双対関係であるESIの説明にもLIEに関する説明があります。
意識的な機能
第1機能(先導):Te
LIEにとって、持ち前のビジネスの才能をうまく活用できないことほど、苦痛なことはありません。
自分の長所、知性、能力を最大限に発揮できる機会を求めて、彼らは興味深く、やりがいのある活動を探します。この探求は、LIEにとって人生そのものと言えます。
LIEがビジネスの才能を発揮しようとするのは、客観的に見て自分に有利な条件が揃っている場合です。「どんなに不利な条件でも、気合と根性さえあればなんとかなる」というようなタイプではありません。
根性論でゴリ押するのではなく、もっと他の客観的条件(運やツキ、その他の外部環境に依存する要因)も考慮して、自分のスキルを最大限、効果的に発揮できる状況を見極めるべきだと考えています。
状況が不利な場合、そのまま強引に突き進んで無駄な努力をするのではなく、まず状況を変える努力をすべきだと考えます。「シーシュポス [1] の労働」はLIEの目指すところではありません。
◆◆◆
このタイプの人々は、すべての人に平等な機会と公平に競争できる環境を提供するために、積極的に闘います。LIEは正義のために、そして自分が正当に受け取るべきものを取り戻すために戦うのです。
もし公平性を取り戻すことが出来ない場合、LIEは自分の主張を理解してもらえて、自分の仕事がまっとうに評価されるような新しい環境を探しに行きます。
このタイプの人々は、自分のビジネスの能力や才能を発揮するためのチャンスを常に求めています。成功できない場合、すぐ次の活躍の場を探そうとするため、仕事や住む場所を変えることがよくあります。
LIEは見知らぬ土地に行き、新しい土地、新しい機会を発見する「パイオニア」なのです。様々な分野に果敢にチャレンジし、最終的に自分にふさわしいものを見つけ出します。
◆◆◆
エネルギーを合理的に配分し、効率を追求しようとします。新技術の開発と導入、作業プロセスの合理的かつ効率的な組織化、イノベーションのためのアイデアの創出、多くの最先端技術や方法論の創造において、LIEの右に出る者はいません。
非合理的で非効率的な仕事は、LIEにとって我慢ならないものです。労働者の物質的な報酬 [2] や個人的な利益を重視して、仕事と生産を組織化しようとします(LIEは、自分のために生きることで、他人も生かすことを目指しています)。
具体的で実際的な仕事を好み、抽象的で机上の空論としか言えないような企画に誘惑されたりはしません。
自分の判断とは違う行動をすることはできません(言い換えると、自分の中の常識に反する行動は出来ません)。
LIEは全ての活動を、「なぜそれをしなければならないのか」という観点から考えます。仕事をすること自体は嫌いではなく、やると決めたら高い品質の成果物を出すタイプです(「どうでもいい出来栄えでいいのなら、そもそもわざわざその仕事をする意味はない」)。
◆◆◆
「高い利益を生むプロジェクトに自分が従事すること」、その点にこそ、自分が仕事をする意義があると考えます。どうでもいい作業に時間を浪費しないように心がけています(ただし、無意識的に志向している倫理的価値観に反する可能性があるため、LIEはいくらリターンがあるとしても犯罪には基本的に手を染めません)。
LIEはお金をガッツリ稼いで、ガッツリ消費するのを好むタイプです(「自分に見返りのない仕事をする意味がありますか?」)。ひたすら節約したり、「たくさん金を消費して楽しむ」ことを否定するような生き方はあまり好きではありません。
必ずしもLIEは、毎月コツコツ一定額を貯金し続けるのが得意なタイプだというわけではありません。彼らは簡単にお金を稼ぎますが、それと同じくらい簡単にお金を使います。
基本的にはあまり冒険をしない方ですが、時々、特に深い考え無しに、適当な事業に投資してしまうことがあります。
自分の失敗や誤算を許せないほうですが、外見上は落ち着いていて楽観的に見えます(「人は失敗から学ぶ」)。LIEは小心者ではありません。また小心な人のことを嫌います。
◆◆◆
「あなたが稼ぐ方法を知っているのなら、あなたには使う権利があります」という原則を持っています。
大金は簡単に自由に使う一方で、細かい金額には厳しいところがあるため、気前のいい性格でありながら同時にケチに見えてしまうようなところがあります。
また、所得水準に関係なく、最高級のものを買いたいと考えるほうです。壊れた物を修理するのに自分の時間を費やすよりも、新しいものを買うか、修理するための人を雇う方が好みです。
激務であっても、相応の報酬が支払われているのであれば、それを嫌がりはしません。
LIEが嫌いな仕事は日常の雑務的な仕事や、主体性のない退屈な仕事です。
自分の行動、時間、仕事の質を他の誰かに管理されるのを嫌がります。「他人が自分を信用してない」と捉えてしまうため、不快になってしまうのです。
◆◆◆
ビジネス関係でもプライベートな関係でも、人間関係の基本は「相互に信頼できる関係」だと考えます。義務を果たそうとしない人、不正行為に手を染める人、詐欺的な人、反則技を使う人、他人の労力に「タダ乗り」しようとする人とは付き合わないようにします。
あまり多くのことを約束したりはしませんが、約束した以上のことをしようとします。約束に関してLIEは慎重なほうです [3]。自分の行動を評価する際、「自分がどれだけ頑張ったか」ではなく「それで結局どんな結果を出せたか」という観点から評価します。ありとあらゆる関係において、無責任なことはLIEにとって耐えがたい事なのです。
◆◆◆
優れたリーダーであり、組織のまとめ役です。各メンバーの能力に応じて、適切に仕事を配分することが出来ます。行動、スキルレベル、能力という観点から、人を即座に評価します。LIE本人は、常に熱意を持って迅速に、かつ効率的に業務に取り組みます。
LIEにとって「官僚的なお役所仕事」は最大の悪です [4]。これはいつも彼らのビジネスの妨げとなり、彼らを苛立たせ、憂鬱にさせるものです。
そういった環境では、自分のビジネススキルを活かしきることが出来ず、仕事の報酬も十分に得られないため苦痛に感じてしまいます。もし職場がこういう体質の職場だったら、早いうちに転職しようとします。
◆◆◆
とても機敏でダイナミックな性質の持ち主です。新しい条件に簡単に適応し、困難に耐えることが出来ます(時間の経過とともにその困難が報酬となって返ってくることがわかっている場合は特に)。
