利を主張し、自分のやり方を押し通す『テクニック』を嬉々として他の人々に教えます(しかし彼ら自身は風車との戦いに参加したりはしません)。
彼らがこうして他の人たちに教えてまわる「教え」を実践するのは、彼ら自身にとっても特に簡単なことではありません。というより、彼らが「自分自身の語っている教え」を実践する場合、とてつもないエネルギーが必要になります。
もし実際にIEE自身が「教え通りに」行動しなければならないような状況にいる場合、かなりプレッシャーを感じることになるでしょう(精神的にはすでに戦争状態といっても過言ではありません)。
IEEは本来、非常に平和的な気性の人々ですが、こうした状況では「本当に自分の権利を主張する必要があるかどうか」に関係なく、その生来の在り方とは正反対の在り方を「演じて」、解決のために強硬的な主張を繰り広げ始めたりもします。
◆◆◆
このタイプの人々は、自分の戦闘能力を試したいという願望を持つことがありますが、それは実戦で試したいという意味ではなく、「お遊び」的な状況で試してみたいというだけの話です。
不意に喧嘩を売ったり、からかったり、冗談半分で手を出したりすることが無いわけではありませんが、本当のいじめっ子と対峙すると、確実に負けてしまいます。
だからこそ、IEEは敵の力を探り、強力な味方の協力を仰ぐという手段をとることも厭わないのです(IEEは強い人を尊敬します。いつも強く、信頼できるパートナーを求めています)。
IEE自身は、誰かを守るのにいつも成功するわけではありません。「依頼人」にあまりにも強力な敵がいると知れば、自分に害が及ばないようにその場を切り抜けようとします。
自分から反撃する必要性に直面したとき、IEEは不快さを覚えます。防衛的になり、大騒ぎしたり、イライラしたり、わざと怒ってみせたり、矛盾したことを言ったりやったりし始めたりと、普段のIEEから想像できないような振る舞いをします。
自分を守る時は、権威者を引き合いに出すという方法を好みます。
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自分のアドバイスをあからさまに無視されたり、信用してもらえない時にIEEは腹を立てます。彼らは議論において「最後の一言」を言いたがりますが、それが出来ない場合は苛立ってしまいます(IEEの「最後の一言」は、時に「禁じ手」や「下品なジョーク」といった、まさに倫理性に欠けるとしか言えない場合がありますが、IEEが自分の言動を恥じることはありません。彼らにとって重要なことは議論に勝つことです。そのためにどんな代償を払うかは些末な問題です)。
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しばしば高慢で傲慢な表情を浮かべ、ブラフを厭うことなく、「自分はこんな有力者と縁がある」とアピールします。
卒業証書や証明書、階級や賞といったものは、IEEにとって暴力的な魅力に満ちたものです(「あの人は普通の人だと思っていたのに、あんなにすごい学歴や資格を持っているなんて…」)。
リーダーシップをとるのは好きですが、実際のところ「どうリーダーシップをとればいいのか」はIEE自身よくわかっていません。非常事態に備えておこうとするタイプですが、本当に困難な状況下が続くと、冷静さを失って大騒ぎしながら混乱することが多いです。
IEEは自分の意志と体力を示すことを好みます。多くの場合、無理難題を押し付けられても、すぐにそれを解決することができます。
IEEは自分の強さを感じるのが好きなのです。そうした感覚は、彼らを心地よく興奮させ、調子を整えます。
権力を得ると乱用する傾向があります。偉そうに威張るのは気分がいいからです。残酷で許しがたい人物としか言えないような振る舞いをすることさえあります。
IEEは外面的には優しさと博愛に満ちていますが、自分の利益にはこだわります。もしそれが侵害されると容赦がなくなります。彼らは自分の利益には妥協しません。
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IEEはきちんと自分で自分を律することができるタイプとは言い難いです。自分の言動の責任から逃れようとします。明らかに自分が悪くても、それを認めません。 自分の罪を他人に転嫁することも多いです。
痛みや体罰を恐れているため、条件付けの一環として、痛みに鈍感になろうとしたり、痛みに慣れようとしたり、あるいは痛みに喜びを見出そうとしますが、多くの場合これは他人の身体的苦痛を無視することにつながります。
