共鳴関係となるタイプ
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はじめに
共鳴関係 [1] とは主導機能(第1機能)が共通しており、創造機能(第2機能)が異なる関係です。
主導機能が同じであるため、関係構築や相手の理解は簡単ですが、創造機能が異なるため、知識やスキルをどのように活用すべきかという部分の考え方が異なっています。
共鳴パートナーと一緒に過ごすと、主導機能による行動が強まるため、最初は楽しく感じますが、長く続くと疲弊します。
時々、集中して会話をしたり、激しく交流をすることで、互いに共鳴パートナーを魅力的な仲間だと感じます(ただし主導機能がSiやNiであるタイプ同士の場合、外見的には必ずしも激しい交流には見えないかもしれません)。
通常、人生の主要な目標が多くの点で自分に似ていることに気が付きます。細かい部分には違いがありますが、相手の基本的な態度が自分の態度とよく似ているので、相手を尊重します。
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インフォーマルなコミュニケーションは簡単にできますが、同じグループ内で過ごす時間が長すぎると、影響力をめぐっての競争が起こるかもしれません。
また、共鳴パートナーと共同活動する場合、役割分担に悩みやすいかもしれません。共鳴パートナーは行動の相補性がほとんどないため、互いのアシスタントをこなすことはできません。
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共鳴パートナーが仕事などのパートナーである時、相補的な関係を求めて、それに挫折した結果として、自分たちが共有している傾向そのものについて互いに批判しあってしまいます。
主導機能がSiの場合、共鳴パートナーを怠惰だと批判し、Neの場合、ビジネス上の重要な問題への回答が遅いと批判します。Tiの場合、コントロールフリークだと相手をなじり、Seの場合は権力欲が強いと非難することがあります。
これは同一関係にも同じように当てはまることです。
例えばLSIとLIIは同じような意見を持っていても、LSIは「自分の意見を他人に押し付けたい」と思うのに対して、LIIは「何もしたくない」と思うかもしれません。
ILEとIEEが同じ活動に興味をもって、何らかのコミュニティを作りたいと考えても、ILEが正式な組織や管理センターを作りたいと言う一方で、IEEはコミュニティの活動を非公式なものに留めておきたいと言うしれません。
SLEは官僚的組織を増やすことで精神的、肉体的にかかるコストを管理をしようとする一方で、SEEは個人的な影響力を行使することで物事を成し遂げようとするかもしれません。
どちらかのアプローチが勝つか、または上位の権威者がそれぞれの居場所を決めるまで、この対立は解消されないかもしれません。
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協力し合うことを求められない場合、共鳴関係は友情に発展することもあります。しかし、あまりにも密な共同作業を強いられると、同レベルな者同士による終わりのない戦いを始めてしまうかもしれません。彼らはポイントごとに自分と同じ考えの人をそれぞれ見つけ出します。
それを見た部外者は、争いを止めようとできる限り努力するかもしれませんが、その努力が彼らの争いに影響を与えることはほとんどありません。共鳴関係の場合、コミュニケーション自体には問題がありません。彼らは何が問題なのかを正確に理解しています。
共鳴関係でお互いの弱点に同情することはほとんどありませんが、仲が良くなれば暗示機能(第5機能)を通じて好意を感じたり、実証機能(第8機能)によって相手を助けることもあります。
しかしその場合、十分な礼儀正しさがなければ、やがて相手からの要求にうんざりしてしまいます。
さまざまな著者による説明
Valentina Meged, Anatoly Ovcharov
共通のトピックについて話し合うのに向いている関係ですが、より近距離なコミュニケーションが始まると関係が複雑になります。
共鳴関係の場合、問題への対処の仕方が大きく異なっています。そのため互いにアドバイスを求めたり、妥協点を模索しようとする傾向が見られます。それが上手くいかない場合、相互不信に陥ってしまうこともあります。
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付き合っているうちに、お互いにもっと自由と自律が欲しくなってきます。互いの欠点はよく承知していますが、相手の能力を判断する際の機転に欠けていることがよくあります。
お互いに感情的な圧力をかけ、自分が唯一正しいと思う特定の行動を相手に要求することもあります。
この関係では、互いに常識が欠けているように見えたり、突拍子のない人に見えることがあります。
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共鳴関係は、日常生活を共に送ると悪化しやすい関係です。新鮮な印象や経験があれば関係改善をはかることができます。他の人と交流している際の共鳴パートナーの言動は、たいてい魅力的に感じられます。