LIEは極限条件下で、優れた働きをします(レスキュー隊員、開拓者、スタントマン)。
彼らは極限状態においてこそ、その強靭な意思、落ち着き、冷静さ、ビジネスセンス、時間・エネルギー・能力を正確に見積もる力を発揮します。LIEは決してひるむことなく、全身全霊で困難に立ち向かう人々なのです。
第2機能(創造):Ni
彼らは、時間がもたらす利点を認識しており、物事には停滞する時期と、めまぐるしく変化する時期があることを理解しています。
そしてLIEが持ち前の資質と才能を発揮できるのは、めまぐるしく変化する時期、すなわち彼らにとって有利な条件が満たされている時です。
LIEは、いつそんな時が訪れるのかを推測し、その瞬間にだけ存在するような利点や恩恵を十二分に活用することが出来ます。
また同時に、困難な時期を最小限の損失と損害で乗り切ることも出来ます。
時間は自分のために使います。いつ、何をするのが合理的かを正確に把握しています。必要なら時間をかけて丁寧にすることも出来ますし、逆に急いで仕上げることも出来ます。
いつ行動すべきか、いつ待つべきかを知っています(待っている間にチャンスを逃してしまうことがゼロではありませんが)。
まとめるとLIEは不確実で曖昧な状況に、自分を上手く適応させることができるのです。
たとえば、自分が不利にならないよう、取引に興味がないフリをすることができます。どんなに負担がかかっても、我慢する術も心得ています。自分の能力不足を人に見せないようにするのも上手です(そうやって彼らは自分の名声を守ります)。
不必要な励ましをしないようにしています(希望を持たせるだけ持たせて、その希望が叶えられなかった場合、無責任な人間だと他の人々に認識されてしまう恐れがあるため、他人に過剰な期待を持たせないようにします)。
◆◆◆
自分にとって不利な状況では、LIEは「断固とした行動」と「疑念・怠惰」を交互に繰り返します。
何かを待っている間、他の行動に切り替えるのが苦手なため、無為な時間を過ごしているように見えることもあります(多くのLIEは自分のことを怠け者だと思っていますが、実際には怠惰な時を過ごすよりも、アクティブに仕事をする方が好きです)。
自分の力ではどうにもならない理由で、強制的に活動停止させられることが大嫌いです。
それは文字通り彼らを不安にさせます。そういう状況で、別の仕事に切り替えるのはLIEにとって難しい事です。他の合理タイプと同様、こうした混乱、混迷には不快感を覚えます。
◆◆◆
LIEは忙しい生活リズムを好みます。彼らは面白い仕事や緊急の仕事で一日がぎっしり詰まっている時に、気分がよくなります。
LIEは二分法では合理タイプに分類されるタイプですが、だからといって「LIEは予定に固執するタイプだ」と考えるのは間違いです。
彼らは非常にダイナミックなタイプでもあるため、状況の変化に容易に対応できます。
LIEの時間に対する直観は、ビジネス上の利益や、利便性に焦点をあてる傾向があるため、彼らは常に日々のルーチンを柔軟に調整しようとします(その結果、約束の商談に遅刻したり、ダブルブッキングしてしまうといった不測の事態が発生することもあります)。
LIEに帰宅時間や夜の予定などを聞いても意味がありません。こういった質問をされても、具体的に何時だとは答えないかもしれません(そして家を出れば、直観に導かれるようにして成功を追いかけるハンターになります)。自分の仕事が何時まで続くかは彼ら自身にもわからないのです(そのためLIEと同居する人は、非常に生活がしにくくなります)。
◆◆◆
自分で決めたスケジュール通りに行動するのは、彼らの性格上、無理があることです。例えば、やりかけの仕事を放り出して、予定通りデートに行くことはほとんどありません。
LIEがこういったことをするのは、自分にとって非常に意味のある関係の場合だけに限られます(これは、LIEの双対であるESIが最初に彼らに要求する「犠牲」になるかもしれません)。
子供のLIEは、日課を作るのが好きではありません。家で宿題をしている間に、庭で起きてる何か面白いことに参加しそびれるかもしれないからです。これまでの筆者の観察からいうと、子供のLIEは仮に日課を決めても1日か2日しか守りません。
彼らは大学で講義を受けたあと、必要な電話を済まし、バイトをしてからまた大学に戻ってきて講義を受けるようなタイプです。LIEの日常は濃縮されています。
1週間授業を休んで他の国に出かけ、色々なことをして、親戚を訪ねて、仕事の連絡をとり、また授業に戻ってきて、たった2日間でずっと授業に出席していた人たちに追いつくようなこともします。
もしも「仕事をする日」にLIEが手持ち無沙汰でいる場合、彼らは相当な苦痛を味わっていることでしょう(LIEは怠惰を嫌いますが、非生産的な時間やエネルギーの浪費はもっと嫌いなため、しなくてもいい仕事を無駄に増やして暇潰しするのは嫌なことです)。予想外に時間を浪費すると、心底ウンザリしてしまいます。
話すテンポが遅いなど、あらゆる場面の「遅さ」がLIEを苛立たせます。自分の前を誰かがゆっくり歩いていたり、運転していたりすると、かなりイライラしてします。渋滞はLIEにとっては最悪の拷問です。
LIEは買い物も嫌いです。行列に並ぶのが嫌で、物の品定めが苦手だからです。役所や病院も嫌いですが、これも順番待ちが苦痛だからです。
◆◆◆
すでに何度も説明していることを、わざわざ時間を割いて説明しなければならなかったり、他人に仕事を押し付けられて自分の計画を台無しにされると腹をたてます(他人に計画を変更させられるのは不快ですが、自分で計画を変更するのは平気です)。
座右の銘は「時は金なり」です。LIEにとって時間は本当に貴重なものです。彼らのたてる計画は柔軟でダイナミックです。自分の計画を尊重し、それに適応してくれるパートナーが理想です(そして双対のESIは無意識のうちにそうします)。
第3機能(役割):Fe
時おり、「なぜ自分に感情というものが与えられたのか、それをどうすればいいのか」と、混乱しているように見えるLIEがいます。LIEの感情は、基本的には知性に従属しており、自分の利益になる形で感情を表現しようとします。
ある時は、「陽気で純朴で気楽な仲間の仮面」をかぶって人前に現れ、またある時は、「仰々しい厳格さの仮面」をかぶって人前に現れます。必要であれば、本心を全く表に出さずに、今感じていることと真逆の感情を表現することもあります。