例えば、ある家庭では、IEEの母親(本業は医師)が子供や孫に鎮痛剤を使うことを禁じ、どんなにひどい痛みでも我慢するように指導していたそうです。そして、たとえ処方されても抗生剤を飲むことを禁じ、さらに除菌剤の使用も禁じ、健康に大きな害を及ぼしたのです。そして娘と孫に障害を負わせた後も、自分の罪を認めませんでした。
第4機能(脆弱):Ti
IEEは、自分の好奇心が少なくとも表面的に満たされると、どんなテーマであっても興味を失ってしまいます。そうなると、どう頑張っても興味を再燃できなくなります。
IEEからすれば既に十分に調査されたテーマに留まらなくても、世界にはまだまだ未知のテーマがたくさんあるのだから、そちらを探求するほうがいいと思えてしまうのです(IEEは新しいチャンスを逃すことを強く危惧しています。そのため、すでに「合格」したものに拘ることは、IEEにとって耐え難いことです)。
彼らの興味を持続させる唯一の方法は、彼らの好奇心を煽り、「IEEを引きとめておく」ことです。つまり、想像を刺激し、興味を持たせ、安心させ [5]、あえて情報の不足を残しておくことです(実際、IEEの双対であるSLIは、こうした「引きとめ」というトリックを好みます)。
◆◆◆
IEEの行動や推論には、ほとんど一貫性がありません。そして、彼らはそれをデメリットとは考えません。こうした一貫性のなさは、IEE自身にとって都合がいいものです。ただし他人が同じことをすると不快になります。
自分の考えを纏めるのが苦手です(不可能だと感じることもあります)。いつも注意散漫で、説明を聞いても大まかな、さらに言うと表面的な意味しか理解できないことが多いです。
時には、重要性の低い些末な部分を夢中で分析し始めることもあります(彼らにとっては非常に重要で、迅速に本質的な理解に至るために必要なことだと感じられてしまうのです)。
その結果、説明をはぐらかしたり、説明を中断してしまったり、あるいは不適切なタイミングで執拗に無関係な質問をすることがあります。質問自体があまりに不条理で荒唐無稽なため、説明する側もどう反応していいのかわからなくなってしまいます。
◆◆◆
IEEは、多くの論理的な概念やカテゴリーの意味を直観的に理解しますが、その理解はかなり表面的なことが多いです。そのせいで、明らかに筋が通らないことを、堂々と言ってしまい、彼ら自身が困った状況に陥ることもあります。
さらにIEEの「非自明的」な視点は、経験豊かで優れた教師でさえも困惑させることがあります。
「なぜよりにもよって今なのか」としか思えないような不適切なタイミングでたびたび論争し始める点も、この困惑に拍車をかけます。
基本的な概念を説明するのが苦手ですが、複雑な現象を単純な手段で説明するのはもっと苦手です(例えば、とあるIEEは4歳児相手に「プラスの雲とマイナスの雲がぶつかると雷が鳴るんだよ」という風に雷と稲妻の性質を説明しました)。
あまりにも細かく徹底的に説明し始めたかと思うと、途中で興味をなくしてしまい、そこから急におおざっぱな説明をし始めることもあります。自分の説明に混乱して動揺し始めたり、あるいは頭の鈍い聴衆に憤慨することもあります。
◆◆◆
それなのに、彼らは「説明すること」がとても好きで、困難な状況に陥った際は、よく「私がすべて説明します!」と言い出します。
そして、順を追って説明を始めるのですが、彼らにとっての「順を追って」とは、「遠くから」という意味です。つまり、まず偶発的でどうでもいいような事情(例えば「姪の夫の三番目のいとこの彼氏」)について詳細に説明し始めます。
しかも、その説明にはIEEが「直観的」に読み取った情報(「あの三番目のいとこの彼氏は、あらゆる点で負け組っぽい」)が付与されています。
それを聞いた他の人がもっと核心に近い話をしてくれと言っても、たいていは意味がありません。IEEはイライラして神経質になり、「順番に」発言するよう求めて、また最初から説明をやり直します。
「オブジェクトの位置」の説明もたいへん面白おかしいものです。「100メートル先の右側に靴屋が見えますが、そちら側へは曲がらずに左に曲がって…」という風に、近くにある全てのオブジェクトの位置と関係性を説明し初めます。
地図を描いて説明することはできますが、あまりにも細かすぎてわかりにくいものになるでしょう(wikisocion編集者注釈:これは、ホログラフィック・パノラマと呼ばれる、興味ある対象を複数の視点や周辺の他の対象物から三角測量する、IEEの特殊な思考様式の影響である可能性があります)。
