カリナウスカスの輪
Grigory Reininは、現在のソシオニクスで一般的なモデルAではなく、カリナウスカスの輪というモデルを使用している。そのため機能の配置がモデルAとは異なっている。
機能 #1 – 客観的倫理(Fe)
EIEの自信の領域は、外的な人間関係です。
このタイプの人は人間関係に精通しており、この分野には問題がないことが一般的です。
人間関係全般には気を配っており、特にそれが安定していることを重視するため、もしも既存の人間関係を揺るがすような人に遭遇した場合は、激しい感情を見せる可能性があります(この感情は攻撃的とさえ言えるほど激しいこともあります)。
EIEは二分法「貴族主義」であるクアドラに属するタイプであるため、例えばESEと比べると、人生の中で信頼できる人間関係は圧倒的に少ないです。EIEの場合、自分の周りのごく少数の人たちとの関係が、EIEにとっての「信頼できる関係」になりがちです。
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もしもEIEから、役者としてだけでなく、教師や指導者として「舞台に立つ機会」を奪い、また、人と一緒にいる機会・人から尊敬される機会も奪ってしまうと、彼らの第1機能と創造機能(第2機能)の両方が完全に崩壊してします。
「人との関係がないということは、私は必要とされておらず、存在していないに等しいということです」
EIEにとって、いい関係にせよ悪い関係にせよ、何らかの人間関係を持つことは重要なことなのです。部下、上司、友人、顧客、取引先、観客、傍観者、何だって構いません。少なくとも誰かとの関係さえあれば、EIEは自分が確かに生きているのだという実感を得られます。
機能 #-1 – 主観的倫理(Fi)
「EIE自身が他の人に対してどう感じているか」というのは、EIEの人生においてそこまで重要ではありません。
それよりも、「他の人々がEIEをどう感じているのか」というほうがEIEにとっては重要なことです。
もちろん前者が気になる場合も存在することは確かですが、実際に人と関わるうえで前面に出てくるのは後者の方です。そしてしばしば、EIEの気持ちは、EIE本人からも隠されていることがあります。
自分では、「私は自分の気持ちであったり、他者に何を感じているのかを把握している」と思っているかもしれません。EIEは自分の気持ちや、自分が感じた印象について話したり、容易に想像したり、演じたりすることさえできますが、それと同時に、彼らは自分自身が感じたことを考慮しません。
EIEとしては、「実際の人間関係(外的な関係)の様子を見れば、私が何をどう感じているかなど自明だろう」という感覚があります。
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創造的な機能の位置にFiを持つSEEやIEEは、自分がどう感じているかを上手く表現できるタイプですが、EIEにとってそれは難しいことです。EIEにとっては、自分が感じていることを表現するよりも、演じるほうが簡単なことです。
機能 #2 – 主観的直観(Ni)
EIEはアーティストです。
創造機能(第2機能)にNiが配置されているため、彼らの創造性は、内的な状況の完全性を操作することに向いています。これはどういうことかというと、あるイメージに内面的に入り込み、そこからさらに別のイメージへと次々に乗り換えることができるということです。
人は誰しも無意識のうちに自分のタイプに最も適した職業を探しているものです。筆者も演劇研究所に勤めていた時、俳優候補にはどのようなタイプが多いのだろうかと考えたことがあります。その結果「LSI」と「EIE」の2タイプが全体の約4割を占めていることが明らかになりました。
EIEの創造機能、つまりイメージの中に入り込み、そのイメージの中で生きる力は、俳優という仕事をするうえで重要な資質です。
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臨床心理学的に見た場合、このタイプはヒステロイド(ヒステリー性格)だと言われています。舞台の上では、EIEのコントロールされたヒステリーが、むしろとてもよく映えます。仮に癇癪を起こして、倒れこむように椅子に座ったとしても、着ている服は乱れないかもしれません(癇癪を起してみせながら、同時に自分の服が変にならないよう調整しているためです)。
EIEにとっての内的状況の完全性とは、首尾一貫した自分自身のイメージのことを意味します。そして、これは創造性の場所であるため、簡単にイメージに入り、必要な時間だけそこに住み、自由にそこから抜け出して、別の状態に移動できます。ILEが「私は理解した」と言うのに対して、EIEは「私はそこに移り住んだ」と言うタイプです。
EIE は状態に入り、その状態をサンプリングし、必要な役割またはキャラクターに生きようとします。多くの人にとっては難しいことかもしれませんが、創造機能を使ってイメージからイメージへと日々飛び回っているEIEにとっては非常に簡単なことです。
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EIEを代表するような人物には、、フィデル・カストロ、ドロレス・イバルリ、アドルフ・ヒトラー、レフ・トロツキーなど、壇上で何時間も話し続けることができる熱烈な演説者がたくさんいます。
現代の政治家という範囲で言えば、EIEであると考えられるのはウラジーミル・ジリノフスキーくらいかもしれません。彼は素晴らしい俳優でもあります。テレビで、彼の「コントロールされたヒステリー」を見たことがあるでしょうか。
彼は意識的にそうしています。そんな彼にとって、議会は舞台そのものです。観客がいることが最大のポイントです。ヒステリーを見せた本人はすぐに落ち着きますが、周りの人は長い間、震え続けることになります。
異なるタイプの人間を演じ分け、異なるイメージに変身する力を持つ俳優は、そう多くはいません。
ほとんどの人にとって、容易にはできないことですが、EIEにはそれができます。ILIにもSEEにも、何にでもなりきることができます。
インノケンティ・スモクトゥノフスキー、セルゲイ・ボンダルチュク、ジャン・マレーなど、多くの優れた俳優がこのタイプに属しています。