LIEはフレンドリーでコミュニケーション能力が高く、外交的な性格の人々です。どんなグループでも他のメンバーとの接点を見つけだします。チャーミングでウィットに富んでおり、非常に頭の回転が速く、人と接するのが好きな方です。
ユーモアとジョークというものを高く評価しており、彼ら自身もジョークをよく言ったり、ユーモアと楽観主義で他の人々を盛りあげます。
こうした特徴のおかげで、LIEは何かと心配しがちなESIを和ませ、リラックスさせることができるのです。
◆◆◆
双対であるESIとの関係の初期段階では、「LIEの言う、必ずしも不適切とは言えないブラックユーモア的なジョーク」や「くだらない悪ふざけをしたがるところのあるLIEの性格」が問題になることがあります。しかしこれはまだマシなほうで、最悪なのは「LIEの下品なジョーク」です。
こうしたジョークはESIの反感を買うだけではなく、ESIがLIEとの心の距離を、取り返しがつかないほど遠くに離してしまう原因になります。ESIと一緒に過ごすうちに、LIEのユーモアはESIに受け容れられるものだけが選択されていくことになります。
LIEの「感情表現」の仕方も同様です。ESIのそばにいる場合、LIEの感情のボキャブラリーはかなり乏しくなっていきます。LEI-ESIの双対関係では、LIEは礼儀正しい態度をとって、細やかな気配りをしようとします。そして時間がたつうちに、こうした礼儀正しさはLIEの血肉になっていきます。
LIEはお調子者や陽気な仲間という仮面をかぶることで、しばしば自分の悩みや感情を他人から隠そうとします。しかしESI相手の場合、LIEは悩みや感情を隠し通すことはできません。ESIはLIEに対して、嘘偽りのない誠実で率直な感情を求めています。
◆◆◆
LIEは、感情的なプレッシャーを自然災害のようなものとして耐えます。手を握りしめ、試練が終わるのを辛抱強く待ち続けるのです。
もしLIEと良いパートナーになりたい場合、いつ、いかなる状況であっても、LIEを「しつこく」非難してはいけないと知っておく必要があります(LIE自身が、他人が思わず批難したくなるような行動をよくとるのは確かですが)。
なぜなら、これはポジティブな結果につながることはなく、LIEとの関係性を崩壊させるだけに終わってしまうからです(しかも、ここから元の良好な関係に戻るのはほとんど不可能です)。
LIEは一般に、他人のネガティブな感情(例:恨み、苛立ち、嫌悪感、反感)に敏感です。泣き言を言ったり、癇癪を起こしたり、嫉妬したり、醜聞に繋がる様な事をする人は我慢ならない存在です。これはLIEを怖がらせ、LIEの感情を麻痺させてしまいます。
◆◆◆
LIEは自分の外の世界に対して警戒心を持っていますが、そうでありながらも普段のLIEは穏やかでとてもフレンドリーな人です。(意図しない場合も含めて)誰かに不快感や苦しみを与えたくないと望んでいます。これは、そういったことをすると相手の記憶に「自分の悪い記憶」が残ってしまい、それが自分の悪い評価に繋がる危険性があるからです。
そうした危険性を避けるために、LIEは常にパートナーからの倫理的な修正を必要としています。そしてLIEが無意識的に志向しているのはESIの倫理観であるため、倫理的な修正をする役として最も適しているのはESIだといえます。
こうしたLIEの無意識の倫理的な志向は、LIEの「実行不可能だと思われる頼みごとをされた場合であっても、はっきりそれを断らない」という部分からも見て取ることができます(これは「あまりにもはっきり断ってしまうと、関係が壊れてしまう」というESIの倫理感の表れです)。
◆◆◆
LIEにとって最も困難な倫理的状況は、パートナーが引きこもり、深く心を閉ざしてしまった時です(ESIは危機的な状況に陥ると、このようにして心を閉ざしてしまいますが、LIEはこれを警戒信号として認識します)。
そうした状態のパートナーから発せられる曖昧な感情表現は、LIEを非常に苦しめ、心配にさせるものです。LIEは、自分が相手を本当に怒らせてしまったとわかると、文字通り気分が悪くなります。
そんな時、彼らはパートナーの周りをぐるぐると歩き回り、パートナーの顔をじっくりと観察して、一体何が起こっているのか理解しようとします。
この状態からパートナーを救い出すためなら、どんな譲歩でもするし、自分の力で何とかなることであれば、なんでもする覚悟があると思うほどです。
◆◆◆
LIEはすぐ人と仲良くなれるほうです。他のどのタイプにも負けないくらい、「友達の作り方」を知っているタイプです。
しかし、だからといって「LIEは簡単に人を信頼して好感を抱く」と考えるのは大間違いです。LIEは、双対であるESIに似て非常に警戒心が強いところがあるため、誰でも彼でもLIEと心理的に近い距離の関係性を結べるわけではありません。
また、LIEは自分の「人を見抜く力」が不完全であることも、ちゃんと自覚しています(彼らにとって、これは一生かけて学び続けなければならない課題です)。
LIEは「やみくもに」知り合いを作るのは好みません。あらゆる種類の付き合いにおいてそれが言えます。
しかし、LIEは非常に近しい心理的距離の相手とは強い信頼関係を結ぶ方です(そのため、時に信頼しすぎてしまうこともあります)。
LIEの信頼を裏切るということは、彼らの友情と尊敬を永遠に失うことを意味しています。LIEにとって最も重要な倫理的価値観は、誠実さと忠誠です。そのため、友情と愛に失望する経験というのは、LIEにとって非常に苦しい経験になります。
LIEは執念深いほうではありませんが、信頼を裏切られた場合は相応の復讐をしようとします。
LIEにとって嘘、偽善、不正、いかなる形の虐待、暴力、屈辱も許し難いものです。こうしたものを目にした場合、LIEは単に苛立つだけではなく激怒します。
必要なら武力で自分の利益を守ろうとするかもしれません(「そうすることが人には許されている!」)。
激情はLIEにとって不自然な状態です。彼らの気質は通常、穏やかなほうです(LIEに最も多い気質は「粘液質」です [5] )。
自分の機嫌は自分で取り、自分を苛立たせる人との接触を避けます。他人の感情を尊重し、相手にもそれを期待します。
赤の他人と心理的に遠い距離でコミュニケーションをとる時、LIEは何の理由もなく棘のある発言をすることがあります(LIEは自分のことを「孤独なオオカミ」と形容することがあります)。