なるべく混乱させないようにと非常に気をつけているのですが、IEEが何かを説明すると、たいていの場合はそうなってしまいます。彼ら自身にとっては理解しやすく、覚えやすいと感じられる物事の説明こそ、聞いた側を混乱やすいです。
◆◆◆
IEEは「非論理的で矛盾している」という批判には敏感です。彼らは自分の知性を批判されると憤慨します。知的分野の仕事で活躍するIEEは多いです。哲学が好きで、抽象的なテーマでも臆せず嗜みます。多くの場合、彼らの考えや理解は「格言」という形で表現されます。このタイプの人々の中には、自分の格言をノートに書き留めたり、他の人に引用してみせたり、はたまた新聞に投書するのが好きな人もいます。
彼らは「面白く見られたいなら、予測不可能で理解不能でなければならない」という言葉に則って、意味深な雰囲気を醸し出しながら推論を披露したがります。自分の発言で人に感銘を与えるのが大好きです(この点では、普段の自信に満ちた口調が大いに役立ちます)。
彼らの推論にはしばしば誇張された(誤った)緻密さがあります。その影響で、これ以上ないくらい些細で原始的な内容であっても「重要性」を演出することができます。
こうした偽りの意味づけは、イントネーションだけでなく、「いかにも人を期待させるような表情」や「神秘的な微笑み」にも現れています。しかし、これはまさにIEEが表現する感情の「非論理性」です。彼らの微笑みは本心とは全くの無関係です。IEEは他人の感情を観察し分析することには長けていますが、自分の感情の分析には長けていません。
異性を率直に、魅力的に見ることはいくらでもできますが、自分の行動にはまったく無頓着です(感情の倫理を介して無意識のうちに悟ってはいますが)。したがって「自分の行動が嫉妬を生むことがある」という批判は、彼らにとって寝耳に水のことです。
◆◆◆
IEEの双対であるSLIだけが、IEEの行動を適切に認識しています。意図的なものであれ、「意図的でないもの」であれ、SLIはそのまま受け止めます。「非論理的な行動」として見るのではなく、ただ繊細で美しい倫理的なゲームとして見ているのです。IEE特有の魅力的なやり方で様々な推察を披露された時、SLIはただ感動して面白がります。
「IEEの情報の論理的側面はあくまで二次的なものであり、大切なのはその背後にある倫理的側面である」ということを、SLIはよく理解しています。そのためSLIはIEEの論理的な面での混乱を、倫理的なゲームの一環として認識します。
無意識的な機能
第5機能(暗示):Si
文化、芸術、スポーツ、健康に関するニュースは、IEEにとって非常に興味深いものです。彼らはこの側面(Si)の情報に活発な関心を向けます。
積極的に健康とスポーツの話を楽しみます。あらゆる種類のダイエットや体操に興味を持ち、自分で試す前から、他の人に勧めることもあります。
健康上のアドバイスには最大限の注意を払います。一度受けたアドバイスには、出来る限りきちんと従おうとします。
普段、自分の健康状態について不満を口にすることはありませんが、自分が行っている予防策については、積極的に公の場で話したがります。
◆◆◆
ファッション情報や美容関連情報にも注意を払い、忠実に従おうとしますが、それにもかかわらずIEEのセンスは「良い」とは言い難いものです。
この点に関しては、非常に暗示にかかりやすく、他人の意見に影響されやすいです。さらに、一度吸収された情報は「正解」そのものとして刷り込まれます。
彼らには、自分の好みに保守的でありながら、それでいて予想もしない部分でオリジナリティを発揮するという特徴があります。
ファッションにおいて「自分らしさ」にこだわりますが、必ずしもこれは成功しません。気温30度の中で、フェルトの帽子をかぶり、スエードのブーツを履いたりするなど、明らかに論理性に欠ける服装をすることもあります。
この「組み合わせ」は「色の取り合わせ方法」に従って選ばれたものであり、それを満たすことが出来るなら、着心地がどうかなどというのはIEEにとっては些末な問題にすぎません(「美しさには犠牲が付きものです」)。
化粧の仕方にも問題があります。全く化粧をしないか(「自然のままが一番美しい」)、全然自分に合わない方法で化粧することが多いです。これはヘアカラーリングでも同じです。せっかく美しい色合いの髪を生まれつき持っていたとしても、「今こっちの色の方が流行っているから」というだけで、全く違う色に染めてしまうことがあります。