I.D. Vaisband
共鳴関係では、相手の誠意が欠けていると感じることがあります。お互いにエゴイスティックな人だと感じることがありますが、実際にそうであるとは限りません。
共鳴パートナーは、分野によっては非常に似たような世界の見方をします。
この関係は、もしも同じような物事に興味を持っている場合であれば、非常に生産的な仕事ができる関係です。その一方で共通点が少ない場合は、不愉快で、苛立ちを感じやすく、すれ違いの多い関係にもなります。
O.B. Slinko
「The key to heart - Socionics」より
共鳴関係の場合、主導機能(第1機能)が同じであるため世界観が共通していますが、実行機能(第2機能)は相反しています。
そのため、お互いにある程度自分と似た部分があると感じますが、お互いの行動が理解できずに、エゴイスティックな人だと認識してしまうことがあります。
また主導機能の領域で競合してしまうこともあります。
共鳴パートナーは、通常、互いを認め合い、常識的な行動で接しあいますが、互いの問題に真摯な関心を示すことは、あまりありません。共鳴パートナーの自分に対する関心は、表面的なものに見えるかもしれません。
したがって、共鳴関係では対人的な温かさが際立つことはあまりありません。
R.K. Sedih
「Information psychoanalysis」より
自我ブロック - 自我ブロック + 超自我ブロックの相互作用:
他の関係でも繰り返し言っていることですが、ソシオニクスの関係が何であるかに関わらず、人は精神的に発達しているほど、また、興味や仕事に共通点が多ければ多いほど、興味深く、快適で有益な関係を築くことができます。
両者の自己実現が不十分で不安定な場合、互いの弱点に影響を与え合うことが多いです。しかし、これが非常にネガティブな結果に繋がることは少ないです。
共鳴関係の場合、世界観が部分的に一致しているため、努力すれば簡単に妥協点を見つけ出すことができます。しかしながら共鳴関係ではコミュニケーションに伴って軽い摩擦が生じやすく、そのせいで親密な関係になりにくい関係でもあります。
通常、ある程度の距離を保ちつつ、互いを賞賛したり、互いの役に立つことをします。もしも共鳴関係間で競争が生じた場合は、成長のためのチャンスになり得ます。しかしここで互いの「子供」ブロック [2] を怒らせてしまい、なかなか成長へと繋がらないことも多いです。
喧嘩してもすぐに仲直りできます。通常、このペアは衝突を避けようとします。
もともと自分の基準で相手を測りたいという欲求があまり起こらない関係ではありますが、仮にそういった欲求が生じたとしても、それに流されてはいけません。どんな場合であっても避けるべきです。
Laima Stankevichyute
「Intertype relations」より
倫理タイプ同士のペアである場合、情熱と感情の過剰さに悩まされます。論理タイプ同士のペアである場合、絶えず緊張状態が続いて苛立ちやすいです。
互いに相手の誠意が欠けている、我儘だと感じやすい関係です。
A.V. Bukalov, G. Boiko
「Why Saddam Hussein made a mistake, or what is Socionics」より
共鳴関係は、部分的に似ているように感じやすく、互いの発言も理解しやすいです。同じようなテーマの議論を好み、多くの場合、関心の対象が共通しているという特徴があります。
しかしいざお互いの目標やプロジェクトを実行に移そうとすると、相手の行動に矛盾を感じてしまい、驚き、傷つくことがあります。
こういった場合、お互いに相手に裏切られたと感じます。
「こうしようと決めたじゃないか。君もそれに同意したはずだったのに。今やっていることといったら何だ」
この関係の場合、なまじ主導機能(第1機能)が共通しているために、合意自体には至りやすいです。しかし創造機能が異なるため、実際にどう行動するかという部分では、お互いに相手が想定している方法とは全く違う方法をとってしまいがちです。
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一見すると無害な発言や観察が、相手を深く傷つけてしまうこともあります。
例えばIEEがILEの友人に「きれいな服だね。先週言ってた例の女の子ウケを狙ってその服にしたの?」と言ったとします。
ILEにとって人間関係は非常にデリケートなテーマであるため [3]、こうしたIEEの発言には、かなり気まずさを感じてしまいます。
一方で、ILEが行う論理的な思考や行動に対する疑問や批判は、IEEを傷つけてしまいます [4]。
自分にとってはどうとも思わないような発言で、相手が傷ついてしまうことがあるということを念頭においておけば、共鳴関係で生じる数多くの誤解を回避できるでしょう。