こんなLIEに愛情のこもった言葉をかけるには、並外れた倫理的勇気が必要になります。
しかし、幸いなことにLIEの双対であるESIであれば、LIEのこうした態度は問題になりません。
なぜならESIはLIEのトゲトゲしい態度に隠された、非常に傷つきやすい心を見抜き、極めて優しく接することができるからです。
また、ESIはLIEのこうした態度を恐れるどころか、心地よい爽快感さえ感じるタイプです。LIEとコミュニケーションをとる自信を持ったESIは、この近寄りがたいオオカミを手なずけてしまいます。
第4機能(脆弱):Si
LIEは、自分自身や周囲の環境に違和感を覚えることが多いほうです。また、体の動きが硬く、ぎこちなさがある場合も多く見られます [6]。
彼らは不快さを感じると、そう感じる自分を恥ずかしく思い、イライラしてしまいます。極限状態ではタフさを見せるLIEですが、普段は些細なことに敏感になりがちです。そして彼ら自身、なぜそうなのか、よくわかっていません。
LIEは自分の感覚の程度を正確に感じとるのが苦手です [7]。
だから、LIEの好みや癖を把握していて、事前に「LIEが次の瞬間にどういう感覚を覚えるか」を心配してくれるようなパートナーが必要なのです。
LIEは、Siという快適さや体調管理に関する分野では、自分の面倒を自分で適切に見ることができない可能性があります。
だからこそ、LIEのパートナーのケアには細心の注意が必要とされます。LIEには、あらゆる手を尽くしてLIEを休ませてくれるような人が必要です。
特に注意しなければならないのは、一見すると怠惰に過ごしているように見えるLIEに不平を言って追い討ちをかけてはいけない点です。
これまでにも説明したように、こういう「強制的に冬眠させられているような状態」自体がLIEにとっては不本意でストレスなものだからです。
◆◆◆
仕事をするスイッチが入っているLIEが、自主的に休息したりリラックスしたりすることはほとんどありません。そのため、もしLIEが自主的に休む準備をしているのであれば、それ以上無理をさせるべきではありません。
座って食事しているLIEの席を移動させようとしたり、あれこれ話しかけたり電話番をさせたりして彼らの注意を乱すのも良くありません(職場では食事と仕事を同時にこなしますが)。
セルフケアや家事、生活環境の質の維持、向上のための作業を、LIEはリラックスした状態で行えません。
あまり多くのことを求めず、気取らない生活を送ることが苦ではないLIEにとって、こうした自分の世話は不必要な仕事であり、必ずしも価値があるとは言えない仕事なのです。
LIEは、パートナーのケアを受けることで、自分がリラックスできるようになることを期待しているところがあります。
そして、わずかな不快感にも過敏に反応してしまうのです。LIEのとって、職場でお湯が不足しているのは何とも思いませんが、仕事から帰宅して、家ですぐにお湯が使えないと残念な気分になります(ESIがパートナーの帰宅時間を気にする理由について、LIEは少し考えてみるべきです。
ESIは、仕事から帰ってきたパートナーに温かいお湯を、そしてリラックスできる環境を用意しておこうとするような人々なのです)。
LIEには極度の家事嫌いな人が多いです。特に現代社会では、専業主婦をするLIEはかなり珍しいかもしれません。
仕事と家事の板挟みになると特に強い不満を感じがちです(「急ぎの仕事があるのに、夕飯を作って、それから掃除をしないといけない…」)。女性のLIEが産休を取る場合、仕事が最も忙しくない時期に取ろうとします。
◆◆◆
LIEは、化粧のセンスや服装選びのセンスが必ずしもいいタイプとは言えません(注意点として、化粧しなくても見た目が整っている場合が多いため、仮にプロが化粧を施したとして、そう大きく見た目が変化するタイプではありません)。
LIEの多くは一般的な基準から見て美しい外見をしていても、自己認識として「自分の顔は醜いほうだ」と考えており、中には巨大な黒メガネで顔を隠してしまっているLIEもいます(そして、他の人から見て美しいのか醜いのか、すべては謎のままになります)。
「自分の趣味や外見、マナーが洗練されているかどうか」という点にほとんど自信を持っていないせいで、LIEは過剰にシャイで堅物でとげとげしくなってしまいます。
また、自分に対する他人の態度や、自分が好かれているのか嫌われているのかを、うまく感じ取ることができません。
自分が誰かに好かれ、愛されることがあるとは信じられないのです(これはLIEの抱くとんでもない妄想です)。自分自身に魅力を感じることができず、自分のことがあまり好きではありません。
儀式的な振る舞いが要求される、お祝いの席やフォーマルな場では、まるで息がつまる様な気分になってしまいますが、シンプルなスポーツウェアを着て、気取らずに振る舞うことができる活動(例えばハイキングなど)では気分が良くなります。
◆◆◆
自分の美しさの自己評価が非常に低いため、中には「誰が見ても明らかに見た目が劣っている人々」に囲まれたがったり、「明らかに社会的地位の低い人々」と俗で安っぽい娯楽を楽しむことを好むLIEもいます。
家の中が散らかっていても気になりません。物が美しいかどうかという点には無関心なのです。服装の美的センスがないこともよくあります。
彼ら自身、こういった欠点を自分で認識しているため、人からじっくり外見を見られることを嫌います。
LIEの双対であるESIは、人を「突き刺すような視線で」見つめたりはしません(心理的距離が近い場合、ESIがこうやって相手を見ることは全くありません)。また、外見や服装の欠点について指摘することもありません。
ESIは残念な格好をしている人に心から同情するか、求められた場合は解決の手助けをすることはありますが、求められてもいないのにわざわざお節介なアドバイスをしたりはしません。
誰かが身体的な快適さに対する配慮を示してくれた場合、彼らはそれを自分に対するポジティブな態度の表れだと解釈します [8]。LIEはそんな配慮を示してくれる相手としか真の意味でのリラックスができず、また、真の意味での信頼をすることもできません。
脆弱機能(第4機能)のサポートを受けることで、暗示機能(第5機能)に関する情報を受け取ることに「オープン」になります。これについては第5機能の項目で説明します。
無意識的な機能
第5機能(暗示):Fi