◆◆◆
家の中も「きちんと整頓されている」とは言い難いです。整理整頓はIEEには負担が大きすぎます。そのためIEEの生活空間はしばしば雑然としています。時にはボヘミアン的な粗野なスタイルをしていることもあります。
仕事として家の中を整理整頓することはよくありますが、こういった作業は好きではありません。内面的には「整理整頓」の必要性を感じていないためです(SLIとパートナーになったIEEをのぞく)。
ビジュアルアートの分野でも、必ずしも成功するとは限りません。色や形、線の感覚に問題があります。彩度の高い色の組み合わせを多用したり、逆に単調でくすんだ色の組み合わせを多用しがちです(赤白黒、青灰紫など、一般的に成功したと思われる色の組み合わせを好んで使います)。
◆◆◆
美的センス、合理的な快適さ、快適ですっきりしたインテリア、健全な食生活に基づく料理、分別ある労働と休息を組み合わせた生活設計、これら全てにおいて、IEEにはSLIという唯一の適切な助言者がいます。なぜならIEEが無意識に注目しているのは、SLIの「プログラム(第1機能)」の感覚(Si)だからです。SLI以外の感覚タイプの言葉は、IEEにはほとんど響かないようです。
第6機能(動員):Te
IEEは、自分の実用性を示せるチャンスを常々伺っています。
雑誌やテレビ番組で紹介される実用的な情報に興味を持ちます。物を捨てる前に、何かに活用できないかどうかを考える方です(再利用のために、人に譲ることもあります)。
リサイクルショップや安売りにも、よく足を運びます。「安い」というだけでIEEの目には魅力的な物に見えます。こんな時、彼らは「美しさ」を考えることなく、ただ機能性と有用性だけを考慮します(しかし実際に有用かどうかテストする必要はないと考えています)。
したがって「実用的」なIEEには、魅力に欠ける安物を大量に抱え込む癖があります。しかし彼ら自身、すぐに興味を失ってしまい、身近な人への贈り物にしてしまったり、「お買い得品」として転売してしまうことになりがちです。
さらにIEEは、この「贈り物」を相手がちゃんと活用しているかチェックしています。もし使っていなかったら、その人は「実用的ではない人」だと考えます。
「使わないなら返してほしい。もっと有効活用してくれそうな人に渡すから」という風にIEEは考えます。
◆◆◆
IEEは最初、熱意を持って新しい仕事に就きますが、すぐに興味を失ってしまいます。事前準備せずに、ぶっつけ本番で仕事に臨むことを好みます。事前準備していると萎えてしまうのです。
特にこの準備が、何らかの肉体的努力、掃除、家具の置き換え、その他のIEEにとって退屈で仕方がない事と関連している場合、彼らは大騒ぎしてイライラし始めます。無意識のうちに、こうした面倒事(しかしIEEが本来やるべき仕事)を他の誰かがやるよう仕向けることもあります。
これまでにも説明した通り、IEEにとって意志を持って努力すること、義務をきちんと負うことは難しい事です。厳しい作業スケジュールに従って、一つの場所で長時間働くのも難しいです。
彼らは自分の立場を確保すると、自分にとってより有利な労働条件を作り出そうとします。フレックスタイムや、それ以上に柔軟な勤務体系を求めます。一般的に、労働規律のような概念は、彼らの人生を非常に困難にします。
仕事中は気が散りやすいですが、その代わりにマルチタスクが得意です(そしてIEEはマルチタスクが好きです)。マルチタスクを負担に感じることはありません。
新しい手順や手法の開発は、IEEにとって楽しい事です。彼らは自分のやり方を他の人々に教えるのも大好きです。自分のやり方を批判されたり、はっきりした理由もなく否定されると、激しく気分を害します。
◆◆◆
仕事では高度でプロフェッショナルなレベルに到達しようとしますが、これはあまり努力を必要としない場合に限られます。
細かい作業は好きではありません。面倒な細々とした作業は、IEEにとっては苛立たしいことなのです。一度やったことをやり直したり、修正したり、追加で作業をするのも嫌いです。
このタイプの人々は、仕事の作業工程と様々なエアロビクス、エクササイズを組み合わせることを好みます。時には職場で歌を歌ったり、ジョークを言ったり、ちょっとした面白い話を披露するのも好きです。多くのIEEにとって、あまりにも静かな職場環境は苦痛です。
長時間、注意力や集中力を持続させることができません。掃除や整理整頓は必要に迫られなければ、やりません。仕事上必要でなければ、一日の仕事終わりに仕事道具をきちんと元の場所に片づけたりもしません。