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共通点が多いため、共鳴パートナーはしばしば友情を築き、交際を始め、家族になります。しかしこの関係では、衝突したり、互いに苛立ちを感じることが時々起こることもあります。
Victor Gulenko
「Criteria of reciprocity」より
単調でうんざりしてくる干渉:
相手との距離が遠い場合に限り、魅力的な人間だと感じます。しかし親しい関係になると、情報交換した後で退屈な関係に感じてしまうようになります。この単調さを打開できずに、緊張と苛立ちが募っていくことになります。
そんな関係では、十分な自己開示も難しいです。共同で何かの活動に取り組んだ場合、実施方法や行動様式が違うため、意図せず邪魔しあってしまうことがあります。そのせいで相手に失望したり、相手への敬意を失ってしまうこともあります。
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パートナー間の違い:
共鳴関係では気質が共通していますが、その同一性と均一性に疲弊してしまいやすいため、新しい印象、新しい経験、新しい知人を絶えず必要としています。そういった新鮮な体験や情報がなく、閉塞的な状況が続くことほど共鳴関係にとって悪いことはありません。
外界に開かれた扉や、革新的な技術、時事問題への共通の興味は、共鳴関係で必要とされている外向的なアプローチにとってプラスに作用します。
共鳴関係の場合、どちらか片方のパートナーにしかかかわりのない出来事に関して議論することへの興味が薄くなりがちです。相手の話につまらなさを感じてしまい、相手の話よりも周囲の世界や人々の関心が向いてしまいます。
このペアは、周囲の環境が多様であればあるほど、そして興味をそそるものが多ければ多いほど、良好な関係になります。そういった環境であれば、新しくて面白い、刺激的な発見・感覚・発展について議論を交わすことができます。
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共鳴関係には、互いに同じような目的と目標を持ちながら、それを達成するための方法が相反しているという特徴があります。時間がたつほどに、ますます乖離してしまい、対立しあうような立場をとるようになっていきます。
両者とも自分たちの違いや矛盾をよく認識していますが、それをすぐに解決することはできません。この関係の場合、第三者への感情を共有することで互恵性が増す傾向があります。
二人で何かを決定する際は、ある程度の緊張が生じます。定期的にちょっとしたことで不満や怒りが爆発し、その後、状況を整理して喧嘩の原因を探るというパターンになりがちです。
もしも気心が知れた関係だといえる程度に親密な関係を築けている場合、このような喧嘩は緊張感の解消に役立つ面もあります。喧嘩することで二人の間にあった緊張を解き、それまでの相違を忘れて新しいコミュニケーションを始めることができます。
こういった場合、具体的な決定や、具体的な行動を押し付けることは避けた方がいいですが、そのテーマに関する一般的なアドバイスであれば、肯定的に受け止め合うことができます。
互いに自分のポジションを守ろうとするため、相手が何に取り組み、何を追求しているのかに興味があるにもかかわらず、自分の意見に固執しがちです。
共鳴ペアは、外見的には似ていますが内面的には全く違います。新鮮な外的印象を求めているにも関わらず、お互いに相手がいつもの状態に落ち着くことを期待しています。新しい関係性や、新しい「ルール」への移行を苦痛に感じてしまいます。
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付き合う上でのアドバイス:
関係性の合理化をしたり、制限や制約を課すことなく、自由に発展させることが共鳴関係にとっては最もプラスに作用します。自分の意見を押し付けず、相手の意見に耳を傾けてください。
一度なじんだ習慣や関係性を変えようとはしないで下さい。両者のバランスを崩すような挑戦は避けつつ、互いが退屈しないように刺激しあってください。
もしも相手に苛立ちを感じたら、相手と一時的に距離を置いてください。
この関係は、複雑な計画に取り組むには不向きな関係です。互いの自律性を保ちながら、互いに多くのことを学び合うような関係が向いています。
相手の行動をコントロールしようと躍起にならないでください。適度な信頼がないと、共鳴関係は安定しません。
共鳴関係は、常に外の世界に目が向いている方が上手くいきやすい関係です。そのため、新しいイベントに参加したり、新しい人々に積極的に合うようにしてください。そのイベントや出会った人物に対して同じ結論に達せれば、なお良いかもしれません。
V.V. Gulenko, A.V. Molodtsev
「Introduction to socionics」より
この関係は、必要がある場合は礼儀やマナーを守って形式的な会話をするものの、互いの関係を掘り下げようとはしない関係です。そのため時間がたつにつれて次第に退屈になっていきます。
「相手が間違った前提や順序で問題を解決しようとしている」「こちらの主張を認めようとしない」という印象を感じます。そのため、両者は妥協点、つまり中間点に到達するよう模索することになります。