この機能は、最も基本的な価値観を形成している機能です。また、第5機能は人の「盲点」であり、受動的で無意識のうちに働いている機能です。
例えるなら、人の世界観を形成する人生の価値観や態度の保管庫のようなものです。これは、人が周囲の人々の行動や行為を評価する指標にもなります。
LIEは、自分の行動の裏にある動機を知る必要性や、誰が本当に自分をよく扱ってくれて、誰に少し注意を払うべきかを知る必要性を感じていますが、LIEが1人でこれを理解し、分析するのはかなり難しいことです。
そのため、人間関係の複雑さを完璧に理解し、この問題について常に詳細にアドバイスしてくれる人を必要としています(そしてLIEの双対であるESIは、この点において右に出るものがいないタイプです)。
無意識のうちに高い道徳観や倫理観を志向しているLIEは、最も重要な倫理的価値の擁護者であり、守護者でもあるといえます。友情、愛、大義への利益、自分が属する「チーム」の利益への献身が、LIEの倫理観の基盤を形成しています。
◆◆◆
LIEはESIと同様に、パートナーに求める倫理的な基準がとても高いタイプです。しかしながら、彼らが最重視している倫理的な原則から少々逸脱する程度であれば、かなり寛容に受け入れることができます。
またLIEはESIと違って、「ひょっとしたら自分は騙されているかもしれない」と絶えず疑ってしまうタイプではありませんが(LIEは自分が騙されているかどうかを論理的な面から評価します)、一度嘘をつかれると、決してそれを忘れることも、許すこともありません。
人間関係の危機は、LIEにとってとても辛いものです。そしてLIEにとって最悪なのは、パートナーが彼らをそこから救い出すことができないか、あるいはその気がない場合です(この点でもESIは他のすべてのタイプのパートナーよりLIEにとっては好ましいと言えます。
ESIはそのような危機を起こさせないだけでなく、不安の痕跡さえも残さないようにしたがるタイプだからです)。
人間関係の危機的状況において、LIEは「自分は決定的な行動を起こせないほうだ」ということを感じています。
だからこそ彼らは無意識のうちにパートナーに対して、そうした危機を回避するためのリードをしてほしいと期待しているのです(その気になれば、自分で回避することもできなくはありませんが)。
◆◆◆
人間関係を発展させる過程で、LIEは無意識のうちにパートナーにイニシアチブをとってもらうことを期待しています。
そしてESIは人間関係のイニシアチブをとるだけの資質(倫理的・意志的な資質)を持ち合わせています(ESIが極端に偏見にとらわれていない場合)。
それに対して、LIEは人間関係の発展に役立つような、ビジネス面からのイニシアチブを進んで取ろうとします。
LIEにとっての問題は、「ESIだけが、率先してLIEの人間関係を発展させることができる唯一のタイプであるわけではない」という点です(さらに言えば、他の双対関係と同様に、LIEにとってESIは最も目立たず、最も魅力を感じない人物です)。
そのためLIEはしばしばソシオニクス的に見て相容れないタイプのイニシアチブに屈してしまうことがあります。
こうして形成される人間関係は、特に危機的状況に直面した場合、LIEに強い苦痛を生じさせます。例えば、LIEのパートナーが論理タイプの場合、相手の倫理機能が弱いため、人間関係の危機的状況でLIEを救いだすことができません。
また、ソシオニクス的に見て相性の悪い倫理タイプの場合、感情的圧力を利用して挑発する能力に長けていることがあります。
誰かが倫理的に自分を操作しようと試みている場合、LIEは必ずそれに気が付きます [9]。
問題は、それに対してどう対処したらいいのかわからない点です。このような倫理的操作の背後にある人間関係の本質をLIEが理解するためには、かなりの時間が必要になります。
「相手が倫理的な操作していたとしても、それが自分の人生を苦しめることはないだろう」という結論に達した場合、LIEは、この異質な倫理的ゲームに参加する可能性もあります。
LIEにとって耐えがたいのは、「倫理的な操作をしかけられることそのもの」というより、狡猾に騙されること、背後に曖昧な倫理的目標を設定されること(言い換えれば「誰かが倫理的ゲームをしかけてLIEを騙そうとしていること」)です。
LIEは偽善、二枚舌、虚偽、不誠実というものを嫌悪しています。
◆◆◆
LIEは「コップの中に残った半分の水」に迷うタイプではありません。心理的な不快感が強く、人間関係を変えることができそうもない場合、自分から家庭を出ていくこともあります。魅力的な代替案があったとしても、迷うことはありません。
一見すると倫理的な面では柔軟なタイプに見えるかもしれませんが、実際には倫理面ではかなり保守的なタイプです。ソシオニクス的に見て相容れないタイプとの関係では、問題を引き起こしやすいです。LIEに対して倫理的な面での問題がないことを保証できる唯一のタイプがESIです。
第6機能(動員):Se
これまでに説明した通り、LIEの客観的な成果は、本人の意志的な努力ではなく、有利な外的条件に左右されます [10]。
それにもかかわらず、LIEはしばしば彼らが責任を負っていると感じるチーム、パートナーや友人の利益のために意志的な努力をし、それによって危機的な状況を脱することができます。
LIEは現実主義で実用的な反面、時折「雲の中に浮かんでいる」ような面があります。LIEは「自分の第1機能に矛盾するような非現実的なことをすべきではない」と考えていますが、彼らの目標は時に蜃気楼のようなものになります(他の直観タイプと同様に、LIEは常に現実的に物事を捉えるとは限らないためです)。
このような時には、いかに早く必要な努力を始め、誤った計画を捨て、新しい目標をたてて、その実現のために行動できるかが重要なポイントになります。LIEには、彼らを現実的な目標に向かわせ、「蜃気楼のような目標」の不毛さを納得させることができるようなパートナーが必要なのです。
LIEにとって、特に「自分の計画が危機に瀕したときに、自分の意志を奮い立たせて必要な努力をすること」は難しいことです [11]。
そんな時、LIEのプログラムに対応する新しい目標 [12] が現れた場合、LIEはこれをポジティブな意味を持つものとして歓迎します。新しい目標さえ決まれば、どこに向かって努力すればいいのかが明らかになるため、LIEは一気に活性化します。