◆◆◆
自分があまりやりたくないような面倒な仕事をしなければならない場合、IEEはまず最初に「誰にこの仕事を任すことが出来そうか」考えます。
このタイプの人々には、問題を放置しすぎて、手に負えないほど深刻な状態にまで悪化させてしまう傾向があります。
ここでは、IEEはSLIに大いに助けられることになります。SLIは素晴らしい忍耐力、慎重さ、几帳面さを持っています。どんなに複雑に絡み合ってしまった問題でも、穏やかで合理的なSLIなら解決に導くことが出来ます。
第7機能(監視):Ni
IEEは、自分がやろうと決めた仕事や、自分が選んだチャンスを実現化するためにどれだけの時間がかかるかを常に観察しています。
どんなアイデアであっても、実現に時間がかかりすぎるものは「有望ではないアイデア」だと捉えます(「半年も働いているのに、誰も私のことに気づいてくれない!」)。
IEEの「監視機能(第7機能)」が監視するのは、まさにこの点です。潜在的な可能性について、IEEのNiは自身の「プログラム(第1機能」)に対し、否定的な立場からの情報を提供します。
◆◆◆
IEEのもう一つの監視対象は、彼らと他の人々との関係性が発展するペースです。
彼らは、どれだけ早く人々を魅了することができるか、いつも観察しています。彼らにとってこれは非常に重要な指標です。IEEは、自分が望む通りの速度で人間関係の距離が縮まっているかを常に監視しています。
本質的には外部の観察者の立場に留まりながら、好きなだけ「親密な関係」という幻想を作り出すことが出来ます。
IEEには、人間関係の距離を自在に近づけたり遠ざけたりする独自の方法があります。
たとえば約束をして、それをわざとすっぽかしたり、相手を無駄に待たせてから、まるで何事もなかったかのように電話をかけて、熱烈に「会いたい」と伝えたりします。
こうしたIEEの行動を、普通の非論理性に帰するのは間違いです。またIEEが時間という要素を無視していると考えるのも誤りです。IEEは直観タイプであり、強力な時間の直観を持っているため、こうした推測が的外れであることは言うまでもありません。
彼らの行動から見てとれるのは、直観的な倫理機能の作用です。パートナーの過熱しすぎた感情を冷ましたり、冷えてしまった感情を温めなおすという意図がそこには存在します。こうした行動は、IEEにとって都合のいい距離間を作り出すために行われていることなのです。
時間の消費に対する態度は、時間を費やす対象との関係に依存しています。IEEが相手との関係を大切なものだと感じている場合、IEEは相手の時間も大切にします。
◆◆◆
基本的にIEEは、特に自分の興味や快楽を満たすために時間を費やす場合、自分自身に制限を掛けることを好みません。
例えば、IEEが興味を持った相手と話をしたいと思った時に、相手側にはそのための十分な時間がなくて、それをIEEにはっきりとほのめかしたとしても、IEEは相手の事情を全く気にしません。会話相手に対する「IEE」の興味が尽きるまで、延々とコミュニケーションは続くでしょう。
一方で、特に重要な会議などが迫っていて、彼ら自身が急いでいる場合は事情が変わります。この場合、IEEは気が気ではなくなって、何度も「もうすぐ帰らなければ」と言い出します。当然、快適で楽しいコミュニケーションなど成立しません。
人に待たされるのは嫌いですが、人を待たせるのは平気です。IEEの友人たちが皆、既に集合場所に到着して、テーブルを囲みながらIEEを待っていたとします。そんな時IEEが何をやっているかと言うと、電話をかけています(「今ちょうど家を出たところだよ!」)。
彼ら自身は時間通りに行動するようスケジューリングしていますが、直前になって様々な出来事が発生して、予期せぬ時間の消費をIEEに強いることがたびたび起こります(かなり特殊な出来事が発生することもあります。あるIEEの学生が30分遅刻して講義にやってきました。そしてその15分後に「そういえば、ヤカンを火にかけたままだった」と言って帰宅許可を求めたこともあります)。
IEEは自分の時間の浪費を常に意識しているわけではありません。 彼らは面白くも楽しくもない時間の使い方をコントロールする方が簡単だと考えています。時間の生産性を考えることはほとんどなく、「今日は6時間働いて1時間半分の仕事を片付けたぞ」と、自分が達成したことだけを考えます。
◆◆◆