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こうした関係は、第三者がいれば大幅に改善されます。なぜなら第三者と接触している状態の共鳴パートナーは、通常、魅力的で賞賛に値する人物だと感じやすい性質があるからです。
この点で、共鳴パートナーは互いにいくつかのことを学べます。一方が慎重であることを学べば、他方はより積極的であることを学べるのです。
ただし共鳴関係の場合、アドバイスする側が、アドバイスする過程で得た新しく得た情報を自分の目的のために使いはじめてしまい、相手には何も残らないことがよくあります。
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同じ出来事でも、互いに異なる視点から見ています。お互いに、自分のやり方こそが自分のにとっても、相手にとっても一番いいと考えてしまいます。
はっきり口に出して言うことこそないものの、お互いに内心「この人はエゴイスティックな人だ」と思ってしまいがちです。
もしも家族である場合、共鳴関係は不信が芽生えやすく、自分の価値を実感しにくくなる関係であるため、監督関係よりも負荷の高い関係になってしまうことがあります。
また、同じ仕事をしようとしても採用したいと感じる方法が違うため、そこから誤解が生じてしまうこともあります。
共鳴関係では、もっとも発達した行動機能 [5] が互いに逆です。
もしも両者が内向である場合は、互いを対等な関係だと感じる傾向があるため、方法の違いが原因で競争が起こることが少なくなります。
しかし一方が他方を支配すると、特にサブタイプも対立しやすい組み合わせの場合、意見が合わずに衝突することもあります。
Ekaterina Filatova
「Art of understanding yourself and others」より
両パートナーはベースとなる機能(第1機能)が同じであるため、世界の認識が似通っています。しかし実際に協力し合うとなると、あまり実りのある関係だと感じられないことも多いです。
もしも共通の関心を持っていれば、お互いの最も弱い機能をケアし合うことになる関係です。
Eugene Gorenko, Vladimir Tolstikov
「Nature of self」より
多くの点で似ているポイントがあります。同じ目標に共に向かうことが出来れば、共に機転を利かせながら、礼儀正しく付き合うことが出来ます。
しかし内面的な違いから、両者はかなり異なる方法で世界を見て、同じ出来事に異なる視点からアプローチするため、互いの弱い機能を傷つけあってしまいがちです。
このような場合、重要なのは距離感・機転の利かせ方・良好な関係を維持しようとする思いの強さです。また、利害が一致していて、同じ方向の関心を持っていることも重要です。
Sergei Ganin
共鳴関係は、共通する機能が多い関係です。片方のパートナーからの関係と、その逆の関係が対称的で、関係の進展にリズム性があります。
似たようなことに興味を持ち、同じようなことを話します。互いに礼節を保った付き合いをしますが、互いの問題に心から関心を持つことは稀です。
しばらくすると、関係が停滞して退屈になってきます。ヒエラルキーが同じで対等な場合は、非常に平和的な共存ができますが、一方が他方より優位に立つと、深刻な意見の相違や対立が生じることがあります。
共鳴パートナーは、同じ問題を全く違う角度から見ています。そのため、同じ問題を「非現実的な方法で解決しようとしている」ように見えてしまいます。さらに、互いの異なる視点を快く受け入れることが出来ません。
そのため仕事の方法でこのような相違に直面した場合、大きな誤解が生じてしまう危険性があります。こうした場合、互いに妥協の道を模索しようとすることが多いです。
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会社など、第三者が存在する場では、関係性が少し改善されることがあります。
その理由は、第三者に対する振る舞い方が、他方のパートナーにとっては興味深く、価値あるものに感じやすい傾向があるからです。
社会的なコミュニケーションをさらに改善するためにはどうすべきか、お互いを見て学ぶこともできます。
お互いにアドバイスを求めた場合、むしろアドバイスを与えた側の方が、自分のアドバイスの有用性(自分自身に対する有用性)に気付くかもしれません。そしてアドバイスを求めた側は特に何かを得ることなく、そのまま帰ってしまうのが普通です。
共鳴パートナーは、互いに利己的でエゴイスティックな人だと感じやすい傾向がありますが、それを口に出して言うことはありません。
◆◆◆
共鳴パートナーが家族の場合、非常に負荷の強い関係になります。相互不信が起きやすく、自分の存在意義を感じられなくなるような作用があるからです。
共鳴関係の理論的特性
ユングの外向/内向、合理性/非合理性を共有しています。
合理タイプ同士の場合、直観/感覚が異なっており、非合理タイプ同士の場合、論理/倫理が異なっています。