こうしたも目標はLIEにとって苦痛極まりない「動きたいのに動けない状態」「ただ何もせず変化を待っていなければならない状態」から抜け出すきっかけになるものです。
LIEは、やるべきことさえ明確であれば、努力を惜しまず、困難を乗り越えていくことのできるタイプです。
この「LIEのプログラムに対応する新しい目標」に合致するのが、ESIのたてる目標です(ESIは先見の明に優れるタイプではありませんが、状況によってはどんな努力も無駄であることをはっきり理解しています。
そのため、ESIはLIEがあまりにも非現実的で遠大な計画にとらわれることを許しません。ESIは意志的な面から影響を与える様々な手法を創造的に操り、もっと現実的で具体的な仕事にLIEの目を向けさせます)。
◆◆◆
LIEは、自分の仕事をおろそかにしないようにするタイプですが、実際には定期的に「仕事をおろそかにしている」ような状態に陥ります。
第1機能の項目で説明した通り、LIEは「壊れたものを修理すること」を嫌いますが、それと同じくらい「放置されている事柄」に着手することも嫌いです。そのため、LIEのそばには、それを強制できる誰かがいなければなりません。もちろん、LIEに直接的な意志的圧力 [13]をかけることは不可能です。
これはLIEにとって許しがたいことであり、もしこのような圧力をかけた場合、LIEとの関係性が悪化します。
LIEに対する強制は、柔軟で創造的なものでなければならず、またLIEの関係性の倫理の原則から見て問題がないものでなければなりません。
つまり、LIEが「自分ばかり苦労させられている」と怒り出した時、その怒りがエスカレートしないうちに素早くなだめる必要があります。そして、簡単にこれができるのはESIだけです。
LIEはどちらかというと、ぼんやりしたとことがあるタイプです(直観タイプにはこのような性格の持ち主が多いです)。
しょっちゅう物をどこに置いたか忘れてしまいます。掃除や片付けは、彼らにとって楽しい行為とは言い難いです。
LIE自身は、家庭内の秩序 [14] に無頓着なほうですが、秩序が厳密に守られ、維持されている環境に身を置くと、活性化します(ESIの家がこれに該当します)。
◆◆◆
LIEが精神的危機から抜け出し始めると、生活リズムを整えたり、スポーツを始めたり、健康に気を配ったり、自分のための精神的、知的作業に関心を持つようになります。
LIEは、自分の衝動ではなく、他の人の要求に応じて、あらゆる仕事やサービスを提供します(誰かにとって必要であれば、それがLIEにとって「行う意味があること」になります)。
LIE自身は、意志の圧力をかけて誰かを自分の意のままにしようとすることはありません。LIEは仕事を整理して分配することは完璧にできますが、それを誰かに強制することはありません。
お金などといった物質的刺激を使ったり、興味を持たせて相手の熱意を刺激する方がLIEにとっては簡単だからです。強制はLIEの方法ではありません。ちなみに、彼らは依頼もしません。なぜなら拒否される可能性をゼロにすることはできませんし、もし拒否されたら不快だからです。
◆◆◆
LIEは非常に民主的なタイプです。権力に媚びず、コネを使ったりはせず、地位を自慢したりもしません。俗物が嫌いなのです。
彼らは実際の行動や能力で人を評価します。権力の利点は、彼らの創造的な潜在能力を十分に発揮するための機会としてのみ捉えられています。
LIEは権力を乱用することはありません。実際、彼ら自身も残酷だと思う命令や不当だと思う命令に従わないこともあります。人道的に不十分な指示をされた場合、自分の責任で、それを守らないことがあります。
LIEは快くリーダーの役割を引き受け、うまくこなすことができます。彼らは権限を与えられれば与えられるほど、より活性化し、より成功し、より大規模に働きます。
第7機能(監視):Ti
LIEのロジックプログラム(第1機能Te)を補完し、その理論的根拠を準備し、情報を収集・処理する機能です。この機能によって、得た情報の論理性と信頼性をチェックします。
LIEを説得することができるのは事実と論理的に完璧な概念のみです。彼らはいつも無意識のうちに、自分に向けて示された考えや提案された理論の論理的矛盾や事実上の矛盾のすべてを、自分のために書き留めています。記憶力に優れ、新しい情報を簡単に記憶し、すぐに整理しようとします。
彼らはできる限り信頼できる情報源から情報を得ることを重視しています。情報源の信頼性はLIEにとって非常に重要な要素です。基本的に、彼らは個人的に信頼できると確信した事実のみを根拠にします。
そのため、情報源の信頼性が期待していたほど高くなかった場合、LIEは強く失望してしまいます(信じていた友人に失望させられるような感覚に近いです)。
これは、あるLIEが5歳だった頃の話です。祖母のカブ畑で見かけたカブが予想よりもかなり小さかったので、彼は試しに自分一人でカブを引っ張ってみました(そしてあっさりカブは抜けました)。
そこで彼は「おじいさんも、おばあさんも、孫も、犬も猫もねずみも、みんなで力を合わせて引っ張らないと抜けないはずのカブが、一人で引っ張っただけで抜けてしまった」という事実と情報源 [15] の間の矛盾に陥ってしまいました。
追加検証するべきだと考えた彼は、カブ畑にあったカブ全てを引っ張ってみました(そして全てのカブを抜いてしまいました)。
ここで初めて彼は「情報源はあてにならないこともある」ということを知ったそうです。
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LIEは情報収集を重視しています。そのため、新しいプロジェクトを引き受ける際は、常に包括的な情報を得ようとします。
ただし、それと同時に情報収集に時間をかけ過ぎてはいけないという認識も持っています(情報収集に時間をかけ過ぎて、いざ着手し始めたときに手遅れになっていると元も子もないからです)。
彼らが重視しているのは、情報収集そのものというより、プロジェクトと、チームに対する自分の責任です。
彼らは将来起こりうる状況の変化や変更を考慮しなければならないと考えているため、情報収集する際は自分の先見性を可能な限り発揮しようとします。
例えば必要経費を計算する際は、あらゆる要因、例えば物価上昇やインフレ、増税、保守サービス料や保険の料金改定の可能性などといった要因を考慮します。
LIEは、どういった要因を考慮するか検討する際に「可能性の直観」と呼ばれるNeを活用します。