IEEは自分自身に遠大すぎる目標を課したり、広範囲すぎる計画を立てたりしないようにしています。彼らの計画は状況に応じて変化しますが、すでに説明したように、そうした気まぐれさや矛盾を彼ら自身はあまり気にしていません。
第8機能(実証):Fe
IEEは、無意識のうちに感情的な影響を受けやすいSLIを志向しています。そのためIEEはSLIが受け取りやすいような形、つまり半ば遊びのようでありながら、半ば本気のような、少し芝居がかった形で感情表現します。
彼らは無意識的にこういった感情表現をしています。そのため、特に他のタイプの人々(SLI以外のタイプ)からすると、IEEの感情表現を自分にとって意味のあるものとして認識するのは難しいです。
SLI以外の全てのタイプの人々は、IEEの感情表現を見ても「あまり状況にそぐわないものだ」と感じてしまいがちです。多くの人々にとって、IEEは気取り屋、目立ちたがり屋、おべっか使い、つまり「わざとらしい人」に見えます。
IEEがある種「感情をオープンに表現している」ことは誰の目にも明らかであり、また「自分(IEE)が他の人々にどのような印象を与えているのか」を常々気にしていることも感じ取れると思います。しかし、IEEがこういったことを全て無意識的にやっていると想像するのは難しいかもしれません。
しかし彼らは本当に「わざと」やっているのではなく、無意識でやっているのです。
IEEには、感情をある角度から表現する、つまり歪んだ形で表現するような、潜在意識下の調整装置が備わっています。顔の表情と目の表情が一致していないことがしばしばあります。好意的であったり、とらえどころがなかったり、あるいは意図的に無関心そうに見せたり、人に何かを期待させるような曖昧な笑みを浮かべたりします。
会話相手に反応しているというより、会話相手に「合わせている」ような印象を受けることが多いです。IEEは、作られた雰囲気に合わせて話したり行動したりしながら、特定の感情的ムードを作り出そうとします。
◆◆◆
新しい人に会う際、IEEは相手に賞賛や魅力を感じていることを露骨にアピールします。これは人気俳優や有名人にインタビューするIEEジャーナリストに、特によく見られる特徴です。IEEの「熱狂」っぷりは、うっとりと相手の目を見つめるだけに留まりません(コミュニケーションの際、IEEは相手の目を覗き込み、格別の親密さ、つまり「相手に強い親しみを感じているような雰囲気」を作り出します)。まるで相手の発言を複製するように、唇の動きを繰り返していることもあります。
IEEは、自然に何かに反応するというより、「反応しなければならない」という必要性を感じて反応する傾向があります。
これは特にポジティブな感情的反応を行っている際に顕著です(こうした特徴は、論理性の脆弱さに由来しています)。つまりIEEは自分自身のための脚本家・監督であり、彼らは書かれた脚本に従って感情表現しているのです。
IEEが真剣に反応するのは、かなり激しい感情を体験した場合だけです。こういう場合、IEEは自分で自分を煽るようにしながらヒステリーを起こすことがあります(これもIEEの論理的な固定観念に基づくものです)。[6]
どのような状況であれ、IEEは正しく適切な行動をとるために、適切な量の感情を測っているかのような印象があります。まるでパートナーとの関係の間で、自分の感情を調整する潜在的な「計測器」を持っているかのように見えることがあります(そしてこれは真実です。そうでなければ双対SLIとここまでうまく付き合うことはできなかったでしょう)。
◆◆◆
ネガティブな感情を認識すること。この点において、IEEは常に痛々しいほど脆弱です。はっきり気分を害した場合であっても、全く反対の形で反応するかもしれませんが、心から苦しむことになります [7]。
しかし、それでも「感情を表現する」という点で、彼らはいつも最大限に繊細で機転の利く方法を選びます。
なぜならIEEは無意識のうちに、SLIという、あらゆる種類のネガティブな感情から自分を守ろうとする「(感情表現が)伝わりにくい」タイプを志向しているからです(これ以外の感情的な手段でSLIに影響を与えようとしても、SLIはそれを受け入れないか、または途方もない努力とエネルギーを要求するだけです。これはSLIが「ソシオニクス的に見て相性が悪いタイプ」とパートナーになった場合に生じやすい問題です。こんな時、パートナーは肉体的にも精神的にも過度の緊張と疲労を強いられることになります) 。
IEEの感情表現の形こそが、SLIにとっては最適解なのです。こうした形での働きかけであれば、十分に感情を伝えることが出来ます。