ところで演劇と俳優について言えば、優れた演出家は、作中に登場するキャラクターのタイプに応じた俳優を選ぶことが多いのではないかと思われます。しかし、キャラクターが何らかのタイプを持っていればいいのですが、必ずしも全ての作品がそうであるとは限りません。明確に定義されたタイプを持たないキャラクターというものは現実から解離していると言わざるを得ません。したがって、そのような作品は生気のない非現実的なシナリオになってしまいがちです。
機能 #-2 – 客観的直観(Ne)
EIEは、確立された秩序とルーチンを受け入れます。彼らはこの分野では創造性や独創性を発揮しません。
彼らはスケジュール、ルーチン、台本を必要としています。銃は第五幕で撃たれなければなりませんし、夫は定時に帰ってこなければなりませんし、日曜日には家族全員でピクニックにいかなければならないのです。
熱意をもって秩序とルーチンに従っているわけではありませんが、それでも、少なくともEIEはこういったものに従おうとします。このタイプの人々は、時に内心では全く納得のいかない秩序に従って生活し続けることがあります。EIEにとって、社会通念に反抗するのは、なかなか出来ないことです。
一度決めたルーチンは、外的環境が大きく変わっても守り続けます。
機能 #3 – 客観的感覚(Se)
EIEは、やや贅沢で派手な服装を好む傾向があります。外見的にはいつもそれが見て取れます。
このタイプの人々は、鮮やかな色をしていたり、人目を引きつけるようなディテールを好みます。いつも個性的なファッションスタイルを貫いています。
「自分がどう見えるか」「自分に何ができるか」が、第3の機能による自己評価の基礎になっています。一般的に第3機能は単純化という形で働くため、EIEのこうした第3機能の働きもまた、状況の単純化だと言えるかもしれません。EIEはこの第3機能Seの領域についての正確な知識を求めています。
典型的なEIEは、それぞれ何らかの技能の持ち主です(例えばEIEであるデンマークの王子は王国一の剣士でした)。この技能に、例えば「物を修理する能力」がセットされているEIEであれば、何も問題なく、誰よりも上手に修理できることでしょう。これは第3機能から強力な正の補正を受けることになるからです。しかし、その技能が自尊心の領域 [1]に含まれていないものである場合は、より多くのエネルギーが必要になるため、かなり無理してしまうことになります。
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リーダーとしてのEIEは、社会的な上下関係を重視し、厳格な権威主義的スタイルを採用する傾向があります。人と対立した場合、柔軟な対応をしたり、妥協したりするのは難しいです。
自分の会社やグループのイメージ作りに真剣に取り組みます。こうしてEIEが作り出すイメージは、時として、かなり未来を先取りしています。健全で堅実なやり方で事業を進めるため、着実に良い収入を生み出すことができます。
このタイプの人々は、イメージというもので大金を稼ぐ力がある数少ないタイプのひとつです。EIEにとっての重要なポイントは、お金やその他の物質的資産を扱う機会です。
機能 #-3 –主観的感覚(Si)
健康面で何かできないことがある場合、自分の体調を整えるために、それが出来るようになりたいとEIEは考えます。そのためにトレーニングをしたり、運動をしたりして、体を強くしようとします。
何か健康問題が起きた場合、EIEはその問題に真剣に取り組もうとします。そしてEIEにとっての問題とは、「何かができない」か、または「自分が考える良い状態・姿と合致していない」かのどちらかです。
ただ「体を動かせばいい」とだけ思っているわけではなく、体調を整えるために大量の薬を飲むこともあります。もちろん必ずしもそうするわけではありませんが、EIEはこういった方法も選択肢の一つとして考慮します。
機能 #4 – 主観的論理(Ti)
EIEにとって良い場所とは、全てが理にかなっている場所です。そうやって筋が通っているからこそ、そこから何かを感じ取ることができるのです。
全てのタイプの中で、講義や会議、議論に参加することを最も好むタイプはEIEとESEです。
彼らは、構造や仕組みを明確な形で理解することを非常に重視します。
「何がどのように機能しているか」「何が正しい方法か」といった情報を求めているEIEは、そういったものについて他者から説明してもらった場合、素直に自分の中に取り入れようとします。
EIEにとって良い場所とは、「全てが明確化されていて、全てがきちんと説明されていて、全てが理解できる場所」なのです。
EIEは「説明」という形を通して、外部からの影響を受け入れることができます。
機能 #-4 – 客観的論理 (Te)
「このままでいいのか、いけないのか [2]」
シェイクスピアの「ハムレット」の有名なフレーズこそが、古典的なEIEの問いかけです。
人は皆、選択肢を選び、決断を下さなければなりません。しかしそうやって決断を下した後、何が起こるのでしょうか。それがわからないからこそ、人は選択を恐れるのです。選択がなされたら、次に必要なのは創造的な行動です。
これは純粋にEIE的な問題です。客観化、具体化、一度決断を下すと後戻りできなくなってしまうことへの恐怖がそこにはあります。
この問題は、おそらく「引っ越ししたり、部屋を片付けたり、人間関係を整理したり、その他の何かを整理する必要があることはわかっていても、どういうわけか、それをするための時間がない」という形で表れます。このタイプの人々は、決断を下さなければならない領域で多少なりとも自信を持てるよう、自分自身に何度も働きかけなければなりません。
EIEが他人のものを整理することはありません。さらにいえば、自分のものを整理することもほとんどありません。
観察の結果、このタイプの人は上気道炎にかかりやすいことがわかっています。この点には注意が必要でしょう。
有名人
- ハムレット
- ウィリアム シェイクスピア
- ネロ
- ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
- アドルフ・ヒトラー
- フィデル・カストロ
- イワン・パブロフ(生物学者・パブロフの犬で有名)