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LIEは自分の知った情報に「歪み」があると、それを敏感に察知します。事実が「捻じ曲げられ」、それによって真実がゆがめられることは、LIEにとって許し難いことです。
どんなに集中力が欠けていたり、気を抜いていたとしても、論理的な矛盾があればすぐに気が付きます。たとえ本質には影響しないようなものであっても、事実を操作することには否定的です。
「ひとつの事実に対して多くの異なる意味付けをすること」は、LIEにとって簡単に受け入れられることではありません。
これは、LIEの理解力が低いからではなく、理論、意見、考えを受け入れる際、論理的な整合性があることを重視しているからです [16]。
これと同様に、情報を取り入れる際にも、それが「改ざんされた事実」に基づいていないことを確かめようとします(この点で、LIEとESIの関係の初期段階で問題が生じることがあります。
ESIは倫理的な面での事実の操作を行うことにあまり忌避感のないタイプです。
ESIはLIEと違って、事実をむしろ自由に扱っているため、「ひとつの事実に対して多くの異なる意味付けをする」可能性があるタイプです。
また、ESIはこういった行為が悪いことだとは考えません。ESIにとっての論理が「誰かを説得する際に利用する手段の一つ」でしかないことをLIEが理解するまでは、LIEの耳をチクチクと刺激することになります)。
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LIEは、繰り返し検証された個人的な経験に基づいて、すべての行動を構築しようとします(彼らの技術的手順もまた、繰り返しの検証に基づいて開発されています。そうやって構築した手順に対する批判は、LIEにとって非常に苦痛を伴うものです)。
科学実験の分野では、LIEはかなり幼いうちから、非常に大胆な個人的経験を蓄積しています [17]。ひょっとしたら、人生で一度も何かを燃やしてみたり、焼き払ってみたり、爆破してみたりしたことのないLIEは存在しないかもしれません。彼らは発明が好きで、科学をもっと発展させることを夢見ています。
他の人が彼らの発明についてどういう認識を持っているかに関係なく、LIEは自分の発明を誇りに思っています。
LIEの理論的な論理は情報の基盤を作ります。この基盤が、可能性の直観(Ne)の前提条件になるのです。
第8機能(実証):Ne
この側面はLIEにとって非常に重要なものです。彼らは無意識のうちに、自分の能力と他人の能力を比較しています。
なぜなら、この分野では常に自分を鍛え、必ず高い評価を得たいと思っているからです。
注意点として、LIEはこの分野での他人の成功を妬んだりはしません。確かに自分よりもっと成功した人を「成功例」として示されるのは嫌いですが、これは「成功例」の押し付けが嫌だからです。
LIEは、どの「成功」を自分のモデルケースにするか、どの「成功」は避けるかを自分で決定したいと考えています。
無意識のうちに、LIEはこの機能のことを「自分よりも弱い人、困っている誰かを助けるために授かった力」のように感じています。これは、弱い直観を持つESIを活性化するような形で、LIEのNeが使用されることから見てもわかります。
多くのLIEは、子供の頃ライフガードや消防士といった弱者を守る仕事にあこがれたり、「ロビン・フッド」や「ピーター・パン」に心惹かれます。
LIEはこの使命のために人生をかけて準備をします。一生をかけて、彼らは障害を克服することを学び続けます。
また、超能力を身につけることを夢見るLIEも多いです。LIEは、大人になっても、子供向けのアクション映画を見て、無敵のヒーローになった自分を想像して楽しむことができます。
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LIEは、まっとうで、勤勉さ、大胆不敵さ、粘り強さ、先見性を持ち、人生で多くのことを成し遂げた人々を尊敬します。また、想像力のある人々、自分で自分の能力を開発している人々を尊敬します。
情熱的で、体力、敏捷性、持久力を競うような競技を好み、自発的にそういった競技の大会に参加して、のびのびと活動します(今見たばかりのアクロバティックなスタントを自分でも試してみたいと思うかもしれません)。賭け事も好きなほうです。幼いうちから、自分の身体能力やスタミナ、勇気の限界に興味を持ちます(ある10歳のLIEの少女は、8階のバルコニーの手すりに座って自分の勇気の限界を「テスト」しました)。
LIEにとって、自分ができることの限界に挑戦することはとても大切なことです。最初の検証時の「自己ベスト」に満足できなかった場合、彼らは何度もレコードを塗り替えようとします。LIEは、こういった自己ベストをとても誇りに思っています(LIEの「レコード」は、必ずしも客観的な価値のあるロールモデルであるわけではありません)。大胆不敵で勇敢な姿を見せたがり、若いLIEがリスクを求めて無茶することもしばしばあります。
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自分の成果について話すとき、それを大袈裟に語ったりはしません。空威張りが嫌いなのです。しかし、自分の成果を疑う人がいれば、すぐにそれを証明する用意があります。
大人になってからのLIEのリスクテイクは、緻密な計算と発達した直観に基づくものになります。彼らは賭け事が好きで、よく宝くじを買いますが、当選番号の確認に行くのが億劫になるタイプです。彼らにとって賭け事とは自分の運試しのために行う、一種の「天気予報」のようなものにすぎません。
自分の成功について語るとき、LIEは他の人々の能力を批判しないよう気を付けています。またそういった議論を避けようとします(LIEは、無意識のうちに双対であるESIの弱い直観に対して不快感を与える可能性のある行動をとらないようにします)。LIEは「人を試すようなこと」をするのは好きではありません [18]。もしLIEが自分と他人の能力について話したとしても、それは純粋な好奇心からであって、自分の能力をアピールするためではありません。
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彼らにとって、過酷な環境でどうやって生き抜けばいいのかを学ぶことは、まるで冒険小説の登場人物になったような気分になれる楽しいことです。
LIEは危険な冒険のロマン、危険な環境での仕事、厳しい気候条件に心惹かれるタイプです。子供のころから、いつか冒険に出かけた時に上手くやっていくための準備をしておこうとします。
多くのLIEが様々なスポーツにチャレンジしています。彼らはいつも、今までに経験したことのないような経験を求めています。
例えば、船を運転した経験があっても、それだけでは満足しません。なぜなら飛行機を飛ばした経験がまだないからです。新しい橋が開通したら、すぐにドライブに行きたがります(「新しい橋が出来て、もう3日も経つのに、まだその橋の上を運転したことがないなんて!」)。
LIEは生まれながらのパイオニアであり、探検家なのです。彼らの持つ「新しいもの、未知のもの全てに挑戦し続けたい」という欲求を止めることは誰にもできません。
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LIEが人前で涙を見せることは極めて稀です。落ち込んでいる姿を見せることすら稀です。
また、LIEがそういった姿を見せるのは、身近な人に限られます(当たり前のことですが、心理的にアンバランスな状態のLIEが、普通の人と同じように、何でもないことで苛立ったり泣き言を言ったりすることはありますが、心理的にバランスの取れたLIEがそうすることはありません)。
このタイプの人々の中には、「死」を現実に起こるものとして、実感を持って認識できない人が多く存在します。
自分の大切な人との別れを考えずに生きているため、実際に大切な人を失った場合、精神的に大打撃を受けます(表面上は、その辛さを隠そうとしますが)。
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LIEは非常に陽気で楽観的な性格の持ち主です。アクティブでダイナミックな仕事やレクリエーションでいっぱいの生活リズムを好みます。
旅行、カヤック、サイクリングが大好きで、旅の歌やキャンプファイヤーの煙、旅のロマンといったものを愛しています。オカルト話も好きで、SFやアドベンチャーに興味を持つLIEも多いです。
LIEの知識は、想像以上に多岐に渡っていることが多いです。
常日頃、誰からも失望されないように努めており、さらに難しい局面では、自分のためだけではなく「自分のチーム」のために、どんな難問も解決してみせるのが自分の義務であると考えています。
彼らにとって「自分のチーム」とは神聖な概念です。友人に求められれば、たとえ火の中であろうと水の中であろうと突き進んでいきますし、何の見返りもなく献血をしたり、困っている友人のために全財産を差し出すことさえできます。
彼らはチームを救うために、勇気と機転と忍耐力で奇跡を起こすことができるのです(ただし日常生活では大切な人々が何を求めているのかについて、全く無関心なこともあります)。
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自分が知らず知らずのうちに「チームの問題」の原因になっていることに気付いた場合(特にその問題をすぐに解決できそうもない場合)、酷い気分になってしまいます。
LIEにとって、自分が問題児になることは耐え難いことなのです。逆に、他の誰かに自分の足を引っ張られるとイライラしてしまいます。そのため問題児との関わりを出来るだけ避けようとします。
彼らはどんな状況でも自信と楽観性を発揮し、恐怖や悩みを表に出さないようにします。いつも落ち着いており、気負いがなく、穏やかで明るい声で話します。
持ち前のバイタリティ、楽観主義、人生を楽しむ力、健全な冒険心、想像力、独創的な思考によって、LIEはESIに将来の希望と自信を与え、多くの袋小路から救い出します。そして冒険心と人生の楽しさを教え、未踏の世界に飛び込むチャンスを与えることで、ESIの人生をより豊かで楽しい出来事にあふれた人生に変えることができるのです。
訳注
- ^ ギリシャ神話より。ゼウスの恨みを買って地獄に落とされたシーシュポスは、地獄で谷底から山頂まで岩を運ぶ苦行を課される。しかし山頂に辿り着く前に岩は必ず谷底まで転がり落ちてしまうので、永遠に岩を運び続けなくてはならない。転じて「徒労」を意味する。
- ^ 金銭的な報酬など。
- ^ IEEにも同様の特徴がある。
- ^ LIEとは逆に、時間の締め切りの指定がない時に「お役所仕事」になりかねないタイプとして、第6機能にNiを持つLSIがある。
^ グレンコも同様にタイプと気質の関係について言及しているが、グレンコの場合、LIEを「粘液質(Phlegmatic)」ではなく「黄胆汁質(Choleric)」と関連付けている。
粘液質(Phlegmatic)は優柔不断、臆病、穏やか、公平、人を騙さないとされる気質である。
黄胆汁質(Choleric)は荒々しく熱血漢、短気で行動的、野心が強い、気前が良い、傲慢、意地悪で気難しいとされる気質である。関連記事「ソシオニクス 気質」
- ^ 身体的な動作の硬さは、二分法「合理性」に関連付けられることもある。
- ^ 例えば、すごく不快なのか、少しだけ不快なのか、正確に把握するのが苦手。
- ^ 相手から「好かれている」と解釈する。
- ^ 倫理的な操作:感情を利用して人を操作しようとすること。例えば相手に何かを要求する時、涙や怒りを見せることで、相手が断りにくい状況に追い込んだりすること。
- ^ 気合いと根性で突き進むのではなく、潮流に乗ろうとするタイプ。
- ^ これは第4機能の説明にあった「一見すると怠惰」なLIEの状態に該当する。
- ^ 第1機能Teの観点から見て妥当な目標。
- ^ Seによる圧力。具体的には「仕事をしろ!」と怒鳴ったり、「クビにするぞ」と脅したりするような手法。
- ^ きちんと掃除したり、整理整頓するかどうか。
- ^ 「おおきなカブ」の絵本。
- ^ 例えば「地球が温暖化している」という事実に対して、様々な国や立場の人が、自分の都合のいいように統計データを恣意的に解釈して作るような「温暖化のメカニズムの理論」は、LIEにとって受け入れがたい理論だといえる。なぜ受け入れがたいかというと論理的整合性に欠けるから。
- ^ カブ畑のカブを全部引っこ抜いて検証してみたりする。
- ^ この点で、人をテストしたがると言われるLSIとは真逆である。